*************
――違う、違う、違う。
天王寺は繰り返し口の中で呟き続ける。
すでに彼の頭の中では、三原梢は美緒と同化していた。あの海岸に打ち捨てられているのは妹で、自分が折った細い頚椎は妹のものになった。
――違う、お前の兄貴はそんな男じゃない、信じてくれ、兄貴が妹を殺すなんて事あってたまるものか…!
美緒の泣く声が、天王寺の脳に直接痛みを与えるように揺さぶり続ける。
妹の泣く声は苦手だった。一刻も早く何かをしなければならない衝動に駆られる。
こんな時――妹が泣き、兄がうろたえる構図の時――はいつだって、天王寺はひたすら下手な言葉や約束を連ねるしかなかった。
それは今も変わらない。
天王寺昇という男が、妹が信じる通りの男だとする証明が今、なんとしても必要だった。
「――そ、そうだ、美緒!こんな糞みたいなゲームに喜々として乗っかっている奴がいるはずだ!そいつを俺が全部片付けてやる!」
そうだ。こんなゲームで人を殺すような奴はショーンと同等の下衆に決まっている。
その連中を殺すことはショーンを殺すことと同じだと言える。
下衆の人数が多ければ多いほど、サミュエルの仇を何回だってとることが出来るのだ。
それをやり遂げれば、自分は妹に胸を張れる人間に戻れるだろう。
天王寺は銃痕の開いたリュックサックを開く。目に飛び込んでくるのは大口径の自動式拳銃(オートマチック)。
巨体にふさわしい大型のそれを手にして、彼はあたりを見回す。まるで誰かに見せるかのように。
「なあ、美緒…だからあの女を殺ったのだってチャラになるはずだ…!」
*************
この時、天王寺の精神は暗い深淵を渡りきったところにあった。
ひとりの殺人を贖う為の、更なる殺人。
それはどう釈明しようと、彼が憎んだこの『ゲーム』に乗るということにも、すでに天王寺は気づかない。
それが彼のもっとも憎むべき、ショーンの思う壷だということにも。
*************
――もう、妹の声は聞こえない。
当たり前だ。もうすぐ日が暮れる時刻になる。
妹の住む街も、この島も。
たぶん、安心して家に帰ったのだろう。
天王寺昇もようやく訪れた静けさの中で、自分のやるべき目的を得たことにこの上ない安堵を覚えていた。
【午後4時〜5時】
【天王寺 昇】
〔現在位置〕H-03
〔状態〕銃創×3(太腿・肩・米神、いずれも軽症。全速力で走るのは困難)、急所にまだ痛み、幻聴症状あり
〔道具〕支給品一式(銃弾による損傷で水・食糧の損傷はまだ不明)、50AEデザートイーグル(残弾7+1)(動作に支障がないかは不明)
〔行動方針〕ゲームに乗る人間を殺す
※三原の支給品および銃はI-04に放置してあります
…タイトルは【羅刹】でお願いします。
いろいろあると思うのでご指摘頂きたいです。
>>893 いつも素早い更新乙です、期待してます。
>>901 乙でした。 天王寺……つД`)
特に問題はないかと。
乙でした
ゾクゾクする心理描写が上手ですね。
問題はないと思いますので後日収録させて頂きます
俺。メインキャラが死んだら死者図鑑書くんだ………。
ここまでの話を収録しました。地図も対応させました。
死者名鑑はもし書かれたら収録させてもらいますね
906 :
Classical名無しさん:08/09/18 22:48 ID:tjL4f2Qs
つーか、人いねぇな今回……
書き手が5人くらいのようだけど自己リレーやらないとつらいんじゃないかという気になる
っていうか、やった方がいいと思う。
自己リレー禁止というのが人が多くいるロワの場合の話だ。
書き手が5人しかいないロワじゃ、途中行き詰ってしまうのは目に見えてるよ。
勿論自己リレーをしたい人は他の書き手に「自己リレーをします」という予約をして
OKを貰ってからの話だがな。
待て。5人以上要るだろ、たぶん
前回は即死だったが天王寺はやる時はやる男さ
容量ってまだ大丈夫?
>>911 ◆HQrLOwPbgA=8作(1作)
◆rJXTlJ7j/U=8作(まとめ)
◆cj4OQi4css=7作
◆q8.UJLtEPY=4作(1作)
◆HXrOGANlU6=1作
◆mWKUMdK/Cw=1作
◆X7WwwzkoUU=1作
7人しかいないけど、大丈夫かね。
>>881 乙です
なかなか珍しい組み合わせで面白い
ただ位置的に安全すぎるなあ
闘いになった時手錠がどう影響するかが楽しみだ
>>901 乙です
やっぱりこういうマーダーは話を盛り上げるために必須
ハゲ天さんには前回の屈辱を晴らして貰いたい
それと地図の1マスって距離的はどれぐらいですかね?
そろそろ次スレですね。だいたい1マスは1〜2キロ?そのあたりは曖昧だったような
その前に話を投下します
「ねえ待って!ここって……本当に行くの?」
見覚えのある場面に姉ヶ崎は悲鳴に近い声をあげた。地面の色や木の並び、それらが形作る風景。
そして何より前方に見える崩れたような布の塊。先程自分が落とした荷物だとすぐに分かる。
ならばあの死体も――そして『彼』もまだ近くにいるかもしれないと体の心から凍りつく。
(死にたくないよ)
それだけを考えながら、ふらふらになった体に鞭打って奈良の後を必死で追う。
削りゆく精神と肉体疲労とのせめぎ合いで彼女は心身ともに限界にあった。
(でももう疲れちゃったかな……死んだらそれで楽になるのかな)
曇り空というわけではないのに姉ヶ崎の見ている世界は灰色だった。
ぼたぼたと掻いたことのない大きな汗が額や細い顎を伝って大きな滴となる。
ふいに前を歩く奈良の足が落し物の前で止まった。
「誰かの荷物かな?あっ銃だ!……テープ?」
「……それは私の。ニセモノの銃で使えないわ」
鎌を手放してまで喜んでみせる奈良に対して姉ヶ崎はうんざりしたように答える。
唯一の救いは全ての荷物が無事なので『彼』は意外とこの近くには来ていない可能性が高いことくらいだった。
「……せめてお水貰っていい?」
「そっか残念。はいじゃあ……あれ?先生これなんですか?」
ごそごそと荷物を漁る奈良は不思議そうな声をあげた。やがて取り出したそれを見て、
姉ヶ崎は自分がリュックの中身全てを確認した覚えがないことを思い出した。偽者の銃に目を奪われていたためだ。
「携帯電話!やったわこれで助けを呼べば……!」
突如元気を取り戻した姉ヶ崎は、奈良から携帯電話を強引に奪い電源を入れて110番をコールする。
一方の奈良はその変化に驚き固まってしまう。やむなく備え付けの紙きれに目を通す。
彼は姉ヶ崎とは違って、まさかこんな手段で助かってしまうのか?という疑問のほうが先だった。
るるるる るるるるる とぅうるるるるるるる
「早く出てよ……何やってるの」
機械的な音声に爪先を噛みながら苛立つ姉ヶ崎。一秒一秒がテレビの中のクイズ番組よりよほど長く感じられる。
ちらちらと横目で見ながら読み進める奈良。
「!先生これって」
『はいもしもし。困りますね、ちゃんと登録してある番号でかけてください姉ヶ崎先生』
奈良が状況を理解することと谷速人の懐かしい声が姉ヶ崎に届くのはほぼ同時だった。
■ ■ ■ ■ ■
ピピピ……
「え?何この音」
聞きなれない、だが日常の名残を持った音を感知する。
結城つむぎが氷川村までもう一息という場所で休息をとっている時だった。
元々走るのも長く歩くのも得意ではないし、歩行祭では友人達がいたからいいものの今はそうもいかない。
怪我でもしたらたまったものではないと、彼女は決して無理をしないように足を休めながら氷川村に向かっていた。
(まるでメールの着信みたいな)
最初の心当たりである携帯電話を取り出す。するとそこには案の定、手紙のようなアイコンが点滅していた。
携帯電話というものはえてして使い方が似通っている。見たことのない機種であっても操作に問題はない。
さほど迷いなく操作を進め、やはり一件メールが来ているようなので急ぎ内容を読む。
『双方の電源がONになったので携帯電話同士でのメールが可能になりました。このメールに返信すると相手にメールできます』
しばしその一文を眺め続ける結城。これはあの悪趣味な連中に繋がるらしい電話だが、
まさか今まであちらの準備が整っていなかったとは思えない。となると……この携帯電話と同じものを持った誰かが他にいるのだ。
少し考えて自己紹介だけをすることにした。それ以上は返答次第。
『こんにちは。こちらは結城つむぎです。あなたは誰ですか?』
一瞬自分の名前を出していいものか迷うが、そこまで疑っては話が進まない。
こちらの居場所さえ知らせなければ安全だろうとそのままメールを送信することにした。
(花井君や嵯峨野達に繋がってくれると嬉しいんだけど)
なんとなく眼鏡のカメラ男には届いて欲しくないと思いながら立ち上がり携帯電話をジャージの間にはさむ。
目の前にある朽ち果てた木の看板には文字が刻まれていた。
(『氷川村診療所まもなく→』ずいぶん古そうだけど日本語だしここは一応日本なのかしら)
軽自動車がギリギリ通れるくらいの幅の道。足元は長年人によって踏み固められたそれになっている。
やがて誰かと出会うだろうと、彼女は診療所めざして慎重に進んでいった。
■ ■ ■ ■ ■
『……というわけです姉ヶ崎先生。この電話で助けを呼ぶことはできません、おとなしく従ってください』
「そんな!無理です、私はただの保険医。暴力団とは違うんですよ、何で私が!」
電話に出てからずっと口論を続ける二人。奈良は完全に置いていかれていることに退屈し鎌で地面をこつこつ叩く。
気分を紛らわせるためにこれからのことを考え、少し離れたところにいる姉ヶ崎の体をニヤニヤと眺めていた。
谷の声は聞こえないが何を言っても無駄なのだと既に諦めていたのでどうでもいい。
助かることが無理ならやはり欲望のままに生きるのがいいだろう。近くにあるはずの寺に早く行って彼女とお楽しみといきたい。
『ですので……というのは……』
「え……」
教師達がいがみあう姿はなかなか見れるものではないが、後の楽しみに比べたらたいしたことはない。
もはや耳に入れる気もなくなって、姉ヶ崎が早く諦めること・誰も邪魔しに来ないことの二点を期待して待ち続ける。
空はどこまでも広くて歩行祭の山の中で見たそれと変わらないとなんとなく思った。
「……わかりました」
『はい、ではすぐに……』
電子的な小さい音がした。それが通話を切った音だとすぐに気付いてそちらを見る。
携帯電話を握って悩ましげな表情をしている彼女が目に入って飛び出したくなる気持ちになった。
支援
「やっと終わったんですか?じゃあ先生行きましょう。早く早くっ」
「……」
「先生?姉ヶ崎先生?」
ぶらぶらと鎌をちらつかせながら急かそうとしても彼女はこちらを見ようともしない。
その瞳は学校での大きくぱっちりとした愛らしいものではなく、先ほどまでの絶望に沈んだ灰色のものでもない。
自分の荷物を拾って水を含み、うっすらと口紅の残った小さな口が開く。
「谷先生が来るんですって。命令だから仕方ないし、悪いけどしばらく待っててくれる?」
「ええ?どういうことですか?一体何を話したんです?」
「黙ってればいいわ」
思わぬ返事に奈良は言葉に詰まる。それ以上何も言えず、口は開閉を繰り返し棒立ちのまま。
握った鎌がぶらぶらと行き場なくさまよい続けていた。
(先生が来るって……どうして?)
下手なことになれば先生とて袋叩きだ、と奇妙な心配をしながら半信半疑で待つ。
やがて十分ほどするとどこか遠くからエンジン音のようなものが耳に入ってきた。
ほどなくして視界の端に一台のサイドカーが姿をあらわす。みるみるうちに接近してきて石を投げればあたる距離で停止した。
「どうもーお待たせしました」
担任教師である谷はいつものちょっとよれたワイシャツを着ていて、その口調はのんびりと出席をとる時のものだった。
「こんなものしかないんですか?」
「もっと頑張ってくれませんとこれ以上は」
側車から荷物を取り出した谷が何やら姉ヶ崎に手渡して会話し、首を左右に振っている。
どう見ても救出に来てくれたようには見えない。頑張る?何を?どうして自分のほうを見てくれない?
湧き上がる疑問に急激に不安になっていく。まるで自分を相手にしていないこの態度。
心細さを隠すため、奈良の心に攻撃的な感情――不満と怒りがふつふつと沸いて来る。
(殺し合いやれとか言っておいて今度は無視?何なんだよ先生)
いつの間にか鎌を握った手は汗にまみれていた。少しだけぬるりとするが扱うことに問題ない。
これをちらつかせれば姉ヶ崎は従順だったし谷とて今は武器を何も持っていないように見える。
一瞬二人がちらりとこちらを向いたと思ったらまた興味なさそうにヒソヒソ話を再開されて、とうとう我慢の限界を振り切った。
(見せつけるんだ、僕の力を。そして姉ヶ崎先生はまた僕に脅えて……谷先生だって逆らえないようにしてやる!)
「少しは……僕のほうを向いてくださいよ」
語尾を強めて声を荒げて……だがどこか小市民的な面を隠しきれないまま二人の間に割って入る。
谷はさも心外だという表情で、奈良を聞きわけのない子に接するように見下ろした。
「おいおい先生達の邪魔をするものじゃないぞ」
「……まあいいじゃないですか先生。丁度よかったです」
姉ヶ崎は見慣れない皮袋から小さな何かを取り出す。
どこかで見覚えがあるような――文化祭の前にあったサバイバルゲームの撮影ビデオで見たような――
そう、確か今のように相手に押しつけるようにして――
「ひっ!?」
「……さよなら」
自分がとっくに見捨てられていたことに気がついたのは最後の瞬間だった。
■ ■ ■ ■ ■
自らの血でできた水溜りに大の字で横たわる奈良。
姉ヶ崎が恐れた岡の死体と同様に、死への恐怖と怒りの形相が浮かび上がり凄惨な有様を予想していた。
だが覚悟していればそれほどではなかったらしい。最後の瞬間彼が落とした鎌を血で染まる前につまみあげる。
播磨のときよりも間近で見ているにも関わらず、どこか落ち着き払っているのがわかった。体がずっと滑らかに動く。
「……私は証明してみせました。本当に殺し合いに協力すれば助けてくれるんですよね?」
「はい。それが許されるのがこの電話です。姉ヶ崎先生が誠意を見せて下されば僕もあなたの勝利を支援します」
先ほどの口論を姉ヶ崎は心の中で反復する。提案されたのは奈良を殺せということだった。
そしてこれで契約は成立したことになる。殺し合いを受け入れる代わりに自分は支援を約束してもらった。
「僕も本音を言えば姉ヶ崎先生に生き残って欲しいと思っていますから、出来る限り力になりますよ」
「嬉しい!」
「む、無理を言ってなんとか武器の前借もできました。……護衛はつけてもらえませんでしたが」
いくら頼まれても救出することはできない、死にたくなかったら殺しあうしかない。それが絶対のルール。
逆に言えばそれに従うならそれなりの見返りも与えられるから、と説得されて姉ヶ崎の心は動かされた。
そして谷も決して自分が憎いわけではなくて、留学生達に無理矢理命令されている。
だからルールに乗っ取って自分を助けようとしてくれている――そうなのだろう。
心は保健室で寝ている最中に晴れ晴れとした日差しが差し込んできた気分になった。
(元々鎌を振り回す危ない子だったしいつか私を殺すつもりだったんだわ)
奈良の姿を見てももはや同情や後悔の念は沸いてこない。
心はほんの数時間前にこの場所で銃を握ったときと同じ気分になっていた。力を手に入れたことで自信と落ち着きが戻ってくる。
そして今度は偽者ではない。何より殺し合いの舞台で彼らの支援を受けられるほど心強いものはないだろう。
「途中までですが送っていきますよ」
「はい、お願いしますね」
サイドカーの隣に座り込んで可愛らしい声を挙げる。谷の協力なしには非力な自分が助かることはない。
寄りかかって生きるしかない。同情でも哀れみでもいい、馬鹿な女と思われてもいい。自分はそれしか知らないのだ。
姉ヶ崎は渡された物の入ったリュックを強く握り、内心必死になりながらもそんなことを考える。
車は加速していき風景は線の集まりになって流れていく。奈良の死体には一度も振り向きはしなかった。
■ ■ ■ ■ ■
「ではここまでですね。道に沿って北上してください。古い記録ですが確か寺に生徒達が固まっていたと思います」
「はいどうも。あ、そうだ谷先生」
ちゅっ
「あ、姉ヶ崎先生!?」
「お礼です、えへへ。ありがとうございました」
それだけで姉ヶ崎はさっと身を翻し元気よく北に向かって走り去る。前後にせわしない足元には雑草がまとわりついていた。
谷は真っ赤になったままその姿を呆然と見つめ立ち尽くす。唇が触れた右頬はかすかに暖かくて桜のような匂いがした。
(さて……頑張らないと。そして『実績』をあげてもっともっと助けてもらうの)
新たに手に入れたものは四つ。
一つは切り札の携帯電話。メールがあったが結城つむぎなる人物は聞き覚えはあるが思い出せない。今は無視して本体も隠そう。
一つは奈良の使っていた鎌。武器としては頼りないのでよほどの機会が来たときに。やはり隠し持ったほうがいい。
一つはデリンジャー。高い確率で命を奪えるが残弾があと1しかない。例によって隠す。
一つは自分にとてもよく似合うと谷がくれた救急箱。こんな状況では怪我が怖くない人はいないはず。
傷の具合によっては素人の手に余るだろう。診療所は遥か南にあることだし、治療のために生かしてもらえるかもしれない。
これは見せびらかして生徒達の興味を得るために利用したほうがよさそうだ。
ちなみに食料類は複数持っていると怪しまれるというアドバイスがあったので、奈良のそれは持っていない。
死にたくないのなら、自分らしく勝ち残る――笑顔で近づき集団に紛れ込み、隙を見て殺す。それしかない。
播磨に植えつけられた恐怖を殺意に置き換えて、疲れの残るからだを動かして姉ヶ崎妙は今一度死の舞台に足を踏み入れた。
自分には谷がついている。きっと彼が助けてくれる……そう信じて。
■ ■ ■ ■
「どうも、戻りましたー」
「遅かったですのう谷先生」
姉ヶ崎と別れて学校に戻り、一通りの身体検査を受けた後で教師用の管理室に戻ってくる谷。
その部屋にずらりと並べられた各種電子機器には参加者達の情報がつらつらと表示されて常に更新されている。
盗聴器で事情は分かっている同僚の加藤や郡山は谷を冷ややかな目で迎え入れた。
「認められているとはいえ何事も度が過ぎれば……私は反対しましたからね、知りませんよ」
眉間にシワをよせて爪を噛む加藤。言葉の節々から咎める様な意図が含まれている。
一歩間違えればルールに私情を混ぜていると受け取られかねない谷の行動を非難するものだ。
姉ヶ崎の支援を留学生に交渉した勇気は男子として認められるものかもしれないが。
そんな加藤に郡山はうむうむと同調するが、谷は二人を無視して自分の席に座る。右頬を優しくさすりながら。
【午後4時〜5時】
【結城つむぎ】
〔現在位置〕I-07 氷川村近く
〔状態〕健康
〔道具〕支給品一式、思い出のアルバム、主催者側にしか繋がらない携帯電話(他の携帯とメール可能)
〔行動方針〕とりあえず主催者の思惑には乗りたくない。診療所をめざす
【午後4時〜6時】
【姉ヶ崎妙】
〔現在位置〕D-07
〔状態〕疲労
〔道具〕支給品一式、主催者側にしか繋がらない携帯電話(他の携帯とメール可能)、草刈用の鎌、デリンジャー(残1)、救急箱
〔行動方針〕死にたくないので優勝を目指す。集団にもぐりこんで隙を見て殺し、実績をあげて谷から支援してもらう
【谷速人】
〔現在位置〕D-06 管理室
〔行動方針〕姉ヶ崎には助かって欲しい
【加藤】
〔現在位置〕D-06 管理室
〔行動方針〕???
【郡山】
〔現在位置〕D-06 管理室
〔行動方針〕???
【奈良健太郎:死亡】
荷物と玩具の銃は死体の傍に放置してあります
――残り43人
以上です。タイトルは【奈良ブレイク計画ブレイク】
ステルスがいないなあと思ってこんな話に
同じ支給品があるとか教師の介入はアリか?とか色々あると思います
指摘をお願いします
乙です
奈良の死にはいい意味で驚き
ただ奈良が妙ちゃんに再び欲情するまでにワンクッション欲しかったかも
教師の介入はアリだとは思いますが程々に抑えといた方がいいかと
1マス1〜2キロですか
誤差が倍だけど話が進むにつれてはっきりしてくるか
>932
乙。
ただ、びっくり箱みたいなララの鞄の中身は別として、
「じつは支給品がもう一個ありましたー」的な話は、どうなのだろう?
今回の話に限らず、今後にも影響してくる話ね。
ちなみに、スクロワTでは地図は一マス3km。
変えるにしてもこのままにするにしても、今のうちに話し合っておくのが吉かと。
>>932 乙です!
ああ…奈良やっぱり…(合掌)
妙ちゃんの今までの恐怖に晒された時間を考えると無理からぬ選択です。
ただ、自分も奈良のニヤニヤする表情には少しだけ違和感が。
>>934 今現在、複数支給されている人は(高野の物を1セットと考えて除外すると)
・石山(予備マガジン)
・今鳥
・妙ちゃん
・榛名
・結城
・ララ
この6人か。多いか少ないか、もうこれ位でやめとくか?
感想どうもありがとうございました。一マス3kmならそれでルールにのせようかと。
まとめてるときに気付いたことですが妙ちゃんの支給品については
状態表に落としましたとしか書いておらず、不明の有無すら記述なし、作中でも描写なしのため
じつはまだ支給品がありました系とは全く別と考えますが、ダメなら話まるごと没にします
奈良についての描写は少し増やそうかなと思います
>>922 支援ありがとうございました
>>936 乙です。
奈良、やはりルールの壁は厚かったか……
『奈良ブレイク〜』で偽銃を見つけた後にリュックを調べる記述が無かった以上、整合性については問題無いかと思います。
一マスの広さ、自分は2kmに一票。
走って15分程度だとすれば、3kmは少々厳しいかな、と。
(高低差や荷物を考慮すればの話だけど)
>>914 正直死んだはずのキャラがなんとなくで死ななかったことになった時点で萎えた
ただ殺したくないからでキャラの生き死に見たいな大事なことが覆るようじゃやってられないよ
あの作品は絶対普通に通すべき
>>938 >正直死んだはずのキャラがなんとなくで死ななかったことになった時点で萎えた
いや、もう奈良は死んでいるんだぞ。
ナニ言ってんだお前・・・。
まぁ、奈良の死を認めたくないという気持ちはわかるけどさ。
別に物語を進めていく上で特に問題は無いんだから
>>932の話は通すべき。
またこの手の荒らしか
書き手さん達の迷惑になるから消えろ
>>939 沢近のことだよ
わざわざ名前出したくなかったんだけどな
いや、たぶん沢近さん死亡のやつの事だと
ハネ子「ハネ子とー!」
三原「え、え?「ハラミとー!」
冴子「冴ちゃんのー!」
ハネ子&冴子「「絶対☆名無しチルドレーン!!」」
三「ちょ、ちょっと待ってよ、何なのコレ?」
ハ「決まってんじゃない、番外編よ番外編。
そう、それは放送前にズガンされた私達の恨み辛みを捻り出す超目玉企画――」
冴「こらこら、本音言っちゃダメ。 その辺はスマートに逝かないと♪」
三「おーい、字が違いますぜ旦那」
冴「いーのよ、どーせ私ら頭カチ割られたり喉潰されたりロクな死に方してないし」
三「全っ然スマートじゃねー!」
ハ「うっはー、冴ちゃんも見事に毒吐くねぇ。 さすが1stロワのマーダー、悪女っぷりにも磨きかかってます」
冴「いー女には裏がある、って言うでしょ。 素敵じゃない?」
三「……あのー、のっけからすっごく微妙な雰囲気なんですけど」
ハ「おっといけない、サクッと進めなきゃ司会降ろされちゃう」
三「何のだよ」
三「――で、結局私達は何をしたらいいワケ?」
ハ「うん、ここは基本的に冥界ネタを扱うことになってるの。
ロワから退場した生徒たちをゲストで呼んだり、本編の感想ぶっちゃけてみたり」
冴「細かいことはハネちゃんに任せてOKって事ね。1stでも大活躍だったし」
ハ「……冴ちゃん、何気に酷いこと言ってるよねー。 頭割られた腹いせ?」
冴「まっさかぁ、そんな事ないわよ? こっちはこっちで色々楽しめそうだし」
三「――ちょ、冴子、何その色々とアブない道具は!?」
冴「やーねぇ、悲鳴上げちゃって。 ひょっとして興味津々?」
ハ「キャー、なんか音立ててるぅー♪」
三「いいから! もう、エロトークはいいからさっさと進めてっっ!!」
ハ「じゃあ、まずは今までの感想、って事で」
冴「やっぱり、今回の目玉は播磨君よねー。 いきなりゲームに参加するなんてびっくり」
ハ「今はちょっと落ち着いたみたいだけどね。 代わりに順ちゃんがヤバくなってるけど」
三「円は……まぁ、案の定、かな」
冴「梅津君も気の毒よねー。 別の人に会ってたら無事にズガンされてたかもしれないのに」
三「いや、それどっちも地獄ですから」
冴「ちょっとした誤解でマーダーになっちゃった人も多いよね。 天王寺君とかおキヌとか」
ハ「あ、天王寺君で思い出したけど……梢ちゃんの体ってそのままだよね」
三「え゛」
冴「良かったね、奈良君とか近くに居なくて。 見つかったら……きゃー♪」
三「――やめてぇっ! 寒イボ立つうっっ!!」
ハ「修学旅行の写真でも勝手にコラされてたらしいしね」
三「……マジ? って、どっからそんな情報仕入れてんの」
ハ「冬木君」
三「あんにゃろー、こっち来たら文句言ってやる」
ハ「あ、最新情報。 奈良君こっち来るみたいよ。 呼んでみる?」
三「いらねー。 てか来んな」
冴「妙ちゃんに手出そうとしたのが運の尽きよね。 こっちでも多分ボッコボコかな」
ハ「今回、支給品に捻りが効いてるのも面白いよね」
三「主催者側と交渉できるケータイとか、色々使い道ありそう」
冴「あの眼鏡っ子……つむぎちゃんだっけ? 使う気配ムンムンよねー」
三「ムンムン、て……」
ハ「おっ、さすが妙ちゃんに次ぐ今ロワのエロ担当。アダルティな言葉満載ですな」
冴「えー、誉めてもムチ……ゲフンゲフン笑顔しか出ないよ?」
三「誤魔化すの遅いっつーの」
ハ「そう、ムチといえば今鳥君の支給品。 そして今鳥君といえば三原さんっっ!」
三「ちょ、何その無理過ぎる前振り」
冴「あ、そういや梢の初恋の人って今鳥君ソックリなのよねー」
三「――ストオォォォッッップ!!! 何でアンタがそんなトップシークレット知ってんの!?」
冴「冬木君」
三「ぶっ殺す! アイツ、こっち来たら奈良と一緒にぶっ殺す!!」
ハ「さぁ、トークも盛り上がってきたところで、いよいよゲストの登場です!
栄えある第一回目はっ!!」
――――ドロドロドロドロ「お化け屋敷かよっ」ドロドロドロドロ……ドン!
ハ「――記念すべき死者第一号にして2-C一の幸せ者、田中君でーす!」
冴「おっ、イケメン登場」
三「ま、妥当なトコかな。 おーい、こっちこっち」
田「な、永山はっ!? 永山はどうなったんだっっ!!?」
ハ「まーまー、まずは落ち着いて」
冴「そうそう、そんな慌てなくてもどーせすぐ会えるし」
三「ちょっ! 冴子、毒、毒!」
田「――あっ、石山っっ! あいつに騙されて、俺……」
三「あー、悪いけど、彼、永山さんと一緒だよ」
田「なにぃっっっ!?」
ハ「嫉妬に狂った男の成せる業……あぁっ、なんて美味しいシチュエーションっっ!」
冴「あの子、大丈夫かなぁ……こっち来た時には傷モノ、とか?」
田「う……嘘だ嘘だ嘘だっっ、うわぁぁぁあぁぁっっっっ!!!」
三「……なーんで死者に鞭打つよーな事言うかなぁ。 あ……どっか行っちゃった」
ハ「ま、そんなこんなで、ロワもまだまだ序盤。 どんな大番狂わせが待ってるかな?」
冴「意外なあの子がマーダー化? 地味なあの子が大活躍? 次のゲストはハリー君?」
三「ちょ、最後願望入れちゃダメだって!」
ハ「私もハリー君がいーなぁ。 1stで実現できなかった夢を今度こそっっ!」
三「職権乱用ダメだっつの」
冴「あと、この番外編は誰が書いてもOKみたいよ。 ただし、投下する時は空気を読んで、ね。
じゃないと、私達のキツーいお仕置きが待ってるよ♪」
三「……なんか余計にハッスルしそう」
田「はぁっ、はぁっ……クソッ、出口はどこなんだ」
冴子「お、やっほー♪」
田「あ、冴子……か。 悪い、永山の居場所教え――ぶっ!」
冴「あれ、どしたの?」
田「ちょ、何だその格好!?」
冴「あ、私のジャージ汚れてたから。 田中君の制服借りたの、ゴメンね♪」
田「いや、その、制服はいいけど、下が、その」
冴「あら、私は別にいいのよ? 丁度ヒマだったし、ここの男子なら田中君がダントツだし」
田「え、いや、その、俺には永山が」
冴「えー、永山さんってまだ向こうじゃん。 折角だから楽しも、ね?」
田「どわぁぁあっ、学ラン脱ぐなあぁぁっっ!」
冴「えいっ♪」
田「ぐおぉぉぉっっ、永山っ、早くこっちへ来てく……じゃなかった、来るなー!
いや、やっぱこっち来てくr………
アッ――!」