隣子がウザ可愛いです。
高野姐さん、おっかないよ。
さすがに猟銃はないと思います。農作業具くらいはあるかもしれませんね。
ガソリンについても他の車にあってもまあおかしくないかと。古かったり不純物が混じってても知りませんが。
そしてシナリオ的にあれですが。
では投下します。
【His daughter is a hero, too】
もはやナイフを振るう必要はなかった。播磨が砺波の同行を許してから暫く南下すると彼の視線に開けた大地が目に入る。
何となく、ただ無駄に体力を消費するのが嫌だからだとわざわざ言い訳をして彼は砺波をそちらに誘導した。
「あ〜ズボンが草だらけ。けっこうあちこち引っかいてるなあ」
「植物ってのも意外と馬鹿にできねえぞ」
何十という種類の植物で埋められた足場の悪いところから一転して草原に出る。
周囲のよく見える丘の途中で二人は暫く座り込んで休憩した。
「お前、友達とかいねーの?そいつら探さなくていいのかよ」
「私は今はいいよ、どうせどこにいるかわからないもん。播磨君こそいいの?」
俺はちゃんと探してるっつーの、と答えて播磨は罰が悪そうに項垂れた。もちろん塚本天満を探すアテなどない。
氷川村に行こうというのも彼女を悪から助け出すための準備を整えるのに都合がいいからに過ぎない。
もっと具体的な目標があれば地球の裏側でも駆けていくに違いないのだが。
「さっきの男みてーな奴に襲われてたりしてな」
「多分大丈夫だよ。皆いい人だから……岡君が多分例外なんだと思う」
皆、という単語を聞いて播磨は数える程度しかいない――だが無視することはできない彼らのことを考える。
シナリオ通りなら烏丸は絶対悪で花井は奴の手下のはずだ。周防、高野は自分を頼るしかないただの無力な村人だ。
沢近は……存在しない。いや、偉そうな女王で自分に褒章を与えるとか言って無視されて赤っ恥かかされる役目がいい。
エロメガネや梅津、奈良のような背景同然の連中が祝福する中で自分達は――
そう、自分と塚本天満は結ばれ「塚本さんの妹とか刑部先生もいるんだよね」れRerrるるrwwrr
「ちょっと待て」
いつの間にかルールブックを開いて読んでいた砺波のそれを強引に奪い取り、凝視する。
『ねえ播磨君は後輩の子とか先生でお友達っている?私は全然』と続いた砺波の声は耳に入らない。
「……2-Cだけじゃねえの?」
「?何言ってるの?あの留学生の人が言ってたじゃん」
そういえば手錠がいつの間にか外れていたが、確か塚本八雲とはつながった状態で眠ったはずだ。
刑部絃子も確か歩行祭の進行役だと言っていたような……既に妄想の世界にトリップしていたから気付かなかったが
よくよく考えると目覚めた先では彼女の声も聞いた気がした。
「播磨君?もしもーし?」
「……いくぜ。休憩は終わりだ。疲れたならそのまま休んでて構わねえぞ」
ルールブックを放り投げ無理矢理話を打ち切って、早足で播磨は動き出す。
後ろからは砺波が慌てて荷物をまとめて駆け寄ってくる足音、少し荒い息遣いがしたがほとんど耳に入らない。
(やばいやばいやばいやばいやばいやばい。妹さんに絃子だと?葉子さんやお姉さんの名前まであるじゃねーか)
シナリオと違う、という意味不明の呟きをする播磨を砺波は不思議そうに眺めていた。
「オーイ!そこのオマエタチ!」
「考え事の最中だ、静かにしろ砺波」
「……はいあっち。私じゃないよ」
何やらうんうん唸りつつ足元だけを見ていた播磨。そんな彼をあきれ気味に観察している砺波。
そんな二人に空気を押しつぶすような巨大な声が叩きつけられる。
片手で大きなスーツケースを抱えたままでララ・ゴンザレスがまるで警戒せずに近寄ってきた。
そして播磨からの何ともいえない、ピリピリした威圧感のようなものを感じて砺波は何となく彼の考えが分かり数メートル後ろに下がる。
「ハリマと……誰ダ?まあイイ。イチジョーやサツキを知らないカ?」
どすんとスーツケースを地面に立たせて通せんぼするように立ちはだかるララ。
ふるふると揃って播磨も砺波も首を振る。砺波だよ、と『誰ダ』と言われた本人が付け加えてもまるで相手にしてもらえなかった。
「ララ。お前こそ塚本を知らねえか?」
こんどはララがフルフルと首を振る。そーかよ、と一言述べて会話を切る播磨。
塚本という単語が出てきたことに砺波だけが驚いたのか二人と違った反応を示していた。
「残念ダ。そうだハリマ。パンを一つくれないか?腹が減ってしまったんダ」
「……ああいいぜ。ちょっと待ってな」
ララの目の前で堂々とリュックの中に手を入れる播磨。あの中には確か先ほどまで芝刈りに使っていたあれが――と砺波は思う。
「ほらよ俺のパン一つやるよ」
「Gracias、ハリマ!」
ララにコロッケパンを一つ手渡しながら播磨はもう一度手をリュックに入れてララの背後に回った。
ビリッとパンの袋が破れる音。無言でククリナイフを取り出す。砺波はそれを見ているはずだが何も言わない。
(……とにかく、これでいい……これでいいはずだ。ここは俺の思い通りになる世界のはず……妹さんや絃子がいたって)
食べている間は隙だらけだ。あとは――
「ごちそうさまデシタ!」
(はええよ!噛んでねえ、呑んだだろ!)
播磨がそう思ったのは今まさに凶器をララの頭上に振り下ろさんとする時だった。
振り向いたララの純粋な視線と自分のサングラス越しのそれが交じり合う。
「!っ「フンッ!」」
迷いのまま逆に不意をつかれた形になった播磨の腕よりも、ララの野生のほうが一際早かった。
歩行祭にて沢近愛理に蹴られたソコに、彼女より遥かに強烈なパワーを持つララのそれが突き刺さる。
「くぁwせdrftgy!!」
こと弱所を突くことに関してララは容赦がなかった。
うずくまる播磨の頭を掴んで引き寄せ、そのままこめかみに膝を叩き込む。
更にとどめとばかりに再度同じ箇所に頭突きを加えた。
意識が飛び立った播磨の手に握ったナイフも懐にしまっていた小銃もごろりと転がり落ちてしまう。
「え?あ、播磨君!」
(失敗だ、殺されちゃう!)
一瞬の攻防の後にようやく砺波は状況を理解して武器を握る。
USPの焦点も定まらないまま、播磨に当たる可能性を考えないまま無我夢中でトリガーを引いた。
砺波の心は既に岡を殺したときのそれに戻っている。自分が殺して、播磨が助かる。敵は――
シネ。
――!――!――!
三発の銃弾が放たれる。
一発はララにも播磨にも当たることなく通り過ぎ、二人の遥か後方へ。
次の一発は更に的をはずれ、高く澄みきった大空と流れ行く雲の中へ。
最後の一発はやや低い弾道ながらも真っ直ぐララ目掛けて――彼女のトランクケースに当たり、火花を立てて跳ね返った。
(えっえっ外れた?弾かれた!?一体何でできてるの?)
「コラァ!」
銃弾を弾いた恐るべき盾をララは掴み、そのまま砺波に投げつける。やはり容赦なく全力で。
危険だ、ということだけ何とか理解した砺波は目を瞑って身を投げ出すように地面に伏せる。
頭の上を何かが通り過ぎてすぐ後ろに落ちる音がした。それだけで全身に滝のような汗がぶわっとあふれ出てくる。
このまま眠って全てをやり過ごしたい衝動に駆られて中々目を開くことができない。
だがそんな現実逃避は近くにやってきたララの足音、
そして無理矢理頭を掴まれて持ち上げられることにより儚く消える。
「いたたたた!痛い痛い痛い!許して、ごめんなさい!」
「これハ、預かっておくゾ!」
唯一の武器も奪われて砺波は完全な丸腰状態になる。あとはこのまま絞め殺されるだけだと
真っ暗になったところで彼女はふっと身が軽くなった。一瞬後にどすんと重力を感じて着地したことを知る。
「痛た……あ、あれ?」
「何でこんなことをしたんダ?」
「……だって、播磨君が殺されそうに」
泣きが入り、枯れ落ちそうな声で、しかし播磨の部分だけはしっかりと発音して砺波は答える。
「私ハ誰も殺さナイ。ハリマだってちょっとKOしただけダ」
「え……播磨君!」
額が痛むのか手でさすっているララの視線の先には、まだぴくぴくと痙攣している播磨の姿。
それを見て砺波は急いで駆け寄る。どこにそんな元気が残っていたのかは砺波本人にもわからない。
播磨がちゃんと息をしていることに安堵して、全身からすっと力が抜けていく。
先程の殺意も緊張も死への恐怖もたちどころに失われていった。
ふと振り向くと、いつの間にか投げたはずの防弾を兼ねているらしいスーツケースを持っているララがいる。
彼女は自分と播磨の武器を中に入れてそれとは別の何かを取り出して差し出した。
「サイン色紙……?」
「さっきのヤツにもそれヲ。じゃ、危険だから武器は貰っていくゾ」
そうして再び風のように去っていくララ。たった今の戦いも何のその、まるで疲れを感じさせない俊足でみるみるうちに小さくなっていく。
強引ながらも堂々としていて勇敢で強く逞しく、戦いとなればその姿は烈火の如く。
だが相手の命は奪わない。相手への恨みも憤怒も何もない。
まるで自分とは違う輝きを持つララ。ああはなれないな、という羨む思いでその姿を見送る。
砺波にはそのサイン色紙がヒーローが去り間際に残していく唯一の自己アピールのように感じられた。
「えーと何て読むんだろうこれ」
播磨が目覚めるまでの間、砺波は特にやることもなく上下左右を逆にして悪戦苦闘するのだった。
■ ■ ■ ■ ■ ■
「う……」
「播磨君大丈夫?どこも悪くない?」
播磨が何やら呟いて目覚めた頃、ララの姿は完全に見えなくなっていた。
何とか上体を起こそうと砺波が踏ん張る声がする。
「あいつは?」
「うん。行っちゃったよ。武器は全部とられちゃった」
「……そうか。ん?何だその色紙」
砺波が持つサイン色紙。それが役舎丸広事のものだと播磨は一目で看過し、無言のまま見つめ続けた。
(……いつだったか、没落して妻子を養うために悪代官の用心棒になった凄腕の元武士の話があったな)
数多く覚えている万石の物語のうちの一つを播磨は思い出していた。
金銭に困った武士は元君主の殺害を命じられる。だが手にかける前に万石に完敗。
だが万石は彼の妻子を見捨てるようなことはしなかった。黒幕まで打ち倒し彼とその家族に金銭を与え自由にしたのである。
そして武士が感謝しようと探しても既に万石はその場から姿を消していたのである。
自分は万石のようなヒーローに憧れていて、今も尊敬しているはずだった。
(俺は万石でなくて武士のほうだったんだな)
幾重にも重なった、濃い霧のヴェールがかかった頭がすっと冴えていく。
悪い夢を見ていて現実に引き戻されたような……否、実際に自分は夢を見ていたのだ。
「夢を見てたぜ。今みたいに俺達2-Cがどこかわけのわからんとこに飛ばされてな。
俺は最初そこが俺の夢描いた世界だと思ってた。やがて真の愛の印、オーパーツを求めて大海原に漕ぎ出すのよ」
「わけがわからないよ播磨君」
くすりと笑いながらも砺波は自分の話に耳を傾けてくれている。そして話しやすいように頭と地面の間にリュックをはさんでくれた。
「その夢は嵐の海で鮫との戦いで終わって、目が覚めたら見知らぬ島。ナイフもあった。俺は夢が現実になったと喜んだ。
だって目覚めたら殺し合いしろなんて夢だって思うだろ?自分の夢なら何してもいいって思うだろ?」
……だからさっきの男やお前を殺そうとした、と低い声で続ける。砺波は女の子がお姫様になる夢を見るようなものかとふと思った。
「でもお前に妹さんや絃子もいるって知らされてあれ?と思って……さっきララに気絶させられて
俺はまたその夢の続きを見たんだ。いろいろあってオーパーツは見つけたんだがよ、
……結局色々あってそこは俺の望んだ世界じゃなかったんだ。それどころか間違えてお嬢に告白しちまうし。
その後落ち込んでるところを妹さんに励まされて一緒に漫画を描くのよ」
「ふうん。そうだったんだ」
お嬢とか妹さんとか言われてもいまいちわからない砺波。まあ多分お嬢は沢近さんのことで妹さんというのは
塚本天満の妹である塚本八雲なのだろうと思った。塚本……播磨君がさっき聞いたのも塚本。
それはおいておいても、これで先ほどから播磨の様子がおかしかった理由がなんとなくわかる。
「もしかして播磨君、今まで夢が現実……ファンタジーかメルヘンと思ってたの?」
「……ああ」
「ぷっ……あはははははははは!何それすごく面白ーい冗談!」
「うるせええええ!俺だっておかしいなとか少ーし思ってたわい!」
二人は一通り笑い続けた。どうしようもなくおかしくなって、腹の底から思い切り声を出す。
砺波がまだ幼さの残った白い顔を思いっきり変形させる度に播磨は戸惑いと羞恥を覚えて大声で叫ぶ。
誰もいない草原での馬鹿馬鹿しい行為はしばらく続いた。
■ ■ ■ ■ ■
「ララは北に行ったんだよな」
「?うん。あっちの山のほうに……北西かな?行っちゃったよ」
サンキュ、という短い単語を最後に播磨は無言で歩き出した。その足は明らかに氷川村を向いていない。
いくらなんでも方向を勘違いしているということはないと思い砺波は黙って播磨の後をついていった。
そして日が傾いて空が橙に染まりかける頃、足元は既に柔らかい草花から硬く張った木の根や幹、藪の多い道へと姿を変えていた。
「お前一人で氷川村行ってもいいぜ。もうナイフもないからな」
「ここまで来てそれを言うの?だから、そーはいきませんよーっだ」
いーっと舌を出す様子を確認して播磨はため息と共に苦笑いをする。
どうせ塚本天満の具体的な場所は分からない。手がかりがつかめればそっちを優先するのは当然だが、今はあいにくそれがない。
ならばどこへ行っても彼女を探すことと矛盾しない。ではどうするかといえば――何となくララに一言告げたい。
外見は似ても似つかないが万石のようなヒーロー。作中では武士は礼を言えなかったが自分はそうはなりたくない。
傷薬も悪くはないのだが恩返しのほうがまだ気分がよかった。
「ねえねえさっきの夢の話だけど……播磨君が見た夢なんだよね?でも播磨君の世界じゃない。ってことは誰のだったのかな?」
「もーいいだろ知らねえよそんなこと。秘密だぜ、誰にも言うな」
播磨はこのことを口止めをしてそれ以上のことに答えなかった。
もうこれ以上無責任なことは言えない。考えるのは絃子あたりがやればいい。それより他にやるべきこともある気がする。
現実を認めるのは辛いが矛盾した考えを持ったまま歩くよりいい。その証拠に何だか身体が軽くなった気がする。
(あ〜あ。けどどうする?結局は一人しか生きられないんだぜ……天満ちゃんだけは何が何でも守らねえといけねえけどよ)
漫画のアシスタント、恐ろしい大家、恩人。頭の中のヒロイックファンタジーは少々描き直す必要がありそうだった。
もちろん第一目標は変わらないのだが。そしてクラスメイト達もまあよくよく考えると死なれたら寝覚めが悪い。
皆殺しは最後の手段としてともかく今は没ネームとしておこう。
全くプロの漫画家は辛いものだ、と播磨はサングラスをかけ直して現実を一歩一歩踏み出していた。
(播磨君……)
短い間で変わってしまった。黙々とララの後を追うように歩いていく播磨。
殺すと言って殺さなかったり、南に行くといって北を目指したり、夢を現実と勘違いしてましたとか。
目の前の人がよく分からなくなりつつある。胸の中の不安が少しずつ形を成していく。
(あれ?私播磨君に変わって欲しくないと思ってる?)
ヒーローのような彼女……ララと会う。それって大事なの?それとも追いかけて殺すの?
塚本というのがどちらかわからないけどそれって好きな人?それとも憎い人?
現実だからってそれで何か変わるの?誰も殺さなくなっちゃうの?
私だけに気を配ってくれていたんじゃないのかな?岡君はあのまま放っておいていいのかな?
疑問ばかりを束ねながらも砺波は黙って播磨についていく。
双眸に宿りつつある冷たい意志は誰にも悟られることはない。
足元の枯れ木を踏み潰す音が妙に大きく聞こえた気がした。
【午後4時〜5時】
【ララ・ゴンザレス】
〔現在位置〕F-07
〔状態〕健康(空腹)
〔道具〕支給品一式(食料なし、水は残り1本)、ガラクタが多数入った大型防弾スーツケース(ククリナイフ、89式小銃(29/30)、USP(12/15+1)入り)
〔行動方針〕食料確保。イチ・ジョーなど知り合いを探す。殺し合いがあったら止める
【播磨 拳児】
〔現在位置〕F-07
〔状態〕健康
〔道具〕支給品一式 食料・水は2人分(岡から回収したもの。食料一つ消費)
〔行動方針〕天満探し再開。ララにもできれば会いたい
〔備考〕正気に戻りました。天満以外全滅計画は保留です
【砺波 順子】
〔現在位置〕F-07
〔状態〕健康
〔道具〕支給品一式
〔行動方針〕とにかく播磨についていく。襲ってくる人がいるなら容赦しない
〔備考〕塚本……?播磨君……
マーダー不足が懸念されてるのにこういう話はどうなの?と思いつつ
前から言われていた播磨の軌道修正を試みて見ました。あれ?砺波が・・
問題点等の指摘をお願いします
GJ 播磨気づくの早かったな まぁいいけど
隣子もいい感じにロワの毒に……
しかしここで武器を失ったのは痛いな
遠距離の小銃、中距離のUSP、近距離のククリナイフと野生のカン
あれ? ララが今マーダー化すれば最強じゃね?
でもさらに播磨砺波組に期待が持てるようになった
GJ
ララァはカッコいいな
播磨は岡の死についてどう思ってるのだろう?
いずれ播磨が砺波にnice boatされそうだw
播磨も正気になったし、
高野・イトコ・花井・東郷のリーダー・ボスクラスが手を組み、他を統括していけば
今回はクラスの主力は脱出などで結束できそうだ。
あとはスクランおなじみの誤解さえなければ・・・。
無理か。
誤解での死者がどこまで減らせるか?が勝負だな。
あと、ガソリンは別に外にあるでもいいでない?
ガソリンが隠してあるというのは明記されてないし。
車も放置してあるでも。
ただ、倉庫の奴を除けばそれなりの知識を持つ人間が修理しないと動かないくらいにしておけば。
続き、放置車は少なくとも鍵はないだろうし、良くは知らないが壊れて無くても直結しないと動かせない。
少なくとも知識のない一般人は無理。
隠してあるのって、ガソリンじゃなくて放置車両からガソリンを移す為の道具(ポンプとかタンクとか良くわからんけど)かもしれないよ。
とりあえずここまでの話を収録しました。
地図は後日反映させる予定です
播磨まわりの展開がはえーな
大御所がうまく軌道修正してくれたんだから、もうちょっとこのままでも良かったかも
ファイナルブローで東郷たちとまとめて倒されたララが播磨にガチで勝てるのはちょっと意外
まあ、面白い話ではあるけど
遅くなりましたが、投下します。
【馬鹿と自己中と頑固者】
「ん……?」
菅原神社を出発して、およそ一時間弱。
同じ道ならば高低差の少ない方を――と考えて海岸沿いを北上していた今鳥が、遥か向こう側を歩く一組の生徒を視界に捉える。
距離にして数百メートル。 向こうはまだこちらに気付いていないらしい。
ほんの微かに声が聞こえるが、距離を考えれば相当大きな声で叫んでいるようだ。 喧嘩でもしているのだろうか?
「おいおい、あれじゃ誰かに狙われたら一発じゃねーか……アホかあいつら?」
自分だって碌に警戒などしていない癖に、そこはしっかりと棚に上げる今鳥。
どこまでもマイペースで、自分勝手な男である。
「だーかーら、先輩は歩くの早過ぎなんです!」
「えーい、少しは我慢したまえ! 本当なら、走ってでも先を急ぎたいんだ」
「ちょっとは乙女の体力のことも考えて下さい!」
「うぬぬ……そうこうしている内にも、八雲くんの身が危険に晒されて……」
「そりゃ、私だって心配ですよ。 けど……」
「――むぅ、こうなったら止むを得ん。 サラ君、済まないが少々我慢してくれ給え」
「……へ?」
「とうっ」
――――ポフッ。
「――きゃあぁっっ! 何するんですかっっ、先輩、ちょっと!!」
「こらっ、暴れると怪我をするだろうが、大人しくし給え」
「じょーだん言わないで下さい! ってゆーか、頼むから降ろして下さいっっ!!」
「何を言う、この方が早く走れるだろう」
「走らなくていーですからっ!!」
「…………あの馬鹿、ホントに何やってんだ」
ジャージ姿の眼鏡男が、制服姿の金髪女子高生を突如お姫様抱っこして全力ダッシュ。
殺し合いの舞台にはあまりにも似合わない光景に、今鳥はそう呟くのが精一杯だった。
※ ※ ※ ※ ※
互いの姿を確認して「危険は無い」と判断したのか、サラの提案で三人は道路下の川岸に腰を下ろしていた。
名目は『休憩と水の補給』という形で、実際は花井の暴走を一時的に食い止めるために。
「……なぁ、お前、やっぱ本当は馬鹿だろ?」
残り少ない水を飲み干しつつ、最初に口を開いたのは今鳥だった。
「何を言う! 貴様とて何も考えずに歩いていただろうが」
委員長としてのプライドが傷付けられたのか、半ば反射的に花井も反論する。
「いや、俺ん事は別にいーっての」
軽く受け流す今鳥だったが、実際には“ピンクを探す”という目的を持っている。
だが、本人が『一条を意識している』という事実を頑なに認めず、また無意識のうちに気取られまいとしている以上、傍目には『何も考えていない男』としか映らない。
束縛を嫌う男・今鳥恭介の子供じみたプライドがもたらした結果、とも言えよう。
「あの、今鳥先輩……」
「ん? どったの?」
「……コレ、何とかなりません?」
そんな中、鉄の輪と鎖で繋がれたサラが気まずそうに左手を上げる。
花井とは間逆の、どこか飄々としたこの先輩なら、今の状況を変えることが出来るだろうか。 そんな淡い期待を込めて。
「……うん。 駄目。 無理だわ」
「えーい、役立たずめっ」
「勝手なこと言うなっつの。 んな簡単に外れりゃ苦労しねぇよ」
「やっぱり駄目ですか……はぁ……」
時間にして、僅か五分足らず。
海岸沿いに大の字で寝転がる今鳥を横目に、岩場に打ち寄せては砕け散る白波をぼけーっと眺めるサラ。
あぁ、『木っ端微塵』ってこういう時に使うんだろうな……そんな事を考えながら。
今鳥の支給品は、PC用バッテリと電池・そして――革製のムチだった。
(調教でもしてみる? と真顔で手渡しした今鳥自身は最初の犠牲者となった)
当然ながら鎖をどうこうできる代物ではないので、結局、レイピアを頼りに三人がかりで鎖を外そうと試みる。
だが、体力的に花井に遥かに劣る今鳥が加わったところで、鎖を断ち切れるような力や根性が生まれるはずも無く。
元々諦めの早い彼が即・ギブアップ宣言するのも、無理からぬことだった。
「――ま、俺に頼んだのが間違いだって」
「むぅ……仕方無い。
サラ君、不本意だとは思うが、もう少し付き合ってもらう事になりそうだ」
「……なんかもー、どーでもいいです。 好きにして下さい」
こっちの“目的”が知られている以上、手錠が外れたところで、花井は自分から離れようとはすまい。
(八雲が居れば、話は別だろうけど)
すでに諦めの境地に達したはずのサラだったが、何故か心の中の苛立ちは残ったままだった。
「で、手錠の事なんだけど」
ギクリ。 今鳥の言葉に、サラの表情が強張る。
(まずい。 もしここで彼に事情を知られたら、ますます行動しにくくなる。 というか、今鳥先輩なら何も考えずに言い広めそうな気さえする)
「それって、ひょっとして……」
二重瞼を乗せた大きな眼をギラーンと輝かせ、今鳥の予想は二人の秘密の核心へ――
「播磨たちのマネ?「「違う/違いますっ!」」
――ではなく、あさっての方向へと向かっていたらしい。
播磨たちの手錠=相手(八雲)を無理矢理拘束するもの、と勘違いしていた花井。
一方、手錠=二人の絆の証、と思い込んでいたサラ。
受け止め方は違えど、結果的には全く同じ反応が返ってくるという不思議。
両者の心情など知るはずも無い今鳥だったが、彼の目には、二人の反応が酷く滑稽に映った。
「……じゃあさ、結局ソレってどういう意味なワケ?」
自身の予想を真っ向から否定されたせいか、今鳥が少々ムッとしながら尋ねる。
「そ、それは――「うむ、実はだな……目が覚めたら繋がっていたのだ」
「――はぁ?」「え?」
真相を伝えかねていたサラを余所目に、しれっと嘘をつく花井。
「恐らく、僕の活躍を危惧した奴らが嫌がらせの一種として思いついたんだろう。 全くもって迷惑な話だ」
あまりのスムーズな説明っぷりに、サラは口を開けたまま固まってしまう。
もしかすると、今鳥と出会うずっと前から、彼は言い訳を考えていたのだろうか。 というか、あの花井先輩が?
普段の彼らしからぬ周到さに裏打ちされた気遣いが、サラの心を揺さぶる。
「あのー……私、言いたい放題言われてるみたいなんですけど」
「うむ、気にするな」
「しますって!
何なんですか、人を勝手に拘束……じゃなかった、私と繋がってる事自体が嫌がらせって」
かなり動揺していたのか、聞く人によっては誤解を招く文句を口にするサラ。 案の定、今鳥には照れ隠しと映ったらしい。
「あれ? サラちゃん、ひょっとしてコイツと一緒の方がいいの?」
「何でそーなるんですかっっ! 噛み付きますよっ」
がるるるる。 変なうなり声を上げるサラを背に、今鳥は苦笑いを浮かべるしかなかった。
※ ※ ※ ※ ※
西日を背に受けて、束の間の休憩を終えた三つの影が動き出す。
「んじゃ、そろそろ出発しますか、っと」
「うむ、日が暮れるまでには村に到着しないとな」
「ですね、少し急がないと」
海岸沿いの道路に戻り、大きく伸びをする三名。
「それじゃあ、花井先輩」
「ああ」
「いざ、平「鎌石村へ向かって――」」
「「……え?」」「へ?」
「えーい、けしからんっ。 お前に協調性は無いのかっ」
「うん」
「即答するなっ!!」
「けどよー、八雲ちゃんが平瀬村に居るってワケでもねーんだろ?」
「ふっ……この花井春樹、八雲君を探す事に関しては誰にも遅れを取らん!」
「根拠になってねーし。 てか、こーゆー時は平等にジャンケン勝負だろ」
「馬鹿を言え、多数決に決まってるだろう。 なぁサラ君」
「うーん、そうですねぇ……じゃあ、多数決なら私も鎌石村に一票」
「なっ――」
「おー、さっすがサラちゃん、話が分か「待て待て待て待てぇいっ!!」
「なんだよ花井、多数決なんだろ?」
「……うむ、どうやら僕が間違っていたようだ。 三回勝負でどうだ?」
「はんたーい」
「むぅ、ならば仕方ない。 五回勝負にしよう」
「ちげーよ!」
「あのー……どーでもいいけど早く決めてくれません?」
――個性的過ぎる三人の旅路は、まだ、始まらない。
【午後4時〜5時】
【花井春樹】
〔現在位置〕D-02 海岸沿い
〔状態〕健康
〔道具〕支給品一式(片方のPETボトルには川の水を入れてます)、手錠の片割れ、レイピア
(手入れされていませんが突くことは可能)
〔行動方針〕サラを説得する。 皆と合流する(八雲を最優先)
【サラ・アディエマス】
〔現在位置〕D-02 海岸沿い
〔状態〕健康
〔道具〕支給品一式(片方のPETボトルには川の水を入れてます)、手錠の片割れ、革製のムチ
〔行動方針〕八雲を守る。 しょーがないので花井についていく。 一応ゲームには乗るつもりだが……
【今鳥恭介】
〔現在位置〕D-02 海岸沿い
〔状態〕健康。 多少モヤモヤしてます。 サラをおちょくって少々ご機嫌
〔道具〕支給品一式(片方のPETボトルには川の水を入れてます)、電池(単三×10、単一×4)、
ミニノートPCバッテリ×1
〔行動方針〕ピンクを探す(花井とサラには秘密にしてます)。ゲームには乗る気なし
以上です。
何か矛盾点・問題点がありましたら指摘願います。
…………甘い。 甘過ぎだわコレorz
申し遅れましたが……
◆X7WwwzkoUU氏・◆HQrLOwPbgA氏・◆rJXTlJ7j/U氏共に乙でした。
予約⇒投下の間にスレが一気に活気付いてて、正直焦りましたが( ´Д`)
>>882 乙でした
手錠が外れて機会が巡ってきても更に葛藤しそうなサラですね。
電池の用途はアレとあと何だろう…
>>873 危ういバランスでほのぼのだったのが、最後隣子さんにぞわりとさせられました。
それとまとめサイトの方ですが、
◆HQrLOwPbgA氏の番外編で、掲示板のレス番で言うと29が重複していて
30が抜けているようなのでお知らせします。
>>882 お疲れ様でした。特に問題はないと思います。
サラ・花井・今鳥とキャラ達の掛け合いがいいですね。
これもまた一つの誤解
>>884 ご報告ありがとうございました。該当箇所を修正しました。
◆HQrLOwPbgA氏もどうもすいませんでした。
天王寺で予約します
隣子が不思議ちゃん通り越して、ヤンデレっぽくなってるな・・・。
:.
::::..
::::... 隣子、俺もう一人身ENDかな?
::::… , ´ `ヽ
::::... ∧_!,irlリ从リ),,
::::.(Д▼ii,il、゚ヮ゚ノ} バカヤロゥ!
r -( ( O┰O、 私達はこれから始まるのよ!!
..::ii'⌒< < ) 冊冊〉
::'、__,,l!しし(_)l!lJ´
'、__,l!j
いつこんなENDを迎えてもおかしくなさそうだ。
前回の1さんが見たら、泣いてしまいそうな展開ではある
>>886 期待してます
花井達の話まで収録して地図を対応しました。これからもよろしくお願いします
色々支給品あるけど有効利用できるんだろうか
>>891 他と組み合わせないとなんの効果も無い、ってのとか
特殊な効果のやつとかが前作に比べても多い気がするね。
リレー企画の難しさってのを後々思い知ることにならなきゃいいがな。
奈良・姉ヶ崎・つむぎ・管理サイドの人達を予約してみます
短いですが天王寺投下します。
頭の中に女の悲鳴が繰り返される。
(「――お兄ちゃん、助けてよぉ!!」)
手の平を何度拭っても、あの感触は消えなかった。
(「――お兄ちゃん、助けてよぉ!!」)
壊れたCDプレーヤーのように、まとわりつく油のように、それは消えない。
(「――お兄ちゃん、助けてよぉ!!」)
「黙れ…」
(「――お兄ちゃん、助けてよぉ!!」)
「黙れってんだよ!」
何かを殴りつけた拳の痛みと同時に、叫び声は止んだ。
2メートル近い巨体から繰り出された鉄拳は、決して細くはない幹を震わせ頭上の梢を揺らす。
「…ハアッ…ハアッ…ッ頼むから…黙るんだ――いいな?」
天王寺昇はあの渚から逃げて来た。
始めは後じさりながら、やがて撃たれた痛みにも構わず足を早めて。
だが、後ろから追いかける"声"は、それを嘲笑うように彼に追いついた。そして、決して彼の手の届かない場所へと入り込んだ。
どんなに走ったところで逃れられない。捕らえることも出来ない。
どれだけ三原梢の死体から離れようと、"声"は天王寺の頭から離れてくれはしなかった。
ここが一体どこで、あれからどのくらいの間走ったのか。
時々駆けあがるような痛みも、もはや気にならなかった。こめかみの血はいつの間にか乾いていた。
そもそもこんな怪我は彼の喧嘩において、日常茶飯事なものだ。
それがかつて「魔王」と呼ばれた播磨拳児と互角に渡り合った、天王寺昇という男。
だが、今の彼はすべての力を使い果たしたように、樹の根元に片膝をついている。
口をついて出る言葉も、苛立ちと困惑と弁解の色を含むもの。
「俺が悪いんじゃない…あの野郎が…あのイギリス野郎だ…」
脳裏から離れない二つの顔があった。ひとつは友の仇、そしてもうひとつは。
「…あの女があんな事を言わなけりゃ…」
*************
あの女――C組の三原という女は自分を撃ち殺そうとし、言ってはならない言葉を吐いた。
(「――ボディーガードにすら使えない奴なんか、役立たずに決まって――…」)
あの糞ったれのショーンと同じセリフ、奴と同じ思考。
誰が許せるだろうか?誰が自分を責めることができるだろうか?
だが、あんな女も誰かの妹だった。自分にとっての天王寺美緒であったのだ。
その現実が、天王寺をこんなにも苦しめる。
「……生き残ったって一生あいつに顔向けなんかできねぇ…」
いつも自分を見上げている、幼い少女の姿が思い浮かぶ。
自分に似ていない年の離れた妹は、彼の一番の泣き所だった。
風が強くなったのか、目覚めた時より大きく波の音が響く。
頭の中のあの悲鳴も、今だけは聞こえない。
「…美緒、すまねえ…」
遠い場所にいる妹に天王寺は呼びかける。
自分は美緒を人殺しの妹にしてしまった。この命一つで詫びが足りるのであれば喜んで差し出すだろう。
だがしかし。
「俺はダチの…サミュエルの仇をとらなきゃいけない。それまで死ぬわけにはいかねえんだよ」
自分を友と呼んでくれた、自分が強敵(ライバル)ではなく友と認めた男の仇をとる。
それが少し前の天王寺の全てであった。
――だがしかし。
「…あの女があんな事を言わなけりゃあ、何も起こらなかったんだ。ああ、なんにもだ…あんな――あいつ、あの野郎と同じ言葉を」
突然、あの時の光景が眼前に甦ってくる。
向けられた銃口。
怒号と至近距離からの銃声。
爆竹がはじけたような激痛。
手を伸ばした。三原の首を片手で掴めたことを思い出す。
「――それにあいつの首があんな細くて…」
三原梢の首を絞めた手の平を開き、閉じ、また開く。しばらくそんな手の動きを天王寺は呆けた様子で見つめていた。
――柔らかく熱い肉を捕らえ、その中から固いものを探り当てた感覚があった。
メキャリ、と音をたて、小気味よい程にそれは折れた。
絞めたのはほんの数秒だったが、殺すつもりがなかったとは言えない。
「あぁ……」
うめき声が口から洩れた。
どうやら彼の記憶は、ショーンの存在に全責任を負わせることには失敗したらしい。
そもそも自分は悪くないのであれば、あの声は何故自分を追ってくる?
あの時、確かに自分は『折れてしまえ』と思った事を、天王寺は思い出してしまった。
*************
次の瞬間だった。
(「ぅぅ………ひっく…………」)
『声』が再び頭の中に帰ってきた。
今度はすすり泣くだけの声。それを当然彼は三原のものだと思った。自分の下に組み敷かれた時の彼女の声。
だが、あろうことかそれは、
――美緒のものだった。
(「――お兄ちゃん、最低だよ」)
妹の声が彼を責める。
なにより天王寺にとって堪えたのは、その声が軽蔑の色を含まず、ただひたすらに悲しく涙交じりだったことだ。
「違う、美緒!」
無人の周囲をぐるりと見回して、天王寺は吠える。妹がこの島にいるはずもない事は、彼も頭の隅では理解していた。
だが、幻聴だろうが何だろうが妹の泣く声を無視できる兄ではなかった。
(「あんなお姉さんを…ろしちゃうなんて」)
嗚咽がひどく交じり、美緒の声が不明瞭になる。
それとも、その"言葉"が妹の口から出るべきでない言葉であり、彼自身が認めたくない事実だと無意識下で拒否したせいなのか。
(「お兄ちゃん言ってたよね、俺は弱い奴や女と喧嘩したって嬉しくなんかないって。あれは嘘なの?」)
「嘘じゃねえよ、美緒、お前の兄貴が相手をするのはいつだって、俺より強えぇ、俺が気に入らねえ奴だけだ!」
(「でもお兄ちゃん…ろしちゃったじゃない。たすけて、って言ったのに。お兄ちゃんたすけてって、あたし言ったのに!!」)
「違う、違うんだ!俺は…」
(「お兄ちゃんがあたしを――)
「――俺はお前を殺しちゃいねえ!!」
*************
――違う、違う、違う。
天王寺は繰り返し口の中で呟き続ける。
すでに彼の頭の中では、三原梢は美緒と同化していた。あの海岸に打ち捨てられているのは妹で、自分が折った細い頚椎は妹のものになった。
――違う、お前の兄貴はそんな男じゃない、信じてくれ、兄貴が妹を殺すなんて事あってたまるものか…!
美緒の泣く声が、天王寺の脳に直接痛みを与えるように揺さぶり続ける。
妹の泣く声は苦手だった。一刻も早く何かをしなければならない衝動に駆られる。
こんな時――妹が泣き、兄がうろたえる構図の時――はいつだって、天王寺はひたすら下手な言葉や約束を連ねるしかなかった。
それは今も変わらない。
天王寺昇という男が、妹が信じる通りの男だとする証明が今、なんとしても必要だった。
「――そ、そうだ、美緒!こんな糞みたいなゲームに喜々として乗っかっている奴がいるはずだ!そいつを俺が全部片付けてやる!」
そうだ。こんなゲームで人を殺すような奴はショーンと同等の下衆に決まっている。
その連中を殺すことはショーンを殺すことと同じだと言える。
下衆の人数が多ければ多いほど、サミュエルの仇を何回だってとることが出来るのだ。
それをやり遂げれば、自分は妹に胸を張れる人間に戻れるだろう。
天王寺は銃痕の開いたリュックサックを開く。目に飛び込んでくるのは大口径の自動式拳銃(オートマチック)。
巨体にふさわしい大型のそれを手にして、彼はあたりを見回す。まるで誰かに見せるかのように。
「なあ、美緒…だからあの女を殺ったのだってチャラになるはずだ…!」
*************
この時、天王寺の精神は暗い深淵を渡りきったところにあった。
ひとりの殺人を贖う為の、更なる殺人。
それはどう釈明しようと、彼が憎んだこの『ゲーム』に乗るということにも、すでに天王寺は気づかない。
それが彼のもっとも憎むべき、ショーンの思う壷だということにも。
*************
――もう、妹の声は聞こえない。
当たり前だ。もうすぐ日が暮れる時刻になる。
妹の住む街も、この島も。
たぶん、安心して家に帰ったのだろう。
天王寺昇もようやく訪れた静けさの中で、自分のやるべき目的を得たことにこの上ない安堵を覚えていた。
【午後4時〜5時】
【天王寺 昇】
〔現在位置〕H-03
〔状態〕銃創×3(太腿・肩・米神、いずれも軽症。全速力で走るのは困難)、急所にまだ痛み、幻聴症状あり
〔道具〕支給品一式(銃弾による損傷で水・食糧の損傷はまだ不明)、50AEデザートイーグル(残弾7+1)(動作に支障がないかは不明)
〔行動方針〕ゲームに乗る人間を殺す
※三原の支給品および銃はI-04に放置してあります
…タイトルは【羅刹】でお願いします。
いろいろあると思うのでご指摘頂きたいです。
>>893 いつも素早い更新乙です、期待してます。
>>901 乙でした。 天王寺……つД`)
特に問題はないかと。
乙でした
ゾクゾクする心理描写が上手ですね。
問題はないと思いますので後日収録させて頂きます
俺。メインキャラが死んだら死者図鑑書くんだ………。
ここまでの話を収録しました。地図も対応させました。
死者名鑑はもし書かれたら収録させてもらいますね
906 :
Classical名無しさん:08/09/18 22:48 ID:tjL4f2Qs
つーか、人いねぇな今回……
書き手が5人くらいのようだけど自己リレーやらないとつらいんじゃないかという気になる
っていうか、やった方がいいと思う。
自己リレー禁止というのが人が多くいるロワの場合の話だ。
書き手が5人しかいないロワじゃ、途中行き詰ってしまうのは目に見えてるよ。
勿論自己リレーをしたい人は他の書き手に「自己リレーをします」という予約をして
OKを貰ってからの話だがな。
待て。5人以上要るだろ、たぶん
前回は即死だったが天王寺はやる時はやる男さ
容量ってまだ大丈夫?
>>911 ◆HQrLOwPbgA=8作(1作)
◆rJXTlJ7j/U=8作(まとめ)
◆cj4OQi4css=7作
◆q8.UJLtEPY=4作(1作)
◆HXrOGANlU6=1作
◆mWKUMdK/Cw=1作
◆X7WwwzkoUU=1作
7人しかいないけど、大丈夫かね。
>>881 乙です
なかなか珍しい組み合わせで面白い
ただ位置的に安全すぎるなあ
闘いになった時手錠がどう影響するかが楽しみだ
>>901 乙です
やっぱりこういうマーダーは話を盛り上げるために必須
ハゲ天さんには前回の屈辱を晴らして貰いたい
それと地図の1マスって距離的はどれぐらいですかね?
そろそろ次スレですね。だいたい1マスは1〜2キロ?そのあたりは曖昧だったような
その前に話を投下します
「ねえ待って!ここって……本当に行くの?」
見覚えのある場面に姉ヶ崎は悲鳴に近い声をあげた。地面の色や木の並び、それらが形作る風景。
そして何より前方に見える崩れたような布の塊。先程自分が落とした荷物だとすぐに分かる。
ならばあの死体も――そして『彼』もまだ近くにいるかもしれないと体の心から凍りつく。
(死にたくないよ)
それだけを考えながら、ふらふらになった体に鞭打って奈良の後を必死で追う。
削りゆく精神と肉体疲労とのせめぎ合いで彼女は心身ともに限界にあった。
(でももう疲れちゃったかな……死んだらそれで楽になるのかな)
曇り空というわけではないのに姉ヶ崎の見ている世界は灰色だった。
ぼたぼたと掻いたことのない大きな汗が額や細い顎を伝って大きな滴となる。
ふいに前を歩く奈良の足が落し物の前で止まった。
「誰かの荷物かな?あっ銃だ!……テープ?」
「……それは私の。ニセモノの銃で使えないわ」
鎌を手放してまで喜んでみせる奈良に対して姉ヶ崎はうんざりしたように答える。
唯一の救いは全ての荷物が無事なので『彼』は意外とこの近くには来ていない可能性が高いことくらいだった。
「……せめてお水貰っていい?」
「そっか残念。はいじゃあ……あれ?先生これなんですか?」
ごそごそと荷物を漁る奈良は不思議そうな声をあげた。やがて取り出したそれを見て、
姉ヶ崎は自分がリュックの中身全てを確認した覚えがないことを思い出した。偽者の銃に目を奪われていたためだ。
「携帯電話!やったわこれで助けを呼べば……!」
突如元気を取り戻した姉ヶ崎は、奈良から携帯電話を強引に奪い電源を入れて110番をコールする。
一方の奈良はその変化に驚き固まってしまう。やむなく備え付けの紙きれに目を通す。
彼は姉ヶ崎とは違って、まさかこんな手段で助かってしまうのか?という疑問のほうが先だった。
るるるる るるるるる とぅうるるるるるるる
「早く出てよ……何やってるの」
機械的な音声に爪先を噛みながら苛立つ姉ヶ崎。一秒一秒がテレビの中のクイズ番組よりよほど長く感じられる。
ちらちらと横目で見ながら読み進める奈良。
「!先生これって」
『はいもしもし。困りますね、ちゃんと登録してある番号でかけてください姉ヶ崎先生』
奈良が状況を理解することと谷速人の懐かしい声が姉ヶ崎に届くのはほぼ同時だった。
■ ■ ■ ■ ■
ピピピ……
「え?何この音」
聞きなれない、だが日常の名残を持った音を感知する。
結城つむぎが氷川村までもう一息という場所で休息をとっている時だった。
元々走るのも長く歩くのも得意ではないし、歩行祭では友人達がいたからいいものの今はそうもいかない。
怪我でもしたらたまったものではないと、彼女は決して無理をしないように足を休めながら氷川村に向かっていた。
(まるでメールの着信みたいな)
最初の心当たりである携帯電話を取り出す。するとそこには案の定、手紙のようなアイコンが点滅していた。
携帯電話というものはえてして使い方が似通っている。見たことのない機種であっても操作に問題はない。
さほど迷いなく操作を進め、やはり一件メールが来ているようなので急ぎ内容を読む。
『双方の電源がONになったので携帯電話同士でのメールが可能になりました。このメールに返信すると相手にメールできます』
しばしその一文を眺め続ける結城。これはあの悪趣味な連中に繋がるらしい電話だが、
まさか今まであちらの準備が整っていなかったとは思えない。となると……この携帯電話と同じものを持った誰かが他にいるのだ。
少し考えて自己紹介だけをすることにした。それ以上は返答次第。
『こんにちは。こちらは結城つむぎです。あなたは誰ですか?』
一瞬自分の名前を出していいものか迷うが、そこまで疑っては話が進まない。
こちらの居場所さえ知らせなければ安全だろうとそのままメールを送信することにした。
(花井君や嵯峨野達に繋がってくれると嬉しいんだけど)
なんとなく眼鏡のカメラ男には届いて欲しくないと思いながら立ち上がり携帯電話をジャージの間にはさむ。
目の前にある朽ち果てた木の看板には文字が刻まれていた。
(『氷川村診療所まもなく→』ずいぶん古そうだけど日本語だしここは一応日本なのかしら)
軽自動車がギリギリ通れるくらいの幅の道。足元は長年人によって踏み固められたそれになっている。
やがて誰かと出会うだろうと、彼女は診療所めざして慎重に進んでいった。
■ ■ ■ ■ ■
『……というわけです姉ヶ崎先生。この電話で助けを呼ぶことはできません、おとなしく従ってください』
「そんな!無理です、私はただの保険医。暴力団とは違うんですよ、何で私が!」
電話に出てからずっと口論を続ける二人。奈良は完全に置いていかれていることに退屈し鎌で地面をこつこつ叩く。
気分を紛らわせるためにこれからのことを考え、少し離れたところにいる姉ヶ崎の体をニヤニヤと眺めていた。
谷の声は聞こえないが何を言っても無駄なのだと既に諦めていたのでどうでもいい。
助かることが無理ならやはり欲望のままに生きるのがいいだろう。近くにあるはずの寺に早く行って彼女とお楽しみといきたい。
『ですので……というのは……』
「え……」
教師達がいがみあう姿はなかなか見れるものではないが、後の楽しみに比べたらたいしたことはない。
もはや耳に入れる気もなくなって、姉ヶ崎が早く諦めること・誰も邪魔しに来ないことの二点を期待して待ち続ける。
空はどこまでも広くて歩行祭の山の中で見たそれと変わらないとなんとなく思った。
「……わかりました」
『はい、ではすぐに……』
電子的な小さい音がした。それが通話を切った音だとすぐに気付いてそちらを見る。
携帯電話を握って悩ましげな表情をしている彼女が目に入って飛び出したくなる気持ちになった。
支援
「やっと終わったんですか?じゃあ先生行きましょう。早く早くっ」
「……」
「先生?姉ヶ崎先生?」
ぶらぶらと鎌をちらつかせながら急かそうとしても彼女はこちらを見ようともしない。
その瞳は学校での大きくぱっちりとした愛らしいものではなく、先ほどまでの絶望に沈んだ灰色のものでもない。
自分の荷物を拾って水を含み、うっすらと口紅の残った小さな口が開く。
「谷先生が来るんですって。命令だから仕方ないし、悪いけどしばらく待っててくれる?」
「ええ?どういうことですか?一体何を話したんです?」
「黙ってればいいわ」
思わぬ返事に奈良は言葉に詰まる。それ以上何も言えず、口は開閉を繰り返し棒立ちのまま。
握った鎌がぶらぶらと行き場なくさまよい続けていた。
(先生が来るって……どうして?)
下手なことになれば先生とて袋叩きだ、と奇妙な心配をしながら半信半疑で待つ。
やがて十分ほどするとどこか遠くからエンジン音のようなものが耳に入ってきた。
ほどなくして視界の端に一台のサイドカーが姿をあらわす。みるみるうちに接近してきて石を投げればあたる距離で停止した。
「どうもーお待たせしました」
担任教師である谷はいつものちょっとよれたワイシャツを着ていて、その口調はのんびりと出席をとる時のものだった。
「こんなものしかないんですか?」
「もっと頑張ってくれませんとこれ以上は」
側車から荷物を取り出した谷が何やら姉ヶ崎に手渡して会話し、首を左右に振っている。
どう見ても救出に来てくれたようには見えない。頑張る?何を?どうして自分のほうを見てくれない?
湧き上がる疑問に急激に不安になっていく。まるで自分を相手にしていないこの態度。
心細さを隠すため、奈良の心に攻撃的な感情――不満と怒りがふつふつと沸いて来る。
(殺し合いやれとか言っておいて今度は無視?何なんだよ先生)
いつの間にか鎌を握った手は汗にまみれていた。少しだけぬるりとするが扱うことに問題ない。
これをちらつかせれば姉ヶ崎は従順だったし谷とて今は武器を何も持っていないように見える。
一瞬二人がちらりとこちらを向いたと思ったらまた興味なさそうにヒソヒソ話を再開されて、とうとう我慢の限界を振り切った。
(見せつけるんだ、僕の力を。そして姉ヶ崎先生はまた僕に脅えて……谷先生だって逆らえないようにしてやる!)
「少しは……僕のほうを向いてくださいよ」
語尾を強めて声を荒げて……だがどこか小市民的な面を隠しきれないまま二人の間に割って入る。
谷はさも心外だという表情で、奈良を聞きわけのない子に接するように見下ろした。
「おいおい先生達の邪魔をするものじゃないぞ」
「……まあいいじゃないですか先生。丁度よかったです」
姉ヶ崎は見慣れない皮袋から小さな何かを取り出す。
どこかで見覚えがあるような――文化祭の前にあったサバイバルゲームの撮影ビデオで見たような――
そう、確か今のように相手に押しつけるようにして――
「ひっ!?」
「……さよなら」
自分がとっくに見捨てられていたことに気がついたのは最後の瞬間だった。
■ ■ ■ ■ ■
自らの血でできた水溜りに大の字で横たわる奈良。
姉ヶ崎が恐れた岡の死体と同様に、死への恐怖と怒りの形相が浮かび上がり凄惨な有様を予想していた。
だが覚悟していればそれほどではなかったらしい。最後の瞬間彼が落とした鎌を血で染まる前につまみあげる。
播磨のときよりも間近で見ているにも関わらず、どこか落ち着き払っているのがわかった。体がずっと滑らかに動く。
「……私は証明してみせました。本当に殺し合いに協力すれば助けてくれるんですよね?」
「はい。それが許されるのがこの電話です。姉ヶ崎先生が誠意を見せて下されば僕もあなたの勝利を支援します」
先ほどの口論を姉ヶ崎は心の中で反復する。提案されたのは奈良を殺せということだった。
そしてこれで契約は成立したことになる。殺し合いを受け入れる代わりに自分は支援を約束してもらった。
「僕も本音を言えば姉ヶ崎先生に生き残って欲しいと思っていますから、出来る限り力になりますよ」
「嬉しい!」
「む、無理を言ってなんとか武器の前借もできました。……護衛はつけてもらえませんでしたが」
いくら頼まれても救出することはできない、死にたくなかったら殺しあうしかない。それが絶対のルール。
逆に言えばそれに従うならそれなりの見返りも与えられるから、と説得されて姉ヶ崎の心は動かされた。
そして谷も決して自分が憎いわけではなくて、留学生達に無理矢理命令されている。
だからルールに乗っ取って自分を助けようとしてくれている――そうなのだろう。
心は保健室で寝ている最中に晴れ晴れとした日差しが差し込んできた気分になった。
(元々鎌を振り回す危ない子だったしいつか私を殺すつもりだったんだわ)
奈良の姿を見てももはや同情や後悔の念は沸いてこない。
心はほんの数時間前にこの場所で銃を握ったときと同じ気分になっていた。力を手に入れたことで自信と落ち着きが戻ってくる。
そして今度は偽者ではない。何より殺し合いの舞台で彼らの支援を受けられるほど心強いものはないだろう。
「途中までですが送っていきますよ」
「はい、お願いしますね」
サイドカーの隣に座り込んで可愛らしい声を挙げる。谷の協力なしには非力な自分が助かることはない。
寄りかかって生きるしかない。同情でも哀れみでもいい、馬鹿な女と思われてもいい。自分はそれしか知らないのだ。
姉ヶ崎は渡された物の入ったリュックを強く握り、内心必死になりながらもそんなことを考える。
車は加速していき風景は線の集まりになって流れていく。奈良の死体には一度も振り向きはしなかった。
■ ■ ■ ■ ■
「ではここまでですね。道に沿って北上してください。古い記録ですが確か寺に生徒達が固まっていたと思います」
「はいどうも。あ、そうだ谷先生」
ちゅっ
「あ、姉ヶ崎先生!?」
「お礼です、えへへ。ありがとうございました」
それだけで姉ヶ崎はさっと身を翻し元気よく北に向かって走り去る。前後にせわしない足元には雑草がまとわりついていた。
谷は真っ赤になったままその姿を呆然と見つめ立ち尽くす。唇が触れた右頬はかすかに暖かくて桜のような匂いがした。
(さて……頑張らないと。そして『実績』をあげてもっともっと助けてもらうの)
新たに手に入れたものは四つ。
一つは切り札の携帯電話。メールがあったが結城つむぎなる人物は聞き覚えはあるが思い出せない。今は無視して本体も隠そう。
一つは奈良の使っていた鎌。武器としては頼りないのでよほどの機会が来たときに。やはり隠し持ったほうがいい。
一つはデリンジャー。高い確率で命を奪えるが残弾があと1しかない。例によって隠す。
一つは自分にとてもよく似合うと谷がくれた救急箱。こんな状況では怪我が怖くない人はいないはず。
傷の具合によっては素人の手に余るだろう。診療所は遥か南にあることだし、治療のために生かしてもらえるかもしれない。
これは見せびらかして生徒達の興味を得るために利用したほうがよさそうだ。
ちなみに食料類は複数持っていると怪しまれるというアドバイスがあったので、奈良のそれは持っていない。
死にたくないのなら、自分らしく勝ち残る――笑顔で近づき集団に紛れ込み、隙を見て殺す。それしかない。
播磨に植えつけられた恐怖を殺意に置き換えて、疲れの残るからだを動かして姉ヶ崎妙は今一度死の舞台に足を踏み入れた。
自分には谷がついている。きっと彼が助けてくれる……そう信じて。
■ ■ ■ ■
「どうも、戻りましたー」
「遅かったですのう谷先生」
姉ヶ崎と別れて学校に戻り、一通りの身体検査を受けた後で教師用の管理室に戻ってくる谷。
その部屋にずらりと並べられた各種電子機器には参加者達の情報がつらつらと表示されて常に更新されている。
盗聴器で事情は分かっている同僚の加藤や郡山は谷を冷ややかな目で迎え入れた。
「認められているとはいえ何事も度が過ぎれば……私は反対しましたからね、知りませんよ」
眉間にシワをよせて爪を噛む加藤。言葉の節々から咎める様な意図が含まれている。
一歩間違えればルールに私情を混ぜていると受け取られかねない谷の行動を非難するものだ。
姉ヶ崎の支援を留学生に交渉した勇気は男子として認められるものかもしれないが。
そんな加藤に郡山はうむうむと同調するが、谷は二人を無視して自分の席に座る。右頬を優しくさすりながら。
【午後4時〜5時】
【結城つむぎ】
〔現在位置〕I-07 氷川村近く
〔状態〕健康
〔道具〕支給品一式、思い出のアルバム、主催者側にしか繋がらない携帯電話(他の携帯とメール可能)
〔行動方針〕とりあえず主催者の思惑には乗りたくない。診療所をめざす
【午後4時〜6時】
【姉ヶ崎妙】
〔現在位置〕D-07
〔状態〕疲労
〔道具〕支給品一式、主催者側にしか繋がらない携帯電話(他の携帯とメール可能)、草刈用の鎌、デリンジャー(残1)、救急箱
〔行動方針〕死にたくないので優勝を目指す。集団にもぐりこんで隙を見て殺し、実績をあげて谷から支援してもらう
【谷速人】
〔現在位置〕D-06 管理室
〔行動方針〕姉ヶ崎には助かって欲しい
【加藤】
〔現在位置〕D-06 管理室
〔行動方針〕???
【郡山】
〔現在位置〕D-06 管理室
〔行動方針〕???
【奈良健太郎:死亡】
荷物と玩具の銃は死体の傍に放置してあります
――残り43人
以上です。タイトルは【奈良ブレイク計画ブレイク】
ステルスがいないなあと思ってこんな話に
同じ支給品があるとか教師の介入はアリか?とか色々あると思います
指摘をお願いします
乙です
奈良の死にはいい意味で驚き
ただ奈良が妙ちゃんに再び欲情するまでにワンクッション欲しかったかも
教師の介入はアリだとは思いますが程々に抑えといた方がいいかと
1マス1〜2キロですか
誤差が倍だけど話が進むにつれてはっきりしてくるか
>932
乙。
ただ、びっくり箱みたいなララの鞄の中身は別として、
「じつは支給品がもう一個ありましたー」的な話は、どうなのだろう?
今回の話に限らず、今後にも影響してくる話ね。
ちなみに、スクロワTでは地図は一マス3km。
変えるにしてもこのままにするにしても、今のうちに話し合っておくのが吉かと。
>>932 乙です!
ああ…奈良やっぱり…(合掌)
妙ちゃんの今までの恐怖に晒された時間を考えると無理からぬ選択です。
ただ、自分も奈良のニヤニヤする表情には少しだけ違和感が。
>>934 今現在、複数支給されている人は(高野の物を1セットと考えて除外すると)
・石山(予備マガジン)
・今鳥
・妙ちゃん
・榛名
・結城
・ララ
この6人か。多いか少ないか、もうこれ位でやめとくか?
感想どうもありがとうございました。一マス3kmならそれでルールにのせようかと。
まとめてるときに気付いたことですが妙ちゃんの支給品については
状態表に落としましたとしか書いておらず、不明の有無すら記述なし、作中でも描写なしのため
じつはまだ支給品がありました系とは全く別と考えますが、ダメなら話まるごと没にします
奈良についての描写は少し増やそうかなと思います
>>922 支援ありがとうございました
>>936 乙です。
奈良、やはりルールの壁は厚かったか……
『奈良ブレイク〜』で偽銃を見つけた後にリュックを調べる記述が無かった以上、整合性については問題無いかと思います。
一マスの広さ、自分は2kmに一票。
走って15分程度だとすれば、3kmは少々厳しいかな、と。
(高低差や荷物を考慮すればの話だけど)
>>914 正直死んだはずのキャラがなんとなくで死ななかったことになった時点で萎えた
ただ殺したくないからでキャラの生き死に見たいな大事なことが覆るようじゃやってられないよ
あの作品は絶対普通に通すべき
>>938 >正直死んだはずのキャラがなんとなくで死ななかったことになった時点で萎えた
いや、もう奈良は死んでいるんだぞ。
ナニ言ってんだお前・・・。
まぁ、奈良の死を認めたくないという気持ちはわかるけどさ。
別に物語を進めていく上で特に問題は無いんだから
>>932の話は通すべき。
またこの手の荒らしか
書き手さん達の迷惑になるから消えろ
>>939 沢近のことだよ
わざわざ名前出したくなかったんだけどな
いや、たぶん沢近さん死亡のやつの事だと
ハネ子「ハネ子とー!」
三原「え、え?「ハラミとー!」
冴子「冴ちゃんのー!」
ハネ子&冴子「「絶対☆名無しチルドレーン!!」」
三「ちょ、ちょっと待ってよ、何なのコレ?」
ハ「決まってんじゃない、番外編よ番外編。
そう、それは放送前にズガンされた私達の恨み辛みを捻り出す超目玉企画――」
冴「こらこら、本音言っちゃダメ。 その辺はスマートに逝かないと♪」
三「おーい、字が違いますぜ旦那」
冴「いーのよ、どーせ私ら頭カチ割られたり喉潰されたりロクな死に方してないし」
三「全っ然スマートじゃねー!」
ハ「うっはー、冴ちゃんも見事に毒吐くねぇ。 さすが1stロワのマーダー、悪女っぷりにも磨きかかってます」
冴「いー女には裏がある、って言うでしょ。 素敵じゃない?」
三「……あのー、のっけからすっごく微妙な雰囲気なんですけど」
ハ「おっといけない、サクッと進めなきゃ司会降ろされちゃう」
三「何のだよ」
三「――で、結局私達は何をしたらいいワケ?」
ハ「うん、ここは基本的に冥界ネタを扱うことになってるの。
ロワから退場した生徒たちをゲストで呼んだり、本編の感想ぶっちゃけてみたり」
冴「細かいことはハネちゃんに任せてOKって事ね。1stでも大活躍だったし」
ハ「……冴ちゃん、何気に酷いこと言ってるよねー。 頭割られた腹いせ?」
冴「まっさかぁ、そんな事ないわよ? こっちはこっちで色々楽しめそうだし」
三「――ちょ、冴子、何その色々とアブない道具は!?」
冴「やーねぇ、悲鳴上げちゃって。 ひょっとして興味津々?」
ハ「キャー、なんか音立ててるぅー♪」
三「いいから! もう、エロトークはいいからさっさと進めてっっ!!」
ハ「じゃあ、まずは今までの感想、って事で」
冴「やっぱり、今回の目玉は播磨君よねー。 いきなりゲームに参加するなんてびっくり」
ハ「今はちょっと落ち着いたみたいだけどね。 代わりに順ちゃんがヤバくなってるけど」
三「円は……まぁ、案の定、かな」
冴「梅津君も気の毒よねー。 別の人に会ってたら無事にズガンされてたかもしれないのに」
三「いや、それどっちも地獄ですから」
冴「ちょっとした誤解でマーダーになっちゃった人も多いよね。 天王寺君とかおキヌとか」
ハ「あ、天王寺君で思い出したけど……梢ちゃんの体ってそのままだよね」
三「え゛」
冴「良かったね、奈良君とか近くに居なくて。 見つかったら……きゃー♪」
三「――やめてぇっ! 寒イボ立つうっっ!!」
ハ「修学旅行の写真でも勝手にコラされてたらしいしね」
三「……マジ? って、どっからそんな情報仕入れてんの」
ハ「冬木君」
三「あんにゃろー、こっち来たら文句言ってやる」
ハ「あ、最新情報。 奈良君こっち来るみたいよ。 呼んでみる?」
三「いらねー。 てか来んな」
冴「妙ちゃんに手出そうとしたのが運の尽きよね。 こっちでも多分ボッコボコかな」
ハ「今回、支給品に捻りが効いてるのも面白いよね」
三「主催者側と交渉できるケータイとか、色々使い道ありそう」
冴「あの眼鏡っ子……つむぎちゃんだっけ? 使う気配ムンムンよねー」
三「ムンムン、て……」
ハ「おっ、さすが妙ちゃんに次ぐ今ロワのエロ担当。アダルティな言葉満載ですな」
冴「えー、誉めてもムチ……ゲフンゲフン笑顔しか出ないよ?」
三「誤魔化すの遅いっつーの」
ハ「そう、ムチといえば今鳥君の支給品。 そして今鳥君といえば三原さんっっ!」
三「ちょ、何その無理過ぎる前振り」
冴「あ、そういや梢の初恋の人って今鳥君ソックリなのよねー」
三「――ストオォォォッッップ!!! 何でアンタがそんなトップシークレット知ってんの!?」
冴「冬木君」
三「ぶっ殺す! アイツ、こっち来たら奈良と一緒にぶっ殺す!!」
ハ「さぁ、トークも盛り上がってきたところで、いよいよゲストの登場です!
栄えある第一回目はっ!!」
――――ドロドロドロドロ「お化け屋敷かよっ」ドロドロドロドロ……ドン!
ハ「――記念すべき死者第一号にして2-C一の幸せ者、田中君でーす!」
冴「おっ、イケメン登場」
三「ま、妥当なトコかな。 おーい、こっちこっち」
田「な、永山はっ!? 永山はどうなったんだっっ!!?」
ハ「まーまー、まずは落ち着いて」
冴「そうそう、そんな慌てなくてもどーせすぐ会えるし」
三「ちょっ! 冴子、毒、毒!」
田「――あっ、石山っっ! あいつに騙されて、俺……」
三「あー、悪いけど、彼、永山さんと一緒だよ」
田「なにぃっっっ!?」
ハ「嫉妬に狂った男の成せる業……あぁっ、なんて美味しいシチュエーションっっ!」
冴「あの子、大丈夫かなぁ……こっち来た時には傷モノ、とか?」
田「う……嘘だ嘘だ嘘だっっ、うわぁぁぁあぁぁっっっっ!!!」
三「……なーんで死者に鞭打つよーな事言うかなぁ。 あ……どっか行っちゃった」
ハ「ま、そんなこんなで、ロワもまだまだ序盤。 どんな大番狂わせが待ってるかな?」
冴「意外なあの子がマーダー化? 地味なあの子が大活躍? 次のゲストはハリー君?」
三「ちょ、最後願望入れちゃダメだって!」
ハ「私もハリー君がいーなぁ。 1stで実現できなかった夢を今度こそっっ!」
三「職権乱用ダメだっつの」
冴「あと、この番外編は誰が書いてもOKみたいよ。 ただし、投下する時は空気を読んで、ね。
じゃないと、私達のキツーいお仕置きが待ってるよ♪」
三「……なんか余計にハッスルしそう」
田「はぁっ、はぁっ……クソッ、出口はどこなんだ」
冴子「お、やっほー♪」
田「あ、冴子……か。 悪い、永山の居場所教え――ぶっ!」
冴「あれ、どしたの?」
田「ちょ、何だその格好!?」
冴「あ、私のジャージ汚れてたから。 田中君の制服借りたの、ゴメンね♪」
田「いや、その、制服はいいけど、下が、その」
冴「あら、私は別にいいのよ? 丁度ヒマだったし、ここの男子なら田中君がダントツだし」
田「え、いや、その、俺には永山が」
冴「えー、永山さんってまだ向こうじゃん。 折角だから楽しも、ね?」
田「どわぁぁあっ、学ラン脱ぐなあぁぁっっ!」
冴「えいっ♪」
田「ぐおぉぉぉっっ、永山っ、早くこっちへ来てく……じゃなかった、来るなー!
いや、やっぱこっち来てくr………
アッ――!」