毎日新聞/変態記事】規制難民スレその2

このエントリーをはてなブックマークに追加
39押し紙利益は年300億円?
Will 2006年11月号 p.134-137
ttp://iroiro.zapto.org/cmn/jb2/data2/jb0079.jpg
ttp://iroiro.zapto.org/cmn/jb2/data2/jb0080.jpg

誰もがニュースの発信者!市民記者が取材した身近なニュース
渡邉正裕の My News Japan
販売店を赤字に追い込む毎日新聞の押し紙の恐怖 (黒薮哲哉)

 新聞は以前ほど読まれなくなっているが、なぜか公表される新聞の発行部数は、
一向に減らない。その理由は、新聞社が販売店に買い取りを強制し、配達されな
いまま古紙業者に回収されていく「押し紙」が増えているからだ。
 被害者の一人、毎日新聞販売店主が今年六月、大阪簡易裁判所に調停を申し立
て、内部告発に踏み切った。大阪府箕面市で毎日新聞・販売店を経営している杉
生守弘さん。業界歴四十八年、新聞販売業界の内部を知り尽くした人である。

赤字で自宅売却

 端的に言えば「押し紙」とは、新聞社が販売店に一方的に送り付け(押し付け)、し
かも卸代金を徴収する新聞のことだ。公正取引委員会は「新聞業における特定の不公
正な取引方法」のなかで、明確に禁じている。
 杉生さんが「押し紙」の実態について語る。
「わたしは毎日新聞社に対して、新聞の送り部数を減らすよう何度も申し入れてきまし
た。しかし、弁護士さんに交渉してもらうまで、申し入れを聞き入れてもらえませんでした」
「押し紙」で生じた赤字を埋め合わせるために、杉生さんは一九八九年に自宅を売却。
奥さんに先立たれる不幸も経験したが、それでも息子さんやアルバイトの従業員たちと
一緒に、細々と自分の店を守り続けてきた。
40VIPは吸い込まれるのでこちらに貼ります:09/02/08 16:05 ID:1vqqwRrA
 杉生さんが被った「押し紙」の損害は、ここ五年間だけでも約六千三百万円にのぼり、
二〇〇六年六月三十日、弁護士と相談した杉生さんは、毎日新聞社に対して損害賠償を
求め、大阪簡易裁判所に調停を申し立てた。現在、調停を重ねているところだ。
 毎日新聞社が杉生さんに対して送り付けてきた部数(送付部数)、杉生さんが要請し
た部数(要請部数)、さらに杉生さんが実際に購読者に配達した部数(購買部数)を、
二〇〇〇年度にさかのぽり、各年の一月度の時点で紹介してみよう(図1参照)。
 二〇〇五年一月でいえば、千五百十から九百を引いた六百十部が、押し紙である。そ
の前の五年ほどは、毎月七百部ほどを強制的に買い取らされていたことになる。
 毎日新聞の販売店を開業したのは、三十年前の一九七六年。当時、配達部数は八百三
十二部だった。が、杉生さんは拡販に力を注ぎ、三年後には配達部数を約千九百部にま
で増やした。拡販のためにやむなく大量の景品を使った。これが裏目に出た。
「新聞乱売が社会的な非難を浴びたために、毎日新聞社は景品類を使用しないように販
売店に指示を出したのです。ところが景品を提供しなくては、新聞を購読してくれない
人が多かった。しかも、そこにライバル紙がセールスーチーム(新聞拡張団)を送り込
んできて、高価な景品を使った拡販を始めたので、太刀打ちできませんでした」(杉生さん)

毎日新聞社へ書面を送付

 一度は倍増した部数が、一年半でほぽ元に戻った。しかし、毎日新聞社は部数減に応
じて、販売店への送り部数を減らそうとはしなかった。そこで杉生さんは一九九〇年ご
ろから、再三、送り部数を減らすよう、毎日新聞社に申し入れたが、聞き入れられなかった。
 二〇〇三年四月には、書面で部数減を申し入れた。その時に杉生さんが送った手紙の
一部を引用してみよう。
41押し紙利益は年300億円?その3:09/02/08 16:06 ID:1vqqwRrA
「(略)店にはそれなりに大きな歴史があります。今では子供達も成長し、巣立って行
き、残る長男と女房、私が中心になってやって来ましたが、昨年、女房が病気で他界
し、今では長男夫婦と私が中心になって頑張っておりますが、現在の社会情勢から活字
離れが多く、これにくわえ数年前から販売競争が激化し、現状維持するのがやっとです。
 これ迄、数次にわたり送り数の改定を申し入れているのですが、前向きな回答がござ
いません。本日、書簡にて失礼とは存じますが下記の通り、送り部数を改定下さい。
 現状送り部数(四月末)千八百二十部。改定部数千部。」
 書面によると、杉生さんが要請した改定部数は千部であるが、実際に配達していたの
は八百二十部である。差異の百八十部は、予備紙というよりも、任意に負担を引き受け
た部数である。
 杉生さんは郵便書留で書面を毎日新聞社へ送った。しかし毎日新聞社は、「押し紙」
を二百部減らしただけで、依然として多量の「押し紙」を送り続けたのである。

逆に押し紙を増やされた

 二〇〇四年の十二月二十五日にも、杉生さんは同じような趣旨の手紙を書留で毎日新
聞社に送った。千四百六十部の送り部数を九百部にして欲しい、という内容だ。
 すると毎日新聞社は逆上したのか、送り部数を減らすどころか、翌月、逆に「押し紙」
を五十部増やしてきたのである。たまりかねた杉生さんは、弁護士に相談した。弁
護士を通じて、正常な取引の実施を申し入れ、ようやく自分の店から「押し紙」を一掃したのである。
 ところが毎日新聞社は、杉生さんの店に対して「押し紙」を中止すると同時に、
補助金の支給も中止した。「押し紙」がなくなったのだから、補助金も必要ないと
いう理屈のようだ。この処置は裏を返せば、補助金で「押し紙」を買い取らせてい
たことの証明と言える。
 補助金を使ってでも新聞社が新聞の部数を水増しするのは、単に「押し紙」か
ら収益を得ることが目的だけではなくて、ABC部数を引き上げることで、紙面
広告の営業を有利に展開できるようになるからだ。驚くべきことに、新聞社
は昔から一貫して「押し紙」などどこにも存在しないという見解を取ってきた。
42押し紙利益は年300億円?その3:09/02/08 16:06 ID:1vqqwRrA
「押し紙」についての新聞経営者たちの言い分は、販売店が希望して実際に配達してい
るよりも多い部数の新聞を仕入れているというものだ。なぜ、新聞の水増しを希望する
のか? 折込チラシの卸枚数が、新聞の送り部数に準じて決まり、しかも「押し紙」に
よる損失額よりも、折込チラシの水増しで得る収益の方が大きいからなのだ。それゆえ
に、販売店に余っている新聞は押し売りしたものではないという論理である。
 しかし、この論法は事実に反している。折込チラシの枚数が膨大にならない限り、
「押し紙」の赤字を相殺したり、利益を生むことができないからだ。折込チラシの手数
料が平均で一枚二・五円、「押し紙」 一部の卸値が六十円とすれば、二十四枚のチラ
シを折り込まなければ、「押し紙」の損害を相殺できない。とすれば、「押し紙」が多
い販売店の経理は赤字になって、最悪の場合は倒産する。
 新聞社としても避けなければならない事態のはずだ。
 そこで実施するのが販売店に対する補助金の投入である。杉生さんの店でも、押し
紙を買い取らせることで発生する損失を穴埋めする形で、最大六十万円弱の「補助奨励
金」が投入されていた。ただ、下記のように、損失のほうが圧倒的に巨額であった。(図2参照)
 搬入されていた新聞の総部数に対する卸代金が「請求金」、実際に杉生さんが要請
していた部数に対する卸代金が「相当金額」。補助奨励金を差し引いた金額が「損失」だ。
杉生さんは、こうして積みあがった損失額の合計、六千二百八十万二千九百十三円の返
還を申し立てたのである。

補助金で「生かさす、殺さす」

 新聞社は補助金を投入することで、販売店の経理の帳じりを合わせようとする。ある
いは補助金の額を調整して、倒産しないぎりぎりの範囲で販売店の経理を赤字にする。
補助金の支給額は、販売局の裁量で決まるためだ。「押し紙」を強制したうえで、補助
金をカットすれば、販売店はたちまち赤字経営に陥いる。これこそが、販売店が「押し
紙」を告発できないゆえんである。
 新聞社は「押し紙」の存在を否定してきた。そのためのアリバイ工作は、巧みで落ち
度がない。たとえば、毎日新聞社のばあい、請求書にわざわざ次のような注意書きを記
している。
43押し紙利益は年300億円?その5:09/02/08 16:06 ID:1vqqwRrA
「新聞部数を注文する際は、購読部数に予備紙等を加えたものを超えて、注文しないで
ください。当社は、注文部数を超えて新聞を提供いたしません。また、請求部数に疑義
のある場合は、書面をもって翌月定数日までに当社に申し出てください」
 筆者が調査した他の新聞社の請求書にも、瓜二つの注意書きが記されている。
 さらに「押し紙」の証拠を残さないために、新聞社は新聞の発注伝票を、商取引のツ
ールとして採用していない。昔からの商慣行になっているのだ。普通の商店では考えら
れない事態だ。そのため電話で注文部数を伝えても、「聞いた」「聞かなかった」の押
し問答になり、結局は証拠不十分になる。
 ところが杉生さんは、決定的な「押し紙」の証拠を残していたのだ。口頭だけではな
くて、書面で必要な部数を毎日新聞社へ伝えていたのである。それを無視して毎日新聞
社は余分な新聞を送り続けたのだから、弁解の余地はない。どの角度から見ても、杉生さ
んに対する新聞の押し売りは明らかだ。
 独禁法の第二条九項は、「販売業者が注文した部数を超えて新聞を供給すること」
を禁止している。
 大阪簡易裁判所での調停を通じて、杉生さんの販売店に余っていた新聞が「押し紙」
であることが公式に認定されればMy News Japanが一年半前に報じた毎日新聞
社の「水増し百四十万部」も、紛れもなく「押し紙」であると考えて間違いないだろう。
 全国レベルで、過去にさかのぼって「押し紙」に対する賠償の問題が浮上すれば、毎日
新聞社はどう対処するのだろうか。販売局に問い合わせた。同社の回答は「コメントは差し控える。
調停の中で明らかにしたい」とのことだった。
44押し紙利益は年300億円?LAST:09/02/08 16:07 ID:1vqqwRrA
年三百億円をむしりとる

 新聞の卸価格は、定価の五〇%程度で、決して高額とは言えない。しかし、一日に五
百部も六百部も「押し紙」を買い取らされ続ければ、杉生さんのケースのように、販売
店は数年で大きな赤字になる。
「押し紙」により、新聞社がいかに膨大な利益を上げるのか、シミュレーションしてみ
よう。押し紙の数字は、同社の内部資料より明らかになった「百四十万部」を採用する。

《シミュレーションの条件》
■ 「押し紙」部数…百四十万部
■ 新聞一部の卸価格:六十円
 百四十万部の「押し紙」で、卸価格が六十円だから、一日の「押し紙」収入は次のよう
な計算で求めることができる。
 百四十万部×六十円=八千四百万円
 一日につき、「押し紙」から八千四百万円の収入があがる。ひと月では、二十五億円
を超える。一年で約三百億円。もちろんこの数字は新聞の商取引を単純化したシミュレー
ションの結果だが、「押し紙」を媒体として莫大な金を動かし、利益を上げるカラクリに
関して、大きな誤りはないだろう。
 しかも、その百四十万部を水増しすることで、公称部数が上がり、企業などから高い
広告費をとりやすくなる。自治体の広報紙なども、公称部数(ABC部数)をもとに算
定されるため、税金も無駄に使われていることになる。
 この構造は、業界全体で共通だ。内部資料によれば、毎日新聞社では、九七年から二
〇〇二年までの五年間で、公称部数(=送り数)は一万三千八百三十九部増えたが、購
買部数(=発証数)は二十六万三千三百六十三部減った。要するに「押し紙」が増えた
ということだ。
 日本新聞協会の調査では、新聞の総発行部数は、一九九五年が四千六百五十一万千八
百七十二部、二〇〇五年が四千七百十八万九千八百三十二部と、なんと十年前よりも増
えている。同様に、全国で押し紙が増えていると考えられるのだ。