23 :
19:
んじゃちょっと書いてみた。
初めて書くんで読みにくいかもしれない。
しかも長くなってしまった上にオチもないし、読んでる人はそんなに怖くもないと思う。
ただ目の当たりにした俺とっては怖かったというかゾッとした実話で、去年経験した事なんだ。
24 :
19(1/5):2011/05/17(火) 01:21:26.73 ID:qcp+RFwB
去年、街を歩いていたら中学時代の同級生のA子とばったり出会ったんだ。
その時の話になるわけなんだが…
まずA子の存在を知るエピソードが中1くらいの時だったかな…今から17年くらい前の話になる。
その頃、女生徒の間で『キューピッド様』が流行ってたんだ。
10円玉を使って「はい」とか「いいえ」とか書いた紙を使うから結局こっくりさんと同じなんだが
『邪気?を除いて名前を変えたもの』がキューピッド様らしい。
(ちなみにこっくりさんは学校で禁止されていた)
女生徒が言うには「こっくりさんとは違ってキューピッド様は恋愛事に強い」らしい。
多感な時期なだけに恋愛についても悩みも多いのだろう
放課後になるとほぼ毎日数人の女生徒が校舎内に残って、熱心にキューピッド様で遊んでいたんだが
ある日、お約束とも言える出来事が起こった。
25 :
19(2/5):2011/05/17(火) 01:25:07.15 ID:qcp+RFwB
俺が部活でグラウンドを走ってた時、
1人の女生徒(A子)が鬼のような形相で、何かを喚き散らしながら校舎からグラウンドへ飛び出してきた。
それと同時に、手の空いている者はA子を制止するよう校内放送が流れてきた。
多分一緒にキューピッド様をやってた連中が職員室へ行って助けを求めたんだろう。
勿論俺達もA子を止めた方がいいんだろうけど、
目をひん剥いて大口を開け絶叫しながら走り続けるA子の姿はどう見ても狂人に見え、
制止どころかこっちまでビビってしまって呆然と見つめるだけになってしまった。
結局グラウンドにいた各部の顧問数人が止めに入ったんだが、
A子のパワーは凄まじく、屈強な男3人の教師を一気に跳ね除けた。
さすがにグラウンドにいた者は全員吃驚したんだが、
教師達も我にかえったのか、1人がタックルをかましてA子を転倒させ、残る二人で押さえつけたんだ。
それでもA子は手足をバタつかせ絶叫しながらもがき続け、手に余る状態だった。
うつ伏せで押さえ込まれていた彼女だが、今度は地面に向かって額を打ち付けはじめたんで、
教師達は何人かの生徒にタオルを持ってこさせて、A子の視界を覆い手足を縛り上げた。
数分後に大人しくなったので、その隙に小脇に抱えられてそのまま保健室へと運ばれて行ったようだった。
翌日には全校集会でキューピッド様も禁止になってしまったわけなんだが…
そのA子と去年偶然街で出会ったんだ。
26 :
19(3/5):2011/05/17(火) 01:27:03.62 ID:qcp+RFwB
A子は小学2年生になる娘を連れており、離婚後実家に戻っているらしい。
お互い久しぶりに同級生に出会ったせいかテンションも上がってしまい
ついでに腹も空いていたので3人で一緒にファミレスに入ったんだ。
当時は特に親しかった訳でもないが、お互い話は尽きなかった。
飯を食いながら近況報告や思い出話に花を咲かせ、食事もあとはデザートだけというその時、
娘の様子が急に変になった。
今までニコニコしながら時折微笑ましい会話をしていたのに、急に俯いてカタカタと小刻みに震えだした。
娘の異変に気づき声を掛けたが反応がない。
俺も最初はデザートのフルーツが喉に詰まったのかと思った。
A子も心配そうに娘の背中を擦りながら声を掛けていた。
その間30秒ほどだろうか、暫くすると娘の震えも治まってきたんでA子も俺も胸を撫でおろした。
「一応医者に連れてった方がいいんじゃないか?」
俺が声を掛けたその時、俯いていた娘が急に顔を上げ俺を見据えた。
今までのような無邪気な様子とはかけ離れ目を見開き、ニヤリと笑みを浮かべ一言
「久しぶりだな…」と。
その声は腹の底から搾り出すような低い男の声だった。
27 :
19(4/5):2011/05/17(火) 01:37:23.53 ID:qcp+RFwB
瞬時に硬直する俺、A子も当然凍り付いている。
一瞬間をおいて今度は天井を向いて甲高い声で「ケケケケケ」と笑い出した。
ファミレス内に響き渡るような大きな笑い声とその形相に、俺はキューピッド様の事を思い出した。
A子も恐怖のピークに達したのか、そのまま気を失ってズルズルと座席に崩れる始末。
俺もどうしていいのか分からず、取りあえずその娘を抱かえながら店員さんに救急車を呼んでもらった。
店内にいた客は人数こそ少ないものの、視線がこっちに集中しているのが分かる。
しかし、ぐったりしているA子に大丈夫かと声を掛けつつ、
笑い声こそ収まったもののニタニタ笑い続ける娘を励まし(何やってんのか自分でも分かってない)ている俺に余裕はなかった。
恥ずかしいとかこっち見んなとかそんな事より救急車の到着が待ち遠しかった。
暫くして救急車が来てそのまま乗り込み、病院到着後に無断ながらA子の携帯電話を使って家の人に来てもらった。
挨拶もそこそこにA子の家人に事情を説明しようとしたんだが、
「心配要らないからもう帰ってくれ」と告げられた。
苦々しく渋い顔で、話はいいから帰ってくれの一点張りだったので、
俺も戸惑いつつ簡単な別れの挨拶を済ませ病院を後にした。
それからはA子に連絡を取ってないし街で会う事もない。
向こうから電話が掛かってくる事もない。
心配っちゃ心配だが、それよりあの異常な状況が怖すぎて連絡取るのが怖い。
28 :
19(5/5):2011/05/17(火) 01:45:28.41 ID:qcp+RFwB
キューピッド様の件は、現実的に言えば一種の暗示みたいなものに掛かって
一時的に錯乱したのかなと思うんだが、娘の方はどうなんだろうか。
精神病的なもので遺伝したと考えるのが妥当なところなのかもしれないが、
あんな超低音ボイスの男の声が小学2年生の女の子に出せるものなんだろうか?
(地声は実に子供らしい可愛い声だった)
しかも「久しぶりだな」ってどういう意味を含んでいるんだろうか。
自分でもチキンだと思うが、あの時の纏わりつくような圧倒的な何かに遭遇するのが怖くて、
確かめたい気もするがなんとなく近寄らない方が良いようにも思えて実行できてない。
未だに娘から発せられたあの時の男の声が忘れられない。
(終わり)
オッサンのクセに長文+文盲ですまん。
でも今でも怖いんだよね…(´・ω・`)
ちなみに声は大塚明夫氏を更に低くしたような声だったよ。