地震電磁波現象の歴史(阪神大震災まで)
【1890】
明治政府のお抱え外国人学者のMilneが論文中に「東京で大気中の電荷変動を連続観測
していると地震に伴った変化が何度も観測された」と報告。
【1925年】
仙台で関東地震の際の地電位異常を白鳥が観測。
【1944年】
鳥取地震の後の余震観測で、地電位差の変化の伴う余震があることを永田が報告。
【1945年】
三河地震(M6.8)に伴う余震に関するもので「大きな余震の前にはラジオに雑音が入
るので、地震(余震)の発生を前もって知ることができた」との記録。戦時中の出来事
で空襲警報を聞くために、当時常にラジオの電源が入っていたという。
【1948年】
地震前には地電流に著しい異常があることを、荻原が数多く例示。
【1967年】
茨城県柿岡で地震に伴うと考えられる地電流変化を柳原・横内が観測。柿岡の東西方向
100km以内の地盤でのみ地震に伴う地電流異常が観測できると結論。
【1979年】
ソビエトの防空レーダーシステムが妨害電波により2日間使用不能。イラン地震(M7.0)
による電磁波が原因と考えられ、以後、ソビエトで地震電磁放射について研究される。
【1982年】
菅平観測所でLF帯電波雑音の連続観測により地震電磁波放射の解析と電磁波により地震予
知の可能性を芳野、ゴルフベルグ(露)が報告。
【1984年】
山崎断層での地震(M5.5)で宮越が地電流異常を観測。
ギリシャの3人の学者(Varotsos,Alexopoulos,Nomikos)が地電流連続観測により地震
短期予知について論文を発表。研究者3人の頭文字からVAN法と命名。
【1988年】
ロシアのスペースプラズマ波動伝播研究のために打ち上げた衛星により、地震に関連する
電磁放射を受信されたとロシアの学者が報告。フランス、アメリカでも研究開始。
【1989年】
カリフォルニア、ロマ・プリータ地震(M7.1)で潜水艦探知のために開発していたイン
ダクション型磁力計によって磁場強度の変化があったとスタンフォード大学のFraser-Smith
が公表。
【1994年】
VLF帯既存電波(航行用オメガ電波など)が地震に伴う異常伝播があるとGufeldが報告。
【1995年】
阪神大震災で異常を観測。
ELF帯 畑(名古屋工業大学) 223Hz狭帯域での磁場3成分観測
VLF帯 藤縄(防災科学技術研究所) VLF帯による地中電界パルス測定
VL,VLF帯観測 尾池(京都大学) 空中のパルス状電界観測
HF帯 榎本(工業技術院) HF帯の地中鉛直方向電位差観測
HF帯 前田(兵庫医科大学) 22.2MHzでの木星電波観測
VLF帯(電離層)早川(電気通信大学) VLFオメガ電波観測
VHF帯(電離層)串田(八ヶ岳南麓天文台) VHF帯FM流星電波観測
震災時に震災地付近を走行していた福山通運のトラック運転手が、AMラジオ放送(ラジオ
関西)の雑音状況について証言(芳野1996)。
以上、「地震予知研究の新展開」(長尾 2001/近未来社)
「大気電気学概論」(日本大気電気学会2003/コロナ社)から抜粋