捜査状況とか話していいんですかこの男は。
そして土方は銀時が何となく一瞥くれただけでも、すでに出来上がってきてるように見えた。
銀時の隣で常に目が据わっている男は酔いに任せているのか再び口を開く。
「あー……違う意味でやべぇもんはいろいろあったぜ? けどあんなもんは幕府に戦しかける時にゃ何の役にもたたねぇからな……だれか趣味のいいやつがいたんだろうな」
「違う意味でって、なに? 変な薬でも見っけたの?」
思わず彼は問いかける。
桂がやられたという薬についてなら、多少知っておきたいととっさに思ってしまうあたりが何となくむなしかったが、土方は首を横に振った。
「いや。道具だ。拘束用の、拷問用の……あとはあれだ、なんつったかな」
いやなことを思い出しかける。桂にはめられていた手枷に、足枷。そして、それだけでは済むまい。
土方の言葉も、それだけでは済まなかった。
「ああ、そうだ沖田の野郎が、地下でつぶされてた道具類を見分けたんだが……たしか拘束具と一緒に淫具も、山のように」
「……」
聞くんじゃなかったぜコノヤロー……。
思わずうめきそうになったが、彼を責めても仕方がないので銀時はため息をひとつはくだけにとどめた。
……使われたんだろうな。
想像もしたくないことだが、もう知ってしまった以上気になってどうしようもなかった。
「なぁ……」
気づけば顔の赤い土方が酒臭い息を吐きながら銀時の方を見つめている。若干身体を乗り出しているので、思わず引いていた。
そんなことにはいっさい構わず、その酔っ払いは銀時をじっと見つめてくる。
「テメーほんとに一人で拘束されちまってたのか?」
「……なんでそんなこと聞くのよ多串くん」
「……一人でのこのこ行ってあっさり捕まるような野郎かよ、テメーは。他に誰かいたんじゃねーのか?」
「いや、俺一人だって。ホント。すっげー強い人斬りとやりあって、足場が悪くてとっ捕まっちまったって言ったろ?」
実際捕まったのは思いっきり油断したからであって、しかも再戦の折に大勝したわけだが。
「まぁチャイナもメガネも行ってねぇようだったしな……一人で行ったんだろうとは思うけどよ……」
まだ納得がいかないらしく、疑惑に満ちた表情で土方がぼそぼそと呟いた。