Au・DION軍 ★ サイド174(?)

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624Classical名無しさん
第2話

「やっべぇな」
 と、俺は独り言を言った。銀行のATMの使用明細を見つめながら、俺は一人、
自室で陰々滅々としたため息を吐いた。
 仕事を辞め、失業保険も切れた今では、かつての自分が蓄えた貯金とやらをすり減らしながら生活していた。
まだ預金はある。しかしついに今日、貯金が百万円を切ったのだった。使用明細に印字された数字が、
七桁から六桁へと変わっているのを見つめていると、途端に寒々しい気分になってくる。
俺の心の中に、リミット、という単語が浮かんでくるのだ。
 この生活で生きられるとしたら、せいぜいあと半年だろう。それが、リミットだ。
もしも貯金が十万を切ったら、その金で楽に死ねる自殺グッズでも買って死のう。
と、貯金が二百万以上あったころ、軽い気持ちでそう決めた。
そのリミットが、とうとう近づきつつあるのだった。
 リミットを回避するためには、働かなければならない。しかし、どうもそうする気になれなかった。
再就職するためのリハビリでもするように、何度かバイトを始めるのだが、長続きせず、
そのたびに絶望感を味わうのだ。
 雨に濡れた靴から、汚水がじわじわと靴下に染み込んでくるように、不安が俺の体に浸透してくる。
俺はちゃんと、死ねるだろうか。それとも死ねなくて、ホームレスとかネットカフェ難民になるのだろうか。
どちらにしても、バッドエンドには変わりない。ここらでフラグを立てて置かないと、回避不能になってしまう。
 ひたひたと忍び寄る不安の影におびえながら、俺は、画期的な解決策を思いついた。

 そうだ。オナニーしよう。