「……」
桂は黙って銀時を見つめていた。言葉の意味をとらえかねているのか、言葉について考えていてくれるのか、視線だけを感じながらも銀時には当然判断できなかった。
そうして、どれだけ時間が経ったかわからない。
ただ、月は天頂部分までにも移動していなかったから、実際はさほどたっていなかったのかも知れない。
不意に、桂が立ち上がった。
思わずそちらを見上げると、彼は日本酒に蓋をして彼に言った。
「そろそろ冷え込んできた。中に入らぬか」
その顔は、柔らかい彩りを得た、やさしい笑みだった。
さほど酔っていたとも思わない。
どちらが先だったのかもわからない。
どちらからともなく寄り添い合った。
それだけだった。
いや、それだけではなかった。
お互いに言いたいことを少しだけ言い、聞きたいことを少しだけ聞いてみた。