漫画キャラバトノレロワイアノレ

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1Classical名無しさん
このスレは漫画キャラバトルロワイアルのスレです。
SSの投下も、ここで行ってください 、支援はばいばい猿があるので多めに

前スレ
漫画キャラバトルロワイアル
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1176807207/l50

【外部リンク】
漫画キャラバトルロワイアル掲示板(したらば)
http://jbbs.livedoor.jp/comic/4287/
まとめサイト
http://www32.atwiki.jp/comicroyale/pages/1.html

・参加者リスト・

4/4 【アカギ】○赤木しげる/○市川/○平山幸雄/○鷲巣巌
2/2 【覚悟のススメ】○葉隠覚悟/○葉隠散
3/3 【仮面ライダーSPRITS】 ○本郷猛/○三影英介/○村雨良
4/4 【からくりサーカス】○加藤鳴海/○才賀しろがね/○才賀勝/○白金
4/4 【銀魂】 ○坂田銀時/○神楽/○桂小太郎/○志村新八
4/4 【グラップラー刃牙】○愚地独歩/○花山薫/○範馬刃牙/○範馬勇次郎
4/4 【ジョジョの奇妙な冒険 】○吉良吉影/○空条承太郎/○ジョセフ・ジョースター/○DIO
4/4 【スクライド】○カズマ/○シェリス・アジャーニ/○マーティン・ジグマール/○劉鳳
4/4 【ゼロの使い魔】○キュルケ(略)/○タバサ/○平賀才人/○ルイズ(略)
4/4 【ハヤテのごとく】○綾崎ハヤテ/○桂ヒナギク/○三千院ナギ/○マリア
3/3 【HELLSING】○アーカード/○アレクサンド・アンデルセン/○セラス・ヴィクトリア
4/4 【北斗の拳】○アミバ/○ケンシロウ/○ジャギ/○ラオウ
4/4 【武装錬金】○防人衛/○蝶野攻爵/○津村斗貴子/○武藤カズキ
3/4 【漫画版バトルロワイアル】○川田章吾/○桐山和雄/●杉村弘樹/○三村信史
4/4 【名探偵コナン】 ○江戸川コナン/○灰原哀/○服部平次/○毛利小五郎
4/4 【らき☆すた】○泉こなた/○高良みゆき/○柊かがみ/○柊つかさ
計 59人 / 60人
2Classical名無しさん:07/04/26 01:55 ID:g.JZIxCs
【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』

NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。

上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×

例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×

・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。
・罵倒や過激な内容の議論、展開予想などは毒吐きスレでお願いします。
3Classical名無しさん:07/04/26 01:55 ID:g.JZIxCs
【能力制限】

◆禁止
・アーカードの零号開放
・武藤カズキのヴィクター化
・吉良吉影の“第三の爆弾バイツァ・ダスト”
・ギャランドゥ(ジグマールのアルター)の自立行動(可否は議論中?)

◆威力制限
・ゼロ勢の魔法
・空条承太郎、DIOの時止め
・スクライドキャラのアルター(発動は問題なし、支給品のアルター化はNG)
・アーカードの吸血鬼としての能力
・仮面ライダーの戦闘能力
・シルバースキンの防御力
・北斗神拳の経絡秘孔の効果

◆やや制限?
・グラップラー刃牙勢、北斗の拳勢、仮面ライダー勢、覚悟のススメ勢の肉体的戦闘力
・ジョジョのスタンド(攻撃力が減少、一般人でも視認や接触が可能)
・からくりサーカス勢の解体能力

◆恐らく問題なし
・銀魂キャラ、戦闘経験キャラなどの、「一般人よりは強い」レベルのキャラの肉体的戦闘力

【支給品について】
・動物、使い魔、自動人形などの自立行動が可能な支給品は禁止です。(自立行動を行わないならば意思持ちでも可)
・麻薬、惚れ薬、石仮面などの人格を改変するおそれのある支給品や水の精霊の指輪、アヌビス神などの人格乗っ取り支給品は禁止です。
・核金によって発現する武装錬金は、原作の持ち主の武装錬金に固定されています。
・『DISK』化されたスタンド(可否は議論中?)
4Classical名無しさん:07/04/26 01:55 ID:sbuFG6yo
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → MAP-Cのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム
5Classical名無しさん:07/04/26 01:56 ID:g.JZIxCs
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → MAP-Cのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。
6Classical名無しさん:07/04/26 01:56 ID:g.JZIxCs
被ったごめんorz
7Classical名無しさん:07/04/26 01:58 ID:sbuFG6yo
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの一時投下スレにうpしてください。
・自信がなかったら先に一時投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない一時投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
   ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
   その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。

8Classical名無しさん:07/04/26 01:58 ID:sbuFG6yo
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
9Classical名無しさん:07/04/26 01:59 ID:sbuFG6yo
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
 自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
 また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、スレには色々な情報があります。
・『展開のための展開』はNG
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
 紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効
 携帯からPCに変えるだけでも違います
10Classical名無しさん:07/04/26 02:00 ID:sbuFG6yo
【読み手の心得】
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしは透明あぼーん推奨。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
 同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
 修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
・嫌な気分になったら、ドラえもん(クレヨンしんちゃんも可)を見てマターリしてください。
・「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
 やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
 冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
・感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
 丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
・ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。

【議論の時の心得】
・作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
・ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
・議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
 意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
・『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
  強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
・これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう
11Classical名無しさん:07/04/26 02:02 ID:sbuFG6yo
【禁止事項】
・一度死亡が確定したキャラの復活
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
 程度によっては雑談スレで審議の対象。
・時間軸を遡った話の投下
 例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
 この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
・話の丸投げ
 後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
 特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。

【予約に関してのルール】

・したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行います
・初トリップでの予約作品の投下の場合は予約必須(3日)
 ただし、予約せずに投下できなら、別に初トリでもかまわない

・予約時間延長を申請する場合はその旨を雑談スレで報告
・申請する権利を持つのは「過去に3作以上の作品が”採用された”」書き手

【MAP】
http://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi86138.gif
12 ◆L9juq0uMuo :07/04/26 02:25 ID:vRNh30hs
>>1

そしてトウカします
13銀の道化師と痕面  ◆L9juq0uMuo :07/04/26 02:28 ID:vRNh30hs
『勝を守れば人間になれる』
それが人形である私の存在理由であり、使命である。
その勝という少年が来るまで、私はストローサーカスで働いていた。何時来るかもわからないお坊ちゃまを待つ日々。しかし、事態は急変した。見知らぬ場所に呼び出され、殺し合いをしろと命ぜられ、そして首から上が吹き飛んだ少女。
突然の事態に多少混乱はしたが、だが、それ以上の衝撃が私を襲った。殺し合いの場、校舎らしき場所へと身を移された後、名簿を見るとそこに書いてある一つの名前に目が止まった。
―才賀勝―、私の存在理由である少年がこの殺し合いに呼ばれていた。
私の心は待ち望んでいたお坊ちゃまにやっと会えるという希望と、そのお坊ちゃまが殺し合いの場に連れてこられたという絶望でごちゃまぜになる。
お坊ちゃまはどこにでもいる普通の少年だ。それが先ほどのユウジロウやケンオウという輩とともに殺し合いの場にいる。それは猛獣の満載された檻に一羽の兎を放り込むような物だ。
もし、お坊ちゃまが死んだのならば、私は人形のまま。自分の顔が青ざめていくのがわかる。震えも止まらない。どうあっても私はお坊ちゃまを守らねばならない。しかし生き残れるのは一人きり。ならば―……
「お坊ちゃま以外の参加者を全員殺す」
自然と考えが口から漏れた。お坊ちゃまを守る事が私の存在理由である以上、私のすべき事はお坊ちゃまの優勝の為に一人でも多くの参加者を狩る事、そしてお坊ちゃまの保護。その為にはどのような犠牲も厭わない。
だが一つだけ不安がある。それはお坊ちゃまが私の殺人行為を良しとするかだ。普通の人間ならば人を殺す事など良しとはしないだろう。お坊ちゃまとて例外ではない。
仮に殺人の場面を見られてしまえばお坊ちゃまは決して私に近づく事はしないであろう。一般人の、ましてや子供が、殺人者と行動を共にするわけがない。
何か対策を講じなければ、そんな事を考えながら支給品を確認する。そして一つ目に出てきた物を見て、私は目を見開く。
出てきたのはピエロの衣装セットとメイク道具。通常ならばハズレという部類であろう支給品だ。だが、今の私にとってはこの支給品は当たりだった。これで変装してお坊ちゃまを影から助け、また、参加者を消して行けばいいのだから。
早速私はピエロの衣装に身を包み教室を後にした。全てはお坊ちゃまの為に。
14銀の道化師と痕面  ◆L9juq0uMuo :07/04/26 02:30 ID:vRNh30hs
「ふざけている」
怒りの感情を顕にし津村斗貴子が廊下を歩いている。脳裏に浮かぶのは先ほど『見せしめ』にされた一人の少女。人の命を何とも思わない悪魔の所業。それは絶対に許してはならない。次に浮かぶのは武藤カズキの笑顔。自分の大切な存在
「カズキならこの殺し合いに乗ったりはしないだろう。だが…」
だが、自らを顧みずに弱者を助け、命を散らすのではないだろうか?言い様の無い不安が頭をよぎる。事実、武藤カズキは自分をホムンクルスから助けようとして殺された前歴があるのだ。可能性は限りなく高い。
「一刻も早く、カズキが無茶をしないように合流しないと―」
そこで斗貴子は口を紡ぐ。どこからか、カツン、カツンと階段を降りてくる音が聞こえ。斗貴子は身構える。ややあって、階段から一人の影が廊下へ現れた。その姿はサーカスにいるピエロその物だった。
(ピエロ……?)
その場違いな格好に、斗貴子は自分達と同じ様にここに呼ばれた変体ホムンクルスを一瞬連想し、怪訝な表情を浮かべる。
「一つだけ質問する。お前はこの殺し合いに乗っているのか?」
「……」
ピエロは答えず。その代わりに、手に持った投げナイフで答えた。
「……!」
投函されたナイフを避けと斗貴子に、次いで二本目、三本目のナイフが襲い掛かる。
(この一直線の廊下では分が悪い、ここは一旦退く!)
紙一重でナイフをかわし、弾かれる様に斗貴子はピエロが来た方向とは逆方向の階段へと走り出す。
「…逃がさん」
凛とした、氷を思わせる冷たい声で呟きながらピエロは後を追う。
(くそっ!バルキリースカートがあればあんな奴…)
だがしかし、事前に確認した支給品の中には核金は入っていなかった。心の中で悪態をつきつつ階段を降りた斗貴子は、昇降口を目指して走る。後少しで昇降口へつく。その時教室から巨大な影がぬうっと姿を現した。
15銀の道化師と痕面  ◆L9juq0uMuo :07/04/26 02:31 ID:vRNh30hs
(新手―!?)
立ちはだかる傷だらけの顔の大男を前に斗貴子うろたえる。目の前の男はどうみても乗っている。前門の痕面(スカーフェイス)後門の道化師(ピエロ)正に万事休すである。
「…新手か、どちらにしろお前に逃げ場はない」
その声に斗貴子が振り向くと両手に投げナイフを携えたピエロが、今正にナイフを投げようと手を振り上げていた。斗貴この身を絶望が支配する。そして、眉間目掛けナイフは投げられた。
(すまない、カズキ、戦士長…)
ぎゅっと目を閉じ覚悟を決めた。…しかしいつまで経っても痛みも衝撃も来ない。
(……?)
不思議に重い目を開けると、そこには自分を守るように巨大な腕が斗貴子の顔を
守っていた。
「姉ちゃん、大丈夫かい?」
その腕の主、痕面の男が、腕に刺さったナイフを抜きながら斗貴子に尋ねる。
「あ、ああ」
何が起こったか事情を理解できず若干混乱しながら斗貴子が答える。だがそれはピエロも同じだったらしい。
「……殺し合いには乗ってないのか」
ピエロの問いに痕面の男は素っ気無く答える。
「堅気を殺す気はねぇ」
そう言って痕面の男、花山薫はピエロと対峙する。
「まだやるかい?」
構えを取る花山に対しピエロの取った行動は、逃走だった。窓を蹴破りアクロバティックな動きでピエロは闇の中へと消えた。
「逃げるか…」
そう言ってピエロを視線だけで追った後、花山は斗貴子へと向き直る。
「怪我はねえかい?」
「え、あ、いや、そっちこそ私を庇って……」
そう言って斗貴子は、花山の白いスーツの一点だけ破けた場所に視線を向ける
「この程度、怪我の内にも入らねぇ」
ナイフの痛みなど意にも介さずと言った感じで花山は答える。
「とりあえず、何があったか教えて貰おうか」
津村斗貴子と花山薫、二人の痕面の夜はこうして更けていった。
16銀の道化師と痕面  ◆L9juq0uMuo :07/04/26 02:32 ID:vRNh30hs
【C-4 学校校舎・昇降口/1日目/深夜】
【津村斗貴子@武装錬金】
[状態]:健康。
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1〜3、本人確認済み)
[思考・状況]
基本:主催者に深い怒り・カズキが心配
1:花山と情報交換
2:カズキ、またはブラボーと合流。パピヨンには警戒
[備考]
※一応本編終了後、武装錬金ピリオド辺りから登場。

【C-4 学校校舎・昇降口/1日目/深夜】
【花山薫@グラップラー刃牙】
[状態]:健康。
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1〜3、本人未確認)
[思考・状況]
基本:乗っていない奴は助けるor手を出さない
1:斗貴子と情報交換
[備考]
※地下トーナメント戦後
17Crassical名無しさん:07/04/26 02:35 ID:AqZfEarQ
しえん
18銀の道化師と痕面  ◆L9juq0uMuo :07/04/26 02:35 ID:vRNh30hs
「クソッ」
闇に紛れ私は悪態を着いた。まずは一人目、そう思ったがあのでかい男に邪魔された。だが、どうやらあの二人は殺し合いには乗っていないらしい。ならば、お坊ちゃまを保護してくれるかもしれない。それならばあの二人は保留にしておいても問題は無いだろう。
それよりも問題がある。私の支給品はピエロの変装セット、投げナイフ、そして最後の一つはただの飲み物。青汁DXなる物。これから導き出されるものは圧倒的火力不足。これでは先ほどの大男のような相手が来た場合手も足も出ないだろう。
「武器が、もっと強力な武器が欲しい」
そう、お坊ちゃまを守る為、強敵を屠る為の武器が。
「このまま北上し、漁ってみるか」
待っていてくださいお坊ちゃま。このしろがねが命を賭してでも貴方様を生き残らせて見せますから。

―そして銀の道化師は獲物を求め闇に消えた。

【C-4 道路/1日目/深夜】
【才賀しろがね@からくりサーカス】
[状態]:健康。
[装備]:ピエロの衣装&メイク@からくりサーカス、ヴィルマの投げナイフ@からくりサー
19Crassical名無しさん:07/04/26 02:38 ID:AqZfEarQ
しえん
20銀の道化師と痕面 ◆L9juq0uMuo :07/04/26 02:38 ID:vRNh30hs
「クソッ」
闇に紛れ私は悪態を着いた。まずは一人目、そう思ったがあのでかい男に邪魔された。だが、どうやらあの二人は殺し合いには乗っていないらしい。ならば、お坊ちゃまを保護してくれるかもしれない。それならばあの二人は保留にしておいても問題は無いだろう。
それよりも問題がある。私の支給品はピエロの変装セット、投げナイフ、そして最後の一つはただの飲み物。青汁DXなる物。これから導き出されるものは圧倒的火力不足。これでは先ほどの大男のような相手が来た場合手も足も出ないだろう。
「武器が、もっと強力な武器が欲しい」
そう、お坊ちゃまを守る為、強敵を屠る為の武器が。
「このまま北上し、漁ってみるか」
待っていてくださいお坊ちゃま。このしろがねが命を賭してでも貴方様を生き残らせて見せますから。

―そして銀の道化師は獲物を求め闇に消えた。

【C-4 道路/1日目/深夜】
【才賀しろがね@からくりサーカス】
[状態]:健康。
[装備]:ピエロの衣装&メイク@からくりサーカス、ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス(残り16本)
[道具]:青汁DX@武装錬金
[思考・状況]
基本:見敵必殺、勝の保護
1:勝を優勝させるため皆殺し
2:強力な武器が欲しい・現在北上中
3:花山、斗貴子に関しては襲うのは保留
[備考]
※一巻の勝と出会う前
21Crassical名無しさん:07/04/26 02:39 ID:AqZfEarQ
しえん
22Classical名無しさん:07/04/26 02:41 ID:AqZfEarQ
しえん
23 ◆L9juq0uMuo :07/04/26 02:42 ID:vRNh30hs
以上でトウカ終了します>>18は無かった事にしてくださいorz
質問疑問等あったらばお願いします
24Classical名無しさん:07/04/26 08:22 ID:4O5aPHrs
乙&GJ!
しかししろがね登場の時間軸が意外だった
他のからくり勢のがいつから来たのかどうなるにしろ楽しみ
25Classical名無しさん:07/04/26 10:34 ID:C3IIkoAw
男女問わずスカーフェイスなキャラが好きな俺にはたまらんコンビが結成されたな。
26Classical名無しさん:07/04/26 12:28 ID:RVFFO/d.

ところどころ推敲不足が目立つのがちと勿体無いと思った
内容は悪くないので、次からはがんばって〜


ところでスレタイの「ル」がどっちも「ノレ」になってるんだけど、そんな打ち合わせしてたっけ?
27Classical名無しさん:07/04/26 16:47 ID:sbuFG6yo
>>20
トウカ乙!!
参加時期がいいね。
ここにまたマーダーの登場か……。
wktk

後、一時投下スレの方も乙!!
なんつーか才人がかわいそうになっちまったよwww
話自体は面白かったけど、マーダーは大切にしようぜ。
敢えて言うとしたらそんだけ。


全体へ:
まとめが全然更新されないんで、作品を上げてみたが上手くいかねーよう……。
誰か援護頼む!!

2827:07/04/26 16:49 ID:sbuFG6yo
後、まとめの人、まだ見てたら「書き手紹介」みたいな項目が欲しいかも。
あれがあると書き手は、自分の作品群を眺めてちょっといい気分になれるという効果があるのだ。
せっかくトリップもつけてるわけだしね……。

是非頼む。
29Classical名無しさん:07/04/26 16:54 ID:N6uhz2K6
wikiなんだから欲しければ自分でやれよ
30Classical名無しさん:07/04/26 16:57 ID:sbuFG6yo
>>29
メニューの項目増やせるのは、作った人だけっぽいのよ。

それと冗談っぽく言ったのはまずかったが、誰が何作投下したか分からんと、
予約延長の可否が分からんから、どう考えても必要だと思うわけだ。
31Classical名無しさん:07/04/26 17:03 ID:kpQZw5oY
>>30
wikiの左側のメニューから「メニュー」をクリック

右側に左側と全く同じメニューが表示されるから、そこで「このページを編集する」をクリック

これでいけると思う
32Classical名無しさん:07/04/26 17:05 ID:sbuFG6yo
>>31
thanks
33Classical名無しさん:07/04/26 17:09 ID:UYAr4E/A
アカギ勢がなかったことになりそうな予感
34Classical名無しさん:07/04/26 17:14 ID:II5IrBP2
鷲巣ならかなりいい支給品3つ与えて天からの指令だの生き残れとの神のお告げだの言わせればおk
35Classical名無しさん:07/04/26 17:34 ID:GD3eXll.
鷲巣の頭を駆け巡る脳内物質…!
36Classical名無しさん:07/04/26 17:36 ID:kpQZw5oY
アカギと鷲巣様はともかく、他の二人が活躍する姿がどうやっても想像できない……
3727:07/04/26 17:59 ID:sbuFG6yo
作者の方々、多分改行とかに関して言いたいことがおありでしょうが、どうかご勘弁を。
後は、セルフサービスでお願いします。

つ、疲れた……。
38Classical名無しさん:07/04/26 18:01 ID:II5IrBP2
ロワリレー参加したことないけどアカギの市川で何か書いてみようと思ったが
どう動かせばいいか全然わからない。しかもあいつ盲目じゃねーか。誰だ参戦させた鬼は
39Classical名無しさん:07/04/26 18:42 ID:0uoXdlkA
というか、アカギ勢マジでどうにかしようぜ。早めに……
現状で書ける人が誰もいない以上、外す(参加者数を60→56人にする)か参加作品をアカギから別の作品にして四人分埋め合わせるなり……
40Classical名無しさん:07/04/26 19:13 ID:II5IrBP2
1.そのまま
2.他の漫画と交換
3.アカギ削除

2.なら当然投票だろうけど始まってから今頃という気もしないわけではない
41Classical名無しさん:07/04/26 19:25 ID:RVFFO/d.
投票のころの自己申告でも、アカギ書ける人はぜんぜんいなかったような…
42Classical名無しさん:07/04/26 19:29 ID:k2TLMUHk
月末までに予約が入らなかったら削除でいく?
43Classical名無しさん:07/04/26 19:29 ID:p2W.dxp.
読んだことがあっても書けない。それがアカギクオリティ
44Classical名無しさん:07/04/26 20:03 ID:JwuW66x6
>>40 4.カイジに入れ替え(黒沢など)も追加で
45Classical名無しさん:07/04/26 20:04 ID:yvQ5u/Ro
したらばとかでも投票するか?
46Classical名無しさん:07/04/26 20:05 ID:xoKIHFwk
アカギでてルーーーー
47Classical名無しさん:07/04/26 20:07 ID:yvQ5u/Ro
と、思ったら主人公の予約がしたらばにきたようだ。
48Classical名無しさん:07/04/26 20:13 ID:7vqYRnsY
これでアカギ議論は止めていいのかな?
書き手一人ではどの道やばい気がするが
49Classical名無しさん:07/04/26 20:35 ID:xoKIHFwk
初日の期限が来たので予約情報の整理をしました
期限は3日で良いんですよね
【4/26(木)〜4/29(日)の予約】
◆7jHdbxmvfI氏:00:10:12キュルケ、神楽
◆33iayeGo/Y氏:00:32:11カズマ、平次、タバサ
◆rnjkXI1h76氏:00:42:06川田章吾、柊つかさ
◆L9juq0uMuo氏:19:31:34加藤鳴海、赤木しげる

1日延長申請中【4/23(月)〜4/26(木)の予約】
◆qvvXwosbJA氏:00:00:17 ジャギ・柊かがみ・桂小太郎

予約の期限切れ詳細求む【4/23(月)〜4/26(木)の予約】
◆ozOtJW9BFA氏:00:00:26 空条承太郎、三千院ナギ
◆8CP5okaGrU氏:00:27:37 武藤カズキ 白金(フェイスレス)
◆VACHiMDUA6氏:10:48:36 アレクサンド・アンデルセン、桂ヒナギク、本郷猛、毛利小五郎
◆BRxsUzTn5A氏:17:52:49 志村新八、コナン
50 ◆ozOtJW9BFA :07/04/26 20:37 ID:9It5N9Vs
連絡が遅くなってすいません。
今夜中には投下出来そうなので、1日延長お願いします。
51Classical名無しさん:07/04/26 20:47 ID:IiVTGVWU
>>50
ガンバ!
期待しています。
52Classical名無しさん:07/04/26 21:16 ID:Iw8LWHD.
支給品に銀魂で出てきた紅桜ってありだと思う?
53Classical名無しさん:07/04/26 21:20 ID:4O5aPHrs
どうだろね
オリキャラ化にもなりそうな気はする
あの呪いの刀は完璧アウトだろうけど
54 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/26 21:44 ID:h826HfRs
一時投下スレに投下しました。ご意見、ご感想をお願いします。
55 ◆BRxsUzTn5A :07/04/26 21:45 ID:yvQ5u/Ro
すみません、あと1,2日延長の容赦願いますか?
俺も多分今日中には無理そうです。
56 ◆8CP5okaGrU :07/04/26 21:58 ID:0i11YFYE
遅れまして、すいません。
投下します。
57Classical名無しさん:07/04/26 22:03 ID:0i11YFYE
森閑とした工場が立ち並ぶある一角。
そこに少年と老人がお互いの視線を対峙させていた。
少年は背を向けた形、老人は少年を直視する形で。
沈黙が二人の間を支配していた。

――時は遡る.

月光をライトにした静寂の広がる工場でその場にふさわしくない音が周囲を蝕む。ガサゴトとパックを漁る音。
武藤カズキは焦っていた。それもそのはず、自分の知り合いが陰惨な殺し合いに参加し、刻々と命の危険に晒されている。
自分の仲間たちはちょっとやそっとでは殺されないだろう。
しかし、カズキの性格上心配で仕方なかった一刻も早く助け出しにいかなければならない。
焦りのためか、なかなかパックの中身が取り出せないでいた。

四苦八苦しながらも何とかランタンを見つけ、
気を落ち着かせるため水の入ったペットボトルに手をつける。
グビグビと水分が体に浸透すると共に、少しだが落ち着いていく。
カズキは中身の物を確認するかのように1つずつ地面に並べた。
パックの中身がおおむね把握できた。
その中でも、特に目付いたのは紙に包まれていた三種類の手榴弾である。
58Classical名無しさん:07/04/26 22:04 ID:VCc2ZN3o
 
59Classical名無しさん:07/04/26 22:05 ID:KAqr0eZw
支援
60甘さを捨てろ:07/04/26 22:06 ID:0i11YFYE
質感、重量、造形は同じである。ただ、色が違っていた。
赤、青、黄。それらはランタンの光にどす黒く色づいている。

これだけでは詳細がわからない。
パックに説明書がないかと、空っぽになったと思われるパックの底を持ち上げ、中身をぶちまける。
カサっと軽い質音が鳴る。グシャグシャに包まった紙が地に転がっていく。
たぶん漁ってるうちに丸まったんだろう。それを拾い、引き伸ばす。
手榴弾のことが事細かに書かれている説明書であった。
音響、催涙、黄燐。それらがそれぞれの名前である。
61Classical名無しさん:07/04/26 22:10 ID:AqZfEarQ
支援
62Classical名無しさん:07/04/26 22:10 ID:VCc2ZN3o
 
63甘さを捨てろ:07/04/26 22:10 ID:0i11YFYE
自分にとって喜ばしいことなのだろうかとカズキは哀しい笑みを浮かべる。
これらのアイテムが出てきたことによって、自分が殺し合いの前線に立っているのだと再認識させられたからである。
でも、それなりに自分を優位にたたせるものが出てきて、それに嬉しがる自分。
その矛盾した気持ちに哀しくなった。でも、哀しんでいられない。

説明書を読むかぎり、これらの手榴弾は少々扱いづらい物ばかりである。
確かに自分を優位にたたせるアイテムである。
しかし、咄嗟の状況では自分にも被害が及ぶ諸刃の剣である。
音響は突然の騒音で相手の聴覚を奪い、相手をショック状態にさせる。
催涙は相手の鼻腔や眼球などに付着することで咳き込ませたり、涙を流させる。
そして、最後に最も危険である黄燐――これは焼夷弾の一種で、
爆発と同時に周囲を炎上させ、それと同時に催涙とほぼ同じ効果がある猛毒の白煙を上げる。
しかも、黄燐は一度発火し、人体に付着すれば。
ちょっとした突風が吹こうが、地面に転がろうが、なかなか消火しにくいもので、凶悪なものである。
催涙も音響も黄燐もある程度距離とって使用しなければならない。
このサバイバルゲームの中では突然の敵襲、奇襲、夜襲が当たり前。だから、扱い辛いのである。

手榴弾の種類はわかった。そして、最後に最も肝心であるどの色にどの性能があてはまるのか。
カズキの眼が判別の項目に差し掛かったとき。
64Classical名無しさん:07/04/26 22:10 ID:IiVTGVWU
支援
65甘さを捨てろ:07/04/26 22:12 ID:0i11YFYE
気配を感じた……それも後ろからである。
言い知れぬものを感じて、汗がドット湧き出る。
座り込んで無防備な自分の背中に何かがいる。心の中が緊張で一杯になっていく。
後ろを振り向きたくない。振り向けば殺されるかもしれない。
だけど、そういうわけにもいかない。カズキは恐る恐る後ろを振り向く。
そこには、得体の知れないサングラスをかけた老人がいた。
ランタンの光が逆光となり、老人の表情が不気味に映らせる。
それが、さらにカズキの不安感を煽った。

――そして時は戻る。

お互いに見詰め合ったまま暗黙のような沈黙が続いている。
カズキはどうにかこの不利な状況から脱却できないか思考をめぐらす。
謎の老人はなぜか人形のように黙り込んでいるが、攻撃を仕掛けて来るかもしれない。
武装連金を発動させるか、いや、発動させるには声を出さなければならない。怪しまれてしまう。
手榴弾を使うか、いや、まだ種類を判別していない状態では自分も巻き込まれかねない。
それ以前に少しでも不振な動きをすれば、殺られる。
カズキは活路を見出そうとするが、この不利な状況の前では、どうしようもなかった。

―――刹那

今まで、動きを見せなかった老人が行動を起こす。
カズキもそれに続き、戦闘の態勢にはいる。圧倒的に不利である。覚悟を決める。
「武そ…」

66Classical名無しさん :07/04/26 22:13 ID:9It5N9Vs
支援
67Classical名無しさん:07/04/26 22:13 ID:VCc2ZN3o
   
68甘さを捨てろ:07/04/26 22:14 ID:0i11YFYE
「うちゅーぢんだよ〜〜〜、ぴきゃぺきょり〜ん」
そこには、まぬけな顔をした老人がいた。
顔がゴムのように伸びきって、歯グキが猿の威嚇ようにむき出しになっている。
普段のカズキなら、笑い転げるだろうが。
呆気。カズキは突然の老人の奇行に戸惑いを覚えた。
「えっ、あっ……」
また、静寂が広がる。カズキはどう反応すればわからなかった。

「…………ちぇー、冗談も分からない奴かよ……僕はフェイスレスだ」
突然の自己紹介。困惑しながらもカズキも返す。
「あ、オレは武藤カズキ。青汁が似合う16歳」
「そうか、さっそくで悪いけど、カズキクン。君はここがどこで、主催者が何者か知っているかね。
 もし知っているなら、カズキ君が知っていること全て教えてくれないか」

カズキは不信を感じながらも、断る理由がないので武装錬金を除く、自分の知っていることを全て話した。
ここに来た経緯。自分の仲間。今感じている思い。後悔と憤り。
「そうかカズキ君は僕と同じで何も知らないままここに来たのか。彼女は君の知り合いだったのか。
 それは気の毒なこと思い出せて申し訳ない」
そう、最初に見せしめに殺されたメイド服の女の子。
無慈悲にも殺された。あの時、何も出来なかった自分。
カズキは怒りに溢れた。その憤りを木に叩きつける。
そんなことしても意味がないのはわかっていた。でも、そうしないと収まりがつかなかった。
69Classical名無しさん:07/04/26 22:15 ID:VCc2ZN3o
  
70甘さを捨てろ:07/04/26 22:16 ID:0i11YFYE
「いえ、違います。けど、オレは…オレは…」
守れなかった。何も出来なかった。
突如のことで仕方がないかもしれない。でも、カズキはまるで自分のことのように悔やんだ。

影を落とすカズキを尻目にフェイスレスは嘲笑のような笑みをうっすら浮かべる。サングラスが黒く光る。
「突然で悪いけど、カズキクン。僕には絶対に叶えたい『夢』があるんだ。だからさ……」
カズキは突然の意味不明な台詞にハテナマークを傾げる。
が、その後の言葉に呆然とさせられる。
「死んでくれないか」

『死んでくれないか』という言葉。カズキは驚愕した。
さっきまで、普通に話していたのに、このいきなりの変容。疑問が沸き起こる。
後ろにステップを踏み、警戒態勢に入る。
「何の冗談だよ……フェイスレスさん……」
疑問をぶつける。ただの冗談じゃないかと思いたかった。
でも、無常にも、フェイスレスは楽しそうに応える。
「どういうことも、そのまんまの意味だよん。君には死んでもらうよ。まあ、抵抗するだろうから、
 そこの手榴弾を拾わせる時間をあげるよ。僕には一切通用しないけど」
「どうしても…オレを殺すつもりなのか……」

返事は……なかった。高笑いのみだった。
そんな殺し合いに乗るなんて、カズキに半ば諦めに似た感情が生まれる。そして、胸に手を当て叫ぶ。
「武 装 錬 金!!」
71Classical名無しさん:07/04/26 22:17 ID:IiVTGVWU
支援
72Classical名無しさん:07/04/26 22:18 ID:VCc2ZN3o
      
73Classical名無しさん:07/04/26 22:18 ID:yvQ5u/Ro
支援
74甘さを捨てろ:07/04/26 22:20 ID:0i11YFYE
カズキの両手に小柄のランスがなじむ。自分の相棒ともいえるサンライトハート。
かけ声と共に機械仕掛けの槍が現れたことにフェイスレスは驚嘆した。
「すっげ…」
純粋に驚いたから出た言葉であった。長い間生きている自分の理解を超えた未知の産物。
フェイスレスは始めてみるそれが嬉しかった。
「驚いたよ,カズキ君。この世には僕の知らないようなことがあるんだなんて。
 だが、現在の錬金術=科学の練達者であるフェイスレスには『分解』するには朝飯前さ」
フェイスレスは手に内蔵している工具を出し、カズキに踏み出す。
そして、槍目掛け、一瞬で『分解』するはずだった。だが……。

――ガキィィッ
と、音と共に『分解』をしのぐ。槍の刃先で受け止めたのだ。
「へぇ」
なかなかやるなと感心しながら、フェイスレスは第二打をはなつ。
それも、受け止められる。第三打。第四打。カズキは全て受け止める。

二人は一旦バックステップをとり、間合いを取る。互いの視線が対峙する。
初めて出会ったときの状態ではなく、向き合った形である。
「コレは斗貴子さんがくれた。オレの新しい命……皆を守るための命だ!
 オマエになんか『分解』させはしない!!」
フェイスレスは本気を出していないとはいえ、半機械化した自分の攻撃を防いだカズキに興味がそそられた。槍のことを含め。
75Classical名無しさん:07/04/26 22:21 ID:h826HfRs
支援
76Classical名無しさん:07/04/26 22:22 ID:yvQ5u/Ro
支援中の支援ッ!
77甘さを捨てろ:07/04/26 22:23 ID:0i11YFYE
それに――――似ている。
腹の底から笑いがこみ上げて来る。
フェイスレスは手をたたき、喝采を贈る。
「何がおかしい」
「はっはっはっは。おもしろいよ、カズキ君。僕は君に興味が出てきたよ。
 君の持つ槍、そして君自身。君は本当に優しさと思いやりに溢れ、博愛精神の塊だよ。
 まるでマサル君そっくりだ。だからさ、ここで一度戦いはお預けにしようじゃないか」
カズキにとって朗報。しかし、まだ安心はできなかった。
「でも、フェイスレス、お前は人を殺すんだろ……だから、約束しろ人は殺さないって」
「それはできないよ〜ん。僕には『夢』があるからね。それに君は僕を殺せない」

フェイスレスはカズキに背を向け歩き出す。
それは、まるで逃げるとはいえず普通に歩を進めている。
カズキはそんな殺人鬼を放置するわけなく槍を構えて呼び止める。
しかし、それでも歩みを止めない。
「そんなにも、僕を止めたいなら、僕を殺すしかない。でも、君は僕を殺すことはできない。
 君は背を向け、戦意をなくした相手に刃を向けるほど強くない」
フェイスレスは言い放つ。カズキの甘い性格を見極めて上での発言であった。
そう、言えば、博愛精神に溢れた彼は攻撃できない。
効果的にカズキを押しとどめる台詞。
78Classical名無しさん:07/04/26 22:24 ID:VCc2ZN3o
         
79Classical名無しさん:07/04/26 22:24 ID:IiVTGVWU
支援
80甘さを捨てろ:07/04/26 22:26 ID:0i11YFYE
カズキは歩みを止める。まさにその通りであった。背を向けた相手を攻撃できない。
たとえそれが殺しに乗った相手だろうと。
カズキが今まで戦ってきた相手は自分に敵意を向けてきた者や人間に牙を向くホムンクルス達であった。
お互いに正面からぶつかる正々堂々とした戦いが多かった。
化け物であろうが人間であろうが正面からぶつかる。
ある種カズキの信念のようなものである。
だからこそ、出来なかった。止めたいのに、止められない。
矛盾。

フェイスレスは忘れていた、と大きな身振りで指を立てる。
「ああ、そうそう、カズキ君。もし、才賀勝と言う少年にあったら、伝えておいてくれないか。
 『僕たちのゲームは一時休戦だ、協力し合おうじゃないか』と」
矛盾に苦悩するカズキを片隅に話を続ける。
「それと、マサル君とエレオノールという銀髪の女性に会ったら守ってくれないか。
 特にマサル君は君に劣らず博愛精神の持ち主でね。結構無茶をするから心配なんだよ。
 死なれたら困るからね。それに、君と気が合うと思うからきっといい友達になるよ。
 では、頼んだよ、生きていたらまた会おう、カズキ君」
そして、フェイスレスは工場の奥へと暗闇に溶け込むように消えていった。約束の言霊を残して。

笑い声が幾つもの並んだ工場に木霊する。木霊が散れると同時に静寂が広がる。
フェイスレスがいたアスファルトには、もう何もなかった。
そこには、ただランタンに照らされたカズキの影法師が静かに揺らめいていた。

81Classical名無しさん:07/04/26 22:27 ID:yvQ5u/Ro
支援
82Classical名無しさん:07/04/26 22:28 ID:0i11YFYE
【B-2 工場団地の南部/1日目/深夜】

【武藤カズキ@武装錬金】
{状態}健康 
{装備}音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾@現実
(道具)支給品一式 水分4/5
{思考}
基本:弱い人達を守る
1: フェイスレスを止めることが出来たのに…
2: 仲間を探しに行きたい
3: フェイスレスの約束を守る
4: 勝君とエレオノールやらに会ってみたい
※本編終了後、武装錬金ピリオド辺りから登場。

【B-3 北東 /1日目/深夜】

【白金(フェイスレス)@からくりのサーカス】
{状態}愉快
{装備}???
{道具}支給品一式 ???
{思考}
基本:『夢』を叶えるために首輪を『分解』する
1:利用できる奴は利用する(勝やエレオノールを守らせるなど)
2:参加者から情報を得る
3:首輪を集め、分解する(実験用を含め、少なくとも5つは欲しい)
4:利用できない弱者は殺す(首輪を集めるため)
5:極力強い人間との戦闘は避ける
※フェイスレスの参入時期は勝と二年間のゲームを開始したあたりです。
83 ◆8CP5okaGrU :07/04/26 22:30 ID:0i11YFYE
投下完了しました。
支援してくださり、ありがとうございます。
あと、途中で間違ってageてしまいすいません。
指摘などありましたら、言ってください。
84Classical名無しさん:07/04/26 22:34 ID:AqZfEarQ
>>83
トウカ乙&GJ!
フェイスレスやカズキが今のしろがねと遭遇したらどうなるだろうな
85Classical名無しさん:07/04/26 22:34 ID:Un2UwhIw
投下乙
それぞれのキャラ『らしさ』が出てて良かったと思う
フェイスレスは対主催の希望になり得る可能性もあんのかw

後、指摘一つだけ
>「コレは斗貴子さんがくれた。オレの新しい命……皆を守るための命だ!
>オマエになんか『分解』させはしない!!」
この台詞に違和感を感じた
フェイスレスの分解は言葉だけじゃなくて、実際に見てみないとどんな技か理解出来ないと思う
86Classical名無しさん:07/04/26 22:34 ID:STFsiLiI
乙!
カズキのサンライトハートは+のほうってことでいいのかな?
87Classical名無しさん:07/04/26 22:35 ID:7vqYRnsY
>>83
GJ!!
フェイスレスのキャラがいいな。漫画読みたくなった。

>>54
ちょ!才人死んでる。
書き手の自由だけど、出来ることなら前者の方が個人的にはお気に入り。
腰抜かして殺されるってちょっと酷い。
88Classical名無しさん:07/04/26 22:42 ID:yvQ5u/Ro
>>54
俺も前者の方が良かったな。
逃走した方がその後の展開とかに多様性がでそうだったんだが
残念
89Classical名無しさん:07/04/26 22:42 ID:KAqr0eZw
>>54
俺は後者のがいいと思うよ。吸血鬼2人の凶悪さがよく出てたし。
>>83
投下乙。フェイスレスは知らんがいいキャラだな。
細かくて申し訳ないが、
>しかし、カズキの性格上心配で仕方なかった
この後の句読点が抜けてるっぽい。
90Classical名無しさん:07/04/26 22:48 ID:IiVTGVWU
投下乙!
カズキいいな。
フェイスレスもひょうきんだ。からくり読んでみようかな。

>>54
俺も後者支持。
前者だと才人がビビリ君に見えたから、後者がまだ意地を通していると思う。
でもどっちにしろDIO様ピンチだ。
91Classical名無しさん:07/04/26 22:52 ID:2Q5vjOQg
一時投下スレに投稿した人……今更ながら一つ突っ込みを許してくれ


アーカードは高位の吸血鬼なので、日光はあくまで嫌いなだけで別に弱点じゃありません
つまり紫外線照射装置により紫外線を浴びても大したダメージは受けません
92Classical名無しさん:07/04/26 22:52 ID:7vqYRnsY
最初から後者なら諦めたけど、最初の投下で生き残って安心しただけにショックが……
何というか茫然自失。
ゼロ魔好きだからどうしても贔屓入るけど、出来れば前者の方が嬉しかったな。
アニロワの再現みたいで残念。
93Classical名無しさん:07/04/26 22:54 ID:RVFFO/d.

マサル君と才賀勝って別人?
カズキにまるで別人みたいに説明してる気がするんだが、読み違えてるだけかな

>>54
別にどっちでもかまわないけど、
改訂版のほうがとってつけたような死亡に見えたのが少し残念だったかな
94 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/26 23:05 ID:h826HfRs
ただいまどちらの展開にすればいいのか迷っています。
引き続き皆さんの意見を聞かせてください。

>>91
制限されたアーカードならば、凝縮された紫外線でダメージを受けてもおかしくはない。
と考えて書いたのですが、やはりキャラの個性を侵害してしまっているのかな……
見た目は派手だが実際はそれほどダメージを受けていない、DIOとのダメージの違い、辺りの描写を追加で許してもらえませんか?
95Classical名無しさん:07/04/26 23:15 ID:Qp.XeXaw
DIOしか知らないから、一時投下作品に関しては何もいえません。


勝のSSは面白かった。フェイスレスの性格がよく表れてると思った。
ただ、こうしてみると投稿制限がきつい事がよく分かるなぁ……

あとwikiにファイルをアップできるようにしたんで地図の方誰かお願いします。
96Classical名無しさん:07/04/26 23:21 ID:sbuFG6yo
>>83
フェイスレスがいいキャラだ……。
何か大物っぽくていいw カズキが「夢」の内容を聞いたらひっくり返るだろうなあw
投下乙!



>>95
お疲れ様〜。
裏方仕事は大事やね、本当。
97Classical名無しさん:07/04/26 23:29 ID:2Q5vjOQg
>>95
地図はアップしたけどそこから先が分からない……

あとは誰か頼んだ
98Classical名無しさん:07/04/26 23:37 ID:Qp.XeXaw
>>97
乙。  一瞬、俺にしかマップ弄れないのかと思って焦っちゃったよ。
単に#が抜けてただけらしい。
99Classical名無しさん:07/04/26 23:40 ID:sbuFG6yo
>>97
マジで乙!!
100Classical名無しさん:07/04/26 23:51 ID:AqZfEarQ
>>94
でもDIOは太陽の光浴びただけで風化。旦那は苦手なくらいで日中に出ても特に目立った外傷なしだった筈だから、旦那がダメージ多くないにしろ肉体が崩れるほどの紫外線をDIOが浴びたら一撃死しそうな気が。
今更で本当に申し訳ないんだけど
101Classical名無しさん:07/04/26 23:59 ID:RVFFO/d.
意見募るのはいいんだが、住人の希望でキャラの生死が決まるのってなんか複雑だな
そういう状況にしたも同然だから仕方ないんだけど
102Classical名無しさん:07/04/27 00:10 ID:.rWMmcP6
かなりディープな話題だから作者の方が迷うのでしたら投票するのは?
ここでは投下の差し支えになるのでしたらばの方が懸命だけど。
103 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 00:23 ID:GNV2PlKg
差し替えを取り消します、具体的には才人生存の方向で本投下にむけて修正を行います。
これを最後の変更とし、今後内容を大幅に差し替えることはありません。

ご迷惑をかけてすみませんでした。意見をくださった皆に感謝。
104Classical名無しさん:07/04/27 00:27 ID:.rWMmcP6
>>103
早い判断乙です。
修正頑張ってください。応援します。
105Classical名無しさん:07/04/27 00:31 ID:XVGLuuNg
取り消しか。
作者さんの決定なので結果がどちらに転んでも自分は問題ないが
このSSは前者支持と後者支持とどっちも半々にいそうだからな、
やはりこれは難しいな
106Classical名無しさん:07/04/27 00:34 ID:A/SmiTJk
よく見たらアーカードの支給品戦闘機かよ。凄いな。

やっぱり一度書かれたキャラ書くよりも、書かれてないキャラを消化したほうがいいのかな?
アカギ勢もアカギは予約しか方がいたけど、他はどうすんだろうか?
107 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:19 ID:GNV2PlKg
本投下を開始します。
108Classical名無しさん:07/04/27 01:23 ID:vFtbUyQw
ならば支援しかないな、カマーン
109Classical名無しさん:07/04/27 01:23 ID:.rWMmcP6
支援
110吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:24 ID:GNV2PlKg
 一介の日本人高校生だった俺が「ハルゲニア」に召喚されたのはいつのことだっただろうか。
 今までの知り合いが誰もいない世界、唯一繋がりのあるルイズからは犬扱いされて苛められる。心から日本に帰りたいと思った日々。
 そんな時に唯一優しく接してしてくれたのが、シェスタを始めとする厨房の皆だった。まさに心のオアシス――彼女達がいてくれたからつらい事も我慢して生活できた。
 そして過ぎていく時間と共に生活は変わっていく。タバサ、キュルケ、ギーシュを始めとする友達や、アンリエッタ王女やコルベール先生という良き理解者ができた。
 ひたむきに好意を寄せてくれる恋人のような友達、シェスタ、高飛車で意地悪だけどたまに見せる優しさが可愛らしいご主人様、ルイズ。二人に囲まれるて過ごす日々は幸せだった。
(そう、別に日本に戻れなくても構わない、「ハルゲニア」で一生を暮らすのも悪くないとさえ最近は感じていたんだ。)

 だが、いま俺は日本に帰ってきている――考えたことも無かった最悪の形で……


「……シェスタ…………くそっ、俺がもっとしっかりしてれば!」
 老人に指名されたときにもっと食い下がる、爆破の宣言から実行までの間に首輪に処置を施す。
 (そうだ、シェスタを助けられる方法はいくらでもあった。それなのに俺はいったい何をしてたんだ……)
 状況が掴めなくて混乱していた、危機感が足りなかった、まさか殺されるなんて思わなかった、武器が無くて不安だった、空間に溢れる闘気に怖気づいていた。
 自分の情けなさが憎い。この弱さはもはや罪だ、だがもっと大きな罪が俺にはある――それは人の命を秤にかけてしまったこと――
 シェスタに声がかかったあのとき、俺の側には二人がいた。不安そうな瞳でこちらを見つめているシェスタ、平静を装いながらも震えを隠せていないルイズ。
 ルイズの側に留まるか、シェスタについていくか。二人のどちらを優先して守るか決める必要があり、最初はシェスタについていく事を選択した。より危険なほうを守る、当然のことだ。
111吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:25 ID:GNV2PlKg
 だが、いざ前に出ようした時に気づいてしまったのだ……俺のパ―カ―の裾を掴んでいるルイズの小さな手。それを見た途端、急にルイズが愛おしくなり、彼女の側を離れることをやめた。
 その選択の結果がシェスタの死。死の直前に彼女は俺を見つめて「助けて」と言った。だが俺はルイズの隣で立ちつくしているだけだった。
(あの時俺が私情に走らなければ……二人のどちらがより危険かは分かりきっていたのに……)
 それが……この先一生背負っていかなければならない、重い、とても重い、俺の罪。
 
(微笑むシェスタ……脹れるシェスタ……恥ずかしがるシェスタ……殺される理由なんてなかった…………許さない、絶対に許さないぞ――)
 彼女は最後に「助けて」と言った。あのどうしようのないように思える状況でも、才人ならば何とかしてくれると心の奥底では信じていたのだろう。
『平民と貴族という越えられない壁を乗り越えた男』 そう、彼女の知っている平賀才人は不可能を可能にする真の英雄だったのだから。
 ならば俺はその期待に答える。この状況を作り出した張本人――老人とその背後に控えているであろう黒幕、彼らをガンダールヴの力で叩き潰す。それが自分にできるせめてもの贖罪。
(怒りが湧き上がってくる……間違いなく今の俺は過去最強だ。武器一つさえあればどんな相手にだって負ける気がしない。武器だ、武器さえあれば……)
 そう、問題が一つある。すぐさま仇をとりにいきたいところなのだが、生憎と支給品に武器が入っていなかった。
 軍隊で使ってそうな盾が一つに玩具まがいの機械が二つ。辛うじてガンダールヴの刻印が発動するようだがこれでは戦えない。どうやら武器を探す必要があるようだ。
 支給品として配られている武器を探す、それは参加者を探すことと同じ。ならば殺し合いに反逆する人間を探せば、武器と仲間が手に入って一石二鳥だ。
 そして現時点で判明している信用できそうな人間は、シェスタを看取ってくれた黒服の男、良き友達であるキュルケとタバサ、そして守るべきご主人様ルイズ、以上の四人。
(とりあえずはルイズと合流しなくちゃな、そのあとは……残りの三人を探しながら仲間と武器を集める、よし! とりあえずはこの辺りでも探してもみるか――)
112吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:26 ID:GNV2PlKg
 そしてルイズを探し始めてから五分、早速オープンカフェで人影を発見した。
 オープンチェアーに座って名簿を開いている金髪の男、その姿はどこか風格を感じさせる。
(日本人じゃない……言葉通じるのかな? ――年は二十歳前後で奇抜な服装。特にたくさんつけてるハート型のアクセサリーが変だ……しかもなんか色っぽいし――まさかオカマ?)
 日本語が通じるかどうかさえも分からない上に、どこか不気味なところがある。正直なところあまり関わりたい相手ではない。
 だが相手もこちらに気づいてしまっているようなので、無視するのも良くない、仕方がないので簡単な情報交換を目的に話しかけてみる。
「どうも、こんばんわ。俺は平賀才人っていいます。貴方のお名前を教えて貰えませんか?」
「…………DIOだ……」
「はじめましてDIOさん。早速なんですけどピンク髪でぺったんこ胸の女の子を見かけませんでしたか?」
「…………見ていない」
 奇抜な服装とは裏腹に落ち着いた声と流暢な日本語、ぶっきらぼうではあるものの紳士的な対応。
(お、普通にいい人じゃん。なかなか人は見かけによらないもんなんだな――強そうな人だし仲間に誘っておいてもいいかもな)

「あの、俺は「ところで、君は……心から『がっかり』したことはあるか?」

「え? がっかり――ですか?」
「そうだ…………幸福の絶頂――至福の時間――それが指の間をすり抜けていく――そんな落胆を味わったことがあるか」
113Classical名無しさん:07/04/27 01:26 ID:vFtbUyQw
支援
114吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:27 ID:GNV2PlKg
 突然何をいいだすのだろうかと訝しく思う。だが仮にもわざわざ人の話に割り込んでの質問だ、DIOにとっては重要なことなのかもしれない。
 最近の出来事を思い返してみるがなかなか思い当たらない。シェスタと風呂に入るのをルイズに禁止されてしまったのには少しがっかりした、しかしそれはDIOの求めている答えとは違う気がする。
 うんうん唸りながら真剣に記憶を手繰る。だがそんな俺のことなどはまるで気にしていないかのようにDIOは行動を起こした。そして俺はその行動に驚愕させられる。
 なんとDIOはいきなり自分自身の頭に指を突き入れたのだ!
 しかもあろうかとか頭の中をかき混ぜ始める、血がだらだら流れているのに一向にやめる様子がない。
「フハハハハハ、フフフフ、フハフハフハフハ――これほどまでのッ! 絶好調のハレバレとした気分! 
 ……なじむ、実になじんでいるぞッ! やはりこのDIOの体に流れているのはジョセフの血だァ――――――」
(な、何がしているんだ。じ、自殺? 頭がおかしくなったのか?)
 しかも摩訶不思議なことにDIOの頭の傷は直ぐに塞がってしまった。魔法なのか、手品なのか、どちらにせよ不気味な事この上ない。
「……間違いない……この漲る力が何よりの証拠……ジョセフの血を吸い、承太郎にチェックメイトをかけた……それは事実……だが……全てがおかしい……いったい何が起きた?
 ……なぜこのDIOはこんなところにいる? ……承太郎はどこに消えた? ……なぜ死んだジョセフの名が名簿に載っている? …………正体不明の現象……新手のスタンド攻撃か?」
 突然立ち上がり叫びながら奇行を始めたかと思えば、今度は席に座ってぶつぶつと呟いている――どうみても危ない男だ。
 仲間に誘う前に本性が分かって本当によかった。この男を仲間にしなくてすんだことを始祖ブリミルに感謝する。
「このDIOと同じように時を操るスタンド……本体は誰だ? ……ジョースター一行にはそんなスタンド使いはいない…
 …あの解説役の老人か? ……それも違う、あの老人はスタンド使いでは無い……ならばこのバトルロワイヤルとやらを仕組んだ輩か……」
115Classical名無しさん:07/04/27 01:27 ID:vFtbUyQw
    
116吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:28 ID:GNV2PlKg
 情報は十分に手に入れた、仲間に誘わないと決まれば長居する必要はない。
(DIOは頭のおかしい危険な男。参加者の中にいるかどうかは分からないが、承太郎、ジョセフ、ジョースターって奴らははDIOの知り合い。そしてルイズはここを訪れていない)
 DIOの独り言の雲行きも怪しくなってきた。逃げる準備を開始する。
「いいだろう……再び我が運命を邪魔するというのならば、再び踏み越えるまで! そうだな……宿命ともいうべき…か…始末すべき宿命、ジョースターの血統は根絶やしにしてくれるゥ―――!!
 そして! このDIOの最高にハイな気分に水を差したッ! このバトルロワイヤルを仕組んだ輩も断じて許さんッ!! 時を操れるのはこのDIOだけで十分だッ!!!」
 物騒な事を口走るDIOを差し置いて、そろりそろりとテーブルを離れる。もちろん足音や物音が鳴らないように最大限の注意を払った上で手足を動かす。
 だが、――――ガタン――――椅子が倒れる音が響きわたる。
 絶対に音を立てまいと手足の動きに集中しすぎたせいで、椅子にデイパックが引っかかった事に気づけず――結果大きな音を出してしまった。何という皮肉。
「どこに行く気だ。貴様が去ることをこのDIOが許可した覚えはないぞ」
(……最悪だ。俺が黙って消えようとしたことにDIOは怒っている。 と、ともかく何か言い訳を……)
「ちょ、ちょっとそこまで小便に行こうかなって、あはは、は…………行ってきます!!!」
「まぁ待ちたまえ……一つこのDIOの考えをきいてはどうだ……まずこのバトルロワイヤルとやらは最期まで生き残った一番強い者が優勝するゲームだ
 ……そして人間をはるかに超越した帝王であるこのDIOに勝てる者がいると思うか? 私はいないと思う……それはつまりこのDIOがゲームの優勝者ということだ。分かったか?」
 わざわざ人の逃走経路に回り込んだ上で好き放題のたまいてくる……だがDIOが何を伝えたいのかは大体分かった。 いつでも盾を取り出せる状態にした上で、DIOのご希望に答えて尋ねてやる。
117吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:29 ID:GNV2PlKg

「それはもしかして、あなたは殺し合いに乗るつもりだってことですか?」

 DIOは片側の唇を上げて肯定する。

「それはもしかして、あなたはここで俺を殺すつもりだってことですか?」

 DIOの反対側の唇も持ち上がりスマイルが形作られる。

「それはもしかして、両方ですかぁ――――!?」

「答えは『Y E S』だ!!! 死ねぇ! イエローモンキー!!」

 宣言と同時にDIOの背後に歪な人形が浮かび上がり、一気に距離をつめてくる。
(魔法人形! ……ギーシュのワルキューレみたいなものか。それにしてもすごいスピードだな……小さくて速い、か……流石にパワ―は弱いよな?)
 あわよくばDIOに盾で殴りかかってやろうと、こちらからも接近する。よって激突が起きるのは必然だ。
 そして遂に、DIOから五メートルほど離れた場所で人形と激突する。拳を振りかぶる人形――それにあわせて盾を構え、打撃を受け止める――ドゴォォォン。
(何だよこれは!? 人の大きさしかないのに力の強さはフーケのゴーレム並みかそれ以上かよっ! これじゃあ……盾がもたない!)
 だがDIOにも何か思うところがあったようだ、人形が退いていく。一時的にとはいえ危機が遠のきホッとする。
118Classical名無しさん:07/04/27 01:29 ID:vFtbUyQw
      
119吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:30 ID:GNV2PlKg
「ほぅ……キサマには『スタンド』が見えているのか?」
 DIOの『スタンド』とやらが左右にステップしながら近づいてくる――それを目で追いながら、盾で受け止める準備を押し進める。
「やはり見えているな……まぁどうでもいい。見えていたところでどうしようもない……それが『スタンド』! それがザ・ワールド!
 防御は不可能よッ! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァ――――――――ッ」

 時速350kmを超え、0.1秒の世界で繰り出される超高速の拳、それが迫ってくる。それはすでに常人が乗り切れるレベルではない。
 だが、平賀才人は「常人」ではない。負けたくないという強い感情に答え、左手の紋章が輝きだす。
 あらゆる武器や兵器を自在に扱える使い魔、その名は『神の盾』ガンダールヴ。
 武器の力を100%引き出すその力は才人自身の身体能力を大幅に向上させ、ザ・ワールドの拳を受け止める事を可能にする!

「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「なにィィィッッ! バ、バカなコイツ!! スタンドを持たぬ一般人でありながら、ザ・ワールドのラッシュを受け止めているだと!!」
 予想外の事態に驚愕するDIO。そう、状況だけをみれば才人はザ・ワールドと互角に戦っているのだ。
 スタンド使いを倒せるのはスタンド使いのみ、その常識を越えて食い下がってくる才人にどこかDIOは戦慄を感じている。だが当の才人は心中穏やかではない。
(畜生がっ! 相手はピンピンしているってのに、こっちは俺も盾もどんどん疲れていく――いくら守りが本職のガンダールヴでも限界があるぞ!)
 必死に挽回への道を探る才人。だが状況を打開したいのは両者一致の見解だった。
120吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:32 ID:GNV2PlKg
 ならば勝負の焦点は、どちらが先に打開の方法を見つけられるかだ。そして、先に答えを見つけたのは余裕のある攻撃側――DIO!
 拳の雨をギリギリのところで盾で受け止める。そんな厳しい戦いを続ける才人に向かって横合いから飛んできたのはダーツの矢! 
 DIOの投げたそれは才人の頭部を正確に狙っている、避けないと致命傷は必至。足に力を込め全力でその場を離脱し、何とか矢を回避することには成功する。
 だが体勢を崩した才人を仕留めたらんとザ・ワールドの拳が迫る――――その結果、直撃は何とか凌いだものの盾を吹き飛ばされてしまった。
「フハハハハハハ やはり所詮キサマはスタンドを持たぬ弱者! ザ・ワールドの真の能力を使うまでもなかったようだな」
 ゆっくりと近づいてくるザ・ワールド、店に追い込まれ、ついには壁際まで追い詰められてしまった。
(ここで死ぬのか――――馬鹿なっ、俺はルイズを守るんだ。むざむざ殺されはしない、最後の最後まで悪あがいいてやる!)
「チェック・メイトだッ!!」
 迫るザ・ワールドの拳に対して才人が取り出したのは卵型の物体。それをDIOに向かって放り投げ、自身は物陰に隠れる。
 爆弾を思わせるそのフォルムに対応を迫られるDIO。ザ・ワールドも一瞬ではあるが硬直してしまう。
 しかし吸血鬼であるDIOはすぐに気づく、投げられた物体は爆弾とは似ても似つかないただの機械である……と。
 けれども才人にはその硬直で十分だった。ボロボロの盾を回収すると一目散にDIOから逃げ出した。当然DIOもそれを追おうとする。
 だが、その足は止められた。本来の仕事を始めだしたボイスレコーダーによって。

「俺の名前は江戸川コナン…探偵さ…」
「オレの名前は武藤カズキ、何を隠そう、似顔絵の達人だあぁああッ!!」
「そうだ…これが本当の私 マーティン=ジグマール 設定年齢19歳 蟹座のB型ッ!!!」
121Classical名無しさん:07/04/27 01:32 ID:yzKR64S6
支援
122吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:33 ID:GNV2PlKg
 参加者の自己紹介が入っているボイスレコーダー、それが俺の二つ目の支給品。
 声だけでは何も分からない上に、危険人物がうろうろしているこの空間で大きな音は出すのは自殺行為。実に役に立たない支給品だ。
 だがそんな支給品でも相手の隙を作ることはできる。現にDIOは俺への攻撃を失敗し、今も呆然としている。
(うわ―青筋ピクピクさせて睨んでるよー、怖っ。でももう二度と会わないから関係ないもんね、ザマーミロ)
 すでにDIOとの距離は二十メートルを越えた。もう追いつかれることはないと安心する。
 だが俺は忘れていた。DIOを普通の人間の基準ではかってはいけない事を……
「人間の分際で……よくもこのDIOを! コケに! してくれたなッ!! 許さんッ!!
 WRYYYYYYYYYY――――――ッ、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ――――――ッ!!!」
 三十メートル近い距離を一度の跳躍で詰めてしまう、それが帝王DIO。怒り心頭の彼は容赦なくラッシュを才人に打ち込もうとする。
(ば、化け物めっ!? 盾はボロボロだし……支給品はもうこれしか残ってないのか……頼む、目くらましくらいにはなってくれ!)
 デイパックから最後の支給品を取り出し、スイッチを入れる――――DIOに向けてストロボから放たれたのは不可視の電磁波『紫外線』。

「うぐおおおああああ!? なああにィィイイイッ! ば…ばかなッ! 貴様ッ! 一体何をした!? 
 ……こんな弱者に…こ…このDIOが……… このDIOがァァァァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」

 ナチスが対柱の男用に開発した紫外線照射装置。それは柱の男の下位生物である吸血鬼に耐えられるものではない。
 紫外線を浴びたDIOはみるみるうちに溶解していく、だが一撃で即死しなかったところは流石DIOといったところか。
123Classical名無しさん:07/04/27 01:34 ID:vFtbUyQw
      
124吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:34 ID:GNV2PlKg
(あ、あ、あ 溶けてる……。し、紫外線って肌に悪いだけじゃなかったのか!? ……一撃で倒すだなんて……すごい武器だったんだ……)
 絶体絶命のピンチから一転、煙を上げながら地面をのたうちまわるDIOを見下げることになった。
 あまりに突然な勝利に実感が湧かず、しばし呆然となる。だがそんな俺を現実に引き戻したのは、倒したはずのDIOからの呪詛の言葉だった。
「……き…さ…ま……こ…ろ…して………やる………時よ止まれ……『ザ・ワールド』…………スタンドが…出ない
 ……ならばこのDIOが直々に……くそっ…あ…脚に…力が……脚に力が入らんッ! たっ立ち上がれないッ!」
 気づけばDIOの体は異常な速度で修復をはじめている。吸血鬼の事を知らない才人には異常な治癒の理由は分からない、だがするべき事は分かる。

 
 三十六計逃げるに如かず、平賀才人は逃げ出した。




「一体なんだってんだ! ちくしょ――不幸だ――――!!」

 日本に帰ってきてて最初に出会った人物は最悪だった。DIOはこちらの話をろくに聞かずに問答無用で襲いかかってきた。
 しかも彼は強力なゴーレムを操り、驚異的な身体能力を発揮し、不死身の再生能力を持つ強敵だった。『紫外線照射装置』がなかったら俺は確実に殺されていただろう。
(そう、予想と違い紫外線照射装置は強力な支給品だった。でも説明書によれば使えるのはあと四回だけか……使いどころを見極めなくちゃな)
 漠然と考え事をしながら歩いていると、電柱の下に佇む赤コートの大男を発見した。
 だがすぐには接触しない、悪しき前例があるので慎重に物陰から観察することにする。
125Classical名無しさん:07/04/27 01:35 ID:vFtbUyQw
        
126吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:36 ID:GNV2PlKg
(黒髪で眼鏡、典型的な日本人か……でも、二メートルありそうな身長とか赤いコートとかって日本人っぽくないんだよな
 ……どっちなんだろ?  …………ところであいつは何でさっきからずっと空を見上げているんだろう?)
 闘争とは無縁そうな外観をしているが、どこか怪しい男。危険人物とも無害な人物ともとれぬ微妙なライン、接触するべきか無視するべきか判断しかねる。
 考えていた時間は二分ほどだっただろうか、悩んだ末に出した結論は接触。広い空間内で刻印だけを頼りにルイズを探すのは大変だ。情報は少しでも多く欲しい。
 意を決めて物陰から出ようとする。だがその前、こちらが姿を現す前に男が話しかけてきた――まるで俺が覗いていた事を最初から全て知っていたかのように……。

「月が美しい、今夜は実にいい夜だ。なあ、そう思わないか? ヒューマン」

 観察がばれていた事に対する後ろめたさはあるが、あちらから話しかけてくれたのは渡りに船だ、有り難いことこの上ない。
 今度こそは話を聞いてもらう、そう意気込んで会話にのぞむ。
「どうも、こんばんわ。俺は平賀才人っていいます。貴方のお名前を教えて貰えませんか?」
「アーカードだ。……ずいぶんと傷を負っているなヒューマン、貴様は歯向かう者か?」
 指摘されて初めて服がボロボロになっている事に気づいた。これでは、自分は先程まで戦っていました、と看板を掲げて歩いているようなものだ。
 警戒心の強い者にはそれだけで逃げられてしまう、着替えを探した方がいいようだ。教えてくれたアーカードに感謝する。
「あ、そうなんです。さっきあっちの方でメチャクチャ強い人形を操るDIOって男に襲われて、逃げてきたところなんです。ほら、この盾を見てください、ボコボコでしょう? あいつにやられたんですよ。」
 それを聞いてどこかアーカードの表情が曇る。
(殺し合いに乗った奴がいる事を知って悲しんでるんだろな……やっぱり優しい人だ。ん、そういえばDIOが追ってきてるかもしれないんだっけか)
127吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:37 ID:GNV2PlKg
「あの……今話したDIOが俺のことを追ってきているかもしれません。ここを離れた方が安全です、そろそろ移動しませんか?」
「……………………私からは逃げないのか? どうなんだヒューマン?」
「逃げるわけないじゃないですか。第一に逃げる理由がないです。それに……いや何でもないです」
(それに俺の中ではもうアーカードさんは立派な仲間なんですよ)
 恥ずかしくて伝えられなかった。だがアーカードはそれだけで満足だったようだ。
 今までの渋面が嘘だったかのように満面の笑みを浮かべている。輝く赤い瞳、膨らむ鼻、持ち上がる唇、そしてその隙間から覗く牙……牙?

「安心したぞヒューマン。貴様が逃げるだけの野良犬でなかった事が実に嬉しい! さぁ、闘争を始めようじゃないか!!」

 膨れ上がるアーカードの気配。俺は突然のアーカードの豹変に立ちつくすことしかできない。
 そんな棒立ちしている俺に対してアーカードが繰り出してきた攻撃は実に単純なものだった。
 『腕を振り上げ、勢いよく振り下ろす』それはとても技とは呼べないような腕の運動。
 だから思考はそれを危機とは受け止めない、どこか他人事のようにアーカードの行動をぼんやりと見ていた。
 けれどもガンダールヴとしての本能は違った、寸前のところで盾でアーカードの腕を防ぐ、それは無意識のうちの行動だった。
 
 しかしながらその行動が才人を救った。なぜなら才人の頭の代わりにアーカードの腕を受けた盾。
 それが、今まで才人を守り続けてきたジェラルミン盾の最後の仕事となったのだから。
128吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:37 ID:GNV2PlKg
 盾は腕の触れた場所から真っ二つに割け、才人の腕には痺れだけが残った。
 あまりの出来事に体の力が抜け、座り込んでしまう。いったい何が起こったのか、理解できない。
(う、嘘だろ。あ、あのDIOの拳の連打だって耐えてたじゃないか……馬鹿な、幻だ……
 ……そうだDIOから逃げた時点ですでに亀裂が入っていたんだ、だから少し力を入れただけで壊れてしまったんだ。そうに違いない)
 自分の身に起きたことだ、何が起きたのかは分かる。だが目の前で起きたことを現実だと認めたくない、そんな感情。

「どうしたヒューマン? まだ盾が壊れただけじゃないか。敵はここにいるぞ、さっさと攻撃してこい。お楽しみはこれからだ!!」

 だがそんな僅かな現実逃避すらも許されないのが戦場。目を背けたくなる現実に才人は引き戻される。
「お、俺はこの殺し合いを仕組んだ奴らをぶちのめしたいんです、この『ゲーム』をぶち壊したいんです。殺し合いなんてしたくない。
 そしてあなたを仲間だと思っている、傷つけたくないんです。だからどうか戦いをやめて俺の仲間になって貰えませんか?」
「断る」
「駄目……ですか?」
「逆に問おう、なぜこの『ゲーム』を止めようとするんだ、ヒューマン。こんな素晴らしいパーティーに何の文句がある?」
 やばい、こいつは、やばい。頭の中で警鐘が鳴り響く。今頃になってようやく気づいた、アーカードはDIOよりも純粋な――化け物なのかもしれない。
 なぜ人は化け物を怖れるのか。理解できないから? 姿形が恐ろしいから? 違う、人は化け物には決して勝てない――それを本能が知っているからだ。
 事実、今は俺はアーカードが恐ろしくてたまらない。 小便を漏らし、神に祈りながらガタガタ震えて命乞いをする、手元に紫外線照射装置が無ければ俺はそうなっていただろう。
 だが現実は違う。俺の手元にはDIOを撃退した最強の武器、紫外線照射装置がある。この武器に敵対した以上は地に這い蹲るのはアーカードの方なのだ!
129吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:38 ID:GNV2PlKg

―――アーカードまであと十歩。
「どうしたヒューマン? 楽しい夜を始めようじゃないか。HURRY! 首を撥ね、心臓に杭を突き立て、見事私を殺して見せろ! HURRY! HURRY! HURRY!」

―――アーカードまであと九歩。
 まっすぐにこちらへと歩いてくる。余裕の表れなのだろうか……その余裕も俺が紫外線照射装置を使うその時までだとも知らずにのんきなものだ。

―――アーカードまであと八歩。
 あと一歩だ、次の一歩を踏み出したとき、化け物アーカードは倒れる。

―――アーカードまであと七歩。
「今だ! 紫外線照射装置ィィィィィィィィィ!!」
 デイパックから素早く取り出し、流れるような動きで装着しスイッチを入れる。まるでイメージ通り、完璧だった。
 そしてやはり紫外線照射装置は強力だ、アーカードの皮膚がケロイド状に溶けていく、整っていた顔も最早見る影もない無惨なものになっている。
 DIOの時といいあまり見ていても気分の良いものではないが、勝利の気分には浸らせてくれる。そうだ、俺は勝ったんだ。それなのに……

―――アーカードまであと六歩。
「痛い、痛かったぞ人間。だが私を殺すのにはまだ足りない。もっとだ!! もっと!! もっと!! もっと!! もっと!! 私を殺したいのなら!! もっと力を見せてみろ!!」
 ……なぜアーカードは止まらないんだ。自分の体が溶けているのになぜ向かってこれるんだ。普通は動けなくなるだろ!?
 泣き叫ぶほどに痛いだろうになぜ平然としていられる? 自分の死が怖くないのか? 紫外線照射装置が――俺が恐くないのか?
 勝ったはずなのに、勝った気がしない。しかも、アーカードは笑顔だ。これではまるで俺が負けたみたいじゃないか。
 背筋が寒くなり、思わず後ずさってしまう。
130Classical名無しさん:07/04/27 01:38 ID:vFtbUyQw
     
131吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:38 ID:GNV2PlKg

―――アーカードまであと五歩。
「なぜそこで退く? 私に一撃をいれたことを誇るがいい! さぁ続きをしようじゃないか!! HURRY! HURRY! HURRY! HURRY! HURRY! HURRY! HURRY! HURRY!」
 理解できない、なぜアーカードは喜んでいるんだ? なんであんなに嬉しそうにできるんだ?
 間違いない、アーカードと俺は住んでいる世界が違う、違いすぎる。出会ってはいけなかったのだ。
 同じ空間を共有するだけで殺される、それが化け物アーカード。

―――アーカードまであと四歩。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 紫外線照射装置第二射、ストロボから放たれた光がアーカードを容赦なく焼く。
 窪んだ眼窩、露出した鼻骨、ボロボロと抜け落ちる髪、身動きする度にベチャベチャと音がする。
 だがアーカードは止まらない。何も知らない子供のように震える俺に近づいてくる。
 逃げたい、何もかも放り出して逃げ出したい。だが蛇に睨まれた蛙のように身動きが取れない。
「足りない、足りないぞ! そんなちっぽけな光では私を殺せん。どうしても日光で殺したいのならば太陽でも持ってこい!」

―――アーカードまであと三歩。
「っっ――――――――――!!!」
 声にならない叫びとともに第三射を放つ。唇が溶け、ついにアーカードの笑顔が吹き飛ぶ。
 ぐしゃぐしゃになったアーカード、体が傾き、赤いコートが道路に落ちる。
 ……終わった。ついに俺は化け物を倒したんだ!




132Classical名無しさん:07/04/27 01:40 ID:vFtbUyQw
       
133Classical名無しさん:07/04/27 01:40 ID:8LPcowk2
支援
134吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:40 ID:GNV2PlKg
―――アーカードまであと二歩。
「あ…………あ…………あ…………あ」
 だがアーカードは倒れていなかった。倒れたのはコートと表面の肉だけ。
 骨が……人体模型のような骨が……内臓と骨、そして爛れた肉しか残っていない人間のできそこないが……近づいてくる。しかもその落ち窪みきった目は訴えている――
「ククク、ハハハハハ。やるじゃないかヒューマン。だがまだだ、まだ足りないぞ。もっとだ、もっと抗え、さもなければ諦めて死ぬがいい!」
 
 ――まるでいまだにこの状況を楽しんでいるようじゃないか。

「うわぁぁああああああああああああああああああああああああああ」
 何て狂っているんだ。こんな相手と戦おうとした事自体が間違いだったのだ。
 もう何もいらない。デイパックを、盾の残骸を、ちっぽけな闘志を、僅かに残っていたプライドを、シェスタの仇を討つという使命を、全てを投げ出して逃げ出す。
 敵に背を向けてただひたすらに足を動かす。


 分かることは一つだけ――生き延びたいのならば絶対に振り返ってはいけない――



 ◇ ◇ ◇



 平賀才人は民家の一室に隠れている。部屋の隅で縮こまる彼には最早伝説の使い魔の片鱗も伺えない。
 才人を覆うのは帝王DIO、本物の化け物アーカード、人を超えた吸血鬼達に対する絶対の恐怖。
135吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:42 ID:GNV2PlKg
 シェスタの仇をとるという目的はとうに忘れた……「もうお仕舞いだ」「皆あいつに殺されて終わるんだ」それしか考えられない。
 しかしそんな絶望に覆われた才人にも最後の矜持は残っている――どんなに怖くても最後までルイズを守らなければならない――慣れ親しんだ自分の武器さえあれば勝てるかもしれない――。
 だが今が最悪だと思っている才人は考えもしない――これ以上の最悪の状況が存在することを……。
 才人は知らない……脳裏に浮かんだ『デルフリンガー』と『竜の羽衣』。それらの支給品の所有者はそれぞれDIOとアーカードである事を……。
 才人彼は気づかない……ここは殺し合いの場……いつルイズの最期が左目に映ってもおかしくないという事を……。


 絶望には底はない


 ◇ ◇ ◇


「頭痛がする、は…吐き気もだ…くっ…ぐう、な…なんてことだ…このDIOが……スタンド使いでない、ただの人間に逃げられただとッ!?
 ……だがこのDIOをボロボロにした光……あれは侮れん……支給品の力を甘く見ていたということか……」

 DIOに配られた支給品はインテリジェンスソード『デルフリンガー』とダーツの矢が三本、実に価値のない支給品だ。
 元より目から体液を発射し矢にできるDIOにはダーツの矢は必要なく、剣の心得が無い以上は『ザ・ワールド』を差し置いて剣を使う理由もない。
 そして帝王DIOは自らの力、スタンド『ザ・ワールド』に絶対の自負を持っている。だからだろうか、道具に頼るのは腕の未熟な弱者だという考えがあった。
 だが道具を見事に使いこなす平賀才人との戦いによって多大なダメージを受けたのは事実、おかげでジョセフの血によってその体に漲っていた力は欠片も残ってはいない。
 しかし、DIOは自分の考えが間違っていたとは思わない。なぜならDIOは才人に負けてはいないからだ。
 死者のみが敗者であり、最後まで残った者のみが勝者、それが帝王DIOの哲学。
 だから今回の戦いで自分が重傷を負った事は関係ない。平賀才人を追いかけて殺す、そうすれば残るのは勝者がDIOという事実のみ!
136Classical名無しさん:07/04/27 01:43 ID:yzKR64S6
支援
137吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:43 ID:GNV2PlKg

「許さん! 次に…出会った…時が…貴様の…滅びだ…『平賀才人』…このDIOを……
                            ザ・ワールド
 このDIOをおちょくった事を…後悔しろ…『世界』の真の力で……惨たらしく殺してやる! 帝王に敗北はない!!!」

 怒りに溢れた帝王は南へと進む。




「結局はただ逃げるだけの野良犬だったか。実にくだらない、実に残念だ。」

 自らの支給品――戦闘機の中に隠れて再生を続けているアーカードは一人語る。

「だが犬も一つだけ良い置き土産を残していった。人形使いの男、DIOか――楽しみで仕方がないじゃないか。」

 平賀才人が話していた強者DIO、彼との闘争を待ちわびる。
 アーカードが求めるのは強き者。自分の退屈を癒してくれる強敵、自分を楽しませてくれる強敵、そして自分を滅ぼしてくれる強敵。
 そして、立ち上がる。再生はまだ終わっておらず、体は不完全。だが我慢ができない、目の前の戦争を傍観するなんて馬鹿馬鹿しい。
 折角のご馳走を前にして喰らいつかぬ者などいない。戦闘機から飛び出しDIOの元へとゆっくり歩みだす。

「未だ月は天にあり、闘気と死臭がそこらじゅうを渦いている。血を血で洗う闘争の夜はまだまだ終わらん。お楽しみは、これからだ!!」

 喜色に溢れた化物は北へと進む。



 ――今――吸血鬼達の夜宴が始まる――
138Classical名無しさん:07/04/27 01:44 ID:vFtbUyQw
      
139吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:44 ID:GNV2PlKg


【1日目 深夜】

【C-5北部 路上】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
【装備:スタンド:『世界』(現在の体力では時止めは一度が限界)】
【所持品:・支給品一式、デルフリンガー(紙状態)、ダーツの矢(残弾数2)】
【状態:頭痛、めまい、体中に重度の火傷(自然治癒中)、重度の疲労】
【思考・行動】
1:平賀才人に時止めを使って『勝利』する。
2:ジョースターの血統を根絶やしにする。
3:ゲームを仕組んだ輩を断罪する。
思考:非常に鬱憤が溜まっている、激情のあまりに冷静な考えができていない。
基本行動方針:帝王に負けはない。参加者を殺し、ゲームを優勝する。
参戦時期:ジョセフの血を吸った後、承太郎に時を止められるまでの間の時間帯からの参戦。
(具体的にはジョジョの奇妙な冒険28巻、DIOの世界17)

【C-5南部 路上】
【アーカード@HELLSING】
【装備:無し】
【所持品:支給品一式】
【状態:体中に重度の火傷(自然治癒中)、体の細部が欠落、軽度の疲労】
【思考・行動】
1:北へ向かい、そこにいるはずのDIOと戦う。
2:誰でもいいので、自分を楽しませてくれる相手と戦いたい。
基本行動方針:殺し合いを楽しむ。
参戦時期:原作五巻開始時
140吸血鬼 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:44 ID:GNV2PlKg

【B-5 民家】
【平賀才人@ゼロの使い魔】
【装備:紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回)】
【所持品:無し】
【状態:重度の疲労、自信消失】
【思考・行動】
1:アーカード、DIOに対する絶対的な恐怖に覆われている。
2:ルイズを探し出して守る。
3:竜の羽衣、デルフリンガーを始めとする身を守る武器が欲しい。
(4:武器を手に入れて、シェスタの仇(光圀、他)を討つ。)
(5:キュルケ、タバサ、葉陰覚悟《名前は知らない》との合流、武器の捜索。)
参戦時期:原作三巻終了後



※C-5北部に以下のものが放置されています。
・ボイスレコーダー

※C-5南部に以下のものが放置されています。
・支給品一式
・ジェラルミン盾(真っ二つに割れています)
・竜の羽衣(零式艦上戦闘機:弾丸と燃料は支給されていません)

※竜の羽衣について
原作三巻終了後に銃弾を使い尽くしてから、原作六巻でコルベールが改造を施す前からの出展。
正式名称は零式艦上戦闘機。主な武装は20mm機銃2門と7.7mm機銃2挺。
元の機体からの変更は以下の通り、
通信機などの使用しない内装が廃棄されており、同乗者を一人乗せられるようになっている。
日の丸の白い縁取りが濃緑に塗りつぶされている、カウリングに白抜きで辰の文字が入っている。
141 ◆IXRLXwC0Ds :07/04/27 01:47 ID:GNV2PlKg
以上で投下完了です。支援有難うございました。
引き続き意見と感想をお願いします。
142Classical名無しさん:07/04/27 01:51 ID:.rWMmcP6
GJ!
アーカードとDIOの戦いの予感がするとても先が楽しみな展開です。
才人も九死に一生も支給品全て破棄と散々な結果。
三人の今後が楽しみなリレーの醍醐味ともいえる渾身の一作投下乙です。
143Classical名無しさん:07/04/27 01:51 ID:vFtbUyQw
>>141
投下GJ!!

ディオとアーカードという二大狂強マーダーの台詞が秀逸でした。
「Y E S」だ、の所は爆笑しちまいましたよ。
才人カワイソスwww
マジで面白かった。



144 ◆qvvXwosbJA :07/04/27 01:56 ID:8jlscaaI
よ、ようやく完成…………! 
これよりトウカします、どなたか支援お願いします
145Classical名無しさん:07/04/27 01:58 ID:vFtbUyQw
今日はいい夜だ……。

じゃあ支援するかねえだろうが!!
146Classical名無しさん:07/04/27 01:58 ID:yzKR64S6
GJ!
DIO様とアーカードのキャラがよかった。
才人も災難w

アーカードの支給品を見てDIOがゼロ戦を落としそうだと思ったのは内緒だ。
147Classical名無しさん:07/04/27 01:58 ID:bUAZ/gco
私怨
148Classical名無しさん:07/04/27 01:58 ID:yzKR64S6
支援
149Classical名無しさん:07/04/27 01:59 ID:GNV2PlKg
支援
150俺の名を ◆qvvXwosbJA :07/04/27 02:02 ID:8jlscaaI
柊かがみ。ただ今高校二年生。
自宅が神社ってのはちょっと珍しいかもしれないけど、それ以外は至ってどこにでもいるような女子高生。
当たり前のように朝起きて、学校に行って、友達と話して、一緒に勉強したり遊んだりする、私の毎日はそんな生活。
私がいて、つかさがいて、こなたがいて、みゆきがいて、そんないつもの日々が、私は好きだった。
何か面白いこととかないかな、って考えたことがないわけじゃない。それでも私はその日常に満足していた。
なのに私は今、ここにいる。
いきなり知らない人たちと一緒の場所に集められて。意味の分からない話を聞かされて。
そして、私達と同じくらいの年の女の子が殺されるのを……目の前で見せられて。
こんなことになるなんて、思ってなかった。
望んでなんかなかったのに。


 ▼ ▼ ▼


深夜の路上。等間隔で置かれた街灯だけが古びた建物の間の闇を照らす。
底冷えのする夜風の寒さの中、柊かがみはただひたすらに走っていた。
わき目も振らず、後ろを振り返ることすらせず。
ただ足音だけが路地のコンクリート塀に反響し、一層孤独感と言葉にできない恐怖を増幅させる。

銃声。

鋭い悲鳴をあげて、かがみはその場に倒れ伏した。
恐る恐る顔を向け、痛みの走った左足に目を向ける。
銃弾は僅かにかすめただけらしく、傷自体は決して深刻なものではない。
ただ……そのかすっただけの浅い傷、そこから流れる一筋の血の流れが、かがみの頭を恐怖へと縫い付ける。
これは、殺人ゲーム。集められた人間達が、ただ生き残るために殺し合う。
その悪夢のような現実を、その血の赤さは嫌でも思い起こさせたから。
痛い。命にかかわる傷じゃないのは無意識に分かっていたけど、それでもじわじわと痛みは神経を侵食していく。
駄目だ、こんなところでへたり込んでいては。なんとか意識を振り絞り立ち上がろうとしたかがみの表情は、直後に蒼ざめた。
151Classical名無しさん:07/04/27 02:02 ID:vFtbUyQw
     
152俺の名を ◆qvvXwosbJA :07/04/27 02:03 ID:8jlscaaI

立てない。

完全に腰が抜けてしまっている。下半身に力が入らない。
自分の体が信じられず、両手で必死に這って進もうとする。
逃げなくちゃ。早く逃げなくちゃ。
そうしないと、またあの男が…………!
底知れぬ恐怖に怯え、かがみは無意識に振り返った。
そして。
見てしまった。
動けない自分に向って銃口を向ける、胸に七つの傷を持つ男の姿を。

「ガキの分際でこの俺にいちいち手間をかけさせるとは……」

男のくぐもった声が夜の路上に響き、かがみは戦慄した。
歯の根が合わない。顎が無意識に震えて、ぶつかり合った歯が耳障りな音を立てる。
それでも口の中で鳴るガチガチという音が、あの男の声をかき消してくれたらどんなにいいか。

「フフフ……いい面じゃあねぇか。そうやって恐怖に引き攣っているほうが、俺の目を楽しませてくれるってもんだ」

足音が、少しずつこちらに近づいてくる。
街頭が写し出す男の影が、一歩ごとにかがみの足下に近づいてくる。
その影から少しでも離れたくて、かがみは動かない両足を必死で動かそうと足掻いた。
だが、動けない。その場に磔にされたかのように体が動かない。
そうしている間にも男の姿はどんどん大きくなり、今やはっきりと視認できるようにまでなってしまった。

「クク……おいお前。俺の名を言ってみろ」

ヘルメットの中から覗く、無慈悲な瞳。
かがみは涙を流すことすら忘れて、ただ金魚のように口をぱくぱくさせることしかできない。
名前。あの男の名前。
確かに自分はあの男の名前を知っている。最初にあの男に出会った時、あいつは自分で名乗っていたのだから。
153Classical名無しさん:07/04/27 02:04 ID:vFtbUyQw
       
154俺の名を ◆qvvXwosbJA :07/04/27 02:05 ID:8jlscaaI

――ケンシロウ、と。

かがみが僅かに視線を上げた瞬間、すでに何度も聞いた乾いた音が響き、かがみの頭から数十センチも離れていない壁に銃痕が穿たれた。
ひっ、と自分の喉から情けない声が漏れる。
もうダメ。死んじゃう。こんな状況じゃ逃げ切れっこないし、何よりあいつの目が語っている――次は外さない、と。
かがみの頭を弱い考えが埋め尽くす。もっとも、それは誰にだってわかる未来予想図だったのだけど。
銃口がかがみの眉間に照準を合わせる。かがみはぎゅっと瞼を閉じた。
そして。

「やれやれ……こんな夜中に女性をちょっかいを出すとは、無粋な輩もいるものだ」

銃声ではない、聞き覚えのない声に、かがみは薄く眼を開けた。


 ▼ ▼ ▼


路上にへたり込む少女にちらりと視線をやってから、和装の男――桂小太郎は男へと向き直った。
威圧感を与えるヘルメット、肩にはスパイク付きのプロテクター、そして筋肉に覆われた胸には北斗七星を象った七つの傷。
これで堅気だったらお笑い草だ。それほどに、男の姿は異様なものだった。

「なんだてめぇは? 人のお楽しみに割り込むのは無粋じゃねえってのか?」
「お楽しみは人に迷惑をかけない範囲でやるものだ」

いきり立つ相手の言葉を軽くいなす。
そうしながらも少女の方に視線を送り、時間を稼いでいる間にここから逃げるように促した。
少女は視線の意味には気づいたようだが、どうやら立ち上がれないらしい。
これで自分が囮になって少女を逃がす策は消えた。
こうなれば少女を担いで逃げるしかないが、今の自分と彼女の間には距離がありすぎる。

(どのみち俺が引き付けるほかは無いか……!)
155Classical名無しさん:07/04/27 02:07 ID:yzKR64S6
支援
156俺の名を ◆qvvXwosbJA :07/04/27 02:07 ID:8jlscaaI

(どのみち俺が引き付けるほかは無いか……!)

向こうも予期せぬ闖入者に殺気立っている。
即座に逃走に転じられない以上、ここでやり合うのは必至だった。

「てめぇごとき軟弱相手に銃など使うまでもない……このケンシロウ様が北斗神拳で直々に地獄へ送ってやろう」

男はそういうと銃を放りだし、流れるような動きで構えを取った。
無駄のない動き。それだけで、相手がなかなかの手練であることは分かる。

(大口を叩くだけのチンピラかと思っていたが……なかなかどうして、やるようだな)

雑魚なら適当にあしらってしまおうと思っていたが、どうやらそうはいかないらしい。
それどころか油断していると足元を掬われかねない。激戦を覚悟した桂は懐から一本のロープを取り出した。
桂小太郎の支給品の一つ、『ライドル』。グリップのスイッチを操作することで4パターンに変化する応用性の高い武器である。
持ち運びやすいように『ライドロープ』形態にしていたそれのHボタンを押し、細剣形態『ライドルホイップ』に変化させる。
日本刀よりも遙かに軽く華奢な刀身を片手で軽く振って十字を切り、桂もまた七つの傷の男に向け構えを取った。

「素直に銃を拾い直した方がいいんじゃないのか? 貴様が刃物相手にも素手で戦うというのなら、止めはしないが」
「フン……てめぇごときの剣が、このケンシロウ様に届くものか!」

男は桂の忠告を鼻先で笑い飛ばし、じりじりと間合いを詰める。
桂もまた、いまだ動けずにいる少女からこの卑劣漢を遠ざけるべく、それとなく立ち位置をずらしながら対峙する。
そのまま、一瞬とも永遠ともつかぬ膠着の時間が過ぎた。

そして……先に動いたのは、七つの傷の男だった。

突然何の前触れもなしに桂目掛けて駆け出し――跳んだ。
2メートルに届こうかという巨体が軽々と宙を舞い、真上から桂に襲いかかる。
157Classical名無しさん:07/04/27 02:08 ID:GNV2PlKg
 
158俺の名を ◆qvvXwosbJA :07/04/27 02:08 ID:8jlscaaI

(なんだと!? この体躯を持ちながらあれだけの跳躍を!?)

予想外の方向からの攻撃、それが桂の反応を僅かに鈍らせた。
その一瞬の逡巡、その間に男は空中で構えを取り、瞬時に攻撃を繰り出さんとしている。
まずい、と桂の脳裏を警告が駆け抜ける。回避して間合いを取り直すだけの余裕がない!

「油断したのが命取りよ! 喰らえ北斗千手殺!」
「ちぃっ!」

咄嗟にグリップのLボタンを操作し、桂はそのままライドルを地面に突き立てる。
直後に伸縮自在の長棒『ライドルロングポール』に変化したそれは一気に伸長し、桂の体を後方斜め上に高速で押し上げた。
上空から降り注ぐ無数の突きを比喩ではなく紙一重のぎりぎりでかわし、桂はライドルを再び攻撃形態に、

「!」

グリップのスイッチを押しこむより一瞬早く、男の再度跳躍してからの突きが桂を襲った。
ロングポールを支点にわずかに体を捻って衝撃を殺したが、所詮空中で取れる防御行動などたかが知れている。
その突きの破壊力の全てを逃がすことなど出来ず、桂の体はゴム毬のように吹き飛んでコンクリート塀に叩きつけられた。

「ぐうっ……!」

視界がふらつく。揺れる体に鞭打って桂は立ち上がった。
骨折は無し。打撲も深刻なほどではない。まだやれる。
だが。

「フン……体を捻って秘孔を外したか。この俺様の拳を一発食らって生きているとは、偶然とはいえ誉めてやる……
 だがなぁ! 北斗神拳に二度目は無ぇ〜〜〜っ!! ハァッハッハッハ〜〜!」

哄笑する男を前に、桂は自分の相手に対する認識が誤っていたことを悟り始めていた。
159俺の名を ◆qvvXwosbJA :07/04/27 02:09 ID:8jlscaaI

 ▼ ▼ ▼


ケンシロウ……いや、北斗四兄弟が三男・ジャギは、その拳の未熟さと卑劣な性格から北斗神拳の後継者の座を逃した男である。
勝ちさえすれば何をやってもいい。そう考えた彼は銃や含み針といった手っ取り早く人を傷つけられる武器を使うことに走り、
結果的に自らの北斗神拳を磨き、さらなる高みへとその歩を進めることを怠った。
皮肉にも自分が後継者になれば北斗神拳はますます強くなるとまで豪語した彼は、その彼自身の歪みによって伝説の暗殺拳を究めることができなかったのである。
さらには、彼の義兄弟たちの存在。
比類無き剛拳、世紀末覇者の名をその手に納めんとする拳王ラオウ。
剛の対たる柔拳、敵にすら情けをかける北斗有情拳の使い手トキ。
そして……第64代北斗神拳正統伝承者ケンシロウ。
のちにコウリュウをして同じ時代に生まれたことを天に嘆かせた三人を前に、ジャギの名は完全に霞んでしまったのである。
しかし。
それは、ジャギという男が弱いということを意味するのではない。
確かに彼は高みに登ることは出来なかった。しかし、仮にも正統伝承者の元で北斗神拳を学んだ男である。
腐っても北斗神拳。多くの猛者達には遠く及ばないまでも、彼の拳は凡百の拳法家とは比べものにならない域に達しているのだ。


――苛烈なる攘夷戦争を生き抜いた歴戦の侍である桂小太郎すら、容易く圧倒してしまうほどに。


 ▼ ▼ ▼


「ファハハハハ! 北斗羅漢撃〜〜〜!」

目にも留まらぬ無数の突きがコンクリートの壁を穿ち、電柱を砕く。
ジャギは余裕の態度で悠々と桂を少しずつ追い詰めていった。
対する桂は敵の攻撃こそ一発も喰らわずに凌ぎ切っているが、誰の目にもジリ貧なのは明らかであった。
桂の頬を冷汗が流れ落ちる。
そんな桂の姿をジャギは満足げに見下ろした。
160Classical名無しさん:07/04/27 02:10 ID:vFtbUyQw
支援
161Classical名無しさん:07/04/27 02:11 ID:0ay9pfnU
支援
162俺の名を ◆qvvXwosbJA :07/04/27 02:11 ID:8jlscaaI

「威勢良く啖呵切った割にはそんなものか? 拍子抜けじゃねぇかナマクラ侍、あぁ〜?」
「……ナマクラ侍じゃない、桂だ」

口では虚勢を張ってはいるが、劣勢は明白。
逆転の糸口は、もはや見出せるところには転がっていない。
自分は、あの男には、勝てない。そんなことはもうとっくの昔に分かり切っていた。

「もはや命乞いしたところで生かしては帰さねえ! この俺の手によって、その女もろとも無様に死んでいけ!」

ジャギが勝ち誇ってこちらに近づいてくる。
さて、どうするか。そんなことは考えるまでもない。
こうなることを見越して用意しておいた最後の手段。それを、使うだけ。
桂は迫り来るジャギに向かって不敵に笑って見せた。

「その程度で勝ったつもりか? 大したお山の大将だな」
「まぁだ自分の立場が分かんねぇのか!?」

激昂したジャギが繰り出した突きを、あえて桂は正面から受けた。
同時にタイミングを合わせて後ろに向って跳ぶ。
自分の勝利を確信しているからか、拳に以前ほどの威力はない。せいぜいいたぶってやろうと考えているのだろう。
全身を痛みが駆け抜ける。が、深刻なダメージには繋がらない。
それでも、桂の体は勢いを殺しきれずに地面を派手に転がった。
よろめきながら、ふらつきながら、彼は立ち上がる。
そして、桂小太郎は言い放った。

「……ところで貴様、俺の名を知っているか?」

ジャギのヘルメットに覆われて見えないはずの表情に、動揺が走るのが感じられた。
桂の言葉の意味を推測したのではない。桂が、どこに立っているのかに気付いたのだ。
ジャギにただ一方的に攻められていたのではない。自分が勝てないと分かった時から、桂は攻撃をかわしながら少しずつ移動を続けていた。
そして今、桂が立っているのは……少女のすぐ傍!
163Classical名無しさん:07/04/27 02:11 ID:vI8oDpfs
支援
あれ?ヅラやばくね?
164Classical名無しさん:07/04/27 02:13 ID:yzKR64S6
支援!!
165Classical名無しさん:07/04/27 02:14 ID:8LPcowk2
支援
166Classical名無しさん:07/04/27 02:14 ID:vFtbUyQw
もういっちょ支援
167俺の名を ◆qvvXwosbJA :07/04/27 02:15 ID:8jlscaaI

「知らんのならば教えてやろう。俺の名は桂小太郎――人呼んで、『逃げの小太郎』だ!」

叫ぶと同時に懐からエニグマの紙を取り出し、一気に開く。
瞬時に具現化した三つの金属筒のうち二つを素早く懐に突っ込み、桂は残る一つからピンを引き抜き投擲した。
ジャギは咄嗟に打ち払おうとしたがすでに遅く、それ――スタングレネードの閃光はジャギの視界、そして意識から桂の姿を消し飛ばした。


 ▼ ▼ ▼


柊かがみは目を覚ました。
慌ててきょろきょろと辺りを見渡す。
どうやら見知らぬ一戸建ての居間にいるようだ。家具が整然と並んでいるが、不思議なくらいに生活臭がない。
足が疼くので目をやると、左足の怪我には布を巻きつけて応急処置がしてあった。

「気がついたか? なかなか目を覚まさないから、心配していたんだが」

台所の方から長髪の男が顔を出した。間違いない、自分を助けてくれた人だ。

「あ、ありがとう……えーと……」
「桂だ。桂小太郎。ぶしつけですまないが、こちらも名前を尋ねてもいいか?」
「私? かがみ……柊かがみです」

まだ頭が混乱している。私を襲ってきたあの男はどうなったのだろう?

「奴ならこちらを見失ってすでにこの近くから立ち去った。とりあえずは安心していい」

考えを当てられてしまった。
当面の命の危機は去ったということか。そう考えると全身から一気に力が抜けてしまった。
それと同時に別の疑問が頭に浮かぶ。
168Classical名無しさん:07/04/27 02:15 ID:GNV2PlKg
ヅラ逃げてー 支援
169Classical名無しさん:07/04/27 02:15 ID:0ay9pfnU
支援
ヅラ頑張れ超頑張れ
170俺の名を ◆qvvXwosbJA :07/04/27 02:16 ID:8jlscaaI
「……なんで私なんか、助けてくれたの?」
「女があのような卑劣漢にむざむざ殺されようとしているのを黙って見逃せるほど腑抜けてはいないさ、俺は」

至極当たり前のことのようにさらりと答えられ、逆に言葉に詰まってかがみは黙り込んだ。
桂は気にもしていないように服の埃を払って立ち上がる。
目を凝らしてみると、着物の隙間から幾つものアザが覗いていた。
この人は戦ってくれたのだ。見ず知らずの自分を守るために。
痛くないのだろうか。いや、痛いに決まってる。ただ、それを人には見せまいとしているだけで。

慌てて自分も立ち上がろうとして――かがみは、自分の頬を何かが伝っているのに気がついた。
涙? 泣いてるの、私が? なんで?
訳が分からず立ち尽くしたのも一瞬。答えは、すぐに分かった。

――ずっと、怖かったのだ。

自分が死ぬのが。大切な友達が殺されてしまうのが。
何より、信じられる人のほとんどいないこのゲームの中で、一人ぼっちでいることが。

あの男に襲われた時、もう駄目だと思った。自分はここで何もできずに死んでしまうんだと。
その時から今の今までずっと張りつめていた緊張の糸が、ここでぷっつりと切れたのだ。
殺人者の脅威から救ってくれて、怪我の応急処置までしてもらって、そして――見ず知らずの自分に親切にしてくれて。
こういう人がいるのなら、この現実も絶望ばかりじゃない、そう思ったら、ぷっつりと。

一度堰を切って流れ出した涙は自分の意志ではもう止まらず、かがみはただ感情の迸るままに泣き続けた。
桂は何も言わず、ただ傍で彼女を見守っていた。



夜明けの時は、まだ遥か彼方。

171Classical名無しさん:07/04/27 02:17 ID:yzKR64S6
ヅラに支援
172俺の名を ◆qvvXwosbJA :07/04/27 02:17 ID:8jlscaaI
【B-4 住宅地 一日目 深夜】
【ジャギ@北斗の拳】
{状態}健康
{装備}ベレッタM92@バトルロワイアル
{道具}支給品一式 不明支給品0〜2(本人は確認済)
{思考・状況}
1:邪魔者は容赦無く殺す。卑怯な手を使うことも辞さない
2:ケンシロウの名を騙って悪評を振り撒き、ケンシロウをおびき出して積年の恨みを晴らす
3:ラオウとの接触は避ける
4:どんな手段を使ってでも優勝し、北斗神拳伝承者の座を手に入れる

【桂小太郎@銀魂】
{状態}全身に打撲(行動には支障なし)、若干の疲労
{装備}ライドル@仮面ライダーSPIRITS
{道具}支給品一式 スタングレネード×2@現実 不明支給品0〜1(本人は確認済)
{思考・状況}
1:かがみを守る
2:銀時たちと合流する(そう簡単に死にはしないと思っているので、この目的を優先する気はない)
3:殺し合いには乗らないが、弱者を虐げるような外道には容赦しない
4:ゲームから脱出し主催者に天誅を下す
※ライドルはライドロープ形態で懐にしまってあります。なお、Xの変身ベルトは支給されていません。
※ケンシロウ(本当はジャギ)を危険人物と認識しました。

【柊かがみ@らき☆すた】
{状態}精神的に疲労。左足にかすり傷(応急処置済み)
{装備}無し
{道具}支給品一式 不明支給品1〜3(中身は未確認)
{思考・状況}
1:友人(こなた、つかさ、みゆき)を探したい
2:殺し合いのことは今は考えたくない
3:生きてみんなと一緒に帰りたい
※ケンシロウ(本当はジャギ)を危険人物と認識しました。
173 ◆qvvXwosbJA :07/04/27 02:19 ID:8jlscaaI
投下完了。
SS書くのは久々なので、いろいろと不安要素は多いのですが……
感想ご意見等、お願いします
174Classical名無しさん:07/04/27 02:20 ID:bUAZ/gco
ジャギの調子乗りっぷりが最高だった
これでこそジャギ
そしてケンシロウ、密かにやばそうだなw
175Classical名無しさん:07/04/27 02:20 ID:GgBVpvdo
>>173

なかなかによかったと思う
ズラかっけぇ・・・。
176Classical名無しさん:07/04/27 02:21 ID:vFtbUyQw
>>172
その割にはブランクを感じさせない上手さですな……。
それにしてもこりゃまた、派手は疑心暗鬼フラグを。
ケンシロウの悪名が轟きまくりそうw

GJ!! でした。
177Classical名無しさん:07/04/27 02:21 ID:yzKR64S6
GJ!
ヅラが大活躍!! 普段馬鹿キャラだから余計かっこよかった。
ケンシロウいろいろ誤解フラグも立って面白かった。
178Classical名無しさん:07/04/27 02:23 ID:GNV2PlKg
乙、ギャグやらないヅラが新鮮でかっこいい!
ジャギも素敵に小物外道してるw

GJ!
179Classical名無しさん:07/04/27 02:46 ID:QvnmUU3w
DIOとアーカードの話、GJなんだけど、
あえて難点をいえば、DIOがダーツ(すなわち投擲武器)を役に立たない道具とみなしている事に
違和感を感じるな。

原作のDIOは、時を止めてる間に大量のナイフを承太郎目掛けて投げ、
しかる後に時を再び動かし、回避不能のナイフの雨をお見舞いする、
という攻撃をした事があるので。

それにしても、もう別のキャラの話が始まってるのか。早っ。
180Classical名無しさん:07/04/27 02:50 ID:QvnmUU3w
桂とジャギのバトル、もう一区切りついてる。早っ。
そして、「GJ!」
181Classical名無しさん:07/04/27 10:07 ID:P5WRdIWg
GJ!
ヅラとかがみ死んだと思ったけど2人とも生き残ってくれてよかった……w
182Classical名無しさん:07/04/27 13:19 ID:NJ1V7Q7.
投下乙。
ヅラかっこいいよヅラ……
183Classical名無しさん:07/04/27 19:47 ID:AiZsIccg
ここにもお絵かき掲示板付けたら盛り上がりそうだな
184 ◆ozOtJW9BFA :07/04/27 20:16 ID:6kQ5ICTs
大変遅れて、申し訳ありません。
投下します。
185Classical名無しさん:07/04/27 20:17 ID:vFtbUyQw
ここは支援する場面です
186闇の中で ◆ozOtJW9BFA :07/04/27 20:17 ID:6kQ5ICTs
闇が周囲を支配していた。
太陽の沈みきった夜の闇が、星明りも届かない工業団地の奥に溜まった闇が、空条承太郎を包み込む。
 
(……ジョセフ・ジョースターに………DIOだと!? )
承太郎は名簿に有った、宿敵の名前に驚く。
承太郎の居る位置は頭上の巨大なパイプが影を落としていて、人間の肉眼では名簿を広げても暗さの為に読む事は出来ない。
だが承太郎には機械でも解析出来ない闇の中から、ハエを見付ける事が出来るもう一つの双眸―――スタンドを持っていた。
(俺が居てじじいとDIOの名前が有る上、殺し合いの開始を告げられた場所では自分以外にジョースターが近くに居たのを感じた。
 偶然居合わせた同姓同名の別人って訳じゃなさそーだな。………しかしこの『DIO』、こいつは完全に消滅させた筈だ! )
ジョースター家と、一世紀にわたる因縁を持つ吸血鬼DIOを
承太郎とジョセフは仲間と共にエジプトでの激闘の末に倒し、その体は全て太陽の光で灰にした。
(……………蘇ったっていうんなら仕方ない、何度でもブチのめしてやる。俺の『スタープラチナ』でな)
 
承太郎は見終わった名簿をデイバックを仕舞い、地図とコンパスをとりだす。
(それとじじいも捜しだしてやらねーとな、スタンド使いだし波紋とやらも覚えちゃいるが
 じじいのスタンドは戦闘向きとは言い難い、一人で居ると危険だ)
自分の現在位置を確認し、それらもデイバックを仕舞う。
(そしてこの下らない殺し合いに、俺やじじいを巻き込んでくれた『主催者』)
デイバックの中の荷物を全て確認し、二枚の紙を取り出した。
(てめーらは自身の為だけに弱者を利用しふみつける、はき気のする『悪』だ!!)
見せしめと称して殺された少女を思い出し、込み上げる怒りを抑えながら
折りたたまれた紙を開き、中から出てきた手帳位の大きさの機械を持つ。
(こんな大掛かりな真似をする連中相手に、警察も法の裁きも期待出来ねぇ……だから)
説明書の指示通りに、機械を起動させる。
(俺が裁く!)
 
 
187闇の中で ◆ozOtJW9BFA :07/04/27 20:18 ID:6kQ5ICTs
 
 
承太郎は支給品の首輪探知機を見ながら、近くの参加者を捜し歩いていた。
(なるほど、ディスプレイに映る光点で近くにある首輪の位置が分かるのか……)
探知機を見て歩きながらも、思考は殺し合いからの脱出方法にいく。
(少なくとも俺とじじいの両方が生き残る為には、首輪を外さなきゃならねぇ。
 だが弾丸つかむほど素早く精密な動きが出来て、時も止められる俺の『スタープラチナ』でも
 どんな構造をしてるかも分からない首輪を、無事に解除出来る可能性は低いだろう。
 俺自身は機械に詳しい訳じゃないし、そもそも自分の知る様な科学技術で出来ているとも限らねぇ……ん?)
探知機が自分以外の反応を拾い、思考を切り替え足を止める。
(この中に誰か居るって事か……)
承太郎の視線の先にあるのは、小さな工場。
 
◇ ◆ ◇
 
闇が周囲を支配していた。
太陽の沈みきった夜の闇が、星明りも届かない工場の奥に溜まった闇が、三千院ナギを包み込む。
 
「な…なんなんだこれは?」
ナギは混乱する頭で、自分が置かれている状況を分析し始めた。
自室で『練馬沈没』を観ていたナギは、突如闇に引きずり込まれ人が大勢居る空間に投げ出された。
そして老人に殺し合いをさせると言われ、見知らぬ少女の首が爆発し
呆然としている内に、いつの間にかこの闇の中に居る。
ナギの出した分析結果は、自分が強制的に殺し合いに参加させられ
そしてそれはもう始まっている、というもの。
 
188Classical名無しさん:07/04/27 20:18 ID:vFtbUyQw
       
189闇の中で ◆ozOtJW9BFA :07/04/27 20:19 ID:6kQ5ICTs
 
「…………ま…!!まぁたまにはこんな夜明けの炎○王みたいな急展開もある!!なぁに問題ない。かえって免疫力がつく!!」
ナギがどれ程目を凝らしても、そこには闇しか見えない。彼女を幼い頃から恐れさせていた闇。
パキッ
「………!?」
何処かから聞こえてこる微かなラップ音に、全身を震わせる。
誘拐されたり、命を狙われたりには慣れている筈のナギだが
いつもそばに居る執事もメイドもSPも居ない為か、目の前で人が死んだ為かかつてない不安がナギを支配していた。
「ハ…ハヤテ〜〜」
恐怖に震える足で何とか体を支え、執事であり想い人でもある者の名を呼ぶ。
「ハヤテ〜、ど…どこなのだ〜?」
フラフラと歩いていると、手が冷たい金属の感触に当たる。
闇に慣れた目で周囲を見ると、自分がベルトコンベアに挟まれている事が分かった。
(こんな暗い所を迂闊に動き回ったら危険だ。……だがこんな暗い所で一人で居ると死んでしまう!)
 
ゴゴゴゴ
「うひゃぁ!!?」
不意に前方から低い轟音が鳴り、ナギは身を竦める。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
前方にあった、鉄の扉が開いていく。
(だ!誰か居る!!)
轟音が止まり外から入る微かな光によって、入ってきた者の姿を見る事が出来た。
190cm以上の身長にがっしりした体格の青年、前の開いた学ランからは大きな鎖がぶら下がっている。
男はナギが怯えているのも構わずに、話しかけてきた。
「おめーに聞きたい事があるんだが……」
(…い、いかんじっとしている場合じゃないぞ…早く逃げないと!)
ナギは男の横を通り抜けて、外へ出ようと駆け出した。
「うわぁっ!?」
そしてつまずいて、ベルトコンベアの角に頭から突っ込んでいく。
 
190Classical名無しさん:07/04/27 20:19 ID:8JL4nzu6
 
191Classical名無しさん:07/04/27 20:19 ID:vFtbUyQw
    
192闇の中で ◆ozOtJW9BFA :07/04/27 20:20 ID:6kQ5ICTs
 
「……あ、あれ?」
次の瞬間には、ベルトコンベアの上に座っていた。
「やれやれ、足下もおぼつかねー位なら、慌てて逃げようとしてんじゃあねーぜ」
 
◇ ◆ ◇
 
「俺はおめーに聞きたい事があるだけだ。ほら、おめーのデイバックだ、返すぜ」
承太郎の目の前で座っている、髪を二つに結んだ12,3歳位の少女にデイバックを投げ渡す。
(やれやれどんな化け物が居るかと思ってみたら、震えるガキいたとはな……)
幾多の修羅場を潜って来た承太郎の勘が、目の前の少女が本当に成す術無く怯えているだけだと見抜いた。
「…あ……あの」
「DIOというイギリス人の男か、ジョセフ・ジョースターって名前のじじいを見なかったか?」
「………み、見てない」
「そうか、邪魔したな」
 
承太郎は工場を出て、後ろ手に鉄の扉を閉めようとしていた。
「……は!ちょ、ちょっと待て!!」
少女は慌てて閉まりかけた鉄の扉から、飛び出してくる。
「わ…私を一人あんな暗い所に置いて、行っちゃうつもりだったのか!?」
「ああ、暗いと承知で隠れてるんだと思ってな。
 おめーがどうしようと知ったことじゃねーが、死にたくなければ人目につかない所で隠れていた方がいいぜ」
「……お、お前だけ質問して終わりでは失礼だと思わんのか!」
「何か俺に聞きたい事でもあるのか?」
「お前、人を捜しているのだろ?……だったら…その、私も一緒に……」
「断る」
「ま!まだ何も言ってないではないか!!」
「いいか、俺はお前の言う通り人を捜してる。つまりそれだけ危ない橋を渡ってるって事だ。
 それに俺は参加者の一人に命を狙われてる、おめーみたいに自分で勝手にこけるようなガキが付いて来たら
 命が幾つあっても足りねーんだ。もう一度だけ言うぜ、死にたくなかったら俺に付いて来るな」
承太郎はそれだけ言うと、少女に背を向け歩き出した。
 
193闇の中で ◆ozOtJW9BFA :07/04/27 20:21 ID:6kQ5ICTs
 
「人を捜すとすれば、この近くの駅から捜した方がいいと思うぞ」
「……」
「べ…別に私が電車に乗りたいから、言っている訳じゃないぞ!」
「………」 
「まぁ、駅に行ったついでに乗ってみてもいいかもな……」
「俺は付いて来るなと、言った筈だぜ」
先程から後ろで喋っている少女に、承太郎は向き直る。
「付いていってなど居ない。お前が偶然前を歩いていたんだろ」
「ほう、さっきからくっちゃべってたのは独り言だった訳か。ならなんで俺の学ランの、端を掴んでるんだ?」
「こ、これは暗いからこうしてないと、お前を見失ってしまいそうで……」
「付いて来てんじゃねーか」
承太郎は帽子のつばを下げて、ため息をつく。
(やれやれ、DIOの野郎が居なかったらこいつを連れて歩いてもいいんだが
 あいつは自分で動くかはともかく、確実に俺とじじいを狙ってくる。巻き込む訳にはいかねーからな)
「……こうしよう、俺は用事が済んだら必ずおめーを迎えに行く。だからおめーはあの工場で待ってろ。
 支給品のランタンを使えば、暗くて何も分からねーって事は無いだろ?」
「それでも………あんな暗い所に、一人で居たら死んでしまう……」
ナギは目尻の涙を溜めて、しゃくりをあげていた。
「別に私を守ってくれとも、ずっと一緒にいろとも言わん。私には既に……ハヤテが居るからな。
 ただ明るい所に出るか、日が昇るまで共に行動してくれればいい……」
「…………OK。しばらくおめーと一緒に行動しよう。
 俺の名前は空条承太郎だ、JOJOと呼んでくれればいい。おめーの名前は?」
「私の名前は三千院ナギ。だからナギと呼べ」
 
 
194Classical名無しさん:07/04/27 20:21 ID:NJ1V7Q7.
俺は支援するぞォーーージョジョーーーーーーッ!!
195Classical名無しさん:07/04/27 20:21 ID:vFtbUyQw
     
196闇の中で ◆ozOtJW9BFA :07/04/27 20:21 ID:6kQ5ICTs
 
 
工業団地の暗がりの中を、承太郎とナギは並んで歩く。
承太郎は自分に支給されたランタンに火を点けたが、それでもナギは承太郎の学ランから手をはなそうとはしなかった。
「ところでJOJOは、何で私が工場の中に居るのがわかったんだ?」
「ああ、こいつを使ってな……」
承太郎は首輪探知機を見せる。
「俺の支給品だ。近くに誰か居るとこのディスプレイに表示される」
「首輪の発信機の反応を、拾う機械だな」
「……何でおめーが、そんな事を知ってるんだ?」
「推測だ。人間を探知するのに何らかの生体反応を頼るのでは、それが何であれ周囲の環境によるノイズが多すぎる。
 ならば発信機を仕込んでいる可能性が最も高い。
 しかし発信機を常に身に付けている状態にしておく為には、体内に埋め込むか首輪に仕込む位しか方法は無い。
 当然後者の方が、リスクが少ないだろ?」
「……」
ナギの話を聞いて、承太郎は首輪に関する自分の考察を思い出す。
「更に推測を進めるなら、首輪探知機を支給品にする為に発信機を仕込んだのではなく
 首輪の発信機に合わせて、探知機を用意したと考えた方が自然だな」
「つまり主催者側も、その発信機でこちらの位置を監視してるって訳か。なるほど、悪くねー推測だな。
 ……俺からも訊くがナギ、おめーはもしかして機械に詳しいのか?」
「うむ。これでも私は小さい頃から機械工学の教育は、それなりに受けてきたのだ」
それを聞いた承太郎は、首輪解除の計画を思い付く。
(さっきは『スタープラチナ』でも首輪は外せないと考えたが、解除方法が分かれば話は別だ。
 じじいの『ハーミットパープル』なら、解体しなくても首輪の内部構造を見る事が出来る。
 それを基にこのナギが、解除方法を解析出来れば『スタープラチナ』の超精密な動きで解除すればいい。
 まあ、じじいと合流しない事には話が始まらないし、ナギの知識が首輪に通用するかも分からねーが
 試してみる価値は有りそーだな) 
 
だが承太郎は知らない、この殺し合いに参加しているジョセフ・ジョースターが
彼の知るジョセフ・ジョースターでは無いという事を。
 
197闇の中で ◆ozOtJW9BFA :07/04/27 20:22 ID:6kQ5ICTs
 
【2-A 工業団地 一日目 深夜】
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
{状態}健康
{装備}無し
{道具}首輪探知機@漫画版バトルロワイアル、支給品一式、不明支給品1〜2(本人は確認済)
{思考・状況}
基本:殺し合いからの脱出
1:ナギを守る。
2:ジョセフ・ジョースターと合流する。
3:首輪の解除方法を探す。
4:DIOを倒す。
5:主催者を倒す。
参戦時期:原作28巻終了後 
 
【2-A 工業団地 一日目 深夜】
【三千院ナギ@ハヤテのごとく】
{状態}健康 
{装備}無し
{道具}支給品一式、不明支給品1〜3(本人未確認) 
{思考・状況}
基本:殺し合いはしない
1:しばらくは承太郎と行動する。
2:ハヤテ、マリア、ヒナギクと合流する。
参戦時期:原作6巻終了後
198Classical名無しさん:07/04/27 20:22 ID:vFtbUyQw
      
199 ◆ozOtJW9BFA :07/04/27 20:24 ID:6kQ5ICTs
投下終了です。
支援ありがとうございました。
問題点があれば指摘お願いします。
200Classical名無しさん:07/04/27 20:24 ID:vFtbUyQw
>>196
投下乙!

承太郎の冷淡さに吹きそうになったw
流石だ、さすがだぜ承太郎……。
それにしても、三千院ナギってそんな設定だったんだなあ。
原作読んでみっか
201Classical名無しさん:07/04/27 20:30 ID:NJ1V7Q7.
>>199
投下乙。
でも承太郎がJOJOと呼ばれていたのは最序盤くらいだったから『呼ぶときはJOJOでいい』のセリフに少し違和感が……
それにJOJOはジョセフの二部での愛称で承太郎は普通に『ジョジョ』だった……はず。
202Classical名無しさん:07/04/27 20:34 ID:OkWERR1w
投下乙
てことは吉良知ってるやつがいない!!
……孤独だな
203Classical名無しさん:07/04/27 21:05 ID:.rWMmcP6
>>199
投下乙です。
ジョジョは読んでないのでなんとも言えないので感想は控えますが、雰囲気はいいと思います。

ですが、遅れる場合予約期限の間に一言でも遅れる旨の連絡を入れた方がいいと思います。
その方が安心するので。
204Classical名無しさん:07/04/27 21:19 ID:2EGHN3pI
>>201
反対だよん。JOJOが承る太郎の序盤の愛称、ジョジョがジョセフの愛称。

しかし、ジョセフと会った時の承太郎の反応が早くも楽しみだw
それと吉良と承太郎の出会いも…
205Classical名無しさん:07/04/27 21:32 ID:8VrvLruQ
>>202
まだ「承太郎の記憶DISC」(6部で実際抜かれたやつ)を誰かに支給するという強引な手が…w
206Classical名無しさん:07/04/27 21:36 ID:PpwpSHLk
>>205
「川尻早人の撮影したビデオテープ」なら、アリじゃないか?
中身を見るためにどこかでデッキを探さないといけないってのも、支給品として面白いし。
207Classical名無しさん:07/04/27 22:45 ID:7EZAl766
まとめの本編投下順でしろがね花山TQNの話とばされてるんだが没食らったのか?
208Classical名無しさん:07/04/27 22:47 ID:vFtbUyQw
>>207
……よく指摘してくれた。
ただ単に見落としてただけです、作者さんすんません。
209Classical名無しさん:07/04/27 23:11 ID:OkWERR1w
そういえばブラボーってどんな服装だろう
つなぎ?それとも、シルバースキン風特注セット?
後者なら怪しさ抜群で、劉鳳どんな反応するか楽しみだ。
210Classical名無しさん:07/04/27 23:33 ID:T0Bj5vM2
SS一覧での8話の作者さんが違うみたい(7話の方になってる)なんだけど、
直し方が分かんない……誰かお願い。
211Classical名無しさん:07/04/27 23:45 ID:NJ1V7Q7.
>>204
文庫コミック版では劇中の愛称は全てジョセフは『JOJO』、承太郎は『ジョジョ』に変更されていた。
(ちなみに仗助は『ジョジョ』のままだった)
212Classical名無しさん:07/04/27 23:49 ID:vFtbUyQw
>>210
指摘ありがとう。
だが、もちっと分かりやすくいってくれ。
213Classical名無しさん:07/04/27 23:53 ID:T0Bj5vM2
>>212
修正乙。文章がヘタクソなのは申し訳ない。
214 ◆VACHiMDUA6 :07/04/27 23:54 ID:s/q0W/hA
したらばの方にも書き込みをした、桂ヒナギク他を予約したものです。
ここ数日が予約した当初には考えられないほどに忙しくなってしまったため、プロットは練ったが本編が書き終わっていない、といった状況です。
しかし終わりのメドもたち、本編も残すところ後3分の1といった所です。
既に締め切りもオーバーした上で、誠に自分勝手なことを申しますが、締め切りを明日の午後10時まで伸ばしていただけないでしょうか?
 
しかし予約が大幅に上、当方の勝手な都合上のことなので、認められない、破棄せよ、と仰るならば、この度のものは破棄させていただきます。
またどちらにせよ、キャラクターを長く縛り止めてしまって、他の書き手の方、読み手の方に多大な迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。
215Classical名無しさん:07/04/27 23:55 ID:t.VH/xqs
まぁ、明日のPM十時までならいいんじゃね?って俺は思う。
216Classical名無しさん:07/04/27 23:55 ID:vFtbUyQw
>>213

いや、すまない……。
ちょっと単純作業の繰り返しで気が立ってたんだ。

つーか、wikiを借りた人何処にいっちまったんだ?
俺はど素人だから限界あるっちゅーの。
217Classical名無しさん:07/04/27 23:57 ID:yzKR64S6
>>214
俺はOKだ。
楽しみに待っているぜ。無理せずにとだけは言っておく。
218Classical名無しさん:07/04/27 23:59 ID:t.VH/xqs
>>216
いや、普通にいるけど。
とりあえず、零式防衛術を追加して、覚悟や散の項目をさらに充実させていこうと思っている。

ってーか、一人でやろうと思うなよwikiなんだから。
219 ◆7jHdbxmvfI :07/04/28 00:03 ID:WlIjGadg
今から投下スタート!
220Classical名無しさん:07/04/28 00:04 ID:tpaMxTQ2
>>218
あ。wiki管理人さん、ひとつお願い。
一部ワープロモードになっちゃっている項があるのですが、そこをwikiモードに直しておいてもらえないでしょうか?
221Classical名無しさん:07/04/28 00:05 ID:/JTM2twM
ニコニコで銀魂観つつ支援
赤い髪の少女、いや少女というには無理がある。
並の男性よりも長身。それでいて胸は大きく腰は滑らか。
生まれた世界が違えば、パリのトップモデルとでも同等に渡り合っていたであろう素晴らしいバディ。
そして、その美しさの裏には男を操る『棘』を隠し持つ。
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーはそんな女だ。


「シエスタ……変ね。メイドが一人死んだだけ……なのにどうして」

キュルケの心の琴線に引っかかるのは最初の出来事。
学院のメイドが無残に爆死するという凄惨な光景。
でも悲惨な光景を見たことによるショックとは何かが違う。
平民のメイドが一人死んだ。それだけでこれほどまでに動揺するなどありえないはずだった。
確かに過去にはシエスタを助けるために、家宝の本をモットハックという貴族に渡した事はある。
だがそれはあくまでも、才人が望んだから。シエスタのためと言うわけではない。
それなのに、友が死んだかのように動揺している。いや、悲しんでいる。

 ダーリンが悲しんでいる顔を見たせいよね。……そうよ。きっとそうだわ。

いつまでも考え事をしているような余裕は無い。
必死で自分に言い聞かせ、悲しみは心の奥深くに閉じ込める。
そして支給品を確認すべくバッグを開く。
中にあるのは地図や名簿や筆記用具。そして三つの包み紙。
その中から適当に一つを取り包まれた紙を開く。
すると見覚えのある物が出現する。
223Classical名無しさん:07/04/28 00:06 ID:smlJtkHQ
>>220
俺も治したいんですが、直し方が分からない。
多分、最初に作った人がワープロモードってやると、ワープロモードになるんじゃないかと。


って、思ったがあれですかね。何か出来るんですかね。
最悪一回削除してから作り直せばいいのかな?
「これは……タバサの杖?少し大きいけどどうやってこんな紙に……?」

さすがのキュルケもこれには不思議に思う。タバサの杖は自分やルイズの物より大きい。もちろん包んでいた紙よりも明らかに大きい。 
それにも関わらず包み紙を開くと出てきた。物理法則を無視した事象を疑問に思わないわけが無い。しかし――

「……魔法の紙?こんな魔法あったかしら。でも深く考える時間なんてないわ。きっと後で習うのよね」

強引に納得してしまう。最もこれについてはキュルケの世界の技術ではない以上考え込んでも仕方が無い。
そして次なるは当面の目標設定である。

「そうね。まずは人を探さないと。タバサとダーリンとそして……」

「はあ……大体ここはどこネ。こんな武器で殺し合いなんて出来るわけ無いアルっ!」

 えっ!ルイズ!?

突然耳に入るはルイズの声。口調はおかしいが、明らかにルイズと全く同じ声。
もしかしたら先ほどの惨劇のショックで何か精神に異常が出ているのかもしれない。
そうだとしたら放っておけるわけがない。
普段はツェルプストーとヴァリエールは犬猿の中だが、今はそんな事を言っている時では無い。
かつてガリアで囚われのタバサを助けたあの時のように、力を合わせ全力を尽くさなければならない。
意を決し、キュルケは声がした方へ向かい走り出す。
  ☆   ☆   ☆

時間は少し遡る。

チャイナ服の小柄な少女神楽はボーリング場の壁にもたれるように座り考え込んでいる。
何度か難しい顔をするが、それは数分の出来事。
すぐに立ち上がる。大きく勢いをつけて。

「歌舞伎町の女王が何座り込んでるアルかっ!」

自分に叱咤激励をするように、少し強い口調の言葉だった。
そして少し早足で歩き出す。

 殺し合いなんて冗談じゃないアル。銀ちゃんも眼鏡男もヅラも殺し合いなんてするわけ無いネ。
 大体私は人を傷つけるのがいやで万事屋で働いてるのに、これで人を殺したらチャンチャラおかしいよ、あのジジイ何考えてるアルか。

歩きながらも愚痴を心の中で呟く。
とにかく怒りと義憤で心は満ちていた。
人を傷つけるのに嫌気が差して、用心棒稼業を廃業。
銀時たちと生き、苦楽を共にするようになった。
その自分に殺し合い。これは許せる事では決して無い。
226Classical名無しさん:07/04/28 00:07 ID:smlJtkHQ
支援
 それに殺し合いというくせにこの武器は何事アルか。拡声器と木刀じゃ人は殺せないネ。私は銀ちゃんじゃないアルよ。
 せめて刀ぐらい渡してほしいネ。傘まで取り上げて……最悪の極みアル。

バッグから出てきた自分の武器にも不満が有り、次第にフラストレーションが溜まりつつある。
殺し合いを強要するくせに武器は取り上げ、殺傷能力が低そうな武器を渡すという意味不明の行為には怒りが募る。
そして遂に――

「はあ……大体ここはどこネ。こんな武器で殺し合いなんて出来るわけ無いアルっ!」

気持ちを大声で吐き出す。先ほどより更に大きな声で、思いっきり叫ぶ。

「………ふう、一度叫ぶとすっきりして気持ちいいアル」

一通り叫び終えると、元通りの神楽が遂に姿を現した。

「工場長の名に掛けて……私が絶対ジジイを倒すね!」

夜の月は、神楽の頭上で美しく輝く。
【G-8 ボーリング場付近 一日目 深夜】

【キュルケ@ゼロの使い魔】
{状態}健康 精神に僅かの動揺
{装備}タバサの杖@ゼロの使い魔
{道具}支給品一式 不明支給品1〜2(本人は未確認)
{思考}
1:先ほどの声の主(ルイズと誤認)に会いに行く
2:タバサ、サイト、ルイズと合流する
3:危害を加えて来ない限りは仕掛けない。
基本行動方針
学院に四人で帰る。

【備考】
キュルケの登場時期は原作10巻。
ガリア王ジョゼフからタバサを救出した直後辺りです。

【神楽@銀魂】
{状態}健康 若干の苛立ち
{装備}木刀正宗@ハヤテのごとく
{道具}支給品一式 拡声器@バトルロワイアル
{思考}
1:銀ちゃん(銀時)と眼鏡男(新八)とヅラ(桂小太郎)を探す。
2:帰る方法を考える
3:殺し合いに乗る気は無い。
基本行動方針
殺し合いに乗っていない人は守る。乗っている人は倒す。

【備考】
木刀正宗の切れ味に気付いていません。
229 ◆7jHdbxmvfI :07/04/28 00:10 ID:WlIjGadg
投下終了ゴールイン!

>>221
>>226
助太刀感謝いたす。
230Classical名無しさん:07/04/28 00:12 ID:jrwhh9EU
ちょw 神楽拡声器ww
ここでも次の話で殺す気かw
231Classical名無しさん:07/04/28 00:13 ID:uBI9Yl6A
いきなり、しかも神楽に死亡フラグ渡すなんて外道にも程があるw
ところで新八のことを眼鏡男なんて呼んだことあったっけ?
232Classical名無しさん:07/04/28 00:14 ID:Zaba2tIs
>>229
相変わらずGJです。

早くも2作目投下たあ、素晴らしい。
それにしても、いきなり拡声器たあ、すごい。
アニロワの某キャラのように、生き残って欲しいものだが……
はてさて
233Classical名無しさん:07/04/28 00:15 ID:/JTM2twM
いや、拡声器は使わなきゃ死亡フラグは発動しないんだぜ?
でも神楽ならやってくれそうな気がorz
234 ◆VACHiMDUA6 :07/04/28 00:17 ID:1b2ru8aA
ありがとうございます
なるべく速く仕上げるように頑張ります
235Classical名無しさん:07/04/28 00:27 ID:IjxeUIss
二日で凄い投下量だな
いいスタートダッシュだ
そして唐突に絵スレ立てないかと提案
236Classical名無しさん:07/04/28 00:28 ID:1PBKt7KE
神楽は新八には呼び捨てかダメガネをよく使っている気がする
237Classical名無しさん:07/04/28 00:29 ID:tpaMxTQ2
>>232
ゲインのことかーーーー!
238Classical名無しさん:07/04/28 00:31 ID:ShdJq5/M
今更なんだが、ランダム支給品は紙の中に入ってるんだよな?
誰も彼も平然と開封してるけど、違和感とか感じないのか? 主催者からは一切説明なかったみたいだし(cf.オープニング)
説明書がついてるような描写も特になかったみたいだし、何より紙から取り出した描写さえない作品もある
このシステムがちょっとした特殊ルールである以上、しっかり活かしてほしいんだが……




でも、それ以外の部分では皆さん本当にGJなんだぜ
これからも頑張ってほしい
239Classical名無しさん:07/04/28 00:37 ID:jrwhh9EU
つ【バトロワという非日常の事態】

冷静なキャラがいれば、紙に収納されているカラクリについて考察したりもするかもしれないけどな
もちろん、ある程度場に慣れてきて、ふと紙のことを思い出して考察するって展開でもいいと思う
240Classical名無しさん:07/04/28 01:01 ID:CMVNQayo
神楽はどのロワでもすぐ死ぬなw
241 ◆7jHdbxmvfI :07/04/28 01:04 ID:WlIjGadg
>>231が気になって手元のビデオ見返したが、>>236の言うとおり新八と呼んでた。
ごめん、本当にどうして間違えたんだろ。

>>225の眼鏡男の記述を新八に、>>228の眼鏡男(新八)を新八に
それぞれ訂正します。
こんなケアレスミス、本当にごめん。
242Classical名無しさん:07/04/28 01:06 ID:Fd96ssGE
>>238
不思議なことなんざ世の中にはいくらでもあるぜ!!

そんな感覚の持ち主が大量にいるからなぁ。
243Classical名無しさん:07/04/28 11:41 ID:pgZNo3hk
アンデルセンの話を一時投下スレに投下した人、GJ!

ただ、本スレに報告しておかないと読み手側は気付かないと思うんだ
244Classical名無しさん:07/04/28 14:32 ID:Zaba2tIs
>>243
同感。

非常にGJだと思う。
質、量共にまったく問題ないと思うのだが……。
何故、一時投下スレに?
245Classical名無しさん:07/04/28 15:48 ID:y5WwjJD6
一時投下乙。
も、毛利のおっちゃん……(つoT);
流石に今回は相手が悪すぎたな…………
246 ◆rnjkXI1h76 :07/04/28 16:37 ID:tpaMxTQ2
予約した川田、つかさですが投下が締め切り時間まで少し遅れるかもしれません。
そのため予約延長をお願いしてもよろしいでしょうか?


あと、俺もアカギキャラは一応書けますが、市川とニセアカギだけはどうしても書けません。無理です……
だからこの二人には以下のうちのいずれかの処置をしてほしいのですが…………
・この二人だけ参加者から外す
・他の作品から代わりに二人もってくる(交換する)

後者の場合、代わりのキャラは最近の作品のキャラでお願いします……
247Classical名無しさん:07/04/28 16:43 ID:A9AbJduA
作品名をアカギではなく福本作品連合にかえて……カイジとかかけるのいるのか?
248Classical名無しさん:07/04/28 17:24 ID:K2rpLFU2
カイジならいける
アカギ系は麻雀無理だからきつい
249Classical名無しさん:07/04/28 17:27 ID:IWb.okIE
>>91 紫外線照射装置は元々、サンタナ=柱の男を想定して作られた機械
赤石カーズにこそ効かなかったが、サンタナがその後、登場しない事から
滅ぼす威力があったかもしれない物だと思われ、アーカードに効いても
問題無いと思います、DIOはジョナサンの肉体+ジョセフの血の効果で、
あの時は凌げた、今後は現状のままでは即死という解釈はいかがでしょう?
250Classical名無しさん:07/04/28 17:49 ID:Zaba2tIs
>>247-248
今までの流れをみるに、死者が少ない感じだから
いっそ、誰も入れない方が、数的に丁度よくねえ?

もう一度長々投票やるのも面倒だし。
251Classical名無しさん:07/04/28 18:00 ID:EjAW/wjo
いまさら差し替えは論外として、登録抹消するくらいならマーダーの箔付け役にでもしたほうがいいと思う。
死者が出にくいというならなおさら、「殺し合いはもうはじまっているんだ!」要員にできるし。
252Classical名無しさん:07/04/28 18:08 ID:tpaMxTQ2
>>248
カイジ読んだことねえ……orz
253Classical名無しさん:07/04/28 18:13 ID:HqjmH3YU
何だかんだで現状維持が一番得策な気がするなぁ>アカギ勢
254Classical名無しさん:07/04/28 18:15 ID:VQmrThK2
変えるなら未だパロロワに参加したことが無い作品がいいな俺は。
だから最初はネウロを推そうと思ったけどジャンプ系はもう4作品も出ているんだよな。さすがにお腹いっぱいって感じだ。
それに変えるなら一般人キャラがいい。

とりあえず、これまでしたらば等で上がっていた「代えるならこれがいい」と言われてきた作品(ただしジャンプ系除く)
・カイジ
・なのはシリーズ
・蟲師
・AKIRA(金田&鉄雄)
・月姫(志貴&さつき)


>>246
頑張ってくださ〜い。
255Classical名無しさん:07/04/28 18:19 ID:HqjmH3YU
>>254
というか再選考自体がもうお腹いっぱい
投票に再度時間を掛けるのは企画全体にとってマイナスにしかならないと思う
256Classical名無しさん:07/04/28 18:21 ID:K2rpLFU2
取り敢えず現状維持のままで続けて、最後にアカギ2キャラが書かれず残ったら
ズガンか参加取りやめで良いんじゃない
257Classical名無しさん:07/04/28 19:28 ID:JzFUO56I
>>256
既に赤木が予約されてるのに、なかった事にするのって可能なのか?
自分はアカギを呼んだことがないから、赤木とそれ以外のキャラの関係性を知らないんだけど、
普通、同作品から参加するキャラがいる場合、思考に相手のこと(心配するとか、危険視するとか)が入るんじゃないか。
もちろん、後で書き手さんが変更に合わせて、心境や行動方針を書き換えてくれるならいいけど。
258Classical名無しさん:07/04/28 19:30 ID:28kxC9hY
アカギがあの二人のことを思考に入れることは無いだろうな、たぶん
鷲頭はもっと無いだろうし
259Classical名無しさん:07/04/28 19:36 ID:JNo1FT7w
鷲巣は2人を知らない、いや平山は知ってるかもしれないけど、殺してきた若者Aでしかないから名前すら覚えてないと思う
アカギ?ああ多分気にも留めないだろ、多分普通にスルー
260Classical名無しさん:07/04/28 20:21 ID:A9AbJduA
よくても、あれ?こいつ死んだんじゃ……程度だな
261Classical名無しさん:07/04/28 20:26 ID:TXL2T5F2
今後も書く人がいなければアーカードやDIOあたりが既に殺ってましたとか、傷を癒すために喰いましたとかいって
死体役にしておけばいいんじゃね?
262Classical名無しさん:07/04/28 20:33 ID:i1S2zOrs
>>261 
ラノロワのハックルボーン神父みたいなのかw
他が放送まで進んだらそれでいい気がする。

まあまだ半月か一ヶ月近く先の話になるだろうけどね。
263Classical名無しさん:07/04/28 20:55 ID:TKORZqhs
描写とかなしで放送で名前だけ読み上げて終わりとかでいいんじゃね?
264Classical名無しさん:07/04/28 20:57 ID:GMA5w.k6
>>263
それは逆にもったいない
せっかくの人材なんだからマーダーに殺らせるとかしないと
265 ◆VACHiMDUA6 :07/04/28 21:24 ID:1b2ru8aA
アレクサンド・アンデルセン、桂ヒナギク、本郷猛、毛利小五郎 投下します
 周囲が暗く沈みきった闇の中、木々の間を少女は走る。
 
「はあーーーはあーー」
 走る。
 少女が走る。
 お化けとの逃走劇とも、マラソン大会とも、西沢歩を追いかけた時とも比べものにならない勢いで、桂ヒナギクは走る。
 逃げる為、助けを呼ぶ為、そびえる木の合間を縫って走る。
 突如襲って来た大男。
 その化物から逃げるために。
 自分を逃がしてくれた男。
 その人を助けるために。
 
 桂ヒナギクは走る。
 男の無事を祈りながら。
 
 桂ヒナギクは走る。
 狂った脅威との遭遇を思い出しながら。
 
 ────────────────────
 
(さっきのは……いったい)
 見知らぬ人間が集まる中、老人に突然殺し合いを要求された。
 その後、メイドの少女が………殺された。
 いったい何故?
 自分は時計塔でハヤテを待っていた筈ではなかったのか。
 あまりにも待たされて自分は眠ってしまって、これは実は夢なのではないか?
 
 夢の、わけがない。
 あのメイド服の少女の……はあまりにもリアルだった。
 思いだしたくはない、でもあの光景が思い浮かんでしまう。
 助けを求めて、殺された少女。
267Classical名無しさん:07/04/28 21:25 ID:i1S2zOrs
 
268Classical名無しさん:07/04/28 21:26 ID:TKORZqhs
(よし…この支援でおっちゃんを眠らせて…)
269Classical名無しさん:07/04/28 21:27 ID:cwqpHXQ6
sienn
 『殺し合い』
 自分も……あんな風に殺されて仕舞うのか?
 ―――嫌だ。
 絶対に嫌だ。死にたくない。自分はまだ、綾崎ハヤテと決着をつけていない。だから、
 
 ―――綾崎、ハヤテ。
 そうだ、彼もここにいるのだろうか?
 いるなら、
「助けにきてくれるって…………言ったじゃない」
 会いたい。助けに来て欲しい。
 自分が言ったら、助けに来るってハヤテは言った。
 速く、来て、この悪夢のような場所から助けて欲しい。
 そう、ヒナギクは祈った。
 
 しかし、
 それにしても、
「…………………………」
 それにしてもどうしてなのだろうか?
 どうして自分は、こう、高い木と縁があるというのだろう。高所恐怖症だというのに。
 本当に、速く助けに来て欲しい。
 
 「ハ……!!ハヤテくーーーーーーーーーん!!」
 ヒナギクは叫んだ。
 
 ────────────────────
 
「それで、お嬢さん。怪我はありませんか?」
「あ……はい。その、すみません」
「なあに、私としても光栄ですよ。あなたのような美しいお嬢さんのお役に立てたのなら」
 ニヤニヤとしまらない顔で笑うのは、「自称」名探偵毛利小五郎だ。
 顔には、足跡。
 
「それにしてもどうしてあんな場所に?」
「私が気がついたら、木の上で」
 ヒナギクが木の上で難儀していると、ちょうど小五郎が通りかかった。
 困っている人を見捨てておけない、といって小五郎はヒナギクを助けたのだ。
 そこで、ヒナギクのキックが小五郎の顔に命中した。
 ヒナギクが狙って蹴ったワケではなかったのだが、目をつぶって飛び降りたせいか、偶然、受け止めようとした小五郎の顔にヒナギクの足があたってしまったのだ。
 まるで、ヒナギクとハヤテの初めての出会いのように。
 
「それでヒナギクさんのお知り合いは?」
「えーと、マリアって女の人と、三千院ナギって女の子と、綾崎ハヤテって男の子で……」
 ヒナギクは続けて、事細かに知り合いの特徴を小五郎に説明する。一つ一つ、丁寧に、記憶を掘り返しながら。
272Classical名無しさん:07/04/28 21:32 ID:cwqpHXQ6
支援
「それで、小五郎さんのお知り合いの方々は?」
「私の知り合い、ですか。ええーと」
 小五郎は手元の名簿を確認する。
 『江戸川コナン』『灰原哀』『服部平次』……小五郎の周りには、見知った三人の名前があった。
 蘭や妃英理の名前がない。そのことにひとまず小五郎は安堵した。
 
「小五郎さん?」
「ああ、ええっと……三人、です。江戸川コナンと灰原哀と服部平次です」
 小五郎は、三人の顔や特徴を出来る限り思い浮かべ、話し出す。
 
「江戸川コナンってのはウチで預かってる子供で、いっつもうろちょろしています。
 灰原哀ってのは……たしかコナンの友達、だったかな?
 服部平次ってのは……コイツもコナン同様うろちょろする奴なんですが、探偵なんですよ。まあ、私には及びませんがね」
「はあ」
 あまり要領を得ない説明にヒナギクは不安を覚える。
(それじゃ殆ど説明になってないじゃない)
 要領を得ない、というより説明そのものになっていない。
 本当に小五郎は探偵なのだろうかと、ヒナギクは不安を覚えた。
 
「それで、これからどうしますか?
 お互いの知り合いを探しに……」
 
 小五郎に問うヒナギク。
 そこに、恐怖は訪れた。
 気配もなく、闇の中から現れた。
「良い月だな、異教徒共」
 神父、アレクサンド・アンデルセン。
 法衣に包まれたその足から生える『処刑鎌』は、名探偵でない者にも、アンデルセンはゲームに乗った殺人者だということを推測させるには十分なものだった。
「貴様らは震えながらではなく、藁のように死ぬのだ」
 場の空気が、凍る。動きが、止まる。
 振り上げた処刑鎌は月の光を反射して、美しく光った。
  轟
 アンデルセンが動く。
 
「Amen」
 アンデルセンの狙いはヒナギク。
 何故?
 弱いものを先に刈る?
 否。『ただ』近いから。
 それだけだ。ただそれだけだ。
  飛
 ほんの一瞬、ほんの一歩でヒナギクに詰め寄り、
  斬
 その素っ首を掻き落とした。
 
 否。掻き落としたのは、内臓まで裸同然の人体解剖人形だった。
 直後、
「おい!」
 放たれた三発の銃弾が、神父を襲った。
 とっさにバルキリースカートの刃を盾にしたアンデルセンだが、放たれた銃撃全てを防げる筈もなく、大口径のストッピングパワーに後退を余儀無くされた。
 
「逃げるぞ!」
 その様子を確認して小五郎は立ち竦むヒナギクを連れ逃走した。
275Classical名無しさん:07/04/28 21:34 ID:7VX0VzFY
 
「な、なんなのよ……あれ」
 ヒナギクは女子高生とは言え、これまでにそれなりに場数を踏んできた。
 動く人体解剖人形とも戦った、巨大ロボットとも、暗殺シスターとも戦った。
 でも、それらには無かったもっと大きな、恐怖を感じた。
 狂人。凶人。凶刃。
 あれは、間違いなくこの世のものではなかった。
 
「クソ」
 ヒナギクと同じく、小五郎も恐怖を感じていた。
 探偵になる前は刑事だった小五郎は、犯人逮捕を幾度も経験した。その中には殺人犯だっていた。
 しかし、あの神父は今までのどんな犯人よりも危険だった。
 
「は は は は は は は は」
 アンデルセンは愉快だった。
 突然殺し合えと言われ、鉄火場に放り出された。
 支給品は『処刑鎌』。刺客(イスカリオテ)のユダに相応しい道具。
 盤石だが、あの男のとっさの機転で防がれた。
 それに、再生の速度が遅い。いつもならこの程度の傷、数瞬と要らず回復するのに。
 だが、だから、アンデルセンには愉快だった。
 
277Classical名無しさん:07/04/28 21:35 ID:7VX0VzFY
   
 ────────────────────
 
「は は は は は は は は」
 アンデルセンの叫び嗤い声がヒナギクと小五郎に届く。
 ヒナギク達は目撃する。
 それは驚愕。
 処刑鎌を足として、闇の木々を縫い、翔ける神父の姿。
 その速さ、尋常でない。
 
「な……」
 小五郎の驚愕。
 刑事は普通帯銃しない。
 また発砲も威嚇と、脚部に対するもの。脚部への銃撃で犯人の動きを止めるためだ。
 だから先ほど小五郎はとっさに、足と腹部へと発砲した。
 アンデルセンを無力化するため、或いは条件反射的に。
 確かに一撃は防がれた、だが小五郎の銃撃はアンデルセンの腹部と脚部を射抜いた。
 しかし、目の前の、視線の先の化け物は何事も無かったかのように、いや、先ほどよりも迅く飛び回っている。
 このままでは直に追いつく。
 そうすれば、自分はともかく、後ろのヒナギクは、あの原理わからない鎌で切られてしまうだろう。
 それは、避けなければならない。
 だから、
「ヒナギクちゃん、逃げるんだ」
 小五郎はアンデルセンを引き止めにかかる。
 
279Classical名無しさん:07/04/28 21:36 ID:7VX0VzFY
 
280Classical名無しさん:07/04/28 21:36 ID:SQdZwyh.
支援
281Classical名無しさん:07/04/28 21:37 ID:7VX0VzFY
     
「な、何を言っているのよ……?小五郎さん」
「速く逃げろ!あの男は危険だ」
 必死に逃がそうとする小五郎だが、
「却下よ!」
 ヒナギクはそれを拒否した。
 ヒナギクとて、他人を犠牲に生き延び人間ではないのだ。
「小五郎さん一人を放っておくわけにはいかないでしょ!!」
「いいから速く逃げろ!さもないと、もう」
 もう、
 
「もう、なんだというんだ?異教徒共」
 もう、アンデルセンが追いついてしまったのだから。
 二人の前にそびえ立つ、鋼のような巨躯。
 神の代理人、神罰の地上代行者。
 「首斬判事」アンデルセン。
 
「貴様ら異教徒共を生かして帰すつもりはない」
 今度ばかりは、どうしようもない。
 
「速く逃げろ!ヒナギ……うグェ」
 斬、と横薙に首斬り鎌が振られ、同時に小五郎の体が崩れ落ちる。
 圧倒的な、虐殺。
 驚異的な、殺害。
 超越的な、重圧。
 倒れた小五郎のそばから、一歩、二歩とヒナギクと「殺し屋」の距離が近づく。
 
(誰か……誰か――――――――)
 ヒナギクの悲痛な祈りとは裏腹に、神父の動きは止まらない。
 
 神父との距離はついに零歩になる。
 神父が鎌を振り上げる。
「Amen」
283Classical名無しさん:07/04/28 21:37 ID:7VX0VzFY
   
鎌が振り下ろされ―――
 
 いや、振り下ろされない。
 神父は、地に伏していた。背後には―――柔道の投げの姿勢で片腹を抑える小五郎。
 
「速く……速く逃げろ!」
 今度は迷わずヒナギクは飛び出した。
 
 ────────────────────
 
 その場から走り去るヒナギクの後ろ姿。
 確認して息をつく小五郎の片腕は無かった。
 
「まだ立つか異教徒」
 アンデルセンの問いに、小五郎は答えない。
 ただ、その手にある武器を構える。
 
「その傷で、その体で、その武器で、まだ立つか異教徒。
 どうした?片腕がないぞ。武器は壊れているぞ?まだやるのか、まだ闘るのか?」
 とっさにアンデルセンの一撃を受け止めた拳銃の銃身は破壊されていた。でもこれが、ヒナギクを逃がす代償だった。
 故に、この銃事態に、既に、武器としての機能はない。
 ただ、ナイフのついたマガジンのみが、小五郎にのこされた最後の武器だった。
 
 それを―――――
 
「げはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
 アンデルセンが、嗤う。
 今度は処刑鎌を阻むものはなかった。
285Classical名無しさん:07/04/28 21:38 ID:1PBKt7KE
SIEN!
【H-4北部 林/1日目 深夜】
【アレクサンド・アンデルセン@HELLSING】
[状態]:脚部と腹部に銃創。軽い打撲
[装備]:バルキリー・スカート@武装錬金
[道具]:不明支給品0〜2品(本人は確認ずみ)
[思考]
基本:化け物共と異教徒共は鏖
1:桂ヒナギクを追う
2:アーカードを殺す
[備考]

・再生者の制限は回復速度が遅くなることと、頭部などへの致命傷は再生できないことです
・再生が弱まっていることを自覚しています
・参戦時期は原作2巻です
 
【毛利小五郎@名探偵コナン :死亡】
[備考]

・小五郎のデイパック(不明支給品0〜1品)は【H-4北部 林】に転がっています
・小五郎の支給品【人体模型@ハヤテのごとく】は首が取れた状態で【H-4北部 林】に放置されています
・【電磁ナイフ付き拳銃@仮面ライダーSPIRITS】は銃身が破壊されて【H-4北部 林】に放置されています
・【電磁ナイフ付き拳銃@仮面ライダーSPIRITS】の電磁ナイフは【H-4北部 林】に放置されています
287Classical名無しさん:07/04/28 21:39 ID:TXL2T5F2
 
288Classical名無しさん:07/04/28 21:39 ID:7VX0VzFY
                           
289Classical名無しさん:07/04/28 21:40 ID:smlJtkHQ
  
 ────────────────────
 
 「はあーーはあーーーーー」
 木々の合間を縫い、走るヒナギク。
 ついに広い、道路に出た。
(これで、助けが呼べる――――――)
 その時、
  轟
 ヒナギクの背後の森の中から何かの爆発する轟音が轟い。
 場所は……先ほどヒナギク達がいた場所より、そう遠くない場所。
(あ………………)
 ヒナギクはその場に、へたり込む。
 足からは力が抜け、体は妙な喪失感に支配された。
 爆発が小五郎に関係ないとしても、ヒナギクにはそれが小五郎の死を告げる声に聞こえた。
 
(あ…………あ………………)
 心に広がる絶望。
 目からこぼれ、頬を伝う涙。
 自分が残らなければ、小五郎は…………
(私が残らなければ、小五郎さんは……あんなにならないで、助かったのに)
 自己を咎め、蔑み、悲哀に溺れるヒナギク。
 しかし突然、
「大丈夫か?」
 突然、声をかけられた。
 顔をあげない。
「どうした、何があった」
 ヒナギクは男に肩を掴まれ、顔を合わせられる。
 だが……涙で滲んで、悲しみで、男の顔も、声もヒナギクには届かなかいのだった。
【H-4南部 路上/1日目 深夜】
【桂ヒナギク@ハヤテのごとく】
[状態]:深い絶望。体中に擦り傷、切り傷(戦闘に影響なし)。軽い疲労
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:ハヤテ達との合流
1:小五郎さん…………
[備考]

・小五郎の生存を絶望視しています
・ヒナギクが聞いた轟音の正体は、三影の大砲の音です
・参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
・桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1〜3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
 
【本郷猛@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:正常
[装備]:不明
[道具]:不明支給品1〜3品(本人は確認ずみかもしれない)
[思考]
基本:弱いものを保護するが、襲ってくるものには容赦しない
1:目の前の少女の保護
2:轟音の正体が気になる
3:村雨との合流、三影の阻止(場合によっては破壊)
[備考]

・改造人間への制限は不明(後の書き手まかせ)です
・参戦時期はコミックス7巻(第二十八話)です
292 ◆VACHiMDUA6 :07/04/28 21:46 ID:1b2ru8aA
投下完了です。締め切りを多大に超過してしまい申し訳ありませんでした
一時投下スレに投下したのは、再生者の制限と小五郎達の口調にしっかり自信が持てなかったためです
また、投下後こちらへの方向を怠ってしまってすみませんでした
293Classical名無しさん:07/04/28 22:19 ID:TKORZqhs
本投下&予約乙。
核鉄の回復機能は制限されてたっけ?
294Classical名無しさん:07/04/28 22:54 ID:i1S2zOrs
>>293
回復は暗黙の了解で制限されてる……はず。
ところでアンデルセンに支給されたのはバルキリースカート? XLIVの核金?


そして才人乙。
295 ◆rnjkXI1h76 :07/04/28 23:17 ID:tpaMxTQ2
すみません。予約した川田、つかさですが、先ほども報告したとおり予約延長をお願いします。
296 ◆VACHiMDUA6 :07/04/28 23:18 ID:1b2ru8aA
>>293
制限されている……と思う
 
>>294
あ、支給されたのは核金の方です
297Classical名無しさん:07/04/29 00:07 ID:oV3MPDxs
本投下乙!

林にはアルデルセンといい三影といい危ない連中がいっぱいだぜ!
毛利のおっちゃんも頑張ったよ。
本郷はアルデルセンとの戦闘となるか?
続きが気になる話でした。

あとタイトル吹きました。こいつは昭和の匂いがプンプンするぜー!!
298Classical名無しさん:07/04/29 02:24 ID:CqNiACe2
報告ー。
wikiの更新ついでに、書き手紹介の各項目にコメント機能を追加しました。

解説文をつけるもよし、お気に入りの作品の感想を書くもよし、好きな書き手さんにエールを送るもよし。
自由にコメントをどうぞ。
299 ◆L9juq0uMuo :07/04/29 04:12 ID:BZbjY6R2
鳴海・赤木トウカします
300偽りの勝利  ◆L9juq0uMuo :07/04/29 04:14 ID:BZbjY6R2
月光に照らされる境内に加藤鳴海は一人立っていた。
ギリッ、と歯軋りの音が、静寂が支配する境内に響く。
鳴海は回想する。自分は他のしろがねと共に真夜中のサーカスに突入し、休憩を終え今正にフランシーヌ人形のいる間へと向かう最中だった筈である。
が、気がつけばそこは巨大なテントの中ではなく、見知らぬホール。そして光成という老人からの殺し合えとの宣告。
その発言に憤った鳴海は光成に掴みかかろうとしたが、それは赤い髪の勇次郎と言う男、そして拳王と呼ばれた男の登場、そして首輪の説明により、結局、鳴海は飛び出す機会を失ってしまった。
そしてシエスタと呼ばれた少女の『見せしめ』と言う名の死。
「人の命を何だと思ってやがる……!」
一人の少女の命を奪った相手への憤怒、少女を助けられなかったという悲しみ、そして無力感が鳴海を襲う。
「もう、そんな真似はやらせねぇ……!」
あの場にいたのは鳴海のように死線を潜り抜けた猛者だけではなく、どうみても普通の生活をおくっている様な一般人や子供の姿があった。そんな人々が殺し合いに巻き込まれる事は何があっても許せない事だった。
鳴海の瞳に決意の灯が点る。
「どこのどいつかは知らねぇが、こんなイカレた殺し合いは俺がぶち壊してやる!」
そう、どこかでほくそえんでいるであろう主催者に向けて鳴海は吼えた。
301偽りの勝利  ◆L9juq0uMuo :07/04/29 04:15 ID:BZbjY6R2
「しかし、何だ?この核金って奴は?錬金術の産物らしいが俺の知っているのとは全然違うみたいだな」
右篭手の武装錬金、『ピーキーガリバー』を核金に戻し、デイパックにしまう。
鳴海の支給品は三つ。グリースの詰まった缶、AB型の輸血パック、そして右篭手の武装錬金『ピーキーガリバー』。
ルシールとギイからの話、そして白銀の記憶で知った錬金術と、この核金と言うものを作った錬金術。
共に錬金術という名を冠してはいるが、鳴海の知っている錬金術にはこの核金という物の記述は一切ない。
どこかひっかかる物を感じながら境内を捜索していると、どこからか、キリ、キリ、と聞き覚えのある音が聞こえてきた。
(あれは……人形の音?)
人形。しろがねが宿敵である自動人形と戦う為に作られた懸糸傀儡。その人形が駆動する時の音とよく似た音のする方へと鳴海は向かう。
人形を使いこなす事ができれば相応の戦力として使える。それが乗ってない人間の物となっていれば問題は無い。しかし、仮に乗っている者の手に渡っているとしたら……、鳴海の頬を汗が一筋流れる。
気配を殺し、音のする方へ歩いていくと、建物の角から音が聞こえてきた。
鳴海は慎重に角へと歩を進めていく。
音の発信地まで、
四歩、
三歩、
二歩、
パキッ、
小枝を踏む音が辺りに響き、角の向こう側からの音が止まった。鳴海の心臓が跳ね上がる。しかし、角の向こうにいるであろう人物は一向に動きを見せない。
302偽りの勝利  ◆L9juq0uMuo :07/04/29 04:17 ID:BZbjY6R2
(乗ってないのか?)
そう思い鳴海が声を上げようとした時、角の向こうの人物が動いた。
再び流れる、キリ、キリ、という音に鈍い音が混ざり始める。その刹那、角から巨大な影が躍りだした。
(まずい!)
咄嗟に鳴海は駆け出し、その影の正体、人形をすり抜ける。そして鳴海はその人形から出ている糸の終着点、人形の繰り手へと視線を向ける。
そこには目鼻を覆う道化のマスクを被った男が立っていた。
「お前は―」
「武装、錬金」
鳴海の問いかけに男の声が被さる。男の核金が二つのチャクラムに変わり、男の靴へと装着された。
「!! 武装―」
「遅いな」
慌ててピーキーガリバーを展開しようとした鳴海の喉元に、高速回転するチャクラムが装着された片足が向けられる。
「グッ……!」
鳴海が飛び退る。しかし、飛び退る最中に衝撃がはしり、身動きが取れなくなる。飛び退った鳴海目掛け、マスクの男が人形を使い捕縛したのだった。
「クク……、単純すぎる……」
人形の手に捕まった鳴海の前へとマスクの男が歩みよる。
「テメェ……乗ったっていうのか?」
今にも食らいつかんばかりの表情で鳴海が睨みつける。しかし、猛獣ですら逃げ出すであろうその悪鬼のごとき形相を前にしてもマスクの男は動じるようすもなく、ただ笑みを浮かべる。
「答えろ!テメェはこんなイカレた殺し合いに乗ったってのか?ああ!?」
「イカレた、か。クク……、確かにイカレているな。狂っている」
鳴海の剣幕に臆することなくマスクの男はくつくつと笑う。
「娯楽の為に老若男女問わずに拉致し殺し合わせる……、まったくもって狂気の沙汰……、道徳的にも法的にも、いや何においても現代では禁忌であり、唾棄すべきその行動……」
「そこまで解ってて何で殺し合いに乗るんだよ!」
「狂気の沙汰程面白い……!」
303Classical名無しさん:07/04/29 04:17 ID:.2evU.tk
sien
304偽りの勝利  ◆L9juq0uMuo :07/04/29 04:18 ID:BZbjY6R2
「!!」
マスクの男の笑みが漆黒の闇を帯びる。その闇は何よりも暗く、そして底が知れない。鳴海の背筋を薄ら寒い物が通る。
「だが、俺にとってはこのゲームに勝ち残る事なんて意味がない」
そう言うと、マスクの男は人形の手を開く、予想外の事に鳴海は対応できず尻餅をついた。
「……は?」
事態が飲み込めず、鳴海はまぬけな声を出す。
「生憎と俺はこのゲームには乗っちゃいない」
マスクの男は相変わらず笑みを浮かべている。しかし、その笑みに先ほどまでの暗さは無くなっていた。
「どういうつもりだ……?」
「何がだ?」
「何がじゃねぇ!あんな真似しといて乗っちゃいないたぁ、どういうつもりだって聞いてるんだよ!」
怒り心頭、と言った表情で鳴海が詰め寄る。
「試しただけさ」
「試すだぁ?」
マスクの男の問いに鳴海が怪訝な表情を浮かべる。
「殺し合いに乗ってるかどうか試すにはあれぐらいやらないと意味がない……。もっとも一番最初に遭遇したのもあってやりすぎたきらいはあるがな……」
マスクの男の解説に鳴海はただ呆然とするだけだった。
「さて、ここからが本題だ。今までのあんたを見ていればこのゲームには乗っている確立は100%ないだろう。そこで、このゲームをぶち壊す手伝いを頼みたい」
「手を組め、ってことか?」
憮然とした表情で鳴海が返す。
「話が早くて助かる」
「ふっざけんじゃねぇ!」
鳴海の怒号が境内に木霊する。
「あんな真似されて『はいそうですか』と手を組むと思うか?」
「いや、思わないな、普通なら」
もっともだ、とマスクの男が頷く。
「だが、ここは普通じゃない。何人いるかもわからない対主催派だ。一時的にでも組んでみるのもいいと思うがな」
「……」
305偽りの勝利  ◆L9juq0uMuo :07/04/29 04:19 ID:BZbjY6R2
鳴海は目をつぶり逡巡する。数分の沈黙の後、鳴海の目が開く。
「一つ、質問がある。どうしてあんたは乗らなかったんだ?」
鳴海の問いに、マスクの男は数秒黙り込む。どうした、と鳴海が聞こうとした時、男の口が開いた。
「殺し合いに勝ち抜き、優勝したとしても、それは奴等の手の内で踊らされただけの偽りの勝利。俺は、偽りの勝利はごめんだ」
「偽りの勝利か、だけどそれを拒んだせいで死んだらどうするよ?」
鳴海の問いに、男は即答する。
「偽りの勝利を選ぶくらいなら、俺は死を選ぶ」
にやり、と笑みを浮かべて答えた男に、鳴海はこの男の本質を少し垣間見た気がした。
そして、鳴海の答えは決まった。
「さっきのあんたのやり方はいけすかねぇし、まだ腹も立ってる。だが…」
そこで、鳴海は一呼吸し、笑みを浮かべる。
「あんたの理論には大賛成だ。手を組んでやってもいいぜ」
「交渉は無事成立だな」
「だが二つ条件がある!」
そう言って鳴海は男の目の前で指を二本立てる。
「一つは、襲われてる奴がいたら助けに行くこと。もう一つはそのマスクを外す事だ。あんたに支給された物だろうがそれは元々俺のなんでな」
鳴海の出した二つの条件に男は考え込む。ややあって、男は口を開いた。
「わかった。一つ目については善処しよう。だが、助けた奴の面倒は極力あんたが見ること。それさえ飲めば俺から特に異論は無い」
そう言って、男はマスクを外し鳴海へと渡した。二つ目の条件も飲むと言う事だろう。マスクを外したその顔はまだ若く、だが、どこか近寄りがたい雰囲気を出していた。
「わかった。そういや名前を言ってなかったな。俺は加藤鳴海だ。宜しく頼む」
そう言って鳴海は手を差し出す。
「俺は赤木しげるだ。こちらこそ宜しく頼むよ加藤さん」
差し出してきた手を握り、赤木が答える。
306Classical名無しさん:07/04/29 04:22 ID:9sY32EPA
支援
307Classical名無しさん:07/04/29 04:23 ID:9sY32EPA
支援
308Classical名無しさん:07/04/29 04:24 ID:9sY32EPA
支援
309偽りの勝利  ◆L9juq0uMuo :07/04/29 04:24 ID:BZbjY6R2
「ところで悪いんだが、このグリモルディとかいう人形を今のうち慣らしときたいんだがいいかな?加藤さん。終わったらこれに乗って動けばいい」
そう言って赤木は自分が操作している人形、グリモルディを指す。
「ああ、俺は別に構わねぇよ。それと赤木さん、俺の事は鳴海でいい。さんづけされるのはどうもむず痒くてな」
「なら俺の事も赤木でいい。お互い、生き延びるぜ、鳴海」
赤木の呼びかけに鳴海が笑顔で頷く。
二人の前に待つものは、本当の勝利か、死神の鎌か。その答えは誰も知らない。

【D-1神社/1日目 深夜】
【加藤鳴海@からくりサーカス】
[状態]:健康
[装備]:聖ジョルジュの剣@からくりサーカス
[道具]:核金(ピーキーガリバー)@武装錬金、輸血パック(AB型)@ヘルシング、グリース缶@グラップラー刃牙、道化のマスク@からくりサーカス
[思考]
基本:対主催・誰かが襲われていたら助ける
1:赤木の人形繰りの練習が終わったら仲間になってくれる人物を探す。
[備考]

・聖ジョルジュの剣は鳴海の左腕に最初からついていますので支給品ではありません
・参戦時期はサハラ編第19幕「休憩」後です
・サハラ編から参戦しているので勝、しろがねについての記憶は殆どありません

【D-1神社/1日目 深夜】
【赤木しげる@アカギ】
[状態]:健康
[装備]:グリモルディ@からくりサーカス
[道具]:核金(モーターギア)@武装錬金、
[思考]
基本:対主催
1:人形繰りの練習が終わったら仲間になってくれる人物を探す。
[備考]

310Classical名無しさん:07/04/29 04:26 ID:9sY32EPA
支援
311偽りの勝利  ◆L9juq0uMuo :07/04/29 04:26 ID:BZbjY6R2
以上でトウカ終了します。疑問等ありましたらよろしくお願いします
312Classical名無しさん:07/04/29 04:30 ID:.2evU.tk
投下乙。アカギもこれで安泰かな?w
冷静な対主催ってのは貴重だよな。

一つだけ指摘。「核金」じゃなくて正しくは「核鉄」だと思う。

あと質問。、>>3
・核金によって発現する武装錬金は、原作の持ち主の武装錬金に固定されています
ってあるけど、これは非参加者の核鉄もアリってことかな?
313Classical名無しさん:07/04/29 04:33 ID:4EoMNGMg
ピーキーガリバーなんて原作でもろくに出てこないものを
出す必要があるのだろうか。把握が大変になるだけでは。
314Classical名無しさん:07/04/29 06:25 ID:/sCzbSj2
>>312
ジョジョのスタンドDISCが非参加者のから何個も出ちゃってる以上仕方ないのでは。
あっちはOKなのに(それも原作でDISC化してないものや、参加者の居ない部から登場するスタンドもある)
核鉄のほうだけ非参加者禁止ですってのはさすがに不公平でしょ。

ピーキーガリバーは原作での出番は1話ちょい。
それ読むだけでいいので把握が簡単といえば聞こえがいいが、すぐネタギレする可能性も高そう。
一応必殺技3個披露してたり、能力は単純明快なものだったりなので使い勝手はよさそうだが。
315Classical名無しさん:07/04/29 09:15 ID:GVADtBkA
核鉄よりも原作に存在すらしないDISKが平然と出ている方が問題だと思うけどな
316Classical名無しさん:07/04/29 10:17 ID:iYTRtVyQ
アカギって見たことないんだけど、グリモルディを操れるような人間なのか?
上を見る限り、身体的には一般人ってあるんだけど……
317Classical名無しさん:07/04/29 10:33 ID:9sY32EPA
ファティマや阿紫花が使ってたからゴイエレメスみたいに特に筋力は必要ないだろうし、赤木も使いこなせてはいないみたいだからいいんじゃない?
318Classical名無しさん:07/04/29 10:58 ID:DxQjd8Hc
>>316
身体的には完全に一般人だけど、体力が必要ないものは何でも直ぐにマスターしそう。

一を聞いて十を知る天才型で、予備知識無しでもルールを聞いただけで、
有効な戦術や駆け引きを理解して冷静に実行し、裏のプロを圧倒するようなキャラ。
特に相手の心理を見抜く、誘導する、危険を察知することにはズバ抜けた才能を持っている。
あと何があっても動じない精神力とか、マッドサイエンティスト系に近いかもしれない。
319 ◆L9juq0uMuo :07/04/29 11:41 ID:BZbjY6R2
一時投下スレに修正版(と、いっても核金を核鉄に変えたマイナーチェンジですが)を投下させていただきました

グリモルディに関しては>>317氏が言った事と同じ考えで書きました。問題があるようでしたら改めて修正します。
320Classical名無しさん:07/04/29 12:11 ID:Mys/Mmkw
>>319
乙! 問題ないと思う。
支給品に関してもその解釈でOKかと。
321Classical名無しさん:07/04/29 14:12 ID:7LoevUcs
人形繰りは何年も修行してやっと習得できるものなのにいくら天才だからって無茶じゃないか。
(マサルは白金の記憶をダウンロードされていた。それ以前も一度他人の操作をみてそれを一瞬、再現するくらいしかできない)
322Classical名無しさん:07/04/29 14:55 ID:QdRrM3bs
「〜出来るわけない」「〜するなんて無茶だ」
クロスオーバー物でそんなこと言われてもな

赤木は知らないけど、天才って設定なら少しくらい動かせたっていいだろ
まだまだ自由自在に動かせるって程じゃないんだし
323Classical名無しさん:07/04/29 14:57 ID:zC.WJWUc
>>321
気持ちは分かるが、そこら辺はもうちょっと大らかにいこうぜ。
パロロワ企画でその辺を厳密に突き詰めていいことがあった試しはないし。

そういや、LSロワでもリンク@ゼルダの伝説があるるかんを初見で踊らせたりできてたな
324Classical名無しさん:07/04/29 15:24 ID:40kx1KNk
アカギの天才性は心理戦での駆け引きや自身の死を厭わないなどの精神性で発揮されるものなのに
なんでそれが人形を操ることにそれが発揮されるんですか?
キャラ壊れてるだろ
325Classical名無しさん:07/04/29 15:26 ID:40kx1KNk
おっと失敗
それがを二回言ってしまった
326Classical名無しさん:07/04/29 15:45 ID:c2JJPJxE
>>324
理論を把握して瞬時に実践する能力もアカギの武器だろ
原作でも初めてルールを知ったばかりの麻雀でその道のプロを圧倒したりしてたし
人形は一定の法則に則って操るものだし、アカギが少し動かせるとしてもキャラ壊れてるとは言わない
327Classical名無しさん:07/04/29 16:06 ID:oRyB./.Q
>>326に俺も同意
別におかしくもなんともないと思うが……
328Classical名無しさん:07/04/29 16:11 ID:vy8mCXbY
>>321
勝は才能自体は『普通の天才』だから参考程度にしかならないと思う。
『才能だけなら普通の天才にも同じ事が出来る。勝の凄い所は積み重ね努力する云々〜』
だから才能自体は(フィクションの天才の中では)現実的な部類だし。
329Classical名無しさん:07/04/29 16:18 ID:.2evU.tk
核金とかも個人専用武器だけど全員使えるし、いいんじゃね?
他ロワだけど、ヒル魔やウソップが夷腕坊使いこなしてたし。
330Classical名無しさん:07/04/29 17:10 ID:oV3MPDxs
ふと思った。
バルキリー・スカートは肌に密着させた方が精密動作をしやすい。
ならいまアンデルセンは脚を露出して戦っているんだろうか?
331Classical名無しさん:07/04/29 17:23 ID:2oAeSoNM
>>330
想像した。


きめぇぇぇぇぇぇぇぇ
332Classical名無しさん:07/04/29 18:22 ID:AgSdA/.s
>>330
1・膝まで裾を捲りあげた簡易短パン
2・1だと裾が落ちたら鬱陶しいのでトランクス
3・意表をついてブリーフ

さあどれ!?
333Classical名無しさん:07/04/29 18:23 ID:iYTRtVyQ
>>332
4.トキコの履いていたパンツ。
334Classical名無しさん:07/04/29 18:29 ID:yk8YD.qE
>>330
そんなこと言われたら、これから先アンデルセンが登場するたびに笑っちまうじゃねーかwwwww
335Classical名無しさん:07/04/29 18:39 ID:FKaaCRis
ヒント:神父服は「ぱんつはいてない」がデフォルト
(※煩悩や欲望を持たないことを示すため→(意訳)神父様はモッコリなんかしないよね!)


つまり……
336Classical名無しさん:07/04/29 18:58 ID:AgSdA/.s
股間のジャッカル調子乗ってるな
337 ◆5zoI.SnQGo :07/04/29 19:04 ID:IIfKVIB.
投下します
338 ◆5zoI.SnQGo :07/04/29 19:05 ID:IIfKVIB.
勇次郎は苛立っていた。自分の動きを妙な力で止めたあの老人に、首に巻きついている忌まわしい首輪に怒っていた。
はらわたが煮えくり返る。早く戦いたい、早く殺したい、勇次郎は一刻も早く戦闘が始まる事を願った。

消防署にワックスを塗られた床と巨大な靴が擦れあう物音が響く。
地上最強の生物は署内に狩るべき獲物がいないことを確認すると、ゆっくりと腰を下ろし支給品の確認を始めた。

バトルロワイアルの中で生き残るためには、配られたランダム支給品をうまく活用する必要がある。
はたして勇次郎が求める最高の支給品とはいったい何か?
銃器か、爆薬か、それとも毒物か?刀を使うものにとっては長く、頑丈で振り回せるものが理想的だろう。
何が何でも生き延びたいと言う者には他者の動きを察知できるレーダーのような物が好ましい。

勇次郎は――

何も必要としていなかった。武器はすでにある。常に勇次郎のそばにある。
そう、彼の肉体だ。その拳はダイヤをも砕き、その脚力はサバンナの肉食動物にも匹敵する。
地上最強という称号を勝ち得た無類であり無敵の筋肉を全身にまとい戦いを貪欲に求める鬼。それが範馬勇次郎だ。

その肉体は下手な武器よりはよっぽど火力のある代物であるのだが、支給品を確かめないわけにはいかない。
勇次郎はデイパックから三枚の紙を取り出した。
獲物を見つけられず、その闘争心を持て余している鬼の心を揺さぶる支給品はあるのだろうか?

どうやらこの紙を開くと支給品がでてくるらしい。どんな仕組みなのか見当もつかないが、元々細かい事を気にする勇次郎ではない。
勇次郎は紙の外側に書かれたメモを読んだ。

一枚目、日本刀
二枚目、自転車

使えない、勇次郎は心底思った。しかし三枚目の紙を見るなり彼の目が変わった。闘争を求める勇次郎にとってうってつけの代物である。
339Classical名無しさん:07/04/29 19:07 ID:FKaaCRis
 
340 ◆5zoI.SnQGo :07/04/29 19:07 ID:IIfKVIB.
勇次郎は三枚目の紙を握り、立ち上がった。デイパックと二枚の紙を署内に放置したまま、外に出る。
そして紙を開く。

「ククク、中々の大きさ。それに四発も」

 中から出てきたのは打ち上げ花火である。市販の打ち上げ花火とはいえ、かなり巨大で爆発の規模もなかなか期待できそうだ。

勇次郎は打ち上げ花火と共に出てきたライターを使い、点火する。
まもなくして、夜空に美しい花火が轟音と共に咲いた。

爆発は思ったより小規模な物だったが、その光と轟音は少なくとも消防署の周り、地図で言う周囲8マスには確実に届いたはずだ。

勇次郎の目的は戦うことである。惨めに生き延びることではない。
参加者達は花火の轟音と光を確実に感知したはずだ。そして花火は必ず、様子を覗いに来る参加者や戦闘を求める参加者を集めるはずだ。
引き寄せられた参加者を待っていましたとばかりに歓迎し……殺す。

今、静かな気配に包まれた消防署は血で血を洗う凄惨な戦場へと変化しつつあった。
341Classical名無しさん:07/04/29 19:07 ID:iYTRtVyQ
しえn
342 ◆5zoI.SnQGo :07/04/29 19:08 ID:IIfKVIB.
【D-4 消防署の外 一日目 黎明】

【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
{状態}健康
{装備}ライター
{道具}打ち上げ花火3発
{思考}
1:花火に引き寄せられた参加者を殺す
2:首輪を外したい
3:闘争を楽しみつつ優勝し主催者を殺す

【備考】
・デイパックと二枚の紙(ベレッタと自転車)は消防署内に放置しています
・D-4で打ち上げ花火が上がりました。周り(周囲8マス程度)に光と轟音が広がりました。
343Classical名無しさん:07/04/29 19:08 ID:3IKqUA5s
支援
344 ◆5zoI.SnQGo :07/04/29 19:09 ID:IIfKVIB.
投下終了
支援感謝します
345Classical名無しさん:07/04/29 19:12 ID:3IKqUA5s
投下乙。支援ずれたw
ベレッタって銃じゃなかった?
346 ◆5zoI.SnQGo :07/04/29 19:16 ID:IIfKVIB.
間違えた。直前までベレッタにしてたんだ
状態表修正します。

【D-4 消防署の外 一日目 黎明】

【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
{状態}健康
{装備}ライター
{道具}打ち上げ花火3発
{思考}
1:花火に引き寄せられた参加者を殺す
2:首輪を外したい
3:闘争を楽しみつつ優勝し主催者を殺す

【備考】
・デイパックと二枚の紙(日本刀と自転車)は消防署内に放置しています
・D-4で打ち上げ花火が上がりました。周り(周囲8マス程度)に光と轟音が広がりました。
347Classical名無しさん:07/04/29 19:33 ID:9obktcjI
乙です。D-4ってモロ中心地だな……。
ところで、タイトルが無いようだけど。
348 ◆5zoI.SnQGo :07/04/29 19:53 ID:IIfKVIB.
忘れてた
タイトルは トラップ発動! でお願いします。
度々すいません。
349Classical名無しさん:07/04/29 22:01 ID:Jva/uvoE
いまさらアレだがアカギって身体能力結構高めだぞ、もちろん一般人レベルでだけど。
5人以下なら目をあわすなって言われてたり、鉄パイプ持ったチンピラ3人瞬殺してたりする。
350Classical名無しさん:07/04/29 22:49 ID:aDhtBjGQ
D-4周り見たが現在来そうなのってスカーフェイスズだけじゃん
吉良は当然無視だし
三村組は南に移動してるし
白金は微妙だな
このトラップは不発か?
ま、これから移動してくるかも知れんしな
351Classical名無しさん:07/04/29 23:19 ID:o7Oz7dzQ
というか勇次郎が無差別マーダーだということ自体に違和感を感じるのは俺だけか?
戦えない人間には毛ほどの興味も持たないような奴なのに
奴の思考回路は「歯ごたえのある奴と闘いたい」ってだけで別に殺しがしたい訳じゃないし……なんか原作のイメージと違うんだよな
352Classical名無しさん:07/04/29 23:21 ID:iYTRtVyQ
ついでに、勇次郎って待ちのタイプじゃないよな。
353Classical名無しさん:07/04/29 23:30 ID:IHG1kgJ.
原作の限りでも勇次郎は町を普通に歩いて、凡人には見向きもしないのだが。
変な例えだが、平山(ニセアカギ)と遭遇したとして、逃げる平山を追いかけて殺すような図は想像できない。
強者との死闘が目的で結果的に殺しはともかく、だれかれ構わず殺すって……出来れば思考の訂正がほしいところ。
354Classical名無しさん:07/04/29 23:36 ID:o7Oz7dzQ
>>352
言われてみれば、「おびき寄せる」という発想がすでに勇次郎のものじゃないなぁ
戦闘を目ざとく見つけて強引に乱入するってほうがよっぽど奴らしい

ただそうするとこの話自体が成り立たなくなってしまうのがなんとも
355Classical名無しさん:07/04/29 23:39 ID:53rEkfe6
NGだな
勇次郎と言うキャラを根本から解ってない
356Classical名無しさん:07/04/29 23:41 ID:AgSdA/.s
>>354
最近のバキ読んでるとめざとく見付けたのに気付いたらフェードアウトしてましたって方がイメージ通りだけどなw
ゲバル喰うんじゃなかったんかい……
357Classical名無しさん:07/04/29 23:44 ID:iYTRtVyQ
飽きっぽいのも勇次郎だからなぁ
358Classical名無しさん:07/04/29 23:50 ID:iYTRtVyQ
ところで、◆BRxsUzTn5A氏はいつ頃出来そうなんだろ?
359 ◆BRxsUzTn5A :07/04/29 23:55 ID:NScsJZA6
すんません。80%まではいけそうなんですが
ついつい他の所に手が言ってしまいまして……
本当に申し訳ありません。

明日くらいにはできると思います。
360Classical名無しさん:07/04/29 23:56 ID:/kv4pIDU
おびき寄せるってのは、いきなり特殊な状況に放り込まれたんだからありだと思う。
もしこのまま誰も来なければ、気が変わったって言って自分から動いたっていいんだし。

どうしても気になるなら、1:花火に引き寄せられた『強い』参加者を殺すでいいんじゃないか。
361Classical名無しさん:07/04/30 00:01 ID:4qSPUjXw
>>360
>いきなり特殊な状況に放り込まれたんだから

そんなことごときで動じる勇次郎なんて勇次郎じゃないやい('A`)
362Classical名無しさん:07/04/30 00:02 ID:jyj5rL6U
別に動じてはいないんじゃないのw
363Classical名無しさん:07/04/30 00:02 ID:bFFGZ1xY
いや、動じるって言うか
単に美味しそうなのが多すぎて、どれを食っていいかわからないから、待ちにしてみたとか?
いや、理由があればいいんだよね。誘き寄せにもさ。適当でいいから、原作に準じた形で
364Classical名無しさん:07/04/30 00:30 ID:QKeG78Zo
>363
そんな感じでいいと思うね
序盤から簡単にNG出したらあかんし、出すほどのものじゃない
365 ◆5zoI.SnQGo :07/04/30 08:34 ID:cEJzoDug
修正版を一時投下スレに投下しました。
見て下さい
366 ◆BRxsUzTn5A :07/04/30 11:16 ID:iCpo/7Wg
投下に遅れてしまい大変申し訳ありませんでした。
最近スランプ状態なのか思うように展開が進まなくて……
今回のSSはツッコミどころがありそうなので避難所に様子見投下しました。
367Classical名無しさん:07/04/30 11:24 ID:J1uQbgm2
勇次郎のはいいと思う。勇ちゃんに獲物が来るかどうかは状況を見て判断だな。

新八のは、改行ぐらい考えて欲しかったかなぁ……今読んでる最中だけど、読み辛い
368Classical名無しさん:07/04/30 11:33 ID:J1uQbgm2
読み終わった!

うん、中身はよかった。
369Classical名無しさん:07/04/30 21:18 ID:dvoCOOCs
投下乙。
内容は悪くないけど、吉良はすでに公園から移動していると思う。
それと、改行とセリフの最後に『。』が付いているのが目立つ。
370 ◆7jHdbxmvfI :07/04/30 23:27 ID:tv.dUfc6
ただいまから投下する。
普通の中学校制服である黒い学ランを華麗に着こなし、オールバックの髪型はスッキリと決まっている。
そして整った顔立ちはまるでアイドル。
何をやらせても一切の隙が無い。
無論慕う人間は数知れず。
王になるべくしてこの世に生を受けた男、桐山和雄は気が付いた時には、野球場のマウンドで立っていた。

「……プログラム……か」

感情の無い淡々とした声で呟く。
本来プログラムとは、中学生1クラスを対象にした物。
したがってこれはプログラムのそれとは大きく食い違う。だがそれは桐山にとっては些細な事である。
全く自然な手つきでバッグを開け、支給品であろう包装された紙を取る。

「…………!」

中から出たのは少し大きなショットガン。
紙のサイズとは明らかに一致しない。
物理法則を無視した出来事に、表情は変えないまでもほんのわずかながら驚く。
だがそれも一瞬。
さっさと二つ目の包装紙を開く。
出てきたものは二本の銃剣(バヨネット)。
「………」

しばし思考の末、銃剣をバッグに戻す。
そして最後に名簿を開き中を確認する。
中に記された名前で知っている者は自分を除けば、挨拶を交わしたかどうかという程度のただのクラスメート、川田章吾、
杉村弘樹、三村信史の名前が確認できた。
あいにく自らを特に強く慕う沼井充を初めとする取り巻きの面々の名は一つも記されていない。
だがそれを気にする事などありえない。
幼少期の事故で脳を傷つけ、喜怒哀楽を失った男には自分を慕う男がこの場いるかどうかなど、まるで問題ではないからだ。
鞄に名簿を戻しショットガンを構えると、表情を一切変えずに球場の外に歩き出した。
足音を立てずにモデルのような綺麗な歩き方で――


   ☆   ☆   ☆
「俺は……どうして………ちっ……くしょ……ぅ……」

民家を出て路上を一人歩く、彼の背中は酷く惨めに見える。
吐き出す言葉は絶望ばかり。
叫びかけた声も、誰かに見つかる恐怖の前で思わず縮こまる。
思えば一時間前。
DIOとアーカード。
二人の男に襲われながらも命からがら逃げ出した。
しかしそこで力は使い果たし、疲労はピークに達していた。
その疲労は一時間で回復するものではない。
でもそれでも、彼平賀才人は民家に留まる事は出来なかった。

その理由は一つ。
あそこはアーカードとDIOのいた位置から考えても、決して遠いところではない。
いつ自分の所に来るか分からない以上、とどまり続けることは出来なかった。
心に刻まれた恐怖は、疲労以上に回復する事はない。
静寂と闇夜に包まれた空間は、その恐怖をより深いものにしてしまう。

 とりあえず夜は人の来ないところだ。落ち着け。南には汚水処理場があるじゃねえか。
 あそこならまさか誰も来ないだろ。地図の端だし名前も汚いイメージだし……夜だけ。夜だけはあそこに隠れる。
 逃げるんじゃないぞ。朝になればルイズを探すんだ。だから夜の間だけ……

疲労が残りふらつく足に鞭を打つように、前に向かい歩き続ける。
恐怖で震える足を、必死で前へ動かし続けていた。
一時の安息を求めて。

そして更に数十分後。

もうどれぐらい歩いただろうか。
あとどれくらい歩けば目的地だろうか。
しかし目的地に着くことは無いまま、平賀才人の闇夜の逃亡劇は幕を下ろす。

「止まれ」

短い、僅か三文字の言葉。
しかし不意の言葉は才人には体を硬直させる。
全身から嫌な汗が流れる。

「……!?」

勇気を出してゆっくりと振り返る。
するとそこには、自分がかつて住んでいた世界で見慣れた学ランを着込んだオールバックの男が立っている。
自分より年下であるだろうが、それでも顔立ちや姿勢、といったものは風格を漂わせている。
だがそれよりも何よりも、気になるのは右手に持っているショットガン。

 ……銃?まさか殺しに……とにかく落ち着け。いいか、こっちから話しかけるんだ。

「………おっ、お前の名前は?俺は……才人。平賀才人」

努めて冷静を心がける。いかにもいつも通りを装って。

「……桐山……桐山和雄」

淡々と告げる。抑揚無く、ただ事務的に名前を伝える。
375Classical名無しさん:07/04/30 23:34 ID:dN7Oym82
支援
「あんたは殺し合いには乗ってないよな!一緒に殺し合いの首謀者をぶちのめすだろっ!」

必死に、説得するように話しかける。
過去に二度であった人間は、二度とも殺し合いに乗っていた。
『二度あることは三度ある』という諺がある。
この諺がこれほどまでに憎らしいと思ったことは無い。
だからこそ、この諺通りにならないよう祈りを込めて語りかける。

「…………」

だが桐山和雄は答えない。
ただ無言、無表情で立っているだけ。

「なっ、一緒にさ!もちろん乗ってない人はみんなで協力して首謀者を倒すんだ。あんなジジイの言いなりになんかなりたくないだろ。
 仲間になろうぜっ!」

もう一度話しかける。
とにかく自分の思いを伝えるように。明るさと強さも見せるように必死で。

「………………」

それでも桐山は答えない。
才人は不安になる。
ただ無言。アーカードやDIOとはまた違う。動ではない静。返答を待つ間、言い知れない恐怖を感じ始める。
 なんで黙ってるんだ。……くそっ、こんなところでいつまでも居たらあいつらが来るかも知れねえじゃねえか。
 もう……時間が無い。

「黙ってるなら俺はもう行くぞっ!」

焦り、遂に会話を打ち切り別れを切り出す。
とにかくこの沈黙から逃れたかった。
しかし、離脱を桐山は許さない。

「待て」

最初に発したのより更に短い言葉。
だが次は銃を自分に向ける、その行動が才人をその場に固定する。

「くっ!?」

凍りつく。
桐山は無表情で銃を構える。

 撃つのか?……くそっ。ルイズを守ってないのに……。マジで撃つのかよ……死ぬのかよ。

『撃つ』
このキーワードが脳裏から消えない。
手元にある紫外線照射装置には最後の一発があるが、それを向けようとした瞬間、相手は引き金を引く。
そんな予感がしてしまい、取り出すに取り出せない。
どうしようもない、絶望しかない状況に、死を覚悟し目を閉じる。
378Classical名無しさん:07/04/30 23:36 ID:dN7Oym82
支援


時間が悪戯に流れる。
本当は一瞬である時間が、才人とっては何時間にも感じる。
しかしいつまで経っても銃弾は来ない。

恐る恐る目を開くと、桐山はポケットから一枚のコインを取り出していた。
そしてそのままコインを宙に投げる。

才人と桐山、両者の視線が宙に向かう。

投げられたコインは星が輝く夜空を舞い、空中で一瞬の停止。その刹那を逃さないように月明かりがコインに反射。
月に煌く星となったコインはそのまま落下。アスファルトで覆われた路上へと流星のごとく降り立つ。
降り立ったコインは、アスファルトとアルミの反響音を大きく響かせる。それはまるで二人の沈黙に割ってはいる交響曲。
交響曲と化した反響音は二度三度として響き続ける。
やがて運動エネルギーを使い果たしたコインは二人の中央で静止し、交響曲は静かに終わる。
華麗な音楽を奏でたコインを一瞥し、桐山はそっと呟く。

380Classical名無しさん:07/04/30 23:37 ID:bogZmghc
支援
サイト逃げてー
「………そうだな。それも悪くない」

銃を下げて桐山が三度目の口を開く。
思っても見ない返答。だがそれは銃を下げた動きから考えても、才人が待ち望んでいた答えを意味していた。

「……えっ!?……じゃあ」

驚きと嬉しさが混じり、上手く思考が纏まらない。

「……」
「ちょっ……あっ……ありがとう」

桐山は無言のままバッグから出した二本の銃剣を才人の足下に投げる。
もちろん才人はそれをすぐに拾い上げて――

 あれ?この感覚どこかで……そうだ。ギーシュと決闘した時だ。俺あのときもボロボロだけど戦ったんだよな。
 何とか勝ったけど、その後で気を失って三日も眠り続けて……それなのに今の俺は……くそっ!俺は男だ。
 男なんだよ。何の因果かしらねえが男に生まれたんだ!怖いさ。怖いけど……でも、それでも……

才人は両の手のバヨネットを握り締め、全てが始まったあの日を思い出す。
まだ二人に植え付けられた恐怖は消えていない。自信も無い。
けど意地だけは、男の意地だけは確かに心の片隅に残っている。

 まだ……戦える!

気付くと桐山は既に才人に背を向けて先を歩いていた。
才人は桐山の隣に、小走りで追いつく。
両手には慣れた武器と用途が似た、バヨネットを持って。
一見すると再起を遂げたかのように見える。
しかし彼には知らない事が二つある。
一つは彼が持つバヨネットは、ほんの数時間前に彼を襲った男アーカードの好敵手、神父アンデルセンの武器であること。
だけどこれは些細な事。ほとんど問題とはいえないかもしれない。
そしてもう一つ、こちらはとても重要な事である。だがそれを彼、平賀才人は知らない。
桐山は単純に『コインの表裏』で決めただけなこと。決して正義感のような感情など持ち合わせていないことを。
この事実の誤認が幸となるか不幸となるか――今は誰にも分からない――

桐山は決して表情を変えず、前に向かい歩き続ける。
月の光りを浴びてなお、無表情の男は前に向かい歩みを止める事はない。

二人が去った後も、コインは路上で月の光りを受けて静かに輝きを放つ。
――植物模様が描かれた『表』を星空に向け――
【B-6東部 路上 一日目 黎明】

【平賀才人@ゼロの使い魔】
{状態}中程度の疲労 自身消失(ほんのわずかだが意地で回復) アーカードとDIOへの潜在的恐怖は健在
{装備}バヨネット×2@HELLSING
{道具}紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回)
{思考・状況}
1:とりあえず桐山についていき一緒に行動する。
2:ルイズを探し出して守る。
3:竜の羽衣、デルフリンガーを始めとする身を守る武器が欲しい。
4:武器を手に入れて、シェスタの仇(光圀、他)を討つ。
5:キュルケ、タバサ、葉陰覚悟《名前は知らない》との合流、武器の捜索。

【桐山和雄@バトルロワイアル】
{状態}健康
{装備}レミントン M31(4/4)@バトルロワイアル
{道具}支給品一式 レミントン M31の予備弾24
{思考・状況}
1:乗ってない人間を見つけ協力するなら仲間にする
2:平賀才人が協力するなら仲間にする
3:襲ってきた人間に対しては一切の手加減をしない
4:首謀者を倒す。
基本行動方針
首謀者の思惑を外すべく、死者が一人でも減るように行動する
384Classical名無しさん:07/04/30 23:41 ID:41h09YhE
これは読めなかったw
385 ◆7jHdbxmvfI :07/04/30 23:42 ID:tv.dUfc6
投下完了
>>375 >>378 >>380
支援ありがとう。礼をする。
386Classical名無しさん:07/04/30 23:43 ID:joon7u/M
桐山カッコeeeeeeee!!
サイトもここまでカワイソスだと、逆に結構長生きするかもなww
387Classical名無しさん:07/04/30 23:43 ID:Sb94gIpU
投下乙
桐山が対主催か
これは良キャラのヨカーン
388Classical名無しさん:07/04/30 23:46 ID:dN7Oym82
GJ!
桐山が乗ってないパターンなのは珍しく、才人が報われたのが意外だった。
コインの表が出た場合だと桐山めちゃくちゃ強力な対主催者になりそうw
これからも二人の活躍に期待!
389Classical名無しさん:07/04/30 23:46 ID:41h09YhE
>>383
驚いたw

才人、最後の最後までツイねー奴だったな、合掌とか
感想書こうとした瞬間に、これは……。
予想を裏切る展開、GJ! でした。
390Classical名無しさん:07/04/30 23:49 ID:qtceasBQ
誰しも一度は考えた「桐山がコインで表を出していたら」がついに具現化か…

FFロワのセフィロス対主催化の時を思い出すw 今後に期待
391Classical名無しさん:07/04/30 23:51 ID:bogZmghc
この展開は予想外w
葬式会場に向かおうとした手が止まっちまったぜ

桐山は味方につけたらこれほど心強い存在もいないよなぁ
ただ……奴の場合、対主催を機械的にこなしすぎて足手纏いとかさらっと始末したりしそうなのが……
392Classical名無しさん:07/04/30 23:58 ID:d49Jp0n6
これは面白くなりそうな展開。
コインの件は激しくドキドキさせられた。作者さんGJ!

>>391 ヒント:基本行動方針
393Classical名無しさん:07/05/01 00:01 ID:shcfkMU.
原作見てないので、分からんのだが
桐山はなんでコインで決めようとしたの?
394Classical名無しさん:07/05/01 00:02 ID:ZHhlsAtQ
>>392
見落としてた
ってことは完全無欠の対主催……やばいwktkが止まんねえええええ
395Classical名無しさん:07/05/01 00:03 ID:dQTZ60Sk
>>393
どっちでもいいと思ったから。
396Classical名無しさん:07/05/01 00:04 ID:SccbQ4NA
>>393
感情がないからどっちでもよかった。それだけ
397Classical名無しさん:07/05/01 00:04 ID:kO2oj1qA
これは川田が乗るな
398Classical名無しさん:07/05/01 00:08 ID:pUPfYGHQ
投下乙。
原作バトロワ最強(最凶)の男、桐山が対主催に……
誰もが一度は考えたであろう展開が実現するとは……!
だけど桐山……このロワには人間とは思えない連中や本物のバケモンたちもいるから気を付けろ〜。w
なにはともあれ、作者さんGJ!


あとサイト、予約入った当初は絶対死んだと思っていた。w
ごめん。w
399Classical名無しさん:07/05/01 00:21 ID:/3B6l.7w
現段階でマーダーって、無差別がジャギ、ラオウ、しろがね、アーカードアンデルセン、DIO、三影
強者限定が勇次郎
状況と相手次第がフェイスレス
の計九人であってる?
これに高確率で入ってきそうなのがアミバ、散(最終回前)、ジグマールあたりか。
原作最凶の桐山でも一部除いて相当分が悪いな
400Classical名無しさん:07/05/01 00:26 ID:a1zLJYqw
桐山が対主催とは…!
原作のイフが楽しめそうな展開はグッドです。

原作でも行動方針変えなかった彼だから死ぬまでずっと対主催でいるのだろうか。
やはりマーダー的な行為をするのは他の対主催との同士討ちなのかな
401Classical名無しさん:07/05/01 00:27 ID:ct2f.KgI
>>399
つーか、マーダーつええよw
何だよこの豪華ラインナップはw
402Classical名無しさん:07/05/01 00:30 ID:shcfkMU.
っていうか、マーダーに対抗できそうなのがほとんどいないwww
覚悟ぐらいかwww
403Classical名無しさん:07/05/01 00:30 ID:ZhF6Zzro
乙!この桐山にはwktkを隠せないw
今後が一番気になるキャラだな

>>392
それなら十を助けるために三を見捨てることだってあるんだぜ?
「一人でも少なく」ってのはそういう見方も出来る。
404Classical名無しさん:07/05/01 00:34 ID:ZHhlsAtQ
>>399
ほんとすごい面子だな……感動すら覚える


今だから言えるが、「ジャギ? マーダーったってネタキャラだろ、雑魚だよ雑魚」
そう思っていた時期が俺にも(ry
405Classical名無しさん:07/05/01 00:35 ID:pUPfYGHQ
>>399
改めてこの面子見ると、らき☆すた勢が第一回放送前にマジで全滅しそうで恐い……w
あ。銀魂勢やはやて勢もか……w


さらに状況によっては吉良もマーダー化しそうだしなあ……w
406Classical名無しさん:07/05/01 00:37 ID:oW5bbZ/U
やたら強いマーダーが多いから、マーダー同士のバトルも普通に見れるかもね。
407Classical名無しさん:07/05/01 00:45 ID:/8DawM26
>>399
ラオウも強者限定じゃない?逃げる女を殺すキャラとは違うし。
しろがねは無差別だけど非マーダーは状況次第で逃がすし、完全無欠の無差別は
ジャギ、アーカード(セラス以外?)、アンデルセン(カトリックのキャラは除外)、DIO、三影じゃね。
最もこの五人相当強いし、潜在的マーダーも多いからマーダー不足の心配は無いけど。
408Classical名無しさん:07/05/01 00:56 ID:pUPfYGHQ
DIO様は最強マーダーになれる要素はあるけど日中は行動出来ないのが痛いよなあ。
日中はアーカードたちの独壇場かなあ?
『肉の芽』を強い奴に植え付けて服属させるって手はあるが……
409Classical名無しさん:07/05/01 00:57 ID:SGg4PQJ.
吉良は襲われるか好みのタイプの女性に会わなきゃ大丈夫だな。
作中描写を見る感じ吉良のストライクゾーンは下には広くなさそうだから免れる女性キャラも多いかもしれない。
410Classical名無しさん:07/05/01 01:04 ID:/3B6l.7w
>>409
好みのタイプか
しろがね、シェリス、キュルケ、マリア、セラスあたりかね?散ははいるだろうか?
らきすたは見たことないから候補にはいれなかったが
411Classical名無しさん:07/05/01 01:05 ID:tp6F9HCY
吉良のストライクゾーンって、参加者ではしろがねとシェリス位しか居ない気が…。
よくても、キュルケやマリアや斗貴子さんが入るぐらい?
412Classical名無しさん:07/05/01 01:09 ID:tp6F9HCY
>>410
>散ははいるだろうか

覚悟のススメ読んでないからあれなんだが、その人女なの?
ウィキペディアに『覚悟の兄』って書いてあったんだけど……。
413Classical名無しさん:07/05/01 01:09 ID:pUPfYGHQ
吉良は『女性』ではなく、女性の『手だけ』に執着する性的感情を持っている奴だからどうだろうなあ……
らき☆すた勢だと、かがみあたりが狙われそうな予感……w
414Classical名無しさん:07/05/01 01:09 ID:shcfkMU.
>>412
もう一度読め
415Classical名無しさん:07/05/01 01:15 ID:/3B6l.7w
>>412
散は性別上は男だが体は女性。御側役のライ(ガチムチ)といい仲っぽかったり。ライが死んだ後、覚悟を御側役にするために捕まえてナニをあれしたりしてるから心も女性かもしれんが
416Classical名無しさん:07/05/01 01:34 ID:RqJVYX5M
>>409
作中では杉本麗美16歳も吉良に殺されてたから
女子高生も範囲内では?
417Classical名無しさん:07/05/01 01:43 ID:ZHhlsAtQ
>>416
あれは別に手が欲しくて殺したわけではないんじゃなかったか
418Classical名無しさん:07/05/01 02:15 ID:AW732JXA
杉本鈴美は確か吉良が最初に殺した相手。
当時は手を切り取るというのはやってなかった模様。
でもって、当時吉良は高校生なので女子高生とは言っても同年代だった。
30代の吉良にとって今でも女子高生が守備範囲かどうかは不明。
…まあ手が綺麗ならある程度年齢は問わないような気もするが。
419Classical名無しさん:07/05/01 05:11 ID:Kwu8MwsU
>>402
いや、結構いるだろ
カズマ・劉鳳・承太郎・ジョセフ・本郷・セラス(バキとからくりは未読なので入れてない)


中でも終盤から参戦してる劉鳳には期待したい
420Classical名無しさん:07/05/01 06:19 ID:/8DawM26
>>402
現在はヘタレ&カワイソス街道を走ってるが、才人も剣持てば強いぞ。
多種多様の魔法を使う7万の兵士を一人で足止めする程度の力はある
421Classical名無しさん:07/05/01 07:23 ID:KYF05Bqo
あと出てないでマーダーできそうな人って……お前は俺を知っているかッ!?の人くらいか
422Classical名無しさん:07/05/01 08:31 ID:cD.wM20A
身体能力だけで言えばハヤテもかなりのもの。
423Classical名無しさん:07/05/01 08:42 ID:pUPfYGHQ
>>421
あとアカギの鷲巣。
424Classical名無しさん:07/05/01 10:42 ID:PF5IvgvA
ゼクロスも参加時期によってはマーダーもありうるし。
幻女が泣けば対主催者もある美味しいキャラ。
425Classical名無しさん:07/05/01 10:54 ID:pUPfYGHQ
>>424
>幼女が泣けば〜
つまり、未だに小6体型のこなたがキーパーソンとなるわけですね!?w
426Classical名無しさん:07/05/01 15:42 ID:tbueDZHg
ところでここのロワじゃ首を落とされても死なないヤツら(アーカードにDIO、パピヨンもか?)の首輪はどうなってる?
心臓埋め込みか、制限で斬首=死か
427 ◆7XXnwOiG5g :07/05/01 15:49 ID:CaTT33sg
夜12時までの期限延長をお願いします。
428Classical名無しさん:07/05/01 15:53 ID:pUPfYGHQ
>心臓に埋め込む
アーカードとパピヨンには有効かもしれんが、DIOには意味ないぞそれ。
あいつは原作でスタープラチナに心臓(正確には胸板)ぶち抜かれても死ななかったし。脳を粉砕しない限り倒せない。
429Classical名無しさん:07/05/01 15:56 ID:QMrpNqqU
そもそもDIOは首だけで生きられる。
DIOの場合は脳に埋め込んでおいた方がいいんじゃないか?
430Classical名無しさん:07/05/01 16:35 ID:n1cwqYKo
時を止めての解除はあり?
431Classical名無しさん:07/05/01 16:41 ID:PF5IvgvA
覚悟、散の鉄球やゼクロスの手裏剣や電磁ナイフ等内蔵武装はアリか?
これからの描写しだいではこれらは身体の一部あつかいにする?
432Classical名無しさん:07/05/01 17:04 ID:zOcKRv1g
ゼクロスに関してはナイフ、手裏剣は無し
爆弾に関しては付いてはいるが二度目以降の精製は無しみたいな感じだった気がする
433Classical名無しさん:07/05/01 18:26 ID:pUPfYGHQ
>>429
西遊記の孫悟空みたいに頭に首輪が付いているってのはどうだ?
434Classical名無しさん:07/05/01 18:27 ID:oA/ZoE1w
>>433
おでこのハートマークが爆発すると申したか
435 ◆VACHiMDUA6 :07/05/01 21:02 ID:wiZbANYU
書いていいか浮かんだ質問ですが、原作キャラをモデルにしたオリキャラってよいのでしょうか?
具体的に、ハルコンネンの精のキャラをロードローラーの精としてだそうかと考えているのですが。
436Classical名無しさん:07/05/01 21:08 ID:K47GXROw
それぐらいなら問題ないのでは?

言ちゃあ悪いけど、アニロワのウィンダム(ウルトラマンの怪獣もどき)
みたいなものなんだろうし。
437Classical名無しさん:07/05/01 21:15 ID:y8CiyOvM
リレーしにくい要素を出すのはどうかと思うけど
438Classical名無しさん:07/05/01 21:21 ID:7C85e4fw
予約スレで◆33iayeGo/Y氏がシェリスを予約したけど、あれは追加予約ってこと?
服部はタバサは今どういう扱い?
439Classical名無しさん:07/05/01 21:25 ID:kO2oj1qA
あれ……追加予約って形になってるのかな?

63 名前: ◆33iayeGo/Y[sage] 投稿日:2007/04/28(土) 21:51:58 ID:72Uhkoxg
あ……拡声器でちゃった。
ネタ的にダブりそうなので予約を取り下げます。

申し訳ない。

予約スレにはこうあるけど?
440Classical名無しさん:07/05/01 21:32 ID:7C85e4fw
でもその下(予約スレ67)で
>まぁ拡声器以外でも何とかなりそうなので別の方向で通していきたいと思います。
って言ってるし、68の予約一覧には有効予約として残ってるんだよなー
441 ◆33iayeGo/Y :07/05/01 21:46 ID:ubbHKWBM
あ、言葉足らずだったか。
別の方向っていうのは他のプロットに組み込めそうだったのですが、
話が纏まっていなかった為一時的に取り下げという形というつもりでした。

ご迷惑をお掛けしたお詫びに今のシェリスプロットに組み込み、明日ぐらいに投下しようと思います。

申し訳ございませんでした
442 ◆VACHiMDUA6 :07/05/01 21:48 ID:wiZbANYU
やっぱりオリキャラだとリレーし難いので、ロードローラーの精はなしにします
つきましては修正のため、もう少し投下が遅れます。すみません
443Classical名無しさん:07/05/01 22:02 ID:7C85e4fw
>>441
なんかスイマセン。投下楽しみにしてます。
444 ◆rnjkXI1h76 :07/05/01 22:02 ID:o9412SMw
俺ももうちょっと時間かかりそうです……
早ければ今日中には投下できると思いますが……

序盤なのに何やってんだ俺……orz
445Classical名無しさん:07/05/01 22:10 ID:a1zLJYqw
>>437
お前、ヘルシング読んでないだろ。
446Classical名無しさん:07/05/01 22:14 ID:IIfS6UTk
>>436
すごくどうでもいいことだが、ウィンダムはレイアースネタだ
447Classical名無しさん:07/05/01 22:34 ID:NBv4VYT.
>>446
>>436もお前も両方正解だ。
448 ◆VACHiMDUA6 :07/05/01 22:37 ID:wiZbANYU
遅れました。投下します
支援お願いします
449Classical名無しさん:07/05/01 22:38 ID:shcfkMU.
しえん
450月光下(1/5) ◆VACHiMDUA6 :07/05/01 22:38 ID:wiZbANYU
 満月の元、吸血鬼が一人。
 正しくは、半人前の吸血鬼。
 一人、作業に勤しむ。
 
 集められた参加者、決められる勝利者、殺人(ゲーム)の掟(ルール)、支給される鉄火器、囚われを示す首輪。
 成る程確かにコレは、闘争(ロワイアル)という名のゲームだった。
 ただセラスの知る闘争(バトル)は、掟のないものだったが。
 
 早速、支給品と参加者を確認する。
 名簿を上から確認すると直ぐに見知った名前を発見した。
 
 アーカード。アレクサンド・アンデルセン。
 
 他には?
 否。いない。
 主インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングの名も、も、執事ウォルター・C・ドルネーズの名も、傭兵ベルナドットの名も、確認できなかった。
 
 ならば確かに、この場にいるのは吸血鬼アーカードと神父アレクサンド・アンデルセンと自分だけなのだろう。
 
 セラスは溜め息を吐き出した。
 『闘争(バトルロワイアル)』
 この二人、闘争という鉄火場に相応しい人物だった。
 
 きっと彼らは一点の容赦もなしに、殺し殺され打ち倒されるだろう。
 参加者……赤髪の男や、拳王と名乗る男も、殺し殺され打ち倒されるだろう。
451月光下(1/5) ◆VACHiMDUA6 :07/05/01 22:39 ID:wiZbANYU
 ならば、ならば、見せしめとなったあの少女や、少女のそばにいた少年は?
 
 甘いかもしれない。
 でも、彼らは……彼らは人間だ。
 彼らは鉄火を以って闘争を始めていない、ただの人間だ。
 彼らは己というカードに自らをかけることすらできないただの人間だ。
 そう、ただの人間なんだ。
 
 それにあの場には、あの少女達のような人間も多くはないが、いた。
 彼らは殺し殺される人間達ではない。それなのに、
 それなのにあんな人間達を集めるとはどういうことなのだ。
 
「許せないッ! あの男……許せないッ!!」
 光成とよばれたあの男。こんな闘争(ゲーム)を計画した人間たち。
「やるもんか」
 

「こんなゲームになど、一秒一分コンマ一秒たりとのってやるもんか!!」
 
 セラスは決意した。主催だけは許さない、ゲームには絶対に乗らないと。
 
452月光下(3/5) ◆VACHiMDUA6 :07/05/01 22:41 ID:wiZbANYU
 さて、ついてはまず武器だ。
 ゲームを壊すためにも、あの少女達のような人間を助けるためにも、身を守れる刃は多い方がいい。
 デイバッグを漁る。
 コンパス、地図、簡易食料…………………あれ、武器なくね?
 
「な、な、無い」
 武器がない。銃もナイフも爆薬も、棍棒の一つもない。
 探せども探せども武器は見つからない。代わりに三枚の紙切れがあるだけだ。
 やられた。
 よく考えたらこんなデイバッグに銃火器が入るか?という疑問がわいてきた。
 
「どーしよーーーーッ!」
 よく考えろ。君には肉体があるだろ。
 
────────────────────
 
 村雨良……ZXは目を覚ました。
 ここは、どこだ。
 ZXには見覚えのない場所だった。
 自分がいたのは、ガモンの森の中だった筈。仮面ライダーと謎の男がいた筈。
 
 ……思い出した。
 老人が殺し合いをしろと言った。
「言われるまでもない……」
 そう、言われるまでもない。自分はバダンの尖兵だ。
 ただ、
 
 ZXは辺りを見回す。姿は確認できない。
 
「いないのか……」
 自分のことを知っていそうな、あの女がいないのは少し残念だった。
453月光下(4/5) ◆VACHiMDUA6 :07/05/01 22:41 ID:wiZbANYU
────────────────────
 
 爆発音と共に、閃光が上がる。
 花火。範馬勇次郎が打ち上げた強者を呼ぶ、撒き餌。
 
 セラスとZX……同じ月の元で、二人は同じものを見上げる。
 しかし彼らの決意は、同じものではないのだ。
454月光下(5/5) ◆VACHiMDUA6 :07/05/01 22:42 ID:wiZbANYU
【E-5 路上/1日目 深夜】
【セラス・ビクトリア@HELLSING】
[状態]:正常
[装備]:なし
[道具]:不明支給品1〜3品
[思考]
基本:主催者の妥当。弱点の保護
1:武器がない!
2:花火が気になる
3:マスターどうすっかなー
[備考]
・能力制限は不明(後の書き手さんまかせ)です
・参戦時期は原作4巻からです
 
【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:正常
[装備]:なし
[道具]:不明支給品1〜3品
[思考]
基本:殺し合いにのる
1:花火の元へ行く
[備考]
・能力制限は不明(後の書き手さんまかせ)です
・参戦時期は原作4巻からです
・村雨静(幽体)はいません
455Classical名無しさん:07/05/01 22:45 ID:PF5IvgvA
投下乙!…でも
しずかいないのー!? いいや、これはゼクロスが仮面ライダーになるための試練だ。

…と信じたい。
456 ◆VACHiMDUA6 :07/05/01 22:48 ID:wiZbANYU
投下終了です
>>571の名前欄、正しくは 月光下(1/5) ではなく、 月光下(2/5) ですね
457 ◆VACHiMDUA6 :07/05/01 22:51 ID:wiZbANYU
>>571ってなんだ……orz
正しくは>>451ですね。度々申し訳ありません
458 ◆VACHiMDUA6 :07/05/01 23:05 ID:wiZbANYU
したらばに修正版を貼りました
459 ◆BRxsUzTn5A :07/05/01 23:55 ID:a1zLJYqw
どうもです。
したらばの投下によるご意見ありがとうございました。
これをふまえてあらためて本スレに投下したと思います。
460MEGANE×GANEME ◆BRxsUzTn5A :07/05/01 23:57 ID:a1zLJYqw

「どうしてこんなことになっちゃったんだろう……」
まだ夜も明けぬ暗闇の小さな道を一人、メガネをかけた少年が歩いていた。
彼の名は志村新八。ツッコミ以外は非常に地味な少年である。
だが、彼が元いた世界では何だかんだでツッコミ役はまれなため、重要と言っちゃあ、重要である。

新八は先ほどからの異常な状況に不安と恐怖を隠しきれないでいた。
いつものように万屋で寝ぼけ眼の目をこすりながら布団から起床し、残り少ない食べ物を神楽が食い漁ろうとしているのを必死で止めたり、
銀さんに今までの給料を請求しようと試みて、またその事をうやむやにされてしまうただ働きの万屋家業の一日が始まるはずだった。

しかし、今回は違っていた。
真っ暗な部屋の中で殺しあいをやれと言った謎の老人。それに食ってかかる赤髪の大男、それに対峙する黒い鎧の大男。
そして突如、爆散し、まだ生暖かい鮮血を部屋中にぶちまけられたメイド服の女の子。
巷で流行りのメイドロボット好きな新八でもこの光景を見た瞬間、あと寸手の所で食べた物が喉元まで到達したほどだった。

「そうか……」
新八は立て続けに起こった超常現象に対してな一つの考えを見出した。
「これは夢だ、きっと夢だ! 昨日の夜だってお通ちゃんの出演した番組の録画の編集を夜遅くまでしていて体が疲れていたじゃないか。
それが夢だという証拠! 起きろ!! 目を覚ませ、志村新八!」
新八は自分の頬をつねったり、何回も頭を叩いたり、何回も自分に鼻フックデストロイヤーの刑をかまし、この悪い夢から逃れようとした。
しかし、新八はそれが大間違いだったことに気づく。
気が動転していたため、鼻フックデストロイヤーの刑が自分自身でやってもあまりダメージがないことに気づかなかったことではない。
いくら頬をつねっても、頭をボカスカ叩いてみても、鼻に指を入れて自分で釣ろうとしても、痛みは新八にこれは現実なのだということを知らせてくる。
そして、いつのまにか背中にしょってあったバッグの重みが“それ”を決定的なものにした。

新八はデイバッグの中から、名前が連ねられている名簿に目を通し、知り合いがいないか確認する。
「銀さんと神楽ちゃんの名前が載ってる……それに桂さんまで!」
461MEGANE×GANEME ◆BRxsUzTn5A :07/05/01 23:59 ID:a1zLJYqw
今後の行動方針は決まった。銀さんと神楽ちゃん、最悪の場合は桂さんと合流してこのゲームから脱出する。
銀さんや神楽ちゃんはそんな簡単にやられるわけがないし、このゲームに反対してここから脱出する手段を探しているはずだ。
桂さんは………多少の不安要素はあるものの、いざとなったら頼りになる人だ。合流しても問題はない……と思う。
新八はここに連れてこられた仲間のことを思いながら、デイバッグを探る。何か身を守れるものが入っていたらいいなぁ、と淡い期待をよせながら。
すると、新八の手は細長い“何か”をつかむことに成功した。しめた!と思った新八はそれを引き上げると……
「え……?」
新八が手に持っていたのは取っては赤、それ以外は真っ白な紙でできたもの、何の変哲もないハリセンであった。

何コレ。何なのコレ。確かに僕はツッコミ役ですよ。それは認めます。だけどハリセンは無いんじゃないの?せめて木刀くらい支給するべきじゃないのフツー。
これでどう戦えと申しておるのですか。これって新手のイジメ?

いきなりハズレを引いた新八はため息をつき、己の運のなさを悔やむ。
気を取り直して、新八はもう一つの支給品を探すため、新八は再びバッグの中に手をつっこんだ。
「今度はマシな支給品が出ますように……」

新八が再びバッグの中を探ると……出てきたのは赤と白を基調としたセーラー服であった。

セ、セーラー服ゥゥゥゥ!!? なにゆえセーラー服? 確かに僕はアイドルオタクでセーラー服着たお通ちゃんも悪くないな……ってそんなこと考えてる場合じゃない!
しかも貼り付けてある説明書きが何で「もってけ!セーラー服」なんですか。こんな曖昧3センチな説明しても分かるわけねぇじゃねーかァァァァ!!

またもやハズレの支給品をつかまされた新八は心の中でグチをこぼしたが、結局バッグの中にしまっておくことにした。
「最後の一つに望みをかけるしかないのか……」
新八は最後の一つに全ての期待をかける。
そして、中からでてきたのは――――
「………紙袋?」
462MEGANE×GANEME ◆BRxsUzTn5A :07/05/02 00:00 ID:x4O0paWA
「こんな道具じゃダメだ。危険そうだけど、他の誰かとチームを組むしかないのかな?でも、そんな簡単に目の前に現れるわけないよなぁ〜……」
新八はそう呟きながら下げていた首持ちあげ、正面を見る。
すると、何時のまにやら向こうから何者かがこっちへ向かってくるのが見えた。
「ホントに来ちゃったァ〜〜〜! 何このありがちな展開ィ!!」
待てよ、ひょっとしたらこのゲームに乗っている人かもしれない。と一種の最悪の展開を考えた新八は逃げ出そうとも考えたが
こちらへ来る陰がだんだんとはっきりするにつれて新八の警戒は少しずつ緩んでいった。
新八の前に現れたのは新八よりも小さい、小学生くらいのメガネをかけた少年であった。

2人のメガネ少年はしばらく顔を見合わせ、互いの様子をうかがっていた。
数分間たち、まず最初に口を開いたのは小さなメガネ少年の方だった。
「お兄ちゃん、ゲームにのってるの?」
「ううん、僕はこのゲームから脱出しようと思ってる」
新八は穏やかな口調で現れたメガネ少年の問いに答える。
「そうなの? 良かった〜!一人じゃ心細かったんだもん」
小さなメガネ少年はホッと胸を撫で下ろす様子を見せた。
「そうだ! この紙袋の中に入っているヤツを食べない?多分ハンバーガーか何かだと思うから……」
と、新八は逆さにした紙袋の口を開け、紙袋から出てきた中身を見ると、新八の血の気がサーッとひいた。彼の体から冷や汗が吹き出してくる。
中から出てきたのはハンバーガーでもなく、テリヤキチキンサンドでもなかった。手の上に「手」をつかんでいたのだから。
「う……うわあああああ!!」
新八は思わず「手」を地面に落とした。
それは指に赤いマニキュアをつけ、ほっそりとした手には細かく小さなしわがはしっていた。
紙袋の中に入っていたのは女性の手だったのだ。
「え………あの………その……」
予想外な展開にもはや新八はツッコむことすらままならなかった。
恐る恐る小さなメガネ少年の方を見ると、案の定新八をいぶかしげな顔で見ていた。
463Classical名無しさん:07/05/02 00:00 ID:bDfwFctY
支援
464MEGANE×GANEME ◆BRxsUzTn5A :07/05/02 00:01 ID:x4O0paWA
もしかしたら僕のことを疑っているのかもしれない。誤解を解かなきゃ……
新八は誤解を解くためにどう弁明するべきか頭の中で必死に考える。だが、今までの惨劇や、「手」のことが頭に強く焼きつき、言葉がなかなか出て来ない。
「こ、これは……たまたま、入っていただけなんだ……」
(何言ってんだァ〜〜!志村新八ィ! こんなこと言っちゃ余計疑われるだろォォォ〜〜!!)

新八は心の中で自分の発言の失敗を悔やむ。
ああ、こんな時銀さんだったら自慢の口八丁で相手をうまく丸め込むんだろうな……。向こうの子供もまだ僕のことを怪しんでそうな顔だし、一体どうしたらいいんだろう……

「……ねぇ」
「え……な、何?」
「もしかしてお兄ちゃんのそれって……」
メガネの少年は新八の方に歩み寄ってきた。きっと僕を殺人者と疑っているんだ……あのバッグの何かで僕を……。
どうする……このままじゃやられる。どうする……。

少年が新八の目の前まで迫ろうとした時、とっさに新八は正座し、地面に頭をこすりつけた。
「ご…ごめん!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
新八はどうしたらいいのか分からなかった。ただ、相手に背を向けて逃げるより何とかこの場を何とか切り抜けなければという思いだけが暴走していた。
「いいや、お前が謝る必要はねーよ」
少年はさっきまでとは違う口調で新八に話しかける。
「え……?」
「この手をは間違いなく女の人の手。だが、手の体温すっかり冷え切っている上に、切り取られた中の血が乾ききっている。もし俺が出会う前にすぐに犯行したならば
少しは体温が残ってて、血もベットリしてるしな。それにそんな短時間に死体を隠して、その紙袋に手だけを切り取って入れる余裕なんてないに等しい」
先ほどとはうってかわり、「手」の分析をする少年を見て新八は顔を開け、口をポカーンを開けた後、こう言った。
「君って……もしかして推理オタク?」
「バ、バーロー!そんなんじゃねーよ。本当は隠しておきたかったんだけどな……」
465MEGANE×GANEME ◆BRxsUzTn5A :07/05/02 00:02 ID:x4O0paWA
この少年の話によると彼は僕と同じくらいの年の高校生名探偵であり、訳あってこの姿になっているとのことだった。
あまりにも突飛な話で信じられなかった。でも、この「手」を僕の仕業じゃないってことが分かったのがその証拠なのだろうか?
何はともあれ僕、志村新八は名探偵と名乗る小学生の江戸川コナンくんと支給品やお互いの知り合いなどの情報交換をすることになった。
コナン君の支給品はヌンチャクと、奇妙な赤い宝石、そして透明な麻雀牌と碁盤の3つだった。彼もいい支給品には恵まれなかったらしい。
僕は銀さん達を見たかと尋ねたけど、コナン君は首を横に振った。やっぱりそう簡単には見つからないか。
それから、コナンくんも知り合いを捜しているようだった。捜しているのは毛利小五郎さん、灰原哀ちゃん、服部平次さんの3人。
3人ともそれなりに信頼できるとのことだった。

「コナンくん、これからどうするの?」
「仲間を捜しに行く。その途中で俺達と協力出来そうなヤツがいたらだが、お前の持っているその手はマズいな……」
「……そうだね。ここに放っていくわけにも行かないし。どこかに埋めた方がいいのかも」
「この地図なら隣の池の公園が近いな。そこでその「手」を池の中に沈めておこう。俺だったら良かったものの、ヘタにばれたら他の人物に疑いをかけられない」
「そうだね、この「手」見ているだけで寒気がするよ。元のバッグに戻してっと……じゃ、行こうか。コナンくん」
「ああ」

こうして2人のメガネ少年は暗闇の中を歩いていった。
だが、2人は知らない―――その「手」の持ち主がいることを―――
その「手」の持ち主が平和を望む冷酷な殺人鬼がいることを―――

果たして2人のメガネ少年に夜明けの朝日は来るのであろうか。

466MEGANE×GANEME ◆BRxsUzTn5A :07/05/02 00:02 ID:x4O0paWA
【E-3/路上/1日目/深夜】
【チーム・ザ・メガネ】
【志村新八@銀魂】
[状態]:健康、自傷したためちょっぴり顔と頭が痛い。
[装備]:大阪名物ハリセンちょっぷ
[道具]:基本支給品、陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた、美奈子さんの手(サンジェルマンの紙袋の中に入っている)@ジョジョの奇妙な冒険
[思考]:
基本:コナン君と行動して、仲間を集める。
1:この「手」を処理するため池の公園に向かう
2:銀さんと神楽ちゃん、桂さん、コナン君の知り合い(灰原哀、毛利小五郎、服部平次)と合流する。
3:ゲームからの脱出

【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:ヌンチャク@北斗の拳
[道具]:基本支給品、スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険、鷲巣麻雀セット@アカギ
[思考]:
基本:新八と行動して、仲間を集める。
1:新八の持っている「手」を池の公園[E-4)で処理する。
2:灰原哀、毛利小五郎、服部平次、新八の知り合い(坂田銀時、神楽、桂小太郎)と合流する。
3:ゲームからの脱出
[備考]:メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。
467 ◆BRxsUzTn5A :07/05/02 00:03 ID:x4O0paWA
投下終了しました。
468Classical名無しさん:07/05/02 00:06 ID:8Z2fODa6
>>466
このコンビは想像つかんかったw
しっかし、こええ支給品だなあ。

投下GJ! でした
469Classical名無しさん:07/05/02 00:10 ID:bDfwFctY
乙、


ここでは少し格好いいコナンが見られそうで安心した。
ただ……今さらになっていうのもあれだが、次の二つぐらいはSSの中で理由付けして欲しかった。

・ 阿笠博士の口止め以来、自分からは正体を明かさなかった新一がどうして自分から明かしたのか?
 → まぁ、ロワだからでいいと思うけど……

・ 手は別にほうり捨てても良かったんじゃないか?
470 ◆7XXnwOiG5g :07/05/02 00:32 ID:4C942mZc
一時投下スレに投下しました。意見、感想をお願いします。

そして大きな問題が……
支給品被りでプロットを大幅に変更した結果、勝の出番がなくなってしまいました。
とりあえず最後に登場はさせたものの、この話に勝が必要だとは到底思えません。
勝の描写は削った方が良いのでしょうか?
471Classical名無しさん:07/05/02 00:38 ID:JkpbIwAc
>>470
乙ですが少し意見を。
灰原の行動自体何だが疑問が……
組織から完全に足を洗う決意してるから不意打ちでいきなり殺すことに違和感がありました。
472Classical名無しさん:07/05/02 00:49 ID:kOASKVZQ
予約情報の整理をしました

【5/1(火)〜5/4(金)の予約】
◆33iayeGo/Y氏:00:09:29 シェリス・アジャーニ
◆ozOtJW9BFA氏:10:42:06 平山幸雄、鷲巣巌
◆L9juq0uMuo氏:23:49:33愚地独歩、市川、アミバ、ケンシロウ

延長申請中【4/26(木)〜4/29(日)の予約】
◆rnjkXI1h76氏:00:42:06 川田章吾、柊つかさ

予約の期限切れ詳細求む【4/28(土)〜5/1(火)の予約】
◆BjBMvfKUPw氏:01:46:45 葉隠散、マーティーン・ジグマール
◆qvvXwosbJA氏:23:05:49 カズマ

これで良いんですよね?◆33iayeGo/Yさんの予約は?
473 ◆BjBMvfKUPw :07/05/02 00:52 ID:xcA0ndRs
散とジグマールを予約していた者ですが、予約の時間を勘違いしていました。すみません。
報告も遅れたうえでこのようなことを言うのは心苦しいのですが、あと1日頂けないでしょうか?
プロットもできており本文も半分以上できあがっている状態なのですが、キャラの描写など納得できない部分が多々あるので推敲を繰り返したいのですが、いかがでしょうか?
もし他に書きたいと思ってらっしゃる書き手さんがおられるようでしたら、破棄で構いません。

最後に、予約スレで名前を間違えてすみませんでした。orz
×マーティーン
○マーティン
474Classical名無しさん:07/05/02 00:56 ID:bDfwFctY
いいんじゃね?
475Classical名無しさん:07/05/02 01:02 ID:JkpbIwAc
>>473
一日ぐらい問題ないと思います。
◆33iayeGo/Y氏は明日中に服部とタバサも絡めて投下すると宣言してなかった?
476 ◆qvvXwosbJA :07/05/02 01:04 ID:154lyDgo
微妙に遅れてしまいましたが、カズマ投下します。
477Classical名無しさん:07/05/02 01:05 ID:bDfwFctY
多分、支援
478その男、反逆者につき ◆qvvXwosbJA :07/05/02 01:06 ID:154lyDgo
F-7エリア、その東部に位置する駅、S9――「ステーション9」。
この駅には、もっというならこの区画の駅全てには、参加者には知らされていない事実がある。
それは、この駅を通っているのは通常の路線ではなく『地下鉄』であるということ。
地上にあるのは整然と並ぶ券売機と無人の改札、商品が放置されたままの売店ぐらいで、改札を通った先には地下へ続く階段が奥へと延びている。
しばらくはろくに整備されていないのか(もっともこのフィールドがいつから存在するかなど知る由もないのだが)、
切れかけの蛍光灯の明滅する光がその明るさとは裏腹に深夜の陰気な不気味さを醸し出している。
階段を降りた先のホームには無機質なリノリウムが敷き詰められていて、くすんだ黄色の点字ブロックが形ばかりの存在感を主張している。
こちらは地上ほどは暗くはないものの、明るいだけで人の姿も見えない空間というものは逆に不安になるものだ。
進めど聞こえるのは自身の足音の反響のみ。複数の光源を起点にいくつもの方向に伸びる影法師が目に入る唯一の動くもの。
そして、忘れてはならないのは、いくら人がいないようでもここは殺人ゲームの会場の一角に過ぎないということ。
正常な神経の持ち主なら、この状況にある種脅迫的な緊張感を感じるだろう。

あいにく、今この瞬間にステーション9のホームにいる唯一の人間は、その手の緊張感とは無縁の男だったのだけれど。

猫背気味の姿勢、野生の猛獣のようなギラギラした光を湛える瞳。
デイパックを左手で肩に引っかけ、その男は苦虫を三匹ほどまとめて噛み潰したような表情で歩いていた。
男の名はカズマ。人呼んで“反逆者(トリーズナー)カズマ”。
ロスト・グラウンドの荒野にその名を轟かせる凄腕のアルター使いだ。
曰く、“全てを断罪するアルター”。曰く、“そいつに目をつけられたらノー・フューチャー”。
ロスト・グラウンドで不法を働くネイティブ=アルター達から恐れられるこの男も、今この瞬間においては虫の居所の悪いチンピラ同然だった。
479その男、反逆者につき ◆qvvXwosbJA :07/05/02 01:07 ID:154lyDgo
口の半分開いたデイパックからは、乱雑に突っ込まれた支給品が顔を出している。
薔薇の造花に番傘、そして使い道すら分からない正六角形の金属塊。
一応確認だけはしておこうと、カズマが支給品を取り出したのが数刻前。
ただの紙から明らかに大きさのおかしい品物が出てきて驚いたものの、結局どれもガラクタ同然と気付き、苛立ち紛れにデイパックに押し込んだのがついさっき。
ちなみに説明書もついていたのだが、頭を使うことに慣れていない彼は一行読んだだけで放り出してしまった。
カズマはもとより使える武器などを期待していたわけではない。
カズマが信じているものは、自分自身と自分のアルター“シェルブリット”だけだからである。
しかし、殺し合いをしてもらうと言っておきながら配るのはただのガラクタ。
人の生き死にをおちょくっているとしか思えないあの光成とかいう腐れジジイの笑い声を思い出し、カズマの表情が一層険しくなる。

いつの間にか目の前に迫っていた階段の一段目に足を掛け、カズマは一つ舌打ちをした。


 ▼ ▼ ▼


階段を上りながら、カズマは考える。
先ほどちらりと目を通した名簿。知っている名前は、三つだけ。
いけすかないホーリー野郎、劉鳳。奴といつも一緒に行動していた女、シェリス。そしてホーリーの親玉、マーティン・ジグマール。
奴らがどうなろうとカズマには関係ない。いや、ジグマールとかいう野郎にはぶん殴ってやるだけの理由があるが。
少なくともこのゲームに巻き込まれた連中のなかに、かなみはいない。君島もいない。水守も、箕条も、ハーニッシュもいない。
今の自分に、守るべきものは何もない。
だったら、今ここで俺がやるべきことはなんだ?

(をいをいをいをい……そんなの決まってんじゃねぇか)

カズマの顔に、はじめて不敵な笑みが浮かんだ。
野獣の瞳が煌々と燃え、階段の先の深夜の闇を見据える。
脳裏に蘇るのは、かつて兄貴と慕った男の言葉。
ストレイト・クーガー。誰よりも速さを求めた男。カズマに反逆のなんたるかを教えた男。
そのクーガーの声が問いかける。
480その男、反逆者につき ◆qvvXwosbJA :07/05/02 01:08 ID:154lyDgo
――カズマ! 今のお前の弱い考えは何だ? 答えろ!

(俺の、弱い考え……)

――殺し合いに敗れて無様に死んでいくことか? それとも、戦いを放棄して逃げ回ることか?

(……違うな! あのクソジジイのニヤケ面に、俺の自慢の拳をぶちこんでやれないことだ!)

――だったら、その考えに反逆しろ!

(言われるまでも無え!)

カズマは右の拳をきつく握り込んだ。
全身をバネにして階段を駆け上がり、改札を飛び越えて、闇の中へと飛び込んでいく。
そして、走りながら思い出す。はじめにカズマが連れてこられた空間。そこで起こった惨劇を。
首を吹き飛ばされた少女の無念の表情を。まき散らされた血の赤さを。彼女の名を呼んだ少年の慟哭の声を。
あの娘は抵抗すら許されずに一方的に殺された。不条理な死。それがこのクソッタレな殺人ゲームのお約束だっていうなら……


だったら、その不条理に反逆する!

こんな首輪一つで人の命を弄ばれて、それでも黙っていられるか?
このバトルロワイアルを、最後の一人になるまで殺し合うイカレたゲームを、運命だって諦められるか?
答えはノゥ! 絶対にノゥだ!
運命ってのは自分の足で前へ進み、自分の拳で掴み取るもんだ! 誰かに強制されるものでも何でもねえ!!
だから俺は反逆する! このバトルロワイアルという現実に!
その意思を、理不尽な現実へと抗う意思を――弾丸に、込めろ!!



さあ――――反逆だッ!!! 
481その男、反逆者につき ◆qvvXwosbJA :07/05/02 01:08 ID:154lyDgo
【F-7 S9駅/地上 一日目 深夜】

【カズマ@スクライド】
{状態}健康
{装備}無し
{道具}支給品一式、ギーシュの造花@ゼロの使い魔、神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂、核鉄(ニアデスハピネス)@武装錬金
{思考}
1:反逆のためにできることを探す
2:まどろっこしいのは苦手なので基本的には単独行動
3:悪党は全力で殴る
基本行動方針:
バトルロワイアルに反逆する
参戦時期:
対アルター仙人戦後、ハイブリット覚醒前(原作4巻)
※進化の言葉“s.CRY.ed”をすでに刻んでいます。
※支給品は全て確認しましたが、説明書にはろくに目を通していません。
 そのため、三つとも役に立たないガラクタだと思っています。



【地下鉄について】
・繁華街のS3駅からS7〜S8〜S9〜S10までの区画は、地下鉄が通っています。
・一定の時間をおいて電車が行き来しているものと思われます(詳細は後の書き手さんに任せます)。
・電車を利用すれば長距離を比較的高速で移動できるほか、電車にさえ注意すれば地下道として徒歩での移動も可能です。
・電車に乗車中は禁止エリアの影響を受けません。
・基本的には地上との連絡経路は駅の階段だけですが、どこかに地上に続く非常口がある可能性もあります。
・なお、各参加者に配布されたマップには「S3〜S10の区画は地下鉄である」という情報は記されていません。
482 ◆qvvXwosbJA :07/05/02 01:10 ID:154lyDgo
投下完了。
地下鉄の設定ですが……すみません独断で出しました。
すでにアニロワやジョジョロワで「舞台装置としての鉄道」は登場しており、差別化を図ろうとしたのですが……
いかがでしょうか? ご意見お待ちしています
483Classical名無しさん:07/05/02 01:11 ID:kOASKVZQ
すみません
予約情報はこうでした

【5/1(火)〜5/4(金)の予約】
◆33iayeGo/Y氏:00:09:29 シェリス・アジャーニ、服部、タバサ
◆ozOtJW9BFA氏:10:42:06 平山幸雄、鷲巣巌
◆L9juq0uMuo氏:23:49:33愚地独歩、市川、アミバ、ケンシロウ

延長申請中【4/26(木)〜4/29(日)の予約】
◆rnjkXI1h76氏:00:42:06 川田章吾、柊つかさ

予約の期限切れ詳細求む【4/28(土)〜5/1(火)の予約】
◆BjBMvfKUPw氏:01:46:45 葉隠散、マーティーン・ジグマール
484Classical名無しさん:07/05/02 01:15 ID:4C942mZc
>>482
GJ!
これぞカズマ! これぞ反逆者! 原作さながらの言い回しが実に燃える。
地下鉄の設定についても俺は問題ないと思う。
485Classical名無しさん:07/05/02 01:16 ID:bDfwFctY
>>482
乙、なんだかマーダーが協力だって言われてるけど、非マーダーも中々強そうなのが……


>>483
いやいや、連絡あるって。  >>473
486Classical名無しさん:07/05/02 01:17 ID:8Z2fODa6
>>481
GJ!!

上手い、と思わず言いたくなるくらいキャラを的確に掴んでらっしゃいますな。
これこそカズマって感じだ。
487Classical名無しさん:07/05/02 01:18 ID:OZbf0fN.
>>482
GJ!
s.CRY.edを使うタイミングでかなりの燃え展が期待できそうだ。
カズマの反逆の意思もカッコイイ!!

ただ、ニアデスハピネスは既に出ているから別の核鉄にしたほうがいいと思う。
488Classical名無しさん:07/05/02 01:24 ID:JkpbIwAc
>>482
GJ!カズマの特徴を上手く捉えてる。

>>487
いや、あれの登場ssは……>>471で書いたが、灰原の行動が原作と剥離しすぎ。
いきなりコナン以外皆殺しを考えて、人畜無害の人殺すって展開がちょっと……
修正は一応希望しておきたい。
489487:07/05/02 01:26 ID:OZbf0fN.
そういやそうだった。
ごめん、俺の言ったことなしにしてくれ。
指摘Thx。
490Classical名無しさん:07/05/02 14:08 ID:goXwJ5fo
投下乙。
『バトロワそのものにに反逆する!』というのが実にカズマらしくてよかった。
でも、神楽の傘も鉄核もすでに登場しているので、ここは修正するべきかと。
491Classical名無しさん:07/05/02 14:13 ID:E38K.gbc
今になって気づいた。
このスレタイ……おかしいだろ。
492Classical名無しさん:07/05/02 17:33 ID:x4O0paWA
>>490
別に支給品変えなくていいだろ
その支給品が出てたSS、ツッコミどころがあるし。
493Classical名無しさん:07/05/02 17:54 ID:ieRrRb.c
そのSS、通しか修正か破棄か、今の時点じゃまだ何とも言えないからな……
こっちが変えても展開に差し支えないというなら、変えた方が無難じゃね?
494Classical名無しさん:07/05/02 18:59 ID:dWbXNMGQ
あれ?セラスSSでは深夜で勇次郎の花火が聞こえてるんだけど。
勇次郎SSでは黎明になってるんだよな……。

これはどう受け止めるべき?
495Classical名無しさん:07/05/02 19:28 ID:Il0Zb4/6
単なる勘違いorミスでしょ。修正で何とかなる範囲。
496Classical名無しさん:07/05/02 19:30 ID:dWbXNMGQ
じゃあ花火は黎明でいいんだな、OK分かった。
497Classical名無しさん:07/05/02 20:20 ID:b7MB2yoI
灰原の話って結局どうするん?
とりあえず皆が突っ込んでる所に対する作者さんからの見解を聞きたい
498Classical名無しさん:07/05/02 20:24 ID:/3QtYXOU
既に突っ込んでるところなんだが、一応確認のために。

>冷静に人を殺す……それができる私は、やはり根っからの黒の組織の構成員だったらしい。
>氷の心を持って人を殺す私が本物の私で、工藤君達に囲まれて幸せに過ごしていたのは偽りの私だったのだ。


原作では、ハッキリと人殺しの薬を作っているつもりはなかったと言っている。
なので、黒の組織に所属していたときから、人殺しを肯定していたわけではない。
499 ◆7XXnwOiG5g :07/05/02 21:18 ID:4C942mZc
>>了解
コナンを読み直したところ、確かにキャラ把握に問題がありました。
支給品被りもありましたし、とりあえず件の作品は破棄します。

その上で現在は、三人が出会って情報交換して別れるという当たり障りのない話を書いています。
そのため予約破棄は深夜まで待ってもらえると助かります。
500Classical名無しさん:07/05/02 21:56 ID:BNfiefqg
>>499
書き直しはいいけど、投下前の作品の内容は言わないほうがいいと思うぞ。
501 ◆7XXnwOiG5g :07/05/02 23:41 ID:4C942mZc
才賀勝、灰原哀、高良みゆきの予約を破棄します。


書き続けはしますが……時間がかかりそうなので
どなたか他に書いてくださる方がいらっしゃればその方にお願いしたいです。
502 ◆33iayeGo/Y :07/05/03 00:53 ID:d1gfq9pE
投下します
503Classical名無しさん:07/05/03 00:53 ID:lMkPY7xE
支援しようじゃないか
504MIND YOUR STEP!! ◆33iayeGo/Y :07/05/03 00:53 ID:d1gfq9pE
「まったく、何考えてんのよ……」
立ち込めるのは異臭、口をふさがれ鼻呼吸しか出来ない状況ならば大半の人間が考えるのをやめるほど強力なもの。
口で呼吸してもその臭いの一部が鼻に伝わり、不快感を掻き立てる。
耐え切れなくなってきたのか胃の内容物が喉までこみ上げてくる。
然し、それは後少しというところで止まり。再び胃の中へと戻っていった。
酸っぱい液体が彼女の喉を焼く。
「殺し合いとか言う前に殺されるわよ……うえ……」
この空間から一刻も早く逃げ出したい気持ちで一杯だ。
しかし、逆に考えればこの空間は大概の人間は「好んで入らない場所」なのである。
つまり、ある程度安全な空間なのである。
しかしこの臭いは殺戮兵器である。嗅覚の強い人間なら昏倒ものだ。
新鮮な空気を吸うか、多少いづらくても安全な場所を取るか……。
「……武器があるかどうか、ささっと確認しますかねー」
デイパックの中身を適当に漁り、三枚の紙を発見する。
それぞれに、金属バケツ、DIOの棺(以下棺)、ハート様気絶用棍棒(以下、棍棒)と書かれている。
棍棒と書かれた紙を広げてみると、中から金属バットほどの棍棒が出てきた。
この紙は何らかのアルター能力のようだが、それを考えている時間は無い。
「……私のアルターじゃあそこまで戦えないし。これがあれば安心かな」
少しずっしりとしているが、振り回せない重さではない。
武器も見つけた、残りの物の確認も済ませた。ならば、やる事は一つ。

彼女は、その部屋の出口へとひたすら疾走した。
右手に棍棒を、左手に二枚の紙を持ちながら。

彼女の頭の中には「ここから出る」という思考しかなく、ほかのことまで考えが回らなかった。
だからなんともない段差に引っ掛かり、手を突き出して盛大にズッこけた。

二枚の紙は、地面に擦られボロボロになり――――――。



505MIND YOUR STEP!! ◆33iayeGo/Y :07/05/03 00:54 ID:d1gfq9pE

「なーんやまたケッタイなコトに巻き込まれてもーたなぁ……」
とある施設の前、関西弁の青年は頭を掻きながら一人呟く。
「犯人がわかってるけど逮捕もでけへん、その上自分を含め相当数の人間が危機に晒されてるっちゅーコトか。
 ホンマにイカれた趣味のジイサンやで……まぁ、この西の名探偵を呼んだ事だけは失敗やったなぁ」
そう、彼こそ「西の名探偵高校生」と呼ばれる服部平次当人である。
今回の事件は「大量連続殺人事件」といったところか。
勿論犯人はあの老人……だが、一人でこの犯行をするのは難しい。
ひょっとすると何らかのバックアップが存在するのではないだろうか?
「あのイカついオッサンらにも首輪を着けるのはあのじーさん一人では難しい……。
 っちゅーことは共犯の可能性が強いっちゅー事か」
そう、首輪。
あの会場にいた二人のムキムキのオッサン二人にも付けられた鈍く輝く首輪。
そして、あの少女首を刎ねたのもこの首輪。
「まずは、この首輪のトリックを見破らんことには真相にもたどり着けへん……か。
 おもろいやないけ、この首輪のトリック……全部見ぬいたるわ!」

さぁ、工藤。はよ来いよ?
でないと首輪もこの事件の真相も、ぜーんぶ俺が解いてまうで?

「で、目の前にはなんやけったいな施設があるっちゅーことやな」
はいどうぞ入ってくださいと言わんばかりに、平次の目の前には巨大な施設。
看板には汚水処理場と書いてある。
「まずは情報収集からせなアカンからなぁ……よっしゃ、まず入ってみよか」
その手に支給品の奇妙な光線銃を握り、施設の中へと歩みを進める。
506MIND YOUR STEP!! ◆33iayeGo/Y :07/05/03 00:56 ID:d1gfq9pE
施設に入って早々平次は精神的な衝撃を受ける。
入り口のすぐ近くで一人の少女が本を読んでいたことである。
この状況で、まったく警戒もせずに黙々と本を読んでいるのだ。
平次は、我が目を疑った。
「……なぁ、お嬢ちゃん。そんなところでボーッとしとったら危ないで?」
目の前の少女の反応は無く、黙々と本を読みつづけている。
よく見ると手には小さなナイフが握られているようだが、彼女の目線は完璧に本に移っている。
少し声を荒げて、言葉を続ける。
「ワイはこの殺し合いには乗ってへんねやけど……よかったらこの首輪外すン手伝ってくれへんかな?」
それでも目の前の少女は何のリアクションも起こさない、黙々とページを捲っている。
どうみても無視です、本当に有難うございました。
平次の堪忍袋の尾がブチブチと音を立てて切れていく。
「そんなところで本なんて読んどったら危ない言うてんねん!はよどか――――」
「うるさい」
自分のセリフの途中でやっと口を開いたかと思えば、平次は後ろに大きく吹き飛び頭をぶつける。
打ち所が良かったのか気絶する事は無かったが全身が痛い。
そして何よりも、「今何をされたのか?」が平次の最大の疑問だった。
しかしもう一度近づいて話し掛ければまた吹き飛ばされるかもしれない。
少女の方をちらと見るとまた本を読みふけっている。
近づいて再びコンタクトを取るべきかどうか――?

その考えは一つの大きな音によって遮られる。
音の元は目の前の少女の腹部からだった。

勿論、平次はこのチャンスを逃さない。
最初に表紙の名前で紙の中身を確認したときにはガッカリしたが、この瞬間に「持っていて良かった」と考えが変わる。
ゆっくりと近づき、少女の前で紙を開く。
507Classical名無しさん:07/05/03 00:56 ID:vlvKcUrE
支援
508Classical名無しさん:07/05/03 00:57 ID:lMkPY7xE
しえん
509Classical名無しさん:07/05/03 01:00 ID:qIWRqr2A
支援
510MIND YOUR STEP!! ◆33iayeGo/Y :07/05/03 01:01 ID:d1gfq9pE
「これ、良かったら食うてええで? ……言うとくけど毒なんて入ってへんし、第一そんなことしてもワイにメリットあれへんからな」
美しく彩られたモッツァレラチーズとトマトのサラダが少女の目の前に現れる。
平次はサラダの更を近くに置き、歩きながら言い捨てた。
「ワイはこの先をちょっと見てきて戻ってくるから、良かったらそん時に知ってることとか教えてくれへんかなー?」
物で釣り、下手に出る。少し気分が良くない行為だったが仕方が無い。
あとは戻ってきたときに少女が口を開いてくれることを祈るだけ……できれば今喋って欲しいのだがその暇はなさそうだ。
少女はそのサラダの一つ一つをゆっくりと、しかし正確に素早く口の中へと入れていく。
そんな彼女を見て僅かな笑みを浮かべて平次は奥へと足を進めていった。



サラダをあっというまに食べ尽くした後、平次が視界の奥へと消えるのを少女はしっかりと見ていた。
再び本を読もうとするが、ちらちらと平次の歩いていった方向が気になってしまう。
自分の手にはナイフと、カバンにはよく分からないが強力な瓶がある。
そして自分には魔法もある……平次を助けることは不可能ではない。

そしてついに彼女は本を――――。





511Classical名無しさん:07/05/03 01:01 ID:sTRh0/1o
支援
512MIND YOUR STEP!! ◆33iayeGo/Y :07/05/03 01:01 ID:d1gfq9pE
進んだ先で平次は見てしまった。
自らが歩みを進めた先で、先程の少女と変わらない蒼髪の少女を。
そして、その周りの光景を。

彼女は平次に見られてしまった。
血を全身に浴びた自らの体と、無残にも壊れた棺とバケツを、その壊れた棺桶の中から僅かに覗き出している死体を。

「アンタ……が、やったんか?」

目の前の彼女は泣きながら答えた。
その目は、僅かに焦点が合っていない。

「ちが……う、転ん……だら、いきな……り壊……れて。
 そうしたら……紙が血と……棺桶……に化けて。
 …………怖い、怖い……よ劉鳳」

言葉が途切れ途切れになっている、どうやら相当錯乱しているようだ。
それとも凶悪な殺人鬼の演技なのか?

平次は考える、この限られた状況で「目の前の少女が殺人者なのかどうか」を。

撒き散らされた血、棺桶の中の死体、謎の破壊されたバケツ、少女の手には棍棒、少女の目の焦点が微妙に会っていないこと――。

これらを本に、服部平次の名推理が今――――――?
513MIND YOUR STEP!! ◆33iayeGo/Y :07/05/03 01:02 ID:d1gfq9pE
【B-8 汚水処理場内部/1日目/黎明】

【シェリス・アジャーニ@スクライド】
[状態]:錯乱、吐き気、全身に血を浴びてる
[装備]:ハート様気絶用棍棒@北斗の拳
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:????????
1:なにもかんがえられない
2:劉鳳に会う。
[備考]
※ヌケサクの死体入りDIOの棺@ジョジョの奇妙な冒険 は破壊されました。
※血の入った金属バケツ@グラップラー刃牙 は破壊されました。

【服部平次@名探偵コナン】
[状態]:頭にこぶ
[装備]:スーパー光線銃@スクライド
[道具]:「ざわ……ざわ……」とかかれた紙@アカギ(裏面をメモ代わりにしている)、支給品一式
[思考・状況]
基本:江戸川コナンよりも早く首輪のトリックを解除する。
1:目の前の状況に対処する。
2:変電所に向かう。
3:江戸川コナンとの合流。
[備考]
※モッツァレラチーズとトマトのサラダ@ジョジョの奇妙な冒険 はタバサが完食しました。
514Classical名無しさん:07/05/03 01:04 ID:2kr/2niA
支援
515MIND YOUR STEP!! ◆33iayeGo/Y :07/05/03 01:04 ID:d1gfq9pE
【B-8 汚水処理場 入り口/1日目/黎明】

【タバサ@ゼロの使い魔】
[状態]:健康
[装備]:光の剣(ただのナイフ)@バトルロワイアル
[道具]:バトルロワイアル(新書版、最初の数十ページ読破)、液体窒素(一瓶、紙状態)、支給品一式
[思考・状況]
基本:元の世界に帰る。
1:平次が少し気になる。
2:本を読む。
3:変電所へ向かう。
4:キュルケとの合流、ルイズ、才人については保留

液体窒素の容器外見についてはこちらをどうぞ
http://www.geocities.jp/nrehp/materials3/liquidN2.htm

コピーミス発見。

>>510
>再び本を読もうとするが、ちらちらと平次の歩いていった方向が気になってしまう。
の部分を

再び本を読もうとしたとき、気のせいかもしれないが凄く肩が軽くなったような気がした。
そして本を読みながらも、ちらちらと平次の歩いていった見てしまう。
なんだかいやな予感がして堪らないのだ、そう襲われているような……。

で御願いします。
516MIND YOUR STEP!! ◆33iayeGo/Y :07/05/03 01:05 ID:d1gfq9pE
投下終了しました。
没プロに今回のプロを大急ぎでねじ込ませたんで結構粗の目立つところがあるかもしれません。

何かあればどうぞ。
517Classical名無しさん:07/05/03 01:12 ID:vlvKcUrE
投下乙!
最初支給品が破れて駄目になるかと思ったけど、こんな事態を引き起こすとは意外だった。
平次の名推理に期待。シェリスは災難だ。タバサ無反応すぎw

ただバトルロワイアルの原作支給はどうかと思うんだ。
最初のころメタネタやって叩かれたし。
原作バトロワ勢の「プログラムを知っている」という長所を打ち消しかねない要素だし。
タバサが他のキャラに伝えるようなキャラじゃないのは知っているが、他のキャラの手に渡るのも問題。
なのでタバサの支給品の修正をお願いしたい。別にバトルロワイアルでなくてもいいネタだし。
518Classical名無しさん:07/05/03 01:16 ID:qIWRqr2A
>>516
GJ!
エニグマの紙はいつか誰かが破くだろうと思ったがこう来たか。
おかげでヌケサクがグチャグチャにw


ただ俺もバトルロワイアル原作の支給はアウトだと思うんで、そこだけ訂正希望
519 ◆33iayeGo/Y :07/05/03 01:19 ID:d1gfq9pE
原作支給したいって前に見かけたんでやって見たんですけどやっぱりアウトですね……。
タバサの状態欄を

【B-8 汚水処理場 入り口/1日目/黎明】

【タバサ@ゼロの使い魔】
[状態]:健康
[装備]:光の剣(ただのナイフ)@バトルロワイアル
[道具]:ネクロノミコン(数十ページ読破)、液体窒素(一瓶、紙状態)、支給品一式
[思考・状況]
基本:元の世界に帰る。
1:平次が少し気になる。
2:本を読む。
3:キュルケとの合流、ルイズ、才人については保留


平次の思考欄の「2:変電所に向かう。」を削除で御願いします。
没プロの名残が……
520Classical名無しさん:07/05/03 01:23 ID:lMkPY7xE
投下修正乙。シェリス、ズガンは免れたがこれは危険w
意外と劉鳳とは近いんだが……。
キャラも掴んでるし素晴らしい作品だと思います。
521Classical名無しさん:07/05/03 01:26 ID:qIWRqr2A
>>519
>ネクロノミコン(数十ページ読破)

ちょっと待てwwwSAN値が下がるwww
バトロワ原作とは別の意味で危険だと思うですよw
522Classical名無しさん:07/05/03 04:17 ID:gWOf4oew
投下乙です
これはまたドギツイのを支給されたもんだな…
早々に誤解フラグも立って、続きが楽しみです

それと、平次の一人称が「ワイ」になってるとこがあるので、そこは修正してもらいたいです
523 ◆33iayeGo/Y :07/05/03 08:45 ID:d1gfq9pE
>>522
/^o^\
ビーダマンの誰かさんと混じってたみたいです。

>>506
>「ワイはこの殺し合いには乗ってへんねやけど……よかったらこの首輪外すン手伝ってくれへんかな?」
を「俺はこの殺し合いには乗ってへんねやけど……よかったらこの首輪外すン手伝ってくれへんかな?」

>>510
>「ワイはこの先をちょっと見てきて戻ってくるから、良かったらそん時に知ってることとか教えてくれへんかなー?」
「俺はこの先をちょっと見てきて戻ってくるから、良かったらそん時に知ってることとか教えてくれへんかなー?」

に修正します。

もっかい立ち読みしてくるか……
524Classical名無しさん:07/05/03 14:09 ID:.bR.jUu2
>>523
ガンマかwww
525Classical名無しさん:07/05/03 14:25 ID:INtRlY.6
>>519
原作BRの支給品以外はすっげえよかったですぜ。

死体の支給品にはドギモをぬかれたし、キャラはみんなら「らしい」し、
非常にGJ! でした。
さて、名探偵の推理やいかにって引きも良いですな
526Classical名無しさん:07/05/03 16:53 ID:0/tk7B9M
>>519
GJ。
キャラの個性がつかめてる。

ところで川田とつかさの予約どうなってるんだ?
超過が凄まじいのだが。いつ投下されるのかぐらい連絡ほしい。
527Classical名無しさん:07/05/03 17:50 ID:gWOf4oew
やっぱさ、ある程度軌道に乗るまでは予約延長無しにしないか?
序盤からこんなスローペースじゃ先が不安だよ
528Classical名無しさん:07/05/03 17:54 ID:CPUyBItk
>>527
「期間中の投下が無理なので予約を破棄します」が続くよりは遙かにマシだと思うんだ
529Classical名無しさん:07/05/03 18:09 ID:gWOf4oew
それはそうだけど、書きたい人が大勢いるパートを独占しちゃうのはよくないと思う
期限切れても他に予約が入らなければそのまま投下してくれていいわけだし
書ける人がどんどん書いていけばいいんじゃないかと思う
ある程度進んだらまたそのとき延長をどうするか考えるってことで
530Classical名無しさん:07/05/03 18:50 ID:CPUyBItk
>>529
予約延長って言ったってほとんどの人は宣言から丸一日程度で投下してる訳だし、別にペースを乱すほどではない気がする
それに「書ける人が書く」よりも「書けない人にチャンスを与えて書けるようにする」方が長い目で見れば大事だと思うんだ


まあそれはそれとして◆rnjkXI1h76氏には一言説明がほしいところ
531 ◆rnjkXI1h76 :07/05/03 21:09 ID:cGzwpvHs
遅れてしまって大変申し訳ありませんでした。
川田の参戦時期に問題(?)がありそうなので、一時投下スレにこれから投下します。
532DIOmuda:07/05/03 21:23 ID:cGzwpvHs
一時投下スレの投下完了しました。
533 ◆rnjkXI1h76 :07/05/03 21:24 ID:cGzwpvHs
一時投下スレの投下完了しました。
534 ◆56WIlY28/s :07/05/03 21:31 ID:cGzwpvHs
って、うっかり二重投稿&トリバレ……orz


以降はこの鳥で行くことにします……。
535Classical名無しさん:07/05/03 21:35 ID:vlvKcUrE
>>533
GJ!
川田がカッコイイ。
七原の影響が強く出て面白かったです。
支給品のバードコールの使いどころが上手かった。
柊姉妹は結構強い連中に保護されているなw

川田の参戦時期は問題ないと思う。
凶悪桐山の記憶があるから、才人たちとの遭遇が楽しみです。
536Classical名無しさん:07/05/03 22:17 ID:0/tk7B9M
>>533
GJ!川田のキャラがとてもいいぜ。
537 ◆ozOtJW9BFA :07/05/03 22:30 ID:43Flm6as
>>533
投下乙!
川田の参戦時期とキャラが面白かったです。
桐山と会った時が楽しみだw

自分の予約ですが、明日まで延長お願い出来ますか?
538Classical名無しさん:07/05/04 00:01 ID:VUx2eLAY
今気づいたんだが、つかさが高二で川田は留年してなくても高一だからつかさが先輩になるのな。
絵柄のせいもあるが、つかさが川田の先輩って笑える。
539Classical名無しさん:07/05/04 10:13 ID:561/x6/c
>>538
そういやそうだな。
川田は原作中でもかなり老け顔なだけに、余計にギャップがw

本来は「こなたがハヤテの先輩」って方にも驚くべきなんだろうが、そっちは自然に感じてしまうのが絵柄マジック
540Classical名無しさん:07/05/04 17:36 ID:x2YiXwco
逆に考えるんだ、美水かがみ(らき☆すたの作者)デザの川田を想像して萌えればいいと考えるんだ。(AAry
541 ◆L9juq0uMuo :07/05/04 18:02 ID:uvtoPXD2
ケンシロウ、独歩、アミバ、市川トウカします
542間違えるのはお約束  ◆L9juq0uMuo :07/05/04 18:03 ID:uvtoPXD2
シャンソンが流れるパブの片隅、そこに市川は座っていた。盲目の老人は何をするでもなく椅子に腰掛け、自らの状況を振り返っていた。
(盲目の老人に殺し合いをさせる……、つまりは、死ね。と言うことか……)
目の見えない彼には支給品を確認する事も土地勘も何も無い所を歩き回ることもできない。そういう意味ではこのパブへと飛ばされた事は彼にとっては幸運だっただろう。
だが、それは状況を改善するにはいたらない。今の市川は武器も無く、視力もない、耳がいいだけの只の老人である。仮に殺し合いに乗った物が入ってきたらそこまでなのである。
引きつった笑いを浮かべる市川の頬を冷たい汗が流れる。
と、その時、パブのドアが開く音がした。
「おっと、先客がいたみたいだな」
「クク……どちらさんだい?」
市川は入り口から聞こえた声の主へと顔を向けずに答える。
「俺の名か?今から死んでゆく物に名乗る名前は持ち合わせてはおらん」
「そうかい」
醜悪な笑みを浮かべる男に対し、市川はぽつりとただそれだけを呟いた。
「妙な奴だな。普通なら抵抗したり命乞いをするものだぞ?」
市川のあまりにあっさりとした対応をいぶかしんだのか、男は尋ねる。
「なに、こんな状況で盲目の老人が生き残れる確率なんてのは0に等しい。あんたが来た時点で覚悟はしていたよ。若いの」
苦笑を浮かべながら市川は天井を仰ぐ。もっとも、盲目の市川の目の前にはただ闇だけが広がるだけなのだが。
「なんだ貴様、目が見えないのか。なら特別だ。天才であるこの俺が、冥土の土産に治療してやろうじゃないか」
そう言うと男はデイパックを下ろし、市川へと近付いて行く
「治療ったって一朝一夕でどうにかなるもんじゃなかろうよ」
「このアミバ様に不可能はない。失明など秘孔を突けば一瞬よ」
その男、アミバは不敵な笑みを浮かべると、市川の体のある一点へと狙いを定める。
543間違えるのはお約束  ◆L9juq0uMuo :07/05/04 18:04 ID:uvtoPXD2
「失明を直す秘孔はここだ!」
アミバの指が市川の体へとめり込む。その直後。
「ガアッ!!」
市川の体に激痛が走り、市川が声を上げ、悶絶し、転げ回る。
「ん?間違えたかな」
転げまわる市川を、アミバは顎を擦りながら見やる。
「ああ、すまんすまん。うーむ、こっちだったかな?」
アミバの指が、転げまわる市川の秘孔を正確に貫いた。
「〜〜〜〜ッ!ガアァァァァァァァァッ!!」
先ほどの痛みを遥かに超える激痛に襲われ市川は喉が張り裂けんばかりの絶叫を上げた。
その直後、アミバの指が新たな秘孔を突き、市川の背中がぼこぼこと隆起し弾け飛ぶ。そこには先ほどまで1人の人間だった肉塊が転がっていた。
「馬鹿が!あんな大声を出しやがって、誰かが来たらどうしてくれる!」
肉塊を蹴り飛ばし、アミバは忌々しげに舌打ちをする。
「ラオウみたいなのに来られても厄介だからな。ここは退却させてもらうか」
そう言うと、アミバは市川のデイパックを回収し、裏口からパブを後にした。

▼▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ 

「悲鳴を聞いて来てみりゃあ……、こいつぁひでえや」
パブに転がる肉塊を見やり、愚地独歩は顔をしかめる。いままで数々の死闘を演じてきた独歩であっても、ここまで無残な死体は見た事が無かった。
「こんな爺相手じゃ勇次郎は手を出さねぇだろうし、刃牙や花山はこの爺が乗り気でもない限りぶちのめしはしねぇ。第一に奴等にゃあこんな芸当はできねぇ」
その死体はまるで昆虫が脱皮するように、背中が裂け、内臓が飛び出していた。独歩の知る限り自分の知り合いでこのような芸当ができる人間はいない。
「くっくっく、どうやら、勇次郎並みに戦い甲斐のある奴がいるみてぇだな」
独歩は未だ見ぬ強敵の出現に、心が打ち震えるのを感じ、自然と口角が吊りあがる。
と、その時、独歩は気配を感じ振り返る。振り返った先には、筋骨隆々とした大男、ケンシロウが立っていた。
544Classical名無しさん:07/05/04 18:05 ID:GCbsw.pU
支援
545間違えるのはお約束  ◆L9juq0uMuo :07/05/04 18:07 ID:uvtoPXD2
「よぉ、兄ちゃん。あんたがこれをやったのかい」
死体を指差す独歩に対し、ケンシロウは首を横に振る。
「俺はやっていない、だが……」
ギリッ、と歯軋りの音が鳴る。
「こんな事をする奴の見当はついている」
ケンシロウの顔が激しい怒りに歪んだ。

▼▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

「つまり、そのアミバかジャギって奴の仕業ってことか?」
パブに転がっていた市川の死体を埋葬し、支給品である逆十字号に乗り込んだ独歩が、ケンシロウに尋ねる。
「ああ、俺の知り合いでもう一人ラオウという人間が乗っているだろうが、ラオウが殺したのであれば、先ほどの絶叫を上げる暇など被害者には無いだろう。
そしてあの死体には三つ秘孔を突かれた後があった。あの男ならば老人を殺すのにわざわざ三つも秘孔を突くような事はしない。……だが、俺が言ったその三人は既に死んだ筈だ。何故その三人が生きてここに……?」
ケンシロウが言うには、ジャギ、アミバ、ラオウの三人は全てケンシロウと死闘を演じ、敗れ去ったと言うのだ。
「だが、実際に生きてこの場にいる以上仕方あるめぇ。四の五の考えずぶちのめしゃあいい。考えるのはその後でも充分じゃねぇか」
「……そうだな、これ以上犠牲者を出すわけにもいかない」
決意を新たに、ケンシロウは星空を見上げる。北斗七星の脇に煌く星は今は見えない。
「それじゃあ、俺は行かせてもらうぜ。しかし、本当に乗って行かなくていいのかい?」
逆十字号を可動させながら独歩がケンシロウに尋ねる。
「ああ、俺は別の道で探してみる。心遣いだけは受け取っておく、すまないな」
「何、気にすんな。それじゃあお互い、精々生き延びようや」
そう言って、独歩は笑みを浮かべ、逆十字号を発進させようとした。
「一つ、質問させてもらってもいいか?」
ケンシロウの問いに独歩が首をケンシロウへと向ける。
「あんたは、どうして乗らなかったんだ?」
「……そんなもん決まってんだろうよ」
そう言って独歩はどこか遠くを見る。その顔はどこか微笑んでいるようにも見えた。
546Classical名無しさん :07/05/04 18:10 ID:FeD/v11c
支援
547間違えるのはお約束  ◆L9juq0uMuo :07/05/04 18:11 ID:uvtoPXD2
独歩の答えにケンシロウはしばしの間呆気にとられ、やがて微笑む。
「……いい女房を持ったみたいだな」
「おうよ、最高の女房さ」
そう言ってひとしきり笑った後、二人それぞれ別の方向へと向かっていった。
(ユリア、これでいいのだろう?)
ケンシロウの脳裏に自分の最愛の女性の姿が浮かぶ。彼女の為にも自分は生き抜かなければ。そう胸に誓いケンシロウは月明かりに照らされる道を歩いていった。

【E-7 道路/1日目/深夜】
【アミバ@北斗の拳】
[状態]:健康。
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1〜3、本人未確認)×2
[思考・状況]
基本:ゲームに乗る
1:優勝する
[備考]
548間違えるのはお約束  ◆L9juq0uMuo :07/05/04 18:12 ID:uvtoPXD2
【F-8 道路/1日目/深夜】
【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:健康。
[装備]:逆十字号@覚悟のススメ
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1〜2、本人確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、乗った相手には容赦しない
1:ジャギ・アミバ・ラオウ・勇次郎と接触、戦闘
2:乗っていない人間にケンシロウ・ジャギ・アミバ・ラオウ・勇次郎の情報を伝える。西に向けて移動中。
[備考]
※逆十字号に乗っているため移動速度は徒歩より速いです

【F-8 道路/1日目/深夜】
【ケンシロウ@北斗の拳】
[状態]:健康。
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1〜3、本人確認済み)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、乗った相手には容赦しない
1:ジャギ・アミバ・ラオウ・勇次郎他ゲームに乗った参加者を倒す
2:助けられる人はできるだけ助ける
3:乗ってない人間に独歩・ジャギ・アミバ・ラオウ・勇次郎の情報を伝える。北に向けて移動中
[備考]
※参戦時期はラオウとの最終戦後です。

【市川@アカギ:死亡確認】
残り58人
549Classical名無しさん:07/05/04 18:14 ID:FeD/v11c
支援します。
550Classical名無しさん:07/05/04 18:14 ID:XA64Gp4k
支援
551Classical名無しさん:07/05/04 18:17 ID:XA64Gp4k
支援
552 ◆L9juq0uMuo :07/05/04 18:17 ID:uvtoPXD2
以上でトウカ終了します。
>>546、549、550氏、支援感謝します
553Classical名無しさん:07/05/04 18:18 ID:GCbsw.pU
>>549-551
おせーよwww


>>548
やっべ、北斗キャラつえーよ。
真面目な話、こいつら結構な強敵なんだよな
勝てるレベルの人間は限られてくると……
554Classical名無しさん:07/05/04 18:20 ID:dGl/0z9Y
>>548
独歩の愛妻家設定と、ケンシロウの一途なところを
組み合わせるとは考えつかなんだぜ!!

こりゃあGJ!!
「女子供殺して帰ってきたなんて、女房に誇れるもんじゃねぇ」
独歩の答えにケンシロウはしばしの間呆気にとられ、やがて微笑む。
「……いい女房を持ったみたいだな」
「おうよ、最高の女房さ」
そう言ってひとしきり笑った後、二人それぞれ別の方向へと向かっていった。
(ユリア、これでいいのだろう?)
ケンシロウの脳裏に自分の最愛の女性の姿が浮かぶ。彼女の為にも自分は生き抜かなければ。そう胸に誓いケンシロウは月明かりに照らされる道を歩いていった。

【E-7 道路/1日目/深夜】
【アミバ@北斗の拳】
[状態]:健康。
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1〜3、本人未確認)×2
[思考・状況]
基本:ゲームに乗る
1:優勝する
[備考]





すみません一番最初の独歩の台詞が抜けてましたorz
556Classical名無しさん:07/05/04 19:01 ID:/9suhlQo
秘孔は制限無し?
557Classical名無しさん:07/05/04 19:14 ID:ktCodQ9o
>>556
三回も秘孔を突かれれば、普通にしねるのでは?
558 ◆ozOtJW9BFA :07/05/04 19:52 ID:FeD/v11c
平山、鷲巣投下します。
559狂喜の宴 ◆ozOtJW9BFA :07/05/04 19:54 ID:FeD/v11c
(今考えるべきは、何故こうなったかじゃない。これからどうするかだ)
平山幸雄にとって、麻雀を打っていたら突然闇に飲み込まれ瞬間移動をさせられたのも
殺し合いをしろとだけ言い渡され、また次の瞬間には畑の真ん中に放り出されたのも
つまり先程までに自分の身に起きた事は全て、彼の理性や知識では到底計り知れない事であった。
だから平山はそれらについては思考の埒外に置き、殺し合いの中如何に生き延びるかに焦点を絞る。
 
(まずは手元に有る情報を、確認して整理しないとな)
デイパックの中を改め何が入っているか一通り確認し、ランタンを点け名簿に目を通す。
(知っている奴は……赤木に鷲巣、あいつらまで来ているのかよ!)
孤独を強いられる殺し合いの中で、名簿に有った赤木しげると鷲巣巌は二人しか居ない平山の知人である。
だが平山にとって二人は、できれば避けたい人物でもあった。
(赤木にすれば俺は自分の名を騙った偽者だ、いい印象は持っていないだろう。それどころか俺の悪評を振りまく危険性も有る。
 鷲巣に至っては最悪だ。あのイカれたじいさんなら、嬉々として殺し合いに乗ってもおかしくない)
平山の脳裏に、この殺し合いに参加する直前の記憶が過ぎる。
鷲巣に文字通り命懸けの麻雀を強いられ、平山は致死量寸前まで血液を抜かれた。
(死に怯える俺を見る鷲巣の目は、まるで狂喜に歪む悪魔そのものだ。
 仮に俺と鷲巣の両方が生き残れば、間違いなくあれの続きをさせられる。俺が死ぬまで………
 いや、今はそんな事を考えてる場合じゃない。とにかく自分が生き残る方法を考えるんだ)
 
名簿を仕舞いショットガンと書かれ、折りたたまれた紙を取り出し開く。
中からは明らかに紙より大きい、ショットガンが出てきた。
(な、なんだよこれ!?)
平山は動転したが、すぐに気持ちを切り替える。
(……なるほど、これはこういう物なんだ。ここに来る時に瞬間移動したように、ここじゃこういうことが普通に起こりうるんだ。
 と、とにかく武器は確保出来た。……他に武器になりそうな物は……無いみたいだな。
 折りたたまれた紙がまだ2枚入ってるが、こっちはよく分からない事が書いてあるから、うかつに開けない方がいい)
 
560狂喜の宴 ◆ozOtJW9BFA :07/05/04 19:55 ID:FeD/v11c
 
地図を取り出して、現在地を田園地帯と推測する。
(こういうゲームで生き残る為には、誰にも会わないように動くのが賢明だ
 そういう意味では今の位置は好条件だが、こんな開けた畑の真ん中では明るくなれば格好の狙撃の的になる
 暗い内に何処か隠れる所が多くて、人が来そうに無い場所に移動しないとな……
 ここから近い所だと……そうだな、汚水処理場か)
ランタンの火を消しショットガン以外の荷物を仕舞って、平山は汚水処理場へ出発した。
 
◇ ◆ ◇
 
平山が全身白ずくめの奇妙な後姿を見付けたのは、移動を開始してから30分程経った位の事だった。
(ど、どうする?相手は背後の俺に気付いていない上、俺は背後からショットガンを向けている。殺そうと思えば簡単に出来る。
 だが交渉次第では味方に付けるか、少なくとも情報は引き出せるかも知れないな)
自分の有利を確信し気を強くした平山は、白ずくめの者の背中に近付き声を掛けた。
「デイパックを地面に落として、ゆっくり手を上げろ」
その言葉を聞いて、白ずくめの者はゆっくり振り返る。
 
「ククク…その声は平山くんじゃないか……」
「……あんた、鷲巣か!?」
(顔まで覆う妙な服のせいで分からなかったが、こいつは鷲巣だ。……くそっ、まさかいきなりこいつと会うとはな)
「……名簿に君の名を見付けた時はまさかと思ったが、本当に生きていたとはな…ククク」
「動くな!!」
こちらに振り向いた鷲巣に、強く握り締めたショットガンを掲げる。
「さっき言った事が聞こえなかったのか!デイパックを落として、手を上げろ!」
「随分声を荒げるじゃないか、平山くん。ククク…こんなに近いんだ、ちゃんと聞こえとるよ」
鷲巣は緩慢な動きでデイパックを落とし、両手を上げる。
 
561狂喜の宴 ◆ozOtJW9BFA :07/05/04 19:56 ID:FeD/v11c
 
「……あんたは殺し合いに乗ってるのか?」
「ククク…カカカッ……!」
「何がおかしい!」
「ククククク…それを聞いて、どうすると言うのだ?」
「乗っていないのなら、交渉の余地はある」
「交渉……?カッカッカッ……交渉だと!?」
さも愉快そうに肩を揺らして、鷲巣が笑う。
「笑うな!貴様っ……質問に答えないと殺すぞ!!」
平山は依然、両手を上げる鷲巣にショットガンを向けているが
鷲巣に威されているかの様に、声を震わせていた。
「殺すと言うなら、さっさとそうすればいい」
「貴様、自分が何を言ってるのか分かってるのか!?これははったりじゃ無いし、この銃も偽物じゃ無いんだぞ!!?」
 
 
ドン!
 
 
ショットガンを撃ち、鷲巣の足下に穴を開けた。
「ククク…どうした?ちゃんと体を撃たんと、わしは殺せんぞ?……ん?」
それを意に介さず、鷲巣は一歩平山に歩み寄る。
「い、今のは威嚇だったが!こ、今度は本当に狙うからな!!」
次弾を装填しながら、鷲巣に合わせて平山が一歩下がる。
「もしかして平山くんは、まだわしの返答を待っておるのかな?」
「ほ、ほ本当に!本当に殺すからな!!」
562狂喜の宴 ◆ozOtJW9BFA :07/05/04 19:57 ID:FeD/v11c
「ククク…殺すか殺さないかも、相手に聞かねば決められない。凡庸な……到底殺し合いを生き残れんな、お前は」
鷲巣が一歩進む。
「こ、これはショットガンなんだ!!お前のその妙な服が防弾性だったとしても、衝撃は防ぎきれない!
 これで撃たれたら、絶対に死! 死ぬしか無いんだぞ!! 鷲巣!!」
平山が一歩下がる。
「……いや、凡庸どころか愚鈍。知も才も無いクズ………そんなクズが」
鷲巣の声に、怒気が混じる。
「偉大な王である、わしを殺そうなどと……許せない!」
 
――平山が鷲巣の目を覗き込んだ瞬間。
――記憶が蘇る、自分を死の淵まで追い込んだゲームの記憶。
――致死量寸前まで血を抜かれ、麻雀牌を一つ打つごとに死の恐怖に震える自分を見つめる狂喜の目。
 
「う、うわーっ!!!」
 
 
ドン!
 
 
「ククク…ちゃんと体に当てられるではないか」
「…………な、なんで死なないんだよ……」
鷲巣の胸の部分を、平山は正確にショットガンで撃った。
だが鷲巣の服が、ショットガンの弾も衝撃も全て弾いた。
「この服はシルバースキンと言ってな、わしの支給品じゃよ」
平山は慌てて、次弾を装填しようとする。
563狂喜の宴 ◆ozOtJW9BFA :07/05/04 19:59 ID:FeD/v11c
「わしにはまだ面白い支給武器が有ってな……キング・クリムゾン!」
鷲巣の上体から人の形をした何かが現出し、平山からショットガンを奪い取る。
「あ、あああ………」
平山は鷲巣に背を向け、駆け出した。
 
ドン!
 
鷲巣はショットガンで、平山の右膝から下を吹き飛ばす。
「うぎゃぁぁぁぁぁっ!!!」
平山が落としたデイパックを拾い上げながら、鷲巣は語り掛ける。
「ククク…情けない悲鳴を上げるな、お前は仮にも王を討とうとした程の者だ。
 最期の時位は、もっと毅然としていたらどうだ?」
ショットガンに、弾を詰め込む。
「……ひぃっ、た、助けてくれ……」
地面を這いずりながら、平山は消え入りそうな声で助けを求める。
「カッカッカッ……素晴らしい!その苦痛に…!恐怖に…!絶望に満ちた顔!!
 ククククク…平山くんは、そんなに死にたくないのか?」
「………た、頼む……」
「ククク…けっこうけっこう……ならば今回は、平山くんを救ってやろうじゃないか」
「……ほ、本当か…?」
平山の表情に、僅かに生気が戻った。
「もちろんだとも、ちゃんと救ってやる……」
ショットガン銃口を、平山の額に当てる。
「この世の、あらゆる苦しみからな」
平山の顔から、また生気が抜け落ちる。
「カカカッ…!!本当にいい顔をするな、平山くんは!」
 
 
ドン!
 
564Classical名無しさん:07/05/04 20:00 ID:0A5JVy3s
支援
565狂喜の宴 ◆ozOtJW9BFA :07/05/04 20:01 ID:FeD/v11c
 
 
◇ ◆ ◇
 
何より鷲巣には、確信があった。
自分が選ばれし、偉大な存在であるという確信が。
だから鷲巣はこの殺し合いに招聘されても、全く動揺が無かった。
見た事も無いディスクを頭に差し込むのにも、全く躊躇が無かった。
それらは全て、自分を高みへと押し上げるという確信があったからだ。
 
「ククク…アカギもこの殺し合いに参加しとるらしいし、ちょうどいいここで決着を付けようじゃないか」
自分と平山の分の荷物を整理し、次の獲物を求め闇の中を歩き始める。
その足取りに、一切の恐れも躊躇も無い。
何より鷲巣には、予感があった。
(この殺し合いを勝ち残れれば……わしは到達するだろう…!
 歳……75年間の最高地点……至福の瞬間に……!)
 
【7-D 田園地帯 一日目 深夜】
【鷲巣巌@アカギ】
{状態}健康。
{装備}シルバースキン@武装錬金、ジャギのショットガン@北斗の拳、キング・クリムゾンのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
{道具}、支給品一式×2、ジャギのショットガンの予備弾26@北斗の拳、不明支給品1〜3(本人は確認済)
{思考・状況}
基本:殺し合いに乗る
1:次の獲物を捜す。
2:優勝する。
参戦時期:原作13巻終了後
[備考]
※キング・クリムゾンは1秒しか時間を飛ばせません。
時間を飛ばすと大きく体力を消耗する上、連続しては飛ばせません。 
 
【平山幸雄@アカギ:死亡】
566 ◆ozOtJW9BFA :07/05/04 20:04 ID:FeD/v11c
投下終了です。
>>564
支援ありがとうございます。
567Classical名無しさん:07/05/04 20:12 ID:0A5JVy3s
乙!

しかしさすが鷲巣だ。当たりの支給品をこうも簡単に引き当てるとは
貴重な一般人マーダーになりそうだぜ
568Classical名無しさん:07/05/04 20:29 ID:FO2na1YE
GJ!

攻守ともにそろった支給品……これは良バトルが期待できる。
鷲巣、もはや逸般人だw
569Classical名無しさん:07/05/04 20:32 ID:uvtoPXD2
GJ!

さすが鷲巣だ。引きが半端ねぇwww
弱点っていったら身体能力が高くないくらいだもんな
570Classical名無しさん:07/05/04 21:00 ID:97Uu9OWM
GJ。

反則じみた引きがらしすぎるw
571Classical名無しさん:07/05/04 21:22 ID:P1npQ3kw
>>552>>566

>>552
北斗勢はやっぱり強いな…
っていうか誰だ市川入れたやつ
こうなること分かりきっていただろうww

>>566
引き良すぎwww
ほかのキャラだったら贔屓すんな
といわれそうだが鷲頭だったら納得がいくな
572Classical名無しさん:07/05/04 22:53 ID:GCbsw.pU
鷲巣なんて知らねーが、これみて好きになっちまったぞwwww
何だコイツwww
573Classical名無しさん:07/05/04 23:20 ID:VUx2eLAY
>>571
盲目の老人だと確かにズガン以外難しいよな。
盲目の美少女なら保護対象としてドラマにしやすいけど老人じゃ保護されても……

でも何はともあれ>>548 >>568
両方とも最高にGJ!
574Classical名無しさん:07/05/05 00:22 ID:gRdq48wk
>>573
>盲目の美少女
みさき先輩のことかーーーっ!?
575Classical名無しさん:07/05/05 00:24 ID:jNKGv2vU
このスレが初めてか?盲目の人間がパロロワに参加したのって
576Classical名無しさん:07/05/05 00:26 ID:.qu9yKo2
ロワ中で抉られるなり切られるで盲目になった奴はいるが登場時から盲目は市川が初めてじゃないか?
577Classical名無しさん:07/05/05 00:28 ID:P30.kGPc
>盲目の人間
川名みさきがハカロワ系で参加してる

盲目の老人なら初めてかも知れん
578Classical名無しさん:07/05/05 00:55 ID:4kcB.w2I
キンクリVS世界論争を熟読してから話を書いてくれてることを祈る
579Classical名無しさん:07/05/05 01:17 ID:gRdq48wk
しかしキング・クリムゾンとは……マーダーはどんどんバケモンになっていくな……w
こうなっちまった以上、対主催の誰かの支給品にゴールド・エクスペリエンス・レクイエムのディスクを出して………なんてな。冗談だぜ。
580Classical名無しさん:07/05/05 01:19 ID:fzK8//Yw
>盲目の人間
あとジャンプで海坊主
581Classical名無しさん:07/05/05 01:21 ID:fgTIDIdU
キンクリは確かに強いが、消し飛ばしが一秒限定ならできることもたかが知れてる。
ただ、エピタフはヤバい。なにがヤバいって、未来予知で不意打ち完全回避とかヤバすぎる。
「エピタフはロワ内で使用できない」とかいう制限が必要かも。
582Classical名無しさん:07/05/05 01:24 ID:RA7V0IN6
エピタフで見た未来は「何があっても絶対に回避できない未来」
それをキングクリムゾンで吹っ飛ばすことによって回避するのがディアボロの戦法だからやっぱり1秒じゃ難しいかもしれない。
583Classical名無しさん:07/05/05 01:39 ID:cWK007Rg
A-1 パピヨン 詳細不明(カズキと戦いたい)
A-2 空条承太郎、三千院ナギ 対主催
A-6 防人衛 対主催
A-6 劉鳳 マーダーキラー
B-3 白金 弱者限定マーダー
B-3 武藤カズキ 対主催
B-4 ジャギ 無差別マーダー
B-4 桂小太郎、柊かがみ 対主催
※B-6 平賀才人、桐山和雄 対主催
※B-8 シェリス・アジャーニ 錯乱状態 vs 服部平次 対主催?(首輪を外したい) 
※B-8 タバサ 詳細不明
C-4 津村斗貴子、花山薫 対主催
C-4 しろがね 奉仕マーダー(勝)
C-5 アーカード 無差別マーダー
C-5 DIO 無差別マーダー
D-1 加藤鳴海、赤木しげる 対主催
D-2 綾崎ハヤテ、泉こなた 対主催
※D-4 範馬勇次郎 強者限定マーダー
D-5 ジョセフ、三村 対主催
D-7 鷲巣巌 無差別マーダー
584Classical名無しさん:07/05/05 01:41 ID:cWK007Rg
E-4 吉良吉景 マーダーキラー?
E-5 セラス・ヴィクトリア 対主催
E-5 村雨良 無差別マーダー
E-5 志村新八、江戸川コナン 対主催
E-7 アミバ 無差別マーダー
G-3 坂田銀時 対主催
G-3 ラオウ 無差別マーダー
F-5 マリア 対主催
F-7 カズマ マーダーキラー
F-8 愚地独歩 マーダーキラー
F-8 ケンシロウ マーダーキラー
G-8 キュルケ 対主催
G-8 神楽 対主催
H-3 葉隠覚悟、ルイズ 対主催 vs 三影英介 無差別マーダー
H-4 桂ヒナギク、本郷猛 対主催
H-4 アレクサンド・アンデルセン 無差別マーダー

死者 杉村弘樹、毛利小五郎、市川、平山幸雄
未登場 灰原哀、範馬刃牙、才賀勝、高良みゆき、マーティン・ジグマール、葉隠散
※は時刻が黎明のもの
585Classical名無しさん:07/05/05 01:42 ID:cWK007Rg
マーダーリスト

DIO 無差別マーダー
ジャギ 無差別マーダー
ラオウ 無差別マーダー
アミバ 無差別マーダー
鷲巣巌 無差別マーダー
村雨良 無差別マーダー
三影英介 無差別マーダー
アーカード 無差別マーダー
アレクサンド・アンデルセン 無差別マーダー
白金 弱者限定マーダー
範馬勇次郎 強者限定マーダー
しろがね 奉仕マーダー(勝)
586Classical名無しさん:07/05/05 01:49 ID:x7L1dt0.
>>581
といってもキングクリムゾンは何が強いってエピタフと吹っ飛ばしのコンボだからなあ。
ザ・ワールドと比較すると基本性能も時間操作能力も劣っているけど、
(時間停止は時間操作中にボコれる分、時間吹っ飛ばしより強いと言って良いだろうし)
エピタフとの未来予知の組み合わせが鬼強い能力だと思うし。

1秒という制限でかなり限界が出来てるからそれで良いんじゃないか?
そもそもシルバースキン着ている時点で不意打ちの一撃程度じゃどうにもならんw
587Classical名無しさん:07/05/05 01:55 ID:fgTIDIdU
>>586
そういやそうだな。
「エピタフで完全回避」に目が行ってて、回避に費やせる時間が一秒しかないことを失念していた。
すまん、>>581は見なかったことにしてくれ
588Classical名無しさん:07/05/05 01:56 ID:eVhGUArs
>>585
まとめ乙。そういえばステルスいないんだよなー。
589Classical名無しさん:07/05/05 02:00 ID:RA7V0IN6
それよかスタンドディスクの共通制限をきっちり決めておいたほうがいいな。
一度の能力使用で200m全力疾走するくらい疲れるとか?
出して戦わせるのはどのくらい?
590Classical名無しさん:07/05/05 02:02 ID:fgTIDIdU
>>589
前スレでも挙がっていた「一定時間が経過するとDISCが排出されてしばらく能力を失う」を推しておきたい
591Classical名無しさん:07/05/05 03:33 ID:64Lkimic
 今さっき、鷲巣vs平山読んだ。

 ……ひでえ。w キングクリムゾン&シルバースキンのコンボ、極悪杉。ww
592Classical名無しさん:07/05/05 04:17 ID:dIN/HT/A
キングクリムゾンか…


DIOや承太郎と戦うときが来たら、扱いが難しくなるな…
593Classical名無しさん:07/05/05 12:33 ID:.qu9yKo2
そういや、ジグマール隊長と散の話、予約から4日すぎたが作者さんから何も言ってこないな。
594Classical名無しさん:07/05/05 13:55 ID:jqx.cXXA
さすがに4日も延長して沙汰はマズイっしょ。
とりあえず予約切れ扱いにして誰かが予約とるまで投下は構わないとすればいい。
595 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/05 19:49 ID:Ukx5Jux6
投下します
596戦う運命 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/05 19:49 ID:Ukx5Jux6
『周囲に人影なし』
「そうか……寂しいもんだな」
 カバンを担ぐ少年が、一人呟いていた。
 浅黒く鞣革のような皮に巌のような鍛え抜かれた肉体を持っているが、その顔は幼く、年の頃は十七といったところだった。
 第三者がこの光景を見ていれば、不審に思っただろう。
 少年、範馬刃牙は一人しかいなかった。なのに、「会話」をしている。
 彼はカバンを担ぎ直し、川沿いに土手を駆ける。
 街灯は点いているものの、人影は一切なく、精神の弱いものなら異常をきたすような、不気味な光景だった。
 もっとも彼、範馬刃牙にとって、この程度の不気味さなど意にも介しなかった。
 彼は十三という若さで、一人で山へ篭り夜叉猿という化け物と戦いへ向かったのだ。
 不気味と思う感情など、そのときにどこかへと置いてきた。
「本当に殺し合いなんて行われているのか? 徳川さんは戦いを見るのは好きだけど、殺し合いを楽しむような人とは……」
『だが、あの老人は少女を殺した!』
「……そうだよな。あの娘、死んじゃったんだよな。徳川さんのせいで」
 刃牙は光成に対して、少なからず感謝していた。
 父であるオーガ、範馬勇次郎を超えるため、自分は死闘を何度も経験する必要があると感じ、死闘の機会が多い地下闘技場への参加を光成へ願い、叶えてもらった。
 今の自分があるのは、光成のおかげだといって良い。
 その光成が、殺し合いを始めた。それが自分や親父、独歩や拳王と名乗った男だけの戦いなら分かる。
 「世界で一番強い」という男なら一度は憧れ、捨てる夢を今だ求め続ける馬鹿だからだ。
 そういった男は、死闘の果てに命を落としも恨み言はない。
 光成もそういう男たちの戦いが見たくて、地下闘技場トーナメントを開催したはずである。
 なのに……
「殺しちまったんだな。徳川さん」
 ひたすら冷たく、腹の底から響く声で確かめるように、もう一度告げる。
 女が死ぬのは、母親が勇次郎に殺されたときから、刃牙の望むことではない。
597戦う運命 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/05 19:50 ID:Ukx5Jux6
『応。我々がすることは、民間人の保護! そのためには覚悟と再会する必要がある!』
「分かっている、零。何度も聞かされたって」
 カバンから声が上がり、それが自然であるかのように刃牙は返事をする。
 彼は一時間ほど前に、零と名乗るカバンと出会った事を思い出していた。

 惨劇の後、刃牙は気がつくと、川原で佇んでいた。
 静かな音を立てて流れる川に向けていた視線を、星の瞬く夜空へ向ける。
 星が、自愛に満ちた母親をかたどっているように錯覚した。
 少し視線を下げると、繁華街が見える。だが人の気配はなく、寂れた感じを受けた。
 ため息をつき、光成が言った殺し合いをしてもらうという言葉に呆れながらデイバックをあさった。
 武器には興味は無い。適当なトレーニング機器が無いか探しているのだ。
 もっとも、無くても構わなかった。上は繁華街、重りになるものなど、いくらでもあるだろう。
 この殺し合いという異常な場でも、刃牙は父親を越える事を第一に考えていたのだ。
 しかし、中から見つけたのは、食料や地図など以外には紙があっただけだ。
 光成から自分に対するメッセージがあるのかと思い、強化外骨格「零」と書かれた紙を開いてみる。
 ドズンと、重い音が静かな川原に響いた。
 紙を開くと同時に現れたカバンに驚き、紙を上下を反対にしたり、上を見たり、下から覗いたりする。
 それは不気味に思っての行動ではなく、単純に好奇心から紙を隅々見ているように見えた。
 その彼に、カバンから声がかけられた。
『少年、現在の状況の報告をお願いする!』
 一瞬、刃牙はポカンとするが、気を取り直す。
「そうか、あんたが強化外骨格「零」というのか。俺は刃牙、よろしく」
『了解。刃牙は我々の名を知っているのか。覚悟の行方を知らぬか? 最初の場所で悪鬼に宣戦布告を行った男だ』
「ああ、あの人か。強そうだったな。ごめん、今は知らない」
『そうか……』
598Classical名無しさん:07/05/05 19:50 ID:EfYqaRP6
録画したStS見つつ支援!
599戦う運命 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/05 19:52 ID:Ukx5Jux6
 気落ちしている零に苦笑を浮かべる。随分と人間臭いカバンだと刃牙は思ったのだ。
「そう落ち込むなって。俺も、覚悟って奴に会いたいから、探すの協力するよ」
『まことか!!』
「ああ。その代わり、覚悟って奴との手合わせをお願いしてもらえないか?」
『何故だ? 回答を求む』
「親父を超える為さ……」
『父親?』
 零に対して頷く。彼の胸中にあるのは、世界最強の男に挑む、自分の母親。

 ――勇次郎! 私が相手だ!!

 彼女の、最初で最期の母親としての言葉が、刃牙の胸を焦がす。
 復讐の念と、最強の渇望を混ぜて胸に無理矢理秘めさせる。
 地下闘技場トーナメントを通じて、最強となるべく戦っているのか、勇次郎に対して復讐する為強くなっているのか、多少分からなくなっていた。
 それでも、母親の死は今の自分の原点といえる。ゆえに、彼は強くなり続ける事をやめない。
 例え、それが途方も無い道のりだとしても。
「ああ、地上最強の親父、範馬勇次郎を超える。それが今までの俺だし、これからの俺だ。
そのために戦い続ける必要がある」
『刃牙。父親を超えるのは男子の本懐! なんら恥じることなど無い!!』
「ありがとう。そろそろ行こうか。覚悟に会うんだろ?」
 言いながら、無造作にカバンを掴む。その刃牙の様子に、零は慌てる。
『待て! 我々の重さは……』
「よっと」
 刃牙は難なく、カバンを担ぎ上げた。
 その様子に、ほう……っと零は吐息をつく。
600戦う運命 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/05 19:53 ID:Ukx5Jux6
「これくらい重いほうが、ウェイトトレーニングとしては丁度良いさ。いや、軽いくらいかな?」
『ふむ。随分鍛えているようだ。これなら、覚悟ともいい勝負になるかもしれない』
「もちろん、そのつもりさ。そして、勝つのも俺だ」
『言うではないか。覚悟との再会、楽しみが増えた』
 刃牙は笑みを浮かべて、川原を駆けた。
 一人と四千の英霊が宿ったカバンは、宵闇に包まれた道を何の恐れも無く進み続ける。

 現在、その一人と四千の英霊は、コンクリートで舗装された道を下っていた。
 零の探知能力を頼みに、覚悟を探しているのである。
 しかし、零は探知能力が下がっているらしく、数百メートル単位でしか人を察知できないらしい。
『この謎、いずれ解き明かす必要がある。強化外骨格のときにも影響が出なければ良いが……』
「そうか。それにしても人が見つからないな」
 だが刃牙は、ランニングには丁度良いと言いながら、街を全速力で駆けていく。
 無防備だが、その姿は例え襲われても返り討ちにするという考えゆえであった。
 やがて、病院を前にし、零と刃牙が会話するため止まる。
 八十キロはあるカバンを担いで全力疾走したというのに、刃牙は涼しげな顔をしていた。
『随分鍛えられているな。その肉体、どういった経路で手に入れた?』
「十三まで親父とお袋に鍛えられたのさ。その後は自己流」
『……覚悟も、十三までは兄と一緒に父親に鍛えられていた』
「へぇ……兄貴がいるところまで一緒か」
『だがその兄に、覚悟は父親を殺された。散は悪鬼となったのだ』
「嫌なところまで似ているな。俺は、母親を親父に殺されたよ。
もっとも、親父は最初から鬼だったけどね」
 苦笑をしながら、零の語る覚悟は本当に自分に似ていると思った。
 それは、運命を感じるほどに。
601戦う運命 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/05 19:54 ID:Ukx5Jux6
(それほど似ていて強いなら、戦い甲斐がある。地下闘技場トーナメントで優勝した直後はもう戦いたくないと思ったのに……)
 一瞬、自らの体が異常な熱を発し、周囲の空間を歪ませた錯覚に陥った。
 戦いの予感に、刃牙は比喩でなく身体を熱くする。
(もう、戦いたくなった)
 そう、刃牙は覚悟に、戦う運命を感じたのだ。
 退屈を紛らわせる存在として鍛えられた刃牙。無力な人を守るために鍛えられた覚悟。
 鍛えられた目的は違うが、鋼の肉体を持つ二人。神が仕組んだのか、出会わないはずの二人に接点ができた。
 二人の戦士が出会うとき、もたらすのは死闘か、共闘か。
 それは、天に煌く星しか知らなかった。
602戦う運命 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/05 19:56 ID:Ukx5Jux6


【F-4、病院前/1日目・深夜】
【範馬刃牙@グラップラー刃牙】
[状態]:健康
[装備]:強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメ。
[道具]:支給品一式。未確認支給品0〜2。
[思考]
1:親父を超える。
2:覚悟を見つけ、勝負を挑む。
3:強者と戦う。ただしゲームには乗らない。
※地下トーナメント優勝直後。ただしトーナメント戦で受けた傷は治っている。
603戦う運命 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/05 19:56 ID:Ukx5Jux6
投下終了。
誤字や矛盾の指摘をお願いします。
604Classical名無しさん:07/05/05 21:14 ID:VaUPoPv.
投下乙!

文章から、バキ原作の雰囲気が伝わってきてGJ! みんな文章上手いなあ……
刃牙と覚悟の因縁ができたか。
しかし、バキに零って鬼に金棒だなw
605Classical名無しさん:07/05/05 21:14 ID:kIQ5yRf.
>>603
投下乙
バキにえらいもん支給されたな、覚悟がもし死ねば代わりに装備しそうだ。

後マリア乙
606Classical名無しさん:07/05/05 21:17 ID:.84FyjXU
そういえば市川と平山、誰も追悼してないね
俺も知らないキャラだから何とも言えないんだけど
607Classical名無しさん:07/05/05 21:24 ID:n/uBwMUU
平山は原作でも鷲巣様に殺られたし、あるべき姿としかw
本物の吸血鬼に血を吸い尽くされるのもありかなと思ってはいたが。
608Classical名無しさん:07/05/05 21:59 ID:QAcZs3qc
>>603
GJ!
バキがバキっぽい……! そのことにまず感動した
確かに覚悟とバキの境遇って似てるんだな、出会うときが楽しみだ

>>607
鷲巣様にマリリン・マンソンのDISCを支給して血をボッシュートして殺そうかと思ってた俺ガイル
609 ◆BRxsUzTn5A :07/05/05 22:19 ID:4zxM8Fdw
自分が書いたSSの気になる点の修正案をしたらばに投下しました。
とっくに時間が経ってて申し訳ない。
610Classical名無しさん:07/05/05 22:22 ID:.qu9yKo2
>>603
GJ!
刃牙と覚悟が遭遇するのは楽しみだが、覚悟はマーダーでも相当危険な部類に入る三影と戦闘中なんだよなぁ。あの二人ならどっちか死ぬまでやりあいそうだし

>>608
何かダービー兄と同じ賭やって(鷲巣は不利な方を選ぶ)イカサマなしで勝って平山の血をボッシュートする絵が浮かんだ
611Classical名無しさん:07/05/05 22:54 ID:wk/C8hcc
>>609
乙、自分の言ったところが半分直ってて嬉しい。でも、改行は直ってない
612 ◆BRxsUzTn5A :07/05/05 23:12 ID:4zxM8Fdw
>>611
すみませぬ
メモ帳から直接貼ってすぐに書き込みしてたからな
次からは確認するよう心がけます
613Classical名無しさん:07/05/06 01:19 ID:yU8JQRnA
やべww何この漫画キャラバトルロワイヤルwwすんげ〜おもしれ〜ww
さっき偶然ここをみつけました
俺には文才がないからみてるだけしかできないけれど
すんげ〜楽しみにしてるor応援してます
がんばってくださいww
614Classical名無しさん:07/05/06 01:21 ID:WfJXEt9.
>>613
そう思ってくれるのは嬉しいが、sageようぜ。
ロワスレをageるやつは荒らしだという不文律みてねえなもんがあるんだから。
615Classical名無しさん:07/05/06 02:18 ID:ODtf9R7M
『戦う運命』、GJ!

細かい所(※)が少々気になったが、
ま、それはまとめスレに載る時にでも直せば済むだろ。

(※)
1.英霊の数。原作では三千じゃなかったっけ? 原作の終了以降、新たな英霊を取り込んだ、
 とも解釈できるが。
2.零の重量。確か90kgだったと思うが……。
616Classical名無しさん:07/05/06 10:29 ID:y5Il3dKc
まとめサイトの地図なんだが参加者の現在地も表記してもらえないだろうか?
いちいちSS一覧へもどって確認するのがタイヘンなもので。
617Classical名無しさん:07/05/06 14:06 ID:MjMypvWM
>>616
wikiなんだから自分で編集しちゃいなYO!
618Classical名無しさん:07/05/06 14:09 ID:cpDlGeu2
>>617
そうは言うがな大佐、地図の編集はある程度のスキルが無いとしんどいぜ
誰か画像の編集ができる人頼む
619Classical名無しさん:07/05/06 14:23 ID:MjMypvWM
>>618
下に表つくって新作投下されるごとに編集すればいいんじゃないの?
地図を直接弄るのは難しいけどそれなら出来ないことは無いと思うぜ。
620Classical名無しさん:07/05/06 14:41 ID:cpDlGeu2
>>619
把握。やってみる
621620:07/05/06 15:27 ID:cpDlGeu2
やってみた。

http://www32.atwiki.jp/comicroyale/?page=%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%97

ミスとかあったら各自訂正頼む
622Classical名無しさん:07/05/06 15:47 ID:WfJXEt9.
>>621
乙&GJ!!

いい仕事してくれたぜ。
623Classical名無しさん:07/05/06 15:57 ID:e7sdfDeU
>>533
本投下はしないのですか?
624戦う運命 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/06 16:33 ID:OqaSaBjw
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/comic/4287/1177172548/77

「戦う運命」の修正部を投下しました。
指摘部分はこちらのミスです。指摘感謝します。

上記を、>>600と代えてください。

追伸、ジョジョ面白い。
625Classical名無しさん:07/05/06 17:00 ID:g3cLAE5g
俺もMAPに直接書きこむタイプでやってみた。
赤で塗りつぶされているのが死亡キャラ。
赤枠がマーダー、黄色枠はマーダーキラー、もしくは様子見キャラ。
ところどころフォントが違うのは仕様。

ttp://www.imgup.org/iup377086.gif.html
626 ◆DO.TxVZRzg :07/05/06 20:00 ID:XJGvb.Sw
葉隠散、マリア
投下します。


タイトルは「繰り出す螺旋の技、その極意は温度差の魔拳」です。
627 ◆DO.TxVZRzg :07/05/06 20:00 ID:XJGvb.Sw
「つまり、葉隠さんはガラン城と言うところの城主で、人間を超えた存在であって、死滅寸前の地球からやってきたと言う事ですか?」
「その通りだマリアよ。それと私のことは散(はらら)と呼ぶがいい」
「へぇ……そうなんですか。きっと神様はいますよ、散さん」

 先程出会ったばかりの女に私は簡単な自己紹介をした。
 私が人間を超えた不退転の存在である事、ガラン城の城主である事、ガラン城の存在目的は人類を完殺し、地球を救済する事。
一通りだが、この散という人間を説明するのに十分な内容を話したのだ。
しかし、この誠実で真摯な言葉に、マリアの反応は冷たい。それどころか、この散に対し、生暖かい視線を送ってくる。

「ここで会ったのも何かの縁ですし、よいお医者さんを紹介してあげますね」
「待て、よい医者とはどういう意味だ」
「さて、私はナギを探さないといけませんわ」

 マリアは私を無視して、ナギという知人の捜索に向かおうとする。
 それにしても、私は何か変なことを言ったのだろうか。なぜか、無礼至極な対応を取られているではないか。
この女、常時ならとても赦す気にはなれぬ。甚だ気分が悪いが、ここは散の目的達成のために赦しておくことにする。

「まて、マリアよ。人探しなら、この散も協力するぞ」
「あら? 散さんも協力してくれるんですか? でも、女だけだとかえって危ないですし……」
「私は人間を超えた存在だと言っただろう、厳密に言えば女ではない」
「そうですか……もしかして、女装が趣味の方ですか? 私は趣味で人を否定したりしませんけど……」
「違う!」

 明らかに、マリアは私の言う事を信じていない。
 このような屈辱は、この散、生まれ出でて初めて受ける。
 本来ならば螺旋一発で死滅させるべきところだが、今はまだ殺さない。
 そう、この散の目的のために、この女は生かしておく。
628Classical名無しさん:07/05/06 20:00 ID:WfJXEt9.
支援といきますか
629Classical名無しさん:07/05/06 20:01 ID:XJGvb.Sw

 散の目的とはこの死合で優雅な勝利を収めることだ。
 私にとって、必勝は当然のありさまであり、覚悟を含む他の参加者すべてを屠ることなぞ造作もない。
だからこそ、下賎な勝利ではなく、優雅な勝利が必要となる。そう、王となる器にふさわしい、優美な勝利こそが。
 そのために、私はかの老人の意図を覆す勝利を狙っている。あの老人の考えの細かいところはまだ分からぬ。
だが、雑把に言えば、強者が弱者を屠る世界をこの場に作り出すということ。
 ならば、この散。その考えを覆して見せよう。弱者が強者どもを屠る世界を、あの老人に見せてやろう。
そして、たった一人の勝者ではなく、複数の勝者どもを見せてやろうではないか。
 老人に己が目的が決して達成できぬものであると自覚させることこそが、優美な勝利に他ならない。
 王となる私が、弱者どもを屠るわけにも行かぬし、この方法ならば貴い戦いを見せることもできる。
 だからこそ、マリア。お前は殺さぬ。
 だが、今のような無礼な態度を取り続けてみろ、この戦いに勝利した暁にはお前を八つ裂きにしてくれるぞ。
王を侮辱した愚か者としてな。

「あのぉ……そろそろ、出発しませんか?」
「ふん、そうだな。ところで、マリアよ。捜索するのは一人でよいのか?」
「いえ、最優先の子は一人ですが、最終的には三千院ナギ、桂ヒナギク、綾崎ハヤテの三人を探しています。
最優先の子は三千院ナギですね。この子はとても体が弱いから心配で……」

 つまり、三千院ナギをすぐに探し出せばよいのだな。
 その程度のこと、散にとっては造作もない。

「では、マリア。その三人を今すぐ捜索するぞ! 散について参れ」
「はい、散さん。いいえ、散君って言ったほうがいいかしら?」

 この散に君付けだと。まぁいい、マリアの無礼は今に始まった話ではない。
630Classical名無しさん:07/05/06 20:01 ID:WfJXEt9.
      
631 ◆DO.TxVZRzg :07/05/06 20:02 ID:XJGvb.Sw

「好きに呼べ」
「では、散君。あのぉ、さっき言った子の中に散君と同じような子がいて、
ハヤテ君って言うんですけど、散君みたいに女顔の男の子なんですよ。だから、趣味が合うんじゃないかと……」
「私は男でも女でもない」
「そんな非科学的な否定なんかしなくても、私は構いませんのに……」

 この散、此れ程までの侮辱を受けたのは生来初めて。
 やはり、マリアには螺旋を見せてやる必要があるようだ。

「それほど言うならマリアよ。この散が不退転の存在であることの証を見せてやろう」

 零式防衛術、奥義『螺旋』の構えを取る。

「螺・螺・螺・螺・…… 「あ、見てください。きれいな花火」 ……螺旋!!」

 アスファルトで舗装された道路に、散の螺旋が極まる。
 螺旋により与えられた振動は、粘土質の地面を抉り取り、爆発させ、内部から破壊を起こす。
少々、威力が弱い気もするが、完璧だ。我が螺旋は優美で隙がない。
 だが、当のマリアはと言うと……

「散君、今の花火綺麗でしたよね。見ましたか?」
「……」

 もはや、この散。マリアに対しては何も言う事がない。
 この死合が終わったあと、我が最終滅技で殺してくれよう。
632 ◆DO.TxVZRzg :07/05/06 20:02 ID:XJGvb.Sw
【F-4〜E-4に移動中 S7付近/1日目・黎明】
【マリア@ハヤテのごとく】
[状態]:健康
[装備]:本部の鎖鎌@グラップラー刃牙
[道具]:支給品一式、犯人追跡メガネ&発信器×3@名探偵コナン
[思考]基本:殺し合いはしない
  1:散と一緒にナギ、ハヤテ、ヒナギクの捜索
  2:黒髪の少年(葉隠覚悟)を探す
  3:範馬勇次郎と金髪の男(ラオウ)を警戒
  4:散の事を女装した男だと思っています。

【葉隠散@覚悟のススメ】
[状態]:健康
[装備]:零式鉄球聖衣形態
[道具]:支給品一式、ランダム支給品内容、個数ともに不明(本人も確認してない)
[思考]基本:殺し合いはしない
  1:マリアの知人を捜索する。
  2:強者は倒す、弱者は生かす。ただし、この死合が終わったあとには殺す者もいる。
  3:この死合で優雅な勝利を収める。

※マリアが見た花火は、勇次郎の打ち上げたものです。
633Classical名無しさん:07/05/06 20:03 ID:WfJXEt9.
       
634Classical名無しさん:07/05/06 20:04 ID:XJGvb.Sw
以上です。
短い内容ですが、よろしくお願いします。
635Classical名無しさん:07/05/06 20:04 ID:WfJXEt9.
>>632
意外な展開だ!! GJ!!
いやあ、何というか知らないって素敵なことね……。
こりゃまたいいコンビが出来上がったもんだぜ。
636Classical名無しさん:07/05/06 20:09 ID:lRPP6SWM
マリア生きてた 
GJ!!!!!投下乙
散のキャラ立てが上手です。
637Classical名無しさん:07/05/06 20:16 ID:OqaSaBjw
GJ!
散様w 何やってんのww
でもその美しさ、気高さ相変わらずで嬉しい限り。
638Classical名無しさん:07/05/06 20:35 ID:CrNY8eTs
GJ!
さすがはマリアさん……散君w
いつのまにかヌルいハヤテワールドに巻き込まれて、まぁww
639 ◆DO.TxVZRzg :07/05/06 20:44 ID:nuVG/Aoo
>>632 修正
【F-4〜E-4に移動中 S7付近/1日目・黎明】
【マリア@ハヤテのごとく】
[状態]:健康
[装備]:本部の鎖鎌@グラップラー刃牙
[道具]:支給品一式、犯人追跡メガネ&発信器×3@名探偵コナン
[思考]基本:殺し合いはしない
  1:散と一緒にナギ、ハヤテ、ヒナギクの捜索
  2:黒髪の少年(葉隠覚悟)を探す
  3:範馬勇次郎と金髪の男(ラオウ)を警戒
  4:散の事を女装した男だと思っています。

【葉隠散@覚悟のススメ】
[状態]:健康
[装備]:零式鉄球聖衣形態
[道具]:支給品一式、ランダム支給品内容、個数ともに不明(本人も確認してない)
[思考]基本:主催者の思惑を覆す。
  1:マリアの知人を捜索する。
  2:強者は殺す、弱者は生かす。ただし、この死合が終わったあとには殺す者もいる。
  3:この死合で優雅な勝利を収める。

※マリアが見た花火は、勇次郎の打ち上げたものです。
640Classical名無しさん:07/05/06 20:51 ID:foYD7XVU
>>625
超GJ!文字が大きい方が見やすいっぽい。
>>632
投下乙。新スタンス「マーダーコントローラー」www
641Classical名無しさん:07/05/06 22:34 ID:3u802ri6
>>632
投下乙。マリアさんsugeeeeeeee!
だが散様もこのままじゃ終わらんだろうな。螺旋やら超吸着掌打やら北斗神拳並に殺傷率高いのばかりだし
642Classical名無しさん:07/05/06 22:40 ID:OqaSaBjw
そういや近くを範馬親子に挟まれているのな。

……何とかなりそうなのが散様の怖いところだが。
643Classical名無しさん:07/05/06 22:47 ID:1t0BL1WI
ていうか散は「様」付けがデフォなんだなw
644Classical名無しさん:07/05/06 22:50 ID:nuVG/Aoo
カリスマ性で言ったら、DIO様にも匹敵しますしね……
その上、戦闘力も引けを取らないと。ロワ内最強候補の一人かと。
645Classical名無しさん:07/05/07 00:06 ID:lkhx5Qb6
今のところ、死亡者は一般人からしか出ていない。
最初に脱落する逸脱人は誰になるんだろうな……?
646 ◆7jHdbxmvfI :07/05/07 01:06 ID:VQpp.urE
投下します。
647TWINS GIRLS ◆7jHdbxmvfI :07/05/07 01:07 ID:VQpp.urE
美しい満月の光の中、高良みゆきは歩いていた。
片手には支給された短機関銃を持ち、恐怖に怯えながらも必死で歩いていた。
銃を持つ手は小刻みに震えている。

 殺し合い……酷いですわ。いきなり人を殺せだなんて。早くこなたさん達に会いたいです。
 私達はこんな事……殺し合いなんてしたくありません。普通に皆さんといつもどおりお話したいのに。
 それなのにどうしてこんな事に……

みゆきは何度も自問する。
でも分からない。普通に生活していただけなのに、それなのに殺し合いに巻き込まれるなんて。
考えれば考えるだけ分からなくなる。混乱してしまう。
それでも、とにかく足だけは前へと歩き続けた。
648TWINS GIRLS ◆7jHdbxmvfI :07/05/07 01:08 ID:VQpp.urE
「こなたさん達は無事ですよね。私でも無事なんですもの、こなたさんやかがみさんもきっと……」

自然と口からこぼれるのは、友の安否を気遣う言葉。
友を探し彷徨い、しばらくの時間を歩き続けた。
すると遂に、光りが見えた。
月明かりとは違う、人口で作られた、自分の見慣れた灯りで照らされた駅の灯りが目の前に広がっていた。

「駅です。……良かった。早く中に入りましょう」

みゆきは足早に駅の中に入っていく。
とにかく外には止まりたくないという気持ちと、友がいるかもしれないという期待が自然と疲れを吹き飛ばしていた。


   ☆   ☆   ☆
649TWINS GIRLS ◆7jHdbxmvfI :07/05/07 01:09 ID:VQpp.urE
蛍光灯が駅の狭い待合室を薄暗く照らす。
その狭い部屋の中で灰原哀はただ一人、椅子に座り考え込んでいた。
少年探偵団の五人で普通に登校していたら突然自分の知らない所に連れられ、更に気付いたら知らない駅の中。
この状況にはさすがの灰原も戸惑いを隠せずにいる。

 これはいったいどういうこと?あの組織……にしてはやり方が妙ね。多分違うわ。突然瞬間移動とかさせるなんて組織には出来るわけ無いもの。
 でもそれなら誰が……あの老人は何者?……とにかく落ち着いて、状況を把握しないと駄目ね。

灰原は必死で高鳴る鼓動を押さえつけ、状況の確認を行う。
まずはいつ電車が来るかの確認。
時刻表に目を向けると、深夜0時から6時はまでは一時間置きに一つ。
6時から深夜0時までは30分置きに一つという割合であるのがすぐに確認出来る。
今が0時10分、次の電車の到着まではジャスト50分というところだ。

 電車が来る前に支給品の確認ね。

灰原はバッグを開け、中の支給品を確認。
すると中には、地図やら名簿といった一般の物のほかに明らかに異質な雰囲気がする紙が二つ。

 これが支給品かしら?書いてあるのは……『ルイズ・フランソワーズ……長いわね。とにかく開いてみましょう。

長々と書かれた説明を無視し、紙を開く。すると中から出たのは黒い杖だった。
細く長いだけのただの杖。

「なんなのいったい?……明らかに紙の大きさと合ってないわ。どうなってるの?」

さすがの灰原もこの現象には目を丸くする。
阿笠博士の発明品にもこんな物は無い。
灰原の恐る恐る次の紙も開く。
すると出てきた物は一冊の冊子だった。
650Classical名無しさん:07/05/07 01:10 ID:UCfASX3g
しえn
651TWINS GIRLS ◆7jHdbxmvfI :07/05/07 01:10 ID:VQpp.urE
「次は本。それも分厚い………考えるだけ無駄ね。この紙の研究もしたいところだけど、まずは本の方を確認しておかないと」

灰原は支給された本を開く。
中には『参加者顔写真&詳細プロフィール付き名簿』と書かれている。

 えっと……私や工藤君まで乗ってるのね……でも本名と正体が載ってないのは助かるわ。

真っ先に自分とコナンの項をチェックするが、アポトキシンや幼児化に関連する記載が無いことに安堵する。
そして一度ページを最初に戻し、頭から読み進める。
1番の赤木しげるに始まり、60番の柊つかさに終わるまで、一番重要な性格のところを順番に目を通す。

 ……好戦的な人物はかなり多いわね。子供の姿の私でも確実に殺しに来る人が多すぎるわ。組織の人間より厄介な人が多すぎる。
 でもこのアンデルセンはキリスト教徒のふりをすれば利用できるわ。それに最初に爆破に関わった覚悟って人も性格の限りじゃ大丈夫ね。
 でも……これって本当かしら?いくらなんでも吸血鬼とかありえるわけがないわ。まさか嘘……?それとも……

読んだ結果いろいろな事実が分かるのだが、それでも謎は残る。
いくつかあった吸血鬼の記述には信用出来ない点が多すぎる。100%信が置けない可能性もある。
しかし支給品に嘘記述を書くメリットは無い。何より自分やコナン、小五郎や服部の記述には嘘偽りは無い。

652TWINS GIRLS ◆7jHdbxmvfI :07/05/07 01:11 ID:VQpp.urE
どれぐらい時間が経っただろうかという時。

ガラガラ

熟孝を重ねていたら不意に、ドアがこすれる音がする。
思わず視線をドアに向けるとそこには、

「あっ、始めまして。高良みゆきと申します」

眼鏡を掛けた女の子が自分の姿を確認すると丁寧にお辞儀をする。
持っている拳銃は銃口を地面に向けて、引き金には指が掛かっていないことを確認出来た。目にも殺意は感じ取れない。
そして何より女の子の顔は、名前は、さっき自分が見た物と完全に一致していた。

 殺意が無い……わよね。普通の女の子。礼儀正しく心優しいと記載されていたから内容に間違いは無いわ。ここは落ち着いて……

「こんばんわ。灰原哀よ」

丁寧に挨拶を返す。
怯えさせないように微笑を浮かべて。
653TWINS GIRLS ◆7jHdbxmvfI :07/05/07 01:12 ID:VQpp.urE
【A-4 S6駅待合室 一日目 深夜】

【灰原哀@名探偵コナン】
{状態}健康
{装備}ルイズの杖@ゼロの使い魔
{道具}支給品一式 参加者顔写真&詳細プロフィール付き名簿
{思考・状況}
基本行動方針 殺し合いには乗らずに、脱出の方法を考える。
1:とりあえずみゆきと情報交換
2:コナン、小五郎、平次と合流

{備考}
参加者顔写真&詳細プロフィール付き名簿は参加者全員の性格や特技などが細かく記載されています。
灰原は全てに目を通しました。
結果何名かを危険人物と認識しています。
アンデルセンと遭遇した際にはキリスト教徒のふりをすると考えています。
最初の爆発に関わった葉隠覚悟は危険では無いと考えています。
他の詳細な記述は次の書き手に一任します。

【高良みゆき@らき☆すた】
{状態}健康
{装備}イングラムM10(32/32)@バトルロワイアル
{道具}支給品一式 イングラムM10の予備マガジン10
{思考・状況}
基本行動方針 絶対に人を殺さない
1:灰原哀さんとコミュニケーションを取る。
2:こなたさん達(こなた、かがみ、つかさ)に会いたい
654 ◆7jHdbxmvfI :07/05/07 01:14 ID:VQpp.urE
投下完了

>>650
支援感謝します。
感想などお願いします。
655Classical名無しさん:07/05/07 01:22 ID:UCfASX3g
>>654
投下乙。書けるキャラの守備範囲広いっすねw
灰原は書きにくいキャラだと思ったけど上手く書けてるし。
支給品の詳細名簿はあまり詳しすぎるとアウトっぽいけど。
656Classical名無しさん:07/05/07 01:28 ID:fFuZnplQ
投下乙です
ちょっとしたことだけど、
詳細名簿は結構詳しく書いてあるようなのに、コナンと灰原の正体について書いてないのは変じゃないかなと思った
657Classical名無しさん:07/05/07 01:29 ID:AsDBkw66
>>654
投下乙!
難しいキャラを上手くかけていると思いました。
支給品の詳細名簿は他ロワでも支給されてたんでOKだと思います。
658 ◆7jHdbxmvfI :07/05/07 01:42 ID:VQpp.urE
>>656
疑問ありがとうございます。お答えします。
詳細プロフィールのコナンと灰原の幼児化の兼ですが、自分の考えでは「殺し合いに直接関わらない過去の出来事」
についてまでは過剰に細かくは記載されて無い方がロワの支給品としては自然と考えて今回のようにしました。
659Classical名無しさん:07/05/07 02:11 ID:FZvrlUCM
>>656
>>658

なるほど、そういう事か。
俺は「主催者は参加者の全てを必ずしも把握しているわけではない」
という事を示す伏線かと思ったが。
660Classical名無しさん:07/05/07 02:21 ID:Tcaxz81Q
>>659
そういう取り方もありなんじゃない?
今後の転がし方次第でそういう話の流れになることもありうるし
661Classical名無しさん:07/05/07 02:36 ID:PUeq37Jg
ある意味、超アタリの支給品か……こんなのが逸般人に渡ったら、凄い事になりそうだな。
知能からして、結構使いこなしそうだが……社交性からすれば、あまり使いこなしそうになくも感じる辺りが微妙か。
662Classical名無しさん:07/05/07 02:48 ID:PUeq37Jg
wikiで現在位置を作成しました。
ページ編集から、「HTML手書きエディタ」を選択し、編集を行っていただくと画像編集ソフトなしで編集できるようになっています。
HTMLタグなんて直接いじれないよぉ、なんて人も数値をいじるだけなんで楽だと思います。

<!--アカギ-->
<div style="position:absolute; border:none; left:520px; top:290px;">
<a href="/comicroyale/pages/78.html" title="赤木しげる">
<img src="/comicroyale/pub/img/akagi_u.gif">
</a>
</div>

って、なっている所を弄ると、アカギの設定が変更できます。
・ leftとtopの値をいじればアカギが移動します。
・ hrefってなってるところを弄れば、アカギをクリックしたときの移動先が変化します。(アカギ登場の最新話にリンクしてあります)
・ akagi_u.gifをakagi_m.gifに変えれば、アカギがマーダーに変わります。マーダーではないが、危険人物というときは、akagi_o.gifと変えてください。


現時点の問題点。
・ 今のところ、リンクはアカギのみ設定してあって、ほかのキャラはリンクが貼られていません。
  → 誰か、アカギ以外のキャラのリンクを張ってください。
・ 今のところ、一部のキャラのみポップアップメッセージが表示されます。
 (アカギの上にマウスを持っていくと、赤木しげると表示されます。ここに簡単な状態表なんかあると便利かも?)
  → 誰か、全員のキャラにポップアップメッセージを表示してくださると助かります。
・ 今のところ、一部のブラウザのみでしか、正常に表示されません。理由は分かりませんが、FireFoxで見ると、キャラの位置がずれてしまいます。
 とりあえず、FireFoxに対応したページは、今度の土日に自分が造ろうと思っています。
・ 位置が正確かどうか、保障はありません。
  → 間違ってたら、上の操作で直してください。

そんな感じです。
663Classical名無しさん:07/05/07 13:25 ID:BodhDQIU
序盤だからか、強キャラが意外なほど活躍してないな。
格下にまんまと逃げられたラオウ。
格下に重傷を負わされたDIO、アーカード。
格下に嘗められてる散。
こいつらに活躍の機会は来るのだろうか……
664Classical名無しさん:07/05/07 13:49 ID:syHx9g0s
>>663
お前さんはいったい何を言ってるんだ
初登場話で獲物を取り逃がすマーダーなんてごまんといるだろ
665Classical名無しさん:07/05/07 14:02 ID:FiMtNnUg
強キャラだからと無駄にズガンさせるよりロワにやさしい
つまりDIOさまはロワにやさしい
666Classical名無しさん:07/05/07 14:41 ID:ZI22W1uI
ズガンでも人が死ぬほうがロワに優しいよ。
殺せないマーダーなんて唯のサラマンダーだッ!

っつうことで頑張れマーダー。
667Classical名無しさん:07/05/07 15:00 ID:d9cRH6YA
つまり初回から拡声器持つのががロワに対する最大の優しさだ、というわけだな
668Classical名無しさん:07/05/07 17:41 ID:UcHaLs1w
第二次スパロワのギンガナム然り、アニロワのセイバー然り、強マーダーでも初回で敵逃す奴は結構多いじゃない
669Classical名無しさん:07/05/07 17:55 ID:ZwEUX6iU
最初から目立つと逆に死ぬ
目立たず密かに少しづつスコアをあげていくのが吉
670Classical名無しさん:07/05/07 18:13 ID:GG3f94L.
誰だかは知らないが、現在位置マップ作ってくれた職人GJ
671Classical名無しさん:07/05/07 18:52 ID:h.D9cS5A
>>670
志村ー、過去ログ過去ログ!

というわけで>>662超GJ
672Classical名無しさん:07/05/07 18:56 ID:hFaJjJy6
こういう地味だが重要な支援がロワは成功する法則。
ということで>>662、GJ!
そして、流れをつくってくれた>>616もGJ!
673 ◆L9juq0uMuo :07/05/07 23:50 ID:UcHaLs1w
私事で大変申し訳ないんですが、才賀勝を二日ないしは一日程延長させてもらってよろしいでしょうか?
674Classical名無しさん:07/05/08 19:07 ID:YsQUHA3k
かなり返信遅くなったけど、自分は大丈夫と思います。
675Classical名無しさん:07/05/08 22:52 ID:6Pyjl3tU
地図乙
こうしてみると、南側、特に南西のほうはかなりの安全地帯だな。
676Classical名無しさん:07/05/08 23:00 ID:9lrtGyQw
何気に月曜に予約ラッシュがあったんだな期待

ところで川田とつかさの話はいつ本投下されるのん?
677Classical名無しさん:07/05/08 23:08 ID:6Pyjl3tU
一時投下スレには落ちてるし、特に問題がなければ誰かが転載って形でもいいんじゃないだろうか……
678Classical名無しさん:07/05/08 23:10 ID:RhN3nt9E
予約情報の整理をしました

【5/7(月)〜5/10(木)の予約】
◆33iayeGo/Y氏:00:22:18 マーティン・ジグマール、セラス・ヴィクトリア
◆d4asqdtPw2氏:01:11:30 範馬刃牙 坂田銀時
◆ozOtJW9BFA氏:05:11:51 アレクサンド・アンデルセン、桂ヒナギク、本郷猛
◆7jHdbxmvfI氏:14:34:25 葉隠覚悟、三影英介、ルイズ、ラオウ

1〜2日延長申請中【5/5(土)〜5/8(火)の予約】
◆L9juq0uMuo氏:22:54:02 才賀勝

予約の期限切れ詳細求む【5/5(土)〜5/8(火)の予約】
◆qvvXwosbJA氏:19:39:23 こなた&ハヤテ
679Classical名無しさん:07/05/08 23:12 ID:YsQUHA3k
川田とつかさはもし書き手来ない場合どうする?
誰かが代理投下で通すか、それとも破棄扱いか。作品内容には問題無いと思うから前者にしたいが。

>>675
ジョゼフと三村最悪マーダーにサンドイッチと悲惨だな。
神楽の方は拡声器はあるけど、周りを見る限りじゃ第一放送は乗り切れそう。
680Classical名無しさん:07/05/08 23:44 ID:6Pyjl3tU
>>679
とりあえず、一日ぐらい待ってみよう。書き手から何か意思表明があるかもしれん。
なければ……両方ともキャラ知らないから、何も言えん。
681 ◆qvvXwosbJA :07/05/09 00:40 ID:FifuFQlw
すいません、もうちょっとかかりそう……今日いっぱいまで延長お願いします
682Classical名無しさん:07/05/09 01:48 ID:SGcDQOD.
がんばだぜ〜。
683Classical名無しさん:07/05/09 02:04 ID:HARna3EU
そういえば、
禁止エリアの説明などがOPで行われていない件について

1.OPの作者さんにルールについての説明を加筆してもらう。
2.第一放送時にバトルロワイヤルの詳細説明を行う。
3.支給品にルールブックを追加する。
4.ルールは各キャラの脳内に最初から刷り込んである。

2が現実的ではある。
684 ◆rnjkXI1h76 :07/05/09 09:13 ID:MVbOeGVI
川田、つかさを投下した者です。連絡が遅れて申し訳ありません。
現在私用によりしばらくの間PCには触れられない状態でして、どなたかよろしければ代理で本投下をお願いします。
685Classical名無しさん:07/05/09 17:55 ID:ZDaDOaE.
では、俺が代理投下しようか

63 :鳥の歌に導かれて ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:10:58 ID:fufrbot2
「どうして……どうしてこんなことになっちゃったのかな……?」
 エリアF-5に位置する6階建てマンションのとある一室。そこに柊つかさはいた。
 部屋の明かりは点いておらず、つかさも部屋の隅で体育座りをしながらじっとしていた。
 ――いや。『じっとしていた』というのはさすがに間違いかもしれない。なぜなら彼女の体はまりで貧乏ゆすりをしているかのように小刻みに震えているのだから。
 もちろん、その理由は恐怖によるものだ。
 今しがた自身がそう呟いたように、どうしてこのようなことになってしまったのかつかさには理解できなかった。
 いきなり見ず知らずの場所にいて、いきなり殺し合いを強要され、さらには目の前で一人の少女が頭を吹っ飛ばされて死んだ……
 悪い夢なら早く覚めて欲しいとつかさは思う。しかし、自身のいる空間に漂う空気と首に付けられている首輪のひやりとした金属独特の感触が彼女にこれが夢ではないことを告げていた。
 ――恐怖でさらに体が震える。
「お姉ちゃん……こなちゃん……ゆきちゃん…………」
 自身と同じくこの殺し合いに参加させられている姉や友達の名を口にしながら、つかさは両手にぐっと力をこめて、ただでさえ体育座りという体勢で丸くなっていた体を丸くする。
 その様子はさながら外敵から身を守ろうとするダンゴムシやアルマジロのようだ。

 本当ならすぐにでも行動を開始して姉たちを見つけ出して合流したかった。
 ――しかし、今まで体験したことがない絶対的な恐怖の前にはただの一般人に過ぎないつかさはあまりにも無力であった。肉体的にも、精神的にも。
 さらに、現代人の一般的な連絡手段であり、こういう状況における頼みの綱である携帯電話も先ほどからずっと『圏外』という二文字を液晶画面に映し出し彼女の精神に追い討ちを掛けていた。


 心が恐怖で押しつぶされそうになるのをなんとかギリギリのところで耐え抜きながら、つかさはとりあえず今は早く朝にならないだろうかと思うのであった。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

686Classical名無しさん:07/05/09 17:56 ID:ZDaDOaE.
64 :鳥の歌に導かれて ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:11:49 ID:fufrbot2
 つかさのいるマンションから少し離れた場所に位置する駅、ステーション8。そこの出入り口に川田章吾はいた。
 川田は無言で地下に通ずる階段に堂々と腰掛けながら、ただじっと頭上に広がる夜空を眺めていた。
 その姿は一見、『隙だらけ』というイメージを漂わせていたが、見る者によっては何かに対して怒りを露にしながら『俺を殺せるものなら殺してみろ』と言っているいるようにも見えた。

 ――しばらくすると、川田は目線を夜空から足元に置かれているデイパックへと下ろし呟いた。
「やれやれ……神様ってのは本当に人間を不幸のドン底に叩き落とすのが好きみてえだな…………」
 “二度あることは……”ってやつか、などと付け加え、苦笑いを浮かべつつ川田はデイパックを開帳した。
 ――デイパックから出てきたのは水・食料のほかに、会場の地図やランタン、筆記用具……そして折り畳まれた紙が二枚。
「――ハズレか……」
 そう言って残念そうにデイパックに支給品を戻す作業に取りかかろうとする川田。
 しかし、紙――どうせあまり役に立たないメモか何かだろう――とはいえ、一応詳細の確認くらいはしておこうと紙の二枚のうちの一枚を広げてみることにした。
 すると――――

「――!? な、なんだあ!?」
 突然紙の中から封が切られていないチョココロネが5つ現れ、川田が驚いている間に階段に落ちて数段下にごろごろと転がった。

 ただの紙からいきなり食べ物が現れるという前代未聞の超常現象に、さすがの川田も一瞬ぽかんとしてしまったが、すぐさま我に返る。
 ――だが、さすがに驚きは未だに残ったままである。
「……も、もしかして、この紙の中に支給品が入っているっていうのか?」
 川田はそう言ってもう一枚の紙を手に取ると、先ほど同様それをゆっくりと広げてみる。
 すると、今度は銃――それもサブマシンガンとその予備マガジンが6つも紙から出てきた。

687Classical名無しさん:07/05/09 17:57 ID:ZDaDOaE.
「ほ、本当にどうなってやがるんだ……?」
 すでに川田は『当たりの武器を支給された』ということよりも、『ただの紙から物が出てくる』というミステリアスな現象のことばかりに目と頭がいってしまっていた。
 こんな魔法地味たことなど人間――いや、この世界では普通不可能だからだ。
 ――そう。普通ならば…………

「――まあ、現に俺や桐山たちがここにいるんだ、本物の魔法使いがこの世界にいてもおかしくはねえな……」
 とりあえず目の前の不思議な紙の件は強制的に打ち切り保留すると、川田はあまり彼らしくないそんな言葉を呟き再び夜空に目を向けた。

65 :鳥の歌に導かれて ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:12:34 ID:fufrbot2
 ――川田はここに来る前の記憶を復元してみる。
 最後に残っている記憶は確かあの船の操舵室だ。
 そう。あの時――七原秋也、中川典子の二人と協力して政府の糞ったれ共に見事カウンターパンチを食らわせることに成功したあの時だ。
 ――あの時、自分は無茶をしすぎたせいで内蔵を破いてしまい、それが致命傷となって死んでいくはずだった。
 ――否。自分は間違いなくあの時死んだはずだ。自身が最期に七原と典子に看取られていたのもちゃんと覚えている。
 その時に自分が二人に言った遺言の内容もちゃんと記憶していた。
 ――それなのに、何故自分はここにいるのだろうか?
 ――考えても、やはり答えは出てこない。

(やれやれ……頭がどうにかなりそうだぜ…………)
 こういう時こそ一服しようと思いポケットを漁る――が、肝心のタバコがなかった。出てきたのは愛用のジッポーライターだけだ。
(ああ……。そういや『向こう』で全部吸っちまったんだよな)

 川田はここに来た当初は、ここが俗にいう『あの世』って場所なのだろう、と思っていた。
 なぜなら、ここに来た最初に目を覚ましたあの空間に、自身よりも先に死んだ桐山や三村、杉村の三人の姿があったからだ。
 ――だが、その空間のあまりにもリアルな空気と自身の心臓が元気に鼓動を響かせていたこと等により次第にその考えは薄れていった。
688 ◆d4asqdtPw2 :07/05/09 17:59 ID:2wSb3ODs
坂田銀時 範馬刃牙投下します
689Classical名無しさん:07/05/09 18:00 ID:2wSb3ODs
ごめんなさい代理投下終わるまで待ちます
690Classical名無しさん:07/05/09 18:00 ID:ZDaDOaE.
「もしかして、あの光成とかいうジジイがわざわざ俺や桐山たちを生き返らせてこのプログラムもどきに参加させたっていうのか…………?」
 普通なら間違いなく信じ難い、というより信じないし考えもしない憶測だが、現状が現状である。

(確かあのジジイ、英霊がどうのこうのとか言ってたな…………。なら、このくだらねえデス・ゲームにもプログラムと同じく何か開催せざる終えない理由があるってことだ。
 ――だが、俺はこのデス・ゲームに乗る気は断じてねえ。そう。あのジジイがやろうとしていることは政府の糞ったれ共とまったく同じだ。
 それなら俺がやるべきことは変わらねえ……奴らに一発強力なカウンターパンチをぶち込む! それだけだ……!)
 そう決心すると川田はデイパックを肩に提げ、サブマシンガン――マイクロウージーを手に取った。
 ちなみに、このマイクロウージー、外見が前回の殺し合いにて桐山がメインウエポンとして使用していたイングラムM10とどこか似ているため、当初川田はやや複雑な心境だったことはここだけの話である。



「よし……!」
 川田は身支度を整えると、まずは周辺の地形を確認するため、駅を後にして目の前にそびえるマンションに向かい歩き出した。
 あそこの屋上なら夜でもこの付近一帯の地形を把握できるだろうという判断である。


66 :鳥の歌に導かれて ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:13:19 ID:fufrbot2
 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 一方、マンションにいるつかさは未だに部屋の隅で震えていた。
 彼女のその瞳からは、すでに何粒かの雫が零れ落ちている。
「うくっ……ひくっ……」
 薄暗い部屋につかさがすすり泣く声が静かに響き渡る。
「ひくっ……ううっ…………あ……」
 ――しかし、ある程度時間が経ったところでつかさは突然泣くのを止めた。
 つかさの目線の先には自身に与えられたデイパックがある。
691Classical名無しさん:07/05/09 18:02 ID:ZDaDOaE.
「…………そうだ。支給品……」
 まだデイパックの中身を確認をしていなかったことを思い出し、つかさはデイパックをゆっくりと開帳する。
 もしかしたら姉たちの居場所が分かる道具が出てくるかもしれないと思ったからだ。――『藁にもすがる思い』とはまさにこのことだろう。
 もちろん、現実とはそんな都合のいいことがほいほいと起きるとは限らない。

 ――出てきたのは見知らぬ制服(少なくとも学校の制服でないことは確かだ)とスケボー、手のひらサイズのこれまた見たことも無い小さな物体だった。
「はあ……」
 支給品がどれも今の自分にはまったく役に立たない代物ばかりだったので、つかさは軽くため息をついて落胆する。
「…………なんか暑くなってきたかな?」
 そして、部屋が蒸し暑くなってきたような感じがしたので、とりあえず空気を入れ替えようとベランダの戸をゆっくりと開けた。
 戸を開けた瞬間、夜風がやさしくつかさと彼女のいる部屋に吹き抜けた。

「…………」
 つかさはそっとベランダに出て周囲の様子を見渡してみる。
 今彼女がいるのはマンションの4階だ。そのため、ある程度マンションの周辺を見渡すことは出来た。
 辺りの民家は今自分がいる部屋同様電気がついておらず、街灯と空に浮かぶ月明かりだけが住宅街を照らしていた。
 そして――――とても静かだった。
「――静かだなあ……。本当に殺し合いなんかしているのかな…………?」
 そう。つかさがそう呟いたように、本当に殺し合いが行われているのかと思ってしまいたくなるくらい静かであった。
 ――だが、現に殺し合いはつかさの知らない所ですでに幾度も起きているのだ。
692Classical名無しさん:07/05/09 18:03 ID:ZDaDOaE.
67 :鳥の歌に導かれて ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:14:12 ID:fufrbot2
「……そういえば……これ本当になんなんだろう?」
 そう言ったつかさの手には先ほどデイパックから出てきた支給品のひとつである小さな物体があった。
 よく見ると、その物体には本体のほかにレバーのようなものが付いていた。
「? 引っ張れば何か起きるのかな?」
 つかさは思わずそのレバーに手をやり、それを軽く引っ張ってみた。
 ――が、何も起きないどころかレバーはピクリともしなかった。
「あれ? え、えっと……じゃ、じゃあ、これならどうかな?」
 そう言うと今度はレバーのような部分を軽くひねってみた。
 すると――――


 ちいちいちいちい……


「わっ!?」
 レバーではなく本体の方が軽くひねり、鮮やかで大きな小鳥の鳴き声――いや、正確には小鳥の鳴き声のような音が辺りに響き渡った。
 そう。つかさに支給された3つ目の支給品の正体――それはバードコールだった。

「……び、びっくりした〜……」
 突然鳴り響いた音に思わずビクリと反応してしまったつかさだったが、気を取り直してもう一度バードコールをひねってみる。
 ――暗く静かな夜の町に、再びちいちいという穏やかな鳥の歌声が響く。

 ――つかさは何度もそれをひねってみる。
 近くに殺し合いに載っている者がいたら狙われるかもしれないのに、そんなことはお構いなしで何度もバードコールをひねった。
693Classical名無しさん:07/05/09 18:04 ID:ZDaDOaE.
68 :鳥の歌に導かれて ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:15:39 ID:fufrbot2
「……えへへ……。なんかコレ、気に入っちゃった……」
 危険極まりない行動ではあったが、バードコールから奏でられる鳥の歌声は暗く沈んでいたつかさの心をある程度回復させるには充分な効果があった。
 なにはともあれ、こうしてつかさはこの殺し合いが始まってはじめて笑顔を見せたのだった。
「あ……ちょっと肌寒くなってきたかな? そろそろ部屋に戻ろう……」
 夜風がやや強くり肌寒くなってきたので、つかさはベランダからいそいそと部屋に戻った。
 ――そんな時であった。突然自分の隠れていた部屋の玄関が力強くドンドンと叩かれる音と男の声が聞こえたのは…………


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 駅を後にして数分歩いたところで川田は目的のマンションに到着した。
 軽く調べたところ階数は六階。最近の住宅街に建てられるマンションとしては高くものなく、低くもなくといったところか。
 ――だが、夜の闇に彩られたその建物は、見るものからすれば天高くまでそびえ立つ巨大な墓標のようにも見える。

「…………」
 川田は何も言わず、マイクロウージーをいつでも撃てるように身構えておく。
 無論、これは万一の状態に備えておくためだ。
 今の川田のその姿は、もはや一年留年した中学三年生ではなく、一人前の兵士のそれに類似していた。
 ――まあ、過去に二回も同じようなデス・ゲームに参加しているのだから身体が自然とこういう状況に慣れてしまっただけなのだろうが……
(……ま。あまり良いことじゃねーけどよ……)
 またしても軽く苦笑いを浮かべると、川田はゆっくりとマンションの中に足を踏み入れた。


 マンションの内部、エントランスはやはり夜であるからか明かりが点いていた。
 これは時間になると勝手に点くタイプのものなのか、それとも管理者によって点けられるタイプなのかは分からなかった(後者ならば人がいる、もしくはいたという証拠になる)が、川田は別に気にすることなく先へと進む。 
694Classical名無しさん:07/05/09 18:05 ID:2wSb3ODs
捨て身の支援
695Classical名無しさん:07/05/09 18:06 ID:ZDaDOaE.
 やがてエレベーターの前に立つが、彼はあえてそれには乗らず、階段を一段一段慎重に上っていくことにした。これはもちろん用心のためだ。
 万一、このマンションにゲームに乗ったものがいた場合、エレベーターの出入り口で待ち伏せをしている可能性は極めて高い。
 ――というより、もし自分がこのゲームに乗った参加者なら、絶対にそうするだろう、と川田は思った。

 ――静かだった。
 川田が階段を一段一段上がっていく度に足音がマンションに僅かに響くほど静かだった。
 ――だから、川田が二階から三階へと上がろうとした時、その音もしっかりと川田の耳に届いてた。


69 :鳥の歌に導かれて ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:16:25 ID:fufrbot2
 ちいちいちいちい……


「!? こいつは……!」
 ちいちいという穏やかな鳥の鳴き声。川田はそれを以前から聞いたことがあった。
 ――いや、その表現は間違っているかもしれない。
 なぜなら、この声は川田にとって決して忘れてはいけない記憶の断片(ピース)の中でも特に大切な部分なのだから……

 ――そして、次の瞬間には川田は無意識のうちに階段を駆け上がっていた。


「ここの部屋か!?」
 四階のとある部屋の入り口のドアの前に川田は立ち止まる。
(――確かにこのあたりからあのバードコールの音が聞こえた。慶子の形見であるバードコールの音が……!
 そして、あれが鳴っているってことは誰か人がいるってことだ……!)

 川田は考える。
 こんな、どこに敵がいるか分からないような状況であのバードコールを何度も鳴らすなどという自殺的行為をする者がゲームに乗っているとはまず考えられない、と。
――だが、ゲームに乗ったものが近くの参加者をおびき出すために使用しているという可能性だって充分にある。
 ――しかし、今の川田にはそんなことはどうでもよかった(いや、本当はよくないのは自分でも分かっているのだが)。
(随分と焦っているな……俺らしくもない…………)
696Classical名無しさん:07/05/09 18:07 ID:ZDaDOaE.
まあ、当然といえば当然か、と思いながら、川田は今日で何度目か分からない苦笑いを浮かべる。
 そう――川田自身、もう目の前で誰かが死ぬのを見たくもなかったし、人を見捨てることが出来なかったのだ。

 人を信じるのは難しい――だが、だからこそ信じてみたいこともある。
 どうやら七原の『熱血正義バカ』というタチの悪い病気が自分にもうつってしまったようだ。


70 :鳥の歌に導かれて ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:17:40 ID:fufrbot2
 ――川田は目の前の扉を力強く叩いた。そして叫んだ。
「中にいる奴、そのままでいいから聞いてくれ! 俺の名前は川田章吾、城岩学園中学校3年B組、出欠番号は男子3番! いろいろとワケありで一年留年していて歳は16だ!!
 俺はこのふざけた殺し合いには乗っていないし、これから先、断じて乗る気もない!
 もし、この声が聞こえていて、あんたもこのゲームに乗っていないならこのドアを開けて欲くれ! この糞ゲームを叩き潰し、あの光成とかいうジジイを叩きのめすための力を俺に貸してほしい!!」



 ――しばしの沈黙。



 ――が、しばらくするとドアの鍵が開くガチャリという音がして、次の瞬間にはドアがゆっくりと開き…………
「こ、こんばんは……」
 一人の少女がビクビクとした様子で姿を見せた。

「あ…………。どうやら驚かせちまったみたいだな。すまん」
 川田はまた苦笑いを浮かべながら目の前の少女――柊つかさに謝罪した。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

697Classical名無しさん:07/05/09 18:07 ID:Vzydb7ZE
sien
698Classical名無しさん:07/05/09 18:19 ID:ZDaDOaE.
「――じゃあ、その桐山くんはゲームに乗っている可能性があるんだね?」
「ああ。こいつはとにかくヤベエ。奴は『感情』というものを一切もってねえ……。だから一度ゲームに乗ると決めたら最後までルールに従うだろうな。注意するにこしたことはねえ。
 ――で、つかささんが探しているのは泉こなた、高良みゆき、そして双子のお姉さんの柊かがみ、この三人でOKだな?」
「うん。みんなこんなゲームに乗るような人たちじゃあないよ」
 参加者名簿を手に問いかける川田につかさは頷いて答える。
 それに対して川田も「OK♪」と返事をして名簿のチェックを終える。
 ――今二人はそれぞれの情報を交換しながら部屋の中から使えそうな道具をいろいろと物色している最中である。
 ちなみに、これまで見つかった役立ちそうなものは文化包丁、救急箱、裁縫道具、ツールセット、そして鍋やガスコンロ、缶詰、レトルト食品……といったところだ。


71 :鳥の歌に導かれて ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:18:13 ID:fufrbot2
 それと、つかさの支給された品についてだが、調べてみたところ制服はともかくスケボーの方は実は凄い代物であることが分かった。
 実はこのスケボーはターボエンジンが搭載されている特注品で、ペダルを踏めば自動車並みのスピードで走ることが出来るという優れものであった。
 さらに動力はソーラー、つまり太陽光で、バッテリーをフル充電しておけば夜など暗闇の状況でも30分は稼動できるとのことであった。
 そのことを知った二人は「最近の技術はやはり凄いんだな」と改めて人間のもつ知識の凄さを思い知ったのであった。



「ええと……。まずは電車に乗って繁華街へ向かう……でいいのかな?」
「ああ。ここなら人が結構集まるかもしれねえし、もっと役に立ちそうなものが見つかるかもしれねえしな」
 荷物をまとめながら川田たちはこれから先の自分たちの行動を確認する。
 さすがにお互いいろいろと騒ぎすぎてしまったためこれ以上このマンションに長居は出来ない。
 ならばと、川田の勧めで近くの駅から地下鉄に乗り、繁華街の方へと向かうことにしたのだ。
699Classical名無しさん:07/05/09 18:20 ID:ZDaDOaE.
「――ところで、つかささん。本当に俺がこいつを持っていてもいいのかい?」
 そう言った川田の手には先ほどつかさが鳴らしていたバードコールがあった。
「うん。だってそれは川田くんにとって大切なものなんでしょ? だったら、ちゃんと川田くんが持っていないと駄目だよ」

 つかさは先ほどの情報交換の際に川田が自身の持っていたバードコールをやけに気にしていたので、その理由を聞いていた。
 ――その質問に対して川田は、さすがに過去に二度殺し合いに参加したことがあるということは話さなかったが、バードコールが死んだ恋人の形見であるということは嘘偽り無く話していた。
「……すまねえ」
 川田はそう言うとバードコールをそっと自分のポケットにしまった。



「――今更言うのもなんだが……。つかささん、本当に俺を信用していいのかい?
 もしかしたら俺は、あんたを騙して利用しようとしている可能性だってあるんだぜ?」
 荷物の整理を終え出発しようとした際、川田はつかさに冗談を言うみたいにそう尋ねた。


72 :鳥の歌に導かれて ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:18:56 ID:fufrbot2
 ――確かに川田の言っていることには一理ある。
 こういう状況では一人よりも二人以上の複数人で行動するほうが明らかに安全だ。
 そのため、ゲームに乗った参加者が自身の生存率を上げるために他の参加者を利用する可能性だって無いとは言い切れない。
 ――しかし、つかさは……

「……だから川田くんを信じるんだよ」
 笑顔でそう答えた。
「自分からそういうこと言ってくれる人に悪い人はいないと思うんだ。
 だから、わたしは川田くんを信じる。――それに、こういう時こそ他の人たちを信じなきゃいけないってわたしは思うよ?」
「…………」
 その答えを聞いた川田は、前回のプログラムで七原と典子が今回と同じような質問をした自身に対して慌てた様子で「信じる!」と言ってくれた時のことを思い出した。
(――やれやれ、どこにも同じような甘ちゃんはいるもんだな……)
 川田はそう思いながら密かにフッと笑った。
700Classical名無しさん:07/05/09 18:20 ID:ZDaDOaE.
「ありがとよ、つかささん。
 ――だが、覚悟は決めてくれよ。
 俺も出来れば自分の手は汚したくはねえが、この先俺たちが生き残るためには時には誰かを殺さなきゃいけねえかもしれないってことをな……」
「うん…………」
 川田のその言葉につかさは
「おいおい……。そういう顔はしないでくれよ。
 大丈夫だ。絶対につかささんのお姉さんや友達は俺が見つけ出してやる。そして、つかささんたちをもとの生活に帰してやるからよ」
「う、うん……!」
「それに……女の人ってのはやっぱり笑っているほうが素敵だぜ。せっかくのかわいらしい顔が台無しだ」
「っ!? も、もう! どさくさに紛れてなに言ってるの!!」
 つかさは顔を真っ赤にして川田の背中を数回叩いた。
 一方、叩かれている川田は、先ほどから表情をコロコロと変えるつかさを見ながら女って本当に面白い奴だなあ、などと思うのであった。

「ははは……。んじゃ、“善は急げ”ってことで早速駅に向かうぞ。これからが本番だ」
「あ……。うん!」


 ――こうして一組の男女がそれぞれの目的と決意を胸に戦場へと足を踏み入れたのであった。

701Classical名無しさん:07/05/09 18:21 ID:ZDaDOaE.

73 :鳥の歌に導かれて ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:21:14 ID:fufrbot2



【F-5 マンション 一日目 黎明】

【川田章吾@バトル・ロワイアル】
【状態】健康
【装備】マイクロウージー(9ミリパラベラム弾32/32)、ジッポーライター、バードコール@バトルロワイアル
【道具】支給品一式、チョココロネ(残り5つ)@らき☆すた、文化包丁、救急箱、裁縫道具(針や糸など)、ツールセット、ステンレス製の鍋、ガスコンロ、缶詰やレトルトといった食料品
【思考・行動】
基本行動方針:ゲームに乗っていない参加者を一人でも多く救出し、最後は主催者にカウンターパンチ
1:S8の駅から地下鉄で繁華街へ向かう
2:つかさの姉や友人を探すのに協力する
3:ゲームに乗っている参加者と遭遇した場合は容赦なく殺す
参戦時期:原作で死亡した直後
【備考】
・桐山和雄の動きを警戒しています
・桐山や杉村たちも自分と同じく原作世界死後からの参戦だと思っています
・つかさには過去に2回プログラムに参加していること、首輪解除技能やハッキング技術を会得していることなどは話していません。医者の息子であることは話しています。
702Classical名無しさん:07/05/09 18:22 ID:ZDaDOaE.

【柊つかさ@らき☆すた】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ホーリーの制服@スクライド、ターボエンジン付きスケボー @名探偵コナン
【思考・行動】
基本行動方針:ゲームには絶対に乗らない
1:川田に同行し、S8の駅から地下鉄で繁華街へ向かう
2:お姉ちゃんやこなちゃんたちと合流したい
【備考】
・川田を完全に信用しています


【総合備考】

・首輪は原作バトロワと少し構造が違う物のようです
74 : ◆rnjkXI1h76:2007/05/03(木) 21:21:55 ID:fufrbot2
投下終了。
遅くなってしまって本当にご迷惑おかけしました。
703Classical名無しさん:07/05/09 18:30 ID:ZDaDOaE.
代理投下終了しました
704 ◆d4asqdtPw2 :07/05/09 18:32 ID:2wSb3ODs
>>703
代理投下本当に乙。◆rnjkXI1h76さんも改めて乙。
投下宣言被ってすいませんでした。

ノータイムですが、あまり人がいないようですし、坂田銀時 範馬刃牙投下します。
「ハァ……ハァ……ここまで来れば大丈夫だよな?」
あの反則まがいの拳王から逃げ切ったのは、もはや奇跡と言っていいだろう。残りの人生の全ての運を使い果たしたかもしれない。
ここまでずっと全力で走り続けた俺は橋の上でついに立ち止まって、悲鳴を上げる肺と筋肉を休ませる。

これはアレか? 酒浸り糖分まみれの生活を送ってきた俺への天罰か何かか?
だとしたらもう酒は控えるから許して神様。糖分も抑えろって? いや……それは譲れねぇ。
「ホラ、だって甘いものには罪は無いと思うんだよね俺はさ。
 それは糖分を扱う人の問題であって、彼らは僕たちに夢と希望と至福の喜びと血糖値を与えてくれる友だと思うんだよね。
 兵器だって使い方によっちゃぁ平和をもたらすって言うか、ホラ、あの……えっと。
 ……ッていうか糖分に殺されるなら本望だしね! 愛するものに抱かれて死ぬなんて最高じゃねぇかコンチクショー!」
何が神様だよ。そりゃあ俺だってパチンコで残金を全て賭けた時や、今週のジャンプ探して町中の本屋巡ったときなんかは神様ってもんに土下座くらいはしたさ。
あぁそのたびに裏切られたさ! そりゃあそうだ。だって神様なんていねぇんだもんなー。神棚は勿論、神社にもカリン塔のてっぺんにさえもいやしねぇ。
そう考えたらなんだか腹が立ってきやがった。こんな時は早いとこ休むに限るんだが……

「なぁ、アンタ。ちょっといいか?」

ん? 何か聞こえたか?
……いやいや有り得ないって。今まさに筋肉魔人から逃げ切った哀れな男をピンポイントで探し出すなんてことは有り得ない。
そうだ、俺は疲れてるんだ。ちょっと休める所を探さなくちゃなァー。
疲れた体にムチを打って歩き出し、俺は安全に休める場所を探……

「なぁ。そこの白髪でパーマのアンタだよ、アンタ。聞こえてるんだろ?」

確かに真後ろから声が聞こえた……
「イヤイヤイヤイヤ! ないないないって! だって俺どっちかって言うと銀髪だもん! パーマだけど銀髪じゃん?」
そうだ、これは空耳だ。だから俺の後ろに筋肉隆々の大男がいるなんてことは有り得ないんだ。
一刻も早く安息の地を探さなくては……って進まねェェェェェェ! なぜか俺が前進しねェェェェェェ!
706 ◆d4asqdtPw2 :07/05/09 18:35 ID:2wSb3ODs

「なぁほら。ちょっと落ち着けって、オイ」
俺の肩を何者かが掴んでいた。
マズイ。マズイマズイ不味いよこいつは! だって凄い握力じゃねーかァ! ちょっと痛いよコレ! おそらくコレは攻撃されてるよ!
もう走れないんだって! 死ぬしかないじゃん俺! 蝶ネクタイでどうしろっつーんだよ!

……いや待て。落ち着け。落ち着け、俺。
まだこいつがさっきの筋肉バスターとは限らんじゃないか。
いざ振り返ってみると優しい美女が微笑んでいるかもしれん! このくらいの握力なら……神楽でも余裕で出せるレベルじゃないか!
そうだこの人は絶世の美女だ! そうに違いない! 違いないですよね? お願いします神様! 全力で信じますからお願いします神様!
よし、振り返るぞ! 神様は見てくれている。さっきまでのはアレだ。最近江戸の若者の間で流行のツンデレってやつだ。神様も純情な子なんだよな、ウン。
振り返ったら目の前には満面の微笑みを浮かべた美女がいるんだ。そうですよねぇ神様ァ!
そして――


振り返った俺の視界を覆いつくしたのは逞し過ぎるほどの大胸筋、腹筋、そして股間のモッコリ。

(神様コノヤロォォォォォォォォォォォォォ!)
「ハイ銀さん死んだー! しかも糖分じゃなくて筋肉(タンパク質)に殺されましたー」
……アレだ、神様はいたんだ。でもあの野郎は俺を個人的に嫌ってるんだ。
次の人生で頑張ろうか。だったら次は色男に生まれて結野アナの旦那になりてぇ。もしくは結野アナの家のトイレになりてぇ。
「別に殺さないからさ。とにかく落ち着こうぜ」
男が俺の両肩を掴んでそんな戯言を吐きやがった。この期に及んでまだ俺を弄ぼうってか。

「どーせさっきの恨みだろ? 殺すならころせー。 だけどオッサンのことは一生呪ってやるぞ! せいぜい血糖値に気をつけやがれェェェェ!」
一旦逃がしておいてから再び地獄へ叩き込むたぁ。神様はとんだサディストだな。しかも焦らしプレイときたもんだ。
男らしく死を受け入れた俺にオッサンはパンチの一つもよこしゃぁしねぇ。

「なぁ誰と勘違いしてるんだよ? 俺とアンタは初対面だよな? それに『オッサン』って、俺はまだ17歳だぜ?」
707Classical名無しさん:07/05/09 18:37 ID:ZDaDOaE.
マジ支援だけどコレマジ支援だよ
どれくらい支援するかというとマジで支援
708 ◆d4asqdtPw2 :07/05/09 18:37 ID:2wSb3ODs

まーだコイツはそんな事をいってやがる。いいかげんにしないと本気で化けて出てやる……って何だと?
恐る恐る男の顔を見上げる。
目が合った相手は美女ではなかったが、さっきのアイツと比べれば遥かに穏やかな表情をした青年だった。
「な? 人違いだったろ?」
(神様ツンデレェェェェェェェェェェェ!)
疑ってゴメン神様! いや、俺は最後まで信じてたって言うか。やっぱり信じるものは救われるって言うか、……ん?

「今17歳って言ったかな?」
「え? あぁ、俺は範馬刃牙、17歳だ。ちょっと探してる人がいるんだけどさ……」
「嘘こけェェェ! そんな見てくれの17歳がいるかぁ! それともアレか? お隣のお花屋さんのヘドロさんのご親戚か?
 お前も花をこよなく愛するのか? それともケーキ屋か? 絵本作家かコノヤロー!」
天人に違いないよこいつは! 人間の筋肉の発達には限界があるんだよ!

「ホントに17だって。何で花屋になるんだよ。俺は……何て言うか……格闘家かな」
真っ赤な髪の毛をポリポリ掻きながら天人が答える。ほーらみろコイツもあの緑の鬼と同じように……って嘘だろォォォォ!

「そんなマッチョな奴が格闘家になんかなるかァァァァァ!」


   ▽   ▽   ▽


「えーとつまり、刃牙君は自分の母親のカタキである父親の勇次郎さんを倒すために覚悟って青年と戦って強くなりたい。
 だからその「零」って言うその妙なカバンで探している、ということでいいですか?」
先ほどの俺の改心のツッコミ――今にして思えばツッコミの方がデタラメだが、の後に刃牙少年が聞きたいことがあると言ってきた。
折角なのでお互いの状況を報告しあって今に至る訳なのだが……
709 ◆d4asqdtPw2 :07/05/09 18:38 ID:2wSb3ODs

「大雑把に言うとそんな感じかな。銀時さんだっけ? アンタ結構、物分りいいっすね」
『多少、引っかかる言い回しはあったがな』

分かるわけねーだろォォォォォォ! あんたらは馬鹿ですか? 普通は地道なトレーニングが実を結ぶもんだろ!
強敵と戦ってどんどん強くなるって、どんなわらしべ長者だよ! それはもう人じゃないよ。わらしべ超人だよ!
だいたいなんでカバンが会話してるんだよ! もうここまできたらミステリーだよ。わらしべ超常現象だよ!

「まぁ正確には強いやつと戦いたい訳なんだ。覚悟って人はその中の一人ってコト。……おっと、殺しには乗らないぜ」
はい? 殺しには乗らないけれども殴り合いはしたいってか?
冗談じゃねー。こんなのと一緒にいたら命が幾つあっても足りないんだよ。ここは上手いこと誤魔化して……

「でさ、アンタ強いの?」
『ふむ……一見する弱そうだが、なかなかだぞこの男。数々の戦場を渡り歩いてきたようだな』

オイィィィィィ! 何勝手に分析してんの? だいたい「一見すると」ってお前、目ないじゃん! どうやって一見したんだよ!
え? ちょっと待て。まさか……俺と……戦う気ですか?!
「ちょっと待ったァ! マジで俺弱いっすよ。戦闘力は2歳児程度だよ!」
『否。謙遜せずとも良く見れば分かる事だ』
だからお前は「見る」んじゃねェェェェェェ! せめて感じろよ! そもそも喋るな。

「だいたい愛用の木刀がないと俺は本来の10分の1、いや100分の1の力も発揮できないんすよマジで!」
「それならさっき見た俺の支給品に刀があったぜ」

詰まれたよオイィィィィィィ! とっても綺麗に詰まれたよ!
ヤバイ、もう逃げ切れない。完全に追い詰められたのが分かる。汗で下着がビチョビチョだ。これじゃ失禁したみたいじゃねぇか。
そういえば最近、尿のキレが悪くなってきたような気が……。
「あったあった、これだこれ。ほら、アンタにやるよ」
自身の荷物を漁っていた刃牙少年が奇妙な刀を手渡してきた。通常の刀とは違い、全てが何かの金属で出来ているようだが、不思議と持ちやすい。
刀身が月の光を反射して淡い金色を呈している。暗闇を一閃する輝きは、まるで異世界へ通じる裂け目のようだ。
710 ◆d4asqdtPw2 :07/05/09 18:39 ID:2wSb3ODs

思わず見とれている自分に気がついた俺は一先ず手にしていた刀を地に置くと、それと一緒に渡された説明書に目を通すことにした。
「えっと……『支給品、ソードサムライX……』」
ダサ! 名前だっせェェェェェ! どう考えてもキマらないよこんなんじゃ!
なんだよ『X』って! 一昔前に流行った『びぢゅあるばんど』ってやつですか? 時代遅れも甚だしいよオイ!
この名刀を生み出した刀鍛冶のネーミングセンスに驚かされつつも、説明の欄に目を移すと、『錬金術』や『核鉄』などよく分からない単語の中に
『刀身で受け止めた魔法などのエネルギーを攻撃に転用することができる』
の一文を見つけた。
(魔法を使うやつまでいるのか……)
喋るカバンもいるんだ。魔法使いがいたって可笑しくは無い。
この状況に慣れ始めてる自分と、慣れさせてくれやがった刃牙少年と化け物カバンに感心すると同時に、俺は新たな強敵――魔法使いに襲われる可能性を見出してしまった。
人間に許された能力の範疇に甘んじている自分にしてみれば、そのような人外の能力を持った敵と会ったとき、こちらが素手では心許無い。
俺は人を切る気は更々ないが、この剣ならば少なくとも防御には使えるんじゃねぇか?

「それ使ってくれて構わないからさ、俺と戦ってくれよ」
「断る」

相手の目を見ることなしに即答してやった。反論する隙を与えずにまくし立てる。
「それに探さなきゃならんやつらがいるんでな。君はあっちでさっき俺を襲ったスパオーだかユーフォーだか言うオッサンと戦ってきなさい」
「でもそのオッサンどこにいるか分かんないんだろ? じゃあ襲われた場所まで案内してくれよ。そしたら零が索敵できるかもしれないしさ!」
なんでそうなるんだよ! 結局俺は危険じゃねぇか! 
しかし俺を見つめる刃牙少年の目はとても真剣だ。まぁ……母親の敵をとる為だしなー。

そんな訳で俺は刃牙少年を連れて拳王サマを探しに……行くわけねだろォ!
俺は刃牙少年を上手いこと騙して、拳王に襲われた地点とは逆方向である繁華街へ向かうことにしたのだった。
711 ◆d4asqdtPw2 :07/05/09 18:43 ID:2wSb3ODs
【F-2 橋の上 一日目 黎明】
【坂田銀時@銀魂】
[状態]健康 疲労は回復
[装備]蝶ネクタイ型変声機@名探偵コナン
[道具]支給品一式 ソードサムライX@武装錬金(攻撃に使う気はない)
   不明支給品0〜2(未確認。存在しても銀時はいろいろあって忘れている)
[思考] 基本:このゲームをどうにかする
1:刃牙少年を騙して繁華街へ連れて行く
2:新八、神楽を捜す。ついでに桂も
3:ラオウには会いたくない
(備考)零のことはよく分かっていません

※ソードサムライX
エネルギーを使う攻撃を吸収し、攻撃に転用します
制限、効果の対象となる攻撃は任せますが、少なくとも「魔法」には効果アリです


【範馬刃牙@グラップラー刃牙】
[状態]:健康
[装備]:強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメ。
[道具]:支給品一式
[思考] 基本:親父を超える。
1:銀時について行きラオウと戦う。銀時とも戦いたいが……
2:覚悟を見つけ、勝負を挑む
3:強者と戦う。ただしゲームには乗らない
(備考)地下トーナメント優勝直後。ただしトーナメント戦で受けた傷は治っている。
712 ◆d4asqdtPw2 :07/05/09 18:46 ID:2wSb3ODs
以上で投下終了です。支援ありがとうございました。
指摘等あればお願いします。
713 ◆rnjkXI1h76 :07/05/09 18:55 ID:MVbOeGVI
>>703
代理投下ありがとうございました。

>>712
投下乙です。
そして爆笑させてもらいました。www
銀さん本当に良いキャラだよ貴方は……w
714Classical名無しさん:07/05/09 19:02 ID:Vzydb7ZE
>>712
投下乙
めっちゃ笑いました!
銀さんがやばいくらいいい!セリフ回しとかはまさに空知節だった。

ところで題名忘れてない?
715Classical名無しさん:07/05/09 19:04 ID:Vzydb7ZE
あっ題名一番初めにあった
すいません
716Classical名無しさん:07/05/09 19:26 ID:bE/O.Zqc
>>712
GJ!!です
銀さんwww
わらしべ超人がツボに入ったww
717Classical名無しさん:07/05/09 19:52 ID:LJSZMdmo
>>703
代理投下乙!

>>712
腹いてえw
神様ツンデレで吹いたww 最高ww
GJ!
718Classical名無しさん:07/05/09 20:00 ID:ZDaDOaE.
>>712
投下乙です。
やっぱ銀さんサイコー!
719Classical名無しさん:07/05/09 20:01 ID:SGcDQOD.
>>712
上手い、本当に上手い。
文章でこんなに笑ったのは久しぶりだ……。
確かにバキの筋肉は普通じゃねえよなw
バキと銀時のコンビに期待、大!
GJ!
720Classical名無しさん:07/05/09 20:13 ID:Cp5DFSZc
>>712
ソードサムライX……えらい言われようだな。秋水哀れ
まぁたしかにダサイがw
でもアレ、エネルギー攻撃無効化だけで、攻撃への転用はできないよ
721Classical名無しさん:07/05/09 20:46 ID:ubp0K5eU
>>720
6巻の武装連金紹介に
・放出に時間差を作り、そのまま敵への攻撃に利用するコトも可能。
と、書いてある。
設定のみだけどな。
722720:07/05/09 20:57 ID:Cp5DFSZc
>>721
確認。ホントだ……
作中ではそんなの一度も使われなかったから、見落としてた
見当外れな指摘をしてしまったようだ
すまない◆d4asqdtPw2氏
723 ◆d4asqdtPw2 :07/05/09 21:09 ID:2wSb3ODs
>>722
スイマセン。ゴキブリぶっ殺してましたw

いえ、俺もウィキペディアで効果確認したときに初めて知りましたから。
ただ、転化といってもどのように使うか分からん設定を引っ張り出したのは問題だったかな。
魔力の類が使えない銀時みたいのにも使えるか分からんですし……。
シルバースキン始め、ロワ内では核鉄自体が一般人にも使えたからいいのかな。
724 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:04 ID:Ya2EiWrY
>>723
投下GJ
銀時が面白すぎです。

それでは自分も投下致します。
725 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:07 ID:Ya2EiWrY
木々が揺れ、大地は震え、一陣の風が吹き荒む。
無数の木が立ち並ぶ林の奥深く。
男と男の信念と信念を賭けた戦いがそこにはあった。


「偽善者が!お前のような正義面したやつこそ罪人なんだよ!」

黄金のトラの姿を模した怪人は体から無数の銃弾を撃ち出す。
全身から銃口が浮き出る姿は正に異形の者としかいいようがない。
しかしその無数の銃弾は覚悟には当たらない。覚悟は疾風の風となり、一瞬で距離を詰める。

「因果!!」

必殺の正拳を腹部に叩き込む。それは体の奥深くに突き刺さる。
しかし――

「甘いぜ、それでくたばると思ってやがるのか?」

――それは無意味だ。
怪人と化した男には普通の打撃は通じない。

「っ!」

咄嗟に横にとび、銃弾を避ける。
一瞬の遅れが命取りとなりうる攻防戦。
先ほどまで覚悟がいた場所には無数の穴が開いている。
726Classical名無しさん:07/05/09 22:07 ID:SGcDQOD.
    
727 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:08 ID:Ya2EiWrY
「どうした、逃げるのか。それなら先にそっちの女から殺すぜ。まあ殺す順番が変わるだけだがな」
「ふざけるな。この身は牙無き者を守るためのもの。当方に撤退の意思は無い!」

ありふれた挑発の言葉だった。
だがそれは覚悟を再度決意させるには十分過ぎた。
挑発が裏目となる。

「零式積極重爆蹴!」

再び風となった覚悟を止めるものはない。
怪人の腹部に二度目の打撃を打ち込む。
強い怒りを両の足に込め礎とした渾身の一撃を。

「がっ」

苦悶の声を浮かべる。手ごたえがあった。
しかしそれで手を緩めはしない。

「当方の拳は悪鬼を討つもの!零式積極直突撃!!」

次は顔に拳を叩きつける。全身全霊を掛けての渾身の一撃を。
怪人は大きく後ろに吹き飛ぶ。
728Classical名無しさん:07/05/09 22:08 ID:SGcDQOD.
      
729Classical名無しさん:07/05/09 22:09 ID:Cp5DFSZc
730Classical名無しさん:07/05/09 22:09 ID:ZDaDOaE.
支援のススメ
731 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:10 ID:Ya2EiWrY
「はあはあ……終わったのか」

怪人が倒れるのを見届け、息も絶え絶えになりつつ一言呟く。
右の拳には確かなる手ごたえが残っていた。

「終わったの?」
「はい」

木の陰に隠れ、死闘を見守っていたルイズがひょっこりと顔を出す。
死闘が終焉を迎えたのを確認して、安全と思ったのだ。

「……大丈夫?」
「無論だ。それより君……ルイズさんも足を怪我しているだろう。少年を弔い次第病院に……!」

心配事を呟くルイズに優しく応対しようという時。
不意な殺気を感じ、言葉を切り、怪人が吹き飛んだ方を見やる。
すると怪人はしゃがみこみ、背中の大砲を自分達に向けていた。
今すぐにでも発射されるかというところだった。

「ぐっ!」
「きゃっ」

覚悟は条件反射でルイズを抱きかかえると、すぐに全速力で移動を試みる。
それとほぼ同時、林の中に二度目の轟音が響いた。

732 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:11 ID:Ya2EiWrY
   ☆   ☆   ☆

轟音ははるか遠い、林の中。
ラオウの耳にも届いた。
既に二度目の轟音、それは二度ともに東の方から聞こえてきた。

「……爆発音?近いな。先ほどの銀髪の男か。それとも……まあよい。この拳王、自らの目で確かめてくれる」

音がした方へ向かい、ラオウは歩き出す。
その歩みはゆっくりだが、ラオウの溢れる闘志は、周辺の木々を揺らし木枯らしが鳴り響いた。
そして木枯らしの中央に位置するラオウは、東へと、戦場へと歩き出した。
ゆっくりと、しかし確実に、木枯らしの波は移動していく。


   ☆   ☆   ☆
733Classical名無しさん:07/05/09 22:12 ID:Cp5DFSZc
 
734Classical名無しさん:07/05/09 22:12 ID:2wSb3ODs
しえん
735 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:14 ID:Ya2EiWrY
覚悟とルイズ、二人と距離は50センチ弱という先の林一帯。
そこは木々は焼かれ、地面は抉り取られていた。まるで爆弾が落とされた焼け野原のような惨状である。
覚悟がルイズごと移動しなければ二人の肉体は既にこの世には存在していなかっただろう。

「ちょっと大丈夫カクゴ!」

覚悟の状態をみるなりルイズが小さく叫ぶ。
覚悟は身を盾にして、爆発の炎と熱風からルイズを守ったのだ。
ルイズはほぼ無傷だが、覚悟の体からは湯気が立っていた。

「心配無用。この程度なんでもない」

でも覚悟は倒れない。
確固たる意思を持つ覚悟は、何事も無いような顔でルイズの問いに応じていた。

「ちっ、避けたか。さっきので死んでりゃ楽に逝けたのによ」

黄金のトラを模した怪人はゆっくりと立ち上がり二人を見据えた。
その目から出る威圧感は、人間のそれとは何かが違う。

「……貴様!」

覚悟は怪人と視線を交差させる。
ルイズの盾となり熱風を浴びた体から今もなお湯気が出ている。
それでもなお、怪人に対し、覚悟も睨む目線は外さない。
そして、両の拳を合わせ――
736Classical名無しさん:07/05/09 22:15 ID:SGcDQOD.
     
737Classical名無しさん:07/05/09 22:15 ID:Cp5DFSZc
738 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:15 ID:Ya2EiWrY
「当方には貴様を討つ用意有り!!」

――真っ直ぐ突っ込む。
幾度も繰り返した直線での突っ込み。
しかし同じ動きにも変化は生じる。
怪人はバッグで顔を隠す。

「はあっ!」

覚悟は強く腕を振り、怪人のバッグを払い落とす。
そこで勝負が大きく動く。

「ぬるいな」

バッグで一瞬隠された顔、バッグをはたいて見えた顔は、口から銃口を覗かせていた。
そしてそれは覚悟の顔を射抜かんとしていた。

「っ!」

瞬時の回避行動により直撃は避けるも、肩を浅く掠めた。
その傷は浅いが、しかしそれでもバランスを僅かに崩してしまう。
その僅かが、ここでは完全に命取りとなる。

「偽善者が、弱者は強者の糧となれば十分なんだよ!」

怪人の全身からの銃弾は、全て覚悟の体に吸い込まれていく。
739Classical名無しさん:07/05/09 22:16 ID:Cp5DFSZc
 
740 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:16 ID:Ya2EiWrY
「ぐうっ!」

覚悟はゆっくりと倒れ――

「因果!!!」
「がっ!?」

――ない!
咄嗟に両の足で大地を踏みしめ、そして頭で怪人の顔面へ頭突きを繰り出す。
怪人は二歩ほど後退する。
覚悟は倒れない。

「俺はまだ死ねない。悪鬼を前にして死ぬわけにはいかない!」

両の足は震えていた。
強化外骨格程ではないものの、持ち主の信念が伝わっている丈夫なライダースーツ、その下に着込むは多少の防火効果のある制服、
そして自らが鍛え上げた鋼の肉体。
この三つに守られた覚悟は、銃弾で致命傷を負う事はない。
しかし、至近距離から怪人の銃弾を浴びて全くの無事で済むわけもない。
そして先ほどの大砲の爆撃の熱風のダメージも決して浅くは無い。
覚悟の体は深く重いダメージで立っているのもやっとという状態なのだ。
それでも立っていられるのは、少年との約束があったからだ。それはルイズを守るという約束。
そして遥か過去に誓った決意。牙無き者の剣となり生きるという信念。
この二つがある限り、覚悟の膝が地に堕ちる事は決してない。

「……ちっ、死に損ないが!だが俺はお前のような罪人には絶対に負けねえ。絶対にな!」

怪人、三影英介も右手で覚悟にパンチを繰り出す。
志郎や滝や本郷と同じ、物事を真っ直ぐ見据える男の瞳は三影にとっては憎らしい以外何物でもない。
人間の裏の醜さを知っている三影にとって、目の前の男はこれ以上ないほどに甘い男に見えた。
その憎らしい男には、拳で嬲り殺すのが一番と判断。
怪人の力溢れる拳が覚悟を襲う。
741Classical名無しさん:07/05/09 22:16 ID:SGcDQOD.
         
742 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:17 ID:Ya2EiWrY
   ☆   ☆   ☆

戦闘が始まった既にかなりの時間が経過している。
その間。怪人の拳が幾度と無く覚悟を襲う。
覚悟も応戦しているが、先ほどと違い明らかに劣勢。
それは二人の戦いを見守るルイズの目にも明らかだった。

 カクゴ……私には何も出来ないの?

歯がゆかった。
今の自分は無力なだけなのか。自分にはスギムラの仇は取れないのか。
とにかく苦しかった。胸が締め付けられるほどに。

 何か、何か私に出来ることは?

辺りを見回す。
とにかく何か武器がほしかった。
自分のバッグの中のものじゃはっきり言って役に立たない。
何度無く視線を移し変え、物を探す。
そして、見つける。
覚悟が叩き落とした、怪人のバッグを。

 あれは!……お願い。何か武器を!

怪人は覚悟との戦いに夢中で気付いていない。
ルイズは急いで怪人のバッグのところに、ばれないようにゆっくりと向かう。

   ☆   ☆   ☆
743Classical名無しさん:07/05/09 22:17 ID:ZDaDOaE.
無論、支援するまで
744Classical名無しさん:07/05/09 22:18 ID:Cp5DFSZc
745Classical名無しさん:07/05/09 22:19 ID:9sREclqM
支援のシェルブリット
746 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:19 ID:Ya2EiWrY
「くっ!」

覚悟は何度と無く怪人の拳を浴びて後退する。
既に倒れないのがやっとという状態だった。

「しぶとい野郎だ。正義の味方気取りかよ。反吐が出る。何度言えば分かるんだよ。お前のような偽善者こそ真の罪人なんだよ!」
「……それでも俺は自分の正義を信じる。偽善ではない正義を!」

怪人の言葉にも決して屈しない。
悪に対しては決して敗走しない、立ち向かう。
鋼の信念が覚悟を倒させはしない。
足を奮い立たせる。

「ちっ、最後までやせ我慢しやがって。まあいいぜ、次は絶対に殺してやるからな」

怪人は少し距離を取り、四つんばいになる。
背中の大砲にエネルギーを充填させていく。

 避けられない……どうする。ここで死ぬのか。否!まだ間に合う。

覚悟は両の足に鞭を打つようにして、怪人に向かい駆け出す。
その速さは決して風ではない。
常時より少し早い程度の速さ。それでも走る覚悟の顔は必死だった。

その時、一つの爆音が林の中に響き渡った。


   ☆   ☆   ☆
747Classical名無しさん:07/05/09 22:19 ID:Cp5DFSZc
 
748Classical名無しさん:07/05/09 22:20 ID:SGcDQOD.
        
749Classical名無しさん:07/05/09 22:20 ID:2wSb3ODs
支援
750 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:20 ID:Ya2EiWrY
「何が……起こった?」

覚悟は驚き立ちすくむ。
突然目の前の黄金のトラは林の奥に吹き飛び視界から消えている。

「はあはあ、カクゴ大丈夫?」
「えっ?」

覚悟が振り向くと、そこにはルイズが立っていた。
木に深くもたれ掛かり、息は荒く、両手は大きく震えている。
そして、足下には大きな大砲のような物が転がっていた。
その大砲は、先ほどルイズが撃ったのを示すかのように、発射口から僅かに煙を吐いていた。

   ☆   ☆   ☆
751Classical名無しさん:07/05/09 22:22 ID:Cp5DFSZc
752Classical名無しさん:07/05/09 22:23 ID:TN.KrIEw
支援
753 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:23 ID:Ya2EiWrY
「ちっ、何をしやがった?」

三影は大の字になって林の中に横たわっている。

『――に―――--す』

雑音がやけに耳に入るが気にしない。
わき腹の火傷は酷いが致命傷ではない。それに行動に大きな支障はない。
何より、偽善者の仮面被りし罪人を前にして、のんきに眠るわけにはいかない。
心は折れてはいない。まだ戦える。

「……っと」

必死で起き上がる、すると目に入るのはあの二人。
正義感ぶった男と、やけに肝が据わった女。
どっちも澄んだ瞳で真っ直ぐ前を見据えていた。
それが非常に癇に障る。

 この腐りきった世界には善も悪も無いんだよ。生き残ったものが正義、そして生き残るのは俺だ!偽善者面の罪人じゃねえ!
 お前らのような弱者は死んで悪となればいいんだよ!

ゆっくりと歩き出す。
殺意をみなぎらせ、全身全霊を掛けて、あらゆる手段を用いて殺すことを誓う。

「っ!」

想像以上にわき腹が痛むが気にしない。
まだ二人は自分が生きて居ると気付いていない。
自分が目の前に現れて、恐怖で引きつった顔を見せる。
夢想家には無残な死を贈ることを決め、ゆっくりと歩き出す。
754Classical名無しさん:07/05/09 22:23 ID:SGcDQOD.
        
755Classical名無しさん:07/05/09 22:24 ID:Cp5DFSZc
 
756 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:24 ID:Ya2EiWrY
『禁止エリアに抵触しています。あと3秒以内にここを脱出しなければ爆発します』

 んっ!?なんだ禁止エリアってのは?

今まで雑音だったものがはっきりと耳に届く。
しかしそれが何を意味するのかは分からない。

 確か逃げようとすれば爆発と言ってやがったが……俺は逃げる気はねえ。絶対にあいつらの間違いを証明してやる!
 俺が逃げると思ってあのジジイ釘でも打ってんのか?ちっ、なめやがって。

三影はゆっくりと歩き出す。首輪の警告音など全く意にも止めていない。
しかし『雑音』のカウントダウンは感情を汲み取ることなく進んでいく。

そして二人が自分に気付く距離までもうほんの少し、というところで小さな機械音とそして、小さな爆発音が響く。
今まで何度も轟音を響かせた男は、その轟音の主にはありえないほど静かな爆発で息を引き取った。

木の葉の影に隠れていはいるが、三影の数メートル手前には小さな看板が立っていた。
その看板の表には大きな黒字がはっきりと書かれている。
『この先エリア外につき、立ち入り禁止』と。

男と男の、信念と信念の戦いを最後に決めたものは、皮肉にも無感情な機械となった。
そして今、三影は自分の用いたルールにより、自らが悪となった。
彼自身が作った持論が、彼自身の信念が、彼自身――三影英介――を悪とした。

【三影英介 死亡】
757 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:25 ID:Ya2EiWrY
   ☆   ☆   ☆

「っ!?」
「どうしたのカクゴ!」

覚悟の傷の具合を確認しようとするところで、急に覚悟が後ろを振り向く。
三影が吹き飛んだ方角を。

「まさか生きてるのっ?」

思わず不安になったルイズが声をかけるが、それを覚悟はなだめる。

「爆破音がした気がしたが……気配は無い。心配無用だ」

優しい声。先ほど戦っていた時とは違う、穏やかな口調だった。
その声にはルイズも安心する。

「それよりその大砲は?」
「これ?あの男のバッグの紙に包まれてたの。多分あの男の支給品よ」
「なるほど、承知した」

覚悟はルイズの足下に転がっている大砲に疑問を浮かべていたが、回答により合点がいく。
大砲は覚悟が抱え、ルイズは3人分のデイバックと折れた軍刀を持つ。

「とりあえず病院にいきましょう。カクゴの怪我治療しないと」
「心配無用だ。この程度……」
「駄目よ。かなり深いでしょ。スギムラも弔いたいけど、あなたが先。貴族として私を助けたあなたには礼をしたいの。
 それにスギムラはあなたに私を託したんでしょ。それならもっと自分を大事にしなさい!」

ルイズの言葉には覚悟も返答に困りそのまま病院に向かう事になる。
758Classical名無しさん:07/05/09 22:26 ID:Cp5DFSZc
 
759 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:26 ID:Ya2EiWrY
「それに……私個人としてもあなたに礼をさせなさいよ……スギムラごめんなさい、でもすぐに弔ってあげるから……絶対」

小さく小声でルイズは呟いた。
覚悟にも聞こえないような小さな声で。
右手にはスギムラが持っていた軍刀を握り締めていた。
痺れと震えが残る手で、精一杯力強く。

「俺は絶対に守りぬく、この少女を、そして……あの真の悪鬼を必ず倒す!」

小さな声で覚悟は呟く。
ルイズにも聞こえないような小さな声で。
新たなる決意を胸に秘め、怒りは両の足が大地を踏みしめる礎とし、覚悟は歩き出す。

二人は満身創痍の身をふらつかせながら、病院への道を歩き出す。
ただ、二人の瞳には決意があった。
760 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:27 ID:Ya2EiWrY
   ☆   ☆   ☆

轟音を頼りに、ラオウが向かうとその先にいた者は少女と手負いの男だった。
二人ともこちらに気付いた様子は無く林の中を歩き続けていた。

「……轟音の主はあの男か、それともあの男に傷を負わせた者か……どちらにしてもワシの相手が出来る状況ではないな」

ラオウは二人に背を向けると、林の奥へと消えていった。

「次こそは、この拳王の相手になる者を」

強者を捜し求めて、ラオウは歩き続けた。
761 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:28 ID:Ya2EiWrY
【H-3 西部 林 1日目 黎明】

【葉隠覚悟@覚悟のススメ】
[状態]:全身に重度の火傷 胴体部分に銃撃による重度のダメージ 全身に打撲(どれも致命傷ではない) 強い決意
[装備]:滝のライダースーツ@仮面ライダーSPRITS 
[道具]:ハルコンネン(爆裂鉄鋼焼夷弾、残弾5発、劣化ウラン弾、残弾6発)@HELLSING
[思考]
基本:牙無き人の剣となる。 この戦いの首謀者を必ず倒す。
1:病院に向かいルイズの言うとおり治療を受ける。
2:ルイズを守り、スギムラを弔う。

【ルイズ@ゼロの使い魔】
[状態]:右足に銃創 中程度の疲労 両手に軽度の痺れ 強い決意
[装備]:折れた軍刀
[道具]:支給品一式×3 超光戦士シャンゼリオン DVDBOX@ハヤテのごとく?
[思考]
基本:スギムラの正義を継ぎ、多くの人を助け首謀者を倒す。
1:病院に向かいカクゴを治療する。
2:スギムラを弔う
3:才人と合流
762 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:28 ID:Ya2EiWrY
【H-3 南西部 林 1日目 黎明】

【ラオウ@北斗の拳】
{状態}健康
{装備}無し
{道具}支給品一式 不明支給品1〜3(本人は確認済かも)
{思考・状況}
1:ケンシロウ、勇次郎と決着をつけたい
2:坂田銀時に対するわずかな執着心
3:強敵を倒しながら優勝を目指す
4:先ほどの短髪の男(覚悟)が万全の状態になれば戦いたい

{備考}
三影英介の死亡はマップ外潜入による首輪爆発によるものです。
首輪は禁止エリアに侵入した場合、30秒の警告音の後に爆発します。
三影英介の遺体はH-3東部から数メートル離れた位置に放置されています。
763Classical名無しさん:07/05/09 22:29 ID:Cp5DFSZc
 
764 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:32 ID:Ya2EiWrY
投下完了します。
いくつも支援していただいてもう本当に感無量です。

サブタイトルは
A forbidden battlefield
でお願いします。付け忘れてしまいもうしわけありません。

感想等お願い致します。
765Classical名無しさん:07/05/09 22:37 ID:SGcDQOD.
>>764
投下乙!

しかし……。ルイズはハルコンネン撃てないんじゃあないか?
あんなもん撃ったら、ひっくり返ると思う。
重量30キロオーバー、大きさ2メートル超ですぜ、ハルコンネンは。

それと覚悟の体内の鉄球が没収されてるってのは少し制限しすぎではないか。
三影の体内大砲と似たようなもんだと思うのだけど。


そういう点は気になったけど、話自体は面白かった。
首輪の説明を受けていない、という点に着目した点も見事だと思う。
766Classical名無しさん:07/05/09 22:41 ID:TN.KrIEw
投下乙
アレ、散の状態欄には鉄球があったぞ。あれも身体の一部でいいんじゃない?
767Classical名無しさん:07/05/09 22:45 ID:9sREclqM
おもしろかった!
覚悟のススメは未読なんだが、読んでみたくなった。
明日にでも買いに行く
しかし最後に首輪とは予想外だったな…
768Classical名無しさん:07/05/09 22:47 ID:DnveAUh6
今来たら、自分のSSのネタがあるんで、それだけ答えておきます。

と、その前に
>>764投下乙。今から読むぜ!


>>766
散のSSを書いたものです。
原作によれば、散はかなり後半まで鉄球を持っていることが分かります。
というか、ハッキリと鉄球をなくしたっていう描写がないキャラです。
多分、原作最後の復活シーンではさすがになくなってると思いますが、それ以前なら鉄球を持っていると考えてSSを書きました。
ちなみに、覚悟のほうはと言うと、ガラン城に到達した辺りですべての鉄球をなくしてたように思います。
なので、原作の登場時期によっては制限などかけなくても普通に鉄球無し覚悟の出来上がりです。


というわけで、鉄球ありなしに関しては問題ないかと。



つーことで、今から読む
769 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 22:51 ID:Ya2EiWrY
>>765
ルイズのハルコンネン発射は、木の幹で体を固定して撃ちました。
覚悟が振り返った際のルイズの描写で、それを思わせたのですが……描写不足かもしれません。
発射の過程を書くと描写過剰と判断し書きませんでしたが……伝わりにくかったのでしたら謝罪します。

覚悟の体内鉄球の方はもちろんあるのですが、ライダースーツを着ているために使用できないと考えました。
没収されているわけではありません。
ですので体内鉄球の有無は後続の書き手の判断にゆだねます。

ご感想まことにありがとうございました。
770Classical名無しさん:07/05/09 22:53 ID:2wSb3ODs
>>764
投下乙。強キャラでも早期に死ぬ可能性ってのを見せつけられました。
ズガンではなく、しっかりと見せ場を作った上での演出は素晴らしいです!
死亡マーダー含めて全ての登場人物がカッコいい!
771Classical名無しさん:07/05/09 22:55 ID:Cp5DFSZc
乙!
勝者はラオウと連戦になるかと思ったら、見てただけかよ拳王様!
マークする強者が増えるばかりで、ストレスが貯まりそうだな……
発散するときが怖いw
772Classical名無しさん:07/05/09 22:55 ID:SGcDQOD.
>>769
真摯な受け答えどうも!

三影と覚悟という対照的な信念を持つ二人のバトルはやはり
胸が躍るものがあった……。
重ねて乙!
773Classical名無しさん:07/05/09 22:58 ID:TN.KrIEw
>>見てただけかよ拳王様!

だがそれがいい
深手を負った輩を倒しても真の勝利とはいえないからな
774 ◆ozOtJW9BFA :07/05/09 23:03 ID:AaCgb3Yg
>>764
投下乙。GJ!
最後まで結末の読めない、熱い戦いでした。
覚悟もルイズもまだ2話しか登場してないのに、かっこいいキャラになったな。

後自分の予約分ですが、2日程延長お願いします。
……いや、プロットやら支給品やらが被ってしまって……orz
775Classical名無しさん:07/05/09 23:09 ID:MVbOeGVI
投下乙。
覚悟かっこいいよ覚悟……。
ラオウが覚悟たちのもとに向かうと分かった途端、覚悟もルイズも三影もヤベエと思ったけど今回は見逃してもらえてなにより。
三影も最後は意外な最期を迎えたわけだけど、オープニングでルールが詳しく説明されていなかったという点を上手く生かしていて凄く良かった。

……ところで、今回の場合は三影を倒した、つまり殺害者はルイズってことになるのかな?




あと、まとめwikiの書き手紹介の自分以外の書き手さん全員にコメントをつけてきました。
コメントと言っていいのか分からないものばかりですが…………w
776Classical名無しさん:07/05/09 23:20 ID:LJSZMdmo
>>764
投下乙!

まず指摘。
覚悟の零式鉄球なしは、登場時期によってありなので問題ないと思う。
上で指摘されているけど、ガラン城以降なら無しの状態だし。
前の話では、登場時期を指定してなかった。
最初の因果が気になった。あれはカウンターなので、覚悟から突っ込む技じゃないと思う。
上でも指摘されているけど、ハネルコン。
あれ撃ったんだから、肩の関節が外れるとか、ルイズがもっとダメージを受けてもいいんじゃないかな?

それ以外は断然良かった!
首輪が勝利の鍵とは意外。
ルイズも活躍の場があってよかった!
三影の因果応報っぷりがいい具合に余韻を残している。
GJ!!
777 ◆7jHdbxmvfI :07/05/09 23:40 ID:Ya2EiWrY
>>776
最初の因果は三影の銃弾を避けつつの攻撃なので、カウンターになると考えました。

また、ハルコンネンの反動ですがあれは重量が凄く、また現実でも重い銃は重いほど反動が抑えられいるらしいので
ハルコンネンも反動で重傷と負う事は無いと思った次第です。

丁寧な指摘とご感想はとても嬉しいです。ありがとうございます。
778 ◆33iayeGo/Y :07/05/09 23:40 ID:jsgRSkdM
うぎゃああああ、スティッキー・フィンガーズもう出てるううううううなんか勘違いしてたああああ。

ちょっと話のプロットを大幅に変更する必要性があるのでセラス、ジグマールの予約を破棄します。
……早く代案探そう。
779Classical名無しさん:07/05/09 23:42 ID:DnveAUh6
>>764
読み終わった……覚悟が格好いいが、それ以上にラオウがイカスと思ってしまった。
弱い人間はスルーってのが拳王らしいな。



>>778
そんなアナタのために、現在支給品一覧を更新中
780Classical名無しさん:07/05/09 23:43 ID:LJSZMdmo
忘れてた。


|葬式会場| λ...三影……誰も行かなくても、俺が行く。

>>775
GJ! でもおかげで誰か分かったw
781Classical名無しさん:07/05/09 23:47 ID:2wSb3ODs
>>775
乙。こういう支援がロワを栄えさせるんだ! って事で俺も貴方にコメントしましたー。
……と思ったら先にコメントつけてた方がいたwその人乙。
782Classical名無しさん:07/05/09 23:54 ID:ZDaDOaE.
>>778
スティッキ・フィンガーズのDISCってどこにあった?
パピヨンの支給品は変わったはずだが
783Classical名無しさん:07/05/09 23:57 ID:e4GQJ62c
あ、まとめの状態欄が修正されてない!!
784Classical名無しさん:07/05/10 00:02 ID:Ko1OQx8I
>>777
ちょっとリロードが足りてなかったorz
零式鉄球、ハネルコンの指摘、申し訳ありません。
真摯な対応ありがとうございます。
785 ◆L9juq0uMuo :07/05/10 00:06 ID:JrZoAYDM
|葬式会場| λ λ...禁止エリアでゆっくり歩いてちゃ駄目だよ三影さん。

今からトウカします
786 ◆33iayeGo/Y :07/05/10 00:06 ID:VHcalNBY
一時投下スレ……某としたことが……。
前プロが使えそうなので明日、遅くても明後日には投下できそうです。

それでも予約期限オーバーになってしまいますが……申し訳ございません。
787花嫁は月輪に飛ぶ  ◆L9juq0uMuo :07/05/10 00:08 ID:JrZoAYDM
『笑うべきだとわかった時は泣くべきじゃないぜ』
あの時の鳴海兄ちゃんの言葉が僕の頭に再生される、あの日から僕は強くなれた。鳴海兄ちゃんとしろがねのおかげで今の僕がいる。
そして今、何故かわからないが僕たちは殺し合いの場にいる。しろがねも鳴海兄ちゃんも、そして、フェイスレスも。
フェイスレスはモン=サン=ミッシェルで確かに僕としろがねの目の前でロケットで飛ばされた筈だ。それが何故かこの場にいる。
しろがねがいる事からフェイスレスが優勝を狙う可能性は低いかもしれない、それでもフェイスレスから見て利用価値のない人、
つまり戦う力の無い人やこの殺し合いにおいて逃げる事しかできない人ならあいつは間違いなく殺そうとするだろう。
それに、フェイスレス以外にも危なそうな人たちはたくさんいた。いつ鳴海兄ちゃん達が襲われるかもわからない。でも
「鳴海兄ちゃんもしろがねも、僕が絶対に死なせない」
そうだ。絶対に死なせるもんか。あの二人がこんな殺し合いに乗る筈がない。
あの二人が僕を助けてくれたから、今、こうやって僕は生きている。
だから、今度は僕が二人を助ける番だ。そしてこんな狂ったゲーム、僕達がぶち壊してやる。
788Classical名無しさん:07/05/10 00:09 ID:Z2Icwmkc
からくり支援
789Classical名無しさん:07/05/10 00:10 ID:qoa63eBk
     
790花嫁は月輪に飛ぶ  ◆L9juq0uMuo :07/05/10 00:10 ID:JrZoAYDM
「ギイさん。力を貸してくれるよね」
僕の支給品の1つ。これを見た時の僕の驚きといったら無かっただろう。
僕に支給されたその支給品は僕の記憶が確かなら、ギイさんと共に瓦礫に飲まれた筈だった。
その支給品の名はオリンピア。ギイさん専用の人形で、黒賀村では200体の自動人形を破壊した伝説の懸糸傀儡。
ギイさんの繰り方を見ていたのと、ギイさんの人形繰りを見ていたおじいちゃんの記憶を受け継いだ事でオリンピアを動かすのには大した支障はない。
「行こう、オリンピア」
オリンピアの背に飛び乗り手を動かすと、オリンピアの羽が動いた。
『二人を頼む』
どこからか、いつになく真剣なギイさんの声が聞こえた気がした。何故かはわからないけど、僕にはそれが幻聴ではなく、本物のギイさんの声だと感じられた
「任せてよ。ギイさん」
オリンピアが僕を乗せて飛ぶ。空には大きな月が煌々と光っていた。

強靭な意志の光を両目に宿した少年を乗せ、花嫁は月輪に飛ぶ。

【B-1 道路/1日目/深夜】
【才賀勝@からくりサーカス】
[状態]:健康。
[装備]:オリンピア
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(1〜2)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない
1:鳴海・しろがねと合流する
2:乗っていない人を探して味方にする
3:フェイスレスには最大限注意を払う
[備考]
※参戦時期はギイ死亡後から
※オリンピアで飛行しているので誰かに目に入りやすいです
※オリンピアに乗っている&飛行しているため、徒歩より移動速度は速いです
791 ◆L9juq0uMuo :07/05/10 00:11 ID:JrZoAYDM
以上でトウカ終了します。短くてすまんです
792Classical名無しさん:07/05/10 00:17 ID:Ko1OQx8I
投下乙!
原作知らないけど、勝はいい子だな。
短くてもキャラが分かりやすく描かれていてよかった。
しろがねと会ったときが面白そうだ。
793 ◆7jHdbxmvfI :07/05/10 00:23 ID:O.H3KCQs
>>791
投下乙!
勝が凄くらしいと思います。

そして>>756
三影はゆっくりと歩き出す。
これを
三影はゆっくりと歩き続ける。
に訂正します。
>>753の最後と表現が重複していました。
申し訳ありません。
794Classical名無しさん:07/05/10 00:25 ID:qoa63eBk
>>790
思考が勝らしくていいなあ。
それにしてもこれは、久々のアタリ支給品だな。
投下乙!!
795 ◆qvvXwosbJA :07/05/10 01:36 ID:WfwU4iCM
遅くなりましたが、投下します。
路上での邂逅からしばらく後。こなたとハヤテは、駅前のとある建物の前に立っていた。

「駅前デパート……あるだろうとは思ってましたが、本当にありましたね」
「商品があるかは分かんないけどね。そういや店員さんいなかったら、勝手に持ってっちゃっていいのかな?」
「大丈夫じゃないですか? どうやら僕たち参加者以外には、この街に人はいないみたいですし」

そう、駅前デパート。
ある程度の規模を備えた駅ならば、その近くには百貨店の類があるのが常である。
とはいえここは殺人ゲームの会場。あるかどうかは微妙だったが、想像を裏切らずステーション3の前には立派なデパートがあった。
複数の路線が交差する駅の前というその立地にふさわしい威容をたたえるその外観。
外壁には「期間限定特別セール」とかいう垂れ幕が下りていて、日の出前の冷たい風になぶられて揺らめいていた。
明らかに開店前の時間でありながら、店内には煌々と明かりが灯っている。

「開店前のデパートかー、一度探検してみたかったんだよね」
「開店前といっても、電気も設備もいつも通りみたいですけどね」
「野暮なこと言っちゃ駄目だよハヤテ。こういうのは楽しんだもの勝ちなんだからさ」

ごきげんなこなた。好奇心全開、マイペース全開のいつものこなたである。
そんなこなたの背中には、黒く輝くランドセル。
こなたのミニマムな体躯に限りなくジャストフィットするそのランドセルは、こなたが歩くたびに背中でぴょこぴょこ僅かに弾んでいた。

(……それにしても似合うなぁ……)

ハヤテの感嘆もむべなるかな。まさしくこなたの為にあるような支給品である。
それでは、こなたがランドセルを背負うに至った経緯を(経緯というほど大げさなものでもないけれど)、時を遡って見てみよう。
797Classical名無しさん:07/05/10 01:38 ID:Ko1OQx8I
(支援の時間だと?)

 ▼ ▼ ▼

「ちゃらららん、『ニードルナイフ』〜〜」

ともすれば謎のBGMが聞こえてきそうな擬音とともに、こなたは大量のナイフをデイパックから取り出した。
であってから数十分後、二人はこなたに支給された品物の確認の真っ最中である。
ちなみに幼児体型の件は、こなたが「一部の人のニーズには確実に答えてるわけだし」と強引に自分で納得してしまった。
思わず突っ込みそうになったハヤテだが、こなたが立ち直るのはいいことだと思い直して何も言わずに今に至る。
そんなこんなでこなたが取り出したナイフの一つをハヤテは手に取って、角度を変えてみながらしげしげと眺めた。

「なんだか、変な形ですね。投げナイフなのかな? やけに長細い気もしますけど」
「えーと、説明書によると……『GOLANのマッド軍曹の愛用武器で、ナイフ全体が管のような構造になっているのが特徴。
 相手に刺さるとその管を通って血が噴き出し続けるため、相手は失血死するのである』……だってさ」
「なんというか、えげつない武器ですね……」
「そーだね……できれば使いたくはないかも」

人の体から血が噴水のように噴き出す様子を想像したのか、流石のこなたも心なしか神妙な表情でナイフをしまった。
仕切り直しとばかりにデイパックをごそごそあさり、エニグマの紙を引っぱり出す。
ついでに説明書の文字を目で追ってから、好奇心を抑えきれないのを顔いっぱいに表してこなたはハヤテの方に向き直った。

「ふふふー、こっちは私もまだ中を見てないんだよねー、楽しみ楽しみ。それっ」

一気に紙を開く。
同時に、毎度のことながら紙の大きさとは明らかに釣り合わないサイズのランドセルが物理法則をさらりと無視して出現した。
どこにでもありそうな、普通のデザインのランドセルである。別に何かの仕掛けがしてありそうなわけでもない。
ただ持ち上げるとずしりと重く、中に何かが入っているのは明白だった。

「それではさっそく開けてみよ〜」
「やっぱり中身が支給品なのか……何が入ってるんですか?」
799Classical名無しさん:07/05/10 01:39 ID:weAmtbqo
こ…これはいいこなた!
支援

ハヤテの問いに答えるよりも早くこなたはランドセルの中に両手を突っ込んで何やらまさぐっていた。
すぐにお目当てのものは見つかったようで、こなたの顔が期待でぱっと輝いた。
うんしょっと掛け声をかけて持ち上げる。
そうしてランドセルの中から出てきたのは、何の変哲もない植木鉢だった。
本当に平凡な植木鉢。――それに植えてあるものを除けば。

「……なんですかこれ? この草、なんだか猫の顔みたいに見えますよ?」
「ふっふっふー、これこそが『猫草』なのだよハヤテくん」

訝しがるハヤテを見て、こなたは得意そうにぺったんこの胸をずいと張ってみせる。
もっともこなた自身もよくは分かっていないようで、またしても説明書のお世話になることとなったのだが。

【猫草:
 スタンドの矢に射抜かれた猫が埋葬された場所から生えてきた、猫とも草ともつかない生き物。
 猫なので性格は非常に気まぐれ。また草なので日光の当たらない所では殆んど動かない。
 空気の塊を自在に操作するスタンド能力『ストレイ・キャット』を持つが、戦うのは自分の身を守る時のみである。
 自力では移動できないので、植木鉢に植えられた状態で川尻早人のランドセルに入っている】

「………………」
「あれ、どしたの?」
「いやあ、突っ込み所が多すぎてどうしたものかと」
「ほんとにびっくりだよね、こういうものを見ると世界は広いって実感するよね」
「こなたさんは楽しそうですね……」
「動いてるところも見たかったんだけどなー、日が昇るまでのお預けか。ちょっと残念」
「たくましいなぁ……」

こなたのマイペース、もとい環境適応能力の高さにハヤテは改めて感嘆する。
それはともかく、この猫草が超能力を使って戦うというのが本当なら、敵に襲われたときにも代わりに戦ってくれるかもしれない。
ただ、ハズレではないがアタリというほどには期待してはいけない、というのが本当のところなのだろう。
ハヤテはそのまま猫草の利用法について考えていたから、こなたがすでに三枚目を取り出しているのに気がついて驚いた。
801Classical名無しさん:07/05/10 01:40 ID:BThPpDWc
で、支援代はいかほどいただけるんで?

「時間も無いし、サクサクいくよ。実はこれこそが大本命なんだよね」

何故かその場で紙を開くでもなく、説明書の方をハヤテに突き出してくる。
なぜここで開けないのか、その疑問は説明書を読むうちにはっきりした。
もっとも、それとは別の部分でもやもやしたものを抱えることになったのだが。

【魔法『フレイム・ボール』:
 火系統の魔法「フレイム・ボール」によって作り出された火球が入っている。
 紙を開くことで出現し、その瞬間に使用者が意識を向けた対象を自動追尾する。
 命中精度および威力はともに高く、命中した場合対象は激しく燃焼する。
 一発のみの使い捨て。ちなみに紙を破った場合、紙を中心に炎が広がるので注意されたし】

読み終わったハヤテは一言、

「なんというか回を追うごとに加速度的に胡散臭さが上がってきてますね……」
「魔法だって魔法! いやーこれこそほんとにびっくりだよね」

こなたはといえばろくにハヤテの言ったことも聞いていない。

「開いたら火の玉がぼーん!ってことじゃん? ゲームとかならよくあるけど、これって本物なのかな?」
「というか紙の中に火の玉が入ってるってこと自体がすでにウソくさいんですが」
「そこらへんはお約束としてさらっと流さなきゃ。あー早く使いたいなー」

心底楽しみにしている様子のこなたを見ながら、ハヤテは『細かいことを深く考えたら負け』という悟りの境地に達しつつあった。

▼ ▼ ▼

結局、支給品はハヤテが.454カスールとニードルナイフを、こなたが猫草の入ったランドセルと『フレイム・ボール』を持つことになった。
ハヤテは銃はともかくナイフ投げは食事用のナイフで介護ロボと渡り合ったほどの腕前だし、それを最大限に発揮するには猫草は逆に邪魔だ。
その点こなたが持てば、自衛専門とはいえ猫草が本当に戦ってくれるのであれば戦闘能力を持たないこなたの身を守ることになるので一石二鳥となる。
フレイム・ボールは単に安全対策である。ゲームに乗った者と戦うのは基本的にハヤテになりそうなので、破ると危険な紙を持ち歩くのは避けないといけない。
803Classical名無しさん:07/05/10 01:40 ID:Ko1OQx8I
一つだけ残された戦略があったぜ。
それは! 『支援』
804Classical名無しさん:07/05/10 01:41 ID:v9D62kBg
投下ラッシュに脳みそがパンパンだぜ支援

「じゃ、そろそろ出発しよっか」

ひょいとランドセルを背負うこなた。その姿を見たハヤテの脳裏に電撃が走った。

(に……似合うっ! ランドセルが黒い男の子用だってことを除けば、普通に通学路で見かけても納得してしまいそうだ……!
 ……いや、落ち着くんだハヤテ。こなたさんは僕よりも年上……そう、言ってみるならマリアさんと同い年!
 そんな人にランドセルが似合うとか考えるなんて失礼にも程があるぞ!
 ……あれ? マリアさんと同い年? なんだろう、それはそれで逆に違和感が……なんというかマリアさんと僕が一つ違いという自体に……
 って違う! 違うぞ! 論点はそこじゃない! 根本的に何かが間違ってる! 落ち着くんだ綾崎ハヤテ!)

葛藤するハヤテを尻目に、こなたはランドセルを背負ったままマイペースに歩き出した。

「どうしたの? 早く来ないと置いてっちゃうよ?」
「え!? あっ、すみませんこなたさん、今行きます!」

前を行くこなたが振り返ったのに気付いて、ハヤテは慌ててその後を追った。

▼ ▼ ▼

「そうこうしているうちに到着したのが冒頭でも登場した駅前デパートというわけですね」
「ずいぶん説明的なセリフだね」
「ここらへんは展開上の都合というやつですよ」
「むー、言うようになったねハヤテも」

細かい描写は冒頭でやったので省略。
早朝でも問題なく動く自動ドアを通って、二人は中に入った。
どうやら無人とはいえ設備は一通り生きているようなので、この様子ならもしかしたら商品も殆どがそのままである可能性が高い。
確かにこれなら役に立つ道具が何か手に入るかもしれなかった。

「でも、なんでまずデパートなんですか? 人探しをするなら、もっと他にも行くところがあると思うんですけど」
806Classical名無しさん:07/05/10 01:43 ID:31spzOGM
しええん
807Classical名無しさん:07/05/10 01:43 ID:weAmtbqo
もういっちょ支援

ハヤテの問いに、こなたは何の気もないような口ぶりで答えた。

「急がば回れっていうじゃん? もちろん私だってかがみやつかさやみゆきさんのことは心配だよ。
 でもさ、下準備無しじゃ何が出来るかも分からないじゃん」

さらりと口に出したこなたの一言に、ハヤテは虚を突かれて立ち止った。
どちらかといえばこなたはあまり先のことを考えない性質かと思っていたので、意外な気がしたのである。
しかし、言われてみればその通り。闇雲に動いてもどうしようもない。

(こなたさんはちゃんと先のことまで考えているんだな……僕も今できることを頑張らなきゃ)

拳を無意識に握り締める。
最初に出会ったのがマイペースなこなただったのは、もしかしたらかなりの幸運だったのかもしれないとハヤテは思い始めていた。
そうでなければ焦燥感に駆られて走り回るばかりで、何一つできずに終わっていたかもしれない。
焦っちゃ駄目だ。焦って自分を見失ったら、お嬢様も、マリアさんも、ヒナギクさんも、誰も助けられなくなる。

(ありがとうございます、こなたさん……おかげで僕は自分を見失いそうにすみそうです。
 そして……待っていてくださいお嬢様。必ず、僕が迎えに行きますから)

守る。その為に自分が出来ることを精一杯やる。ハヤテは決意を胸に抱き、一歩前へと踏み出した。

もっとも、ハヤテが真剣になっている時に当のこなたが考えていたことはと言えば、

(ロープレ風にいうと銃とナイフのハヤテはガンナーかアサシン、猫草連れてる私は魔獣使いって感じかな?
 パーティの編成としてはいまいちだよねー……接近戦でガシガシ削れる前衛キャラを仲間にしなきゃ)

いまいち現実味に欠ける内容だったりしたのだけど。

なにはともあれ、夜明けは近そうだ。
809Classical名無しさん:07/05/10 01:45 ID:BThPpDWc
ククク・・・・・・保守・・・・・・!、保守・・・・・・!
810Classical名無しさん:07/05/10 01:45 ID:Ko1OQx8I
支援の時間か!?
【2-D 繁華街/駅前デパート 一日目 黎明】


【泉こなた@らき☆すた】
{状態}ごきげん
{装備}猫草inランドセル@ジョジョの奇妙な冒険
{道具}支給品一式 フレイム・ボール@ゼロの使い魔(紙状態)
{思考・状況}
1:開店前のデパート巡りってわくわくするねー
2:パーティに前衛キャラ(近接戦闘が得意な参加者)を加える
3:デパートで役に立ちそうな道具を調達する
4:かがみ、つかさ、みゆきを探して携帯を借りて家に電話
※猫草の『ストレイ・キャット』は、他の参加者のスタンドと同様に制限を受けているものと思われます。

【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく】
{状態}健康
{装備}.454カスール カスタムオート(7/7)@HELLSING
{道具}支給品一式 13mm爆裂鉄鋼弾(35発)、ニードルナイフ(15本)@北斗の拳
{思考・状況}
1:デパートで役に立ちそうな道具を調達する
2:こなたを守る
3:ナギ、マリア、ヒナギクを一刻も早く探し出し合流する
4:出来るだけ多くの人を助けたい
基本行動方針
全員で帰る
812 ◆qvvXwosbJA :07/05/10 01:50 ID:WfwU4iCM
投下完了。支援に感謝します。

絶対に指摘がありそうなので、支給品の解説をば。
猫草に関しては問題ないはずです。意思持ちの生物とはいえ、会話も自力での移動も不可能なので。
そして問題の「フレイム・ボール」ですが……エニグマの「紙には炎や電気なども入れられる」という能力を利用した、掟破りの「モノじゃない支給品」です。
他のロワではシステム的に不可能なだけに、やってみたかったのですが……改めて考えると、冒険しすぎな気もしますね。
当方に修正の用意あり、ということで、ご意見お待ちしています。
813 ◆d4asqdtPw2 :07/05/10 02:02 ID:v9D62kBg
銀時・バキ組を投下した者ですが、今になって間違いに気づいてしまいました……
F-2の橋は鉄道だったんですね。大通りかと誤解してました。
話の開始の時点で銀時が橋の上にいるのに、最後まで橋の上にいるのはヤバイですね。
列車が来なくても線路の上で話はしないっすよね。
なので銀時たちの状態表の現在地を F-2橋の上 から F-2線路脇に修正したいのですが、
状態表の修正だけなんで、wikiでいじってしまってもよろしいでしょうか?
それとも投下したほうがいいっすか?

>>812
投下乙。ランドセルwwwなんというロリキャラ。
魔法の支給は別にいいと思いますよ。
814Classical名無しさん:07/05/10 07:06 ID:FHdBsqvc
>>725で思ったんだが、間違ってたらスルーしてくれ
>全身から銃口が浮き出る姿は正に異形の者
全身から銃口を出せるのは、この初期の金色のタイガーロイドじゃなくて、再改造した中期白色のタイガーロイドじゃないか?
815Classical名無しさん:07/05/10 08:10 ID:FCurvFnI
>>812
GJ! うはwwこなたのことは知らないけど、ハヤテの思考がもの凄くハヤテらしい!
マリアさんじゅうななさいに失礼なことも含めてww
でもハヤテは重機関銃で巨大ロボを撃破する程度には銃器も扱えるよ
454カスールも、問題なく使いこなしそうだ

……ひょっとして、ラオウや勇次郎あたりとも十分渡り合えるキャラなんじゃないか?
816Classical名無しさん:07/05/10 08:16 ID:1Y/0T2z.
ギャグ漫画補正恐るべしだな。
817Classical名無しさん:07/05/10 08:36 ID:JQ1PQX3g
投下乙です。
ね、猫草in隼人のランドセルに火の玉っすか!?w
漫画ロワ、そしてエニグマの能力だからこそ可能な支給品ですね。GJ。
確か猫草ってジョジョロワや某にも登場したことないですよね? このロワでパロロワ初参戦か?

しかし、想像してみたら本当にランドセル似合い過ぎだぞこなた。www
さすが原作でも小6のころのスクール水着を普通に着こなせるロリ高校生。wwwww


しかしハヤテとこなた、ナギと承太郎、マリアと散……ハヤテ勢は序盤から面白い面子とコンビ組んでるな。w
ヒナギクは……まあ、投下される話次第だな…………w
818Classical名無しさん:07/05/10 15:50 ID:BThPpDWc
>>817
猫草はジョジョロワでは出てましたぜ
819Classical名無しさん:07/05/10 16:22 ID:Z2Icwmkc
>>818
違うよ、全然違うよ。
猫草はボツSSには出て来ているがな
820Classical名無しさん:07/05/10 19:47 ID:Ko1OQx8I
>>815
読み直して、気がついた。
それであっている。

漫画ロワ参戦時期のタイガーロイド・三影は腰の機関銃と、背中の大砲一門+小型のキャノン砲が左右に二門。
以上が装備だった。

◆7jHdbxmvfI氏には悪いけど、三影の戦闘描写を参戦時期にしてくれれば問題ないかな。
821Classical名無しさん:07/05/10 19:48 ID:Ko1OQx8I

アンカーミスorz

>>815じゃなくて>>814だった。
822Classical名無しさん:07/05/10 20:06 ID:n7I/eT7E
ラオウはワシじゃなくて、このラオウのほうがしっくりくるような
気がする
823 ◆7jHdbxmvfI :07/05/10 21:10 ID:O.H3KCQs
>>820
戦闘描写の修正を行いました。
>>814で指摘されてから急いで確認しましたが、確かにそうです。
ご指摘誠にありがとうございました。誠心誠意感謝いたします。

>>822
ラオウは自分の中だと、独白ではワシの方が自然な気がするのですが……
ですが、ご意見を下さった事は誠に感謝します。
824 ◆qvvXwosbJA :07/05/10 21:16 ID:iYmXZF0o
したらばに「しょってけ! ランドセル」の修正箇所を投下しました。
修正といっても、>>815の「ハヤテは銃も使える」という設定を失念していた部分と、あとはこなたの状態表を微妙に訂正しただけですが。
wikiの修正は自分でやっておきますので、お気遣いなさらず。

それから今更だけど、wikiの書き手紹介のところにコメント書いてくれた人に感謝を。読み返すたびに活力が漲るような気がします。
825 ◆d4asqdtPw2 :07/05/10 21:23 ID:koF1Ooxc
>>813の件だけど、鉄橋でもいいかって思ったから修正しない方向でいきます。
鉄橋でも線路脇はあるよね。
826Classical名無しさん:07/05/10 22:21 ID:Ko1OQx8I
>>823-824
修正乙。
827Classical名無しさん:07/05/12 01:23 ID:sb6of88o
ちょっと書き手全体に支援するついでにマーダー、対主催のバランス見てみた。
マーダー
フェイスレス:弱者限定
しろがね:奉仕(勝)
ラオウ:健康な強者限定?
アンデルセン:無差別
ジャギ:無差別
勇次郎:強者限定
DIO:無差別
アーカード:強者限定?
村雨:無差別
鷲巣:無差別
アミバ:無差別

11人と多いけど、無差別は6人か。
対主催の強者の近況は
アカギと加藤が神社で様子見
カズキが単独で人探し
銀時とバキは繁華街へ向かい北上中(バキは同意を得た場合だれかれ構わず戦闘)
覚悟がルイズと病院へ移動
花山が斗貴子と情報交換中
劉鳳がブラボーと接触間近(火種有り)
神楽がキュルケと接触間近(拡声器所持)
ケンシロウと独歩がそれぞれ北と西へ移動中
カズマが駅で待機(電車使うか不明)
本郷がヒナギクを護衛しつつ、アンデルセンを迎えうつ

対主催も火種多いな。先が読めない。加藤とアカギは位置がいいからこの二人が対主催の鍵か。
828Classical名無しさん:07/05/12 01:26 ID:GiAyLJZw
あとは散が実質的にどちら側に機能するかもキーポイントだよな。
829Classical名無しさん:07/05/12 01:28 ID:2z1xKMlY
>>827
>アーカード:強者限定?

アーカードは無差別じゃねーかな。
それと吉良を忘れてるって。
ヤツは女キャラ限定マーダー……かな?

ただ、吉良の殺しの衝動は抑えられるもんじゃないから、
護衛してるヤツとかがいても襲い掛かるだろうなあ。
一応強いし。
830Classical名無しさん:07/05/12 01:28 ID:jyR/AvVQ
>>827
まとめ乙。そういった進行表も後々必要になるな。
しかしマーダーが強いなww
831Classical名無しさん:07/05/12 01:29 ID:siepqGes
ラオウは女キャラに対してはいくら全快だろうと、向こうに殺意あろうと襲わないぞ
832Classical名無しさん:07/05/12 01:29 ID:UA6U8dBA
吉良は美人の手さえあれば手が臭い出すまでは満足するみたいだから一人で十分だな、完全にマーダーとはいえないかも
833Classical名無しさん:07/05/12 01:37 ID:LT84AvX2
>>832
公園に放置してある美那子さんの手を忘れないであげてください
吉良が気付けば、それだけで所有者は常に死亡フラグが立ちっぱなしにw
834Classical名無しさん:07/05/12 01:43 ID:b5qTF6os
吉良で思うんだが、キラークイーンの爆発力に関しての制限は無し?
幾らなんでもキラークイーン触れる=即死はまずいのでは・・・・?
流れぶったぎってスマン。
835Classical名無しさん:07/05/12 02:29 ID:UA6U8dBA
確かに爆弾化は即しだけどキラークイーンそのものはたいした戦闘力じゃないから
クレイジーダイヤモンド位のスピード(パンチの速度は時速300キロだとか)があれば至近距離でも一切触れられずにボコボコに出来る
それに射程が2Mと短い上本体が一般人、さらに能力がかけられるのは両手で触れなきゃ駄目だから腕とか握られたらもう駄目。
触って→能力発動まで少しあるみたいだし触れられてもスイッチ押させないとかいろいろ方法はあるからこのままでいいんじゃないか?

これで対処出来ないようなキャラなら制限したところでキラークイーンに腹ぶち抜かれて終わりだろう。
不意打ちの殺傷力は強いがそれは銃弾とかだって同じだし、ましてスタンドは制限で見えるし攻撃できるわけだからな。
836Classical名無しさん:07/05/12 02:35 ID:2z1xKMlY
>>835
シーアハートアタックを失念してるぞ。
ありゃあなかなか強力だ。
837 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 09:53 ID:5o6Aw8Q2
アンデルセン、ヒナギク、本郷、投下します。
838Classical名無しさん:07/05/12 09:53 ID:siepqGes
不明支給品を持っているキャラをまとめてみた。
これくらいだとまだまだ出せそうだな

坂田銀時:0〜2(未確認)
葉隠散:0〜3(未確認)
ラオウ:0〜3(未確認)
吉良吉影:0〜3(未確認)
防人衛:0〜3(未確認)
花山薫:0〜3(未確認)
柊かがみ:0〜3(未確認)
三千院ナギ:1〜3(未確認)
キュルケ:1〜2(未確認)
フェイスレス:1?〜3?(未確認?)
劉鳳:0〜3(未確認?)
桂ヒナギク:1〜3(未確認?)
ジャギ:0〜2(確認済み)
ヅラ:0〜1(確認済み)
アンデルセン:0〜2(確認済み)
空条承太郎:1〜2(確認済み)
毛利小五郎:0〜1(確認済み?)
本郷猛:1〜3(確認済み?)
セラス:1〜3(未確認?)
村雨良:1〜3(未確認?)
アミバ:1〜3(確認済み)
市川:1〜3(未確認)
ケンシロウ:1〜3(確認済み)
愚地独歩:1〜2(確認済み)
平山幸雄:1〜3(未確認)
才賀勝:1〜2(確認済み)
斗貴子さん:0〜3(確認済み)
839出動!バルスカ神父 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 09:55 ID:5o6Aw8Q2
本郷猛にとって殺し合いの最中であっても、自分に課せられた使命がいささかも揺らぐ事は無かった。
仮面ライダーを名乗った時から己に課した使命、弱者を守り悪を打ち倒す。
爆弾入りの首輪で縛られ、未知の力を振るう主催者に殺し合いを強要されてなお
仮面ライダーの正義に、些かの揺らぎも無かった。
だからこそ危険を承知で偶然見付けた、見知らぬ少女――桂ヒナギクに声をかける事が出来た。
 
「どうした、何があった?」
本郷が幾ら声をかけても、ヒナギクは虚ろな表情のまま何の返事も返してこない。
ヒナギクの様子を良く見てみれば、息が上がり服は木の葉や土で汚れている。
(何者かに、襲われたようだな……)
「何があったのか、事情を説明してくれ!」
肩を乱暴に揺すっても、ヒナギクの反応は無い。
「……スマン」
本郷はヒナギクの頬を、平手で叩く。
「……あ………」
「頼む!今は状況の把握の遅れが、文字通り命取りになるんだ!
 俺にとっても、そして君にとってもだ!!」
 
◇ ◆ ◇

アレクサンド・アンデルセンは、毛利小五郎のデイパックを拾った後
ヒナギクを追って、木々が生い茂る林の中を縫う様に駆ける。
心中では抑えようも無い愉悦と、耐えようも無い怒りを同時に感じていた。
 
840Classical名無しさん:07/05/12 09:55 ID:qLTwKRwY
 
841出動!バルスカ神父 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 09:56 ID:5o6Aw8Q2
 
――この俺を化け物共や異教徒共と一緒くたに、糞だめへ放り込んで殺し合えだと?
――殺し塵に還すのはカトリックの! 法皇庁の! 十三課(イスカリオテ)のみの使命。
――殺され塵に還るのは化け物の! 異教徒の! 全ての異端の運命。
――それを異端共と同じ首輪に繋いで、殺し合いをしろだと?
――よかろう、ならば俺一人で何もかも一切合切決着する。
――この地獄の異端共の兵力は59名。法皇庁の兵力は1名、刺客(イスカリオテ)のユダが一人。
――化け物共と異教徒共を殲滅するには、充分に過ぎる。
 
アンデルセンは眼前の闇の向こうに、異形の化け物を発見する。
その心中はいつもの如くに、いつも異端と対峙する時の如くに、憎悪と歓喜の業火に焼かれていた。
 
――眼前に敵を放置して何が十三課(イスカリオテ)か!? 何が法皇庁か!?
――化け物め、我が神罰の味かみしめるが良い。
「Amen」

◇ ◆ ◇

「………それで、小五郎さんが残った方向で爆発が………」
「……そうか、辛い事を話させてすまなかった」
 
ヒナギクからの話を聞き、本郷は敵からの襲撃が近いと推測する。
(彼女を守りながら敵を迎え撃つ方法は、大まかに分けて二つ。
 一つは彼女を庇いながら、迎え撃つ方法。
 だがこれは俺の動きが大きく制限される上、敵も彼女を狙ってくる危険性が高い。
 もう一つは彼女を逃がして、残った俺が迎え撃つ方法。
 だがこれも彼女を一人にして、別の者に襲われる危険性が有る)
 
842Classical名無しさん:07/05/12 09:56 ID:qLTwKRwY
843Classical名無しさん:07/05/12 09:57 ID:qLTwKRwY
 
844出動!バルスカ神父 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 09:57 ID:5o6Aw8Q2
 
本郷は自分たちが居る路上の北側の林の中から、鳥が群れで飛び立つのを見付けた。
(敵は近くまで来ているな……)
少し考えた後本郷はヒナギクに自分のデイパックを投げ渡し、南側の林の中茂みを指す。
「これを持ってあそこに隠れていてくれ、そして危険だと判断したらそれを持ったまま逃げるんだ」
「だ…!ダメよそんなの!!これ以上誰かを犠牲にして逃げるなんて……!!」
「そのデイパックの中には極めて強力な武器が入っていて、絶対に殺し合いに乗った者に渡す訳にはいかないんだ」
「本郷さん一人で、戦える相手じゃ無いわよ!」
本郷は右手を左上に伸ばし、そのまま右手を上に旋回する。
「ライダー……変身!」
右手を引き、左手を右上に突き出す。
腰に出現したベルトからの光に包まれ、本郷の身体が緑と黒の体躯に赤く巨大な双眸を持つ異形に変貌する。
「………!?」
本郷の変貌に、ヒナギクは呆然としたままでいる。
「……見ての通り、俺は人間ではない。力なき人々を守る為の、力を秘めた身体だ………!」
突然ヒナギクを先程指していた茂みに突き飛ばした本郷は、反対側の林に向き直った。
 
「ヴゥァアアアアルキリィイイイイイイイッッスカァアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛トッッッッ!!!!」
林の中から飛び出してきたアンデルセンの足元から、四本の閃光が奔る。
その閃光を本郷は、アンデルセンの飛び出してきた林に飛び込んでかわした。
路上に戻ろうとした本郷の前に、バルキリー・スカートの刃を突き立てアンデルセンが立ち塞がる。
「良い月だな、化け物」
 
アンデルセンが立っていた地面が弾けたと見えた次の瞬間、本郷の頭上から刃が振り下ろされた。
地面に転がり込んで避けた本郷が見上げると、アンデルセンは木々の間を飛び跳ねている。
(地利をとられたか……)
845出動!バルスカ神父 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 09:58 ID:5o6Aw8Q2
本郷を鋏む様に、前後から同時にバルキリー・スカートの刃が迫る。
横っ飛びにかわした本郷の背中を、二本の刃が掠めた。
「グゥッ!」
今度は左右から同時に迫る刃を前に飛んでかわし、前からの刃を両手で挟み取る。
「グワァッ!」
動きの止まった本郷の後頭部を、アンデルセンが蹴り飛ばす。
 
「ゲハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!
 どうした化け物、少しは反撃しろ! 少しは俺を楽しませろよ!!」
木の枝に乗ったアンデルセンは、本郷の四方から囲う様に刃を奔らせた。
「ライダァアアア パァーンチ!!」
アンデルセンが乗っている木の根元を、本郷が拳の一撃で粉砕する。
「!!?」
倒れていく木から落ちるアンデルセンの足首を、本郷が掴む。
 
「ライダーーーきりもみシューート!!」
アンデルセンの身体を頭上で高速回転させ、そのまま高空に投げ飛ばした。
追撃をかけようとする本郷の膝が、僅かに落ちる。
(妙に体力の消耗が激しい……次で勝負を決めないとな………)
「トオ!!」
本郷はアンデルセン目掛け飛び上がり、その勢いのままで蹴りを放った。
「ライダァァァアアアア キィーーーック!!」
本郷の蹴りが、アンデルセンの横腹を貫通する。
と同時にアンデルセンの足から伸びた刃が、本郷の背後から肩を刺す。
アンデルセンに与えた衝撃のまま、本郷の肩に刃が食い込む。
二人はほとんど同時に林の中に落ちていった。
 
 
846Classical名無しさん:07/05/12 09:58 ID:siepqGes
まだ支援の途中だぞ?HURRY!HURRY!
847Classical名無しさん:07/05/12 09:58 ID:qLTwKRwY
   
848出動!バルスカ神父 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 09:59 ID:5o6Aw8Q2
 
 
(……あいつは……どうなったんだ?…)
運悪く岩の上に落ちた本郷は、ダメージを引きずりながらも立ち上がりヒナギクを捜して歩く。
本郷の右大腿部を、バルキリー・スカートの刃が貫く。
「グワァッッ!!」
「逃がすと思うか、化け物」
脇腹を削り取られ下半身が千切れかけたアンデルセンが、本郷の後ろに立っていた。
四本の刃がそれぞれ、本郷の身体を切り裂いていく。
「ゲァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!
 悶えろ!悶えろ!!化け物(フリークス)!!!」

◇ ◆ ◇
 
ヒナギクは本郷とアンデルセンの戦いを遠巻きに眺めながら、本郷に加勢する隙を伺っていた。
その手には渡されたデイパックの中に入っていた支給武器である、小型のボウガンが握られている。
紙の中から明らかに紙より大きいボウガンが出てきた時は、ヒナギクも混乱したが
悪霊やら超必殺技やらの超常現象には慣れているヒナギクは、すぐに気持ちを切り替えた。
 
(な……!何なのこの戦いは!?)
武器が手に入っても、ヒナギクは二人の戦いに入り込めないでいた。
二人のスピードが速すぎて、ヒナギクには動きを捉える事も出来ない。
 
高く飛び上がった二人が再び林の中に墜落し、ようやく二人の動きが止まった。
(一旦は動きが止まったけど、あんな速さで動ける相手に下手に手を出しても返り討ちにあうだけよね。
 どうにかしてあいつの動きを止めないと……)
ヒナギクは残り二つの支給品の、説明書を確認する。

◇ ◆ ◇
 
849出動!バルスカ神父 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 09:59 ID:5o6Aw8Q2
 
アンデルセンは本郷の足の甲を、バルキリー・スカートの刃で刺して動きを封じた。
「終わりだ」
「はあああ!!」
気勢を上げアンデルセンに向かい走りこんで来たヒナギクが、紙を投げ付ける。
その紙は空中で切り払われるも、その中から網が広がっていきアンデルセンに覆いかぶさる。
 
アンデルセンが手を払う様に振っても、網を裂く事が出来ない。
「無駄よ、説明書によればその捕獲網は地下闘技場という所で
 地上最強の生物を捕獲するのに使われた物で、簡単に裂ける物じゃ無いわよ」
「ナメるなよ売女」
アンデルセンは、バルキリー・スカートの刃で網を切り裂く。
ヒナギクはボウガンの矢を、アンデルセンに向ける。
「そんな玩具でこの俺が、どうにかできるとでも思っているのか」
懐から紙を取り出したヒナギクは、それをアンデルセンの頭上に放り投げ
ボウガンで撃ち抜くと、中から巨大な車輪を持った建設機械が現れる。
「……ロードローラー!?」
轟音と共にロードローラーは、アンデルセンを押し潰しながら落下した。

◇ ◆ ◇
 
「大丈夫ですか!?」
ヒナギクは、本郷の下に駆け寄る。
「……ああ…それより早く、ここから逃げないと」
「な、なんでここから逃げるんですか?」
「あいつは……あの程度では死んでない……」
「ロードローラーの下敷きになったんですよ!?あれで生きている筈が……」
「………まったくもって……良い月だな……異端共」
 
850Classical名無しさん:07/05/12 09:59 ID:qLTwKRwY
  
851出動!バルスカ神父 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 10:00 ID:5o6Aw8Q2
 
ヒナギクがアンデルセンの声がした方へ振り向くと、ロードローラーが斜めに傾きだし
その下からアンデルセンの上体が、這い出てきた。
「………あ……で、でも下半身は下敷きのままみたい……」
「シィイイイイイイイイイイイイイイ!!」
アンデルセンは地面を強く掴んで、元々千切れかけた自分の腹から下を無理矢理引き千切る。
「……どうした……まだ下半身がちぎれただけじゃねえか………
 来いよ……かかって来い………HURRY……HURRY」
ヒナギクは本郷に肩を貸して、アンデルセンから遠ざかるよう駆け出した。

◇ ◆ ◇
 
アンデルセンはロードローラーの下から、バルキリー・スカートの基となる核鉄を拾う。
そしてそれを下半身に当て、自身の再生能力と併せて回復に当てていた。
 
――傷を癒さないとな、俺が異端共への殺意をおさえられているうちに。
今のアンデルセンにとって最大の敵は、殺意に逸る自分自身。
少しでもそれを紛らわす為に、神父は祈りを唱える。
化け物と異教徒への、殺意に満ちた祈りの言葉。
 
――我は神の代理人、神罰の地上代行者。
――我が使命は我が神に逆らう愚者を、その肉の最後の一片までも絶滅すること。
――Amen。
 
852出動!バルスカ神父 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 10:01 ID:5o6Aw8Q2
 
【H-4 林 1日目 黎明】
【アレクサンド・アンデルセン@HELLSING】
[状態]:下半身欠損。
[装備]:核鉄(バルキリー・スカート)@武装錬金
[道具]:不明支給品0〜3品(本人は確認ずみ)
[思考]
基本:化け物共と異教徒共は鏖
1:身体の回復を待つ
2:回復次第、化け物共と異教徒共を捜す
3:アーカードを殺す
[備考]

再生者の制限は回復速度が遅くなることと、頭部などへの致命傷は再生できないことです
再生が弱まっていることを自覚しています
参戦時期は原作2巻です

【桂ヒナギク@ハヤテのごとく】
[状態]:体中に擦り傷、切り傷(戦闘に影響なし)。軽い疲労
[装備]:ボウガン@北斗の拳
[道具]:支給品一式。ボウガンの矢19@北斗の拳
[思考]
基本:ハヤテ達との合流
1:アンデルセンから逃げる。
[備考]

小五郎の生存を絶望視しています
ヒナギクが聞いた轟音の正体は、三影の大砲の音です
参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1〜3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
ロードローラー@ジョジョの奇妙な冒険と捕獲網@グラップラー刃牙は【H-4 林】に落ちています
853Classical名無しさん:07/05/12 10:01 ID:qLTwKRwY
     
854出動!バルスカ神父 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 10:02 ID:5o6Aw8Q2

【本郷猛@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:体中に刺し傷、切り傷。極度の疲労
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考]
基本:弱者を保護するが、襲ってくるものには容赦しない
1:アンデルセンから逃げる
2:轟音の正体が気になる
3:村雨との合流、三影の阻止(場合によっては破壊)
[備考]
※ 参戦時期はコミックス7巻(第二十八話)です
855Classical名無しさん:07/05/12 10:03 ID:siepqGes
乙!
>「ヴゥァアアアアルキリィイイイイイイイッッスカァアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛トッッッッ!!!」
テラ若本wwwwwwwwwww
856 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 10:04 ID:5o6Aw8Q2
投下終了しました。
支援して下さって、ありがとうございます。
857Classical名無しさん:07/05/12 10:13 ID:qLTwKRwY
乙であります
普通に轢き潰しても凶悪な建設車両を、上から叩き落とすとはヒナも容赦ねぇな
でも何故か、これがロードローラーの正しい使い方な気がする……教えてDIO様!

で、アンデルセンはやっぱり若本キャラなのねw
858Classical名無しさん:07/05/12 11:33 ID:efnszh8k
>>856
GJ!
ロードローラーが正しい使い方をされて嬉しい限りw
ヒナかっこいいよヒナ

それにしても支給品を紙状態で丸めて投擲→遠距離攻撃で破壊して具現化のコンボは今後も役立ちそうな予感
859Classical名無しさん:07/05/12 11:56 ID:iZVZGqEc
投下乙。
でも気になったことがひとつ。
紙を破壊したら中の物も破壊されるんじゃなかったっけ?>エニグマ
だからロードローラーはバラバラになって現れるのでは?


あと若本自重。www
860Classical名無しさん:07/05/12 13:26 ID:2z1xKMlY
>>856
>「ヴゥァアアアアルキリィイイイイイイイッッスカァアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛トッッッッ!!!」

とロードローラーの使い方に吹いた。
いやあ、いいねえ。
それにしてもヒナギクなかなかやるじゃないか。
本郷の「変身!」にはやっぱりワクワクしたし。
ライダーカコイイよライダー。
GJ! でした
861Classical名無しさん:07/05/12 14:21 ID:vLuzDp2I
おつです。
矢を打ち込まれただけだから、貫通痕があるロードローラーが現れたんじゃないかと。
呼称してても最大の武器は重量だから大丈夫、なんじゃないかな?
862 ◆33iayeGo/Y :07/05/12 15:34 ID:0yubm2wk
お待たせしました。
セラスとジグマールの話を一時投下に落として来ました。
少し大丈夫かな?と思うところがあるので何かあればあちらの方で御願いします。

長い間キャラクターを拘束してしまい、申し訳御座いませんでした。
863Classical名無しさん:07/05/12 17:02 ID:S6YSrS8Y
>>862
投下乙。ジグマールwww原作どおりのキャラだなww
個人的には「絶対にノゥ!」って言って欲しかったけどw
セラス……キャラ的に序盤で死んで欲しくはなかったんだが、
バトルも面白いし、矛盾もないしな。最期カッコよかったし。
ここはあきらめて追悼しますか。
864Classical名無しさん:07/05/12 17:10 ID:UAF/nudc
>>856>>862GJ
どちらもよいバトルでした。

ふと思った。エニグマの紙をバラバラにしたら中に入っている物もバラバラになるのはよく分かる。
けど、端の支給品ではない部分ををびりっとやぶいたらどうなるんだろうか?
バラバラになるのだろうか? ノーダメージなのだろうか?
865 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:25 ID:h31c9iCc
>>856
GJ!
本郷カッコイイ。
下半身ちぎれてアンデルセン下半身裸体疑惑の真相が闇の中。
たぶん再生すると思うけど。

>>862
GJ!
セラス惜しかった。いいバトルを魅せてくれたから本望だろうけど。
ジグマールは本当にもうw

それでは、パッピー、承太郎、ナギ投下します。
支援をお願いします。
866変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:26 ID:h31c9iCc
 金の光を淡く浮かばせ、瞬く星とともに街を照らす月。
 月を見つめるものはさまざま。その中の一人が、電柱の頂点に立つ。
 両手を手首の位置で交差させ、天に向けている。腰は左に突き出し、視線は月へ向けている。
 その格好は、奇抜としか言うしかなかった。
 全身にフィットする、黒いタイツ。胸元から腰まで開いており、その間を繋ぐのは黒い紐。
 もっこりとした股間には、蝶の模様が白くかたどられている。
 肩のふくらみと、手首の位置にある白い布の飾りが、昔の貴族の衣装を髣髴させていた。
 印象深い見た目だが、より印象的なものはその顔にある、蝶をかたどった仮面。
 前分けにされた黒髪の下にある仮面は、長身痩躯の彼の印象を強いものにしていた。
 それこそ、一度見たら忘れられないほどに。

 その彼が、月を見て思うのは、殺し合いに乗ることか。再会を望むのか。
 静かに佇む姿からは、第三者には分からないだろう。
 やがて、彼がゆっくりと口を開く。
 空気が変わり、待ち望んでいたように停滞していた時が動いた。

「パピッ!! ヨンッ!!」

 ……まずは、己の名を愛を込めて叫ぶことにしたらしい。



 暗闇の中から、長身の男と、小柄な少女が浮かび上がる。
 男の方は、身長百九十五センチのたくましい身体を学生服に包み、学生帽の下にある意志の強い眼差しは近寄りがたい雰囲気を作り出していた。
 右手に持つ首輪探知機を手に、猥雑に器材が並ぶ道を行く。
867変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:26 ID:h31c9iCc
 首輪の反応を見つけ、彼の探し人であるか確かめにきたのだ。
 そうでなくても、傍にいる子供といって差し支えない、金の長い髪を二つに結ぶ、白い肌の少女を預けられる人物に出会いたいと願っての行動でもある。
 もっとも、反応している先が、DIOみたいな危険人物である可能性もある。
 慎重に足を運び、首輪の反応があると思わしき場所に視線を向けた。
 くいっ、と袖を引っ張られるが、無視をする。
 相手が殺し合いに乗っているなら、一瞬の油断が命取りだ。
 暗闇が怖いなどのくだらない戯言に付き合う暇はない。
 なにより、こういった子供が苦手ということもある。
 自分たちの旅にも、家出少女が引っ付いていたなと思いながら、引き続き探索を行う。
 再度、袖を引っ張られる。まだ状況を察していないのかと呆れ、ため息をつきながら振り向く。
 そこには、少女が指を指している様が眼に入った。
「JOJO。あれ……」
 ナギが指している先に、視線を移動させる。
 すると、電柱の頂点に、奇妙なポーズをしながら、月を見つめている男が眼に入った。

「パピッ!! ヨンッ!!」

 叫びが聞こえ、反応に困った。
 その奇妙な格好は、一つの単語を思い浮かばせた。
「……変態」
 ポツリと呟かれた、ナギの言葉に思わず同意する。
「……やれやれだ」
 帽子のつばを掴み、呆れたように呟く。
 その瞬間、承太郎は視線を奇妙な男から外していた。
「変態とは、随分とご挨拶だな」
868変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:27 ID:h31c9iCc
 驚き、振り向くと着地するパピヨンと叫んだ男が眼に入った。
「このまま舞踏会に駆けつけれるほど、素敵な一丁裏じゃないか」
 いかれた台詞に、ナギがヒッと短くもらすのが聞こえる。
 その彼女を庇うように、前へ出て厳しい視線を射る。
 あの僅かな瞬間で、自分に気づかれず跳躍した奴に油断はできない。
「……てめーは、この『ゲーム』に乗っているのか?」
 パピヨンは答えず、笑みを深めるのみ。
 その、どぶ川が腐ったような色の瞳が、気に入らなかった。



(外れか……)
 近くで、人の気配を感じてはいた。
 その人物か知るため、一つの手段をとったのだ。
 電柱に立ち、自分の名前を叫ぶ。
 これを聞いたのが、武藤であれば声をかけるだろう。
 あの偽善者のこと、自分にもこのゲームを壊すのを協力しろというはずだ。
 武藤でない錬金の戦士やゲームに乗った殺戮者が聞いたのなら、ほどほどに相手をして逃げればいい。
 見晴らしのいいこの場所、襲われたとしても逃げるのはたやすかった。
 それでは、今しがた出会ったゲームに乗っていない連中にあったならどうするのか?
(殺すかどうかは、これからの抵抗しだいで決める。まずは、核鉄を持っているか、確認がしないとな。
それに、この華麗なオシャレを理解せず、変態と言った償いはしてもらおう)
 どうやって探りを入れるか考え、承太郎の視線に真っ向から対抗する。
 この程度の威圧など、ホムンクルスとして死線を乗り越えた自分にとってはそよ風にも等しい。
(さて、どうするかな?)
869Classical名無しさん:07/05/12 17:28 ID:UAF/nudc
870変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:28 ID:h31c9iCc
 次の一手を考え、彼は楽しそうに笑みを深めた。



 承太郎とパピヨンのにらみ合いに、異様な空気が広がる。
 その空気に適応できず、三千院ナギは胃を痛めていた。
(いったいなんだ! JOJOも変態も睨み合っただけでまったく動かないなんて!
あの変態、いきなりフォーとか叫んで暴れたりしないよな? それは私のお稲荷さんだとか言わないよな?
そんなことされたらハヤテと結婚できないではないか!? ハヤテ、助けて)
 ナギは慣れない空気に動揺しきって、妙な考えが頭から離れない。
 結局、空気に耐えれずに一歩後ろに下がると、器材に足がとられてしまった。
「あっ……」
 盛大な音を立て、ナギが転がる。擦り剥いたひじが痛い。
 しかし、いまだ二人は微動だにしていなかった。
 背景のような扱いに、少し挫けそうになる。
 デイバックを掴むと、中身が出ていることに気づいた。
 自分に支給された道具の一つ、核鉄だ。
 拾って顔を上げると、パピヨンが自分を見ているのに気づく。
 承太郎に向けていた笑顔が、更に深められ、不気味な様子をさらけ出していた。
「核鉄、蝶戴!!」
 シュワッチと叫びながら、パピヨンがナギに迫る。
 ウルトラ○ンを髣髴させる突進に、なす術もなく見ることしかできなかった。
(ああ、きっとあいつに私は顔を股間に入れられ、振り回されるんだ。って、冗談じゃない!
そんなことされて堪るか! ハヤテ〜)
 泣き顔を浮かべる彼女に、パピヨンの指先が触れそうになった。
871Classical名無しさん:07/05/12 17:29 ID:UAF/nudc
872変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:30 ID:h31c9iCc
「オラァァッ!!」
 その瞬間、承太郎の傍に立つ、古代ローマの戦士を思わせるような黒髪の戦士が、拳をパピヨンに放った。
 パピヨンは、錐揉みしながら壁を砕き、瓦礫に埋もれていく。
 ナギは泣き顔から、花を咲かせたような笑みを承太郎に向ける。
「JOJO〜」
「とっとと隠れてな。こいつは、お子様には刺激が強すぎるぜ」
 ナギは瓦礫を跳ね除けるパピヨンに対峙する承太郎の後ろに隠れ、戦いの行方を見守るしかできなかった。



(今までジッとしてたくせに、ナギの支給品を見ていきなり飛び掛ってきやがった)
 パピヨンは瓦礫を跳ね除け、立ち上がる。
 手加減なしの、全力の攻撃だった。
 少し威力が下がっている気がするが、それでも並みの相手なら下半身を引きちぎってもおかしくない攻撃だ。
 それに速さも半端ではない。あと少しでも反応が遅ければ、ナギに触れていただろう。
(一筋縄ではいかない、敵ってわけか。やれやれ……)
「随分と面白い能力を使うな。その横の人形、なかなかの威力じゃないか。
ちょっと痛いけど、快・感♪」
「てめー、スタンドが見えるのか?」
「もちろん。そのガキにも見えているみたいだぞ」
「……本当か? ナギ」
「ああ。私にも見えている」
(どういうことだ? スタンドはスタンド使いにしか見えないはず。
あのパピヨンはともかく、ナギがスタンド使いの素質があるとは思えねえ。いったいどういうことだ?
まあ、いい。まずは、こいつをぶちのめす!)
873Classical名無しさん:07/05/12 17:32 ID:UAF/nudc
874変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:32 ID:h31c9iCc
 疑問を解決している暇はない。
 油断できない「敵」をぶちのめす。それだけを考え、スタンドを構える。
 パピヨンは、相変わらずどぶ川の腐った色をした瞳を、ナギに向けている。
 迷惑な子供だが、見殺しにするのは目覚めが悪い。
 瓦礫が飛び散り、敵が迫る。
「おおおお!!」
「オラオラオラオラオラオラッ!!」
 承太郎のスタンド、スタープラチナのラッシュがパピヨンを貫く。
 パピヨンは腕を交差させ、頭のみを庇う。
 拳の連打は、敵の身体に窪みを作り、血反吐を吐かせた。
 しかし、ニィッと微笑まれ、血を吐きながら腕を振るってくる。
 紙一重でかわすが、承太郎の頬が血を噴出した。
 スタープラチナの精密な動きと、驚異的な視力、反応速度をもってしても、かわしきれない。
 間合いが離れ、パピヨンが指に纏わりつく、承太郎の肉を舐めとった。
「なかなかいい味がするじゃないか。久しぶりに人肉を食ってみるのも、いいかもしれない」
「なるほど。DIOと似たような化け物というわけか。道理で頑丈なわけだ」
 お互いの視線が交差する。
 空気が凍りつき、火花が散るような錯覚を感じた。
 おそらく、相手も同じ事を考えているだろう。
 一歩、二歩と近付く。二人の距離が吐息がかかるほど近寄ったその時、動き始めた。
「オラァッ!!」
「ハッ!」
 拳が、お互いの頬に突き刺さった。



 激闘を繰り広げる承太郎を、ナギは見つめるしかなかった。
875Classical名無しさん:07/05/12 17:34 ID:UAF/nudc
876変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:34 ID:h31c9iCc
 もちろん、あの場へ自分がいっても足手まといになのは分かりきっている。
 それでも、自分の恩人に報いれないことに腹が立ってしょうがない。
(私は何もできないのか? いや、そんなことはない! 考えろ、ナギ!
諦めたらそこで試合終了だって、安○先生も言っていたじゃないか!)
 もっとも、猛スピードの戦いに割って入るのは無理だ。
 それなら、変態の気を引くか、承太郎の援護になりそうな行動をとるしかない。
 そういえばと、核鉄の説明書に目を通す。
(たしか、この核鉄は弓矢に変形して、自動的に敵を撃ってくれるとあったはず。
なら、こいつを使えばJOJOを援護できるのではないか?)
 決意し、核鉄を掴む。
 何より、彼女は説明書の全自動という文字に惹かれた。
 全自動とは、かなり魅力的な言葉である。
 洗濯機も、皿洗い機も全部自動であるから、あんなに売れているのである。
 武器も自動で使えるなら、もっと人気が出るはずだ、とくだらない事を考え、武器を発動させる言葉を告げた。

「武装錬金!!」

 金の六角形の金属が、内部の機械をむき出しにして広がる。
 金属片を変形させ、ナギの右手にパールピンクの小手と、左手に弓を精製していく。
 そして、承太郎とパピヨンの間に、羽状に弓を背負った、不細工な人形が現れた。

「時空を超えて、オレ、参上ッ!!」

 瞬間、空気が凍った。
「お、重たい〜」
877Classical名無しさん:07/05/12 17:36 ID:S6YSrS8Y
 
878Classical名無しさん:07/05/12 17:36 ID:UAF/nudc
879変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:36 ID:h31c9iCc
 否、ひ弱さゆえによろめく一人を除いて、空気が凍った。



「パッピーじゃねーか。何やってんだ?」
 不細工な人形、エンゼル御前が話しかけてくる。
 パピヨンにとって、不本意だが知り合いではある。
 ため息をつき、エンゼル御前の頭を掴んだ。
「いてっ! なにすんだ!」
 無視しながら、ナギに近付く。
「安心しろ。もうやる気はない」
 脅える彼女と、承太郎に告げる。
 もっとも、承太郎は油断しておらず、ナギに触れるなら容赦なくスタープラチナの拳を叩き込むだろう。
「ちっこいの。武装解除しろ」
「ちっこいいうな! ……武装解除」
 彼女の言葉に従い、エンゼル御前が先程の過程を逆に六角形の金属片に戻った。
 そのシリアルナンバーXXUの核鉄を奪い、パピヨンは自分で展開させる。
「武装錬金」
 再び、金属片が展開し、不細工な人形を作り出す。
「いきなり何するんだっ! せっかく登場したのに!」
「うるさい。大体お前が何故いるんだ? この場に桜花はいないんだぞ」
「まじかっ! あれ? 本当に桜花の反応がない! どうしよう!? パッピー!」
「俺が知るか」
 涙を流し、訴えるエンゼル御前に答えながら、一つの疑問が浮かんだ。
880変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:37 ID:h31c9iCc
(どいうことだ? 何故ニアデスハピネスのアナザータイプが発動しない?
核鉄に似た、何かだというのか? いや、このエンゼル御前は本物だ。
なら、何か外的要因が、核鉄の武装を固定させていると考えるのが自然か)
 やっと手に入れたと思った、蝶の羽を奪われ、パピヨンは憤慨する。
「……その様子だと、『ゲーム』には乗っていないようだな」
「こんなふざけた『ゲーム』、俺の趣味じゃないね。念のために聞くが、他に核鉄を支給されたか?」
「いや、それだけだ。嘘だと思うなら、調べてみるか?」
「いや、いい。どうせ俺に渡す気もないだろうし、嘘の可能性は低いからな」
「……なかなか頭が回る奴だ」
「これでも、病気になる前は『天才』の名を欲しいままにしていたんでね。
ま、今は『蝶・天才』だけど♪」
 歌うように呟き、承太郎たちに背を向ける。
 彼の目的は果たした。これ以上承太郎たちに関わる気はない。
「パピヨン。てめーはこれからどうするつもりだ?」
「パピ♪ ヨン♪ もっと愛を込めて。
ま、武藤って奴を探しに行くさ。それ以外は興味ないし。後は首輪を解除させるだけかな?」
「首輪に関する知識もあるってわけか。『蝶・天才』の名は伊達じゃないって事か」
「そいうこと。それじゃ、さらばだ。デュワッ!」
 パピヨンは用はないといわんばかりに、屋根を跳躍して移動していく。
 その後ろでは、エンゼル御前が追いかけてきた。
「待ってくれ〜、パッピー! 置いてかないで〜」
 声をかけられ、核鉄にかけられた謎を解くのも悪くないと、僅かにスピードを緩める。
881Classical名無しさん:07/05/12 17:38 ID:UAF/nudc
882変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:39 ID:h31c9iCc
 天に存在する月に向かって跳ぶ。

「パピッ!! ヨンッ!!」

 月の光を浴びて、パピヨンは月の女神に祝福されている気がした。



「……やれやれだぜ」
 パピヨンの去った方向を向いて、思わず呟く。
 この『ゲーム』に乗ってはいないものの、油断できない相手である。
 ナギに視線を向け、先を促そうとすると、名残惜しそうにパピヨンの消えた先を見つめている。
「可愛かったな。あの人形……」
 その呟きに、とんでもないと思考した。
 あの人形がパピヨンを追っていって助かった。
 これ以上、お荷物が増えるのはゴメンである。
 もはや、承太郎の感想は一つしかない。
 もう一度、先程の彼の口癖を呟く。
「やれやれだぜ」
883Classical名無しさん:07/05/12 17:39 ID:UAF/nudc
884変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:40 ID:h31c9iCc

【B-2、工業団地/一日目 黎明】
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]頬に切り傷。多少の打撲。軽い疲労。
[装備]無し
[道具]首輪探知機@漫画版バトルロワイアル、支給品一式、不明支給品0〜2(本人は確認済)
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
1:ナギを守る。
2:ジョセフ・ジョースターと合流する。
3:首輪の解除方法を探す。
4:DIOを倒す。
5:主催者を倒す。
6:パピヨンを警戒。
参戦時期:原作28巻終了後 
885変態!!俺? ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:41 ID:h31c9iCc

【B-2、工業団地/一日目 黎明】
【三千院ナギ@ハヤテのごとく】
[状態]健康 
[装備]無し
[道具]支給品一式、不明支給品0〜2(本人未確認) 
[思考・状況]
基本:殺し合いはしない
1:しばらくは承太郎と行動する。
2:ハヤテ、マリア、ヒナギクと合流する。
3:エンゼル御前可愛かったな。
参戦時期:原作6巻終了後


【B-2、工業団地/一日目 黎明】
【パピヨン@武装錬金】
[状態] 全身に軽い打撲。口に血の跡。中程度の疲労。
[装備] エンゼル御前@武装錬金
[道具] 週刊少年ジャンプ@銀魂、んまい棒@銀魂、綾崎ハヤテの女装時の服@ハヤテのごとく
[思考・状況]
1:ニアデスハピネスの核鉄を手に入れる。
2:早いうちに武藤カズキと合流。
3:核鉄の謎を解く。
4:武藤カズキと決着をつける。
886 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:41 ID:h31c9iCc
投下終了。
誤字や矛盾などの指摘をお願いします。
887 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 17:44 ID:h31c9iCc
いい忘れていました。
途中の支援、ありがとうございます。
888Classical名無しさん:07/05/12 18:06 ID:S6YSrS8Y
>>886
投下乙。御前とパピヨンとは面白くなってきたな。
ただ>>3によると、自立行動する支給品は禁止ってなってるんだよな……
意思持ち自体はセーフだから、「所有者から一定距離以上離れられない」等の制限が必要かも。
889 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 18:14 ID:h31c9iCc
すいませんorz
意思持ち支給品が支給されているので、エンゼル御前もOKかと考えていましたが、自立行動は駄目ってあったんだorz

状態表を、

【B-2、工業団地/一日目 黎明】
【パピヨン@武装錬金】
[状態] 全身に軽い打撲。口に血の跡。中程度の疲労。
[装備] エンゼル御前@武装錬金
[道具] 週刊少年ジャンプ@銀魂、んまい棒@銀魂、綾崎ハヤテの女装時の服@ハヤテのごとく
[思考・状況]
1:ニアデスハピネスの核鉄を手に入れる。
2:早いうちに武藤カズキと合流。
3:核鉄の謎を解く。
4:武藤カズキと決着をつける。
※エンゼル御前は、使用者から十メートル以上離れられません。
 それ以上離れると、自動的に核鉄に戻ります。

に修正します。
これで駄目なら、破棄してOKです。
迷惑をかけて申し訳ありません。
890Classical名無しさん:07/05/12 19:59 ID:w2nsMssE
乙です。
面白かったし、核鉄にかけられた謎=制限について考察させるのもいい。
だけど御前は要修正だよね。最後の描写だとどうみても十メートル離れてる。
そこを直せればいいんじゃない?
あと承太郎の初期支給品にランタンがあってナギがもってるんで、そこも。
891Classical名無しさん:07/05/12 20:10 ID:qLTwKRwY
乙であります
ナギよ、パピを見ての感想は変態仮面か! マスク・ザ・マネーのセンスはどうしたw

御前の制限はそれでいいんじゃないかと
細かいことだけど、パピは(端から見ると)意味不明な叫び以外には名乗っていないのに、承太郎が「パピヨン」と呼んでいる
点が気になった(名簿には「蝶野攻爵」と書いてあるはず)
戦闘後にでも、ちゃんと名乗らせた方がいいかと思う(戦闘中はとりあえず「変態」にでもしておいて)
892 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 20:18 ID:5o6Aw8Q2
>>862>>889
投下乙です。
セラス…最期までがんばったんだけどな…。
パピヨンはロワでも相変わらずだなw

指摘点に関する返答が遅れてすいません。
ロードローラーに傷が付いたという、修正で構いませんか?
893Classical名無しさん:07/05/12 20:19 ID:zk.IXAZ2
おぉ、これは盲点をつかれた
ここで御前様をもってくるとは…展開上手いなぁ…
894 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 20:40 ID:h31c9iCc
修正要望、了解しました。
ただいま修正中ですので、しばらく時間を下さい。
895Classical名無しさん:07/05/12 20:44 ID:UAF/nudc
>>889
御前は消えるのが嫌だったから勝手についていったでよさそう。

>>891
DIOなんかは一人称が『DIO』だからパピヨンが一人称だと承太郎が勘違いしたでいい気がする。
896 ◆ozOtJW9BFA :07/05/12 20:55 ID:5o6Aw8Q2
修正版を一時投下スレに投下しました。
問題が有れば、指摘をお願いします。
897 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 22:20 ID:h31c9iCc
>>896
修正乙。特に問題はないかと。

修正版を一時投下スレに投下しました。

>>868をしたらばの>>94
>>876をしたらばの>>95
>>880>>882をしたらばの>>96-97
状態表を、したらばの>>98-99
にさしかえます。
問題点の指摘をお願いします。

あと、「闇の中で」を読み返したところ、承太郎が基本支給品のランタンを使うように説明しただけで、ランタンを渡していませんでしたので、状態表にも反映させていません。
おかしいということでしたら、再度修正します。
それでは。
898Classical名無しさん:07/05/12 22:30 ID:w2nsMssE
修正乙です。
ランタンは全員の支給品でしたね、前作で承太郎が2枚の紙を取り出したって
描写あったんで1枚がランタンだったと勝手に解釈してたが前提が大間違い。
こういう細かい指摘が間違ってるってのは最悪なんでごめんなさい。

899 ◆TJ9qoWuqvA :07/05/12 22:33 ID:h31c9iCc
いえ、気にせずに。
後々に矛盾を残さない為、指摘があればあるほどありがたいんで。
それに最初にミスったのは俺さ〜orz
900Classical名無しさん:07/05/12 22:44 ID:/uEk0Rc.
ナギのセンスならパピヨンも理解可能かと思ったが、難しかったらしい……
ふたりでキュアキュア、マックスハートとかやってた連中に格好いいと言ったナギのセンスを信じたのに、
やはりパピヨンの方が一枚上手か……
一般人の限界を感じたな。
901 ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:03 ID:J9wLN.fU
仮投下のほうで問題がないようなので本投下のほうに行きたいと思います。
902Classical名無しさん:07/05/13 00:04 ID:4EPkR.EY
しえん
903嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:06 ID:J9wLN.fU
「武器武器武器……武器武器ブッキー……はぁー、はぁー、はぁーん」
軽快でリズミカルなベースが何処からか聞こえてきそうだ。
すっかり意気消沈したセラスは、溜息の三連譜と共にその暗いムードを作り上げている。
「そりゃーアタシも吸血鬼ですけどねー、武器無しで三日間殺し合いから生き残れなんて無理ですよーって。
 第一こんな場所で武器も無しにマスター級の筋肉ムキムキに襲われたら幾らなんでも……ねぇ。
 四方向に攻撃できれば良いけどそんな魔剣みたいな物があればなぁ……ああ武器ないかなぁ……」
とにかく武器武器武器、戦うための手段である。
一息で長い愚痴を言い切って、もう一回大きな溜息をつく。
しかし、そこまで落ち込んでからようやく一つの可能性に気がつく。
足を止め、デイパックの中を穿り返し先程の三枚の紙を見つける。
流石に殺し合いをしろと言っているのに武器を配らない訳がない。
しかしこのデイパックの中には全く武器が見当たらない、怪しいのはこの三枚の「折りたたまれた」紙である。
多少危険だがこいつを開いてみるしかない。
「……何が出てくるんだろ、これ」

この時のミスは一つ、彼女は支給品の内容が書かれた面を裏にしていたこと。
確かに小さな文字だったが最初に見つけたときにどうして気が付かなかったのか。
まぁ武器がなくて紙が三枚入っているだけなら誰でも混乱するだろう。
そんなときに紙に書いてある小さな文字を見つけ出してくださいというのはそれはもうウォーリーを探すようなものである。
それはともかく、彼女は手早く紙を開いてしまったのだ。
904Classical名無しさん:07/05/13 00:06 ID:pCPDNEn2
支援
905嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:08 ID:J9wLN.fU
中から出て来たのは一機のDVDプレーヤー。
しかも、それは再生された状態で出てきたため。

セラスの視神経には一人のムキムキのマッチョの黒人が数人の前で踊っている映像が映りこんで来たのだ。

『足を上げて! 少しでもいい!』
『ブンブン! 飛行機の構えで!』
『喉が渇いたら直ぐに水分を補給するんだ! 少し休んでまた始めればいい!』

「なんじゃこりゃあああああああああああああ!!」
紙から出てきたDVDプレーヤー、二万九千八百円。
紙がソレに姿を変えてセラスが投げ捨てるまでに掛かった時間、十八秒。
この殺し合いの中での十八秒、プライスレス。

セラスの精神をどんどんと蝕んでいく一連の出来事。
普通の人間なら発狂しかけているはずだが、そこで発狂せず踏ん張っている所がさすがと言ったところか。
二枚目の紙を鷲掴みにした時にようやく表紙の文字に気がつく。

【たこ ※生物です】

もうここまで来ると何かのコントだと思いたくなる。
自分に支給されたアイテムが一つは妙な映像を垂れ流す機械。
そして次は生きた(正確にはまだ生きていないかもしれないが)タコである。

変な映像を垂れ流しながら、タコを振り回して戦う美少女吸血婦警セラス・ヴィクトリア!
このバトルロワイアルの戦場に華麗に舞い降り!正義を貫き悪を討つ!

「オドレナメとんのかワレエエええええ!!」
906Classical名無しさん:07/05/13 00:09 ID:qGFbsTas
      
907嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:11 ID:J9wLN.fU
もう彼女の精神は最早直径数ミリほどしか残っていない。
最早彼女が人間だとか吸血鬼であるだとかそういう次元の問題ではない。
どんな生物でもこんな状況なら発狂しかけるだろう。
それをギリギリで保っている彼女は生物を超え始めているのかもしれない。

八つ当たりのようにタコと書かれた紙を何度も引き裂いてそこらへんに投げ捨てる。
数秒後、バラバラになったタコが地面に落ちるのだがそれを見ている余裕は既になかった。

武器武器武器武器と念仏のように唱えながら三枚目の紙をぶっきらぼうに取り出す。
その顔は正に執念の塊で、人魂の三つや四つぐらい周りに浮いていてもおかしくないぐらいである。
もし意志を持つ武器だとかそういうファンタスティックな物が出てきていたら自ら名乗りをあげていたかもしれない。
「僕の身体を使って戦うんだ!」的な展開である、起こりえる訳がないが。

その紙には、「スティッキー・フィンガーズのDISC」と書かれていた。
開くと自分の頭ぐらいの大きさの円盤が姿を現した。
残った紙を流し読みすると、このDISCを頭に入れるとスタンドといわれる能力が使えるらしい。
普通なら疑って掛かるべきだが、怪しい映像に生タコの紙のコンボを喰らった今のセラスに疑うという思考をすることすら難しい。
もうストレスの塊でしかない頭に、勢い良くDISCを突っ込んだ。

特に身体に変化が起こったわけではないが、何かしらの違和感を感じる。
残った説明書の紙を読んでみる、どうやら使用者の思考道理に動くらしい。
しかもこのスタンドはジッパーをつける事ができるらしい。
自分の腕にジッパーをつけて射程を延ばしたり、支給品を殴って裂け目を作ることもできるらしい。
しかし首からすこし下あたりからはジッパーが付かないらしく、首輪解除には使えない。
また地面にジッパーを作ることも出来なくなっているらしい、つまり本来は地面に潜れるということなのだろうか?
そして何処に作るにしても一回のジッパー作成にはすこし体力を消費するらしい、連発は危険と書いてある。
そんな事はどうでもいい、物は試しである。近くの木にジッパーを付けるつもりで、スティッキー・フィンガーズで勢い良く殴った。

普通の人間が発散する量の数倍のストレスと共に。
908Classical名無しさん:07/05/13 00:12 ID:qGFbsTas
       
909Classical名無しさん:07/05/13 00:13 ID:pCPDNEn2
つーかァ……支援に頼るなッ!
910嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:14 ID:J9wLN.fU
結果、木に一本のジッパーが出来。それを回して見ると見事に上と下と分かれたのである。
そこから少し離れた場所に向かって自分の腕を伸ばして木を殴ることにも成功した。
これは当たりかもしれない、銃が引けなかったのは残念だが当面はこのスタンド能力とやらで何とかやっていけるだろう。
素早く腕を戻し、手を握り締めてみる。神経どころか骨や肉まであの時離れていたのに。
感覚だけはしっかりと残っていた、切り離した後でも細かい指の動きなども出来た、不思議な事が起こるものだ。

だが、そんな不思議なことに驚く彼女の溜まりに溜まったイライラも収まりきらない中、そいつは現れた。



「こんばんわ、お嬢さん。少し宜しいかな?」
渋い声に振り返れば、そこには長髪の四十ぐらいの中年が立っていた。
武装もしておらず、警戒心もあまりないようだが一つだけ引っ掛かる事があった。
彼が何時の間にそこに居たのかと言う事である。
その男は、さっきまで自分がいた少し後ろに立っていたのだ。
気配が消せるのかなんだか分からないが、とりあえずある程度の使い手であるようだ
「はぁ、いいですケド。貴方誰ですか?」
スティッキー・フィンガーズのギリギリ射程の距離まで後ろに下がりたいところだが。
不信感を与えてしまうかもしれないと考え、危険だがその場に留まり話しを続けた。
「ああ、申し訳なかったね。私の名はHOLY部隊隊長マーティン・ジグマール。
 この星を……いや時系列を越え全宇宙の支配者となる男だ!」



もう勘弁してくださいと大声で叫びたくなった。謝るからどっかいってくれというのが本心だった。
全宇宙を支配だなんて小学生みたいな夢見がちの発言をさらりと言いのけるこの男は何者なのか。
とりあえず分かる事は警戒を解いてはいけないということだけである。
911Classical名無しさん:07/05/13 00:15 ID:4EPkR.EY
支援って何だっけ?
912嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:16 ID:J9wLN.fU
「……すいません、意味が分からないんでスけど」
「ハハハッ、お子様には少し難しい話をしてしまったようだな」
お子様扱いされ、すこしカチンと来たがそこは必死に堪える。
ジグマールの出方をただひたすら伺うしかない。
「つまりだ、全宇宙を支配する能力を持つこの私がここですべき事は一つだ。
 この空間から生きて脱出し、全宇宙を支配する。
 つまりだ、この空間で生き残るべき人間は私一人ということだ、分かってくれるかな?」
話が飛躍してるって言うレベルじゃない、もう宇宙だとか亜空間だとか並行世界ですとかいうそういうレベル。
もう何がどうなっているのか、今を受け止めるのも大変なのでこの男についてセラス・ヴィクトリアは考えるのをやめた。
「しかし、一つだけチャンスをあげよう」
ジグマールの顔が歪む、顎に手を置きじっとセラスを見つめている。
「私の仲間になり、共に戦ってくれるというのならば少し考えてもいいぞ」
「……つまり、手を組んで一緒に殺してまわれって事?」
ジグマールの顔にゆっくりに笑みが浮かぶ。
しかし、考えるまでも無い、最初からセラスの答えは決まっている。

「私の仲間になれ!」

ジグマールがこちらを指差して言う。

「ノーだ!」

拳を握り締め言い返す。

「YESと言え!」

少しジグマールの声が荒くなる。

「絶対にノゥ!!」
913Classical名無しさん:07/05/13 00:17 ID:qGFbsTas
      
914Classical名無しさん:07/05/13 00:18 ID:coeTG8tQ
さあ諸君、支援を始めよう、次のSSの為に、次の次のSSの為に
915嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:18 ID:J9wLN.fU
その声と同時にセラスは跳ねた。
考える事は一つ、ジグマールのその顔に己の鉄拳を打ち込むために。
しかし、さっきまでそこにいたはずのジグマールは。
セラスの拳が届くと同時に、その場所から姿を消していた。

ありのまま、今起こったことをもう一度考え直す。
自分はジグマールを殴ろうと思って飛び跳ねていたら、何時の間にか消えていた。
何を言っているのか、何をされたのかも分からないが。
魔族の末裔の力ですとか亡き恋人の思いだとかそういう次元じゃない。
かといって支給品でパワーアップしましたとか常人には成し遂げられない修行の賜物ですとかそういう話でも無い。
もっとも理不尽な何かの片鱗を味わったような気分だ。

「フフフ、いい心がけだ。益々仲間にしたくなって来たぞ」
素早く振り向くと、後ろで何時の間にか腕を組んで笑っている。
そしてもう一度指を突きつけて、今度はゆっくりと言った。
「今一度君に質問しよう。
 私の能力が、空間を操れるとしたら、どうする?
 どんな攻撃も、避けられるとしたら、どうする?
 何処に逃げても追いかけてくるとしたら、どうする?
 人間ワープが可能な私を君は、どうする?
 どうする? どうする? どうする?
 君ならどうする?」
どうやらさっきの能力は人間ワープという物らしい。
空間を操りどんな攻撃も避けられる……それぐらいで諦める事はない。
もっとゴイスな能力だとかそういうのとも今まで戦ってきた、ビビってる場合でもない。
916Classical名無しさん:07/05/13 00:19 ID:iuEtCMSU
これが支援をするということだ
917嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:20 ID:J9wLN.fU
「それでも! 戦う!」
もう一度勢い良く跳ねる、ジグマールから数メートル離れた場所で拳を突き出すし――。
その拳が、とてつもない初速を纏い砲弾の如く放たれた。
ジグマールに一瞬、焦りの色が見える。が、それが届くまでには既に姿は消えていた。
「だから無理だと言って――」
「そこかァァ!!」
人間ワープを使い、セラスの背後に立ち攻撃を仕掛けるつもりだったジグマールはそのセラスの超反応に再び驚愕した。
左の手がジグマールのワープ先に既に現れていたのだ。
ワープ先を読まれていた?いや違う、セラスの勘がジグマールの位置を探っていたのだ。
それと、ジグマール自身も気が付き始めているが、人間ワープの効力がどうも薄れているのだ。精々一〜二メートル先が限界である。
スティッキー・フィンガーズの射程内に入ってしまい、パンチを喰らい後ろへと吹き飛んだ。

「ふふふ……その眼、敵対を止めぬ眼……。
 ならば体裁を取り繕う必要はないな……
 威厳を得る為に変えていた……この顔でいる必要もない!!!
 そうだ……これが本当の私ッ!」
ジグマールの体から徐々に光が放たれる、そしてその光の中からジグマールが姿を現し……。
高貴なオーラを纏い、セラスの目前へと出てきたのだ。
「……び、美形だー!!」
思わず叫んでしまった、いや叫ばなければいけない気がした。
光から姿を現したのは中年の男性ではなく、今をときめくいわゆるイケメンの19歳ほどの美麗の青年。
その姿を見た瞬間、頭の中に美形という文字しか浮かばず、気が付けば叫んでいた。
「さぁ、侵攻と攻撃を開始しよう! 自覚と覚悟はいいかね!?」
その言葉と同時にジグマールの姿が視界から掻き消える。
先程はまぐれのような物で一撃を当てる事が出来たが次はそうは行かない。
ジグマールの姿が現れるのを待ち、一瞬の間に腕を切り離し拳を当てる。
エアガンすらない今。自分にできる事は、只それだけ。
918Classical名無しさん:07/05/13 00:20 ID:coeTG8tQ
やはり支援は素晴らしい
919Classical名無しさん:07/05/13 00:21 ID:pCPDNEn2
支援を……敬わんかッ!
920Classical名無しさん:07/05/13 00:21 ID:qGFbsTas
        
921嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:22 ID:J9wLN.fU
ジグマールの姿が比較的近くに現れる、姿を認知し腕を振りかぶる。
腕を突き出し、ジッパーを取り付け奥へと飛ばす。
だが、その拳は当たらない。
「ゆるゆるだっ!!」
衝撃波のような物をぶつけられ、足で堪えるも一メートルほど後ろへ動かされる。
胃の中身だとかがこみ上げて来そうになるが、適当にそこらへんに吐き捨てる。
どうやら厄介な相手に絡まれてしまったようだ。
逃げてもこの能力であっというまに追いつかれる、今この場でできる限り足掻くしかない。
それに数度とジッパーをつける能力を乱用したからか、少しだけ息が上がり始めている。

持久戦に持ち込まれれば勝ち目はない、だから後少しでケリを付ける。
「おぉうりゃあああああ!!」
大きく振りかぶり、腕を突き出す。
腕が伸びていくも、やはりその腕は当たらず。
「だから無理だって!!」
再び背後へ回られ衝撃波のような物を叩き込まれる。
流石に二度目は堪えることも出来ず、大きく吹き飛び地面を転げまわる。
転げ終わった後に、少し大きめの血の塊を吐く。
血液を吐いたときの独特の嫌な感覚がセラスを襲うが、ひるんでいる場合ではない。
しかし、勝ち目は本当にないのか?

ふと、ここを通っていた誰かが助けてくれるかもしれない。
しかしそれは本当に運の領域、それに縋る事は出来ない。
では、この状況を打破する何かを思いつくか?
あの人間ワープにはこの能力には太刀打ちできない。せめて銃でも、この射程がもう少しだけ延びればいいのだが。
現実は非情にも彼女に重く圧し掛かる。
922Classical名無しさん:07/05/13 00:23 ID:pCPDNEn2
熟れた支援よ…
923Classical名無しさん:07/05/13 00:23 ID:KcpZlcO2
諸君、私は支援が好きだ
924嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:24 ID:J9wLN.fU
だか、彼女は諦めない。
殺し合いに乗るのはゴメンだ、誰かが殺されるのもゴメンだ。
だから殺すつもりがある奴なら倒さなければならない。
無論、それが死ぬことになったとしても。

何度目かの右の拳を突き出す。
そして戦車の砲弾の如く放たれるそれも、ジグマールの顔には当たらない。
「そろそろ決着をつけさせて貰おうお嬢さん!」
その声と同時に、衝撃波が放たれる。
声のするほうに左の拳を延ばすが、届かない。一メートルほど吹き飛ばされ、踏ん張るものの血を吐いた。
しかし、セラスは笑っていた。嬉しくてたまらなかったのだ。
そのムカツく顔面に拳を当てられる事が、胸の底からスカッとするような気分が分かる。

セラスは、足をバネにし、飛び上がる瞬間に己の胴体にジッパーをつけたのだ。
加速をつけた胴体はある程度先まで飛び、その先で戻ってきた右の拳を突き出す。

胴体の加速に加え、突き出した時の速さも吸い込んだ拳がジグマールを襲う。
衝撃波を放ち、戦いつづければ勝てるという優越感に浸っていたジグマールの頬を殴りぬける。
大きく吹き飛ばされ、地面を転がり何度もバウンドする。

投げ出されたセラスの上半身も勢い良く地面へと落ちる。
「婦警、ナメないでよね」
笑いながら、少しだけ勝ち誇って言う。
切り離された下半身が歩き、上半身の元へと向かう。
そして上半身と下半身をくっつけ、両の腕も回収する。
視界の向こうでジグマールが起き上がるのが分かる。
925Classical名無しさん:07/05/13 00:25 ID:KcpZlcO2
セラス嬢、直接支援(ダイレクト・サポート)を。
926Classical名無しさん:07/05/13 00:26 ID:KcpZlcO2
よろしい、ならば支援だ。
927嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:26 ID:J9wLN.fU
「大したお嬢さんだ……使うまいと考えていたが、これを使うしかないようだ!」
起き上がってきたジグマールが、一枚の紙を手にしセラスの視界から消える。
支給品を使っていない……となると何かしら支給品を使ってくるはずなのだ。
セラスは全神経を集中させ、ジグマールが何時現れてもいいように対応する。

ジグマールは、セラスの視界の上の方にに現れた。
その手に一枚の紙を、握って。
「ハハハ! 戦車だッ!! 押し潰されるがいい!」
その紙が勢い良く開かれると、一台の大きな戦車に姿を変えた。
その戦車はゆっくりと降って来る。しかし、セラスは動じない。
むしろ、再び笑っていた。一度だけでなく二度も、その顔面に拳を打ち付けられるのが本当に嬉しかった。

左の拳で殴り、戦車にジッパーを取り付ける。
右の拳が戦車の中を通り抜け、反対側にもジッパーを取り付ける。
降って来る戦車に合わせ、己の体を空間へと向ける。
するすると戦車の中を通り抜け、ジグマールの目の前にセラスの顔が現れる。
歯を大きく見せセラスは、笑った。

色んな意味での、奇跡のご対面。

「ハロー、小便は済ませたか?
 神様にお祈りは?
 誰も来ない空間でガタガタ震えて命乞いをする準備はOK?」
右の拳でジグマールの胸倉を掴み、どこかで聞いたようなセリフを吐き不敵に笑う。
そして左の拳で……ッ!!

「うらうらうらうらうらうらうらうらうらうらうらああああああっっ!!」

殴った、何度も何度も何度も殴って殴って殴って殴りぬけた。
「ひげェッ――――――!!」
美形が跡形もなく崩れ去り、蒼いアザやたんこぶを顔じゅうに作り血を垂れ流している。
前歯も数本折れたのだろう、何か喋っているが何と言っているのか分からない。
928Classical名無しさん:07/05/13 00:29 ID:coeTG8tQ
オレの“支援”は止まらないぜ
929嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:29 ID:J9wLN.fU
しかし、まだジグマールは生きている、止めを刺さなければならない。
そうして吹き飛んだジグマールの元へと向かうため、戦車から抜け出して歩き始めた。
しかし、どうも手に力が入らず足元もふらついている。ジッパーの連発でどうやら体力を使いすぎたようだ。
例えセラスの体力が並みの人間より多くあるとは言っても数が多すぎた。気を失う前に早く止めを刺さなければならない、が。

無常にも、彼女にはまだまだ試練が襲い掛かる。
微かに見える視界の先で、ジグマールが何か大砲のような物を構えているのだ。
「フフフ……やばり人づいのじはいしゃだるわだしにでんもみかたぢてぐれでいるようだ!!」
そして、砲身から一つの砲弾が放たれる。自分の拳のような速度で向かってくる。
もしあの砲弾が当たれば、砲弾の爆発に加え後ろの戦車を巻き込めば大きな爆発が起こる。
逃げても間に合わない、ならば。

「お前も道連れだああああ!!」
体力を振り絞り、スティッキー・フィンガーズで腕を伸ばす。
既に気を失いかけていたジグマールの胸倉を掴み、こちらへと引き寄せる。
「おおおおおおおおおお!!」
砲弾が当たる前に、全身の筋肉に力をこめひたすらジグマールの身体を引っ張る。
そして、セラスの右当たりににジグマールが来たとき。
鼓膜が破れ、全身を焼かれ、骨が砕け、ぶっきらぼうに投げ捨てれられたように転がる自分の体が分かった。
どんどんと意識が遠のいて行くのが分かる。
それでも、彼女は笑っていた。少しでも殺人が起こる可能性が減らせたのだから。
それだけで、満足だったのかもしれない。



そして、セラスヴィクトリアは考えるのをやめた。
正義の海の中で、彼女は永遠に眠り続けるのだ。



【セラス・ヴィクトリア@HELLSING 死亡】
930Classical名無しさん:07/05/13 00:29 ID:h/bwG0Q6
支援
931嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:31 ID:J9wLN.fU
「ギャ……ラン=ドゥ?」
セラスが駆逐した筈の悪は、生きていた。
傷だらけの奇妙な男に全身を包まれる形で、しぶとくも生きていたのだ。
「ヨォゥ、マーティン・ジグマールゥ。苦戦してるみたいじゃないカァ〜」
「うわあ……ああ、ギャラン=ドゥ皆が……皆が僕をイジ、いじめるよッ」
ゴツゴツとした鎧に包まれたような男(?)に縋り付き、ジグマールは大粒の涙をボロボロと零す。
その男はジグマールの頭をなでながら、優しく言い放った。
「そうかい、マーティン・ジグマール。悲しいナァ……。
 この場所では全員がお前の敵だ、だが考えてみろ。
 さっきの女みたいにゲームに乗らない奴だっている、そこでだジグマールゥ」
顎に手を置き、ニヤリと笑ってジグマールを指差す。
「そいつらに匿ってもらうんだよ、あのジジイに逆らうフリをして人数が減ってきた辺りでそいつ等を殺してまわればいい。
 全員を相手するのは大変だからナァ……」
男の話の要所要所でジグマールは頷く。その姿を見て男も納得したように笑う。
「それじゃあ、頑張れよォゥ。俺はちょっとこのキズの所為で引っ込むがお前に力があればまた助けてやれるからなァ」
そう言って、男は瞬時に跡形も残さずその場から消えた。

「頑張るよギャラン=ドゥ。
 そして……この全宇宙を支配して見せる!」
強く拳を握り締めたジグマール、ゆっくりと起き上がりその足を進める。

しかし、その意思も空しくジグマールの身体は数秒後、崩れるように力なく倒れた。
セラスから少し離れた場所で、ゆっくりと意識を天空へとあずけていった。
932Classical名無しさん:07/05/13 00:31 ID:KcpZlcO2
隊長、私支援します!
933嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:32 ID:J9wLN.fU
頑張れよ、マーティン・ジグマール。
俺の野望のために、お前はまだまだ生きてもらわなくちゃイケナイんだからな。

【E-5 北西部/1日目/早朝】

【マーティン・ジグマール@スクライド】
[状態]:全身ボコボコ、歩くのがやっとの重傷、美形状態、極度の疲労、気絶
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:生き延びて全宇宙の支配者になる。
1:誰かに匿ってもらう。(美貌が使えそうなら使う)
[備考]
※人間ワープにけっこうな制限(1〜2mほどしか動けない)が掛かっています。
  連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます。
  (例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)
※ギャラン=ドゥに関しては次の書き手さんにお任せします。当分は出てこれないと思います。
※戦車(ティーガー(P)駆逐戦車)は爆発に巻き込まれました、操縦等は不可能だと思われますが。部品は何かに使えるかもしれません。
※また、ジグマールのデイパックは爆発に巻き込まれ、殆ど原形を留めていないままどこかへ飛散しました。
  未確認支給品(0〜1)も無事ではないと思われます。
※破壊の杖@ゼロの使い魔(残弾なし)はE-5の戦車の近くに放置されています。

※スティッキー・フィンガーズのDISC@ジョジョの奇妙な冒険は爆発によりどこかへ飛散しました。
  原形は留めているかもしれませんが、回収できるかどうかは不明です。
※DVDプレーヤーは爆発には巻き込まれませんでしたが、投げ捨てられた為修理しないと使えないと思われます。
※タコの死体がE-5のどこかにあります。
※セラスのデイパックは爆発に巻き込まれたためどこかへ飛散しました。回収は難しいと思われます。
※早朝当たりにE-5を中心に大きな爆発音がしました。
  周囲1〜2マスの人間は聞こえているかもしれません。
934嫌なこった ◆33iayeGo/Y :07/05/13 00:32 ID:J9wLN.fU
投下終了しました。
一時投下スレの奴にちょいちょいと修正を加えてます。

何かありましたらどうぞ。
935Classical名無しさん:07/05/13 00:35 ID:KcpZlcO2
乙、セラスゥゥゥゥ!!!
短命だったけどがんばったよあなたは。
欲を言えばいろんな精霊と話をさせたかったな。
本当に残念。
936Classical名無しさん:07/05/13 00:37 ID:pCPDNEn2
>>934
投下乙。絶対にノゥになっとるw
なにげにステルスマーダーは初だな。
937Classical名無しさん:07/05/13 00:38 ID:qGFbsTas
>>934
二転三転する息を握るバトル
原作台詞を散りばめた秀逸な台詞回し。
これにGJ! といわずしてなんといえばいいのか。

ちょ、ちょうGJ!!
938Classical名無しさん:07/05/13 03:11 ID:iX5DDOXI
セラスとジグマールの熱戦GJ!!!

だけどちょっと疑問。
いくらセラスが疲労している状態で破壊の杖直撃してもそれで死ぬかな。
半人前とはいえ吸血鬼だし、あれぐらいで死ぬ?
939Classical名無しさん:07/05/13 09:11 ID:otmSTmmo
アーカードみたいに命いっぱい持ってないから頭か心臓巻き込まれてたら死ぬんじゃない?
少なくとも上半身にダメージあったみたいだし
940Classical名無しさん:07/05/13 09:22 ID:Ws34SdPs
俺も能力制限と>>939と同じ考えだったから別に違和感は全く感じなかった。
941Classical名無しさん:07/05/13 10:14 ID:KcpZlcO2
>「武器武器武器……武器武器ブッキー……はぁー、はぁー、はぁーん」
マリオRPGネタかw
942Classical名無しさん:07/05/13 11:53 ID:tB9Y0o1g
>>934
GJ

しかしこんな所にもポルポル君ネタが…
943Classical名無しさん:07/05/13 17:26 ID:chwgid1I
ふと、頭を悩ますできごと

あ゙ー!勇次郎とZX戦ったらどうなるのが正解なんだッ!?
個人的には……勇次郎がZXをぶっちぎる展開が書きたい!
しかし、それは改造人間で屈指のマーダーZXでも勇次郎の相手にならないってことになっちまう!
それに勇次郎に殴られてもよろめくだけ……とかだとZX硬すぎとか言われそうだし!
やはり99%のパーフェクトサイボーグvs地上最強なら互角にすべきなのか!?
だが、原作中の格的に互角というのは……バキ信者として……

とか言ってる間に土日が終わっちゃって明日からまた予備校で書けそうにもないんだけどねw
944Classical名無しさん:07/05/13 18:01 ID:aWVtb1qI
>>943
つ【チラシの裏】
945 ◆ZhOaCEIpb2 :07/05/13 20:54 ID:ZaChcNqY
ジャギ、白金投下します
S5駅のプラットホーム、電灯に羽虫達が光に希望を求めるかのように飛び回る。その留置所で、東の夜空を見上げる老人がいた。
その顔は真剣な面持ちであり、どこか嬉しそうであった。駅の時刻表を確認していると、突然それが鳴り響いたのだ。
ヒューと澄んだ長音、パンと爽快な破裂音。花火である。
殺し合いを強要されているのに、まるで自分の夢の成就を祝福するように光り輝いていた。

「本当に綺麗な花火だ………君もそう思わないか?」
老人は体を返し、ホームの柱に話しかける。しばしの静寂。
すると、柱の影から異質なマスクをつけた大柄の男がしぶしぶと現れた。
「いつごろ、気づいていやがった?」
「うーん、ただ何となくかな」と、しれっと老人は返す。

ジャギはけっと唾を吐き捨てる。失敗したのだ。駅で待ち伏せしていれば、いつか参加者が現れる。
そこで、相手が油断している隙を狙い、不意を突いて殺す。いきなり、その算段が失敗に終わったのだ。
喰えねえ、クソジジイだ。
「おい、ジジイ、俺の名を……言ってみろ」
ジャギは胸の七つの傷を見せながら、目の前の老人に恫喝する。
分かるはずもない。俺がジャギだということを。
老人は手を顔にあて、オーバーに頭を掲げこんだ。
ジャギはもしかして正体を知っているのかという考えがよぎった。そして、少し思案し、答えた。

「……スココボビッチ?」
ビキとジャギの頭に血管が浮き出る。
「いや、違うなあ……ブードンかな?」
ビキビキと血管が我慢の限界に達しようとしている。
「いや、それも違う…クロ――」
プッツンと何かがはじけた。我慢の限界であった。
「貴様!! この俺をなめてんのか!!」
ジャギは怒りのあまり、側にあった柱に拳を叩きつけた。コンクリート製の柱は見るも無残なほど壊された。
この破壊力は見るものを確実に震え上がらせるほどのパワーである。
そして、目の前にいるクソジジイも恐怖に怯えるはずであったが。
「おお、怖い怖い」
老人は怯える素振りもなく、ただサーカスの観客のように感心してた。舐めやがって、後悔するなら今のうちだぜ。
「俺の名はケンシロウ、北斗神拳唯一の伝承者ケンシロウ様だ!!」
ジャギは口にするのも忌々しい男の名を名乗った。ケンシロウのことを考えると吐き気にも似た感情が沸き起こるがそれを我慢する。
ケンシロウのことはよく知っているだろう? ジャッカルや牙一族を滅ぼした張本人だ。
それが、今ここにいて、敵意をむき出しにしている。さあ、恐怖で震えるがいい。

それを聞いた老人はサングラスを外し、はっとした面持ちで体を震わせた。
その眼はとても大きく見開いて、この世のものでないようなものを見たように驚いていた。
ジャギは老人の驚きように口元を緩ませた。恐怖で引きつる顔が愉快だった。けど、その喜びはあっけなく崩される。
948Classical名無しさん:07/05/13 20:57 ID:MfzvVRas
949Classical名無しさん:07/05/13 20:57 ID:MfzvVRas
950Classical名無しさん:07/05/13 20:58 ID:dL3PJkeg
「ケンシロウって……誰?」
紛らわしい態度をとるんじゃねえと、ジャギの心証の限界を超えてしまった。小馬鹿にする態度には釈明の余地はなかった。
一瞬で葬り去る計画だったが、それを止め、幾分か苦しませた後殺す。
相手が殺してほしいと懇願するほど苦痛を与える計画に移行。
ジャギは怒りでわなないていた拳を握り締めた。さっきから自分を小ばかにする老人を殺す合図である。
ジャギは老人を殺すべく、ゆらりと近づいていった。
「あひゃひゃひゃ、冗談だってば」
額に手を当て、笑いながら老人は陳謝する。が、もう遅かった。ジャギの新たな計画はもう止められそうにない。

老人――フェイスレスはいきなり笑い止める。
あれほど、馬鹿笑いしていた老人の態度が急に変わったことで、ジャギは自分の殺気と威圧感にびびったのかと思った。
老人に目をやると、額に押し付けてある手の指の間からひどく歪んだ笑顔が浮かんでいた。

「それより一つ聞いてもいいかい? あれ、嘘なんだろ?」
当然訳のわからないこと言い出す。恐怖で頭がおかしくなったのか?
どういうことだ、と不思議に思うがどうでもいい。こいつを殺すまでだ。ジャギは歩みを止めない。
「君……本当はケンシロウじゃないんだろ?」
ほんの一瞬ぴたっと身体を止める。見破られたのか? いや、そんなはずはない。
俺とこいつは初対面同士だ、分かるはずない。
ジャギに言い知れぬ動揺が走る。
目の前の老人が嘘やペテンにかけては自分より上手ではないかと、頭によぎる。だが、認めたくなかった。
認めれば、すなわち敗北、自分が最も一番だと自負したかった。それに、自分がやってきたことが馬鹿みたいじゃないか。
「なぜ、そう思う?」
952Classical名無しさん:07/05/13 20:58 ID:X2ix42lQ
She End(しえん)
953Classical名無しさん:07/05/13 20:59 ID:MfzvVRas

フェイスレスはにぃと口元を上げる。確信したのだ、嘘をついている。なんとも分かりやすい。
このフェイスレスを騙すだと、片腹が痛い。だから、嘘を剥がしてやろうと思った。
「君が……ケンシロウと名乗ったとき、一瞬憎悪がこもった表情したんだ。ただ、それだけだよん。
 案の定、ちょっと吹っかけてみただけで、反応を示す。本当に単純だな…き・み・は…」
「この俺が単純だと!!」
ジャギは単純と馬鹿にされ、半ば自棄を起こしたような態度で怒号した。
「そうさ、俺はケンシロウじゃない。俺の本当の名はジャギだ!!」
「で、さっき名前を名乗ったケンシロウって誰? 何かしたの?」
ジャギは怒りの勢いで質問を返す。頭にかなり血が上り切っていたので、ある思惑に気づいていなかった。
「ケンシロウとは俺の弟で、いけすかねえ甘ちゃん野郎だ!! 未熟者のくせに北斗神拳の伝承者に選ばれるは、
 その上、ユリアまで奪う。それに、俺をこんな姿にしやがった!!」
ジャギの頭の傷が疼くたび、ケンシロウへの憎しみを募らせた。全身から憎悪をたぎらせる。
「だから、俺は復讐する為に奴の名を名乗り、奴の悪評を振り撒き、奴をおびき寄せようとしているんだ!!」
「へえ、それで参加者の中で他に君の知り合いはいるかね」
フェイスレスは適当に相槌を打つ。ジャギはまだ気づかないでいた。フェイスレスの思惑に。
「後、ラオウという兄者もいる。兄者も兄者だ!!
 あのとき、ケンシロウが伝承者になるのを反対しておけば、俺がこうなることはなかったんだ!!」
フェイスレスは最後の一押しをする。
「うんうん。最後に聞くけど、北斗神拳って何?」
「北斗神拳とはなあ、一子相伝の一撃必殺の暗殺拳。
 人間にある経絡秘孔に気をこめて打つことで相手の体の循環を狂わせる無敵の暗殺拳だ!!」
ジャギは最後まで気づかなかった。フェイスレスの掌で踊っている道化だと。
フェイスレスは笑いながら、頭を下げる。その顔は喜びに満ち溢れていた。
フェイスレスは苦労せずに、情報を手に入れたことに、感嘆した。
955Classical名無しさん:07/05/13 21:02 ID:MfzvVRas
「ありがとう、ジャギ君。これで君のことが大体把握できたよん。以外におしゃべりさんなんだねえ。
 こっちからすれば、扱いやすくて簡単だったよ。
 本当に出来の悪い兄貴を持って、ケンシロウ君は大変だったろうな」
硬直。ジャギは何をしてしまったんだと、固まった。まんまと嵌められただと、それに――

―――出来が悪い兄貴だと…。

「あんまり、ぺらぺらしゃべるもんだから、内心僕も驚いたよ。
 こんなにもことがうまく運ぶだなんて…こんなんだと君よりも弟のほうが優れていることは明らかだな」

―――弟の方が優れているだと…。

ジャギは懐から拳銃を取り出し、フェイスレスに構える。そのトーンは怒りを超えた低い濁った声であった。
目は落ちくぼんで、まるで狂人のようにたぎらせていた。
「今、なんて……言いやがった」
「ん、聞こえなかったかね。弟のほうが優れているといったんだが」
ジャギは引き金を引く。殺伐とした空間にカチャリと乾いた音が響く。
引き金を外せば、弾丸が発射させる状態での、無言の重圧。
「もう一度聞く、今……なんと言った」
「だからさ、弟のほうが優れて……」

ダンと銃声が言葉を遮る。この世に、兄より優れた弟なぞ存在しない。
殺す、殺す、殺す、とフェイスレスに銃弾を3発発砲するが、驚くべき俊敏さでかわした。
957Classical名無しさん:07/05/13 21:04 ID:dL3PJkeg
958Classical名無しさん:07/05/13 21:04 ID:dL3PJkeg
  
959Classical名無しさん:07/05/13 21:05 ID:MfzvVRas
960Classical名無しさん:07/05/13 21:05 ID:X2ix42lQ
 
「あらら、もしかして怒ちゃった。気に障ったんなら謝るよん」
フェイスレスは謝る気もなく、ジャギを挑発した。そんなことすれば、単細胞の彼は確実に殺そうと戦いを挑むだろう。

極力、強い奴との戦いを避けたいフェイスレスにしては、愚かともいえる行動。
もっとも自分が一番強いと自負しているが、くだらない戦闘で、体力を消耗するほど馬鹿ではない。
もともと、フェイスレスはジャギから情報を収集してから適当に相手して逃げるつもりだった。しかし、気が変わったのだ。
ジャギからケンシロウの情報―――優れた弟と劣った兄の話を聞いたとき、ある感情が生まれた。
それは以前のサハラでのことである。自分と兄さん――白銀との過去の経緯を知った加藤鳴海に会ったときに、感じたような感情に似ている。
鳴海は姿こそ違えど、雰囲気は兄さんそっくりであった。だから、その時、フェイスレスは投影させたのだ。鳴海は自分の『兄さん』だと。
そして、僕が『夢』を叶えるところを見せびらかせようとした。
今、ジャギとの出会いは少しそれに似ていた。
兄と弟、それも駄目な兄と優秀な弟。ジャギは兄と姿形は全く違うけど、フェイスレスは今回も投影させたのだ。
ジャギを『駄目な兄さん』、自分が『優秀な弟』と。
フェイスレスの本来の記憶では、いつも兄さんは優秀で尊敬の対象だった。愛していたフランシーヌも兄さんに惹かれていた。
だからさ、この『駄目な兄さん』を殺して、僕は『優秀な弟』になるんだ。
表面では、兄を侮蔑しているが、心の奥底では、いつも背中を追いかけている。
それからの脱却。ついでに、こいつは勝とエレオノールの枷になることは絶対的であった。だから殺しておこう。
――フェイスレスは殺し合いに挑んだ。
無人駅で羽虫は飽くことなく電灯に群がっている。
その中でフェイスレスとジャギは距離を測っていた。リーチを言えば、ジャギの方が広かった。
拳銃を片手に構える分だけリーチは広い。だが、ジャギには銃などハッタリ以外何者でもないと感じていた。
先ほどの銃撃をかわした鋭敏の動きを見れば、このジジイは只者ではないと判断できる。だから、接近戦に持ち込み、秘孔を付く。
そうすれば、勝負は決する。

ジャギは銃を懐にしまい、両手を突き出し、腰を落とし構える。そして、身体全体に気を潤滑させる。
「ほおおお……貴様に北斗神拳の真髄をみせてやる」
「北斗神拳ねえ、たしか、一撃必殺の暗殺拳だっけ? でも、僕には通用しないよ。なんせ弱点を発見したんだから」
ジャギは笑わせるなとフェイスレスに向かって飛び出した。
フェイスレスはそれに合わせ、パックから紙を取り出した。それを開封すると、中からアタッシュケースが現れる。
「本当は勝君に渡すために残しておくつもりだったけど……使わせてもらうよん」
ケースが開くと、同時に巨大なカボチャの人形が飛び出す。
フェイスレスは両手に指貫をはめる。手を切り返して、構えた。
そうすると、巨大な鎌がついた箒を持ったカボチャの操り人形がジャギの前に立ちはばかった。

―――ジャック・オー・ランターン(通称ジャコ)
フェイスレスが貞義だったときの愛用のマリオネットである。今では、勝の愛用品になっている操り人形だ。

ジャギは巨大な鎌に怯んだ。それは、まさに死神の鎌を思わせるほど大きいのだ。
しかし、ほんの一瞬だけであった。ジャギは猪突に突き進む。本体を叩けばいいのだ。
簡単なことだと、ジャギはフェイスレスを軽く見ていた。だが、その考えはすぐに改めさせられる。
963Classical名無しさん:07/05/13 21:08 ID:dL3PJkeg
 
ジャギの前に人形がぬうっと現れ、進行を妨げる。大きな鎌が振り上げられ、的確に自分を攻撃してくるのである。
見切られないことはなかったが、以外に素早い動きをする。それは、人形とは思えなかった。
まるで、一つの生命があるかのように、呼吸して動いているかのように動き回るのだ。
一個人の格闘家と戦っていると錯覚するほどであった。ジャギはフェイスレスが本当に操っているのかさえ疑問に思った。
しかし、人形の間からフェイスレスを覗くと、ちゃんと操っている。
フェイスレスが腕を動かすと、繋がった操り糸が無数に蠢き、人形を無限の広がりがあるかのように動かしている。
小細工はなかった。奴は人形を傀儡させている。

しかし、そこはジャギ。フェイスレスの攻撃に一方的に抑えられているわけではない。
人形の鎌の柄を止め、上部に掌。鎌を受け流し、下部に衝。勢いを利用して、頭部に撃。
ジャギはところどころにある隙を狙って、人形に拳を振り出していた。
が、あまり手ごたえがなかった。北斗神拳が通用しない人形であったのもある。
が、それ以上に攻撃するたびに、衝撃を逃がすため攻撃した方向へと力を逃がすのだ。
だから、人形を破壊するほどの衝撃を与えられずにいた。
ジャギに疲労が見え出してくる。所々に避け切れなかった傷跡が血を伝い落とす。
「ジャギ君、どうしたんだい? そろそろ疲れてきたんじゃないか?
 さすが、暗殺拳の使い手。でも、ジャコが人間だったらよかったのにねぇ」
頭に血が上る。しかし、活路はすでにもう見出せていた。策を練っていたのだ。
ジャギは人形と相手をしつつも、あるところまで引き寄せていた。足を崩したように見せかけた。

965Classical名無しさん:07/05/13 21:11 ID:4EPkR.EY
 
966Classical名無しさん:07/05/13 21:12 ID:iX5DDOXI
支援します
「もらったよん」
ジャコの鎌が足を崩したジャギを襲う。ジャギは待っていましたとその瞬間を狙い打つ。
その刃撃を見切っていたと手で地面にスプリングのように飛び跳ね、回避する。
鎌は勢いを殺せず、あるものに挟まった。
―――ジャギの壊したコンクリートの柱である。
そこに、鎌がバキィと引っかかった。ジャギの欺きであった。ジャギの欺きが、希望へと続かせたのだ。
すかさず、ジャギはコンクリートの破片を片方ずつ握り締め、フェイスレス目掛け二つの石を放り投げた。
フェイスレスは投石をジャコで防ごうと糸を繰り出すが、柱に引っ掛かってしまい、行動を移せそうになかった。
人形で防ぐのを中断し、腰を奮い立たせ、回避に移す。それに乗じて、ジャギは人形の間をすり抜ける。
それは、フェイスレスに辿り着く一つの道筋。
「ちい、ぬかったわぁ」
初めて、フェイスレスの表情が崩れた。あの小馬鹿にした態度が一変、動揺に変化した。
ジャギに優越感が生まれた。このジジイに出会ってから、奴のペースに乗せられていた。
始めは押されていたが、もう焦る必要はない。死角に入ったのだ。この人形繰りの死角に。
ジジイは接近戦の邪魔になると判断したのか指貫を外したようだ。だが、もう遅い。
今度こそ、北斗神拳の真髄を貴様に刻みこむ。死を以って。

ここから、ジャギの攻防が始まった。ジャギは拳を浴びせる。
フェイスレスは何とかそれを、避けようとするが、幾分接近戦はジャギのほうに分があった。
格闘に関してはてんで素人なのか。大雑把な動きであり、フェイスレスはただただ防御一辺倒だった。
防御は攻撃に勝るものではない。ただの消耗戦である。最後には鎮圧されるのがオチであった。
ジャギはフェイントを幾つも放ち、隙をうかがった。

そして――――ついにチャンスが生まれた。
フェイスレスがバランスを崩し、後ろへと距離を取ろうとした。隙だらけの無防備。
ジャギは心の中で歓喜の雄たけびを上げた。ついに殺せるのだ、この俺を侮辱するクソジジイを。
脚を躍動させる。ジャギの得意な技――北斗千手殺。
ジャギの前にあまりの速さにいくつも手が現れる。その千手は幾分違わず、フェイスレスの秘孔を狙っていた。
そして、その手はフェイスレスの体を貫こうとしていた。が――――
968Classical名無しさん:07/05/13 21:12 ID:aWVtb1qI
密かにジャギを応援している俺支援

―――うっそぴょーん

そこには、アッカンベーと舌を出したフェイスレスがいた。

何が起こったんだ? なぜ、奴に拳が届かない?
ジャギの拳はフェイスレスの目の前で空を切った。ありえなかった。自分が距離感を間違えるなんて、何かの間違いだった。
何かがおかしい。そこで、ジャギはあることに気づいた。
違和感である。足元が引っ張られているのだ。足元を見るとゴムのように伸びきったものが付着していた。
自分を元の場所へと戻そうとしていた。それはまるで鎖のようだった。ようやく悟ったのだ。
フェイスレスの右指には三つの指貫があり、人形を自分の気づかずうちに動かしていたことを。
「バ……ザ…………ット」
と、フェイスレスは耳を傾けらないと分からないような低い声でボソッと呟いた。
その顔は嘲笑の笑みを浮かべながら。その笑顔はジャギには絶望に突き落とした。

バブル・ザ・スカーレット―――ジャック・オー・ランターンについている機能の一つ。
使用者の意志で自由に硬度、粘着性を変えることが出来る液体を吐き出す技である。

すべて、フェイスレスの策略であった。本当はコンクリートの柱など切断するのは容易かった。
ジャコには『グリム・リーパー』という鎌を超高速振動させ、切れ味を何倍にも増加させる技がある。
しかし、柱にぶつかる瞬間それをあえて、止めたのだ。そして、柱にてこずる振りをし、ジャギを油断させた。
その後、接近戦に持ち込むために指貫を全部外すと思わせ、三つほど残しておいたのだ。
そして、それを、悟られないように大袈裟に攻撃を避ける動きで、操り糸を見破られないように人形を動かした。
そして、最後にバランスを崩したふうに見せかけつつ、後ろに下がる動作をしながら『バブル・ザ・スカーレット』を発動させた。
見事にバブルは足に命中。それらがジャギの知らぬ内に行われていたのだ。
970Classical名無しさん:07/05/13 21:14 ID:dL3PJkeg
支援
フェイスレスの前には、驚愕の表情を浮かべる仮面の男が空中に静止していた。
先ほどと打って変わって、余裕の表情は皆無に等しい。静止は瞬間的なものだけど、フェイスレスには十分だった。
フェイスレスはジャギの横をそよ風のように滑らかに、突風のように素早く通り過ぎた。その瞬間、
――右肩
――左肩
――右肘
――左肘
――右膝
――左膝
をまるで旋律を奏でるように美しく鮮やかに間接を外した――――『分解』。

体の自由が利かないジャギは受身も取ることも出来ず、地面に激突。足に付いたゴムが元に戻ろうとする力で屈辱的に引きずった。
「貴様あ! この俺に何をしやがった!?」
ジャギは体の異変を訴えた。腰を使って顔を上げるその姿はまんま芋虫のように見え馬鹿丸出しであった。
フェイスはくっくっくと笑い、ジャギの元へと向かった。
「ざまあ、ねえな」と、ジャギの顔を踏みつける。
ジャギは屈辱で頭がおかしくなりそうであった。ジャギはケンシロウの怒りなど、当になくなっていた。
自分への侮辱の数々。圧倒的にフェイスレスへの憎しみの怒りが勝っていた。
「僕の勝ちだよ。『弟』である僕のほうが優れていることが証明されたよ」
頭を踏みつけられたジャギはあろう限りの暴言を吐き出した。
だが、フェイスレスはそれを無視するようにマスクに手をかけた。さらなる屈辱の追加のために。
972Classical名無しさん:07/05/13 21:17 ID:MfzvVRas
973Classical名無しさん:07/05/13 21:18 ID:dL3PJkeg
 
「立派なマスクだねえ……ジャギ君の面を拝ませてもらうよん」
マスクを取ると、右の頭が脹らんでおり、その進行を食い止めようと金具が施されていた。ニタニタ顔で醜いなあと漏らした。
ジャギはよりいっそうわめきたてた。体を上下に揺らし、羽を失った蝉のように鳴き出した。
フェイスレスは子供をなだめるように優しい口調で。
「五月蝿いよ……『分解』」
ジャギの頭の金具を分解した。金具が外されたところから血が吹き出す。
苦悶の表情で悲鳴をあげ、のた打ち回るジャギ。
辺りはよりいっそう騒がしくなった。しかし、叫喚の中で、カンカンと微かに音が聞こえる。

フェイスレスは耳を傾け、音の正体を模索した。それは電車の警報機であった。近くに警報機があるのだろうか。
その音は、駅に電車が来ること意味していた。フェイスレスに閃きが巻き起こる。
「いいことを思いついたよ、ジャギ君。耐久力の実験を兼ねて、僕は花火を打ち上げようと思うんだ」
「いきなり、何、わけがわかんねえこといってやがるんだ」
フェイスレスはジャギを腕に抱き上げた。間接が外されているジャギは抵抗も出来ぬまま、抱き上げられる。
すると、突然アナウンスが流れる。『@番線に電車が到着いたします、終点S6駅行き』と。ジャギに大量の油汗が流れ落ちる。
嫌な予感がした。考えたくもない、考えれば……。いや、考えてしまう。

「や、止めてくれ!! た……たのむ、お願いだ!!」
あれほど強気だったジャギはどこに行ったであろうかと思うほど、全身を震わせ、情けない声を発した。
命乞いした。しかし、それはフェイスレスを喜ばせる結果しか生まなかった。
「止めるんだ、止めてくれーー!! 俺たちで手を組まないか?
 俺たちが手を組めば、最後まで生き残るも『夢』じゃない!! だからさあ、手を組もうぜ!!」
ジャギは必死に訴えた。自分が如何に役に立つか、フェイスレスにとってどれほど有益か。
「だから、手を……」
975Classical名無しさん:07/05/13 21:20 ID:Xt.IgBR2
シエンスタ
976Classical名無しさん:07/05/13 21:20 ID:4EPkR.EY
 
977Classical名無しさん:07/05/13 21:20 ID:vLKPxTgI
 
978Classical名無しさん:07/05/13 21:20 ID:.h6p2a2s
フェイスレスはジャギの命乞いに答えるかのように口を開く。
「ジャギ君? 君は最後まで生きるのも『夢』じゃないと、言ったよね? 僕の『夢』は最後まで生き残ることじゃない。
 僕の『夢』はそんな下らないことじゃない。 僕の『夢』はエレオノールと結ばれることなんだ。
 まあ、名簿にはしろがねと記入されているけどね」
電車がガタンゴトンと騒音を上げ、こちらに向かっていた。
ジャギには、その音が死の鐘を鳴らす悪魔のように見えた。
電車が目視できる距離になると、ジャギの視界を酷く歪ませた。
ライトが自分を粉々にする巨大な目、正面にあるカラフルなラインが自分を飲み込もうとする巨大な口。
ジャギには、それそのものが恐怖だった。それでも、ジャギは一縷の望みを賭け、最後のお願い事をする。
「お、お願いだ! た、助けてくれ!!」
回答は―――

「僕の『夢』には―――――」
スローモーションのように口をゆっくりと動かした。

―――君は含まれていない
それが答えだった。

そして、フェイスレスは花火を打ち上げた。首輪の耐久力テストを兼ねて。まあ、答えは分かりきっていたけど。
980Classical名無しさん:07/05/13 21:22 ID:vLKPxTgI
 
電車のライトがジャギの眼孔に眩い閃光を灼きつけた。その光は死=無を思わせた。
白い光が辺りを覆う無の世界。真っ白で何もない。希望も絶望もない、退屈な世界。それを、意味しているような光の集合体。
それが、ジャギの最後に見た光景であった。
S5駅に生温い破裂音が響き渡った。
市販の花火とは、程遠いほど鈍く、不快な音だった。
激しく飛び散った鮮血も一種類しか色づかせず、単調であった。
風情も、華もへったくれもなかった。
「……きったねえ…花火……」

それから数分が経過した。電子音のような感情が込められていない女性のアナウンスが駅中に反響する。
A番線に終点S10駅行きの電車が到着いたしますと。ちなみに、S1駅とS4駅に行くには、S3駅で乗り換えなければなければならない。
電車が自動的にブレーキをかけ、自動ドアが役割を果たすよう開く。フェイスレスは乗り込んだ。
次の冒険を待ちわびて、座席に腰を掛ける。手にはジャギの仮面を、変装の時、使えないかと思いながらお手玉のように転がしていた。
車窓から覗く、@番線の線路にある横に細長い物体に目をやる。ジャギの胴体である。
それには、四肢と頭がなかった。たぶん、弾け飛んだのであろう。首輪も粉々砕け、吹き飛んだようだった。
ジャギだったものは薄暗いところに放置してあったので、燃え尽きた花火のように黒ずんで見えた。

フェイスレスは滑稽だったなと息を漏らす。警報がジリリと不快に鳴った。
扉が閉まる合図である。扉がプシューと空気を噴出させながら閉まる。電車が動きだした。
今、フェイスレスの気まぐれな電車の旅が始まった。
【B−3 線路を移動中 一日目 黎明】
【白金(フェイスレス)@からくりサーカス】
{状態}健康
{装備}??? ベレッタM92(弾丸数8/15)
{道具}支給品一式 ジャック・オー・ランターン入りケース(接着液残り4発、ロケット弾残り6発)@からくりサーカス
 ジャギのマスク@北斗の拳 不明支給品0〜2(本人確認済み)
{思考・状況}
基本:『夢』を叶えるために首輪を『分解』する
1:利用できる奴は利用する(勝やエレオノールを守らせるなど)
2:参加者から情報を得る
3:首輪を集める(少なくとも5つは欲しい)
4:利用できない弱者は殺す(首輪を集めるため)
5:極力強い人間との戦闘は避ける

備考
1、S5駅のホームに肉片と鮮血が結構広い範囲に飛び散っています
2、線路にジャギの胴体があります
3、ジャギの四肢と頭は駅外に吹き飛びました
4、フェイスレスは目的の駅は特になく、気まぐれに移動するつもりです(次の書き手に任せます)

【ジャギ@北斗の拳 死亡確認】
残り53名
983 ◆ZhOaCEIpb2 :07/05/13 21:25 ID:ZaChcNqY
投下終了
支援ありがとうございます
指摘などありましたら、ドシドシお願いします。
984Classical名無しさん:07/05/13 21:32 ID:4EPkR.EY
投下激しく乙だ、ちょいと、すぐには読めんが読み終わったら観想書くぜ



ttp://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1179059484/l50
985Classical名無しさん:07/05/13 22:07 ID:vLKPxTgI
乙であります
マーダー同士の潰し合いか…… ジャギの小物ぶりがいいカンジです
でも首輪が吹き飛んだのはもったいねぇ……
意外と丈夫だな、とでも言って回収してほしかったかな
それと、@やAといった機種依存文字は使わない方がいいと思う

どうでもいいけど、【死亡確認】は王大人っぽくて、なんか胡散臭いw
986Classical名無しさん:07/05/13 22:16 ID:dL3PJkeg
乙です。
ジャギ……(ノД`)
兄弟という因縁を持つ二人の絡ませ方が上手かった。
バトルも騙しが得意というフェイスレスの特性を分かりやすく書ききっている。
「きったねえ花火」って、ベジータw
面白かった。

>>984
あちらでも乙ッたが、こちらでも言わせてもらおう。
乙!
987Classical名無しさん:07/05/13 22:22 ID:4EPkR.EY
>>983
人外が意外にもサクサク死んでいくな。ジャギちゃんも、弟の話しなんかしなかったらスルーしてもらえたかもしれないのに……
やっぱ、ここら辺は格の差か。
988Classical名無しさん:07/05/13 22:28 ID:KcpZlcO2
乙、たまにはマーダーの潰し合いはいいな
ジャギも残念だったなぁ
989Classical名無しさん:07/05/13 22:51 ID:iX5DDOXI
こうしてみるとフェイスレスってマーダーキラーに近い気もするな。
勝やエレオノールを殺す可能性が高い無差別マーダーを放置する可能性低い。
990Classical名無しさん:07/05/13 23:00 ID:coeTG8tQ
思ったんだがフェイスレスって首から下は人工筋肉と歯車と強化骨格で出来てるから首から下の秘孔つかれても効果なさげだよな。あの伸縮自在な顔も秘孔突いても効果あるか怪しいし
何が言いたいかと言うとジャギは運が悪すぎた
991Classical名無しさん:07/05/13 23:05 ID:aWVtb1qI
今さっき一つの事実を思い出した

ヅラとかがみはジャギをケンシロウと思っている上に危険人物だと認識してるんだよな?
ここでジャギが死んだとなると、ケンシロウ本人と直接会う以外にその認識を否定する材料はなくなる
つまり、ケンシロウ外道伝説が独り歩きを始める危険性が……!
992Classical名無しさん:07/05/13 23:17 ID:coeTG8tQ
>>991
独歩に会うという解決法もあるぞ
まあ独歩が言うケンシロウとヅラ達の言うケンシロウの情報を両方聞いた奴が混乱したり疑心暗鬼になる展開もあるかもしれんが
993Classical名無しさん:07/05/13 23:22 ID:4EPkR.EY
フェイスレスに説明させるのが一番なんじゃ……
って思ったが、説明するタイプじゃねーよな
994Classical名無しさん:07/05/13 23:37 ID:65Q3st4s
灰原の支給品とか
995Classical名無しさん:07/05/13 23:57 ID:4Rv7KiP6
ライスピのキャラとか支給品は特撮版で出来たことはライスピでやってなくても出来ると思っていいのかな?

超能力を跳ね返すライドルバリアとか。
996Classical名無しさん:07/05/14 00:18 ID:X6eRDshg
さてと、約束どおり現在地マップを一昨日の昼頃(?だっけか)に修正しました。
とりあえず、WindowsXPで見る限りは多分大丈夫なんじゃないかと。
確認したのはIE6、FireFox、Operaの三つですが、キチンと表示されています。

表示されなかった理由は左側のメニューに検索ボックスがあったかららしく、
それをどけたら、すべてのブラウザで同じように表示されるようになりました。
なので、これからもメニューの方に検索を入れないようにお願いします。
ってか、結構レイアウトおかしくなってたしね。まぁ、あれ入れたの、確か自分ですが……
997Classical名無しさん:07/05/14 00:22 ID:/Sqoqhys
しかしフェイスレスって原作知らんけどかなりかっけーな…老人とは思えん…
近い内にからくり全巻読もうと決意
998Classical名無しさん:07/05/14 00:28 ID:1OMG/dbY
>>995
いいんじゃないか。
ライスピは特撮版と繋がっていることが明確にされているし。
これから特撮版のマイナーな技を出しまくる気だろうし。
999Classical名無しさん:07/05/14 00:29 ID:/5yVdklc
うめ
1000Classical名無しさん:07/05/14 00:29 ID:/5yVdklc
1000ならセラスは俺の嫁
10011001
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。