鳥肌がそのまま常態化したようなブツブツが身体に出来ている
痒くてたまらないのか、常に掻き毟っている
赤みがかった皮膚からは膿のようなものがぬめぬめと湧き出ている
出血するほど爪をたて、皮が捲れポロポロと汚物を撒き散らす
寝てる間も知らずに掻いているらしい
なんて気持ち悪い
見ているだけで不快になる
お前は家に引きこもって一生掻き続けとけ
醜悪な姿態を公衆の面前に見せるな
アトピーは外出禁止な
彼は高校からの知り合いで大学も同じ大学へ進学した。
お互いあまり社交的な性格ではなく、地味なもの同士かなり親密で仲の良い間柄だった。
そんな彼が大学へ通い始めて半年ほどたった頃から急に変わり始めた。
それまで気にもかけなかった服装にお金掛け始め、口数が少なかったのが嘘のように社交的な態度になり、
学内のいろいろなところで彼がそれまで口をきいたことのなかった人と話しているのを頻繁に見かけるようになった。
恋人でも出来たのかと思い、尋ねてみると「いや、残念ながら違うよ」とぎこちない笑顔をみせた。
では、心境の変化はいったいなんなんだと訊くと、何かうまくごまかされて答えを聞くことが出来なかった。
自分も彼と同じように少しは社交的になるべく努力しようかと思ったものの、どうも気が乗らなかった。
それに彼も、社交的になったからといって、友人である自分と距離をおくということはしなかったし、
一緒に話をしたりする時間は減ったものの、それまで通りの付き合いがあった
彼の変化はその後も続いていき、「社交的」という言葉ではちょっとあてはまらないほどになっていた。
躁状態が常につづいているようで、昔の彼を知っている自分としては彼の変化に僅かな恐怖心さえ抱いた。
その彼がある日、突然姿を消した。はじめはただの欠席だと思い誰も心配などしなかった。
しかし何の連絡もなく二週間ほど休みが続き、流石におかしいなと思ったので、彼のアパートを訪ねてみた。
部屋には鍵がかかっており、何度ノックをしても返事がない。
心配だったので新聞受けから部屋を覗き込むと、家財道具などが一切なくなっていた。
そして、薄暗くてよく見えない部屋のちょうど真ん中あたり、畳の上に何か妙な形をした像のようなものが置かれているのが見えた。
アパートの人に尋ねてみると、少し前に引っ越したと言われた。
しかも引越しの時には彼以外に何人か、明らかに引越しの業者には見えない手伝いの人が来ていたとも知らされた。
何か厭な感じと不安な気持ちを抱いたので、彼の両親に電話してみると、彼からは何も知らされていないと告げられた。
とりあえずお互い何か分かったらすぐに連絡するとだけ言い、そのまま電話を切った。
まだ続きます
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Classical名無しさん: