山の牧場

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575Classical名無しさん:2013/04/24(水) 17:33:05.61 ID:TpsEtNoB
4/24献立(暫)
第四帝國に至る傷未だ癒えず梅飯野菜漬物及び水のみ。
野菜漬物鮭缶里芋生ハム麺類二菓子類三飛鳥の蘇余り。
576Classical名無しさん:2013/04/25(木) 14:54:59.13 ID:I9b98K4I
4/25献立(暫)
蟹寿司昆布飯野菜漬物鶏肉揚物珈琲醍醐菓子、確定
黄鶏飯野菜漬物鮭缶里芋麺類2菓子類3生ハム飛鳥の蘇、余剰
577Classical名無しさん:2013/04/25(木) 21:48:41.30 ID:aRlhN+vX
4/26献立(余剰)
黄鶏飯野菜漬物鮭缶里芋麺二菓子三
生ハム鶏肉揚物中華春巻き飛鳥の蘇
578Classical名無しさん:2013/04/26(金) 11:12:56.95 ID:dQWqGZ6b
              ゚.;・ ‘           . +
         +.  。・          ,-ー 、
   ・       ;・.          ( ⊂,
         :’       ・'     `ー'    .
       ∵’          ・
      ・                        .
    .     __,,,,一'''''~~~`-,,
      _,,,-''''~         ~・、   ,,-^ー,,,,
   _,,-''~               `_,-'~     ~~ー, 、
  ~   A A ∧ ∧          -,,         '~ '' -ー,,,,____
     /  )/ ⌒´丶            ~`ー,,,,
     (   (     )    ,,,、。、十/i~i~i~i#: ~~''--,,,,
  `'~`'''`'`'`~'~~`~∧'`'`''''”`'`'~`~'~`”'`'`~'~~`'`'`~'~'~'~~'`'`'`'~'~'~`
         | ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
         | ・・・・・
         ───────────────────
579Classical名無しさん:2013/04/26(金) 11:22:39.30 ID:dQWqGZ6b
・・・・応
                      ''';;';';;'';;;,.,
                       ''';;';'';';''';;'';;;,.,
                        ;;''';;';'';';';;;'';;'';;;
                        ;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;
                    vymyvwymyvymyvy
               vymyvwymyvymyvyyvyyvy
.   _   ._   ._   _   ._   _   ._
   /〜ヽ /〜ヽ /〜ヽ /〜ヽ /〜ヽ /〜ヽ /〜ヽ
  (・-・。)(・-・。)(・-・。)(・-・。)(・-・。)(・-・。)(・-・。)
   ゚し-J゚ ゚し-J゚ .゚し-J゚ .゚し-J゚ ゚し-J゚ .゚し-J゚ .゚し-J゚
580Classical名無しさん:2013/04/26(金) 12:38:42.09 ID:dQWqGZ6b
宗家識神献立語部
鬼きり雲きり虎御前
オモテ源ウラマンコ
臭いね姫さまお方様   南無ぅ( ̄人 ̄)…
581Classical名無しさん:2013/04/26(金) 13:18:38.16 ID:Hzc5v2a2
4/26献立(暫定)
黄鶏飯野菜漬物鮪刺身鯖煮物鶏肉揚物中華春巻き、予定
梅飯野菜漬物二鮭缶里芋麺二菓子三生ハムチーズ、予備
582Classical名無しさん:2013/04/26(金) 23:40:25.10 ID:uOW8LOtU
kuu2339
583Classical名無しさん:2013/04/28(日) 01:42:53.65 ID:QnXW24wB
4/28献立(暫定)
梅飯野菜漬物鶏肉揚物果実菓子醍醐菓子、予定
鮭缶里芋野菜漬物二麺類二菓子二豚燻製、予備
584Classical名無しさん:2013/04/28(日) 19:06:42.03 ID:Z62gKLl/
                 _         パシ
               /´  `フ  __ ヾ
         , '' ` ` /      ,! ;'',,_,,)   パシ   パシ
.        , '      レ   _,  rミ,;' ノ )))
        ;          `ミ __,xノ゙、,r''  ,,_,,)    パシ
        i     ミ   ; ,、、、、 ヽ、//,,_,,)/_,,))
      ,.-‐!       ミ  i    `ヽ.._,,))
     //´``、     ミ ヽ      _, 、_⌒☆
.    | l    ` ーー -‐''ゝ、,,))    ∩`Д´) 
     ヽ.ー─'´)            ノ   ⊂ノ
                   (__ ̄) )
                     し'し′
585Classical名無しさん:2013/04/28(日) 22:52:31.50 ID:LMhewf9a
586Classical名無しさん:2013/04/29(月) 12:03:15.57 ID:WDFfKPjs
4/29献立(暫定)
梅飯野菜漬物二醍醐菓子、予定
梅飯野菜漬物鮭缶里芋即席麺二果実菓子二豚燻製、予備
587Classical名無しさん:2013/04/29(月) 12:06:43.28 ID:WDFfKPjs
588Classical名無しさん:2013/04/29(月) 12:33:03.08 ID:WDFfKPjs
【酒呑毒姫】(冒頭部試し書き)

羊水様が時の御当主のお召しを受けて
馬蹄等の御館に参上いたしましたのは、
ココ馬蹄等の里に棲み暮らすようになってから
一月ほど経った或る日の出来事でございました

「お召しによりまして…」
「おお、羊水。わざわざ呼び出して相済まぬな
 そなたもこの里に根を下ろしてからかれこれ一月ほどか
 この里はどうじゃな?気に入ったかな?」
「はい。御当主様初めとする高貴な方々は申すまでもなきことながら、
 里のそこかしこに住む無位無官の人々の端に至るまで雅な方々ばかりにて、
 さすがは名士歳の左近様の故郷というだけの処であるなと、
 この羊水、ひたすら感じ入っております」
「さようか。そこまで言われるといささか面映いが…
 さればそなたも当地に落ち着く気になったいう次第かな」
「はい。もしできますれば里の片隅の空き地を拝借いたし、
 茶畑の経営などはじめてみようかな、と思っております」
「そうかそうか。
 さればソナタも馬蹄等の一員というわけじゃな
 …では、ひとつ頼みごとがある」
「はい。なんでございましょうや」
589Classical名無しさん:2013/04/29(月) 13:13:44.69 ID:WDFfKPjs
「実はココ馬蹄等の里より
 丑寅の方角に三里ほど行ったところに
 大江千里山というお山があってな
 さして険しいお山ではないのだが、
 街道の途次にあるということで一応の難所とされておる
 で、ここに酒呑毒姫という鬼女がおって
 旅のものを襲って身包み剥いだり壺を売りつけたり新興宗教に誘ったり
 里に下りては麓に棲むものたちの家にやってきてはただ飯ただ酒をたかったり
 と、いろいろと悪さを致しておる由。
 さればそなた苦労であるが、大江千里山まで参って
 その酒呑毒姫なる鬼女を退治してきてはくれぬか?」
590Classical名無しさん:2013/04/29(月) 13:18:35.71 ID:WDFfKPjs
工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工

「さ、さようなことを仰せられても…
 御当主様も左近様よりお聞き及びのことと思いますが、
 私は一介の茶人でございまして、
 武芸の心得など何もございませんので
 そのような長期登録婚活婆にも等しい化け物を退治する、
 などという御役目は、とてもではございませんが
 私にとっては荷が勝ちすぎるかと思うのですが…」
「そなたが本来は茶人であり武技の心得が無いこと、
 私も左近より聞き、知っておる
 しかしそなた、土壇場になり追い詰められると
 御宗家朝臣鞠子様の御霊が乗り移るというではないか
 このことも左近より聞いておるぞ。この儀については如何に?」
「それはまあ・・・確かに仰せのとおり、
 ここ一発というときに御宗家様の御霊が私のスピリチュアルコアにハッキングしてくる、
 ということは二度か三度ほどはございましたが…」
「ならば、問題なかろう。
 御宗家はおなごの身でありながら馬蹄等の第四代当主を勤めたお方。
 また今も当家に引き継がれている名刀虎御前の遣い手でもあられた
 その御宗家の御霊が、
 ココ一発というときにそなたに乗り移るというのであれば、
 そなた自身に武技の心得がなくとも何の不安もあるまいぞ
 …ま、このようなこと、本来であれば
 退魔師である左近に命ずべきことなのだが、
 そなたも知ってのとおり、左近はまた妖怪退治と称して
 一人で旅に出てしまうて、いまココ馬蹄等の里におらぬ
 ということで面倒ではあろうが、
 ここはひとつそなたに骨折ってもらいたい
 なお、御宗家憑依の業があるとはいえ、
 そなた自身は武技の心得が無いゆえ、何かと不安もあろう
 よって従者としてそなたに馬蹄等の武官見習いを一名付ける
 …これ。こちらに参れ」
591Classical名無しさん:2013/04/29(月) 14:38:35.28 ID:WDFfKPjs
592Classical名無しさん:2013/04/29(月) 19:07:47.34 ID:HkwoWemM
その御当主の言葉に応じて現れ出でたる馬蹄等は
武官見習いというだけのことはあり、
未だ非常に若いおのこでございます

「このもの、渡邊のマグロと申す武官見習いである
 見習いとは申せ、太刀技の腕の程は当主である私が保証する
 天性の素質に恵まれており、正規の馬蹄等武官と比較しても
 なんら引けをとることは無い
 あとは礼法一般教養社会常識。
 そういうところを身に着ければ、れっきとした武官となろう
 さればそなた、このものを従者とし、
 武技に関してはこのものに一任するがよかろう
 またさらにそなたの身に御宗家が憑依されたときに備え、
 当家重代の宝刀虎御前もそなたに委ねる
 …これだけしてもなお当主たる私の頼みを断るというはあるまいな?な?な?ななな…」
「・・・・」
593Classical名無しさん:2013/04/30(火) 00:06:23.85 ID:uVKjVsWh
【源朝臣鞠子】
(みなもと・あそん・まりこ)

第四代馬蹄等当主。二代目の娘。三代目の姪。
三代目死後にその跡目を継ぎ、馬蹄等史上初の女性当主となる
彼女は馬蹄等宗家直系の血筋を引く最後の生き残りとして、
馬蹄等武官文官の尊敬を一身に集め、
彼らをとりまとめる役目を果たしたが、
33歳の若さで不慮の事故により夭折する
朝臣は追号。

当時の第一級資料である『玉葉』には、
源朝臣鞠子死去の報が都にもたらされ、
宗家直系の血筋が断絶したことを知った馬蹄等武官たちは激しく動揺し、
全員が都での勤めを放棄し、こぞって里に駆け戻っていった
と記されている

主伝第一話の主人公にして、
馬蹄等の物語り総ての始発点にあり、
かつ帰結点ともなる人物である
594Classical名無しさん:2013/04/30(火) 00:49:45.77 ID:uVKjVsWh
kuu0049
595Classical名無しさん:2013/04/30(火) 16:18:50.67 ID:/YMEyiaL
4/30献立(暫定)
梅飯野菜漬物鶏肉揚物鯵刺身珈琲豚肉燻製神聖羅馬帝國迄
蟹鮨野菜漬物鮭缶里芋豚骨麺天蕎麦果実菓子二鰊酢物予備
596Classical名無しさん:2013/04/30(火) 16:40:49.09 ID:/YMEyiaL
【渡邊のマグロ】(from>>592)

こうしてしぶしぶながら羊水様は、
『酒呑毒姫』なる鬼女を退治すべく
渡邊のマグロという名の若き馬蹄等武官見習いとともに
大江千里山という山まで参ることと相成りました

馬蹄等から目的地のその御山までは約三里。
朝方出立すればその日のうちにはたどり着くほどの距離ですので、
旅程自体はさして難儀なことは御座いません
しかしながらその道中の気まずさといったら、
旅慣れている羊水様をして辟易されるほどのもので御座いました
その原因は何かと申せば、
それはもうひとえに供連れの『従者』、
渡邊マグロにあったと申すしかございません
597Classical名無しさん:2013/04/30(火) 16:58:35.35 ID:/YMEyiaL
「マグロ殿と言うとお名前から推してあれですかな、
 あの高名な渡邊のツナ殿と何かご縁があるとか?」
「いえべつに」
「・・・」
「とくにありません」

お前は沢尻エリカか、
と突っ込みを入れたくなるのをこらえて
さらに羊水様は話の継ぎ穂を探します

「私も左近様と長く旅をしてまいったので、
 その一端は耳にいたしおりますが、
 馬蹄等の武官或いは呪術師といった方々は
 恐ろしいくらいの業持ち、術者ぞろいとか。
 マグロ殿もいずれはその武官になられるとあれば、
 さぞや見事なお腕前なのでありましょうな
 あなたのような方にご同行していただいて心強く思っております」
「・・・」

返事がない

この渡邊のマグロなるものイケ面というほどのことはないが
さすがに馬蹄等武官相当の腕前といわれるだけのことはあり、
その顔つきは精悍でいかにも武官と言う面魂をしておりますが、
とにかく無愛想。
羊水様がいくら話を振っても、
沢尻エリカ記者会見状態から一歩も先に進みません
挙句の果てに、
ようやく口を開いたかと思うと
以下のようなことを言い出しました
598Classical名無しさん:2013/04/30(火) 17:09:19.30 ID:/YMEyiaL
「私には御当主のお心がよくわかりません
 酒呑毒姫と申す鬼女、悪い悪いといわれておりますが、
 話に拠れば、追い剥ぎ、嘘吐き、まがい物の売りつけ、
 たかり飯、たかり酒といったことをとておるだけで、
 要はそこらにいるコンカツ婆と同じで御座いましょう
 そんな雑魚妖怪一匹切り捨てることなど私一人で十分で、
 何ゆえ新参の羊水殿にこのようなことをお頼みなさったのか
 しかも私があなたの従者とは。
 …私には御当主の真意がわかりかねます」

まるで御前などいてもなんの役にも立たぬ、
邪魔だといわんばかりの言い草で御座います
これでは羊水様のほうも話のつなぎようが御座いません
599Classical名無しさん:2013/04/30(火) 17:23:31.80 ID:/YMEyiaL
本来であれば、
このお役目に関してのみという暫定的主従関係とはいえ、
羊水様が主でマグロが従者なわけですから
羊水様のほうは「マグロ」と呼び捨てにし、
マグロのほうが「羊水様」と呼ばねばならないのですが、
羊水様のほうがお気を遣われて「マグロ殿」と読んでいるのに
マグロのほうは「羊水殿」と呼んでおります
これでは主従関係とは申せません
しかしながら半世紀にわたる日教組の滅茶苦茶教育の成果で
既に雅な日本語がほぼ壊滅してしまっている昨今とあっては
羊水様もこの程度のマグロの言葉遣いの誤りを
いちいちただす気にもなれず、
おのずと寡黙になってしまわれました

(饒舌じゃが筋目は決して外さぬ左近様とはえらい違いじゃな
 一口に馬蹄等と申しても、いろんなやつがいるものじゃのう…)

会話がなくなり羊水様が内心そんなことを思われつつも、
歩は滞りなく進み、お二人は当初の予定通り
その日のうちに無事大江千里山の麓にまでたどり着きました
600Classical名無しさん:2013/04/30(火) 22:07:46.30 ID:GxeI/xkK
4/30献立(確定)
梅飯野菜漬物鶏肉揚物鯵刺身珈琲豚肉燻製第二帝國迄到達
蟹鮨野菜漬物鮭缶里芋麺似醍醐菓子果実菓子二鰊酢物余剰
601Classical名無しさん:2013/05/01(水) 14:33:19.55 ID:aVlpUXQT
【宴】(from>>599)

大江千里山の麓に至った羊水様とその『従者』渡邊のマグロは、
まずはその麓にある村の長者の家を訪れます
この長者はかねてより馬蹄等御当主とは顔見知りにて
そもそも今回の酒呑毒姫退治も、
この長者からの懇願によるものだったからでございます

「これはこれは。ようこそお越しくだされました
 馬蹄等のお方がお二人も参ったからには最早安心。
 長年われらを悩ましてまいった酒呑毒姫の命運も、
 これまでございましょう
 さりながら本日は既に黄昏。
 御両名も終日旅歩きなされてお疲れでもありましょう
 されば今宵はまず歓迎の宴など、催したくございます」
「悠長なことを。われらは婚活婆とは違う。
 ただ飯ただ酒にありつくために
 ここ大江千里山まで参ったわけではない
 宴などご無用に願いたい」
「まあまあ、マグロ殿。
 長者殿がせっかく宴を催してくださると言うに
 それを無碍にお断りするのもおとなげなきこと。
 ここは謹んでお受けして毒姫成敗は明日、
 陽がある内にすればよろしいではないですか」

千里山の長者とマグロの間に割って入って丸く治めようという
羊水様のこの言葉にマグロも不承不承ながらもうなづいたので、
ではこれよりささやかながら宴を、という次第に相成りました
602Classical名無しさん:2013/05/01(水) 15:39:25.37 ID:aVlpUXQT
もっとも宴と申しましても
そこは鄙びた寒村ゆえ、驚くような豪華なものはございません
キノコ、竹の子、里芋、甘栗、干魚といった肴に白濁酒という、
だいたいこのぐらいの献立さんでございます
しかしながらざっと見て五品にプラスアルコールですから、
鄙びた寒村においてはこれは
豪華絢爛酒池肉林、死ぬまでに一度食えるかどうか
とも申すべき大奮発でございます

「…長者殿。歓迎のお気持ち有難しとは存じますが、
 これはいささか奮発のしすぎではございませんか?
 特にこの干魚など、山間の村においては貴重な保存蛋白源ではありませんか
 このようなものをいま私ども馬蹄等に振舞ってしまっては
 来たる厳寒の期にこの村が飢えることにもなりかねません
 我等は長者殿のお気持ちだけいただければ十分でありますゆえ、
 ここまで華美な接待をしていただくなくとも・・・」
「肉が無いじゃん」

羊水様が大江千里山の長者に話しかけている途中で、
礼も何も無い下卑た胴間声が宴席の端から聞かれました
はて面妖なこと、
この宴に列席しているものたちは
雛の村里に棲むものたちとはいえ、
それなりの礼は弁えているものたちだけのはずなのに、
と羊水殿が思い、胴間声の主のほうに目を向けますと
そこには年の頃はアラサーと思しきおなごがひとり、
胡坐をかき、濁り酒をあおりながら干し魚を食いちぎっております
そのおなご、見目はさほど悪くは無いものの、口の悪さは超絶無類。

「肉がねえ。長者の野郎、ケチりやがって
 馬蹄等だかバッテラだか知らねえがどこぞの阿呆が二人、
 我を退治するためにやってきた由、小耳に挟んで
 これは長者の野郎、歓迎の宴を催すに違いるえから
 今夜はただ飯ただ酒は言うに及ばず
 久しぶりに猪肉、馬肉、牛肉など食ってやろうかと思って参ったに、
 肉の一片だに、ねえ。ったく、長者の糞野郎が・・・」
603Classical名無しさん:2013/05/01(水) 19:44:36.61 ID:cmZy6Wk7
【マグロvs酒呑毒姫】(from>>602)

おなごとは到底思えぬその穢い口の聞き様に
品のよい羊水様と長者殿が唖然としておりますその傍らで
ただ一人渡邊マグロのみが太刀を片手にうっそりと立ち上がり
そのおなごの許に近づきます

「…そこの下種女。
 まさに自己紹介乙と言わざるを得ぬその声高な独り言、
 この渡邊のマグロの耳が確かに聞き取った
 そなたこそ大江千里山の酒呑毒姫であろう
 こちらが御山に行かぬうちに、そのほう自らが
 ただ飯ただ酒を喰らいに里に下りててまいったとは、勿怪の幸い。
 この場にて直ちに退治してくれようぞ」
「あ?意味わかんね
 とりあえず三行以内にまとめてくれ、長文は読めんのじゃ」
「・・・」
604Classical名無しさん:2013/05/01(水) 19:58:56.97 ID:cmZy6Wk7
そのあまりの下劣馬鹿丸出しの口上には
さすがの渡邊のマグロも二の句が継げず、ただ黙って鞘を払います
しかしながら鞘を払い本身を見せたマグロの太刀を見ても
酒呑毒姫はいささかも動ぜず依然として胡坐をかいたまま、
ただ飯ただ酒をかっ喰らっております
ただの馬鹿なのかそれとも舐めているのか
いずれにせよその毒姫の態度にマグロの眉間がピキピキト引きつりました
それは↓こんな感じでございました…

(#^ω^)ピキピキ・・・
605Classical名無しさん:2013/05/01(水) 20:20:49.48 ID:cmZy6Wk7
「死ねや、下種女!」
怒声とともにマグロの太刀が目にも留まらぬ速さで走り
哀れ酒呑毒姫は首と胴体が泣き別れ…と思ったその瞬間、
マグロの太刀よりも素早く酒呑毒姫はその体を跳躍させ、
間一髪で太刀の軌道から体を交わしました
一撃必殺のつもりで振るった太刀をあっさりと見切られ、
唖然とする渡邊のマグロの顔を愉快そうに眺めつつ
酒呑み毒姫はニヤリと嗤い、声を掛けます
「まだまだだな。若い馬蹄等」
「うぬ…」

嘲笑され、怒りと恥辱で顔を赤黒くしたマグロは
続けざまに二の太刀、三の太刀と振るいましたが、
いずれの太刀筋も酒呑毒姫は光の速さでそれを見切り、
髪の毛一筋の差で交わしていきます
さらに四の太刀を振るおうと踏み込みかけたマグロでしたが、
何の気配を感じたのか、次の瞬間さっと身を引きました
マグロ、毒姫、いずれも神速の動きゆえに
傍らで見守っていた武技素人の羊水様には
一瞬何が起こったのかわかりませんでしたが、
見れば渡邊のマグロの顔に一筋の刀傷ができ、
そこからぽたぽたと鮮血が流れ落ちております。
そして一方、酒呑毒姫の左手には
一振りの懐刀が握られているではありませんか

「ほう、見切ったか。若僧とはいえ、さすがは馬蹄等。
 頚動脈を断ち切ったつもりであったが、一瞬の差で身をかわしたか
 ・・・面白し」
606Classical名無しさん:2013/05/01(水) 20:27:35.48 ID:cmZy6Wk7
「若僧。勝負はお預けじゃ。
 明日、御山に来い。そこで決着をつけようぞ。
 …そのほうが面白いことになるゆえな」
酒呑毒姫はそう言うと、
意外なことに手にした懐刀をあっさりと鞘に戻し、
マグロから視線を外すことなくすりすりと後退し、
ひらりと身を翻すやそのまま姿を消してしまいました
607Classical名無しさん:2013/05/01(水) 22:02:04.94 ID:cmZy6Wk7
608Classical名無しさん:2013/05/01(水) 23:56:01.03 ID:8CTaaoJo
05/02献立(余剰)
梅飯鶏肉揚物鮭缶詰(野菜漬物麺類醍醐菓子果実菓子)*2
609Classical名無しさん:2013/05/02(木) 16:52:13.02 ID:JXRqWE3A
【大江千里山】(from>>606)

その翌日。
羊水様と渡邊のマグロは、
二人して大江千里山の山道を歩んでおりました
馬蹄等の御当主が『さして険しい山ではないが』と仰ったとおり、
その山道の傾斜はなだらかで、
歳若く頑健な体躯のマグロは言うまでもなく、
羊水様も特に息を切らせることもありません
しかしお二人の間に会話は無く、
気まずさも旅程の道中以上のものがございました

昨晩、酒呑毒姫が消えた後、
羊水様は酒呑毒姫から受けたマグロの頬の刀傷、
そこから滴る鮮血を綺麗な水で湿らせた手拭でぬぐいとり、
縫合しようといたしましたが、
マグロは鬱陶しげに
「お構いあるな羊水殿。このようなかすり傷、
 バンドエンドでも貼っておけば十分でござる」
と邪険に断り、
それ以後はブスっとした表情のまま一言も申しません

向かいの道中で『たかが婚活婆にも等しき雑魚妖怪の一匹如き』と言った
その当の相手に翻弄されたことがよほど癪に障っているのでございましょう、
ただでさえ無愛想なマグロの顔が無愛想を通り越して
憤怒仁王のような表情になっていいために
羊水様もそれ以上押しては言えず、
そのままマグロの好きにさせた次第でございました
610Classical名無しさん:2013/05/02(木) 17:09:07.72 ID:JXRqWE3A
一夜たち、
いま山道を登っているマグロの表情は
その昨晩の憤怒仁王の如き顔ではございません
しかし昨日の借りを返さずにおかれようかという、
不倶戴天の決意を浮かべて黙々と歩んでおります

(若いということは確かに素晴らしいことじゃが、
 この御仁の気早さは危うさと隣りあわせじゃな
 もしこれが左近様であったならば、
 酒呑毒姫は婚活婆ではないと悟り、
 ここはひとたび間を取り、息整え、策を練り直すであろうが…)

羊水様は斯様なことをお考えになりましたが、
この今隣にいる若き馬蹄等にそのようなことを仰っても
詮無きどころか火に油を注ぐに等しいとわかっておりますので、
何も言わず、ただひたすら歩を進まれました
611Classical名無しさん:2013/05/02(木) 21:20:15.25 ID:onvmwmU7
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 |   酒呑毒姫宅.⇒   |
 |________|
612Classical名無しさん:2013/05/02(木) 22:00:02.88 ID:onvmwmU7
【傀儡師】

「遅かったな、若いの」
その声は、
山道を黙々と歩むお二人の頭の上から
不意に降ってまいりました
見上げれば件の酒呑毒姫が大樹の枝に腰掛けて、
高きところよりこちらを見下ろしております
「あまりに遅いゆえ、
 こりゃ小便チビって逃げたかと案じておったわpgr」
「・・・」
いかに武技卓越の馬蹄等といえども、
口ではおなごには決して敵いません
渡邊マグロも酒呑毒姫のその嘲弄に対して、
何も答えずただ黙って睨みつけただけでした
「おお、怖や(笑)。
 …さて冗談はさておき、よくぞ来たものなり。
 さすがは馬蹄等。誉めてつかわす。
 ではこれより尋常の勝負をいたすゆえ、我に付いてまいるがよい」
酒呑毒姫はそう言うと、
今まで腰を下ろしていた小枝からひらりと身を飛ばして
別の大樹の小枝に飛び移ります。さらにそこかにひらり。またひらり。
その姿を目で追いつつ渡邊マグロは足早に毒姫の後に従っていきます
(おかしい・・・)
マグロと共に酒呑毒姫を追いつつも、
羊水様は不審の念を抱かれました
(尋常の勝負と言いつつも、
 なぜあのおなごは大樹の上から降りてこぬのか?
 勝負ならいまこの場でも出来る筈。
 これは或いは、自らの都合のよい場に
 我らを招きいれようとしているのではないのか?)
武芸素人とは言うものの、
羊水様は歳の左近様の補佐者として、
各地各所で妖怪退治をされてきたお方ゆえに
妖魔の手口やり口というものを一通り心得ております
このただいまの酒呑み毒姫のいざない方はまさしくその手口ではないのかと、
羊水様はそのようにお感じになられたのでございました
613Classical名無しさん:2013/05/02(木) 23:59:44.22 ID:onvmwmU7
05/02献立(余剰補正)
梅飯野菜漬物魚菜揚物麺類二果実菓子二
鮭缶醍醐菓子鶏肉揚物コールスローサラダ
614Classical名無しさん:2013/05/03(金) 13:22:09.73 ID:mDjcDW6P
【傀儡師 その2】

不審を感じながらもマグロを引き止めるわけにもいかず、
毒姫の導くままにお山の中を流離った羊水様とマグロは
やがて木々もまばらな岩場にたどり着きました
「ここが我が用意した勝負の場じゃ。
 では『尋常』に勝負致すとしよう」
そう言って毒姫は、
ようやく大樹の高き梢の上からふわりと地上に降りてまいりました

何の変哲もない岩場…と申しあげたいところですが、
とてもそうは申せません
岩場のそこかしこに奇妙な人形が並べられております
奇妙なと申しますのは、それらの人形、人形と申しても
決して愛くるしい表情の可愛らしいフリルのついたお洋服を身にまとった、
そういうたぐいのお人形ではありません
人と同じ背丈大きさすなわち等身大の木製の人形で、
服も何も身に着けていない飾り気のない裸身の状態。
にもかかわらず、すべての人形が太刀を手にしております
能面のように表情のない、その人形の群れが
或いは岩の上に腰掛けて、或いは岩の壁にもたれて、
岩場のそこかしこに佇んでおりました
615Classical名無しさん:2013/05/03(金) 21:32:14.22 ID:mDjcDW6P
【傀儡師そのさん】

「よかろう。ではここにて尋常に勝負すると致そう」
「ちょちょちょ…ちょっとお待ちなされ、マグロ殿」

先程来からずっと不審の念を抱きつつも、
どうせこの若い荒馬蹄等には自分が何を言っても
聞く耳はあるまいと半ば諦めていた羊水様ですが、
さすがに事ここに至っては一言申さずにはいられません

「いくらなんでも直情径行にも度が過ぎるのではありませんか?
 この周りに配置されている刀を持った多数のマネキンを見て、
 何もお感じになりませんか?」
「いえ。べつに」
「・・・・」
「特に何も感じませんが」
「いやいやいや…それはないでしょう。
 普通だったら『このマネキンの群れはいったいなんだろう?
 これは何かおかしい。もしかしたら酒呑毒姫が何らかの仕掛けを
 施しているのではあるまいか?』…ぐらいのことは考えませんか?」
「それがしは考えるのは苦手でござる
 この太刀ひと振りさえあれば、
 相手が鬼であろうが蛇であろうが神であろうが悪魔であろうが
 委細かまわず。仕掛けもわなもへったくれもクソもありません
 ただ渾身の一振りにて一刀両断するだけでござる」
「・・・・」
616Classical名無しさん:2013/05/03(金) 21:46:38.73 ID:mDjcDW6P
05/04献立(余剰)
梅飯鮭缶詰鶏肉揚物豚肉腸詰醍醐菓子即席麺二野菜漬物二果実菓子二
617Classical名無しさん:2013/05/03(金) 23:51:59.58 ID:mDjcDW6P
kuu2352
618 [´・ω・`] 168.140.210.220.dy.bbexcite.jp:2013/05/04(土) 14:47:42.56 ID:7ZFTChT5
()
このお二人の様子を眺めていた酒呑毒姫が、
ここで彼方より声を掛け割って入りました

「お話し合いは付いたかな?それとも或いは、
 ここまで来るには来たが怖気が付いたので
 勝負を避け山を降りることにした、とか?」
煽り耐性ゼロの渡邊マグロはこの一言で激します
「喧しい。さような卑怯未練な振る舞い、
 この渡邊のマグロが致すわけもなかろう!
 …羊水殿。下がっていなされ」

有無を言わせぬその口調にしぶしぶ下がる羊水様。
しかし羊水様の目には戦う前から既にマグロ不利としか思えません
無論、羊水様は武技に関しては℃素人です
しかし事は両者の武技云々の比較ではなく、
戦術いやさらに高位の戦略レベルにおいて
戦う前からすでに毒姫は優位を築いている…

羊水様にはそう思えてならなかったのです

そのとき、羊水様の心の内に、
久方ぶりにあの御方の声が響いてまいりました
(羊水…羊水…私の声が聞こえるか…)
619Classical名無しさん:2013/05/04(土) 17:20:19.29 ID:LJbpXXnb
05/04献立(暫定)
梅飯野菜漬物二鶏肉揚物豚肉腸詰醍醐菓子珈琲第三帝國迄
鮭缶詰海苔味噌中華塩麺豚骨麺天婦羅蕎麦果実菓子二予備
620Classical名無しさん:2013/05/05(日) 15:12:47.93 ID:bSShtbYr
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                羊水、お久。また取り憑いていいかな?>>618
621Classical名無しさん:2013/05/05(日) 15:14:00.18 ID:bSShtbYr
どうぞどうぞ。よろしくお願いいたしますぅ。。。
622Classical名無しさん:2013/05/05(日) 15:45:40.37 ID:bSShtbYr
【乗り移り】

羊水様を後ろに下がらせた渡邊のマグロは、
改めて酒呑毒姫と相対し静かに太刀の鞘を払います
対する酒呑毒姫のほうも昨夜マグロの頬に刀傷を負わせたあの懐刀を
既に抜き身で構えております
マグロが太刀先を中段に構え攻撃の態勢に移ろうとしたそのとき。
両者の傍らにたたずんでいた命無きはずの木偶人形の一体が、
不意に立ち上がると手にした太刀を振りかざして
マグロ目掛けて切りつけてまいりました。
すんでの処でその太刀先を交わすマグロ。
すると次の瞬間には反対側にいたもう一体の木偶が
おなじく立ち上がるやマグロ目掛けて上段の一振り。
これを交わしきれず、かろうじて太刀で受ける渡邊のマグロ。
そこにさらに、もう一体の木偶が大上段に振りかざして、
マグロ目掛けて太刀を振り下ろして参りました

最初の一体の木偶が襲い掛かってきてから、ここまでで約三秒。
第二木偶の攻撃を受け太刀しているマグロは、
三番手のこの攻撃を交わせません
マグロの脳天が、
西瓜のように真っ二つに切り裂かれるかと思われたその刹那。
後方から目にも留まらぬ速さで真剣が走り来たり、
マグロの額間際まで迫っていたその木偶人形の太刀を
豪快に跳ね飛ばしました
「!」

誰やあらんと思った鮪が顔を上げると、
そこには虎御前の抜き身を手にした羊水様のお姿が。
「羊水…殿?…貴殿は…」
623Classical名無しさん:2013/05/05(日) 19:28:34.33 ID:bSShtbYr
()

そのマグロの問いに答えることもなく
素早く第三木偶の脚を切り飛ばし、第二の木偶を足蹴りにして、
そこで初めて羊水様…ではなく、
羊水様の御身に憑依しておられる御宗家様は
マグロにお声を掛けられます

「マグロ。そなたは酒呑毒姫を切れ」
「貴殿は…羊水殿…ではない?」
「我が名は源の鞠子。今は羊水の身を借りておる」
「!」

常人であれば狂気の沙汰と一笑に付したかもしれません
しかしマグロもいまだ未熟とはいえ、武官を目指すもの。
羊水様のその燃えるような瞳を見て
これはそれまでの羊水様であって羊水様に非ず、
馬蹄等の御宗家源朝臣鞠子様が羊水様の御身に
乗り移っておられるのだとただちに悟りました
「畏まる!」
御宗家様のお指図に吼えるような声で応じた渡邊マグロは
体勢を立て直すや酒呑毒姫目指して踏み込んでいきました
624Classical名無しさん
05/06献立(暫定)
梅飯野菜漬物醍醐菓子二海苔味噌汁、予定
鮭缶詰里芋塩麺豚骨麺二果実菓子三、予備