週刊少年マガジンとマガジンSPECIALで連載中の「スクールランブル」は
毎週12ページの週刊少年漫画です。
物足りない、もっとキャラのサイドストーリー・ショートストーリーが見たい人もいる事でしょう。
また、こんな隠されたストーリーがあっても良いのでは?
有り得そうな展開を考察して、こんな話思いついたんだけど…といった方もいるはずです。
このスレッドは、そんな“スクランSSを書きたい”と、思っている人のためのスレッドです。
【要はスクールランブルSSスレッドです】
SS書き限定の心構えとして「叩かれても泣かない」位の気概で。
的確な感想・アドバイスレスをしてくれた人の意見を取り入れ、更なる作品を目指しましょう。
≪執拗な荒らし行為厳禁です≫≪荒らしはスルーしてください。削除依頼を通しやすくするためです≫
≪他の漫画のキャラを出すSSは認められていません≫≪エロやヤオイなど性描写は禁止です≫
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/,、‐´ | |:/ リト┬,|:::::i ニ==、ニトヾ::|、r-、::|:::::::::| 新スレおめ
,/ / i | リ |ヽ゚ノ!:::| 、{::::。}> ヽ:|//:::|:::::::::|
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/:::::/ ノ ハ ヽヽ ` /‐' /ヽ、::::::::|i
,,、‐/─/ / / ノ \ヽフ /::/ \::::| 受け取りたまえ
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ヽ / ,、''´ \/ |::{ |:::|
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ヽ ,,、‐'" `゙''────‐ヽ:c:::. ,,、‐' / | |::\
`ー─'´ `ヽ 、,,_,,、‐''" / | | ̄
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4 :
ハルキ“リコーダー・ホース”ハナイ :05/12/19 15:07 ID:guzsCmfI
「眼鏡はとらない。俺はもう何年間も相手を傷つけ、戦うのはなれている。
しかし、今回のラブコメは時間の無駄。モブを辞めただと?
一生、モブを続けていろ。必ず俺は彼に勝ちたいと思う」
「俺はたくさんの恋を闘って来た。恋愛は生易しいものじゃない。
彼はバスケに戻った方がいいよ。さつきに関しても俺は憤慨しているんだ。
さっさと背景に戻れ! さもなければ、叩き潰して恥をかかせてやる」
「腐女子の女の子がヤツを応援するって?
でも、俺はヤツを叩き潰してマットに押し潰してやる。
彼が俺にキックを当てるのは不可能だ。
お前は人気があるのかもしれないが、その顔が潰されたらどうなるんだ?
それが今から楽しみだ。ヒッヒッヒッ」
「ヤツはドリブルが得意だって?
俺はドリブルが確かに好きじゃないが、俺はスーパーマンだ!
凄い力を持っていて人間を超えている存在なんだ!
お前を叩き潰してやる! 殴られたら殴り返してやる! それだけだ」
「レッサーパンダと戦っていたのは、
モブとラブコメをやらされる事が恥ずかしかったからだ。
俺は鉛筆やD、虹らとやりたかったんだよ。
俺だって万能キャラになりたいけど、
俺が格闘技を辞めて今すぐバスケが出来るか?
つまり、そういう事だ。
マガスペも必要ない。一話で話は終わる。
今まで一般人とも路上で闘ってきたから、誰と闘うという拘りはないが、
俺がモブと闘う事で自分までがサブキャラのような見方をされるのが嫌なんだ。
普段は本編に出て来て、スクランでラブコメをする事にワクワクするが、
今回はそんな気分にはなれない。
どうして彼だけがイージーステップでミコちゃんをかけたリングに上がれるんだ?
彼のイージーさに我慢がならない。
他にも一生懸命にやって周防の恋人を目指している男が、
世界にはいっぱいいるのに。俺はそういう男とやりたかったんだ」
■
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku/1030011544/410,411,413,415,496,512,514■
●
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku2ch/1035797970/96,97,98,99,100,101,102,103,104,105●
◆
http://tmp5.2ch.net/test/read.cgi/tubo/1130618707/16◆
★
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/siberia/1130767226/266,268,329,582★
|ノ⌒【
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1131132658/371】
371:AerospaceCadet ◆NCC1710hh2 05/11/12 08:51 CcYIM.tA
クズが誰を指してるか理解できないアホの子が居ますwクズが誰を指してるか理解できないアホの子が居ますw
クズが誰を指してるか理解できないアホの子が居ますwクズが誰を指してるか理解できないアホの子が居ますw
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クズが誰を指してるか理解できないアホの子が居ますwクズが誰を指してるか理解できないアホの子が居ますw■
|つ【
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1131132658/303】
303:AerospaceCadet ◆NCC1710hh2 05/11/11 19:13 FKt25Xy2 [sage]
どいつもこいつも今まで好き放題してた癖にいざ自分がやられると被害者面かさっさと失せろいや死ねよクズ共
どいつもこいつも今まで好き放題してた癖にいざ自分がやられると被害者面かさっさと失せろいや死ねよクズ共
どいつもこいつも今まで好き放題してた癖にいざ自分がやられると被害者面かさっさと失せろいや死ねよクズ共
どいつもこいつも今まで好き放題してた癖にいざ自分がやられると被害者面かさっさと失せろいや死ねよクズ共
どいつもこいつも今まで好き放題してた癖にいざ自分がやられると被害者面かさっさと失せろいや死ねよクズ共
どいつもこいつも今まで好き放題してた癖にいざ自分がやられると被害者面かさっさと失せろいや死ねよクズ共
どいつもこいつも今まで好き放題してた癖にいざ自分がやられると被害者面かさっさと失せろいや死ねよクズ共
■■■■■■■■■■■■■■■
≡≡≡・゚・(ノ:A:@)ノ<死ねよクズ共!!!
どの派閥が読みたいですか?
いや、俺が書くわけではないですが…
麻生がいる前で先輩にモーションかける周防は心底尻軽だと思いました。
そういう訳で、アソミコをお願いします。
とりあえず、前スレはまだ400KBにも到達してないんだからこっちにはまだ投下しないでほしい。
即死回避
死守
店主
みんなOVA買った?
俺は連休明けに買いに行くぜ。
OVAはエロイ
OVA
は
エロい
な
17 :
Classical名無しさん:05/12/26 23:11 ID:KbOdsjp2
7
アソミコ期待age
>18
…クレクレの前に自分で書きなされ…。
20 :
Classical名無しさん:05/12/27 06:47 ID:fzxM3ptM
旗期待age
前スレ終了。投下が少ないので1000まで到達できちゃった。
今スレの発展を祈る。
どんなのが読みたいかみんなで話し合いません?
そこから、作品ができるかもしれませんし。
アソミコ。
縦笛読みたい
全編ブラボー!って感じにギャグ満載の東郷晶の話。
いままで一度も見たことないレアSS、ララ*播磨単品。
クソハーレム話のやつなら見たことあるんだけどな。
・季節じゃないけどサーファー・天王寺×ボディーボーダー・三原
・なんとなく雰囲気だけで烏丸×冴子
・体育祭の騎馬戦で一緒だった天満×三沢鼻
・体育祭のプログラムを一緒に覗き込んだ石山×冴子
・ハネ子×ダメ子(全年齢向け、レズではなく友情モノ)
・絃子を巡って郡山VSナカムラ
・大喰い3兄弟VSさつき&ララ
・沢近×テツさん
・飯田橋さん視点のメルカドの1日
じゃあ俺が東郷の友情話を書こう。
とりあえずフリーター抜け出せたら。待っててくれ。
>>27 そんだけ出てくるなら既に構想くらいありそうだな
期待しとく
>>28 期待してます。
ついでに俺は、烏丸×天満以外の烏丸が見てみたい。
何となく、ハリーも見てみたい。
それと質問なんすけど、「オリキャラ」は認められているんですか?
>>30 オリキャラ主役でスクランキャラとの恋愛はまずアウト。
たとえばだけどオリキャラ視点のスクランキャラの日常とかはたぶんセーフ。
まあ、端役以外でオリキャラなんていらないと思う。
ハーレムでも書くか
周防「…」
高野「…」
天満「…」
沢近「…」
ララ「…」
冴「…」
梢「…」
一条「…」
サラ「…」
播磨「…」
33 :
アモル:05/12/30 00:56 ID:WAfcTQbY
(゚∀゚ )ノ へぃ!
どーもアモルです。
覚えている方がいらっしゃったら滅茶苦茶遅くて申し訳御座いませんorz
私生活が忙しかったり、PCいかれて買い換えたりで、結局前回投下から2ヶ月・・・
何とか前スレ中に続き投下したかったのですが間に合わず。
つーわけで、前スレ
>>556-564、
>>592-606の続きの鉛筆モノです。
矢神駅前で、数人の男女が集合していた。
女の子は、天満を中心としたいつもの4人に、天満の妹八雲を加えた5人である。
彼らはこれから茶道部の合宿に行くのだ。もっとも正規の茶道部員はこの中の半分にも満たない。
茶道部の部員だけでは参加人数が足りないため、天満が発案していつものメンバーを集めたのだ。
そして男は3人。一人は花井春樹。一応茶道部に籍を置く男だが、その目的は100%、八雲の傍にいること、だけである。
一人は播磨拳児。とあることで花井が迷惑をかけたため、そのお詫びに(という名目で)今回のキャンプに誘われた。
もっとも本来の目的は塚本天満と親密になろう、というものだが。
そしてもう一人の男は、
「なあ、播磨。」
「何だ?」
「何で今鳥がここにいるんだ?」
2−Cが誇る遊び人、今鳥恭介である。美琴が誘ったのは播磨だけのはずなのだが、いざ集合場所に行ってみると、
何故か準備万端の格好でこの男が手を振っていた。
「いや、オメーが電話かけてきた時、コイツ隣で聞いてたんだよ。」
「…そうか。」
まあいるものはいるんだから仕方がない。しかし一応晶には謝っておこうと美琴はこっそり声を掛けた。
「悪いな高野。何か妙なことになって。」
「別にいいわ。一人増えようと二人増えようと大して変わりはないし。…まあ元々は男子抜きで行く予定だったけど。」
その言葉に美琴は首をかしげた。
「男子抜き? 花井はどうする気だったんだ? 行く気満々だったけど。」
「最初は1日ずれた日付で教えていたの。彼がいると八雲が落ち着けないでしょうし、私も落ち着かないし。
けどそのあと播磨君が参加することになったから、それなら別にいてもいいかな、って。」
「……相変わらず花井に厳しいなお前は。まあ気持ちはわかるけど。」
「美琴さん、私からも聞いていいかしら?」
「ん? 何をだ?」
「今回播磨君を誘ったのは何故?」
それを聞いて一瞬美琴はドキリとしたが、表情には極力出さないよう努力した。
もっともそれが目の前にいる女に通用する自信は美琴には無い。
「何の話だ? 播磨を誘ったのは花井だろ?」
「あなたの発案だということは花井君から聞いているわ。それに…あなたと播磨君は以前より仲良く見えるし。」
「ありゃ、バレてたのか。」
どうやらとぼけるのは無駄な努力らしい。とは言うものの真相を話す気にはなれない。
これは自分の秘密ではなく、播磨の秘密なのだ。他人の秘密を軽々しく口には出せない。
高野ならもしかして気付いているのかも、とは思うものの、それとこれとは別問題である。
「まあ、播磨にはちょっと世話ンなってさ、そのお礼だよ。」
「…本当に?」
「お前が期待してるような事じゃねーぞ、多分。」
実際に晶が何を期待しているのかは美琴にもよくわかっていないが、取り敢えずそう答えておく。
「…そう。残念。」
そして晶も何を期待してるのかは言わずにそう言うと、周りの皆に出発の旨を伝えた。
A Route of M 第2話 - Rain Man -
そして一行は、キャンプ場へとやって来た。
役割分担を晶が決めようとしたが、花井が男性陣のみで全部やると言い出したので、女性陣は気兼ねなく羽を伸ばしていた。
今鳥は全く気にしていなかったが、播磨はかなり長い間ブツブツ文句を言っていた。
面倒くさい事もさることながら、天満と一緒にいられる時間が激減してしまうからだ。
ふてくされながら焚き火用の枯れ枝を拾っていたが、そこに一人の少女が現れた。
天満の妹、塚本八雲である。
八雲は、キリンと共に去っていった、そして伊織の足に刺さった棘を抜いてくれた播磨がどんな人間なのか興味を持ったのだ。
播磨も、バイト先で八雲がおにぎりを作ってくれた事を覚えていたので、この二人の普段の性格からすると
信じられないほど早く打ち解けた。
しかし、それを物陰で憎々しげに見つめている人影が一人いた。
八雲の姉、塚本天満である。
天満は未だに、播磨が愛理と美琴両方に手を出したと思っていた。自分の勘違いが事の発端だとは露ほども気付かずに。
天満の目に映っているのは、美琴や愛理だけでは飽き足らず、大事な妹にだけ手を出そうとするお猿さんの姿だった。
天満は八雲に播磨がどんなケダモノであるか事細かに説明した。
しかし先入観のない八雲には天満の説得は全く通用しなかった。お姉ちゃんパワーを発動させて八雲の行動は封じたが、
このままでいるわけにはいかない。
天満は、妹を、皆を守るため、播磨と戦う事を決意した!(問い質すだけ)
以上、ダイジェストでお送りしました。
そして夜、肝試しの時間がやって来た。
播磨には挑戦状を叩きつけてある。そして天満はくじに細工をしていた。れで一対一の勝負ができるはず、だった。
「あたしは播磨とか。」
「おう。………あれ?」
天満が仕込みを間違わなければ。
(まーちーがーえーたー………!)
天満はものの見事に失敗し、奈落の底へ転落していった。
「どーかしたか播磨?」
「いや……えーと………?」
天満と一緒のペアになるはずだったのだが、何故か美琴とペアになり、播磨はさかんに首をかしげる。
「あ、そーか。塚本と一緒になれなかったからガッカリしてるんだろ。」
にやけながら横肘でグリグリ突っつく美琴に、
「いや、そーなんだけど、そーでないっつーか………」
肩透かしを食った播磨は、煮え切らない返事しか出来なかった。
「えー? 男とペアなんてやる気出ねーよ。」
「ああー……八雲クン………」
「八雲は私とね」
「あ…よろしくお願いします。」
「ちょっと、どうしたのよ天満? さっきまでやる気満々だったのに何で突っ伏してるのよ?」
他のペアはそれぞれ、今鳥と花井、八雲と晶、愛理と天満である。
先に今鳥と花井、愛理と天満が出発し、次は播磨と美琴の番になった。
出発しようとした美琴に晶が声をかける。
「美琴さん。」
「あん?」
「男女ペアの組み合わせはあなたたち二人だけだから………頑張ってね。」
無表情なままで親指を立てる。
「何をだよ。」
苦笑しながらツッコんでおいて、美琴は歩き出した。播磨と横に並んで暗闇の中を進んでゆく。
「播磨。 暗いのにサングラスで大丈夫か?」
「ああ、問題ねーよ。 普段から掛けっぱなしだから馴れた。」
本当に問題ないらしく、全く覚束無さはない。平気な顔で歩みを進める。
その後は特に会話もなく歩いていたが、ふと美琴がさっきの事を思い出して播磨に訊いた。
「そういやさっきやたらと悩んでたみたいだけど、何かあったのか?」
「いや、天満ちゃんがな、昼過ぎに俺の所に来て「肝試しの時一緒のペアを組んで」って言ってきたんだよ。」
「塚本が?」
「ああ、1対1の勝負だとか言ってきた。 フッ……天満ちゃん、完璧に俺を意識しているな。」
「うーん………」
美琴にはいきなり天満が播磨を意識しだすとも思えない。
「一体なんでだろーな。もしかして塚本に何かしたんじゃねーのか? それで勝負を挑まれたとか………」
「しねーよ! 天満ちゃんはきっと、俺の秘めた想いに気付いたんだ! それしかねえ………。」
「だけど結局ペアになんなかったんだよな。」
それを聞いてガクッとうなだれる播磨。
「何でだ……何で天満ちゃんとじゃなくて、周防と一緒になっちまったんだ………」
「悪かったな御期待に添えなくて。まあ大方塚本がくじの仕込み間違ったとかそんなとこだろ。」
美琴は適当に言ったのだが、その言葉は完璧に的を得ていた。
「それにしても、「天満ちゃん」ねぇ………面と向かったら「塚本」なのになぁ………」
からかうように言う美琴のその言葉を聞いて固まる播磨。
「イヤ、アノ、ソレハ………」
「別に呼びたいように呼べばいーじゃねーか。「塚本」でも、「天満ちゃん」でも塚本は気にしねーと思うぞ。」
「……し、しかし………何か気安すぎじゃねーか………?」
「大丈夫だってそん位。…カーッ、全く……少しは普段の気の強さを見せてみろ。」
「クッ……テメェ好き勝手言いやがって………」
などと言い合っていると、急に雨が降り出してきた。
「…いきなりかよ。ヤベーな、結構振り強ェーぞ。」
「戻るにはちょっと遠いしな……仕方ねえ、どっか雨宿りできる場所探すぞ。」
そうして美琴と播磨は、雨の中を猛スピードで走っていった。
やがて二人は、闇の中に佇む古い建物を見つけた。
「廃校……か?」
「そうみてーだな。丁度いーや、入ろうぜ。」
播磨はそう言って中に入っていった。美琴もその後に続いて入っていく。そして適当な教室に入って一息ついた。
「いやー、助かったな。こんな所に廃校があってよ。」
「ああ、そーだな。」
話し掛けた美琴に声だけで相槌を打ち、播磨は部屋の中からテキパキと必要なものを探し出して、手早く火を焚いた。
それを見て感心する美琴。
「へぇ……うまいもんだな。」
「別に感心するよーな事でもねーだろ。…と、タオルになりそーなモンは………」
周りを見回して体を拭くものを探す播磨。美琴は、この要領の良さの10%でも普段から出せないものかとも思ったが。
結局タオル代わりになるものは見つからず、雨が止むまで火であったまる事にした。
しかし濡れたままではやはり体が冷たくなってくる。
「へくしっ。………あー、やっぱ冷えんな。」
くしゃみをして呟く美琴。ふと気が付くと、播磨がこちらをじっと見ていた。
「何だ播磨? ジロジロ見て………」
播磨はしばらく黙って美琴を見ていたが、やがていきなりシャツを脱ぎ捨て、
「おい………お前も脱げ。」
唐突にそう言った。
「なっ…!?」
いきなりそんな事を言われ、美琴は面食らう。そして、それはこっそり隣の部屋で聞いていた愛理と天満も同じだった。
二人は美琴達から少し遅れてこの廃校を見つけ入ってきたのだが、隣の部屋から明かりと声が洩れてきたので
こっそり覗いていたのだ。
『播磨君……この合宿で八雲にまで手を出そうとしておいて……やっぱりお猿さんだよ!』
『え!? アイツ八雲にまで手を出そうとしたの!?』
『そうだよ! 八雲はそうゆう事に疎いから、私が気付かなかったら騙されるトコだよ。』
『くっ………あのヒゲ…!』
『愛理ちゃん! 止めに行こう!』
『待ちなさい、まだ早いわ。アイツが美琴に直接手を出そうとしたら踏み込むのよ。そうすれば言い逃れできないわ。』
『う…うん……。分かったよ。』
そう決めて、愛理と天満はじっと覗き見、そして聞き耳を立てる。
一方美琴は、播磨のいきなりの脱げ発言に動揺していた。
ふと、自分の濡れたTシャツから下着のラインが浮き出ているのに気付き、思わず両手で胸元を隠して後ずさる。
「お、おい………何のつもりだよ。」
「あ? 言ったまんまの意味だよ。とっとと脱げ。」
「オ……オマエ………」
播磨が血迷ったのかと思い、反射的に拳を堅く握り締めた。
しかし、播磨の表情が存外真剣なので、僅かに心が静まる。そしてそれと同時に、播磨は基本的にバカである、
という事を思い出した。
殴り倒すのは話を聞いてからでいい、そう思い直して播磨を一から問い質す事にした。
「播磨、ちょっと聞いていいか?」
「ああ。何だ?」
「何で脱がなきゃならないんだ?」
「何でって、脱がなきゃ風邪引いちまうだろーが。」
「……OK、それは分かった。けど着るモンはどーすんだ? …まさか裸でいろってんじゃねーだろーな。」
「んなわきゃねーだろ。着るモンならそこにある。」
そう言って播磨はある物を指差した。
一方愛理と天満は耳を澄ませて聞いていたが、声が小さくて何を話しているのかはっきりと聞こえず
ヤキモキしていた。
『何やってるのよ美琴…。さっさと殴り倒しなさいよそんな奴!』
愛理が剛を煮やしたその時、播磨が何かを指差して、美琴がそれを見て納得した返事が聞こえた。
「あぁ…分かった。」
『えええっ!?』
動揺して食い入るように中の様子を窺う。
そうして数分後、愛理達の視線の先には濡れた服を脱いでカーテンを身にまとった播磨と美琴がいた。
美琴が着替えている間、播磨は一度も視線を向ける素振りすらも見せなかった。
『…播磨君って、お猿さんじゃなかったのかな。』
『な、何言ってるのよ天満! まだまだ油断は禁物よ。』
そういった時、二人は同時にくしゃみをした。愛理と天満は顔を見合わせ、美琴達にならってカーテンに着替えた。
再び播磨と美琴に様子に注目する。一つの穴を二人では覗き込めないので愛理は他に壁に開いている穴を見つけ
そこに移動した。
「…全く、いきなり脱げとか言い出すから何するつもりかと思ったぜ。そーゆー言い方するから他人から
誤解されんじゃねーのか?」
半ば呆れながら美琴は播磨に言った。
「あ? 何かおかしかったか?」
「おかしいに決まってんだろ。いきなりそんな事言われたら女なら誰だって何かされると思うぞ。」
「俺がオメーに何するっつーんだよ?」
「やらしー事だよ。」
「なっ…!? てめえ、俺がンな事するわきゃねーだろが!」
「だからそれはあたしがお前の事を知ってるから気づける事なんだよ。もう少し言葉に気ィ付けてしゃべれ。
じゃなきゃいつまで経っても誤解は解けねーぞ。」
「……チッ、わーったよ。」
播磨は渋々頷いた。尤も具体的にどうすべきなのかは分かっていないが。
そしてそれを聞いていた愛理と天満も顔を見合わせる。
『……うー、やっぱり私の勘違いなのかなあ?』
『ちょ、ちょっと…そんなにあっさり信じちゃ駄目よ天満!』
『うーん…でも八雲も信じてたし……美琴ちゃんもああ言ってるし………。』
『私はアイツにいきなり告白してきたのよ! それなのに他の女と一緒にいたり…。
それに海に行った時なんか………』
そこまで言って、愛理はその時の播磨の裸体を思い出し、真っ赤になって口を噤む。
『え、愛理ちゃん…。海で何かあったの?』
『な、何でもないわよ! とにかくあなたも美琴もアイツに騙されてるの!』
そう言いながらも、愛理は別の事を思い浮かべた。
(それにしても……何でアイツと美琴が仲良くなってるのよ………!)
沸々と美琴に対する怒りの感情が沸き上がって来る。その感情が嫉妬による意識から来るものだとは気づかずに。
その時、聞き捨てならない言葉が愛理達の耳に飛び込んできた。
「なあ……オメーいい体してんなあ………。」
『『えええっ!?』』
慌てて愛理達が隣の部屋に向き直る。
(や、やっぱりあのヒゲはとんでもない奴だわ!)
そう思いながら愛理が見た視線の先に見たのは、興味深そうに播磨の体を見つめる美琴の姿だった。
ちなみに先程の発言は美琴のものである。
「な、何だよいきなり………」
訝しげに播磨が美琴に問い返す。
「いや、前から興味はあったんだよ。体育会系ってわけでもねーのにスゲー体してるからな。」
美琴の言うとおり、播磨の体はそこいらの運動部員など問題にならないような体をしている。
さらに美琴の目から見ると、極めて格闘技向きな骨格、無駄のない筋肉の付き方である。
「やっぱあれか? 元々そーゆー体つきだったのか?」
「…ウーム、ンな事考えた事もなかったからなあ。」
播磨は暫く考えていたが、
「…別に意識して鍛えた記憶はねーなぁ。まあ、喧嘩は中学ンときはほとんど毎日のよーにやってたけどよ。
あとはバイトか? だいたい肉体労働ばっかだ。実入りはいーし、頭使わねーしな。」
「ふーん……そんなんでこの体になれんのかー………。」
感心してるのかうらやましがってるのか、美琴が播磨の肩から二の腕にかけてをポンポンと触る。
「触んなって。」
迷惑そうに播磨が手を払いのけて後ずさる。
「いーじゃねーか、減るモンでもねーし。」
悪戯っぽく笑いながら美琴がにじり寄った。
それを見てた愛理は、
『ちょっと美琴! 近づきすぎよ!』
と口の中で呟いた。勿論美琴達には聞こえないが。
実際、美琴が上体を乗り出すような姿勢になると、その男子間で話題沸騰の胸の谷間がやたらと強調されることになる。
播磨は今は落ち着いているが、そんな無用心なことをしていたらいつ播磨が獣の本性を出すのか、愛理は気が気でならないのだ
しかしそんな愛理の心配をよそに、播磨は平常心そのものだった。
ただただ触ってくる美琴の手を避けるように後ずさる。その胸の谷間には全く視線すらいかない。
播磨は天満に対する強い思い、そして普段からモデル並のスタイルと美貌を誇る従姉妹と同居していることにより、
色気に対して強い耐性を持ち、更に、視線を際どい部分から外すのも無意識的にやっている。
男が近づこうが女が近づこうが、播磨にとっては均等に鬱陶しいのである。
そんなわけで、播磨は近づいてくる美琴から離れるため座ったままの姿勢で後ずさったのだが、その時播磨の体に巻いている
カーテンの布が壊れて少し浮き上がっている床板に引っかかった。
「うぉ!?」
丁度後ろに荷重をかけた瞬間だったのでバランスを崩してそのまま後ろ向きに倒れ、背後にある机に後頭部を痛打した。
「グオォォォォォ……!!」
「わ、悪ィ、大丈……あ゛……」
播磨が後頭部を抑えて悶えて転がったとき、床に引っかかりっぱなしだったカーテンの布が、播磨の体からずり落ちた。
硬直する美琴。播磨もまた、急に空気が触れた感覚にはっとして視線を前に向ける。
播磨の肉体は、美琴の眼前に曝け出されていた。一番大切な部分もくっきりはっきりと。
「どおぉっ!?」
「ぅわぅっ!!」
あわててカーテンを巻きなおす播磨と我に返って後ろに下がり視線を逸らす美琴。
「テ、テメェ…何てコトしやがる!?」
「い、いや…その…なんてゆーか………ゴメン」
顔を真っ赤にして頭を下げる美琴。不可抗力ではあるが、原因は間違いなく自分のせいである。
「チッ……こんなことならもっとちゃんと着とくべきだったぜ………。」
そう言いながら先程は体に巻いただけだった布を、肩の辺りでしっかりと結ぶ。
美琴も自分の体に巻いたカーテンを改めてキチンと結びなおす。
とその時、隣の部屋から、ごとっ、っと何か重いものが倒れるような音が聞こえた。
「………?」
播磨と美琴は互いに顔を見合わせて、壁に近づいていった。
時間は少し前に遡る。
愛理と天満は、相変わらず隣の部屋を覗き込んでいた。
愛理がヤキモキしながら見ていたその眼前で、かつて愛理が目撃した代物が再び出現した。
「!!!!!」
思わず顔を逸らして、張り上げそうになった叫び声を必死で飲み込む。
何とか声を押さえ込んだが、心臓は早鐘のように鳴り続けている。
(な、何でまたあんなモノを見なくちゃならないのよ!?)
かつて播磨に全裸で羽交い絞めにされた事を、愛理は再び思い出していた。
もしあの時晶が現れなかったら、自分は播磨に一体どんな事をされたのだろう?
頭で再びグルグルとあの光景が回りだし、必死で頭を振ってそれを頭の中から叩き出す。
何とか平静を取り戻して、再び隣の部屋を覗き込んでみる。播磨が憮然とした表情で体に布を巻き直しているのが
目に入った。
その時横で、ごとっ、と音がした。見てみると、天満がばったりと倒れている。
『な!? ちょ、ちょっと天満!?』
揺り動かしてみるが返事はない。両の目は閉じられたままだ。
『ま、まさか今ので気絶したの? 裸見たことあるって言ってたじゃない!』
実際にはプロレスで上半身の裸を見たことがあるだけなのだが、無論愛理に分かるわけがない。
このまま寝かしておいていいものかどうか迷ったが、愛理は結局天満を放置して監視を続ける事にした。
そして三度、隣の部屋を覗き込んだ。
丁度それは、物音に気付いた美琴が壁に開いた小さな穴を覗き込んだ瞬間だった。
いきなり超至近距離で目が合う。
「ひゃあっ!」
「うわっ!」
あわてて飛びずさる二人。
「ど、どうした周防!?」
「い、いや…何か向こう側にいるみたいだけど。茶色っぽい目をした………ってちょっと待て。」
ふと周防が言葉を止める。向こう側から聞こえた悲鳴に聞き覚えがあったのだ。そして一瞬見た瞳の色にも。
「おーい! もしかして沢近か?」
「!?」(き、気付かれた!?)
「あ? 何であの金髪がこんなトコにいるんだよ。」
「雨宿りじゃねーの? あたし達と同じく。」
「んじゃあこっちに入ってくりゃあ……って待て! もしかしてて…塚本も!?」
「そりゃ一緒にいるだろ。おーい塚本ー、いるかー?」
当然気絶している塚本から返事があるわけはない。
(ど、どうしよう……)
愛理が迷っていると、
「あれ? やっぱ勘違いかな?」
「じゃあ向こうにゃ何がいるんだよ?」
「何だろ……野犬とか……ま、まさか…幽霊なんて事はねーよな………」
「…気になんなら見に行くぞ。」
播磨が確認しに行くと言い出し、愛理は更に仰天する。
「お、おい! 大丈夫なのか!?」
「別に何てコトねーよ。コソコソしてる幽霊なんざ怖かねーし、動物なら話通じるしな。」
「…そういや前にそんな事言ってたな。」
(前に、って……いつそんな話を…?)
播磨と美琴の会話に引っかかりを覚える。この二人は何時の間に仲良くなっているのか。
しかしその思考も長くは続かない。
「じゃああたしも一緒に行くよ。」
「別に俺一人で問題ねーぞ?」
「何かあった時一人より二人の方がいいだろ。それにここであたし一人待ってても仕方ねーし。」
「そっか。んじゃ行くぞ。」
「おう。」
播磨と美琴は立ち上がり、こちらの部屋に向かおうとする。
これ以上隠れ続けるのはもはや不可能だった。
「み、美琴…。私…愛理よ。」
諦めて二人に自分から呼びかけた。
「沢近? やっぱりあたしの勘違いじゃなかったか。…って何で今まで返事しなかったんだ?」
「いや、そのー……返事をし損ねたというか………」
ゴニョゴニョと苦しい言い訳をする。
「と、とりあえずそっちに行くね。」
追求される前に話を切り上げて、さっさと合流しようとする。
寝かせてある天満を抱え上げ、移動しようとした。しかし重い。天満は小柄だがそれでも女の腕力で運ぶには無理がある。
「よいしょ……よいしょ………お…重…」
「どーしたー? 何かあったのかー?」
なかなか来ない愛理を不振に思い、美琴が声をかける。
「じ…実は……天満が気を失ってて………」
もう隠しても仕方がないので美琴に教える。しかし、声は愛理には意外な所から上がった。
「な、何イイイィィィィィィ!!!???」
叫び声とともに部屋を飛び出し、ドアが壊れんばかりの勢いで愛理のいる部屋に飛び込んできたのは播磨拳児。
「ちょ、ちょっと……」
愛理が何か言うよりも早く天満を軽々と抱え上げ、愛理には目もくれずにそのまま戻っていった。
「何なのよ一体………?」
呆気に取られながらも、愛理は隣の部屋に向かった。
部屋に入ると、床に寝かせた天満に播磨が呼びかけていた。
「お、おい塚本! 大丈夫か!?」
美琴は天満の具合を看てみたが、深刻な状態ではないと判断して、愛理のところに向かう。
「呼吸も脈も普通だし、多分大丈夫だと思う。まあ道場でかじった程度の知識だから自信はないけど。」
「そう……。」
「だけど何があったんだ?」
「そ、それは………」
アレを思い出して再び顔が真っ赤になっていく愛理。
答えるのを逡巡している愛理を何か後ろめたいことがあると勘違いし、播磨が語気を荒げて詰め寄った。
「おいテメェ……まさか塚本に何かしたんじゃねーだろーなぁ?」
播磨が肩をガッチリと掴む。かあっ、と頭に血が上って愛理がその手を払いのけた。
「アンタが………」
「あ?」
「アンタがあんなもん見せるから気絶したんでしょーが!!」
播磨は暫く何のことかわからない、といった表情をしていたが、やがて先程起きた出来事にたどり着いた。
「ま、まさか………さっきの………………」
「…そうよ! 全くいい迷惑よ、あんなもの何度も見せられて………」
絶句する播磨にまくし立てる愛理。しかしもはや播磨の耳には入っていなかった。
(て、天満ちゃんが……俺の……俺のを見て……………)
ワナワナと震えだす播磨。それに気付いて言葉を止め、訝しげに問う愛理。
「何よ? 何か文句でも……」
「う、うおおおおおぉおぉおぉぉぉぉ………!!!」
「キャッ!?」
とうとう耐え切れなくなり、播磨は泣きながら教室から飛び出していった。
播磨の絶叫がだんだんと遠くなっていく。
「………何だってのよ、一体………」
「うーん、見られたのがショックだったのか…(それとも見た塚本が気絶したのがショックだったのか…)」
仕方がないので播磨は放っておいて、引き続きここで雨宿りを続ける事にする。
「しかし覗き見とは趣味悪ぃーな。」
「な!? 覗いてたんじゃないわよ! あのバカヒゲがアンタに何か変なコトしないか監視してたのよ。」
「いや、結局覗きじゃねーか。まああたしは別にいーけど、色々見られた播磨にはちょっと同情するな。」
「いーのよあんな奴。それより………」
愛理は、先程から気になっていた事を聞いてみた。
「何かあなたとヒゲ……やけに仲良くない?」
「ん? そうか? まあ友達だとは思ってるけど。」
「……ふーん………」
あっけらかんと答える美琴に、愛理はいらつきを覚える。
何故、あんな奴と仲良くするのか。
「まあ、沢近はアイツに色々思うところがありそうだけど…………」
不満そうな愛理に美琴が話を続ける。
「アイツはそんな悪い奴じゃないよ。単に深く考えてなくて、思い込みが激しくて、間が悪くて………」
そこで、ふと言葉を止めて、
「…言っててろくでもない奴のような気がしてきたけど、ま、一応いい奴だ。あたし個人としては、アイツに何度か
世話になってるしな………」
苦笑しながら続けた。
「世話に?」
「ああ。ちょっと困ってるときにな、たまたま播磨がいたんだよ。」
「…そう。じゃあ………」
愛理はどうしても納得がいかず、更なる問いを美琴にぶつける。
「もしアイツがあなたに告白したら、OKするわけ? 天満が言ってたでしょ。あのヒゲがあなたに告白する練習してたって。」
「ああ、そりゃ塚本の勘違いだよ。播磨に直接聞いた。何で塚本がそー思ったのかは知らねーけど、ま、塚本だしなぁ………」
美琴がそこまで言ったところで、
「………んー…? ……なーにー……?」
気絶していた天満が目を覚ました。
「天満、大丈夫?」
「あ、愛理ちゃんおはよー。…あれ? 私なんで寝てたんだろ?」
「何で、って………覚えてないの?」
「え? 私播磨君と美琴ちゃんを覗き見してて………」
「ほうほう。」
「播磨君がお猿さんにならないか監視を……って美琴ちゃん!? 何でいるの!?」
「あたし達があんた達に気付いてこっちに入れたんだよ。」
「え、えーとぉー………ゴメン、美琴ちゃん!」
「あぁ、いーっていーって。…さ、雨も止んだし、天満も起きたし、そろそろ帰っか。」
そう言って話を切り上げ、美琴は乾かしておいた衣服に着替え始めた。
『いいの美琴? 何があったか黙ってて…。』
『忘れてるならいーじゃねーか。…多分体の防衛本能が働いたんだ。そのままの方がいい。』
美琴と愛理が小声で話していると、
「あれ? そー言えば播磨君は?」
突然天満が思い出したように言った。
「ん? 何か嫌なコトを思い出しそうな気が………」
「あ、ああ! 播磨は雨に当たりたいからって先に雨の中走っていったんだよ!」
「そ、そうそう! 全くおかしな奴よねー。」
「へー、そうなんだ。」
苦しい言い訳をあっさり信じて思い出すのをやめてくれた天満に、愛理と美琴はほっ、と胸を撫で下ろしたのだった。
帰り道、3人が夜の闇の中を進むその途中、美琴が愛理に話しかけた。
「沢近、さっきの話の続きだけど………」
「え?」
「あたしは……例え誰が告白してきたとしても、OKする気はないよ。………今は、まだ。」
先程自分が聞いた事への返答だと気付き、そして少し迂闊すぎたと愛理は反省した。
「ゴメン、美琴………」
「いいよ。もう気持ちは切り替えてるつもりだから。ただ、今すぐに誰かと付き合おう、って気にならないだけだ。」
謝る愛理に、美琴はすっきりとした表情で答えた。
美琴達は、播磨を除いては一番最後だった。他のコンビは、特に問題もなく肝試しを済ませたそうだ。
そして播磨は結局、疲れ果てて朝方帰ってきた。
播磨は恥ずかしくてしばらく天満と顔を合わせられず、また、ようやく面と向かって話せるようになったら、
今度は天満が思い出しそうになってしまった。
結局ほとぼりが冷めたのは、二学期が始まって少し経ってからのことである。
第2話 END
57 :
アモル:05/12/30 01:27 ID:WAfcTQbY
てなわけで第2話終了です。
本当は年内に体育祭くらいまでは進みたかった・・・
次はもっと早く続きを投下できるよう努力します。
原作の展開は気にせず突っ走る所存です。
けどもしかしたら麻生は絡めるかも。
次は漫画編です、多分。
新スレの一発目がきたか……。
アモルは本当に下ネタが好きなんだなぁ。
鉛筆は実にいい。
頑張ってちょ。
簡単に友情以上にはならない鉛筆はいいよー
_
, ´ ヽ
⌒pミ ノノ)))〉⌒
l (l ゚ ヮ゚ノi
「 ば… バカな… 4位…人気投票で4位…
ウゥ… だって… 前回も4位… そんな2回連続で… ありえないことが… 」
_
, ´, ヽ
! r!リ从リ)〉
从i、゚ -゚ノリ
「ククッ… 主人公だから… 読者に好かれる天然キャラだから… 人気投票1位が当たり前…
その発想自体が… まことに愚か…… 主役という立場に安心し… 読者サービスを怠った報い…
当然だ… この結果は当然… 自明のこと… これはもう… アウツッ……!!
姉さんなど… 塚本天満など… もはや恐れるに足らない… 気になるのはあのツンデレ…
人気投票では勝つには勝ったものの… やはり目障りだ… 消さなければならない存在…
しかし… 問題ない… 勝ちの方程式は… 積み重ねてきた… 」
v v
/`',´`´、`ヘ ざわ…
! f ノノ)〉))i ざわ…
! !リ、゚ ヮ゚ノ! !
「…? …あぁ? …あぁ?」
_
, ´, ヽ
! r!リ从リ)〉
从i、゚ -゚ノリ
「 ツンデレ… 例えるなら空に浮かぶ月… その光のもとは太陽光… 日の光があり始めて輝く…
つまり… 要するにだ… 日の光を遮れば… きさまは単なる石ころ… 光は放たない…
お前の人気は常に… あの(▼,、▼)とセットだった… だから… 奪う…
(▼,、▼) を… 横取り… そう… 言うところの… おにぎり展開…
これできさまは… ただのハーフというだけの凡キャラ… 粗暴なだけ… モブへと落ちろ…」
v v
/`',´`´、`ヘ
! f ノノ)〉))i ぐにゃーん
! !リ、゚ ヮ゚ノ! !
「だって… ありえない… そんな…… だって… 距離が…… ワープ……」
_
, ´ 、ヽ
! ノノ )))〉
l, ! ^ヮ゚ノ!
「 フフフ… なぜこうも主役に… (▼,、▼)にのみ群がるのか…
理解不能… 単細胞な… 知略を欠く選択… 気付いていない… 金髪も赤眼も… 失敗に…
よく考えれば… 分かるはずなのだ… ありえないこと… 旗だとかオニギリだとか…
最初から決まっている… 成立するのは播天もしくは曖昧… それ以外は… ない…!!
だから鉛筆など早々に捨てた… その代わりに張り巡らす… 執拗に… クモの糸を…
神津に… (□ヮ□)に… (≡ヮ≡)に… そして(゚?゚)に…
これで簡単には消えない… スクランから… 私はラストまで… 生き残る… REMAIN…
怪力女のようにモブ化せずに…」
_
,;´, ヽ
iミj !ノ! i!ノ)
ヾリ ゚ ヮ゚ノ
「(多くの選択肢があるから大丈夫… それがもう… なんというか… 危ない考え方…
嵌っている… 気付かない内に… 泥沼に… 首までドップリと…
そんなことしたら… 目に見えているのだ… 尻軽の烙印を押されて… 叩かれることが…
主人公争奪杯から洩れたら… 変にジタバタせずに… なにもせず… 独り身でいるのが賢明…
待つ… まさかの逆転を… アソサラを… ただジッと… 絶好球を見定める… バッターのように…)」
_
, ´ ヽ
!l iノ从从リ
ヽ!!、゚ -゚ノ
「( 視野搾取… どいつもこいつも… ただ一方向しか見ていない… とんだ間抜け…
ククッ… お前らは… てんで的外れ… あさっての方向を見ている…
そんなきさまらに… 勝ちは訪れない… 勝利への蜘蛛の糸は… もっと違う… 別の方向にある…
そう… まぁ… やや掟破りではあるが… 使わせてもらう… 奥の手…
スクラン☆お茶会のラジオパーソナリティーの職を濫用し… 作者買収…
出たがりの作者に… ラジオ出演と交換に… 出番を増やさせる… この高野晶の…)」
_
, ´ `ヽ
! ,irlリ从リ)
ii,il、゚ヮ゚ノ}
「 嘘だろ… そんな… だって初回からいるのに… 3周年経っても… ない…
出番どころか… 相方すら… それどころか… 名前まで… 未だに… 2−C女子A…
確かに… 好かれてはいる… 隣子と呼ばれ… 2ch住人から…
でも… それは… なんというか… 偽り… まやかし… 極一部の人気…
欲しいんだ… 最終回までに… 漫画本編での出番… この際… さくらんぼとか言わない…
我慢する… 相手は問わない… 最悪… (゚Д゚;)でも構わない… だから… 頼む…
出番を… ラブコメを… 名前を… お願いだ… ください… 作者… 」
飽きたのでおしまい
サラのは単なる負け惜しみに見えるw
>>57 お疲れです。次も期待してます。
>>64 こちらもお疲れです。ところで、何故お嬢の台詞が少ないんですか?
>>65 実際そうっぽい。これを読む限りでは。
67 :
Classical名無しさん:06/01/01 12:17 ID:zP7LaBas
新年良作期待age
天満「はい播磨君、おせちカレーだよ」
播磨「は〜天満ちゃん、晴れ着姿もたまんね〜ぜ。このカレーに入った栗きんとんが隠し味になっててまた」
沢近「ヒゲ、私がせっかく作ってあげたんだから飲みなさい」
播磨「なんだお嬢、ん?卵酒か。おお!意外にいけるぜ!」
八雲「播磨さん、黒豆煮てみました……どうですか?」
播磨「妹さん!この黒豆俺好みの堅さだ!いいお嫁さんになれるぜ!」
姉ヶ崎「ハリオ♪甘酒作って来たよ!」
播磨「お姉さん、こいつぁ体が暖まるぜ!」
大谷「あんたの為に釣って来た鯛よ!」
播磨「おっ、大谷さん!?いい甘鯛だ!ん?編集長と船長?それに留年先生!!
おっ、お前は天王寺、吉田山……って万国まで!?ダメだ!やめろ!袴が、はだけて……あ……ん……」
絃子「どうしたんだ拳児君?ひどくうなされていたぞ」
播磨「いっ、絃子!」
絃子「さんをつけろ」
播磨「ゆ、夢だったのか……。悪い、夢を見た……」
絃子「今日見た夢は初夢だからね。君は今年も災難続きなんだろう。」
播磨「初夢と言う事はまさか……」
絃子「顔が青いぞ拳児君。まっ、早くご飯を食べようじゃないか。
葉子が三人で初詣に行こうと言っていたしね」
播磨「おう、絃子」
今年もよろしくお願い致します。
素晴らしい超姉だよ
さらなる超姉 щ(゚Д゚щ) カモォォォン!!!
拳児 「……今年ももう終わっちまうのか」
絃子 「年越しそばは葉子が持って来ると言っていたが……遅いな」
ピンポーン
絃子 「はい。……はぁ、いくよ?」
??? 「どうぞっ、絃子さん」
絃子 「中尾のキスで――」
??? 「ヒースがブチ切れ!」
拳児 「……何やってんだ?」
絃子 「さっきメールがきてね、家に入る時の合言葉を作ってみましたって」
拳児 「大変だな絃子も」
絃子 「あの子の扱い方も慣れたものだよ。言う通りにしておけば被害は最小限に抑えられ――」
葉子 「あけましておめでとうございまーす。絃子さんっ、拳児君っ」
絃子 「あーじゃれつくな。……それより年越しそばは?」
葉子 「スーパーに買いに行ったんですけど……手軽な方がいいと思って――」
葉子 「中〇君が宣伝してるど〇兵衛で年越しナリー」
絃子・拳児 「……」
葉子 「zzz……」
拳児 「……うめぇな、どん〇衛」
絃子 「ああ。けど……何か違うよな?」
拳児 「それよりよ。……あけましておめでとう、絃子」
絃子 「……ああ、今年もよろしく。拳児君」
保守
へへっ、過疎ってるな……
播磨「パンツ破けたよ」
絃子「またかい」
>>パンツ破けたよ
どういうシチュエーションだよw
>>7 播磨「すまねぇ、ゴム破けちまったぜ」
絃子「またかい、今日は危険日なんだが」
アンカー間違えたので訂正
>>74 播磨「すまねぇ、ゴム破けちまった」
絃子「またかい、今日は危険日なんだが」(心底嬉しそうな絃子先生)
保守
播磨「花井、姫始めって何だ?」
花井「播磨!!そういう事を教室で聞くんじゃない!!」
播磨「何赤くなってんだオメー?おっ、東郷じゃねーか。なぁ姫始めって何か知ってるか?」
東郷「播磨よ、男には自分で答えを見つけなければ分からない事もあるんだぜ……」
播磨「はぁ……?俺だけ知らねーのは癪に触るしな。おい今鳥、姫始めって何だ?」
今鳥「今年はまだだな〜」
播磨「何?今年っつー事は行事みたいな物か。姫がつくって事は……何か高貴な物にちげーねぇ」
沢近「ヒゲ、新年早々何ブツブツ言ってんのよ」
播磨「高貴にゃ程遠いが……お嬢、姫始めって何か知ってるか?」
沢近「姫始め?何それ?」
播磨「いや、どうやら行事の一つみてえなんだがわからねーんだ」
沢近「日本の行事?ねぇ晶、姫始めって何か知ってる?」
高野「愛理、それは……いや、私も知らないわ。美琴さんに、聞いてみたらどう?」
沢近・播磨「姫始めって何だ?」
周防「なっ、オメーら……いや、そりゃ、アレだ、な?その年の〜……花井パス!」
花井「なっ、周防!つまり〜……たまにはクラスのみんなと親睦を深めるんだ麻生!パス!」
麻生「何で俺なんだよ!?」
花井「さっきからこっちをチラチラ見ていただろう!僕の目はごまかせないぞ!」
麻生「いや、それは……おい菅、パスだ」
菅「何?姫始め……まさか麻生テメー!」
麻生「いや、花井が……」
菅「花井が!?……まさか相手は……麻生、今度ラーメン奢ってやっからな……」
播磨「何だ花井、お前したのか。なら教えろよ」
花井「な、何を……誤解だ播磨!」
嵯峨野「花井君、やるわね!」
花井「嵯峨野君まで……。こうなったら誤解を晴らすのみ。播磨!教えやるからこい!」
播磨「いや、ここで言えよ」
花井「こんなとこでは教えられん!」
播磨「仕方ねーな」
大塚「クラスが騒がしいわね。何?花井君が……播磨君とトイレで……姫……はっ!?」
結城「どうしたの、顔真っ赤にして?」
ここ最近の小ネタはエロパロスレへのネタの提供なんだろか。
面白いからよし。
そろそろ正統派も来そうだし。
「いっくぞー」
「おー」
蒼天が薄膜の白い雲をまとった、秋特有の煙るような晴天。その下で弾むのは、
疲れを知らない子供たちの歓声。尽きることのないそれは、遮るもののない空に
向かって次々に吸い込まれていく。
「ケガだけはしないようにねー」
文字通り『風の子』のように走り回る彼らを、穏やかな視線で見つめる少女が
一人――サラ・アディエマスだ。その身にまとうは一式揃った修道女の衣服。
どちらかといえば奔放な部分も多い彼女だが、不思議とそれを身につけている
ときは、粛然とした空気を漂わせている。
もちろん、その瞳の奥には『一緒に駆け回りたい』などという実にらしい色も
見え隠れしており、やがては彼女もその輪に加わることになるだろう――と、
それだけならば、よくある休日の昼下がりの光景なのであるが、今日はほんの
少しだけ様子が違う。
「いつ来てもにぎやかだな、ココ」
おっと、などと言いつつ子供たちを避けながらやって来る少年の姿。
「いえいえ、先輩のクラスほどじゃないですよ」
彼の言葉をそんなふうにして切り返してから、それにしても、とサラは続ける。
「お一人でいらっしゃるなんて珍しいですね、菅先輩」
「ん……ちょっと、な」
苦笑めいた表情で頬をかく、菅柳平の姿がそこにあった。
「すいません、ここじゃあまりなにもお出し出来なくて」
部室の方に来ていただいたらよりどりみどりなんですけど、そう微笑むサラが
先導して歩くのは礼拝堂の中。さほど大きくないながらも、やはりそこには荘厳な
雰囲気が満ちている――のだが、表から聞こえる歓声がどこかそれを微笑ましい
ものへと変えている。
「いや、気にしないでくれよ。急に来たこっちが悪いんだからさ」
「そうですか……? うーん、でも私としてはやっぱりおもてなしはちゃんと
やりたいんですよね」
むむ、としばらく考える様子をみせていたサラだが、結局一度宿舎側まで戻る
手間とを天秤にかけた答が出たらしく、仕方ないですね、と一人頷く。
「それはまたの機会にします」
「ってことはまた遊びに来てもいいのか?」
「ええ、もちろん」
その言葉に彼女は笑顔で頷いて――
「先輩の大好物の、」
「ああいやそれはいい。うん。いや、ほんといいからそれは」
――トンデモナイことを口走ろうとしたところを止められた。
件の『ナスのヌカ漬ラーメン』なる代物を、彼女自身がどう思っているかは
永遠の謎である。意外と本気で彼の好物だと思っているのかもしれない。
閑話休題。
「そうですか? だったら普通に紅茶辺りになっちゃいますけど……」
「それで十分すぎるって」
どうしてそこで残念そうな顔をするかな、と思いつつ、とにもかくにも最悪の
状況を回避しようと努める柳平に、分かりましたとサラも頷く。
「それじゃお待ちしてます。ここはいつ何時、誰の訪問でも大歓迎ですから」
どこぞの格闘家のようなその言葉に小さく吹き出しつつ、ちょっぴりの安堵感
と共に了承の旨を口にする柳平。当のサラの方もどこまで冗談だったのか、くす
くすと笑い声をもらし、しばし二人で笑いあう。
「さて。それで、先輩がわざわざ一人で私に会いに来た、っていうことは」
「――ああ。麻生のことで、ちょっと、な」
「分かりました」
ではお聞きします、と。そう返した彼女の顔は、普段と変わらない笑顔の
はずなのに、どういうわけか彼には違って見えた。
それは。
正しく、教会に住まう修道女のそれだった。
「なるほど」
ひとしきり柳平が話すのを聞いてから、それで、とサラは尋ねる。
「先輩はどうしたいんですか?」
「どうって……そりゃなんつーかさ、こういうのはアイツらしくないって
思うんだよ」
だから、と続けながら、彼は自ら言葉を選び取っていく。
「まっすぐに突っ走ればいいと思うんだ。だいたい、元々駆け引きなんざ
出来るほど器用なヤツじゃないってのは、俺が一番知ってるしな」
そうやって満足げに出した答を、じゃあそうすればいいんですよ、と
彼女は肯定する。
「難しく考えることなんてありません。先輩が正しいと思ってること、
ちゃんと麻生先輩に伝えればいいんです。それだけのことですよ」
違いますか――最後に重ねられたのは、問いかけというより、むしろ
確認の言葉。
「それに、菅先輩なら私からのヒントなんてなしでちゃんと答が出せる
はずですよ?」
だって、と。サラは微笑む。
「一番近くにいる人の言葉が、一番届くんですよ。絶対」
「そっか。そうだよな」
ありがと、と。そう言った彼の顔は、今日初めて見せる晴々とした笑顔。
「でもホント噂通りだな。聞いてもらってるだけですげえ楽になった」
「どこでそんな噂が流れてるんですか?」
私はお悩み相談所じゃないですよ、軽く冗談めかしてから、でもですね、
と続ける。
「人に話せる悩み、っていうのは、その人の中にどうしたいかがあるもの
なんですよ、大抵。だから私としては、ちゃんとそれを聞いてあげて、
背中を軽く押してあげる、それだけです」
本当に大変なのは、誰にも話せない悩みですから。
ぽつりと呟くように付け加えられた言葉には、彼女の経験してきた重みが
あるように柳平には感じられた。
「サラちゃん……」
わずかに重たくなる空気。それを振り払うように、さて、と言って立ち
上がるサラ。
「それじゃお代をいただきましょうか」
「――へ?」
唐突なその言葉に、思わず文字通りに目を丸くする柳平。
「そりゃあ払うものきっちり払ってもらわないと、こっちも慈善事業じゃないんで」
ふっふっふ、となんともいえない笑みを浮かべるサラ。対する彼は、ああこの子は
どこでこんな日本語覚えたんだ、などと余計な心配をしながらも、さりとて強く出る
わけにもいかず、曖昧な笑みを浮かべる他ない。
「……ええと、お代ってのは」
「それはですね――」
思わせぶりに言葉を切って、彼女が見やるは礼拝堂の入り口。
そして、次の瞬間。
「にーちゃんあそぶぞー!」
「もうまちくたびれた!」
勢いよく開け放たれる扉と、駆け込んでくる子供たちの姿。それを柔らかな表情で
見つめつつ、サラが口を開く。
「――この子たちと半日遊ぶのが、先輩の支払う対価です」
「へ――?」
意表をつかれたように、再びあっけにとられている彼を横目に、鼻歌混じりのサラ。
「やっぱり男の子には『お兄ちゃん』が必要なんですよね。私もがんばってるんです
けど、なかなかです」
先輩なら大丈夫ですよね、と笑う顔は、子供たちから見えない角度で小悪魔のそれ。
「お、おう。それくらいなら俺だって、」
「でも菅にーちゃんって、アソにーちゃんよりヘタクソだよな」
「……なに?」
「そーそー。前もこてんぱんにやられてたよなー」
「上等だ! お前ら俺の真の実力をみせてやるぜ、ついてきやがれっ!」
子供はときに残酷なほどに正直で、けれど口調とは裏腹に、柳平の方もその表情は
明るい笑顔だ。あとでちゃんとお茶もいれますからね、とそれを見送るサラの表情も
また同様。
そして、彼らは表へと駆け出していく。
秋晴れの空の下、その歓声はどこまでも響く。やがてこの蒼天が黄昏に染まるまで、
それが途切れることはないだろう――
流石古参作家、最近じゃとんと見ない良作でした。
面白かったよ、いやマジで
90 :
Classical名無しさん:06/01/10 16:31 ID:oyMEKXJQ
gj
sage忘れスマソ
内容のない退屈な展開で途中で飽きちゃうな。
ホント最近はネタが無いんだなぁ、と実感させられるSSでした、と。
ああ、一応GJ。
噛み付かれちゃ嫌だからね。
鉛筆をマツ
それは一月二日の夜の事。
「ヒゲの背中……あったたかったな……」
ベットの中で悶々とする金髪の少女がいたそうな。
Fin
播磨に仕事を押し付けて、
周防は麻生と姫始め。
>>92 > ああ、一応GJ。
> 噛み付かれちゃ嫌だからね。
漫画読むのは子供が多いんだろうけど、やってることが幼すぎないか?w
生暖かい目で見守るが吉
生天目で見守るが仁美
ようやく100
スレ立てから一ヶ月近くも経ってようやく100か・・・・・。
投下作品はわずか6(うち20レス近い大作1)。
このスレの未来を見た気がするね。
播磨×一条をマツ
なら俺は携帯をマツ
わりと順調だと思う。
アニメ2期に期待
「イトえも〜ん」
「どうかしたのかいケンジクン?」
「天満ちゃんと両思いになりたいんだ道具を出してくれ」
「ふ そんなことだろうと思ったよ、任せたまえ…これなんかどうだクロロホルム!!」
「却下だ」
「ふむそんなやり方はお気に召さんか、ただ正攻法では確立はゼロに近いぞ」
「だから恥をしのんで頼んでんじゃねーか、どうしても両思いになりてーんだ」
「そうかそこまでいうなら仕方がないヘアーゴム」
「?それをどう使うんだ?」
「これをこうしてこうすればどうだ塚本天満ちゃんだよ、ケンジク〜ン」
「やかましい馬鹿にして」
「何だと人がここまでしてやったというのに」
「それに天満ちゃんはそこまで老けてねえ」
―――しばらくお待ちください―――
「すびばせんでした。自分でがんばります」
「その通りだ自分の力で何とかしてみろ君も男だろうが人に頼るんじゃない」
「…ばか…」
「イトえも〜ん」
「またか今度はどうしたんだ?」
「どうしても無理だ頼むもう後がねーんだもうすぐ卒業しちまうんだ力を貸してくれせめて俺の気持ちだけでも伝えてーんだ」
「仕方がないイトえもん人形をこうしてああして できた塚本君人形だ」
「ちょっとまて前回と落ちが一緒じゃねーか」
「じゃあいらんのか?」
「いやいるけど」
「まあ前回と落ちが同じではいかんな ならばこれだ」
「ビデオ?」
「そうビデオだこれには本当の君が写っているこれを見せれば相手に思いが伝わるはずだ」
「今回はまともじゃねーかありがとうなイトえもん」
「さっさといってきたまえ相手は待ってはくれないぞ」
「塚本いや天満ちゃん面白いビデオがあるんだ見てくれないか?」
「本当?見る見る!」
「じゃあいくぜ」
ウイーン ガチャ ザー
パ
「…天満ちゃん(*´д`*)ハァハァ」
「…」
「…」
「今頃…まあ依頼どおり間違いなく思いは伝えれたはずだよ思いは…ね…」
ありがとう…GJだ!
gj
GJ荒らし止めろよ。
「さっさとあの子の所に行っちゃいなさいよっ!」
…あの子は、それは無い方が良いと言った。
彼女に近づきたい、抱きしめたい。
その言葉に偽りなどあるはずもなく、今でもそう思ってるはずだ。
「なのに…なんで、俺は…。」
自然と口元に手が伸びる。
その先にあるのは、生い茂る大地の恵みの感触。
暖かで蓼やかで、愛するものを愛すという当たり前のしるべよりも彼は、
残酷ながらも力強いその道を、選んでいたのだ。
播磨「…オメェにそう呼ばれ続けるうちに、こうなっちまってた」
沢近「『ヒゲ』…っ」
なんて素敵な旗エンド・パターンその26111【完】
アモル氏の A Route of M を待ってる、ずっと待ってるから。
じゃ俺はいつだかの菅×嵯峨野話を
んじゃ俺は雪合戦
旗&超姉以外なら何でもいい
116 :
細木:06/01/16 13:08 ID:cupI2Gj.
超姉をバカにすると、地獄に落ちるわよ
世界は超姉。
携帯を待っていてもイイですか?
弁当を食べていてもイイですか?
>>115-
>>119 まあまあ落ち着けよおまいら
茶道部に行って恋の味がする茶でも飲みながらマターリしようぜ
「お〜い、播磨」
「なんだ、谷さんよ?」
「三者面談のことなんだが…」
「なっ、さ、三者面談だと!?」
「前に言っただろ。お前は成績もヤバイし、冬休み前に一度しとくって」
播磨は思い返す。言われてみれば、一ヶ月ほど前にそんな風なことを言われたような気が…しないでもない。
だが、自分は親とは半絶縁状態。三者面談に呼べるわけがない。
「だ、だがよ!不良が面談なんて…!」
「…いや、こういうことは不良こそするもんじゃないか?それに、進級できないぞ?」
「…!!」
三者面談…それは自分、担任、そして保護者の三者が揃って初めて成り立つものである。
そして、播磨拳児にとっての保護者は…
出だしだけ書いてほったらかしって、何をしたいのか分からんのだが。
周防が入学式で播磨を初見した話と
銭湯の誤解がとけて新たな誤解で旗が付き合う話
続きマダかなぁ
超姉派に聞きたいのだが、彼らの脳内では
絃子は何故播磨が好きになってしまったんだろうか。
播磨→天満はブン投げられた、沢近は誤爆告白・体育祭etc、
八雲は伊織や漫画、心が見えない等々あるが…
そこに疑問を持つのはおかしい
>>125 確かに原作では絃子⇒播磨は無いとは思うんだけどね。
でも、あまり余計な人付き合いはしなそう(勝手なイメージだけど)な
絃子が色々世話をしてやってるぐらいだから『手のかかる弟をなんだ
かんだ言いつつ可愛がってる姉』的な感情はあるかなって。
そこを妄想で膨らませてる。
結婚式行ったらお土産持って帰ってきてくれるし、旅行に行く時は小遣いもくれる。
逆に播磨が旅行行った時は動物の面倒も見てくれ、イザという時はだいたい力を貸してくれるからな。
なんだかんだで同居も許可してくれてるし、通常の従姉弟同士の関係よりは深そう。
超姉派ではあるけれど、それぞれの相手に対する好意は姉弟の域を出ないモノだと思っているよ。
気心の知れた信頼関係が、ふとした相手を思いやる言動が、長年連れ合っている恋人同士に見えなくも無いけれど。
SSを書く上で、好きになる描写はいらないと思ってるよ。
絃子さんは一人住んでいる家に住まわせてあげる位は『好き』だし、播磨も絃子さんの仕打ちに反抗しないくらいに『好き』だからね。
(沸点の低い播磨が怒らないのは、例えからかわれていても、それが絃子さんなりのじゃれ付き方だと知っているからだろうし)
その『好き』が恋愛感情に変わっていくSSを見てみたいし、書いてみたいなぁ。
130 :
こがね:06/01/18 05:02 ID:rgQG2AZc
天満「この前愛理ちゃんと一緒に居た男の人、カッコよかったね〜」
沢近「ああ駄目駄目、彼たいした能力もない癖にプライド高くって…話してて疲れるわ」
周防「お前ってホント選り好み激しいよな。もしかして男に興味無いんじゃないのか?」
天満「…愛理ちゃんて女の子が好きなの? で、でも私…急にそんなこと言われても困るよ…」
高野「そこ勝手に暴走しない。第一その線はありえないわ。愛理は生粋の男好きだから」
沢近「…何か引っかかる言い方ね」
高野「ただ、40歳以下には興味無いってだけで…」
沢近「ちょっと待て」
周防「あはは! 確かに沢近は年上っていうかおっさん好きだよな」
沢近「おっさんはさすがにあれだけど…まあ、自分の思い通りにならない相手には、正直惹かれる所あるわね」
周防「大人っぽい人かぁ。このクラスでいうと……西本あたりか?」
沢近「あれはただのスケベ親父じゃない」
天満「……播磨君、とかは?」
沢近「……」
周防「あぁ〜。確かに他の男子達と違って、妙な風格はあるわな。頑固親父タイプ?」
高野「駄目親父って感じの方がしっくりくるけどね。………どう、愛理?」
沢近「何が『どう?』よ!! あんなの問題外に決まってるでしょ!」
天満「え〜? でも播磨君が父親だったら、楽しそうだけどなぁ」
沢近(あいつが…………おとうさま?)
『こっちは仕事で疲れてんだよ……たまの休みくらい寝かせてくれ』
『あらそう…なら疲れてるお父様の為に、私が髪と髭のお手入れでもしてあげようかしら』
『ちょっ、待った待った! 剃るのは勘弁してくれ!! …この前仕事場で思いっきり笑われたんだぞ?』
『…ふふ、娘とのデートをすっぽかすからよ。休みの日くらいは、私だけのお父様でいて頂戴…』
『ったく、しょうがねぇなあ…』
沢近「……いいかも」
周防「え?」
播磨「っ!? 何か背筋に悪寒が……」
妄想部分、なにがどう播磨なのかようわからん
>>125 引き金となったのは確か7巻の辺り、八雲が手伝いに来たときの弦子の反応が今までからは想像も出来ないほど可愛らしかったから、だったと思われ。
>125
2巻での播磨アイで播磨→絃子になって
2巻の誤爆告白の回で絃子→播磨になって
播磨⇔絃子になりました
派閥なんておおむね全部妄想じゃん
大して変わりないのに超姉だけ御指名か
135 :
125:06/01/18 20:58 ID:a7awjEZo
皆サンクス…こんなにレスがもらえるとは思わんかった。
恋愛感情とは別に姉弟みたいな関係に萌える人も結構いるのな。勉強になったよ。
縦笛もある意味姉弟みたいなもんだけど、こっちは恋愛派が多いよな。
そのへんの違いはやっぱり年齢差や血縁関係にあるのかね。
実際に従姉弟同士なのと、お隣さんで幼馴染じゃ比較にならんよ。
なんとなく、関係とか似てる感じがするが。
縦笛は花井⇔周防でお互いがフォローし合える関係なのに対し、超姉は大体絃子→播磨で播磨が一方的に世話になってるってのがあるな。
まぁ年齢差とか収入の差とかがあるから当然なんだが。
なので、俺はこのまま播磨がズルズル同居を続けて5年後あたり(播磨22、絃子30)で大人になった播磨が絃子と対等の関係になるとかが希望だったりする。
要は、曖昧END=超姉ENDってことで…
おにぎり・鉛筆・携帯・さくらんぼ・播磨×サラはまだか〜
播磨×サラと言えば、分校第2掲示板で連載中の、
一郎さんによる『クリスマス・キャロル』が実は別の
カップリング話っぽいのが残念でならない…。
期待してたのに(⊃д⊂)
妄想派閥でもいいんじゃない?
本編の展開次第では妄想で無くなるかも知れんし。
妄想派閥ですらなかったアソミコがあっという間に確定になったからなあ…
しかし実際携帯や茶道部や超姉が来たら叩かれまくると思う
昔あった避難所にアソミコSSあったなあ。
騎馬戦の時にくんずほぐれづいやんになっちゃう感じの。
一応あの頃から騎馬戦派という名前はあった。
j
145 :
Classical名無しさん:06/01/21 23:08 ID:bJGj16oM
活性化&ネ申降臨期待age
「あっあっ麻生先輩、絶対離さないでくださいね!?」
「ほれ、もっと肩の力抜くんだよ」
「・・・へぇ〜先輩、随分優しいですねぇ〜いつになく」
「滑れるやつはあっちで滑ってろよ」
「どう見てもいつも通りのつれない先輩です、本当にありがとうございました」
こんな妄想しちまった往生際の悪い俺がきましたよ
満腹後馳走様でした
麻生先輩で、まず麻生大臣を連想してしまった・・・ orz
149 :
Classical名無しさん:06/01/23 01:41 ID:ntfgZiPc
S5見たらすごいことになってたw
>>149 一体どんだけ放置してるんだと言いたいな俺は
つーか世間的にはもうスクランなんて過去の漫画なんかな…
151 :
Classical名無しさん:06/01/23 17:21 ID:v6NEOjZU
旗期待age
なんでiD変わるんだ?
旗期待と神降臨ageは俺だぞ。
12歳でここにいるっておかしいだろうか?
キモい
キモチワルイ
>143
見たかった。
もう無理だろうな…。
ここもすごい荒れよう
もういちどごめん
天王寺「播磨のライバルポジションが………」
「・・・勉強すっぞお嬢」
「やる気なのはいいけどもう変な語呂は勘弁してよね?」
「ああ、ありゃもう絶対しねぇ、つーか苦労させてたみたいだな、悪かったお嬢」
「ななな何よ改まっちゃって・・・そんなのいいから勉強するわよ、ほら!」
>142
叩かれるか、叩き合いになるか。
どっちにしても嫌な流れになりそうだ…。
クズリ氏のサイトにスクランSSがまた載ってた
正直、嬉しい。読んでて安心するし
マンネリな気もしなくもないけど、あれはあれでいい気がするし
未だにおにぎりSSの中で、氏の最初の長編を越えるものは俺には考えつかないんだがどうよ
そうかぁ
クズリ氏といい5世といい、みんな頑張ってるなー
5世は吾桑と周防をくっつけなかったから評価できる
>>162を見てクズリ氏の最初の長編とやらを見てきた。
何この名作。
166 :
Classical名無しさん:06/01/28 00:20 ID:OKx5jvew
167 :
Classical名無しさん:06/01/28 00:30 ID:dLMS5Mdo
麻生×サラ キボンヌ
アソサラと旗を絡めた書きかけの話はあるんだけどな。
んなもの書いてるうちにあれよあれよとアソミ(ry が進んじまって
辻褄が合わなくなってペンディングに……orz
170 :
Classical名無しさん:06/01/29 05:06 ID:icI08IOI
展開気にし過ぎたら存在自体危うくなるカプだってあるしw
是非投下しちくれ! てーかS3過疎すぎ。 飢餓状態
追い詰められると糞でも平気で口にするからな
今なら楽に受け入れてもらえるチャンスじゃね
たとえ糞でも食えればいいや、な雰囲気だし
>>169 ぜひ投下して下さい。
お待ちしております。
アソサラ(*´д`*)
A Route of M 第3話 まだー
今の本編を見るとアソサラって難しいよなあ…
バスケ以前の話ならともかくそれ以降は麻生と周防はお互いべったりだし
サラはそもそも出てこない。
クリスマスも絡みがなかったし、基本設定は原作に従わないといけないから
話が書けない。周防と麻生が別れるところからやらにゃあかん
麻生みたいな不器用なキャラには、おっとりしてるけど
芯が強いサラがお似合いだと思ってたのになぁ。
周防は麻生の前だと素が出せてなかったし。
ああ〜どうすりゃええねん。
黒サラにして周防から奪う展開は?
上手くすれば縦笛も絡める。
>>175 書こうと思えば意外と書けるんじゃないかな。
割とベタだけど、例えばこんなの。
♭33で田中の恋の応援をしたサラ
→バイト先で麻生が美琴に想いを寄せていると知る
→田中と麻生を重ねあわせ、麻生を応援することに
→遠慮する麻生を押し切って相談に乗ったり、サラの身代わりデートで予行演習などを
→それらを見事美琴に発見され、何も言えない麻生と弁解に必死なサラ
→美琴が身を引いてしまい、内心複雑ながら積極的に麻生とサラをくっ付けようとする
→やがて互いを意識していく麻生とサラ、後悔気味な美琴
麻生は、失恋して成長する姿を仁丹は描こうとしている。
という風にしか俺は見えん。
アソミコ以前に縦笛が鉄板杉。
180 :
169:06/01/30 01:35 ID:Ox2Xkl/M
なんか需要ありそうなので、一応執筆は再開した。
アソミコのこととか忘れて、がんばってみるよ。
181 :
Classical名無しさん:06/01/30 01:44 ID:jewtTdZU
がんばってくれ!←既に(救いの)神を見る目
アソサラと旗、って絡みようがなくないか
アソサラといえばおにぎり、ついでに縦笛
いわゆる「童貞三点セット」(今名前つけた)が定番だったが
そりゃ、4人のどこからも繋がってないしな。
やっぱさ、女→男の方が人気あるね。
見るのが男が大半だからな。そっちの方が見ててなんかイイ気分だし。
アソサラって人気かなりあるのに投下数少ないよな?過去を見ても。
アソミコはちと無理がある気がする。
やっぱりアソサラがいい。
体育祭の応援はかなりよかった。
体育祭では麻生がサラに学ランまで貸したりしてるのに、それっきりサラとほとんど絡まないんだから非道い話だよね。
頑なに弁当を求める
欲を言えば、麻生がホールにいる美琴を気にしてたときに
サラに少しでもやきもちやいてほしかった。
留学生でありシスターであるサラは、本来なら気軽に恋愛できる立場じゃないんだがな。
まぁそういった障害があるからこそ、物語として面白くもなるんだが。
アソサラ物を創る場合は、出来ればその辺りの葛藤も入れてもらいたいな。
原作じゃそんなの微塵も無いけどな
おいしいネタは一杯あるのに、全然回収しないで
あさっての方向ばかり行くのはどうなんだろう。
ひきのばしたあげく人気が落ちてこれらのネタを回収せずに連載終了は
嫌だなあ
おいしいネタって?
そもそもアソサラとアソミコの違いがわからん
面白くなさではどっちも同じだし
アソサラはなぁ、今じゃ超姉と同レベルくらいか
麻生の人気の無さを考えると超姉未満かもしれない
原作でもうちょっと出番がないとツライよ
>>195 アソサラの麻生は人気あったんだよ。
だからアソミコが受け悪いのは周防のせい。
つまりキャラとしてサラ>>>周防。
まあぶっちゃけ、アソサラなんて本編描写が薄いから好き勝手やれてただけでしょ。
超姉携帯茶道部辺りと妄想度は似たようなもん。
おいおい人気の無さは麻生の立ち振る舞いにも問題があるわけだろ
関係ないキャラに責任押し付けるのか?
おいおい人気のなさは作者の設定にも問題があるわけだろ
関係ないキャラに責任おしつけるのか?
元々麻生は人気キャラだった。アソサラも人気だったし。
アソミコになってから急に麻生が格好悪いキャラになり人気急落。
更にアソミコの公式プッシュによりアソサラも投下されにくくなった。
別に派閥云々言うつもりはないが、客観的に見ても麻生とアソサラの人気急落はアソミコのせいと言える。
妄想度は高い方が作者にも読者にもいいだろ。このスレの題は何だ?
>>200大本の原因は縦笛な気が。
最後の文には同意。
王道旗おにぎりも不完全燃焼中に出張ってきたから、そこも
叩かれる要員かもな>アソミコ
おまえらの出番はいらんから主役らを出せと
assholeって人気あったんだ・・・
うへえ
超姉投下します
その日は、よるかぜがやたらと冷たかった
翌朝―――あるマンションの一室―――
「ゲホッゴホッ、ゲホッゲホッ」
「大丈夫かね?、拳児くん・・」
「…あぁ」
気のない返事でそう答えた播磨拳児は、その日、刑部邸で寝込んでいた。
「まったく、真冬だというのにシャツ一枚で布団もろくに掛けないで寝ているから…」
はぁっとため息をつきながらも、
風邪を引いている男の従姉弟である刑部絃子は、少し冷たい言葉を吐きながら、
しかし暖かな瞳で心配そうに彼を見つめていた。
「へいへい・・それよか、そんな所にいると風邪うつるぞ。」
ばつが悪そうにそう言うと、彼はまた一つ咳をした。
「君と違って私は健康管理はちゃんとしているので平気だよ、君の生活習慣に関しては前から」
風邪の時にまで、いつもの説教じみた話は聞きたくないとでも言うように、話の途中で播磨拳児は咳
きこんだ。
「…本当に大丈夫なのかい?」
咳で話を切られたことに気がつくでもなく刑部絃子は続けた。
「病院にでも行ってみるかい?病院で薬を出してもらえば少しは楽になるかもしれないだろ。」
「そんなことしなくてもへーきだっつの。明日になりゃ治ってるだろうしな。」
同じ屋根の下で暮らしてきた日々のおかげか、こんな一言だけで彼が強がりだけでそう言ったんじゃ
ないことを、彼女は確信できた。
確かにきっと彼なら明日には治っているのかもな、と思うと内心ホッとしたりもした。
「まぁ体だけは馬鹿みたいに頑丈だしな〜君は。」
そう思うと心配していた自分が馬鹿らしくも思えてきて、
その原因である従姉弟をいじめたくなった。
「馬鹿は余計「それに大体、馬鹿は風邪を引かないものなんだぞ、拳児くん」」
播磨の言葉は絃子のそれにかき消された。
「・・このやろう。大体てめーの酒に付き合ったから窓を閉め忘れて寝ちまったんだろうが!」
何度も馬鹿と言われてちょっと頭にきた播磨はとりあえず反論した。
「窓さえ開いてなければ裸で寝ても風邪はひかねー自信があるぞ」
自信満々にそう言ってみたがもちろん根拠などかけらもない。
播磨自身、言ってみて疑問に思うと同時に少し後悔していた。
今、自分の目の前にいる人物なら、「では試してみるか」と言う可能性があったから。いや、間違い
なく言うだろう。なぜか彼は確信した。それは彼の経験が如実に物語っていたからだ。
「私は酔っていても窓くらいは閉めるよ。それにだ、裸で寝ても風邪を引かない男が、窓を開けたか
ら風邪を引きました・・なんて中途半端なのだよ。どうせなら裸で窓を開けていても、風邪を引かない
くらいの男になってほしいものだよ。」
「んぐっ・・・」
あまりの言い草ではあるが、思うところあったのか播磨は言葉に詰まった…
…というか想像していた言葉よりマシだったので言いかえさなかったというのも大きかったのだが。
「しかも昨日は酔ってからと言うもの塚本君の…」「ゲホッゲホッ!」
最後にダメ押しをしようとした絃子の言葉は、播磨の咳でまたもきられた。
あまりにもわざとらしい咳に違和感が残った絃子だったが、これ以上いじめてあげるのもかわいそう
だと思ったりもして、顔をほんのりと赤くした彼に、思わず微笑をうっすらと浮かべながら
「まぁなんにせよ、しっかり休まないと治るものも治らないぞ。もし明日、君が休んだら(心優しい)
塚本君は(友達として)心配するかもしれないな。彼女を心配させないためにも早く治したまえよ。」
心配すると言うところで大きく頷いたり、
心配する塚本天満を想像してか、首を大きく横に振り「明日は命に代えても学校行くぜ!」と言って
いる馬鹿ではあるが逞しくもある従姉弟を、暖かく横目に見やり、
一言なにか呟きながら播磨の部屋を絃子は後にした。
「無理はするなよ・・」
部屋を出る際の絃子の声は蚊のなくような、そんな小さな声だった。
とても小さなその声は播磨には届かなかっただろう。
あるいは塚本天満のことで頭がいっぱいだった彼には聞こえなかっただろう。
けれど、その声は普段の彼女のそれでなく、かわいい従姉弟である彼へだからこそ発せられた優しい
声だから・・・届かなくても、聞こえなくても、伝わったに違いない。
塚本天満が烏丸大路に抱くものや播磨拳児が塚本天満に抱くものではないけれど、
そこには、確かに愛があったから。
明日には、なんでもないただの休日
二人には、なんでもないただの日常
それでも、彼女と彼だけの誰も知らないある休日
その日のよるかぜの暖かさはまるで・・・・
208 :
クズリ:06/02/01 14:23 ID:9Exaq07w
こちらではお久しぶりです。といっても、忘れられてる気もいたしますが(;´∀`)
ともあれ、クズリです。
久々にSS投下させていただきます。
『Indication』
「おはようございます、先輩」
バスケ部の練習もなく、珍しく暇な日曜日。朝食を食べた直後にチャイムが鳴り、玄関
の扉を開けた麻生広義の前に現れたのは、
「――――何やってんだ?」
「先輩を誘いにきたんです」
ニコニコと笑う、留学生の後輩、サラ=アディエマスだった。
Indication
「誘い……って何だ?」
「一緒に出かけませんか、ってことですけど」
「あのな」
「今日はバスケ部の練習も、バイトも何もないって先輩、おっしゃってましたよね?」
くりっとした目で見つめられて、麻生は言葉に詰まる。確かに前回のバイトの後に、そう
言った記憶があった。
「こんなに晴れて、気持ちがいい日なんですよ。家にいたらもったいないです」
確かに、二月も終りだというのに、今日の陽気はまるで春のようだった。太陽は燦々と照
りつけ、どこかくすんでいた冬の空気を追い払っている。
その光は、少女の金の髪をも輝かせていて。
「行くあてはあるのか?」
「動物園、なんてどうでしょう?」
実はもう、チケット二枚もらってきてるんです。サラがコートのポケットの中から取り出した
それを見て、彼は深い溜息をついた。
「計画的だな、随分と」
「実を言うと、もらったのが先でして。一緒に行ってくれる人がいなかったので、麻生先輩と
なら、なんて」
茶目っ気たっぷりに笑う彼女の真意は、麻生にはわからない。ただ、こうして気にかけて
くれるサラの優しさは、確かにありがたくて。
「いいぜ。少し準備してくるから、待っててくれ」
そう言い残して彼は、部屋に着替えに戻ったのだった。
「しかし動物園のチケットなんて、どうしたんだ?」
並んで席に座りながら、電車に揺られる二人。他愛もない話の流れで、麻生はふと、気に
なっていたことを尋ねた。
「これですか? 実は八雲からもらったんです。期限が今日までなんですけど、二人とも用
事が出来て行けなくなったらしくて」
「へぇ、あの子が。塚本と行くつもりだったのかな」
独り言のように彼が言うと、サラは小さくクツクツと笑った。
「どうかしたか?」
「ああ、いえ。お姉さんとじゃないんです」
「じゃあ、誰なんだ?」
まるで想像がつかず、麻生はそう尋ねるが、彼女は、
「秘密です」
と微笑みながら言って、はぐらかしたのだった。
「まぁとにかく、私の所にチケットが来たんですけど、一緒に行ってくれる人とか、私いないもの
で。ちょうど先輩がお休みだっておっしゃってたのを思い出したんです」
「いないってことはないだろう。お前が声をかければ、誰だってすぐ飛んでくるだろうに」
彼の脳裏に浮かんだのは、つい先日に過ぎたばかりのバレンタインデーの喧騒。
サラもチョコレートを配っていて、菅などはもらえて歓喜の涙を流していたものだ。バスケ部の
後輩の中にも、彼女からもらって喜んでいた男がいた。
一年生の間では、男女の別なく、サラの人気は大変なものである、ということも麻生の耳に入
ってきている。そんな彼女のこと、遊び相手に困ると言うことはないはずなのだが。
「あら、先輩は、そんなに私と一緒に出かけるのは嫌ですか?」
ムゥ、と膨れるサラの姿に、慌てて彼は首を横に振った。
「いや、そういうわけじゃ」
「だったらいいじゃないですか。私は嬉しいですよ? 麻生先輩と一緒に出かけられて」
今度は、満面の笑みになる。喜怒哀楽を素直に浮かべ、コロコロとよく変わるその表情に、麻生
は素直に感心する。彼自身が、気持ちを表すのが苦手としているから、余計に。
「しょうがない。今日は付き合ってやるよ」
不器用な麻生の言葉にも、彼女は微笑む。
「はい。お願いしますね、先輩」
「まずはキリンを見に行きましょう」
日曜日ということもあり、家族連れでごった返す園内に一瞬、麻生は来たことを後悔す
るが、サラは構わずに彼を連れて、奥へとずんずんと進んでいった。
「キリン、好きなのか?」
「好きですよー。でも、ここのピョートルは、別格です」
檻の前に立って彼女が手を振ると、キリンが顔を近づけてきた。
「あは。覚えててくれたんだ、ピョートル」
つぶらな瞳のキリンに、サラは嬉しそうに話しかける。麻生は不思議そうに彼女達を見
つめて、
「よく来るのか?」
「いいえ、それほどでも。けど、ピョートルとは、前に一緒に遊んだことがあるんです」
ねー、と声をかけるサラに、キリンが頷いたように見えて、彼は目を疑った。信じたわけ
ではないが、その仲の良さは確かに、その間に絆があるように思えたのだった。
じゃあ次はライオンで。次はゴリラで。サル、アライグマ、トラ。
サラは麻生を引っ張りまわす。
最初は興味がなさそうだった彼も、彼女の眩いばかりの笑顔に、徐々に表情が緩み始
めた。
「先輩、写真、撮って下さい」
苦笑しながら麻生は渡されたデジカメのレンズを向ける。
「いくぞー」
カシャ
画面に映る、写真の中のサラは、今までに麻生が見た彼女のどんな顔よりも、魅力的
で輝いていたのだった。
冬の落日は早い。
日が沈むのを遠くに眺めながら、二人はベンチに腰を下ろしていた。
「あー、楽しかった」
サラが満足そうに言うのに、麻生も頷く。そして、言った。
「すまんな、サラ。心配かけて」
一瞬、彼女の目が丸く見開いて、次に苦笑が浮かぶ。
「バレちゃいましたか」
「元気付けようとしくれたんだろ?」
言いながら、彼は立ち上がった。サラは何も言わず、ただ彼の背中を目で追いかける。
「そんなに俺、しんどそうに見えたのか?」
「ええ。半分、死んでるみたいでした」
率直な彼女の言葉に、麻生は苦笑する。
「知ってるのか? その、俺が」
「フラレタんですよね。周防先輩に」
バレンタインの記憶が、フラッシュバックする。
クラスメイトの周防美琴。彼が想いを寄せていた少女が選んだのは、幼馴染の男だった。
付き合っていたわけではなかった。ただ、麻生は好きだと思っていたし、彼女も悪くは思っ
ていなさそうだった。
それでも彼は、気付かされてしまった。
美琴が自分の前では、どこか窮屈そうにしていることを。そしてその目が、ふとした瞬間に
幼馴染の姿を探していることを。
「ごめんな、麻生」
彼女が謝った、その理由を麻生は覚えていない。ただ、美琴が渡してくれたチョコは、とても
美味しかったけれど、残酷な味だと思ったものだった。
彼女がバレンタインに告白をしたと、後で彼はクラスメイトの高野晶から聞かされた。
「美琴さんのこと、嫌わないでいてもらえるかしら?」
珍しく心配そうな彼女の様子に、麻生は小さく笑って首を振った。
「嫌えるわけ、ないだろ? 何となく、わかってたことだしな」
「――――そう。良かった」
彼女も悩んでいたらしいの。私達に何の相談もなくね。あなたのことも気にかけていたわ。
申し訳ないことしたんじゃないか、って。
その後に晶が言っていたことのほとんどが、彼の記憶から抜けている。
ただその夜、時計の針が九時を指してもまだ、体育館でシュート練習をしていたことだけは、
はっきりと覚えていた。
「辛かったですか?」
追憶から、サラの一声で引き戻される。
「辛くない、って言ったら、嘘になるな」
こんな時でも素直になれないことに、麻生は自嘲する。サラはこんなにも、自分のことを
心配してくれているというのに。
「先輩がそう言うってことは、すごく辛かったってことですよね」
だがそんな彼の心を、彼女は簡単に見透かしてみせた。思わず振り向いた麻生に、
「私に出来ることなんて、少ししかないですけど」
サラはニッコリと笑って見せる。
「もし何かあるなら、相談して下さい。これでも、シスターなんで」
夕陽の赤が、彼女の笑顔を彩った。
それはとてもとても幻想的な紅と金の舞踏。見惚れるほどに、美しさは増していく。
内の時計を止めていた麻生は、やがて小さく頷いて。
「ああ、そうだな。その時は、頼む」
「はい」
「じゃあ、このへんで。今日は付き合ってくれて、どうもありがとうございました」
ペコリ、と深くお辞儀をするサラに、麻生は慌てる。
「いや、俺の方こそ。悪かったな、色々と」
「ああ、そうだ。先輩、これ、受け取ってもらえますか?」
彼女がバッグから取り出したのは、可愛らしくラッピングされた小さな包。
「チョコレートです。バレンタインの日は、とても受け取ってもらえそうになかったので」
手渡されたそれを驚いた目で見る彼に、サラははにかんで微笑んだ。
「一応、手作りです。義理チョコですけれど、良かったら食べてください」
それじゃ本当にこのへんで。彼女はもう一度、お辞儀をして駆け出した。
「サラ!!」
思わず麻生は、少女を呼び止める。
「はい?」
振り返った彼女に、しかし何を言うべきかわからずに。
惑い、そして。
「ホワイトデー、お返し、何がいい?」
口から飛び出たのは、そんな言葉。
サラは一瞬、目を見広げた後。
「先輩にお任せします」
言って、彼女は満面の笑みを浮かべたのだった。
それは二月の終りの物語。
麻生広義が、初めて後輩の少女を意識した夜の話。
215 :
クズリ:06/02/01 14:32 ID:9Exaq07w
久々の投稿、楽しませて頂きました。
これからもまた、機会がありましたら投稿させていただこうかと思っております。
それでは皆様、どうかよろしくお願いいたしますm(_ _)m
クズリ氏乙!!
平日真っ昼間から乙
キモサラキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
感想すら無いのか
民度の低いスレになったな
愚痴るくらいならお前が先に書けばよかろう。
224 :
180:06/02/01 22:09 ID:1MrV/POY
約束の物件、完成したので今から投下しますね。
24レスほどになる予定。IFスレ物件としては長すぎる気もしますが、
最後まで楽しんでいただければ幸いです。
しかし、クズリさんと競演みたいになるとは……。この作品書き始めたきっかけも
クズリさんのアソサラSSだったわけですが。
んじゃ行きます。
『Change The Destiny』
いつも疑問に思っていた。
自分にとって、一番大切なものはなんなのだろう?
人、物、趣味。そして恋。
どんな物からも距離を置き、それにのめり込むことができない自分を彼は知って
いた。
確かに一時的には何かに熱くなることはある。
プールホッケー。体育祭。サバゲー。そして無論のことバスケット。
しかし、どんなときでも周りに調子を合わせているだけだろと自嘲しているもう
一人の自分がいることも知っている。
麻生広義。
少年と呼ぶには、やや老成したイメージを持つその男は思う。自分とカウンター
を挟んだ向こう側でラーメンをむさぼり食っている友人との関係はどうなのだろう
と。
菅柳平のことは無論嫌いではない。自分のように無愛想な男に親しく接してくれ
ているのにも感謝している。
しかし、きっと彼が自分のことを気にかけてくれているほどには、自分は彼を気
にかけてはいないとは思う。
「なあ、アソ」
ラーメンを口に流し込みつつ、彼が話しかけてきた。
「昼間話した合コンの件、考え直してくれたか?」
丼の整頓をしながら麻生は答える。
「ああ、それ無理だ。俺、彼女できちまったから」
「そっか、ならしゃあねえな」
言ってラーメンを食べ続ける菅。そして十数秒後……。
「ぶほ〜っ!!」
彼は盛大にラーメンを吹き出した。
「きたねえな。おい」
言いながら麻生が差し出したお手拭を受け取りながら菅は必死に言う。
「お、おまえなあ、そんな重要なことさりげなく言うな! 鼻からラーメン出るか
と思ったぞ!!」
「いや、出てるし」
顔を拭き、菅は必死に呼吸を整えている。
「しかし、いきなりだな、ほんとに。で、相手はあの子か? 金髪の」
「ああ、金髪だな」
麻生は目線をあらぬ方向に向けながら答えた。すると得心したように頷いて菅が
質問を重ねてくる。
「やっぱな。んで、名前は『サ』から始まる。そうだな?」
「……ああ」
麻生が頷くと、菅は安心と失望がない混ぜになったかのような笑みを浮かべ小さ
く肩を落とす。
「ちっ、なんだよおまえ。彼女のことはただの後輩だとか言ってたくせによ。結局気
があったんじゃねえか」
菅の言葉を聞くと、麻生はかすかに眉をひそめてから口を開いた。
「なんか勘違いしてねえか? そいつ、後輩じゃなくて同級生なんだが」
「あ?」
ポカンと口を開いてこちらに見入り、菅は首をひねる。
「クラスのやつ? 同じクラスで金髪? 『サ』から始まる? ……おい」
菅の表情が徐々に引きつっていく。
「まさか……まさか、沢近じゃねえだろうな、おい!?」
「いや、そのまさかなんだけどな」
「んだそりゃ! いったいどうなってんだ!? 説明しろ!!」
カウンターを叩いて怒鳴りつけてくる親友を見やって、麻生はため息をついた。
五時間ほど前、麻生広義は屋上の給水塔に背中を預け、まどろんでいた。
合コンのことでしつこく声をかけてくる菅が少しだけわずわらしかったからだ。
空は曇天。風が少し強く、目で見てわかるほどの勢いで雲が流れていく。
そして彼は必死に感情を押さえたような女の声で目を覚ました。
「どうしてもダメなの?」
「わりいな。俺なりに考えた答だからよ。やっぱ自分の気持ちに嘘はつけねえ」
「……遊びでもいいのよ。私、あんたの気持ち、変える自信あるから」
「俺でなくてもいいだろ。おめーならいくらだって……」
「私はあんたじゃなきゃ……」
彼女の声はそこで途切れた。
「お嬢……」
「触らないで!」
そしてしゃくりあげるような声。
「行って」
「おい……」
「一人にしておいて。お願いだから」
「……わかった」
遠ざかっていく足音。それが消えるのを待って麻生はそっと身を乗り出した。
見覚えのある金髪の女の背中が見えた。手摺りを両手で掴み、にらみ付けるよう
に空を見つめている彼女の肩は遠めに見てもわかるほどに震えている。
「まじいな」
とりあえず彼女が去るまで待とうかと思った瞬間だった。携帯電話が呼び出し音
を奏でたのは。
「ちっ」
舌打ちしながらフックボタンを押したときにはもう遅かった。
「誰かいるの?」
愕然とした表情で金髪の女が振り返ってきた。麻生がため息をつきながら姿を現
すと、彼女、沢近愛理は両手で口を押さえた。明らかに潤んでいるその瞳は凍りつ
いたかのように見開かれている。
振られた現場をクラスメイトに、それも異性に見られたのは人一倍プライドの高
い彼女にとってはまさに悪夢だろう。
バツの悪さを隠そうと頭を掻き、麻生は言う。
「悪かったな。立ち聞きとかする気じゃなかったんだけど。消えるよ」
言って踵を返した瞬間、彼女が声をかけてきた。
「ちょっと待って!」
屋上での出来事をかいつまんで説明すると、菅がうらめしそうに言ってくる。
「てことはなんだ。要するに沢近が振られた現場に出くわして、あいつが落ち込ん
でるところに付け込んで、たらし込んだってことか?」
「言い方が引っかかるが、そんな感じか」
「ちっきしょぉ」
両拳でカウンターを叩いて菅は嘆く。
「てことは、俺が電話かけたおかげで沢近と付き合えるようになったってことじゃねえか」
その言葉を聞いて麻生はしばし考える。
「そういう解釈もできるな」
「つかおまえ、なんで沢近とそういうことになれたのにそんな冷静なんだ?」
「なんでって言われてもな。それよりおまえが沢近にそんなに興味あるとは思わなかった」
「なんで?」
「いや、おまえ、嵯峨野とか一条とかの話はよくするけどさ。沢近の話なんてめったにし
ないだろ」
「それは、俺が単に分をわきまえてるってだけの話だ。男なら誰だって沢近みてえな女と
付き合いてえって思うだろうが」
「そんなもんか?」
「あったりまえだろうが。クラスの男でも、みんな多かれ少なかれ沢近には関心持ってる
と思うぞ。持ってねえのは……」
そこで言葉を切って、菅は吐息をついた。
「持ってねえのはおまえぐらいかと思ってたんだがな」
「悪いな」
あくまで鉄面皮を保つ麻生を憎々しげに見つめ、菅が言ってくる。
「だけどよ、その沢近を振った男もいるんだよな。誰だよ?」
「それを俺が言うと思うか?」
麻生の言葉に、菅は自嘲するように笑った。
「言わねえよな、おまえは」
「さっきの話もおまえだからしたんだ。他の奴には言うなよ」
「わぁったよ」
残り少なくなったラーメンを掻き込むように食べ、菅は汁をすする。
「まあ、とりあえずおめでとさん。で、それはいいんだけどよ」
「あ?」
「あの子のことはどうなんだ?」
「なんのことだ?」
麻生がとぼけると、菅はかすかに怒気を含んだ声で言ってきた。
「サラちゃんだよ。あの子、おまえに気があるんじゃないのか? おまえだって……」
「菅」
麻生は彼を見やりながら深くため息をつき、重々しく言う。
「俺たちはそんなんじゃない」
自分に言い聞かせるように麻生が言うと、菅は小さくため息をついた。
「まあ、いいけどよ。それなら、サラちゃんを俺にく……」
「菅」
麻生は自分の声がいつになく険悪になっていることに驚きながら続ける。
「あいつは物じゃないし、そうしたいなら俺に断る必要もない。あいつ次第だ」
「……マジになるなよ」
菅は視線をさまよわせたのちに言う。
「ならよ、おまえ。沢近とサラちゃんとどっちが好きなんだ?」
その質問に答えることはできなかった。
ほんとうのことを言っても、うそを言っても、彼女たちを、そして自分を貶める
ことになるような気がして。
沈黙を守る彼に肩をすくめ、菅が違う話題を振ってくる。
それに生返事を返しながら麻生は改めて思う。
自分にとって、一番大切なものはなんなのだろう?
もしも、それを失うような事態に直面したら、それがわかるのだろうか?
漠然とした問いに答えてくれるものは誰もいない。
答を出せるものは自分しかいない。
思っているうちに、菅の言葉が耳に入ってきた。
「しかしよ。サラちゃんに沢近に周防。なんでおまえの周りにばっかし、いい女が
集まるんだ? 人はみな平等なんてタワゴト、誰が言ったんだよ?」
「周防?」
問い返しながら麻生は思う。そういえばあの文化祭から、まだ十日と過ぎていな
いのだと。
美琴とダンスしたあの後夜祭を思い起こしながら麻生は答える。
「あれはなんでもないぞ。向こうもそんな気ゼロだったと思うしな」
「どうだかな」
すねたように割り箸をくわえて言う菅。
麻生は他人事のように思う。彼から見れば、この状況が羨ましく見えるのも仕方
あるまいと。
そして改めて自分に問う。
一番大切なものは何なのかと。
翌朝。
鞄を肩に担ぎ、心持ち重い足取りで学校に向かうさなかで、麻生はその声を聞い
た。
「あんまりじゃないの? 気付かずに通り過ぎるなんて」
「……沢近」
麻生は、フェンスに背中を預け、腕を組んで自分を見やっている少女の存在に初
めて気付いた。
「おはよう」
にっこりと笑って肩を並べてくる愛理。
女性にしては長身で、しかし自分よりは小柄な彼女は、こちらを見上げながら言
ってくる。
「一応私たち、昨日から恋人同士な訳だし。『沢近』ってのはよそよそしすぎると
思ったりもするんだけど、どうかしら?」
「ああ」
生返事を返しながら麻生は思う。愛理というのも馴れ馴れしすぎる。それならば
――。
「じゃあ、お嬢」
「……」
愛理の顔から流れるように笑みが消えていき、黄金を帯びた瞳に険悪な炎が宿る。
そこから目をそらして麻生は言う。
「悪ぃ。ふざけすぎた」
麻生の言葉に物言いたげに愛理が口をうごめかした瞬間、二人の間にひとりの女
生徒が割って入ってきた。
「うぃーっす」
こちらと愛理と。二人の肩に手を掛けながら彼女――周防美琴は言ってくる。
「朝からいきなりツーショットとはね。昨日のメール、ほんとだったんだな」
二人の顔を交互に見つめたあと、かすかに不本意そうな声で美琴は言ってくる。
「私は沢近はてっきり……」
「美琴」
冷ややかな声で美琴の口舌をさえぎって愛理は言う。
「そういうわけだから」
「……まあ、いいけどな」
軽く手を振って美琴は二人から離れる。
前方に見える人影――高野晶あたりか?――に駆け寄っていく背中を見送ったあ
とで、麻生は愛理に言う。
「播磨とのこと、周防とかには話してないんだな」
「話せるわけないでしょ」
そのあとは当たり障りのない会話。
適当に話を合わせながら麻生は気付く。周囲の男たちの刺すような視線に。
沢近愛理が、矢神高校きってのアイドル的存在であることぐらい、麻生も知って
いる。
その彼女と朝から肩を並べて喋っている以上、こういう敵意に満ちた視線を受け
るのも仕方がないとも思う。
しかし、麻生は言いたかった。おまえたちが本当に敵視すべきは俺じゃないぞと。
二人のことがクラス中に伝わるまでに、数時間とかからなかったらしい。
今鳥。西本。冬木。
休み時間のたびに、その他にも何人ものクラスメイトがことの真偽を確かめに話
しかけてきた。
麻生が適当に肯定すると、彼らは例外もなく羨ましそうにため息を付く。
そして、彼が動いたのは三時限目の休み時間のことだった。
菅の話を聞き流しながら愛理を見つめていた麻生は気付いた。
いつもの四人組で固まって話し込んでいた愛理が不意に視線を播磨に向けたこと
に。
恐らくは消しゴムの切れ端でもぶつけたのだろう。播磨は無言で顎を出口のほう
にしゃくり、床を蹴るようにして立ち上がった。
無意識にその背中を視線で追うと、出口を前にして彼が振り返ってきた。
視線が絡む。
サングラスで彼の瞳が隠されているにも関わらず、麻生は確信した。
その奥の瞳が、怒りと嫌悪感に満ち満ちていることを。
一方の愛理はというと。
こちらの様子などまるで一顧だにせず。
憑かれたような瞳で播磨が消えた扉を見つめ。
そして、彼女は静かに立ち上がった。
「みんな、気をつけて帰れよ」
担任教師である谷の声が、生徒たちのざわめきを掻き分けるように教室に響く。
HRも終わり、あるものはそれぞれの部室に。あるものは一人帰途に。そしてあ
るものは気のあったもの同士で固まって。
彼らの様子を見ながら教科書の束を鞄に押し込んでいると、聞き覚えのある声が
聞こえてきた。
「帰りましょ。今日は部活ないんでしょ?」
「……ああ」
周囲の視線を気にしながらも麻生は愛理を見上げて答える。
「そういやおまえ、帰宅部なんだよな。スポーツできそうなのに、もったいねえよ」
「別に。スポーツができるとか言っても、せいぜい平均より少し上でしかないし。
とにかく、行きましょ」
「ん」
ぶっきらぼうに答えて立ち上がる。
肩を並べて廊下に出ると、途端に険しい視線が刺さってくる感覚。
今日一日でそれに慣れたつもりになっていたが、無論のこと愉快なものでもない。
一方の愛理はといえば、全く意に介した様子もない。
こういう視線には慣れっこなのだろう。妙な劣等感にさいなまれているうちに、
二人は脱靴場にたどりついた。
一方的に話しかけてくる愛理に生返事を返しつつ靴を履き替えて校庭に出る。
目を射るのはまぶしい日差し。それに目を細めたのちに麻生は切り出した。
「昼間、播磨に何か言われたろ」
「ん」
顎を引いて、愛理は小さく肩をすくめた。
「いろいろね。ちょっと口に出せないような言葉も含めて。もう完全にダメね。自
業自得だけど」
「沢近……」
「わかってたから。でもね、すっきりしたわ。一番怖かったのは無視されることだ
ったから。怒ってくれて少しほっとした」
「でもよ……」
言葉を探しているうちに麻生は見つけた。
校庭の片隅で話し込んでいる二つの人影を。
ひとりは長身でスレンダーな少女。そしてもうひとりは……。
「あら」
麻生の思惑も知らず、同じように二人に気付いたらしい愛理は、早足でそちらに
歩み寄っていく。
「八雲。しばらくね」
「あ……」
彼女――塚本八雲は視線を愛理に向けて、そののちに麻生のほうに滑らせてから
何事もなかったかのように言う。
「こんにちわ」
「へえ」
皮肉げな笑みを頬に刻んで愛理は言う。
「驚かないんだ」
その言葉に微かに首肯してから八雲は言う。
「姉さんから聞いてましたから。それに……」
八雲が言葉を切った瞬間、その影から飛び出すように姿を現した彼女があとをひ
ったくった。
「それに、麻生先輩と沢近先輩のこと、一年生の間でも話題になっていますから」
笑顔で言った少女を麻生はよく見知っている。
サラ・アディエマス。
イギリスからの留学生で、麻生にとっては……。
「あら」
二人の顔を見比べてから、愛理が言ってきた。
「あなたたち、知り合いだったの」
「ああ」
首肯して麻生は続ける。
「バイト先の後輩なんだよ」
「バイト?」
「ああ、俺、中華料理屋でバイトしてっから」
「へえ」
話し込む二人を均等に見てから、サラは意外そうに言う。
「沢近先輩、付き合ってるのにそんなことも知らなかったんですか?」
「それは……」
言って愛理が視線を外すと、それを意に介した風もなくサラは麻生を見る。
「私と沢近先輩は高野先輩経由で、少し面識があるんですよ。同じイギリス出身だ
し」
言ってサラは視線を愛理に戻す。
「とにかく、改めてよろしくお願いします。麻生先輩には、バイト先で仲良くして
もらってるんですよ」
「……」
どことなく含みのある言葉に聞こえたのは気のせいだろうか。
「まあ、よろしくね」
愛理が手を差し出すと、にっこりと笑ってサラもそれを握り返す。
と、愛理の表情が微かにゆがんだ気がした。だがしかし、それを気にするいとま
はなかった。
突然背後から乱暴に突き飛ばされたのだ。
「おい……」
抗議しかけて息を呑む。
割り込んできたその男の顔は、濃い色のサングラスでは隠し切れないほどの苛立
ちに彩られていたから。
「播磨……先輩……」
突如満ちた重い空気を知ってか知らずか、播磨に声をかけたのは八雲。
播磨は、その声で初めて彼女の存在に気付いたかのように瞳をそちらに向けた。
「よう、妹さん」
幾分穏やかな声を発したあとで、しかし彼は苛烈な言葉を吐く。
「あんまりお嬢とは関わらないほうがいいぜ。尻軽がうつるといけねえからな」
「……待てよ」
さすがに黙っていることもできず、麻生は播磨に詰め寄る。
だが、その腕を掴んで引き止めたのは他ならぬ愛理だった。
「沢近」
「いいのよ。軽蔑されて当然のことしてるわけだし」
「だけど……」
「いいの」
「けっ」
瞳を伏せた愛理に唾でも吐きたそうな顔を向け、播磨は土を蹴った。
無言で遠ざかっていく背中を見ながら口を開いたのはサラ。
「播磨先輩、どうしたんでしょう?」
「ごめんなさい」
その問いに直接は答えず、愛理は小さく頭を下げる。
「あなたたちにまで嫌な思いさせちゃったわね」
「いえ、そんなことは」
サラの言葉に八雲もうなずく。
「ごめんね。行きましょう」
後半は麻生のほうに向けて愛理。
「ああ。じゃあサラ。あとでな」
「はい」
愛理に腕を引かれて麻生は歩き出す。
見下ろすと、愛理は何かを恐れるかのように麻生の腕を掴み、青ざめた唇を震わ
せている。
愛理の手が自分の腕を掴んで放さない。
そのことに無論不快感はない。
ただ、他の男なら覚えるであろうときめきも感じない。
彼女は単に手を放すのを忘れているのだと麻生は知っていたし。
それに、どうしようもない違和感を覚えるから。
彼女が掴むべき腕はこの腕ではないし、この腕を掴むべき手は彼女の手ではない。
漠然とそう感じながら麻生は声をかけた。
「あのさ」
「え?」
数瞬ののち、麻生の視線の意味に気付いたのだろう。愛理はあわてて手を引っ込
めた。
「ご、ごめんなさい」
「いや、別にいいけどよ」
沈黙が落ちた。無言のまま校庭を横切り、校門をくぐったところで、愛理が口を
開く。
「彼女、かなり怒ってたわね」
「彼女?」
聞き違いかと思って問い返すと、愛理は大きく首肯した。
「うん。サラのこと」
「どこが? あいつ、ニコニコしてたじゃねえか」
「目は笑ってなかったわ。気が付かなかったの?」
「マジかよ」
思わず振り返るが、その先にもうサラの姿は見えない。
菅によく言われる。おまえは鈍感だ。女心がわかっていないと。
もし愛理の言葉が真実なら、菅の言葉も的外れではないということか。
「それにこれ」
愛理が右手を差し出してきた。白く、たおやかなその手のひらには、不自然に赤
みが差している。
「あの小さな体のどこにあんな力があるのかしらね。驚いたわ」
愛理は嘆息とともに天を仰ぐ。
「昨日言ったわよね。このお芝居に協力してくれる理由」
「ああ」
「合コンを断れるから……だったかしら」
「それがどうかしたか?」
「ウソじゃないだろうけど、全部でもないでしょ」
「……なにが言いたい?」
「彼女の反応が見たかったんじゃないの? 私と同じなんじゃない」
「それは」
違うという言葉は紡げなかった。
あのとき屋上で、愛理から恋人ごっこのパートナーを頼まれたときに頭に浮かん
だのは、確かにこれで合コンを断れるということ。
しかし、その後、サラがどういう顔をするか見てみたいと思わなかったわけでも
ない。
そして今、彼女が怒っていたと聞いて自分に浮かんできた感情。
後ろめたさと……それに……。
「バカバカしい」
鼻を鳴らして愛理は言う。
「相思相愛なんじゃないの。なんだって振られたての私がキューピッド役をやらな
くちゃいけないのよ」
「あのな、沢近」
「今日バイトで会うんでしょ? さっさと告白したら?」
「話を聞けよ」
自らの感情を整理しつつ麻生は言葉を選ぶ。
「確かに、そういうのがないとは言わねえし、あいつがもしかしたら俺のことをっ
て全く思わなかったわけでもない」
言葉を切って唾をひとつ飲み込んでから、麻生は続ける。
「でも、俺の中でまだそこまで思い切れてはいない。告白とかそんな段階じゃない
んだ」
「怖いんでしょ」
「怖くなんかねえよ」
麻生は自分でも驚くほど瞬時に切り返した。
「別に振られることなんて怖くない」
「違うわ」
愛理は静かな瞳でこちらを見つめて言う。
「彼女を自分のものにすることを。そして傷つけることを恐れているんじゃないの?」
「く……」
絶句した。その言葉が確かに正鵠を射ていたから。
いつも思う。まぶしいほどに純真な彼女が自分を愛するなどということがあって
いいのかと。
彼女を手に入れ、奪う資格が自分にあるのかと。
彼女に対する気持ちが吹っ切れないのも、ほんとうはそのことがバリアになって
いるのではないかと。そんな気がずっとしていた。
麻生の逡巡をすかし見たように愛理は言ってくる。
「晶によく言われるのよ。臆病な恋は後悔を招くだけだって。まあ、その言葉に乗
せられて玉砕した成れの果てが言っても説得力ないでしょうけどね」
「沢近」
「話しなさいよ、彼女と。きちんと」
「おまえにそんなこと指図されるいわれは……」
「あるわよ」
人差し指をこちらに突きつけて愛理は言う。
「あなたは私の人生で一番恥ずかしいシーンを目撃したんだからね。だから私はあ
なたに命令する権利があるの」
「むちゃくちゃだな」
麻生が思わず苦笑すると、愛理が真顔になって言う。
「漠然と思うんだけど。今がそのときだと思うわ。根拠もなにもないけど」
「沢近」
ふっと微笑を浮かべて、愛理は唐突に言う。
「Courage can change even the destiny.」
「はあ?」
突然飛び出した英語に麻生が目を白黒させると、愛理は同じ言葉を麻生にも聞き
取れるようにゆっくりと言い、そして付け加える。
「イギリスの有名な格言なのよ。勇気は運命さえも変える。いい言葉でしょ」
愛理は言って右手を肩の高さにまであげる。
「私はがんばったわ。今度はあなたの番」
「ちっ」
その手を叩いたなら、もう覚悟を決めなくてはならない。
しかし、そうせざるを得ない状況に追い込まれてもいる。
意を決し、麻生は愛理の手を叩いた。
「なあ、沢近」
ひとしきり歩いたのち、麻生は切り出した。
「思うんだけどさ。おまえのほうも、あきらめるの早いんじゃねえか?」
「なに言ってるんだか。あいつ好きな子がいるって」
肩をすくめる愛理に麻生はなおも言う。
「それはほんとだろうけどさ。あれだけ怒るってのはおまえのこと気にかけてる証
拠ってことじゃないのか? それに、男なら誰だって、おまえみたいな女と付き合
いたいもんだぜ」
「え?」
意外そうに目を見開く愛理を見て、麻生は額を掻いて付け加えた。
「と、菅が言ってた」
「ふうん」
くすりと笑って愛理は秋空を仰ぐ。
「まあ、一応望みは捨てずにおこうかしらね」
「そうしろ」
「うん、じゃあここで」
十字路の真ん中で立ち止まって愛理は言った。
「恋人ごっこもお開きね。まあ、楽しかったわ」
「ああ。いろいろサンキュな」
「ねえ麻生君」
「あ?」
「あなた、少しあいつに似てるかもしれない」
「播磨に? どこが?」
心外げな麻生に愛理は人差し指を振りながら言う。
「無愛想なとことか。不器用なとことか」
「欠点ばっかりかよ」
ぼやく麻生に笑って愛理は付け加える。
「あと、ほんとうは少しだけ優しいとことか、変に義理堅いとことかも」
「そんなもんか?」
頭を掻きながら照れくさげに麻生は答える。
「まあ、いいや。またな」
「うん、じゃあね」
遠ざかっていく愛理の背中が角に消えるまで見送り。
そして麻生は夕日をにらみつけた。
茉莉飯店は、その日やけに賑わっていた。
元々大口の予約があったのに加えて、なぜか次から次へと客が湧いてくる。
どこからこんなに来るのかと思うほどに。
忙しくても暇でも時給が変わるわけでもないのに、どちらかと言うと忙しいほう
が好きな麻生ではあるが、この日ばかりは異常な客の出が恨めしい。なぜなら――。
「サラ、少し話……」
「麻生先輩。餃子焦げますよ」
「少し時間……」
「あるように見えますか? 店長、八宝菜あがりました」
「なあ、少しだけ……」
「はーい、今うかがいます!」
などという感じで取り付くシマもないのだ。
忙しくて話している暇はない。それは事実だろう。
だが、サラの大きな目の奥の瞳が、寒々とした色を帯びていることにも麻生は気
付いていた。
『Courage can change even the destiny.』
愛理がくれた言葉を頭の中で反芻してみるが、すでに心がくじけそうな自分がい
る。
麻生は呪う。己の弱さを。
愛理に比べて、どれだけ自分は弱々しいのかと。
あんな卑劣な手段でしかサラの気持ちを探ることができず。
それを半ば果たしたにも関わらず心が折れそうになっている。
そして決めた。絶対に今日だ。今日、決める。
どちらに目が転んだとしても、後悔はしない。
閉店時間は間もなく訪れた。サラには閉店後話そうと腹を決めて仕事に集中して
からはやけに時間も短く感じられた。
店長は奥に引っ込んで食材の整理をしている。
サラはカウンターの椅子に腰を落とし、片手に顔をうずめていた。
無理もないと思う。今日一日、何かに憑かれたように働いていたのだから。
それも自分のせいなのかと思うと胸が痛くなる。
麻生は静かにコップにいっぱいの水を汲み、彼女に歩み寄った。
「お疲れ」
言ってコトンとコップを彼女の前に置いた。
「麻生先輩……」
今日始めて、彼女がまともに目を合わせてくれた。
息をひとつ吸い込み、麻生は切り出した。
「今晩、教会まで送らせてくれ。話があるんだ」
「話ならここですればいいじゃないですか」
すねたようにそっぽを向くサラ。
麻生は軽くカウンターを叩く。驚いてこちらに視線を戻してきたサラを見据えて
もう一度言う。
「送らせてくれ」
「先輩……」
かすかに柳眉を逆立てて彼女が何か言おうとした瞬間だった。奥から店長の声が
聞こえてきたのは。
「アソくーん、ちょっといいアルか?」
「は、はい! 今行きます」
答えておいて麻生はもう一度サラを見た。
「待ってろよ。いいな」
「……」
無言でそっぽを向くサラにもう一度いいなと念を押したのち、麻生はきびすを返
した。
店長に頼まれた用事は 10分程度で終わった。いやな予感を覚えながら店内に戻る
と――。彼女はいなかった。
「っきしょお」
カウンターを荒々しく叩き、麻生は店長に叫ぶ。
「店長! 急用ができました。今日は上がっていいですか?」
「へ、ああ。お疲れさまアル」
気圧されたような声を背中で聞きながら、麻生は飛び出した。
教会までの道のりはわかっている。
絶対に捕まえる。麻生は誓った。
冷静に考えれば、話は明日でも構わない。だが、いつもいつも、そうやって大事
なことを後回しにして今まで生きてきたような気がする。
そんな自分に麻生は終止符を打ちたかった。
一番大切なものは何なのか?
その問いの答が、ようやくわかった気がするから。
どれだけ走っただろうか。いくつの角を曲がっただろうか。
あざ笑うような青白い月をにらみつけ、すれ違うカップルに毒づき。
そして、彼は見つけた。小柄な体躯を。特徴のある形に結ばれた金髪を。
サラ・アディエマスという名を持つ異国から来た少女を。
「サラ!」
張り裂けそうな声で叫ぶ。とぼとぼと歩いていた彼女が、びくりと立ち止まった。
恐る恐ると言う様子で振り返ってくるサラ。
「ハァ……ハァ……」
息を整えながらサラに歩み寄る。
「待ってろと言ったはずだ」
「だって……」
唇をかみしめて、サラはこちらをにらむ。
「私なんかと歩いてるとこ誰かに見られたら沢近先輩に誤解……」
「誤解してんのはおまえだ!」
怒声でサラの言葉をさえぎる。おびえるように彼女が身をすくめるのを見て、麻
生は首を振った。
「怒鳴って悪かった。誤解するように仕向けたのは俺だもんな」
「麻生先輩……」
「違うんだよ。俺と沢近はなんでもない。だいたい、沢近がほんとうに好きなのが
誰なのか。おまえも気付いてんじゃないのか?」
「……播磨先輩のことですか?」
「ああ。だから俺たちが付き合うなんてありえない。そのことを話すから」
ようやく呼吸が整ってきた。髪をかきあげ、麻生はさらに言い募る。
「誰にも話さないと沢近と約束した。菅にも話さなかった。だけど、その約束を今
から破る。何もかも話す。聞いてくれ」
「……はい」
サラがうなずいた瞬間、麻生は急にめまいに襲われた。
全力で走ってきたのと、安堵したのが原因だろうか。足元がおぼつかなくなった
とき、サラがその腕を支えてくれた。
「大丈夫ですか?」
「……ああ」
答えながら思う。この手だと。
愛理の時には感じなかった暖かく、そして気恥ずかしい想いがこみ上げてくるの
が麻生にはわかった。
心臓の鼓動こそ、これが原因なのか疾走してきたのが原因なのか、わからないけ
れども。
「公園に行きましょう」
大きな瞳の奥には暖かい光。いつしか麻生が惹かれていたその光を、彼はずいぶ
ん久しぶりに見たような気がした。
「ほんとうに大丈夫ですか?」
並んでベンチに腰掛けてからも、まだ汗がとまらない麻生を気にして、心配そう
にサラが言う。
ハンカチで顔をぬぐってまでくれる彼女を試すようなマネをした自分に、麻生は
嫌悪感を覚えずにはいられない。
「もう、平気だから」
そして麻生はひとつひとつ話し始めた。
合コンにしつこく誘われ、屋上に逃げ込んだこと。そこで愛理が播磨に振られる
場面に出くわしたこと。播磨へのあてつけのために偽の恋人になって欲しいと言う
彼女の頼みを受け入れたこと。
大方話し終わった頃、サラが口を挟んできた。
「話はわかりましたけど、根本的な疑問があります」
「なんだ?」
麻生が問い返すと、サラは生真面目な顔で言ってくる。
「そもそも、麻生先輩はどうして合コンに行きたくなかったんですか?」
「それは……」
ここしかないと思った。
おさまっていたはずの鼓動が再び早鐘を叩き始めるけれども。
心は挫けそうになるけれども。
逃げるわけにはいかなかった。
意を決して麻生は口火を切った。
「そのな。俺には気になる女がいたから」
「誰ですか?」
間髪入れない問いかけ。歯噛みしながら麻生は言う。
「それは……その、バイトの後輩で、そのなんだ。そのときにはまだはっきりわか
らなくて。だけど、沢近といろいろ話したり、あと……今日一日無視されてつらい
と思ったり、それで俺ははっきりと……その……」
「麻生先輩」
あきれ果てたようにサラが口舌をさえぎった。
「ごちゃごちゃとわかりにくいです。英語で言ってください」
「え、英語!?」
麻生は頭を抱えると、バカ正直に今の言葉を英訳しようとし、そしてひとつも単
語が浮かんでこないことに愕然とした。
パニックに陥った麻生に、サラが助け舟を出す。
「いいんですよ。もっとぶっちゃけた言葉で」
「ぶっちゃけるつってもよ……その、つまり……」
「麻生先輩」
勇気付けるようにサラが手を握ってきた。麻生は悟った。彼女が欲している言葉
を。こんな言葉を口にするのはさすがにプライドが許さない。そんなキャラじゃな
い。
しかし、彼女を騙した罰と考えれば―――。
がっくりと肩を落とし、麻生は平坦な発音で言った。
「あいらぶゆー」
「……ぷ」
くすりと笑ったのちにサラは吹き出す。
「それ、ぶっちゃけ過ぎですよ」
「おまえが言わせたんだろうが!!」
「まあそうなんですけどね」
サラはなおもくすくすと笑いながら目じりをぬぐう。
「ったくよぉ」
麻生はぼやき、そして斜視でサラを見た。
「返事、聞かせろよな」
するとサラはいたずらっぽく笑い、麻生の大好きな大きな瞳でこちらを覗きこん
できた。
「えっと、さっき、なんて言いましたっけ? よく聞こえなかったので、もう一度
言ってくれませんか?」
「サラ!」
サラは片手で口を押さえて、ひとしきり忍び笑い、そして嫌味のような流暢な英
語で言ってきた。
「Mee too.」
その言葉を聞いて、麻生はふっと息をついた。ほんとうに大変なのはこれからだ
と知ってはいても、やはりほっとする。
「沢近に、感謝しないとな」
「え?」
小首をかしげた彼女を見て、麻生は呟く。
「Courage can change even the destiny.」
その言葉を噛み締めて麻生はさらに言う。
「沢近が教えてくれたんだ。イギリスの有名な格言なんだろ」
「あの……」
サラは居心地悪げにやや視線をさまよわせたのちに言った。
「私の知る限りでは、そんな格言は存在しませんけど」
「なっ……」
「からかわれましたね」
「っきしょお」
麻生は自らの手のひらを拳で殴り、そして毒づく。
「なんで俺の周りには性格の悪い女ばかり……」
ひとしきりごちたあとで不意にひらめいて、麻生は目を光らせた。
「サラ。播磨のメルアド、わかるか?」
「え?」
サラは人差し指を顎に当てて首をかしげる。
「はい。八雲に聞けば……いえ、今わかるかもしれません」
言ってサラは携帯電話を開く。
「前に八雲の携帯が調子悪いときに私のからメール送ったことが……ありました」
「よし、こっちに転送してくれ」
「はい」
麻生は携帯を操って、たった今送られてきたアドレスに対してメールを打ち始め
る。
「なにするんですか?」
「果たし状だよ。明日の朝、登校前に矢神神社に来いって」
「ええっ!」
サラはあきれ果てたように叫び、そして首を大きく振った。
「なんですか、それ? 危険すぎます」
「まあ聞けよ。これ、なにかわかるか?」
手早くそのメールを送信すると、麻生は昨日登録したばかりのアドレスをサラに
見せる。
「沢近先輩のアドレス……ですか?」
「ああ」
ニヤリと笑って麻生は言う。
「リベンジ兼援護射撃だ」
「ふふっ。先輩もワルですね」
「おまえには負けるよ」
愛理にはサラとのことで話があるからという口実でメールを送る。もちろん待ち
合わせ場所は――。
メールを送り終えて麻生は天を仰ぐ。
「俺にできるのはここまでだな。あいつらもうまくいくといいけど」
「ですね……じゃない!」
「なんだ?」
「私は八雲を応援してるんですよ! どうして沢近先輩の援護しなくちゃいけない
んですか?」
「いいじゃねえかよ。一度ぐらい」
「でも」
唇を尖らせてサラは言う。
「これで沢近先輩と播磨先輩がくっついちゃったら、私は八雲に合わせる顔が……」
「心配するなよ」
麻生は苦笑とともに言う。
「あいつらは、そう簡単に決着ついたりとか、しねえだろうから」
「……そうですね」
言ってサラは夜空を仰ぐ。その横顔をしばし見つめてから、麻生はおずおずと言
った。
「今度の土曜、映画でも行かないか?」
「はい。喜んで」
「よし、帰るか」
「はい」
立ち上がって手を差し伸べる。握り返してきた手の小ささに驚きながら麻生は思
う。
この先どうなるのかはわからない。サラはいずれ英国に帰る身。そして神に仕え
る身。
いろいろ考えるとサラの小さな手は麻生の手には余る気がした。
しかし、あとには退けない。もうこの手を握ってしまったのだから。
決意を胸に刻み込みながら、麻生はそっとサラの髪を撫でた。
〜Fin〜
終わりです。
最後まで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。
書くのよりも貼るのに疲れたかも……。なんかいい手ないですかね。
アソサラなんて初めてだなとよく考えたらスクランで旗以外を書いたのは初めてでしたw
突っ込みどころのある作品だとは思ってますので、忌憚のない感想をいただければ幸いです。
>180氏
グッジョブ!!
旗と絡めたアソサラということでしたが、
うまい構成だと思いました。。
麻生と沢近が会話してるのも新鮮でした。
ただ、麻生が序盤ちょっと冷めすぎてるような気も…
もしよろしければ、今後もSS投下のほど宜しくお願いします。
PF読んだ印象からいくと、冒頭の説明にある麻生像は
やっぱ冷めすぎで別キャラっぽい、特にバスケを他と並べるのは。
まあ原作本編からそういうのを読み取り難いからってのもあるだろうから仕方がないかも。
あとは、やっぱ本編に描写が無い分、麻生←→サラの心情というか
動機付けというかにはもう少し説明あった方がいい気もする。
いやまあ、人によってはこれ以上の描写は不要かもしれませんが。
>>215 今読んだから感想を。
アソミコはお好きじゃないらしいですがw、ただそのままアソサラというのよりも、
なんというか、行動動機により説得力アル展開になってると思います。
最初に誘われた時に、麻生の対応がスラスラとし過ぎてる感じも。
「よう、久しぶり」
駅から出た彼を出迎えたのは、そんな言葉だった。
「ああ、確かに」
黄昏の光の中、花井春樹は久方ぶりに周防美琴と向かい合う。
時たま交わされた電話のやり取りや、年賀状に代表される時候の挨拶。そんなものを
交流の一つと数えるにしても、この数年間を振り返ってみれば、それまでの二人の間柄
からすると、およそ考えられないほどに接点の少ない時間だった。
小学、中学、高校という、ある意味で閉鎖された環境とは異なり、大学とはとかく自由で
あり、加えて春樹の選択はこの街を出ることだった。自然、互いのやり取りは数を減らし、
端から見れば疎遠になったとさえいえるような状況が形成される。
けれど。
「変わってないようだな」
「そっちこそ、相変わらずそうだよ」
顔を合わせて交わす会話は、それを微塵も感じさせない。
「他の皆はどうだ?」
「いや、相変わらずだよ、やっぱり」
みんながみんな、知ってるわけじゃないけどね。そう言って屈託なく笑う美琴に、そうか、
と春樹も笑顔で返す。そこにあるのは、なにもかもが過去になるとしても、それは確かに
過去として存在している、そんな静かな確信。
「……にしても、お前一人か? 僕はまた、播磨でも待ってるんじゃないかと思ってたんだが」
「播磨だったら、料理が食えねぇからさっさと連れてこい、なんて言ってたよ」
同窓会をなんだと思ってるんだか、苦笑が小さく響く。
「確かに相変わらずだ。まったく」
肩をすくめてみせる春樹に、ともかくさ、と美琴。
「花井を拾いに来るのは、やっぱり私の仕事だと思ってさ」
そこでほんの少しだけ間を置いて。
「――お帰り」
そう口にした表情は曇りのない笑顔で、だから彼もまた、同じ笑顔で言葉を返す。
「ただいま」
そんな、どこか儀式めいたやり取りを終えて、行こうか、という美琴の声で歩き出す二人。
その向かう先に待つのは数年来の再会、ささやかな祭りの場はもうすぐそこだ――
>188
そんな描写あったっけ?
原作では無かった筈だが。
原作のアソミコがいくところまでいってしまったので、
播磨→天満を無視してはいけないように例え嫌でもアソミコがないと
(もちろん別れるわけだが)アソサラや縦笛は説得力に欠けるのかな
まあ、普通に読めた。
なかなかよろしいんじゃないでしょか。
○○の設定とか××の描写とか、色々言ったらきりがないからこのぐらいがちょうどいい。
面白かった
普段見られない組み合わせで楽しめるものになってるのはいい
こういうのこそ二次創作、if物の醍醐味
>>255 ifの意味分かってるか?
それなら鉛筆や携帯なんかどうなるんだって話なんだが
アソミコ自体があまり話にページを割かず
実はこんなことやってましたみたいなことをさらっとキャラに言わすだけだから
いまいちそんなに進んでいるようにも見えないんだよな
久しぶりにこのスレみたらまとめサイト更新してないのか
ifだからと自由奔放にやりすぎるのもアレだけどね
告白して振られて後輩に慰められてときめく話の次の作品が、
告白して振られて他の男と付き合う振りしてたら尻軽と罵られる話だったので笑った。
やっぱりアソサラはすばらしいですね
>>261 Ifだからこそ色々やってみた方がいい。何に遠慮してるんだ?
まぁエロとか常識を明らかに外れた物は論外として。
妄想するからこそ楽しい。ここはそういう場所だろ、脳内補完。
そしてすばらしいアソサラ×2をありがとうございました。
ハーレムきぼん
オリジナル分が多くなる程、それを受け入れられる人は減っていく。
アソサラが好きな人にしか楽しめない内容だったね。
だから万人に受けるハーレムが一番だお
携帯を待つ!
>>Ga9iAeho
偽MIDIのエロ同人誌でも読んでくればいいと思うよ
クズリ氏降臨してくれないかな。
やっぱアソサラはいいな。作者神に感謝。
2/14
今日はなんだか妙に疲れたわ。バレンタインデイに気合いを入れちゃうのは正常な女の子の証拠ね。
昨日一生懸命作ったチョコ。
お父様の為に作ったのだけれど、少しチョコが余ってしまったのでなんとなくもう一個作ってしまった。
作ったからには捨てるのも勿体ない。
仕方がないのでクラスのバカに恵んでやる事にした。
全く、なんで私があいつに渡すのにあんなに苦労しなきゃいけなかったのかしら。
あいつがバカだから悪いのね。
あいつがバカだから……。
ああ、ダメだ……。
なんで私はああいう時に素直になれないんだろう。
美琴と晶には「ドンマイ」と慰められてしまったし……。
もう全部あのバカが悪いんだから!
ごめんね、ヒゲ。
二月十四日
今日は待ちに待ったバレンタインデイだった。
バレンタインデイ、すなわち天満ちゃんからチョコをもらう日だ。
しかし肝心の天満ちゃんはなかなか俺にチョコをくれねぇ。
少し焦り出した昼休み。ついに来たぜ。
廊下で会った妹さんからチョコを貰った。
「一緒に作ったんです」
どうやらシャイな天満ちゃんは直接渡すのが恥ずかしいから妹さんに持たせたようだ。
その奥ゆかしさが最高だぜ!妹さんはまさに恋のキューピットだぜ。感謝してもしたりねぇ。
教室に戻るとお嬢にチョコを投げ付けられた。
あのお嬢がまさか?
その時俺の頭が閃いた。
この前ワイドショーでやってた「普段ムカつく上司に渡す毒入りチョコ」て奴か!?。
チョコとお嬢の顔を交互に見ていたら無理やり口にチョコを突っ込まれた。
ひでぇ……。
家に帰ったら珍しく絃子の奴が飯を作っててくれた。
本当に珍しい。何かいい事でもあったんだろう。
そして夜。満を持して天満ちゃんからのチョコを……甘さ、カカオ香り、微かな苦み、どれをとっても間違いない味だった。
天満ちゃん腕上げたぜ。嬉しさの余り涙すら零れた。
思えばここ何年かチョコなんて貰ってなかったからな。
なんて今日はいい日なんだ。
ホワイトデーは天満ちゃんへ俺の気持ちを、いや、それまで待ってられねぇ。
明日こそ、明日こそは……。
2がつ14にち
今日はバレンタイン!
烏丸君の為に頑張ってつくったカレーチョコ。
八雲に教えてもらって頑張ったから今回は味にも自信がある!
学校で烏丸君にチョコ渡そうと思ったけどドキドキしていっぱいいっぱいになっちゃった!
放課後やっと烏丸君にチョコを渡せた!
「塚本さん、ありがとう」
だって!キャーーー!!
夜は八雲と毎年恒例のチョコ交換をした。
八雲は本当にいい子だな〜。今日は誰か男の子にあげたりしたのかな?お姉ちゃんはいつでも八雲を応援してるよ〜!
烏丸君、おいしく食べてくれたかな?
ホワイトデーは烏丸君から……ヘヘヘヘヘ。
二月十四日
今日はバレンタインデイだった。
昨日サラと一緒に作ったチョコレート。
初めはクラスの友達と部長にあげる為に作ったのだけれど、サラがあんなに言うから播磨さんにあげる分も作った。
日頃お世話になっているお返し。こんな時でもないとできなそうだし。
サラと私、二人で渡す事にした。
学校につくと今日は心の声がすごくて、ちょっと怖かった。
昼休み。播磨さんにチョコを渡しに。
サラに一人でいきなさいと言われたけど、サラと作った物だから二人で渡した方がいい思った。
それに、やっぱり一人で男の人にチョコを渡すのは、少し、恥ずかしい。
播磨さんはとってもうれしそうに受けっとってくれた。
一生懸命作った物だからやはり嬉しい。
そしてクラスの友達や部長ともチョコを交換した。
部長からのチョコは手作りウィスキーボンボンだった。
手が込んでる……。
晩ご飯を食べた後。
烏丸さんにチョコを渡せてとても嬉しそうな姉さんにチョコを渡した。
姉さんも私にチョコをくれた。
今日一番嬉しかった。
今日もいい日だった。
明日もいい日になればいいな。
276 :
刑部絃子:06/02/08 19:48 ID:kcbyeo96
二月十四日
全く、バレンタインデイという風習を日本に持ち込んだ奴に小一時間文句を言いたい。
毎年毎年この日はいらん事ばかり考えなくてはいけない。
学校に行けばやはり女子生徒も男子生徒も浮き足立っている。若いというのは素晴らしい事だ。
私にもあんな頃があったのだろうか?
これももう毎年恒例となっている事なのだが……どうやら私は同性にモテるらしい。
女子生徒数名からチョコを渡されてしまった。
こういう事に慣れてしまっている自分もどうかと思う。
そして今年も葉子からチョコを貰った。
「私以外の人に気を許しちゃダメですよ!」
全く、何を言っているのやら。かわいい奴じゃないか。
帰宅後。今日は珍しく同居人の為にカレーを作ってやった。
隠し味にチョコを入れてしまう辺り、私も十分この邪悪なイベントに影響されているのだろう。
カレーを美味しそうに頬張る彼を眺めながら過去に思いを馳せた。
「絃子ねーちゃん、チョコありがとう!」か。
時間がたつのは速いものだ。
今日も悪くない一日だった。
美琴 「……あーこれは。酷いな」
天満 「これって違うよねぇ」
晶 「愛理、ちょっとこの記事を見て欲しいんだけど」
愛理 「……プッ。何よこれ。この記事を書いた記者って駄目ね……あっ」
天満 「あ、行っちゃった。そういえば愛理ちゃん、チョコの箱を持ってたよ」
美琴 「よし、追いかけてみよーぜ!」
天満・晶 「ラジャー!!」
愛理 「ちょっと、ヒゲ! 待ちなさいよ!」
拳児 「あ? 何だよ、お嬢」
愛理 「え……いや、あの……。こ、これ……」
拳児 「んぁ? ……これって」
愛理 「修学旅行で世話になったからよ。他に意味なんて無いんだからね!」
拳児 「……ありがとよ。頂いとくぜ」
愛理 「あ、うん……。その……うん」
拳児 「じゃあな。これから、バイトだからよ」
愛理 「……ふふっ。天満達の所に戻ろうっと」
晶 「ツンデレがツンデレを否定してたけど……」
美琴 「あれってツンデレそのものだよなぁ」
天満 「雑誌のはツンデレとはちょっと違うと思うけど。愛理ちゃん、うちの八雲だって負けないんだからっ」
愛理 「そこの覗き見三人組! 待ちなさい!」
天満・美琴・晶 「良かったね、愛理ちゃんwwwww」
愛理 「え、そうかな? ……はっ! あんた達、そんなニヤニヤした顔で何を言っているのよ!」
天満・美琴・晶 「あwww これがツンデレwwwww」
SS投稿避難所見れないんだけど……俺だけ?
かなり以前から
あそこにしかないSSも幾つかあったんだけど保存し損ねた
何時の間にか落ちてた様な…。
バレンタインも近いというのに今更ですがクリスマス話。
虹っぽい何かが多分に含まれていますので、興味関心のない方はスルー推奨です。
あと、ちょっと長いです。ピュアテキストで 40kb 超えましたので orz
夜の校舎は一概に不気味なものとしてその名をあげられる。
理由は明確だ。
学舎とは人がいて初めて機能するもの。その内部に人間がいることは条件でもなく前提で
もなく、然るが故の帰結。
だからこそ、その例外である「人がいない」という状況は異質なものとして人々に受け入
れられることとなるのだ。
みしり、みしりと小さな軋みを上げさせながら彼女は無人の廊下歩いていく。
片手には小さなLEDライト、残る手は上着のダウンジャケットへ。
その足取りは決して速いものではないが、かといって迷いがあるそれでもない。見る人が
見れば重いとも言えるが、別の人が見れば緩やかと言い表すだろう。
それらの言葉はどれも的を射ている。なぜなら、ゆっくりと歩いている彼女には目的地が
ないからだ。
目的であった場所から歩いてきたのだ、行く当てなど特に決まっているわけではない。
それでもふらふらと足の向くまま、気の向くままに歩いてみた場所がここ、旧校舎。
強いて言えば人のいない場所を求めていたのかもしれない。熱を帯びない彼女の頭は他人
事のようにそう結論づけた。
青白い光が歩調とシンクロしてゆらゆらと足下を照らす。
目の前で揺れる弱々しい光源はその実、かなりの光度であることを彼女は最近知った。光
線が一カ所に集中しているため計測上は高い数値が出ると言うことだ。
まるで私みたいだな。
そんなことをふと考える。掌にすっぽりと収まる本体の小ささや、単4電池一本で20時
間も連続で照らし続けることができる低コスト性、そして狭い範囲を無駄に明るく人工的な
光で照らす照明器具としての不十分さ。
一度思いついた想像は、まるで最初からそうであったかのように次々と彼女自身を形容し
ているように思えてくる。
はぁと大きく息をついて彼女、結城つむぎは足を止めた。
「なんだかなぁ……」
その一言こそ今の彼女の万感の思いを余すことなく表現していた。
今日は国教のないこの国ならではのイベントデー、お祭り騒ぎのクリスマスイヴ。多くの
人々が笑顔で親しい人たちと一夜を過ごすロマンチックな日だ。
様々な光で彩られた街路、慎ましく、時には喧しいほどに鳴り渡るクリスマスソング。赤
と白と緑が街中に溢れかえる聖なる夜。
しかし、彼女はそんな浮き足立つ街の中で数少ないデッドスポットとなる校舎にいた。
敬虔な信者というわけでもないのに宗教祭に参加するわけにはいかない、お祭りを一緒に
楽しむ友人、家族がいない、仕事や用事など優先順位の高いものがある。そういうありきた
りな理由などはなかった。
ただなんとなく星が見たい。
かねてから冬休み中に一度はじっくりと天体を観測するつもりだったが、思い立ったが吉
日と言えばいいのか、とにかく今日の夜、大地がイルミネーションで瞬くこのクリスマスイ
ヴに星を見たくなったのだ。
ゆっくりと暗闇に浮かぶ小さな楕円を動かす。
空気までもざわついている繁華街とは違い、海底の砂のように沈殿した周囲の雰囲気は不
思議と心を落ち着かせていく。
「音と光の中で渦巻いている……か」
そんな曰く付きを貼られた心が、この何もない空間に拡散していっているのかもしれな
い。熱量が高い方から低い方へと流れ込むように。
見えるはずのない、形を伴うはずもないそんな心の残滓を惜しむかのように、つむぎは
ぼんやりと周囲を視界に収めた。
目を引くものは特にない。よく言えば趣深い、悪く言えば古くさい木造の内壁はそこかし
こに痛みや汚れなどがあるだろうが、こう暗くては何も見えない。
当然いちいちライトを向けて確認するほどのものでもない。立ち止まりかけた足を僅かに
加速させて、再び歩み始めた。
人の心もまた同じなのかもしれない。
自らを包む柔らかな闇の中で彼女は曖昧な頭の中でそんなことを思いつく。
本人でも手のつけられないごちゃごちゃとした感情は時間だけがゆっくりと処理してくれ
る。その処理法としてたとえば一人で気持ちを外へと押し出したり、誰かに相談してみたり
と人によって様々だが、皆そうやって心の平衡を取り戻す。
ドラマなどで傷ついたヒロインが人のいないところへ走っていく心理は、そう考えてみれ
ば納得のいくものだ。
牛歩のような歩みが再び止まる。
ライトが浮き彫りにするその先には、利用などしたこともなければ、行こうと思ったこと
もない階上へと続く規則正しい段差があった。
何となく振り返ってみる。
当然そこには何もない。突き当たりまで続く老朽化の進んだ廊下がただそこにあるだけ。
さて、とつむぎは考えた。
彼女がここにいる理由はあてのない旅路の結果。もちろん旧校舎の二階などに用はない。
さっきまで陣取っていた鉄筋コンクリートで作られた屋上こそ本日の目的地であり、ひょ
んな偶然と思いがけない告白から疲れた心を落ち着かせるまで、ふらふらと歩いていただけ
だ。
「…………」
階段の踊り場を照らしてみる。
採光のためか、ちらりと見えた嵌め込み式の窓枠からは日中の陽射しの変わりに、遠目か
ら見てわかるほどの降雪が見て取れた。先ほどより勢いが増しているようだ。
「……戻ろ」
トイレという言い訳が通じそうにない程度の時間は経過している。お節介な友人が連絡し
てこないところを見ると、屋上での一件は既に彼女らの知るところとなっているのかもしれ
ない。
だが、それでもこのまま音信不通となってはもう一人の心配性の友人が、不必要にあわて
るかもしれない。幸か不幸か、ここに至るまで飲み物を買ってくると席を立った彼女たちと
は出会うことがなかったから。
本心を言えばあまり戻りたくはないが、いつまでもここにいるわけにもいかない。
はぁ、と一つため息をこぼし、つむぎはその場で回れ右をした。
「…………ぇ?」
喉の奥から声が出る。
意識しない声というものはこんなにも可愛くない音になるのか、と余計な思考が入るが今
はその余計なものほどありがたい。
「……気のせいよね」
そう、気のせいだ。
気の持ちようで物事なんて如何様にも受け取れる。少しばかり精神的に色々あったため、
自らの足音がそう聞こえただけだ。そう、これは絶対気のせいだ。
「…………ぉ、……ぉお」
「――!!」
背筋に冷たいものが走る。
今度こそはっきりと、異音が彼女の耳朶へと直撃した。
みしみしという何かが軋む音と低い人の声のような音。
待って、待って、待ってと聞こえる音は彼女自身のもの。無意識のうちに口から零れる懇
願は、しかし、加速していく厭な想像を減速させるには何の役にも立たない。
軋む音はなおも続く。
その場から動くことも振り返ることもできなくなったつむぎは、それでも音源の場所を特
定してしまう自分の聴力に心底嫌気がさした。
音はここから後方、教室1つか2つ分離れた場所から聞こえてくる。
どくん、どくんと心臓が高鳴る。
昔からこういった怪談の類は散々聞かされていたが、怖がる役は彼女ではなかった。
怖くなかったわけではない。
ただお婆ちゃんっ娘なだけあって妙に語り上手なその話に、恐がりすぎと言ってもいいほ
ど過敏なリアクションを取ってくれる存在が近くにあれば、不思議と残った人間は冷静にな
れるものだ。
そう、冷静に。
心の中で何度も呟く。
風が少しでも吹けば、この古びた木造建築物なら多少軋んでもおかしくはない。人のよう
な声も、何か犬か獣の鳴き声かもしれない。
幽霊の正体みたり枯れ尾花。
そういうシチュエーションと小道具が場を盛り上げるだけであって、種が割れてしまえば
得てして大したことがないのがこういう場合の落ちなのだ。
大丈夫、大丈夫、何もない、あるはずがない。
言い聞かせるように声に出して呟いてみる。ポケットの中につっこんだままの左手は自然
と拳をつくり、耳は自らの心拍数のみを数えさせていく。
その数が20にいくかいかないかで、音はぴたりと止んだ。
「…………はぁ」
どっ、と全身から力が抜ける。
両手にじっとりと感じる汗を不快に思いながら、それでも座り込まなかっただけでも僥倖
だったと自分を少し褒める。あそこで恐怖に屈し、座り込めば、腰が完全に抜け落ちてしま
ったかもしれない。
さすがにこの年で、暗くて怖いから迎えに来て、等と友人に連絡はできない。自らここに
やってきたという手前もある。
しかし、音が止んでしまえば急にさっきの恐怖体験の原因が知りたくなってきた。
つむぎはホラー映画などで見られる登場人物の気持ちが、今はっきりと理解できた。
映画などでは、どうしてそう怖いもの見たさで死んでしまう確率を上げるようなことをす
るのか、呆れ以上に可笑しさすら感じてしまう行動だったが、当事者となってしまうと共感
できる。
正体のわからないものに無防備な背中を晒し続けるよりは、思い切ってそれがなんだった
のか明らかにしたい。その探求心は、今では至極当然だと思えた。
恐ろしいという感情は未知という土壌に育つ大樹だ。
生命力の強いその樹木を完全に朽ち倒すには、豊饒の大地そのものを変える必要がある。
もっとも、既にその正体は大凡当たりをつけている。要はそれを確認するか否かだ。
「……よし」
まずは振り返る。そこから始めなければいけない。
だが脳裏によぎるは振り返った瞬間に待ち受けるホラー映画の落ち。すぐに真っ向から否
定するが、膨らみかけた想像がしぼむことがないことはついさっき経験したばかりだ。
振り返れば何もなく、だが次の瞬間には背後や横に何かがあったり、そのものズバリ見た
くないものがあったり、金縛りにあって体が動かせないことに気がついたり、と大して映画
を見たわけでもないのにパターンばかりが思いつく。
沸き上がってきていた興味が、その凍てつく無尽の想像に押しつぶされていく。
怖いものは怖いのだ。
ごくりという音が聞こえるほど、自分自身のつばを飲み込む音がはっきりと聞こえた。
前門にも後門にもそびえ立つ程の門扉が見える。
進退窮まるとはこのことだろう。
もちろんそれはつむぎのイメージに過ぎない。この旧校舎に入るため、一般的に使われて
いる通用口は何故か彼女が来たときには解錠されていた上に、すぐ近くにある玄関口はきっ
ちりと閉じてある。
もっとも入学してから文化祭以外で開いているところを見たことがない扉だ。普段は閉め
切っているのだろう。
「……やっぱ戻ろう」
無駄に入った思考がよかったのか、取り繕う相手もいないこんな場所でムキになって危う
きに近づいても、利潤が何もないことにようやくつむぎの思考はたどり着いた。
そう、異常な事態には逃げの一手が鉄則。
これこそホラー映画の状況で生存率を上げる王道の一つだ。
最終的な結論が下されようとしたときである。つむぎの鋭敏に研ぎ澄まされた聴覚が、
はっきりと男の声を捉えた。
「……もくん。…………にを!」
音は微妙に遠い感じがするが、やはりというか音源箇所は件のエリアだと推測できた。
しかし、問題はそんなことではない。
「人の……こえ?」
暗鬼に囚われていたつむぎには、その確固たる事実が、雲間から差し込む一条の光に思え
た。
確かに人の声だ。
先ほどの怪奇現象は、つまりこの声の人物が起こしたものと考えるのが論理的な結論と言
える。それだけで鉛のように重かった体が、まるでカーボンフレームにでもなったようだ。
「け……がないな。たし……」
声はなおも続く。
先ほどより弱いそれは、どちらかといえば壁越しの声に聞こえなくもない。声の感じから
おそらく男性だろうが、相手の声が聞こえない。会話ではなく独り言なのだろうか。
気がつけばつむぎは声に向かって歩き始めていた。
さっきまでの判断保留が嘘のように足が進む。振り返ったことも記憶にないぐらいだ。
打算的と三つ編みお下げの友達に言われてもおかしくないかもしれない。
すたすたとこの旧校舎に入って最も速い、つまるところ普段の歩行速度であっという間に
問題の音源だと思われる教室の前までやってきた。
あれから声は聞こえてこない。
当然のように、その周囲に人影らしきものは見当たらなければ、そんな気配もない。
もう一言二言発してくれければ、場所の特定はできないではないか。
怯えていたさっきまでの自分自身を忘れたかのように、つむぎは途絶えた声に不満を抱き
始めていた。
けれども、待てど暮らせど声が再び聞こえてくることはない。
とりあえず教室の中を覗いてみるかと考えるが、ここでふと声の主が不審者という可能性
もあることに思いついた。
が、訳のわからないものに比べれば何倍もマシだ、と開き直りに近い感情で懸念を払拭す
る。賽は既に投げたれたのだ。
それに気のせいか、耳が捉えたこの声はどこか聞き覚えのあるもののような気がしてなら
ない。
ライトの光を窓から室内へと差し込む。
そこは旧校舎に何部屋もある物置部屋だった。
椅子を逆さにのせた机の群れが片隅に寄せられ、まるで大掃除の準備を思わせる空間の確
保が行われている。その中央から黒板側にかけて段ボールが所狭しと積み上げられていた。
板張りの室内にゆっくりと光を移動させていくが特に目立ったものはない。人が隠れられ
そうな空間は机の下ぐらいだが、そこ以外は廊下側から丸見えだ。
「やはり答えは、1しかないか」
今度こそはっきりとつむぎは声を聞き取った。
すぐにライトをその方向に向けるが、目に入るものは段ボールの山。
目を細めてみても、じっと睨みつけても段ボール。
試しに一度眼鏡を外して、肉眼で見てみる。
やはり段ボール、らしきもの。
スカートのポケットからハンカチを取り出し、眼鏡を綺麗にぬぐってかけ直す。
だが段ボール。
「……?」
声はすれども段ボール。
この珍妙奇天烈な事態を前にして、つむぎの頭脳は酷く冷静だった。
声が段ボールからする可能性は0ではない。
たとえば底を全て抜いた段ボールを積み重ねて中に人を入れる、段ボールの中に音声を再
生できるプレイヤーを入れておく、伝声管を段ボールの中に設置する、等々。
もっともこの行為にいかほどのメリットがあるか理解できないし、これだとあの床板が軋
むような音の説明ができない。あの音だけはくぐもった聞こえなかったのだから。
「さて、どうやってこの窮地を脱するか……」
また声がした。
しかし音の方向に向いていてなお、その音源が特定できない。
間違いなく声は段ボールが積み重ねられている方向から聞こえるが、よくよく見れば室内
はここ最近人が入ったような形跡が見られない。うっすらと積もった埃が段ボールから床板
へと室内に充満している。
部屋に入らず、だが声は部屋から聞こえる。
まるで一種のミステリーだ。
隣にいれば水を得た魚のように推理し始めるであろう親友は今はここにいない。それに彼
女は語るのは好きなくせに、ホラーものを読もうとも見ようともしない訳のわからないヤツ
だ。結局いてもいなくても、この問題は自ずから解決しなければいけないだろう。
「……どちらにしろ壊さなければダメか」
窮地とか壊すとか、声はこっちの都合も知らずに物騒な単語を並べ始める。
そこで、はたと思いついた。
窮地を脱する、そのために声の主は何かを壊そうとしているらしい。
だがこの部屋で壊せるものとなると、それこそ無数にある。件の段ボール、むき出しのま
ま保管されている用途不明の調度品、机や椅子、窓や床、天井だって壊せないことはない。
されど、そのどれを壊そうとも脱出するというイメージからはほど遠い。段ボールは壊す
と言うよりも破く、引き裂くという表現が妥当であるし、窓や床を壊すとなるとそれこそ家
屋倒壊で閉じこめられた住人をレスキューする救助隊のようだ。地震も火事も何も起きてい
ないこの旧校舎でそんな危機に陥ることがあるだろうか。
あくまでも常識然としての姿勢を崩さないつむぎは、その態度への皮肉とも当てつけとも
思えるような、世にも奇妙な物体を数秒後に視界に収めることとなる。
最初は悪趣味な冗談とも思えたそれ。
天井から木の根のように生えて、じたばたと動く二本の足を。
ばん、と重々しい音が一階正面玄関口でこだまする。
普段は12月の寒空から、内部の人間を守るかのように堅固に閉じている観音開きの門
戸も、息せき切らし走り込んできた男の手によって蝶番の限界まで開ききっていた。
男の名前は花井春樹。見るからに不審なほど呼吸は荒いが汗はかいておらず、その荒ぶる
吐息も静かで独特な呼吸の一つを用いて平時のそれに落ち着かせていた。
すかさず周囲を見渡す。ここは私立矢神学院高等学校、その校舎の外れに顕在する旧制
中学校時代の校舎、通称旧校舎の正面玄関口。
春樹はそこで泣く子も黙る鬼の形相をしていた。
新校舎と渡り廊下でつながっている裏口とは異なり、基本的に開かずの扉となっている
前時代の遺物ともいえる扉を彼がこじ開けた理由はたった一つ。
春樹には聞こえたのだ、愛しの女神が、現世に光臨した天使が、助けを請うその声を。
ならばどうする。
彼にはその思考シークエンスは存在しなかった。
職員室にいた春樹は脳裏に走った電撃ともいえる直感に従った。
最短かつ最速のコースをもって体が、頭が、心が感じるままの道を走った。廊下から窓枠
へ、窓枠から地面へ、地面から旧校舎へ。
常人ならば常識と生存本能が行動を抑止しそうな物だがまさに猪突猛進、いやこれぞ彼の
愛のなせる技か。
そしてその結果がわずか数秒足らずの現地到着であった。
「八くっ……!」
廊下の端まで届きそうな大声で愛しの君の名を叫ぶ寸前で、ようやく彼の理性が行動に
追いついた。
即座に自らの口を閉ざす。
まず間違いなく春樹の最愛の女性、塚本八雲はこの旧校舎にいるだろう。
それは直感のみならず、彼女が所属する茶道部の部室がこの旧校舎1階に存在することか
らも予想できる。
しかし、ならばなぜ彼女は助けを求めているというのだろうか。
助けを求めるということは、考えたくもないが彼女の身に何かあったと見て相違ないだろ
う。
それは事故か、事件か。人災か、天災か。可能性は数多に存在する。
だが、塚本八雲の身体能力と頭脳は並の学生以上だ。平凡な問題ならば彼女が助力を必要
とする道理はない。
そんな気品ある、才も色も兼ね揃えた彼女が必死に助けを求めている。春樹の思考はこれ
は事件に違いないという警告音を出していた。
長期休暇に入った学校へ学生が登校する理由は大きく二つ。
部活動か補習だ。
彼女はもちろん前者であり、春樹自身は後者の監督で学校へ赴いていた。
時は12月24日、クリスマスイヴ。他に用向きがない人間がわざわざこのようなお祭り
時に人も殆どいない学校へやってくるはずもない。訝しい人間が校内に足を踏み入れること
など考えにくいことだ。
「……いや、だが」
春樹はここで一つの仮定を作った。
それだけ人が来ないと分かり切っているならば、逆に何らかの咎められるような行動を起
こすことに支障が出ないと言うことではないだろうか。
誰が見ても麗しく女性の完成型ともいえる彼女を毒牙にかけようとする不逞の輩が一人や
二人、この街にいてもさほどおかしくはない。
たとえばあの播磨拳児のような。
「…………」
大声を出し、八雲の身の安否と現在位置を確かめたい衝動に駆られるが、今や完全に復活
した強靱な理性でもってこれを押さえる。ここで騒げば彼女の位置は特定できるかもしれな
いが追いつめられたと逆上した悪漢が不条理な行動に出るかもしれない。
今のところ静かなこの旧校舎。わざわざことを荒立てる必要もない。
「まずは……」
焦る気持ちを抑えて春樹は最初に茶道部部室へ足を向けた。
確かではない視界ではあるが通い慣れた部屋ならば、荒らされているかどうかなど一目瞭
然。
そしてあの部室であれば誰かと争う羽目になっても地の利――以前、うっかり強く叩いた
戸棚から拳銃らしき物が射出された時は驚いた――がある。
なによりあの高野昌の管轄下だ。
たどり着いた扉の前で徐々に熱を帯びてくる指先をぐっと握りしめ、静かにそして最大限
素早くドアを開けた。
「……やはり誰もいないか」
扉の前に立ったとき、室内の人気のなさは伝わってきた。それでも少ない可能性を期待し
て広げた空間の先には無人の伽藍。弱々しい視力に活を入れ、部屋を凝視するも別に変わっ
た様子などこれ一つない。
テーブルと椅子にかけられた二組のコートと鞄を除いて。
「まだ暖かいな。そしてこっちはサラ君のものか」
じっくりと慎重に春樹はコートを検分する。手がかりになる物は特になかったが残ってい
た彼女たちの体温がまだ近くにいることを示している。
次いでそれぞれの鞄に視線を移す。緊急を要するとはいえ、さすがに他人の、それも女性
の鞄をあさることは、空気の読めないこの男でも幾ばくかの逡巡があった。
「…………」
しかし、それとて大事の前の小事。
万に一つでも彼女たちの身に何かあったとき、できうる行動をあえて制限したことに春樹
はきっと後悔をしてもしきれない程の自責の念に押しつぶされることになるだろう。
それは自らの精神的な保身だけではない。決してただの自己満足だけではない。
「義を見てせざるは勇なきなり」
春樹自身が座右の銘としているその論語は、彼のアイデンティティとも言える。助けられ
る者がいれば助ける。それが花井春樹という男の核心なのだ。
いらぬ苦労まで背負い込む、という幼なじみの評価は実に的を射ている。
ゆっくりと口内の唾液を嚥下し、鞄に歩み寄る。緊張のため震える指先を叱咤し、意を決
して春樹は秘密の花園へ指をかけた。
そのとき、突如異変が起きた。
破壊音ともいえる木々の割れる音。
決して風などによる軋みではなく、明らかに人為的に発生したであろう何かが壊れる音。
鋭敏になっていた春樹の聴覚はすぐさま音源の箇所を特定した。
「上かっ!」
やもすれば厭な想像しか思い浮かばない頭をクリアーにし、スピーディーかつサイレント
に春樹は無人の廊下を走る。
せつかれる体の手綱をしっかりと握り、なるだけいるかもしれない第三者に存在を知らし
めることなく両の足を動かす。
事態は思ったより緊迫しているかもしれない。
もしかすると彼女たちの身を守るために暴力を用いて事に当たらなければならない可能性
もある。
そのときどのような行動が望ましいか。
じわりじわりと熱を帯びてくる春樹の頭脳は一つの単語に思い当たる。
迅速。
彼女たちに危害が加えられるより早く、闖入者がこちらの存在に気がつくより速く、状況
が取り返しのつかないことになるより疾く、何もかもを終わらせる。
この場合の速さは純粋な力。そして日々の鍛錬はこのような時こそ力となる。
普段から人気のない二階にまで歩を進め一時停止、全周警戒。
人が存在している屋内というものは独特の気配がある。一階で感じなかったそれを春樹は
二階に来て確かに感じていた。
静まりかえった廊下は人気などかけらもないが、隣接する教室は複数ある。おそらくその
どれかに彼女たちは軟禁されていることだろう。
視界を閉ざし、全神経を聴覚と嗅覚に集中させる。
冷え冷えとしながらも緩やかな空気に伝わってくる僅かな音も聞き逃さずに、また漂う女
性の特有の匂いも一欠片も残さず吸い込み、春樹は分析し続ける。特に後者に力を注いだ。
鼻という器官は非常に曖昧なものでありながら、未だもって機械化が効かない特殊な器官
でもある。鼻という器官が顔面から突出しているのは、感知能力の質が耳や目よりも即断で
きるためだとも言われているからだ。
それが塚本八雲のものであればなおのこと。
念のためにサラ・アディエマスのコートからも春樹は匂いを覚えたつもりだったが、一つ
の匂いに集中した方がいいだろうと判断する。あの茶道部部室の状態から鑑みれば二人が行
動を共にしていると考えて問題はないからだ。
瞬く間の思考とスキャニング。次の瞬間、春樹の鼻と耳はほぼ同時に八雲の場所を探り当
てた。
自然と足が動く。
極力冷静を保とうとすればするほど体の芯は熱くなり、視野は狭まる。
いてもたってもいられない。がんがんと頭の中の警鐘は鳴りやまず、握り込んだ拳はじわ
りとかき始めた汗を包み込んでいる。
「このまま……かも……ね」
「……んな」
目標座標と睨んだ地点に近づくにつれ、声ははっきりと聞き取れるようになってくる。
今の声は確かに一年生二人のもの。はやる気持ちを抑えつけ、しかし速度を落とすことなく
等速をもって春樹は近づく。およそ目的地まで教室一つ分。
断片的な会話から推測するにやはり彼女たちは身動きがとれないようだ。つまりそれは彼
女たちをそのような状況に追い込んだ何者かが――
ぞくり、と不意に鳥肌が立った。
それは感知したためだ。前ばかりを見ていた春樹へ突き刺さる視線が、一つあることを。
位置は後方、距離はこれも教室一つ分といったところ。
とっさに春樹は近くの教室へ飛び込んだ。どっとわき出てくる汗を肌に感じ、駆け抜けた
悪寒で自らの醜態を叱りつける。
あれだけ第三者の存在を予期しておきながら彼女たちの所在が明らかになったやいなや、
すっかり周囲への警戒を怠り、相手の不意をつくどころか無様にも背後を取られる始末。
穴があったら入りたいとはこのことだった。
床板をきしませ、誰かが歩いてくる気配が徐々に彼我の距離を詰めてくる。
春樹がこの部屋に入ったことは間違いなく相手も気がついているだろう。故に奇襲は事実
上不可能になったということだ。
しかし、結果的に直接対決になったことに今は安堵すべきなのかもしれない。自己嫌悪と
混乱が収まった春樹の思考はそう結論づける。
この不審者の目的が何であれ、自力で身動きがとれない彼女たちを人質にとられるよりは
もう暫くすればやってくるであろう闘争を一対一で行える方が勝算は高い。
規則正しかった足音が不意に止まる。
隣の教室からは2-Cの教室で聞き慣れた、一年生の彼女たちとはまた異なる声色が聞こ
えてくるが今の春樹にそんな音を聞き分けている余裕はない。
ここに来て彼の頭脳はただただ相手を打倒することのみに動いていた。
足音から賊の数は一名、もしかすると別の場所にまだいるかもしれないがそれは追々倒し
た人物から聞いていけば済むこと。
あとはこの教室に転がり込みながら、ちらりと見えた武器らしきものを携行している相手
にどう立ち回るか。
再び、みしりという音が聞こえ始める。
飛躍していく思考を中断して深呼吸を一つ。後は出たとこ勝負。肝を据える。
先の先。
相手の姿が教室からの可視範囲に入ったその瞬間、春樹は力強く踏み込んだ。
全身を弾丸のように射出させ、向こうの想像以上の速度をもって肉薄し近接戦闘へと移行
する。
正体のわからない相手には正攻法こそが王道。
だが、ここ最近で一番と確信できる踏み込みは爆発的な加速を生み出すことがなかった。
肉体に感じたものは踏み抜く感触と一瞬の浮遊感。
まずいと思うのもつかの間、春樹の視界は暗転した。
次に春樹が気がついたときには、周囲はどっぷりと宵闇に包まれていた。
「なっ!? 僕は一体どうし――」
沸騰しかける思考を意図的にクールダウンさせてみれば、彼が置かれている状況は実にわ
かりやすかった。
まず暗い。
それはすなわちこの旧校舎に入ってから、かなりの時間が経過したと言うこと。
次に動けない。
これはがっちりと固定されている腰と若干の余裕があるものの似たような状態の腹部が、
今は胸の下に位置する床によってしっかりと固定していることを証明している。
一言で言えば床板と階下の天井に体がはまっているということだ。
そして最後に風景がぼやける。
朝起きたときに感じるこの視界は、単純に眼鏡やコンタクトレンズで視力を矯正していな
いためだ。
つまり花井春樹は現状、動けず、物もろくに見えない状態で、夜の訪れに目を覚ましたと
いうことだった。
「はっ! 八雲君! そうだ八雲君は一体どうなって!?」
じたばたと体を動かしてみるがよほど綺麗に体がはまっているらしく、自らの体重を片手
で支えることのできる春樹でもびくともしない。
「くっ! この! ぬぉぉっ!」
みしみしと聞こえてくる音は周囲の床板が彼の腕力で圧壊されていくもののみで、宙ぶら
りの足腰が上昇していく感触は数ミリとてない。
暫くもがき続けてみたが無呼吸運動を続けていた体が酸素供給を訴え始め、ようやく春樹
は脱力した。
「これは……困ったことになったが、そんなことより八雲君の安否だ。ああ、八雲君。君は
一体今どこで何を!」
どうすることもできない今の状況を理解すると、不意にこうなる直前の映像と音声が思い
浮かんできた。
諦観と悲哀のない交ぜになった彼女たちの声、忍び寄る侵入者の魔の手、隙をつかれた接
近遭遇、覚悟を決めて憤りの踏み足。
「そうか、僕はあのとき床を踏み抜いてしまったのか。しかし、むぅ……。八雲君の気配が
もうないな。確かにあのときまではあったというのに……」
動けぬ我が身を呪うより先に、ここへやってきた目的がすっかり消えてしまったことに焦
りと不安がこみ上げてくる。
隣室からはすっかり物音も消えて、夜の冷気は加速度的に室温を零下へと下げつつある。
一刻でも早い状況の打開が必要だ。
そこで問題。
この監禁状態からどうやって拘束を解くか、次の三つから選びなさい。
1.質実剛健、頭脳明晰な花井春樹は突如脱出のアイデアをひらめく。
2.教師、または他の生徒が見つけてくれて助けてもらえる。
3.一両日はこのまま。現実は非常である。
2。
思いついた三択だったが迷うことなく2を選ぶ。1はともかく3は論外だ。
だが耳をそばだててみても周囲に音源は全く存在しない。
なによりこの旧校舎へ突入したときに一度思考したように、今日はクリスマスイヴ。他の
生徒は既に下校したとみて間違いないだろう。
さらに教師陣だが、旧校舎を管轄とする教師は春樹の知識からは二人。物理教師の刑部絃
子教諭と美術教師の笹倉葉子教諭である。
そしてこの二人の授業を受けている人間ならば誰でも知っていることだが、前者は時間外
労働を悉く拒否し、後者は美術関連以外ではかなり気まぐれな人物である。
加えて本日、ちらりと視界に入った彼女たちにあてがわれた職員室の机を見る限り――
「スノボ旅行へ行ってきます。おみやげ期待していてください」という張り紙があった――
奇跡が相乗的に起きなければ、この窮地の救い手にはなりそうにもない。
「やはり答えは、1しかないか」
はぁとついたため息が白く霞む。体感温度ではまだ大したことがないと思っていた室内の
温度は春樹が想像していたものよりも数倍早く下がっていた。目に見えて寒さがわかった途
端、敏感に反応を示す肉体に思わず自嘲が漏れる。現金なものだ。
「さて、どうやってこの窮地を脱するか……」
思考すること暫し。存外にあっさりと脱出案は二つにまとまった。
その一。一階天井部にあたり、もっとも体を固定している腰の部分の板材を破壊して下半
身を二階へと引きずり上げる。
その二。まず二階床板にあたる腹部回りの板材を破壊し、腰を固定している状況を観察で
きるようにする。その後は感触からしてベルトを外し、ズボンを脱げば全身を二階に引き上
げられそうだ。
「……どちらにしろ壊さなければダメか」
先ほど藻掻いてみたときに板材の強度の程は知れている。勢いづけることなく腕や足の筋
力のみで破壊は可能だ。
しかし問題はこれが立派な器物破損であり、使われていない二階はともかく一階部分の天
井に穴など開けておけば「あの」高野昌と刑部教諭がなんと言ってくるかわかったものでは
ないことだ。
誰がやったかわからないだろう、などと真相の迷宮入りを期待するほど春樹は愚かでも卑
しくもない。
冬休みという休暇期間は何事もないだろうが、休み明けには確実に捜査の手が喉元まで迫
っていることだろう。
第一、不正を正さずにいられるほどこの男は自らを欺けない。
「……よし! 覚悟は完了した。元はといえば僕の不始末。高野君に借りを作ることだけは
できれば避けたいが致し方あるまい!」
ふんと一つ鼻息を吹き、眼下の床板に狙いを定める。
春樹は勢いよく自分の肘を叩きつける、その直前でぴたりと動きを停止させた。
そしてゆっくりと周囲の床板を押し、軽く叩く。
壊すつもりで振り上げた手だったが、突如走った厭な予感に感謝すべきか、ひとしきり調
べられる範囲で調べた床板の状態に春樹は閉口するしかなかった。
「この音と感触……脆すぎる。床板が腐っていたのはこの部分だけじゃなかったのか……」
隣近所が工務店という環境は伊達じゃない。
道場の修繕や周防組の応援などで木材に接する機会は、この年齢の平均かつ一般的な男子
よりずっと多い。
一見するとわかりにくい、この教室の床材も春樹の観察眼まではだましきれなかった。
だが、その観察眼も今はなければ良かったかもしれないなどと考えてしまう。
春樹の周囲全体の床板が腐っているという情報は、つまるところ先ほど考え出した脱出案
が事実上不可能になってしまったということを示している。
体をこの穴から抜き出したところで二歩目を踏みしめる床板が踏み抜けてしまうのであれ
ば、元の木阿弥。
そうやって同じことを繰り返せばいずれは、ゴールである出入り口まではたどり着けるだ
ろうがその道程は凄惨な光景を残すこととなる。
では発想を逆転させて、壊した穴から階下へ降りるのはどうだろう。
天井から床までの高さなどせいぜい2メートルと少し。三点着地などを用いずとも、その
ぐらいの高さであれば軟着地も可能だ。
結局どちらであろうともプロセスは大して変わらない。体を自由にさせるだけの破壊は必
要不可欠だ。
それを前提に置き、上がダメなら下という安直思考を再度検討してみること暫し。
反対する意見は生まれてこなかった。意外と名案かもしれない。
ただし、この真下に何もないと保証されているならば。
「確かこの下は茶道部部室ではなかったはずだが……」
旧校舎は部室棟というわけではない。
茶道部のような一部の文化系の部活と美術担当の笹倉教諭が部屋として利用している他は
基本的に空き部屋である。
けれども空き部屋とはいえ、教室内にはぽっかりと何もない空間が存在してはいない。使
われていない教室の有効利用といえば物置が定番。
ましてや人の出入りが少ない旧校舎には古めかしい遺物が、これでもかとばかりに寄せ集
められている。高価なものはさすがにないだろうが、かといって落下の際踏みつぶしてもよ
いものばかりとは限らない。
またそういった保管物が全て安全なものとも言えない。たとえば剣山や彫刻刀、ガラスや
貴金属などがあれば無傷での着地はきわめて困難になる。
「…………」
記憶を掘り返しても階下の情景は一向に描けない。茶道部部室でないことは確かだと思わ
れるが、考えれば考えるほど下の部屋への着地は危険極まりなく思えてくる。
見えない、わからないという状況下は人間をよりいっそう不安にさせる。いわば目隠しを
して階段を下りるようなものだ。もちろん一段一段探りながら足を運べる分だけ階段の方が
マシなのは言うまでもない。
「……這い上がることもかなわなければ、降りることも危うい。つまり……」
……3。
……三。
……参。
3!
考えまいとしていた最後の選択肢が脳裏を占める。
途端に体感温度がぐっと下がった。雲間から差した解決への糸口があれよあれよという間
に霞んで見えなくなっていってしまう。
変わりに凍てついたツンドラの大地が心象風景として広がっていく。
この男の未矯正の両目では確認できない窓の外の風景が、皮肉にも今の春樹の心とリンク
していた。
せめてこの場に携帯電話があればと思ったのはもう何度目だろうか。
模範生徒の体現者と自己評価する春樹は、学校内では携帯を持ち歩かない。鞄に入れてお
くぐらいが彼の中での規律と利便性の妥協点だった。それも電源を切るか、無音、無振動の
マナーモード設定がデフォルトである。
まさか校内でこのような事態に陥るとは露にも思っていなかった。それは言い訳にすぎな
いとはいえ今はその自分らしさが逆に口惜しかった。
確かに感じ取れる寒気は、体感温度というレベルでは誤魔化しきれない気温の低下を如実
にしている。登校する前に得た気象予報を鵜呑みにすれば午後から曇り、ところにより雪と
なるらしい。この寒さを前にすればその予報はきっと正確なのだろう。
さて、雪の降るような一夜を雨風がしのげる空間にいるとはいえ、耐寒用の装備もなく無
事過ごすことができるだろうか。また、多少とはいえ圧迫され続けている腰回りや、宙ぶら
りの両足に一泊という環境は大事はないだろうか。
泥中にずぶずぶとはまり込んでいくネガティブな思考が、春樹からいつもの即断即決の判
断能力を削り始めていた。
普段の春樹ならリスクを負ってでも血路を開いたことだろう。
そのリスクを最小にする程度の技術と体力はつけていると本人も自負している。悩んだと
しても僅かばかり。
だが、この男の胸中にはわだかまりがあった。
一つは助けるつもりで駆けつけた塚本八雲を目にすることなく、行方不明にしてしまった
こと。
もう一つは熱くなりすぎて、不覚にも何者かに背後を取られ、挙げ句の果てにこのような
事態に陥ったこと。
いつも満ちあふれている自信はこの二つの出来事で大きく揺らいでいた。
ぼーっと間近に迫る床板に視線を落とす。
何が間違っていたんだろうと自問するも、答えは見つからない。正解がないと思いたくな
いが、あったとしてたどり着けたとも思えない。至らなさばかりが浮かんでは、頭の中で体
積を増していく。
ちらちらと視界の隅で何かが光るが、そんなものに興味も沸かない。
脇に置いていた自己嫌悪が手持ちぶさたとなった春樹を責め苛んでいく。
それはまるで拷問のようだ。感覚をそらすことさえ許さない責め苦が、この何もない教室
に満ちあふれている。無音、無器物、無人の空間を満たすという矛盾こそが今の春樹には何
よりも精神を磨り減らしていく材料となっていた。
がた、という物音が聞こえたときすらこの男の反応は緩慢だった。
焦点は定まらず、意識も混濁し、熱を奪われつつある体は、これから訪れる零下の夜をや
り過ごすために半ば休眠状態へと入ろうとしていたからだ。
だが音に続く、網膜を焼くような刺激の光には流石に無反応ではいられなかった。
手で瞳を庇いながら、光源と思わしき箇所を凝視する。
救助が来たという発想はなかった。
「……はない、君?」
その声を聞いてなお、春樹の思考は半信半疑だった。
「はっはっは、いやー助かったよ結城君」
先ほどとはうってかわって、大いに笑い、元気よく礼を述べる目の前の人物を見て、よう
やくつむぎも人心地ついた。
場所は変わらず無人の、いや正確には「ほぼ」無人の旧校舎だが、森々としていた空気は
ここ、二人が座る一階の階段を中心とした半径5メートル程からは霧散している。その原因
は目の前で美味しそうにコーヒーを飲み干す学ラン姿にあった。
つむぎが春樹を発見したとき、実のところ奇妙な確信があった。
天井から足を生えさせるような男を想像したとき、有象無象の例外なく花井春樹の名が彼
女の脳裏に弾き出されていたからだ。
理由など言うまでもない。聞かれればこう答えるだろう。
「他に誰がそんな珍事を行うというのか」
直感とか勘等と言われる類はほとほと自信がないが、この推理にかけては他の追随を許さ
ない、信じて疑わない何かがあった。
「ふむ。やはり、当然というか勝利の鍵は2だったな。これも日頃の行いか」
つむぎにはよくわからない口上を述べ、勢いよく二つ目の缶コーヒーのプルトップに指を
伸ばす姿は微笑ましくもある。
「暖まった?」
「見ての通りだ!」
今でこそ感謝と親好の笑顔を惜しみなく向けてくる春樹であったが、二階で発見された後
の顛末は文字通り上を下への大騒ぎだった。
様子を確かめようと近づこうとしたつむぎにまず一喝。
それも追い返すかのごとき形相と真剣さ。事態の飲み込めていない彼女は途端に意気を消
沈させかけるも、慌てて入った春樹のフォローが功を奏した。
巫山戯た見た目と違って危機的な状況にあることを概ね理解したつむぎは、与えられた指
示を彼女流に解釈して、春樹の足下にあたる階下の教室を片づけて着地場所を確保したのだ
った。
「でも何であんなところに」
「それはこちらの台詞でって、しまったぁ!」
「え、え?」
飲みかけのスチール缶をべこりと握りつぶし、突然春樹は大声を上げて立ち上がった。
かと思えば、頭を抱え込みぶんぶんともの凄い勢いで振り回す。コーヒーがまき散らされ
ないことから見て、その缶の中身は殆ど胃袋へ収納してしまったのだろう。
「結城君!」
「は、はぃ……」
がしりと肩を掴まれじっと瞳をのぞき込まれてしまい、思わずつむぎも身を固くする。
「八雲君、1−Dの塚本八雲君を見かけなかったか!」
「……は?」
「僕がいた隣の教室は!?」
「一応……見た、けど。穴しかあいてなかったよ」
「穴ぁあ!」
裏返った声がこだまする。
信じられない出来事を初めて耳にしたような驚愕の表情で一時停止したかと思えば、春樹
はすぐさま階段を駆け上っていった。
止める間もなくその姿は踊り場から階上へと消え、あわただしい足音は徐々に遠くなり、
そしてぴたりと止んだ。
つかの間の静寂があたりに再び戻ってくる。
その間僅か10秒あるかどうか。今度はその力強い走行音がどんどん近づいてきた。
「……おかえり」
「下は!? 教室の下は見たのか結城君!」
「えっと、何かマットが置いてあった、かな?」
「マットぉぉ!?」
驚いているのか、喜んでいるのか、悲しんでいるのかその声から察することはできない。
ただ、つむぎの一言を受け、とんぼ返りをしてきた春樹は再び両の足に鞭を打つ。停滞し
ている空間を切り裂き、破竹の勢いで彼は自身が着地した教室を過ぎ去っていた。
ゆっくりとつむぎも立ち上がる。
ちらっと腕時計を見ると旧校舎に入ってから結構な時間が過ぎていた。
花井春樹救出作戦に本格的に移行する前に、あらかじめ友人二名に安否確認を兼ねたメー
ルをしたためているため、捜索願が出される心配はないだろうが、あまりに遅くなりすぎる
のも気がかりを作ってしまう。
そろそろあの屋上へ戻るべきだ。
結論は決意となり、彼女を動かす動機となった。不思議とここに入ってきたときの厭う気
持ちがなくなっていたことに、数歩歩いて彼女は気がついた。
確かな足取りで出口を目指す。
片手にはライト、空いた手には空き缶が二つ。寒々しかった廊下の空気も今はどこか暖か
く感じられる。気の持ちようとはよく言ったものだ。
歩数にして100も数えないうちに、つむぎは空き教室の前で悩んでいるような格好の男
を見つけた。
「そうか! 八雲君達も僕と同じような状況下に陥っていたのか」
「そうみたいだね」
「おお、結城君。……って何故そのことを! 君はエスパーか?」
エスパーとはまた古い。そうは思ったがつむぎは黙ってポケットから一枚の紙を取り出し
た。
それはノートを1ページ破った紙片で以下の文章が綺麗な字で明記されていた。
高野昌、塚本天満、塚本八雲、サラ=アディエマス。
上記四名は何事もなく既に帰宅しました。
この箱の中に入っているものが必要なら使ってください。礼は結構です。
茶道部部長、高野昌。
「……ぐ、おのれ高野昌。知っていて僕を見過ごしたというのか……」
眼鏡がないためか、舐めるように文字を追って目の前の男は悪態をついた。
「どうなんだろうね、だってあそこで動けなくなったのは花井君が原因でしょ」
「いや、確かにそうだが……」
「それにあの高野さんが旧校舎の戸締まりを失念するかなぁ」
「むぅ……」
「私がここにいるのも、通用口が開いていたからだし。誰かが助けに来てくれることまで考
えていたのかも」
「君まで高野君の肩を持つのか!」
最後の一言は若干涙声のように聞こえたつむぎだったが、彼の名誉のためにもそれは言及
しなかった。
かわりに一言。
「あの教室ね、閉まってたんだ」
「あの教室……僕が引っかかっていた下の教室か」
「そう、鍵がかかってた」
つむぎはそこまで言って歩き始めた。
目指す先は通用口、百の言葉を持って説明するよりこの男にはこれといえる根拠を示した
方がいい。
「結城君、どこに行くんだ」
「いいから、ついてきて」
「話はまだ終わっていないのだが、そもそもこの紙は一体どこで」
先導を切って歩くつむぎを追い縋るように春樹は後をついて行く。なんだかその様子が酷
く滑稽で、気づかれないように笑みを殺す。なんだか気分がいい。
「ここよ」
「……教員準備室。もとい茶道部部室じゃないか」
「ほら」
「む、これは……」
茶道部部室の扉は施錠されていて開けることはできなかった上に、扉の前には進入を害す
るように椅子が鎮座していた。その上には見慣れない直方体が置いてあり、唸るようなモー
ター音を発している。低音を発する箱から伸びる黒いコードは扉と床の僅かな隙間へと吸い
込まれていた。
「保温機か」
「よくわかったね」
「似たようなものが道場にあるんだが、些かサイズが小さいな。これでは大した物が入るま
い」
「その大した物がこれと……これ」
保温機を見つめる男につむぎは空き缶二つと、ポケットから取り出した鍵を手渡した。
「なるほど、流石結城君と思っていた種明かしは」
「そ、ちゃんと準備がしてあったのです」
合点のいく回答に気が紛れたのか、両手に合計空き缶三つと鍵を押しつけられたことにも
気づかず、春樹はしきりに頷いている。もしかすると、これを準備してくれたであろう茶道
部部長に感謝しているのかもしれない。
そういうところは単純だなとつむぎは思った。
さすがという評価も嬉しいような気恥ずかしいような、けれど少し残念という複雑な気分
だったが悪い気持ちはしなかった。
「ここに来たときはメモだけ読んで気にしなかったんだけどね。意味がわからなかったし。
花井君が泣きながら助けを求めてきたとき、初めてこの奇妙な箱の真意がわかったの」
「結城君、僕は泣いてなんていないぞ」
「そうだった?」
「そうだ!」
「暗かったからよくわからなかったなぁ」
「いや、はっきりさせておこう! 男、花井春樹。あの程度の窮地で涙など流さん!」
気迫十分でそう宣言する姿に思わずつむぎは吹き出した。
電灯一つない部屋なのだから、相手の表情まで遠目では観察できないと言う事実に彼は気
がついていない。からかう側の気持ちとはこういうこそばゆい高揚感のことだったのか。
今日は新しい気持ちによく気が付かせてくれる日だ。
「むしろ言わせてもらえば、君の方こそ泣きそうな顔だったぞ!」
「え……」
「そうだ、何かあったんじゃないのか? だから君はこんな時間にこの旧校――結城君?」
核心を付かれたつもりはなかった。だから表情も変わっていないと思った。
客観的に見ても、当時のつむぎは別段、瞳に涙をためていたわけでもなければ、頬を雫で
ぬらしていたわけでもない。
だが、その一言はつむぎの心に一つの楔を打ち込んだ。
春樹は今眼鏡をかけておらず、また所作から見てもコンタクトレンズをはめているとは思
えない。つまり、いつかの自分のように彼もまた周囲がよく見えていないはずだった。
さらに、ついさっき思ったではないか。あたりは暗くて相手がよく見えないと。
導かれる事実は一つ。
見えないというのにこの男は、彼女自身でも見えない何かをはっきりと見たのだ。
「いや、すまない。無配慮だった。許してくれ」
「ううん、何でもない。こっちこそからかってごめんね」
三度静寂が訪れる。歓談は突然の終焉を迎えた。
思えばつむぎにとっては過ぎた偶然だった。
屋上で揺さぶられた心を静めるために、ふらりとやってきた旧校舎でその原因たる人物と
遭遇し、こうして短いながら二人だけの時間を共有できた。
遠すぎる、光年を感じさせた彼我の距離がこの一瞬だけは、手を伸ばせば届く範囲まで縮
めることができたのだ。恰幅のいい赤い服のご老輩に感謝こそすれ、愚痴をこぼすことはな
い。
「いこっか」
「ああ」
僅かに重みを感じる空気を引きずりながら、つむぎは歩き始めた。
ぱちりという音が背後で聞こえる。
振り返ってみてみれば、春樹が保温機の電源を落としていた。こういう見えない細やかさ
が彼の魅力なのだが、本人がそのことに気が付いていないことが最大の不幸だった。
廊下と通用口の窓から見える中庭はしっかりと白化粧がされている。積雪は免れないらし
い。
屋上に設置したままの機材が気になったが、そこはレンズつながりのクラスメイトが回収
しているだろうと高をくくった。彼にはそれだけの労働を課しても問題ない貸しがある。
掴んだドアノブの冷たさは、保温機で見つけた鍵の熱さとは真逆だが思わず手を離してし
まいたくなる衝動は一緒だった。
予想以上に外の寒さは厳しいものになっているようだ。
気を取り直して、扉を開ける。
そこは無音の世界だった。
「どうかしたのか」
「……花井君、今、外がどうなってるか見える?」
扉を開けたかと思えば、すぐさま閉じて意図の読めない質問をしてくるつむぎに、春樹は
眉をひそめた。
「どうって、眼鏡がないからよくはわからんが白くなっていることはわかる。雪が積もって
いるのか?」
「そっか……。うん、やっぱりそうだよね」
「結城君?」
一人納得する彼女にはさっき垣間見た悲愴を思わせる表情は感じられない。それどころか
何かしらの覚悟を決めたような潔さが感じられる。はっきりと相手の表情が見えない春樹は
感じたままを信じるしかなかった。
「さっきの答え。あたり、だけど外れ」
「言っている意味がわからない。説明してくれ」
「じゃあ、まずは目をつぶって」
「目を?」
「うん」
言われたとおりに目をつぶる。不用意な一言が目の前の女性を傷つけたと思っているこの
男に拒否する選択肢は存在しなかった。これで許してもらえるとまでは思っていないが、命
の恩人とも言える彼女に礼を失したままでは、自分自身が許せない。
「じゃあ手を、あ。空き缶どうしよう……」
「空き缶があると邪魔なのか?」
「いや、うん。まぁいいか。とりあえずここに置いておこう」
両手に持っていた空き缶が一つずつその手を離れていく。
こん、こんと小さな音を立て缶はどうやら廊下の片隅に一時保管されたようだ。
「それで僕はどうすれば?」
「……右手を出して」
言われるままに右手を出す。
二階にいたときは他人のような感覚になっていた指先も、コーヒーと手を握ってくる彼女
のおかげで、今ではすっかり元通りに血流が走っている。ありがたいことだ。
彼女の行動とコーヒーの礼はやはりきっちりとしなければならないだろう。
春樹はその感謝の念を心に深く刻み込んだ。
「ドア、開けるよ? 足下に注意してね」
「承知した」
柔らかな手に導かれて、介護を受ける人間のように旧校舎と新校舎をつなぐ短い渡り廊下
へと足を踏み出した。
足下の感触はフラット。ひしひしと伝わってくる冷気だけが雪景色を想起させてくれる。
「花井君って背、高いね。何センチ?」
「183。ちなみにまだ成長中だ」
「20センチも……。うーん、どうしよう」
足音とつながれた手の動きから彼女が停止したことはわかるが、最終目的が未だに読めな
い。目をつぶる指定をされたと言うことは何か見せたいものがあるのだろうか。
考えてみるが何も思い浮かばない。だいたい、何故彼女がこんな夜更けの旧校舎にやって
来たのかすら春樹は知らされていなかった。考えるだけ無駄というものだ。
「……がんで」
「む、聞き取れなかった。済まないが、もう一度言ってくれないか結城君」
「かがんで、って言ったの。あと……ちょっと上を向いて」
思案という妄想の中でも現実の秒針は進み続けている。没入しかけていたために聞き逃し
た今度のオーダーは屈伸運動だった。
音声認識ロボットのように春樹は指示に従う。あの脱出劇で飛ばした指示とこれで一応の
清算は付くなと考えるほど手持ちぶさただ。
つむぎの手が離れる。暖かかった掌に周囲の冷たい空気が流れ込んできた。
こうなると繋がれていた手が惜しいと思ってしまうが、流石に面と向かってそんなことは
この朴念仁でも言えなかった。女々しいという自己叱咤でその考えも消し飛ばす。
不可思議な一連の指図だったが、疑問も不満も上げずに付き従った男の顔に、不意に異物
の感触が伝わってきた。
もういいよ、と開眼の許しが出て春樹はゆっくりと目を開いた。
「これは……」
「度、合うかな? 花井君もかなり近眼みたいだから大丈夫と思ったんだけど」
真横から聞こえるつむぎの声も今は遠い。
春樹の眼は久方ぶりに焦点のあう、その夜空を凝視して離れなかった。
「……星が、降ってきているようだ」
「…………」
しんしんと積もる雪は、しかし満天の星空から降り注いでいる。天文や気象に関しては素
人の春樹にはその理由まではわからない。
ただその様子を彼は一言で表した。星が降っていると。
「星って、遠いよね」
「…………」
「ずっと大昔から、星は遠いものの象徴でもあったんだって」
だから昔の人は星同士をつなげて意味のあるものにしたり、指標にしたり、死んだ人が星
になったと考えていた。
隣で同じように空を見上げている彼女はゆっくりとそう語り始めた。
「流れ星や彗星が吉凶の兆しとなるのは、変化することのない星に動きがあるからなの。自
分たちの手ではどうすることもできない。遠い遠い星の動き……」
「遠い……星か」
天文学的数字と揶揄されるように、星々の距離は感覚として理解できないほど離れている
ことが常だ。光年という単位でさえ小さいという。
春樹の持ちうる知識でもそのことはわかっていた。
「でも人々は夜空に星を求めるの。一度でも空を仰いで、星の煌めきを見た人は必ず。何も
ない、真っ暗な空だと寂しいから。遠くでも見つめていたいから」
聞こえてくる声は酷く落ち着いたものだった。好きなものを語る人間は、とかく熱っぽく
語るものだが、彼女の声はどこか他人事のように聞こえる。
それが何を意味するのか、春樹には皆目見当が付かなかったが、彼女が同意を求めている
訳ではないことだけは理解できた。
「そうだな、星の瞬きがない夜空は確かに寂しい」
「……うん」
「だが」
春樹は一歩前進して、屋根のある通路から中庭へと歩み出した。
「今日の星はこんなにも近い」
「ぁ……」
広げた右手にころころとした雪の結晶が落ちてくる。溶けては消えて、また落ちてくる。
春樹の行動はどこにでもある雪景色の、どこにでもいる雪を楽しむ人のしぐさだった。
「ほんと、花井君は凄いな……」
「……おだてても何も出てこんぞ」
「ふふっ、なーんだ残念」
にこりと微笑むつむぎの顔は、今までの春樹の人生で、一度も見たことのなかったものだ
った。
それは雪の魔力か、自分のものではない眼鏡のためか、はたまたそれ以外の何かか。
儚い美術品のようなそれでもなく、安心と元気の固まりのようなそれでもない。全く未知
の何か。
そんな思案をよそに、ちらりとつむぎは腕時計を見た。
「ちょっと時間早いけど、メリークリスマス。花井君」
「ああ、メリークリスマス…………あぁ、そうか。今日は――」
「うん?」
ようやく春樹には魔法の仕組みがわかった。
今日は奇跡の日の前夜だったのだ。
時期はずれも甚だしい話でしたがいかがだったでしょう?
意見、感想などがあれば是非とも書き込んでください。
花井の旧校舎での奮闘が長すぎる気がする。
全体的にも、もっとスリムにできるんじゃないだろうか。
旧校舎から2人が出るところの件は良かった。
なんにしても久々に読み応えのあるSSが読めて良かった。
長編、乙かれ。
もうちょいまとめた方がいいな、
読み応えがあるというよりも冗長さを感じてしまった。
長編お疲れ、次も期待してます。
書き慣れてる人のようなのであえて苦言を
文体が余りにも洗練されていたせいか、逆にスクランの世界観に合ってない気がした
更にその硬めの文章にパロディネタが盛り込まれたり、少々ちぐはぐな感も否めない
話の時間軸以上の長さを感じてしまったのも、過剰に丁寧過ぎたんだと思う
キャラ心理を語って感情移入してもらいたいのは分かるけど、その描写が多く、また長すぎた
長いだけで内容がツマラン。
ただの独り善がりだな。
ま、ご苦労さん。
GJ
文句言いつつみんなちゃんと読んでるw
どこか遠く、聞こえるはずもない友人の声が聞こえたような気がして、
高野晶は読みさしの本から顔を上げた。
「どうかしました?」
訝しげに声をかけてくるサラ・アディエマスに、別に、と答えてから、
軽く耳をすませてみる晶。
けれど、もはや先の怒声にも似たそれは聞こえない。辺りに響くのは、
こぽこぽと沸騰を知らせるケトルの音色だけ。一種隔離されているとも
表現できる旧校舎は、静寂が大部分を占める場所である。
「……」
それでも、窓の向こうに広がる遠い黄昏と、ちょうどよい頃合いを
知らせる時計の針に、口の端に小さな笑みを浮かばせる。
気のせいだったけれど、気のせいではなかった。
そんな意味を込めて。
「わ、先輩が笑ってるところ、久しぶりに見ました」
そんな彼女に対し、ともすれば失礼な台詞を当たり前のように言って
のけるサラ。しかし、それは同時に彼女の裏表のなさをも示している。
だからこそ、かもしれないわね、と返す晶の声にも棘はない。
「でもどうしたんですか? なんだかずいぶん嬉しそうでしたけど」
「嬉しそう、か」
ふ、ともう一度笑みを浮かべてから、軽く瞳を閉じて。
「昔の人はいいことを言うわね」
謳うように呟いた、その心は――
さて、時は遡る。
「かったりぃ……」
昼休みの喧騒の中、一人机に突っ伏しているのは誰あろう、播磨拳児
その人である。あからさまにも過ぎるほど、負のオーラじみた彼の姿だが、
どこか熱に浮かされたようなクラスの雰囲気は、あっさりとそれを打ち
消している。
故に、こんな投げやりな言葉も誰にも届かない。
「……なにがバレンタインだっつーんだよ」
そう、本日この日は2月の14日、クリスマスに並んで天下分け目の
決戦日、バレンタインデーなのだ。クラスはおろか、校内全体さえ包む
熱気の何をか況や、である。
当然ながら、告白なんていつでも出来る、なにもイベントごとに便乗
する必要もない……のだが、そこはやはり気分の問題。踊る阿呆に見る
阿呆、同じ阿呆なら、の論理だ。
そしてもちろん、本来ならば『乗りやすい・乗せられやすい馬鹿』の
見本のような拳児であれば、あらぬ期待に望みをかけて、一日千秋の
思いで迎えた今日、となるはずだったのだが。
「……けっ」
どうにもご機嫌斜め、のご様子である。原因はといえば、こちらも
言うまでもなく、気になるあの子――塚本天満のせいだ。
勢い余って思いを告げてしまったあの日。けれど、彼に対する彼女の
態度はあれから取り立てて変化していない。面と向かって否定されること
に比べれば、精神的打撃ははるかに少ないものの、それは裏を返せば
『気にするまでもない』なんて、ダメージ二倍の解答さえ想定される。
その上で、チョコが貰えるかもしれない、あまつさえ告白も――などと
考えられるほど、彼とて脳天気でもない。馬鹿は馬鹿なりに、成長もする
のである。
「やっぱ来なきゃよかったぜ……」
視界の端に、恥ずかしそうに、でも嬉しそうに、烏丸大路になにかを
手渡そうとしている天満の姿が入りかけて、慌てて瞳を閉じる。分かって
いても嫌なものは嫌なもの、さりとて他に行く場所もなし――保健室は
さらなる厄介ごとを抱え込むことになる、と本能的に拒否――意識を
とっとと断ち切るべく、拳児は眠りの底に落ちていく。
『出席日数くらい稼いでおくんだね』
その淵で思い返すのは、よっぽど休もうかと思っていた自分を、学校
へと向かわせた刑部絃子のそんな一言。
――そうだ、全部アイツが悪い。
責任転嫁を最後に、彼の意識は眠りに落ちる。だから、その後で絃子が
口にした言葉を思い出すことはない。
曰く。
『君にだっていいことの一つはあるかもしれないよ』
そして時計の針はくるくると回り、午後の授業をこれ以上ないくらいに
完全無欠にぶっちぎった頃、ようやく彼は目を覚ます。ん、と伸びをした
視線の先には、遠い遠い夕焼けの空。さすがに寝過ぎたか、との思いが
頭をよぎる。
「うん?」
と、そこでようやく、今まで自分が伏せていた机の上、ちょうど頭の
横のわずかなスペースだったところに、申し訳なさそうに置かれている
小さな袋に気がつく。
はて、自分はこんなところになにかを置いていただろうか。というか、
もしかしてこれは――
「ッ!!??」
とある可能性に遅まきながら辿り着き、慌てて周囲を見回す拳児。右よし
左よし上よし下よし異常なし。取り乱してあらぬ場所さえ確認してしまった
が、ともあれ辺りに人影はない。
ひょっとしてこれはもしかして。
そんな考えが浮かぶ。いや待て落ち着け世の中そんなに甘くない、なんて
抑止の声は――当然ながら聞こえない。
何故なら。
結局播磨拳児は播磨拳児だからである。馬鹿なのだ、やはり。
だから、宛名のないそれは、彼にとっては天満からのプレゼントと解釈
される。もっとも、彼からしてみれば、他に貰えそうな相手など思い浮かば
ない――塚本八雲さえ、彼の中ではそんなことをしてくれるとは思っていない
相手だ――のだが。
「……食ってもいいよな」
返事などあろうはずもない言葉を呟いてから、恐る恐る取り出したそれを
口に運んで――
「――不味い」
「失礼でしょう!? このヒゲっ!!」
「んなっ!?」
心の底からの感想をもらした瞬間、教室の入り口から怒声が飛んできた。
怒り心頭、怒髪天をつく、の言葉を体現するように現れたのは。
「……お嬢?」
そう、沢近愛理その人である。何故彼女がそこにいたのかであるとか、
そんなことを訊くのは野暮という他ないのだが、もちろん誰かさんは
露ほども気づかない。
「お嬢、じゃないわよ! アンタね、それを作った人に対して失礼だとは
思わないの? どれだけ苦労したのかも分からないのに、」
「あん? そりゃそうかもしれねぇけどな、お前にゃ関係ねぇだろ」
「……それはそうだけど」
そしてやっぱり、余計なことを言ってしまうのである。
「それともあれか、まさか……お前が」
「そんなわけないでしょう!? だいたいね、どうして私が――」
「だったらいちいち噛みついてくるんじゃ――」
売り言葉に買い言葉、ある意味でいつものように、二人の会話とも
呼べない会話は加速していき――
――そんな、聞こえるはずもないやりとりを思い浮かべつつ、晶は
謳うように呟く。
「『ケンカするほど仲がいい』」
どこからどうやってその言葉が出てきたのは、まるで脈絡が掴めず
ぽかんとした様子のサラに、ただの独り言よ、と小さく肩をすくめる。
それは、例えば沢近愛理が珍しく――むしろ、晶でさえそんな愛理を
見るのは初めてだ――手作りのチョコレートをこっそり持って来ていた
だとか、そんなことを知らなければ出るはずもない言葉。
天の邪鬼で、ひょっとすると自分でさえどうしてそんなことをしたのか
分かっていないかもしれない友人のことを思い、晶の顔に苦笑じみた笑み
が浮かぶ。
「先輩の近くにはそういう人たち、いるんですか?」
そんな彼女に、よく分かりませんけど、と前置きしてからサラが尋ねる。
「ええ」
答える晶の脳裏に浮かぶのは、言うまでもなくあの二人の姿。
「本当、いつ見ても怒鳴り合ってばかりいるようだけど」
そう、あと何年かすれば。
「――いい友達になれるんじゃないかしら」
ありえないような、それでいて一番可能性の高い未来を口にして、晶は
再び読みさしだった本に目を落とす。
遠く、どこか微笑ましいやりとりが、もう一度だけ、聞こえたような
気がした――
以上お茶濁しでした。
スルーしつつもっとまともにバレンタインしている作品をお待ち下さい。
テンプレ通りの旗ss乙。
この後も続々と似たようなテンプレssが垂れ流されるんだろうな。
毎年毎年飽きもせずによくやるね、感心した。
デレがあれば完璧
>>283-328 ちょっと話の切り替わりが分かりづらかったです
でも虹はあまり見る機会が少ないので眼福でした
すまん。
正直途中で挫折した…
348 :
329:06/02/14 16:24 ID:pVBtjkpY
ありがたい言葉の数々、痛み入ります。
>>332の人に聞きたいのですが
自分の文章のどこから「書き慣れてる人」と感じたのでしょうか?
差し支えなければお答えください。
本当に無駄に長い文章になってしまったので、絞り込みは必須課題だと
自分でも思いました。
最後まで読まれた方々、お疲れ様でした。
また、途中で挫折された方もお疲れ様です。
次回があれば、今回の反省を生かした文章を書こうと思います。
重ね重ね、本当にありがとうございました。
誰か23,24,25スレのログ持ってね?
ぶっ飛んで全部消えた
>>341 普通に読みやすかった。
でも展開の起伏が中途半端だなと感じた
>>342 決して旗のテンプレ通りの展開ではなかったと思うよ。
それにテンプレ通りの話がきたとしても面白くなるかは作者の腕しだいだよ。
2日遅れだけど、バレンタイン旗SS投下していいー?
と宣言して2時間が経とうとしています。
最近の本編がどうにもアレだから二次創作は頑張ってほしいなあ
某サイトで突っ込まれてたんだけど
沢近「次はお互い彼氏と来れるといいわね!」
周防「天満が一番可能性あるしな!」
これおかしくね?
お前作者の異常なまでのプッシュで付き合ってる奴の事はどうしたの……
「…どうしよう」
思わずこぼれてくる言葉
「どうしたの、愛理?」
やっぱりするどい晶には分かっちゃうか
でも、私は無理に隠し通そうとする
「何でも…ない」
間を明けたのがまずかったのか
意味ありげな笑みを浮かべて、晶は話しに戻った
此処にいるのは晶だけではない。天満、美琴もいる
みんな遊びに行ったで盛り上がっているのに、私だけ話しについて行こうとしない
いや、ついていく気になれないのかしら?
何故かというと――――――
――――――――今日は、バレンタインデーだから。
今日こそは、今日こそは、彼に思いを伝えよう
何度そう思った事か。手作りのチョコも作った
彼は喜んでくれるだろうか
――――大丈夫。彼はおにぎりも食べてくれたんだから
――――大丈夫。彼はやさしい人だから
――――きっと…大丈夫…だよね
いいようのない不安を押し出すように
心の中で『大丈夫』を何度も繰り返す
そんな私を見て、天満や美琴が、心配してくれた
「エリちゃん、大丈夫?顔色悪いよ?」
「そうだぞ沢近。お前熱でもあるんじゃないか?」
「本当に大丈夫だから…。心配しなくてもヘーキよ。」
そうだ。本当の勝負は昼休みなんだから。
やっと昼休みがきた。昼休みまでがこんなに長いなんて…
彼はきっと屋上で寝ている
そう確信した私は早速屋上へと向かった
屋上へと続く階段を、一歩一歩のぼるごとに、心臓の音が強くなってゆく
やっとドアが見えて来た
彼の他には誰もいないわよね
そっとすきまから覗いてみる
その瞬間、何かが崩れるような音がした
八雲が彼にチョコをわたしていた
――――何よ、嬉しそうにしちゃって
こんな事なら早く来ればよかったなどと
後悔するヒマもなかった
―――――私の中で何かがはじけた
目から涙があふれてくる
誕生日会のような事にはさせない、と思っていたのに
素直になろうと決めてたのに
私は屋上から走り出していった
「ハァ、ハァ…」
たどり着いたのは、一本の木の下
彼がジャージを掛けてくれた場所
根元に腰をおろす。
「―――――何してんだろ…」
別に、八雲の後でもよかったじゃない
それなのに、何で?
自分で自分に問いかける
きっと――――
きっと先にこされたのが嫌だったのだろう
そんなささいな事でも、負けると嫌な程、この日が大事だったんだ
手の中のチョコレートを見てみる
強く握ったせいでぐちゃぐちゃにつぶれてしまった
こんなのあげる事なんてできない
悔しい、悲しいという気持ちより
虚しいという虚脱感が私を占めていた
自分の考えている事が分からない
整理できない
まるでこんがらがった糸のよう
手の中にあるチョコ
これをどっかにやってしまえばすっきりするかしら
「こんなもの…っ!」
ためらいがなかった、といえば嘘になるだろう
大きく振った手の中からチョコが遠ざかってゆくのを
ただ見ていることしかできなかった
投げた後、これまでにしたこのない程後悔した
自分の想いを自分で踏みにじる様な行為
それがどれほど自分を苦しませると思う?
全身の力が抜けてゆく
私は全身の力が抜け、へなへなと座り込んだ
体育祭の思い出。
彼がかけてくれたジャージ。
前みたいに彼は助けてくれるだろうか?
まだそんな期待をしている私
やっぱり好きなんだ
彼の事が、好きなんだ…
苦しい。苦しいよ、ヒゲ、播…磨…くん…
気がつくと、辺りはもう暗くなっていた
どうやら寝ていたらしい
私は尻についている汚れを取ると、門の方へと歩き出した
今日の事を考えるだけでどうにかなりそう
その途中、見慣れたバイクがあるのに気付いた
ヒゲの…バイク。
今日の事がまた頭の中でうずまいて来た
私は暫くそこに立ち尽くしてずっと回想に浸っていた
頬を涙が零れてゆく
「…じょう、おい、お嬢!」
呼ばれた気がして振り返ると、そこにはヒゲがいた
胸がキュンと痛む
思わず、逃げようとしたけど
体が、いうことを聞いてくれない
『素直になるってきめたんでしょ』
その時、その言葉が頭に響いた
でもどうすればいいのか分からなくて
「...お嬢?」
何も言わない私を心配してくれたのか、彼は私の前に回りこんできた
慌てて涙を拭き取る
「な、何よ…」
涙で腫れた目を見せないようにうつむく私
「何よ、じゃねえだろ。お嬢も忘れモンかよ」
「え、あ、うん。そう。忘れ物しちゃって…」
「ふーん...って、お嬢、顔色悪ぃぞ、大丈夫か?」
ヒゲの顔が近くまできて
ヒゲの手が私のおでこを触ってくれて
ヒゲの、ひんやりした手で私の頬を撫でてくれて
その時、とっさにいい案が浮かんだ
別に、プレゼントはチョコじゃなくてもいいんだ
チョコじゃないけど
私の想いがこもっているから
お返し、きちんと頂戴ね
いいよ、ね?
そして、彼の唇に
私のソレを
静かに
重ねた
〜Fin〜
というわけで、バレンタイン記念SSですー
2日遅いというのは是非スルーの方向で...
>>354 >お前作者の異常なまでのプッシュで付き合ってる奴の事はどうしたの……
ウメマド?吊り橋?
>>361 乙!
――――――――マジで糞。
>>361 何このお約束過ぎるオナニー文章はw
精液と共に恥垢の臭いまで漂ってきそうな、イカレたクズの妄想w
もうちょっと中身持った批判しろよ。頭悪くみえるぞ。
素直な沢近さん乙!
甘〜〜〜い
甘すぎてちっとも沢近に見えん
播磨が出てくるのも御都合すぎ
>>362 わざとボケてんのか?
可能性あるしな!とか言ってる奴自身の事な
ネタバレスレで既に出た話題を何故わざわざここでするのかと…。
カラダの相性がよくなかったんじゃねーの?
お前の事情など知らん。語りたきゃ然るところに行け。
へーへー
住人の質が過疎を物語ってるな・・・・。
>>363-364みたいなのもいるし。嫌と思うならスルーしろよ。
ていうか何を欲してるのかマジで分からん、どうしてほしいんだ?
職人をそんなに遠ざけたいのか?
377 :
アモル:06/02/18 01:55 ID:JkIyjS0w
どーも、前回下ネタ好きのレッテルを張られてしまったアモルです。
いや、気がついたら下ネタが入ってるだけなんですけどね。
それにいい年こいて厨房みたいな下ネタ話もリアルで好きですけど。
まあそれはともかく前回投下から1ヶ月半もたってしまいました、申し訳ありません。
お詫びといっては何ですが、2話用意しました。
まず投下するのはバレンタインものです、鉛筆?ですがw
一応拙作の設定で書いていますが、パラレルです。本編とは時間的繋がりはありません。
読んでいない方も、「美琴と播磨が仲がいい」という設定だと認識してくだされば結構です。
妄想派閥ssなので嫌いな人はスルーしてください。
それでは投下します。
「チョコ貰ったことねーのか?」
「ああ。 生まれてこのかた家族以外からは義理チョコ一つ貰ったことねーよ。」
A Route of M♭ - Chocola -
今日は2月14日。男も女も戦々恐々のバレンタインでーである。
しかし播磨は、今までそういうイベントとは全く関係なく過ごしてきた。
播磨はちゃんとした格好をすればそれなりに見られる外見にはなるのだが、女の子にもてたことは皆無だった。
大概の女の子は播磨を怖がって敬遠し、そうでない場合も硬派なキャラでやってきた播磨は女性を全く近づけさせなかった。
しかしそれも今日までの話。今の播磨はチョコが貰いたくてたまらなかった。それも有象無象のものではなく、ある一人の女の子から。
「だが今年は違うぜ。 今日俺は、天満ちゃんの愛の結晶を受け取るんだ………。」
恍惚とした表情で空を見上げ、感動に打ち震える播磨。
しかし美琴は、
(無理だろーなぁ……)
と心の中でため息をつく。ここ数日、天満が一生懸命チョコを作っていたのを美琴は知っている。
そして、そのチョコレートが烏丸のためのものであることを。
天満は、烏丸へのチョコを作ることに夢中で、義理チョコすら用意していないはずだ。
播磨は天満からチョコを貰えず、もしくは烏丸に渡すのを目撃して絶望の淵に沈む姿が目に浮かぶようだった。
その時はどうにかして自分が慰めるのだろう。
ここで美琴は少し迷った。実は美琴は播磨のためにチョコを用意していたのだ。
それは勿論義理チョコだが、道場の人々や花井へのものとは別に、播磨専用に用意したものだ。
播磨には色々と世話になってる(その倍くらい世話を焼いているが)ので、他の人とは別に準備した、のだが、
これはここで渡した方がいいだろうか。
しかし、十中八九あとで落ち込むことが分かっているし、そのときに渡した方がいいのかもしれない。
それに、最近自分と播磨の間によからぬ噂が立ちつつある。こんな目立つところで渡すのは得策ではない。
ということで、放課後人目に付かなくなったところで渡すことにした。
しかし、この判断を美琴は後々後悔することになる。
時間は淡々と過ぎて行き、昼休みになった。播磨は食事代がないので、水で腹を膨らませようと席を立とうとした。その時、
「播磨さん。」
「ん? 何だ一条?」
一条が声を掛けてきた
「チョコレートです、どうぞ。」
「へ? 俺に?」
「はい。」
そう言って播磨に簡素な包装のチョコレートを渡す。中には小さめのチョコが数個入っているようだ。
「……サンキュ。」
呆けた表情で礼を言う播磨。一条はそれに微笑み返すと、他の席へ歩いていき、麻生、冬木、烏丸達に播磨に渡したのと同じものを渡す。
「……これが、義理チョコ…ってやつか…?」
まさか自分がこういうものを貰えるとは思いもしなかった播磨はしげしげとそれを眺める。
その播磨を遠目から美琴は微笑ましく思いながら眺めていた。
(クラスとも大分打ち解けてるからな。本人は気付いてなさそーだけど。)
播磨は腹がすいていたので、余韻に浸った後は2,3分で全部平らげた。ある意味義理チョコ冥利につきるかもしれない。
その後、今度は晶がやってきた。
「播磨君。 これは私の気持ちよ……。」
そう微妙に悩ましげに言いながら、チョコレートを差し出す。
「………………義理だよな?」
「ええ。」
袋の中には10円チョコみたいなのが一つだけ入っていた。まあ、お世辞にも大した義理があるわけではないので、ある意味妥当なものではある。
「ねえ、食べてみて。」
「ん? おお。」
その1個のチョコレートを口の中に放り込む。モグモグと咀嚼して、
「ブフォァッ!!??」
吹いた。
「な、何入れやがったテメェ!?」
「カレーが好きだと聞いたから、カレーを入れてみたんだけど。駄目かしら?」
「駄目に決まってんだろーがっ!!」
しかも中のカレーは激辛だった。こんなものをいきなり食べさせられたらたまったものではない。
「そう、残念………折角カレーから作ったのに………。さて、烏丸君はどう反応するかしら。」
妙に手が込んでいる割には大して残念な素振りも見せず、晶はスタスタと歩き去っていった。
「クッソー、あのアマ……とんでもねーモン食わせやがって………」
その後は播磨にチョコを渡すものはなく、そのまま放課後になった。
まず烏丸が教室を出ていき、その後を追って天満が出ていき、更にその後を追い播磨が出ていった。
美琴はしばし思案したが、播磨たちの後を追うことにした。
気付かれないよう間合いを離して後を付ける。やがて玄関のあたりまで来て、廊下の角に立って向こう側を覗き込む
播磨の後姿を見つけ、美琴もその少し後方から見つめる。
しばらくして、全身から喜びの感情を溢れさせまくった天満の姿が見えた。天満は播磨に全く気付かずに横を通り過ぎ、
そのまま教室の方向へと走っていった。
そして播磨の肩ががっくりと落ちる。どうやら美琴の予想通り駄目だったようだ。
このまますぐに播磨に駆け寄って慰めた方がいいかとも思ったが、あまりすぐに姿を見せても不自然なので、少し時間をおくことにした。
とその時、
「播磨先輩…?」
そう声を掛けたのは八雲である。隣にはサラの姿もあった。
「あー、探しましたよ播磨先輩。 はい、どーぞ。」
「あの、播磨先輩……どうぞ………。」
八雲とサラが播磨にチョコレートを差し出した。
「……チョコレート………お………俺に………?」
悄然とした表情で二人を見る播磨。その暗い表情が気になって、
「あの……何か……あったんですか………?」
おずおずと八雲が訊ねる。
「…………いや………何でもねーよ………ありがとーな、妹さん………とその友達……」
「あの……私には何のことか分からないですけど………頑張って下さい。」
播磨は八雲達と別れ、そのままフラフラと歩く。おもむろに八雲にもらったチョコを口に入れる。
「しょっぱい…………優しさが身にしみるぜ…………」
八雲にもらったチョコレートは、涙の味がした。
「……の、乗り遅れた………。」
それを離れて見ていた美琴は、一人呆然と呟いて、
「いやいや乗り遅れたって何だよ。」
と自分自身にツッコミを入れた。別に自分が慰める必要があるわけではない、ようは播磨が立ち直ればそれでいいのだ。
そのはずなのだが、何故か釈然としないものを感じる。
「………………まーいっか。」
と強引にその感覚を抑え込み、播磨にとっととチョコを渡すことにした。
そしていざ声を掛けようとしたところで、美琴の中に躊躇いの感情が生まれる。
よーく考えると、美琴はこれまで個人にチョコを渡したことはなかったのだ。
花井には毎回道場の人たちと一緒のものを渡しているし、神津先輩のときも、渡したのは他の人と同じものだった。
そもそも特定の人間に専用のチョコを用意したのが初めてなのである。
(……って何意識してんだあたしは!? これは単なる義理チョコだ!)
こんな程度で躊躇っていたら、いざ本命が出来たときに何も出来なくなってしまう。これではあの時と変わらない。
覚悟を決めて播磨に声を掛けようとしたとき、校内放送が流れた。
[2-Cの播磨君、2-Cの播磨君、至急職員室まで来なさい。]
「あ………?」
いきなりの呼び出しに、何がなんだか分からない播磨。しかしこれは絃子の声だ。無視するわけにはいかなかった。
「チッ……何だってんだ……話なら家でもできんだろーが………。」
仕方なく播磨は職員室に向かう。一方タイミングを逸した美琴も仕方なくその後を追う。
職員室に入って絃子の席へ行く。
「オイ、何の用だよイト『ギロッ!』何の用ですか刑部先生。」
「笹倉先生が君に用があると言っていた。 美術室で待っているとのことだ。」
「は? 笹倉先生が? 何で美術室に直接呼ばねーんだよ?」
「私に聞かれてもね。笹倉先生に直接聞いてくれ。」
「チッ………」
憤然とした表情で職員室を出て、美術室へと向かう。その播磨の雰囲気に美琴はまたも声を掛けそびれた。
播磨が美術室に入ると、そこにいたのは葉子一人だった。
「あ、拳児君いらっしゃい。」
「一体何の用ッスか、笹倉先生。」
「うん、これを渡そうと思って。はい。」
そういって播磨に、かなり豪華な包装のチョコを渡す。
「………何スかコレ?」
「何って、今日が何の日か知ってるでしょ。 職員室で渡したら目立っちゃうし。」
「いや、それは分かるんスけど、何でイキナリ?」
「拳児君には今まであげたことなかったから、寂しい思いをさせちゃったかなー、と思って。…奮発したのよ?」
「いや、そんな思いは全く持ってしてねーんだが………」
そう播磨が突っ込むと、葉子は目に涙を浮かべる。
「お姉ちゃん悲しいわ……昔はあんなに懐いてたのに。好きな人が出来たらもう用済みなのね……うっうっ………」
「………………」
長い付き合いなので嘘泣きなのはすぐ分かった。どうやらからかうためにわざわざここに呼び出したらしい。
「んじゃ、チョコどーもッス。」
そう言ってとっとと立ち去ろうとする播磨。しかしあっさりと泣き真似をやめた葉子が、
「拳児君。 ホワイトデーは3倍返しが基本よ。」
恐るべき追い討ちを掛けてきた。
「あ、あのー……これいくらッスか?」
「あ、値札ついてるから。」
値札を見てみた。………3倍すると5桁になるのは気のせいだろうか。
「………冗談ッスよね?」
「ふふ………どうかしら?」
屈託のない笑みを浮かべる葉子。どうやらからかいではなく社会人の経済力に物を言わせた悪質な悪戯らしい。
1ヵ月後どうなってしまうのか薄ら寒い気分になりながら播磨は美術室を出た。
出てきた播磨を離れたところから観察しながら美琴は、
(あいつって………もしかして年上に好かれやすいのか?)
と考えていた。美琴は、播磨に気付かれないため、泣いている葉子を放って播磨が出ようとしたところで美術室から離れたため、
その後の話を聞いていなかったのだ。そして、自分のチョコと播磨がもらったチョコを見比べ、ゲンナリしてしまった。
いい加減疲れたので播磨はそろそろ帰ろうとした。美琴もいい加減渡さないと、と思ったのだが、
「ハーリオ! もー、探したんだからぁ。」
といきなり播磨に抱きついた養護教諭を見て、再び停まってしまった。
美琴の「播磨、年上殺し」疑惑の要因、姉ヶ崎妙である。
「何スカ、姉ヶ崎先生。」
「何って、決まってるでしょ? …って、ハリオちょっと見せて。」
そう言って、播磨の持っている袋の中を見た。そこには先程葉子にもらったチョコ、それに八雲達からもらったチョコがまとめて入っていた。
「ハリオも隅に置けないんだからー。 こんなに沢山もらっちゃって………」
「いや、全部義理ッスよ。」
「ふーん………じゃあ、私があげる。」
妙はそう言うと傍らに置いてあった袋からかなり大きなチョコレートを取り出した。
「ハイ、ハリオ。 手作りよ。」
「あ、ドーモッス。」
「……もー、折角の本命チョコなのにそんな薄い反応するなんて………」
「いいっ!? イ、イヤ、ヤバイッスよ!」
「何でヤバイの? 愛があれば立場も年齢も………」
「し、失礼します!」
播磨はあわてて妙を引き離すと、一目散に逃げ去った。
「………………」
走り去っていく播磨を、美琴は無言で見送る。
「ふぃーっ………あの人は本気なんだか冗談なんだか分からねぇぜ。」
妙を振り切って、播磨はそう一人ごちたのだった。
周防美琴は不機嫌だった。何度渡そうとしてもその度に邪魔が入り、しかも美琴のチョコにどんどん意義が無くなっていく。
その怒りの矛先は段々と播磨へと向かっていく。
「全く…何が義理チョコすらもらったことがねーだ、いいだけもらいやがって。おまけに本命まであるじゃねーか…!」
などとぶつくさ文句を言いながら歩いていると、ドン、と誰かにぶつかった。前をちゃんと向いていなかったのだ。
「あ……ご、ごめ…」
「あ? 周防じゃねーか。」
「…ってぅわっ!? は、播磨!?」
ぶつかった相手は播磨だった。いつの間にか追いついていたらしい。
「何だよ、ンなに驚いて?」
「あ、あー……いや、ちょっと考え事しててさ。」
「ふーん……」
大して興味なさ気に相槌を打つと、播磨はそのまま玄関へと向かう。美琴もそのまま一緒に歩いていった。
播磨は自分の下駄箱の前に立った。やはりこのまま渡さないままではいけない。そう思って美琴は話しかけた。しかし、
「あ、あのさ、播磨………」
「ありゃ? 何か入ってやがる。」
「へ?」
またもや邪魔が入ってしまった。しかも今度は時限式。
播磨の下駄箱の中には、綺麗に包装されたチョコレートが入っていた。
「………………」
「………………」
「………なあ、周防。これ、どーすりゃいーんだ?」
「………………」
「………おい、聞−てんのか?」
「……………し…」
「し?」
「知るかぁーーーーーーーっ!!」
周防が投げつけた何かが、播磨の顔面を直撃した。
「わぶっ!」
美琴はそのままマッハで靴を履き替えてそのまま走り去っていってしまった。
「……ッテー、何だってんだ一体?」
顔からずり落ちたそれをキャッチして見てみると、これもやっぱりチョコレートだった。
「………これもホワイトデーは返さなきゃならねーのか?」
誰に言うでもなく、播磨はそうぼやいたのだった。
「それにしても、今年は一体なんだったんだ………?」
山のようなチョコを抱え、播磨は帰途に着いた。ホワイトデーをどうするか、とほうに暮れながら ------
ちなみに、下駄箱の中に入っていた手作りチョコは、激烈に不味かった。
FIN
389 :
アモル:06/02/18 02:15 ID:JkIyjS0w
以上です。鉛筆にしようとしたのになんか鉛筆っぽくなくなってしまいました。
何分即興で作ったものなのでご容赦ください。
もしお楽しみ頂けたら幸いです。
本編の方は、明日投下します。
職人さんたちぐっじょぶ(゜ー゜
>>389 GJ。
文自体すごく読みやすい感じがするな。強みだと思うので自信もっていいと思う。
まずいチョコは………………お嬢ですね!
面白かったです。
本編も待ってるよん
期待できる
395 :
アモル:06/02/18 23:09 ID:xXHzhzFY
レスありがとうございます。
>>392 はい、お嬢です。
隣子も混ぜちゃろとか思ったんですが
更に収集つかなくなりそうなんでやめました。
というわけで本編の続きを投下します。
ある1日
「オッス、播磨。」
「オウ。」
朝、玄関で美琴が播磨に挨拶した。元々美琴は気さくな方なので顔見知りなら大概声を掛けるが、播磨とは最近特によく
話している。
行き先は同じなので一緒に廊下を歩いていた二人だが、ふと美琴が最近気になっていることを聞いてみようと思い立った。
「なあ播磨。ちょっと聞きたいんだけど…」
「ン? 何だ?」
「何か最近…やけにヒゲが伸びてねーか?」
もともと播磨はヒゲを生やしている。しかし、以前は鼻の下と顎に細く纏めたヒゲを数cm伸ばしていたのだが、
今は顎全体から頬に至るまで10cm近い長さのヒゲが伸びたい放題になっているのだ。
「ひょっとして、願掛けか何かか?」
願いがかなうまで髪を切らないとか、そういったものと同じかと美琴は思ったのだが、
「ヘッ、そんなんじゃねーよ。」
播磨は得意気な顔でそれを否定する。そして播磨はそのまま言葉を続けた。
「この間、天満ちゃんが居眠りしてる時に寝言を言っててよ…」
「寝言…?」
「オウ。そん時の寝言がな………」
言って、播磨の鼻の下がみょーんと伸びる。
「何なんだよニヤけやがって。気味悪ぃーぞ。」
「気味悪ぃーは余計だ! …ったく、まあその時の寝言がな…「ヒゲってステキ」だってよ。どうだ!?」
「いや、どうって言われてもな……」
「フ……寝言でそんな事をゆーほどヒゲが好きだってんなら、もう天満ちゃんは俺にメロメロだぜ…。」
(…そうかぁ?)
ついこの間、美琴は天満達と急に伸ばし始めた播磨のヒゲの謎について話したが、少なくとも天満はヒゲ自体には
興味を持っていなかったような気がする。
しかしそれを言って播磨のやる気を削いでも意味がないので、
「そっか。まあ…頑張れ。」
とりあえずそれだけ言っておいた。
その数日後
「オッス、播磨。」
「……ああ。」
いつもと同じように挨拶する美琴。しかし、播磨の返事は暗かった。
その頭には昨日まではなかった「帽子」が乗っていた。そして美琴は、何故播磨が帽子をかぶっているのかを知っていた。
その理由は昨日屋上で起こったある出来事。端的に言うと、播磨がヒゲを剃り、そして髪を剃られた。
「なあ播磨…。」
「…何だよ。」
「災難だったな。」
慰めるようにポンポンと肩を叩く。
「クッ……一体なんで俺がお嬢に髪剃られなきゃならねーんだ!?」
「う、うーん………」
「チキショー……天満ちゃんの前で恥かかせやがって………」
(多分、一念発起してヒゲのことを謝りにいったのに、あっさり剃り落としたのが気に入らなかったんだろーなぁ…)
播磨が天満のために伸ばしていたヒゲを、愛理は間違って切り落としてしまった。落ち込んだ播磨に愛理は謝りに行ったのだが、
その時、天満がヒゲがない方がいいと言ったためにすぐさま剃ってしまったのだ。それが愛理のプライドを傷つけ、
そして今の事態にいたる。
「ま、生えてくるまであきらめてそうしてろ。ダイジョーブだって、知ってるのあたし等だけだから。」
「天満ちゃんに知られてちゃ意味ねーだろ!!」
結局、その日1日播磨は不機嫌なままだった。
399 :
アモル:06/02/18 23:15 ID:xXHzhzFY
以上は前回と今回の話の繋ぎです。
続いて本編を投下します。
「…うーん……話は面白いんだけど……ちょっと独りよがりじゃない? 幾らなんでもこの展開はねぇ………」
「そーすか………」
今日も播磨は、担当に原稿を見てもらっていた。しかし相変わらずその反応は芳しくない。
「友達に見せてもらうといいと思うよ。」
「え? あ、あの…友人…ッスか?」
担当が言ったその言葉に、播磨は硬直する。
不良である播磨には、そんな人間に心当たりがなかったのだ。
談講社を出て、行きつけの喫茶店メルカドに入り先程の言葉を思い返す。そして、
「いるわけねーだろ!」
とあっけなく結論を下した。
「くそー、独学ではやはり限界が……」
ここへ来て現れた大きな壁に、播磨は苦悩する。
絃子は信用できるが恥ずかしすぎる、そして動物たちでは彼の描いた漫画など理解できないだろう。
他に彼と話したことのある人間は少ない。元々社交的ではない上に、天満以外に興味のある人間がいないのだ。
しかし必死に考えた末に、ふとある一人の少女を思い出した。播磨の恋に気付いて、そしてそれを手伝ってくれる人。
それは播磨にとってただ一人、手を差し伸べてくれるかもしれない女の子だった。
「お、おし! 一か八かアイツに頼んでみるか!」
A Route of M 第3話 - COMIC MASTER M -
「じゃあね、美琴。」
「それじゃあ。」
「バイバーイ、美琴ちゃん!」
「ああ。じゃあな。」
ある日の学校帰り、友人達と別れていつもと同じように帰途に着く。
しかし、しばらく歩いているうちに美琴は異変に気付いた。背後に何か妙な違和感を感じ始めたのだ。
一旦立ち止まり、振り向いてみる。しかし、怪しい人影は全くない。塀の上で呑気に猫が欠伸をしているだけだ。
「…気のせいか………?」
気を取り直して再び歩き出す。しかし先程抱いた違和感は拭えない。そこで、角を曲がったところで立ち止まり、少しタイミングを
おいて角から顔を出して覗いてみた。
けれどもやはり妙な人影は見当たらない。
「うーん………」
つけられてる気がする、それなのに相手が見当たらない事が不気味だった。
痴漢かストーカーの類だろうか。以前満員電車に乗った時に痴漢にあった事はある。まあその時はお尻を触った相手の手首を
一瞬で極めてそのまま駅員に突き出したのだが。
しかし見えない相手には手の施しようがない。それに相手が何者かも分からないのだ。
そこで美琴は、最も安全かつ確実な手段を取る事にした。すなわち、
「三十六計逃ぐるにしかず、っと。」
走ってとっとと家に帰る事にしたのである。
「ハッ………ハッ………ハッ………」
安定したリズムの呼吸と、伸びのあるストライドで美琴はぐんぐん前に進んでいく。
美琴はクラスの女子でも五本の指に入るほど速く、そしてスタミナも群を抜いている。
例え男でも、並みの足ではとてもじゃないが追いつける代物ではないのだ。
更に、家への最短距離ではなく、土地勘を利用して脇道に入ったり、そうかと思えば人気のあるところに出たりと、
散々ジグザグに走った挙句、家のすぐ近くまで来たところでようやく美琴は走るのを止めた。
「ふぃーっ……」
軽く1kmかそこらは走っただろう、スピードを出していたためやや乱れた呼吸を整えながら、後ろを振り向く。
背後には思ったとおり誰もいない。これだけ走ったのに追いつける筈がない、そう思って美琴は歩き始めた。
しかし、その十数秒後、美琴はガシッ、と背後からいきなり肩を掴まれた。
「!?」
反射的だった。
予備動作の全くない高速のバックブロー(回転式裏拳)が背後にいる人物に繰り出される。
しかしそれは、何かに僅かに掠めた感触があっただけで、見事に空を切っていた。
(な…!?)
美琴の視界には誰の姿も映っていない。しかし武術家としての本能が、その視界の下に相手がいることを告げていた。
練習で積み重ねられたものが、勝手に美琴の身体を動かす。
放たれた膝蹴りは美琴が視線を下げるのと同時に命中した。
美琴の膝は正確に相手の顔を射抜いている、だが、相手は顔と膝の間に手を入れてブロックしていた。
「くっ…!」
転がされたら不味い、とあわててバックステップで距離を取る。しかし予想された追撃は来ない。
「…ッテー、いきなり何すんだよテメーは!?」
「へ? …は、播磨?」
そこにいたのは、鼻を押さえながら抗議の声を上げる播磨だった。
「…全く、散々走り回りやがって…、追いつくのにメチャクチャ苦労したぜ。」
「…待て。もしかしてお前があたしを……」
そこまで言った所で、美琴の視線がある一点で停まる。
「あ? 何だよ急に黙りやがって。」
「………ぶっ。」
突然美琴が噴き出した。腹と口を押さえて必死に声を殺して身体を震わせる。
いきなり笑い出した美琴に、何がなんだか分からずに困惑する播磨。
「何なんだよテメーは、いきなり笑い出しやがって。」
「ッ………い……っ………いやっ………悪ィッ………」
必死に笑いを堪えながら何とかそれだけ返事を返す。
どうにかして笑いを押さえ込むと、周りに視線を巡らせる。そしてそれを見つけると、美琴は拾い上げて播磨に差し出す。
播磨の顔は見ないように視線を逸らして。
「まあ、まずはこれを被っててくれ。何つーか…目の毒だ。」
その手にあったのは、先程のバックブローで播磨の頭の上から弾き飛ばされたベレー帽だった.。
「だぁぁあぁぁぁぁぁぁっ!?」
慌てて帽子を被り直す播磨。美琴は視線を戻すと、
「な、何でそんなに見事にツルッパゲなんだよ?」
いまだにやや震える声で訊いた。愛理に髪を剃られたのは見ていたが、その時はあくまで一部分だけ剃られていた。
しかし今の播磨の頭はまるで侍のさかやきだ。
「剃ったんだよ、バランス悪ィーから。」
「あー……」
確かにあのままじゃ綺麗に生えそろわない。しかし思い切ったことだ美琴は思った。
(それにしても………)
美琴は播磨の反射神経に関心していた。完全に奇襲だったはずの自分の攻撃をあっさりかわしたのだから。
そしてその次の膝も完璧に止めた。播磨がその気なら自分はそのまま道路に倒されていただろう。
まだまだ鍛え方が足りないな、と思う。
そんなことを考えているうちに、播磨は何とか気を取り直したようだ。美琴は先程からの疑念を播磨にぶつけてみることにした。
「播磨、さっきからあたしを付け回してたのはお前か?」
「き、気付いてたのか!?」
「ああ、何となくだけどな。それで、何であたしをストーキングしてたんだ?」
「ス……テメエ、人を変質者みてーに………」
「やってる事は同じだろーが。」
「グッ………」
「で? 一体あたしに何か用か? 学校じゃ話せないようなことか?」
播磨はしばらく躊躇していたが、やがて意を決して口を開いた。
「……オメェに見てほしいモンがある。」
「見てほしいもの?」
「ああ。こんなことを頼めるのは俺にはオメーしかいねえ。」
そう言って、播磨は美琴に原稿の入った封筒を差し出した。
「ふーん……何かの本か? ま、立ったままってのも何だし行こーぜ。 あたしの家すぐ近くだからさ。」
そう言って播磨の顔を見て、ふとあることに気付いた。
「播磨、鼻血出てるぞ。」
「あ? ああ、問題ねーよ。どーせすぐ止まる。」
しかし意外と出血が多い。実のところ播磨は先程まで鼻血を飲み込んで堪えていたのだ。理由は、いくら鍛えているとはいえ、
防御したにも拘らず女性の攻撃で流血したことが恥ずかしかったからである。
とその時、急に播磨の顔に何かが押し付けられた。美琴が鼻にハンカチを当てたのだ。
「お、おわっ!?」
驚いて思わず体を離す。
「おい、動くなよ。血が止められねーぞ。」
そう言って美琴は再び播磨の鼻にハンカチを押し当てる。
「悪いな、つい反射的にやっちまってさ。大丈夫か?」
「………ッ!」
何かあやされているような気分になり、気恥ずかしさで播磨の顔に血が上る。
押し付けられたハンカチを引っ手繰るように奪い取ると、自分で鼻を押さえた。
「あ…お、おい……」
「いいって! これくらい自分で出来る!」
「そ、そっか……」
急に態度が変わった播磨にいささか驚いたものの、それ以上手を出すことはしない。
そして、二人並んで歩き出した。播磨が鼻を押さえて顔を上に向けているその横で、美琴は何か引っかかりを覚えていた。
(ハンカチ………)
その単語の意味するものをしばらく考えて、美琴はある出来事を思い出した。
「あ。」
「ん? 何か言ったか?」
「あ、いや、何でもない。 こっちの話。」
適当に返事をして、美琴はそれをとりあえず心の奥にしまいこんだ。
「で、これは一体なんだ?」
先程播磨に手渡された封筒を示す。
「………原稿だ。」
「原稿?」
「ああ……実は………実は………マ………マ………」
「マ?」
「漫画を描いてるんだ!!」
しーん、と静まり返る。互いに言葉はない。重苦しい空気の中、遂に美琴が口を開いた。
「えーと…何か良く聞き取れなかったんだけど、もう一回言ってくれないか?」
幻聴と判断した美琴に、ガクッと崩れる播磨。
「だから漫画だよ! 俺は漫画を描いてるんだ!」
「…漫画っていうと、ジンガマとかそういうのに載ってるやつか?」
「そーだよ。つーかジンガマに持ち込んだ原稿だそれ。」
「………………ま、マジなのか!?」
「そーだよ! ……チッ…どうせ似合わねーとか思ってんだろ?」
「うん。」
あっさり肯定する美琴に再び崩れる播磨。
「ちったあ否定しろよ頼むから!」
「いやー、実際イメージに合わねーし。しかし何であたしに見せるんだ?」
「いや、編集の人が誰か他の友達にでも見てもらってアドバイスしてもらえって言うからよ。
思いついたのがオメーしかいなかったんだよ。」
「なるほど、お前友達少ないもんな。」
「ヨケーなお世話だ! クソッ、だから知られたくなかったんだ……」
「ハハハ、悪い悪い。ま、確かに似合わねーけど、別に笑ったりはしねーよ。」
「…へ? 何でだ? 不良が漫画描いてるなんておかしいだろーが。」
「本気ならあたしは応援するよ。真剣にやってる奴を馬鹿にはしないさ。」
そう言った美琴は真顔だった。そして、
「まあ、良かったじゃねーか。こうやって見てもらえる友達がいんだから。」
そう言いながら播磨の肩をポンポンと叩いた。
「友達…?」
美琴のその言葉に、播磨の目が驚愕に見開かれる。
「ん? どーした?」
「お…俺達って………友達だったのか!?」
「へ?」
今度は美琴が驚く番だった。
「友達だろ。てかそれ以外の何だっつーんだよ?」
美琴の言葉は当たり前のものだったのだが、ここ数年友人、友情というものに縁のなかった播磨にとっては驚愕の事実だった。
「い……いや……そーか…そーだなー…友達かぁ………」
「何だよ、あたしが友達じゃ不満なのか…?」
「いや、そーゆーわけじゃねえ! ダチなんてしばらくいなかったから、どーゆーモンなのか忘れちまってよ…。」
「何だそりゃ。」
呆れる美琴を尻目に、播磨は今更ながら友情というものを思い出していた。
随分と久しぶりの感覚、だがそれはとても温かく、とても貴重なものだった。
何故自分は、こんなに大切なものを拒絶して生きてきたのだろう、そう播磨は自分で疑問に思う。
しかし美琴の方は既に話題が移っていた。
「ま、夢なんて他人から見たらおかしいってのはいくらでもあるしな。あたしなんか子供の頃は「看護婦さんになるー」なんて
言ってたんだぜ」
冗談めかして言った美琴に、しかし播磨はいたって真面目に答えた。
「いや、別に似合ってねーとは思わねーけど。オメーはしっかりしてる奴だし気がきくしいいんじゃねーか?」
「へ?」
前に愛理に言ったときは爆笑された記憶があるので、播磨のこの返答にはどう答えていいのか分からなかった。
とりあえず礼を言っておくことにする。
「え、えーと………ありがと。」
「何がだ? …今はどーなんだ?」
「今?」
「オメーは今、将来の夢とかはあんのか?」
夢。ちょっと前までの自分の夢は、神津先輩と一緒の大学に進学することだった。そして、その後のことは何も考えていなかった。
今は、その夢は絶たれ、何の目的も持たずに漫然と日々を過ごしている。
「いや…今はまだ…何にも………。」
「そーか。」
遠い目をして言う美琴に、播磨はそれ以上は何も言わない。
そういえば播磨に自分のことについて聞かれたのは初めてだな、と何気なく美琴は思った。
しばらくすると、だんだん播磨にとって見覚えのある風景になっていく。これは花井の家の近くだ。
というより花井の家にどんどん近づいてる。
やがて花井の家の前まで到着すると、美琴はその向かい側の家に入っていく。家の前には「周防工務店」の看板だ。
「ここがオメーの家か? メガネん家の目の前じゃねーか。」
「そーだよ。あいつとは幼馴染だってのは知ってるだろ?」
「…ああ、なーるほどなー……」
「ちょっと待ってろ。準備してくるから。」
そう言って美琴は玄関に入っていく。しばらく待っていると、道着に着替えて美琴が出てきた。
そして播磨を連れて花井道場に入っていく。
「お…おいおい、何でメガネんトコに行かなきゃならねーんだよ!? アイツになんざゼッテー見せれねーよ!」
「いいから。こっちこっち。」
仕方なく美琴に付いていくと、途中で道着を着た子供たちと遭遇した。
「あー! 美琴先生だー!」
「おーす、みんなー!」
花井道場の教え子達である。
「この人誰ー? 美琴先生がオトコ連れ込んでるー!」
「カレシだカレシー!」
「バーカ、あたしがこんな変なサングラス男と付き合うわけないだろ?」
「ヨケーなお世話だ! …俺は播磨だ、播磨拳児。ハリオと呼べ!」
「…何だそのハリオってーのは?」
「ペンネームだよ、ハリマ☆ハリオっつーんだ。 子供が面白がって呼べるよーに。」
「へぇー……子供、好きなのか?」
少し以外に思って美琴は播磨に訊ねる。
「ああ、ガキは嫌いじゃねーよ。 ま、弟の世話してて慣れたってのもあるけどな。」
「弟がいんのか?」
「ああ、いるぜ。クソ生意気な奴が一人な。…で、こんなトコ来てどーするってんだ?」
播磨は肝心なことを思い出し、美琴の真意を問いただした。
「ああ、コイツらのも見てもらおうと思ってさ。」
「なっ!?」
そう言って美琴は播磨と子供たちを連れて道場の事務所へと入っていった。
「ちょ、ちょっと待て周防! 俺はオメーに見てもらいに来たんだぞ、それをいきなりこんな大勢に………!」
「ンな事言ったってあたしは漫画なんてそれほど詳しくねーし。 それに漫画は元々子供に見てもらうもんだ。 なら子供に
見てもらうのが一番だろ。 意見は多い方がいいし。」
「うっ…!? そ、そーか…、確かにそーだな。 サンキュー周防、恩に着るぜ。」
「いいっていいって。」
そう言って、美琴は手に持った原稿を子供たちに手渡した。
「これはこの兄ちゃんが描いた漫画だ。 みんな読んでみて感想を言ってくれ。」
「へー、漫画だって。」
「見せて見せて!」
漫画という単語に子供たちは反応し、我先にと殺到する。それを尻目に美琴は事務所を出た。
飲み物くらい用意しようと思ったからだが、その時、一人だけ漫画に向かわず美琴に話しかけてきた女の子がいた。
「ねぇ、ミコ姉ミコ姉。 ハリオってメガネとったらかっこよさそーだよ。 狙っちゃえば?」
「ハハハ……そんなんじゃねぇって。」
苦笑しながら、美琴はその女の子の頭に手を置いた。
一方、播磨は気が気でなかった。自分の作品がいきなり大勢の子供たちの目に曝されているのだ。
「バッカでぇー!」
と笑われてに心の中でガッツポーズし、
「ありえねーよー!」
としかめっ面されがっくりとうなだれる。
そういうアップダウンを数十回繰り返したところで、ようやく本命とも言える美琴が戻ってきた。
「ほらよっ。」
「お、サンキュ。」
美琴が投げてよこした缶ジュースをキャッチして、播磨は礼を言う。
「で、みんな、どーだった?」
子供たちに意見を求めた美琴に対し、
「面白かったよー。主役スッゴクバカだった。」
「あたしこーゆー乱暴な人嫌いー。」
「女の子は可愛かった。」
など、思い思いの感想が返ってくる。意見は様々だが、全体的には好評なようだ。
「ふんふん…そっかー。……よーし、みんなは先に道場に行っててくれ。あたしも読んだらすぐ行くから。」
そう言って子供たちを退散させると、今度は美琴が原稿に目を通し始めた。
美琴が原稿を見ているのを、播磨は緊張の面持ちでじぃっと見つめる。
美琴は無言で原稿を読んでいたが、
「ん………?」
ふとあることに引っかかりを覚え、眉をひそめてページを戻って最初のページから見直す。
(な、何だ!? 何か問題でもあるのか!?)
美琴の表情の変化に播磨は気が気でなかったが、口には出せない。
やがて最後のページまで読み終えると、
「うーん………」
と難しい表情をして腕組みをする。
「あ……あのー……いかがでしたでしょーか………?」
恐る恐る播磨は美琴に声を掛けた。
「うん……ちょっと主人公がわがままで好き勝手しすぎだし、その割にはヒロインが都合良く動きすぎだ。」
子供たちとは違う客観的で冷静な意見を言う美琴。それが播磨の心にグサリと突き刺さる。
(クッ……だ…駄目か……やっぱ俺には無理だったのか………!?)
「けど、まあ面白かったかな。話としては悪くないよ。」
「………へ?」
「ようは今言った部分を改善すればいいんだ。そーだなー………例えば…結構ムチャな展開が多いからツッコミ用の
新キャラを入れるとか、主人公に相談役でもつけるとか………」
播磨が手に持ったジュースの缶をポロリと落とした。まだ少量残ってた中身が床にこぼれた。
「……っておいおい播磨、何やってんだよ。」
あわてて美琴が近くにあった雑巾を持ってきて床を拭く。
次の瞬間、播磨が勢いよく立ち上がった。そして驚いている美琴の肩をガシッと掴む。
「な、何だ!?」
「それだ!! そーか、誰かが突っ込み入れりゃあいーのか、それなら独りよがりにはならねえ。それに相談役か。
そーゆーのがいりゃあ主人公に秘密や悩みがあってもダイジョーブだ………待てよ、いっそのことその二つの役目を
一人に任せたらどーだ!?」
「あ、ああ…そーだな。変にキャラ増やしてゴチャゴチャするよりはいいかもな。」
「そーか! よーし、メラメラやる気が沸いてきたぜぇ!」
ずっと暗闇の中を手探りで進んでいたような状態から、ついに抜け出せた気分だった。
さて早速色々書き直そうと考えて、ふとある問題に気がついてそれを美琴に聞いてみる。
「……で、具体的にはどこにツッコミ入れりゃあいーんだ?」
「………………」
まあ、それが分かるなら既に改善できている問題ではあるかもしれない。
「…あー、それは下書きの段階で見せてくれたらあたしがアドバイスするよ。つってもあんまり期待すんじゃねーぞ。
あたしはただの読者にすぎないんだからな。」
「構わねぇよ。助言があるだけで十分だ。…やっぱ持つべきものは友達だな。」
「………………」
播磨は見るからに嬉しそうだ。そこに水を差すのは良くないことなのかもしれない。しかし美琴は、「友達」だからこそ
その問題を黙っておくわけにはいかない、そう思った。
「ま、漫画そのものへの意見はこれで終わりだ。……ここからは、あたし個人としてお前に言いたいことがある。」
「………へ? 何だ?」
舞い上がった状態から現実に引き戻される。美琴の表情は思いのほか厳しい。播磨は、美琴が漫画を読んでいるときに
明らかに表情を曇らせたことを思い出し、再び緊張に身体を強張らせた。
「まず、一つ聞きたいんだけど………この主人公はさ…お前だよな?」
そう言って美琴が指差したキャラクターの造形は、オールバックにカチューシャをつけて、サングラスにヒゲの高校生だった。
播磨は一瞬放心し、次の瞬間明らかな動揺を見せて飛びのいた。
「な、何のことかな…………?」
「それに、このヒロインだけど………これってどう見ても塚本だろ。」
播磨の言い分を全く無視して美琴が続けて言った台詞に、播磨は完璧無比に硬直した。ちなみにヒロインのデザインは、小柄で黒い長髪、
そして頭の両端のピコピコ髪がチャームポイント。見る人が見れば分かるのだが、明らかに播磨と天満なのだ。
「ど……どこが似てるってんだ………? は……ははは………そんなわけが……………」
完全にひび割れた乾いた笑いで必死にそれをごまかそうとする播磨。
「言い訳はいい。それにその事自体を責めてるわけじゃない。」
しかし美琴は播磨のごまかしを一蹴し、さらに言葉を続ける。
「………?」
「漫画ってのは……いや、漫画に限らずどんなものでもそうだけど、結局は自分自身を表現するためにやるもんだ。
だから、塚本の事が好きなお前が、自分と塚本を題材にした漫画を描いたってあたしはそれには別に何も言うつもりはねえ。
でもな……現実に思うとおりになってくれないからって、自分で都合よく話をつくって、都合よく相手を…塚本を動かして………。
お前は漫画が描きたいんじゃなくて、自分に都合のいい塚本が描きたいんじゃないのか?」
「な………!? ち、違ェよ! 俺はそんな………!」
播磨は美琴に食ってかかるが、美琴は意に返さずに真っ直ぐ播磨を見据える。決して強い視線ではない。
しかし播磨はその視線に気圧され、目を逸らしてしまう。
「……お前がそういうつもりで描いていないんなら別にいい。あたしやあの子達の言ったことを参考にすりゃもっと良くなると思う。
でも……もしそういうつもりで描いていたら………上手く言えねえけど、そんな心構えじゃ、たとえ才能があってもいいものは
創れないんじゃねーか? 自分だけを満足させようと思ってたら、他人を満足させるものは出来ないんじゃねーのか?」
「………………」
播磨は何も言えない。美琴の言葉は決して強い調子ではない、けれどまるでバットで殴られたかのような衝撃が心に伝わる。
「あたしには、お前が漫画を逃げ道にしてるように見える。現実の、振り向いてもらえない塚本からの逃げ道に。」
「ッ!!」
播磨の血液が一瞬沸騰する。しかしそれはすぐに氷点下まで低下した。
がっくりと頭を垂れる播磨。反論の言葉はあった。しかし、美琴の目を見てそれを言える自信は、播磨には無かった。
美琴は席から立ち上がり、
「あたしの言うことはこれで全部だ…。 じゃあ……あたしは練習に行くよ。」
未だ深く沈んでいる播磨にそう声を掛け、美琴は事務所を出て道場へと向かった。
美琴が練習を終え、事務所に顔を出した時には、もう播磨はいなかった。そこには、空になったジュースの缶だけがポツンと残っている。
体を動かして頭の中身をリセットしたのだが、そうやって改めて考えるてみると、さすがに厳しく言い過ぎたかもしれない。
「明日あったら謝っとくか………。」
そう決めて、美琴は空き缶を片手に自分の家へと戻っていった。
次の日、播磨は学校へ来なかった。その次の日も、播磨は学校へは来なかった。
(やっぱ、傷つけちまったのかな………?)
播磨はその外見とは裏腹に繊細だ。そうでなければここまで悩まずにとうに天満に告白しているだろう。
厳しいことは言わず当たり障りのない意見だけで止めておくべきだったかも、と美琴は反省した。
その更に次の日の朝も、播磨の姿は見えなかった。
美琴は、家に帰ったら播磨の自宅の住所を調べて直接謝りに行こうかと考えていた。
しかし、帰る頃になって、携帯電話にメールが届いた。タイトルは[ネーム]、本文は[放課後、屋上で]という簡潔なもの。
美琴はHRが終わった直後に教室を飛び出し、急いで屋上への階段を駆け上がっていった。
勢いよく屋上のドアを開けると、果たしてそこにはメールの送信者である播磨が佇んでいた。
播磨は美琴に気付くと、淀みない足取りで美琴に歩み寄っていく。美琴もまた、播磨へと近づいていく。
やがて二人は相対すると、
「ごめん、播磨!」
「スマネェ、感謝するぜ!」
二人同時に頭を下げた。
『は……?』
声も二人同時に洩れた。
「播磨…えーと、何の話だ?」
「イヤ、オメェこそ何でいきなり謝んだよ?」
「あたしは……あの時勢いに任せてちょっと言い過ぎたなー、と思って………」
「イヤ、謝るこっちゃねーよ。 俺はアレで目が覚めた。 確かに漫画を逃げ道にしてたかもしれねぇ……。
だが、今度はちゃんとやれるぜ。 オメェが言ってくれたおかげだ。 恩に着るぜ。」
「播磨……怒ってないのか?」
珍しく気弱げに播磨に問う美琴。
「さすがに言われたときはカッときたけどよ……すぐに収まっちまったぜそんなモン。」
「でも、しばらく学校に来なかったじゃねーか。」
「あん? ああ、それはな………」
そう言って播磨は、脇に抱えていた封筒から原稿を取り出した。
「コイツをずっと描いてたんだよ。 何しろすぐに描き上げたかったからよ。」
「……もしかしてそれで学校休んでたのか?」
「おうよ。」
美琴は心にのしかかっていた重りが一気に外され、心の底から安堵した。
「な、何だよ……あたしはてっきりどれだけお前を傷つけたのかと………」
そんな美琴の心情など露知らず、播磨はあっさり話を変える。
「そーだ。コイツを忘れるとこだった。キチッと洗ったぜ。」
言いながら播磨が取り出したのは、一枚のハンカチ。播磨が鼻血を出したとき、美琴が播磨に貸したものである。
「あ……それか………」
美琴はそれを受け取ろうとして、いや、と思い直した。
「いいよ、返さなくて。 お前にやるよ、それ。」
「は? 何でだよ。もらう理由なんざねーぞ。」
「いーんだよ、前にお前からハンカチもらってそのままだし。」
「?」
播磨は全く身に覚えがないのか、キョトンとしている。
「…覚えてねーのかよ。前に神社でお前が神様やってたとき、あたしの手にペン持たせるのに使ったじゃねーか。」
美琴にとっては割と大切な思い出なので、ぞんざいに扱われた気になって少しむっとする。
それを言われて、播磨はようやく脳から揮発しかけていたその記憶を取り戻した。そして、
「あー…そういやそんなことあった………ぁあっ!?」
ようやくあのことに納得がいった。
「あのこと」は3日前に遡る。
「お帰り、拳児君。」
夕方過ぎに戻ってきた播磨に、絃子はいつものように声を掛けた。
「オウ。」
返事もそこそこに自分の部屋に入ろうとする。一刻も早く原稿に手を出したかったのだ。
絃子はそんな播磨の後頭部に、抜き放ったG26の銃口を向けた。
バチンッ!
「痛ェ!!」
「返事くらいはちゃんとしたまえ。人間関係の基本だ。」
「ツ………ッ……………ただいま。」
怒りを抑えつつ返事をする播磨。しかし同時に舞い上がった状態精神状態が落ち着いてくる。
そして、忘れてはいけないことを思い出した。
「おぉ、そーだ。これ洗っとかねーと。」
そう言って、美琴から借りっぱなしだったハンカチを洗濯籠へ持っていこうとする。
「そのハンカチはどうしたんだい?」
「ああ、鼻血出しちまってよ。そのときに貸してくれたんだ。」
「ふーむ………ああ、そういえば拳児君、大分前に君にハンカチを貸したはずだが、それはどこへやったのかな?」
「へ?」
いきなりの絃子の言葉に、播磨は面食らった。そして、記憶を探っても思いつかない。
「君がハンカチもティッシュも持っていなくてあまりに格好がつかないから、私が君に持たせたはずだが。」
「………そーだっけ?」
「………」
「ま、待て! 銃口向けんじゃねーよ!! ちょっと待て。今思い出すから………」
そう言ってからしばらく考えて、
「スイマセン。 ワカリマセン。」
結局思い出せず、屈服した。
「……ふぅ…全く、君という奴は………」
呆れながら絃子は銃をしまう。予想された攻撃が来なくてほっとしたのも束の間、
「まあいい。 今度君に新しいものを買ってもらえば済むことだ。」
「な、何ィ!?」
経済制裁を宣告され、物理ダメージ以上の衝撃を受けた。
結局必死の弁明も空しく、新しいハンカチを買わされることとなったのだった。
(そ、そーか…よーやく思い出したぜ。 周防にやったんだ。 そーだよ、そもそも俺がそんなもん持ってたのが
おかしーんだよ!)
ようやく全てを思い出した播磨。そもそもハンカチが借り物だったことすら忘れていたのだから、思い出せるわけが
なかったのだ。
「ど、どーした播磨?」
いきなり叫んだ播磨に驚いた美琴が、何事かと播磨に訊ねた。
「い…いや…何でもネエ、こっちの話だ……。そんなことはいーからよ。 早くチェックしてくれねぇか?」
そう言って原稿を美琴に押し付け、強引に話題を切り替えた。
「あ、ああ、分かったよ……えーと、どれどれ………?」
------そこに描かれたキャラは、やはり播磨と天満である。もっともヒゲはなくなっていたが。
しかし、ストーリーはがらりと変わっている。前は何故かバトルやギャグが変に入り混じったラブロマンスだったのだが、
今回のはヒロインに主人公が振り回され、主人公に周りが振り回されるドタバタラブコメである。
以前よりも話としては間違いなくまとまっている、やはり強引過ぎるところは随所にあるが。
ここら辺はあとで話し合おうと思って続きを見たが、ふと美琴の視線があるキャラクターの部分で止まる。
今回新しく追加された人物、美琴の助言から生まれたツッコミ兼相談役。
背が高めでスタイルもいいが、男勝りでカラッとした感じの女の子、なのだが………
「何か、どっかで見たことあるよーな気がするんだけど………」
「ああ、コイツか。 どんな感じの奴がいーかなーって考えたんだが……何かオメーのイメージが浮かんできたから
オメーを元にデザインしてみた。」
「………………………あ、あたしかーーーーーッ!!?」
第3話 END
423 :
アモル:06/02/18 23:50 ID:xXHzhzFY
以上で終了です。
元々はもっと短い話だったんですが、思いついたネタを書き足していたら
今までで一番長くなってしまいました。
当初の予定では、道場の子供達なんて欠片も出ませんでした。
こういうことやってるから遅れるんですが、思いついたものを使わずにいたら
今度いつ使う機会があるか分かりませんし、勿体無いので。
次回はいよいよ前半の山場(のつもり)、体育祭編です。
・・・そう、まだ前半です。長々とやって申し訳ありません。
しかもこれから就職活動で忙しくなって、更に書く時間が・・・
呼んで下さる方々、気長に待ったって下さい。必ず書きますから。
待つといえば、雪合戦の続きまだかなあ・・・?
リアルタイムだ。GJ。
↓以下、また自分の立場が分かってない一部のアホ共のオナニーが続きます。
|↑
└┘
GJ
上手くまとまっています。
今後沢近・八雲の三つ巴になるんですかね?
>>423GJ
少し長めだけどテンポがよくサクッと読めた。
気長に待つよー。
子どもに見せたのは周防っぽくていいアイディアだと素直に思ってしまった。
周防いいヤツだな。
GJ!
原作を劣化させただけって感じ。
だたキャラの役割入れ替えただけで展開が同じだし。
無駄に長いだけで内容が薄い。
GJ
>424 425
www
>>426 八雲はアシスタントの立場取られたらもはや絡みないよ
>>423 鉛筆の上に旗がついているのを姉が使っているという状況になるわけだな
またS3'の雑談が流されてる。
アレは一体何がしたいんだろうな。
保管庫って更新止まってんの?
一昨年からSSが・・・・・・・
悪意の篭もったSSは読みたくない。
もう次スレいらなくないか?
まだスレの半分に達してないのに次スレの話かよ。
もう少し落ち着けって。
ここの住人はとりあえず播磨がモテればそれでいい奴ばっかしだなw
これじゃあSS師の質も下がるってw
昔は播磨以外のメインキャラのSSとかモブキャラのSSとか投下されてたんだけどな。
このスレ住人の団結力で播磨モテモテSS以外は全て排除してきたからこそ、
ここは播磨信者にとって最後の楽園となったわけだ。
ここ以外で超姉や鉛筆や携帯なんて話しても馬鹿にされるだけだし。(嘘だと思う人は実際に本スレで話題をふってみると吉)
その三つは元からネタ派閥だったのに
いずれもそれを本当に成就させたい痛い信者が現れたことがあるからな
ハーレムSSでも、美琴が播磨に惚れる時の描写は酷いものが多い
不良に襲われて、都合よく播磨が登場して、格好よく撃退して、ポッ
こんなのばっかりだもんなぁ
超姉はともかく、鉛筆や携帯はうるふ氏、クズリ氏が書いておられるよな。スクランSSのトップクラスの上手さを誇る二人がそのネタ派閥に属してるってのは面白いところだぜ。
個人的にはクズリ氏が現在執筆中の鉛筆?SSがどうなるか楽しみ。不良が出てきてないだけでも十分だ。
あとS3が何かすっきりしたな。
>>445 クズリ氏はなんでも書くよ。別に所属なんかしてないだろうに・・・
そういえば原作のおにぎり話だと播磨がヘタレになるからつまらんという意見があるが、
超姉の播磨はお世辞にもカッコイイとは言えない気がする。
そのわりに支持されてるんだよなあ。超姉の人教えて
>>447 絃子先生がカッコイイから。播磨はヒロイン。
>>447 マジレスすると、超姉の播磨は『播磨らしさ』があると思うんだ
最後はヘタレるとしても、一応は反発して見せるあたりとか
なんでもかんでも八雲に頼りっぱなしのおにぎりのヘタレぶりとは全然違うよ
450 :
449:06/02/23 21:34 ID:r43nHaUY
『播磨らしさ』って何?っていうツッコミが
おにぎりの人からきそうだから
「神で魔王なトコロ」と言っておく
妄想で昇華したキャラと原作とじゃ、そりゃ天と地ほどの差が出て当然だわな。
何を得意げに言ってるのやら。
S3、取り敢えず荒しの削除はされたのね
大分マシになったな
播磨らしさってのが神で魔王なトコロなら、播天も旗もおにぎりも大差ないんだよな。
ベクトルが違うだけで。
好きな女の前でヘタレて、突っかかってくる女にヘタレて、世話になってる女にヘタレる。
>>451 超姉も原作準拠だよ?
つ中華と病院
何を得意げに語っているのやら
んな数少ないうえに遥か昔の話をもってこられても。
自分の基準で「らしさ」決められたって「馬鹿じゃねーの」としか言えんよ。
播磨は女性と会話しただけでカップルになれるんです(><)
>>455 何も泣くことないだろ…
あとごめん、よく考えたら俺超姉じゃなかった(><)
こんな派閥闘争をしてるから廃れたんだな。
播磨は会話したことのない女性でもカップルになれるんです(><)
皿洗いや凧揚げを見るに、播磨反抗→結局言うことを聞く
というのが超姉の基本なのかね。でもそれって旗と同じだよな。
>>456 うむ
レポーター(入社2年目)とはかなりラブラブだよな
>>462 携帯SSなんてものさえ書ける職人がいるんだ。
そのSSも書けるにちがいない。
播磨「アーキー」
レス増えたから投稿あったかのかと見てみたら・・・
お前ら、雑談は支援スレでしてくれよ
>>464 晶「何、拳児?」
ありえんだろwwwwwwwwwwwwww
>>468 それ俺も見た時爆笑したよ。
この天然ぼうや実は鉄壁の守りじゃねーとねw
最近、携帯SS・鉛筆SSに腹が立ってきた。
やつら節操がなさすぎるぜ。
播磨がお嬢や八雲以外を好きになるなんてあり得なさすぎる
それだったら天満以外を好きになること自体おかしいだろう。
まあここはIFスレなんであまり多くは語るまい……
晶や美琴が花井以外を好きになるなんてあり得なさすぎる
面白ければそれでいいよ。そのためのSSだ。
あり得ないをあり得るに変えるのが「IF」スレだろ。
ハーレム厨の願望を叶えるのが「IF」スレ。
しかし(敵対派閥厨除く)誰もが納得できるハーレムを書けるSS書きなんぞ
プロでもない限り無理だろ
一定のレベルに達してりゃ満足させられるかは二の次でいいと思うんだけどねぇ。
書き手のレベルに読み手が合わせてやれれば一番平和だと思うんだけど、
頑固な奴のせいでエロパロスレも酷い有様。
せめて原作が終わってからこんな状態になって欲しかったな…。
スレの空気悪くなるから派閥名まであげて叩くなよ
確かにどの派閥の作品をどう評価しようが読者の勝手だが、
作品の善し悪しに触れないんだったらソレをいちいち書き込む必要はない
大体どの派閥のSSを書こうが作者の勝手なのに、内容に触れずに叩くのはおかしい
自分の嫌いな派閥の作品にはリアリティを感じられないのは仕方がない。
それらが不快なら読まなければいい。もとから全員が納得するようなIFなんてない。
あくまで二次創作なんだから悪く言えばどれも偽物と言えるので、そう判断すればよし
叩いてるやつの派閥はわからないけど鉛筆にも携帯にも縦笛や茶道部、
もちろん旗やおにぎりには出せない良さがあるはずなんだよ。
どのキャラも絡むキャラが違うだけで色んな一面が見れたりするよな
もしもあのキャラとこのキャラが絡んだらどうなるんだろう?
そんなIFを楽しむのがこのスレのよりよい楽しみだと思うんだが
480 :
479:06/02/27 00:01 ID:wWjO/yuM
連投ごめん
↑でIFスレの楽しみ方語っちゃってるけど、
あくまで俺の言った楽しみ方は楽しみ方の一つね。他にも色々あるしな。
それが全部みたいな言い方してごめんよ
>それらが不快なら読まなければいい。
叩きレスに関しても同じことじゃないの?
不快なら読まなければいい。
卵が先か鶏が先か。
どっちにしたってしなきゃいいだけの話だ。
「スルーすればいい」を盾にしてりゃ何したって良いわけじゃない。
その辺を絶対的なものと考えて凝り固まった思想する連中がやけに増えたな。
そうそう、2chに投稿しなきゃいいだけの話。
後先全く考えない馬鹿の考え方だな。
叩きが増えれば投稿数が減る。
自分の首も絞まってんのになぜきづかん
締るのはお前の首であって、自分の首ではないからだろ。
ゴミが減って良かったよ。
>>485 馬鹿か?
むしろてめェみたいなゴミクズが増えてんじゃねーか、デブニート。
そもそもまっとうな読み手なら
作品が投下される前の段階で書き手に文句を言うとかおかしいだろ
ただの嵐が辛口ファンを装ってるだけだ、スルーしとけ
490 :
Classical名無しさん:06/02/28 01:57 ID:IUktXyZA
?
>>489 流石は負け豚w
説得力があるwwwww
もういいから他所でやれ。自演だろうと思うが。
播「お嬢、今日、誕生日なんだってな。今日ぐらい何か欲しいもんやるよ。
もちろん、俺に出来る範囲だかんな。」
沢「別にいいわよ…」
播「そうか、そういうんならかまわねえな。そんじゃ俺は帰るぜ。」
沢「待って、やっぱり、一つだけ欲しいものがあるわ。」
播「ん、何だ?いってみろよ」
沢「アンタをよこしなさいよ///」
ただ誕生日おめでとうって言いたかっただけなんです…
お嬢可愛いよ
流れを変えてくれて嬉しいと思ったが、またこれでアンチ旗の馬鹿なオナニーが続くんだな・・・・
まぁ気にせずにな。
播磨「お嬢が誕生日だと?チッ、何かやらねえと文句言うだろうし、面倒な女だ!
…だが、どうするよ。あいつは金持ちのお嬢だぜ。金額的なモンに頼った所で鼻で笑われるに決まってるぜ…」
沢近「誕生日のプレゼント?」
播磨「塚本達が話してるのを聞いてな。ま、一応くれてやろうかと」
沢近「い、いいわよ、別に!あんたにそんなのもらったなんてみんなに知られたら、何を言われるか…」
播磨「バカにしてんじゃねえぞ。たしかに俺は貧乏でお前が満足するようなプレゼントは用意できねえかもしれねえ。
だがな、気持ちだけは誰にも負けねえ!」
沢近(えっ…それって…そういう意味…?)
播磨「とは言っても似顔絵ぐらいしか用意できなかったわけだが…ま、ささやかな気持ちとして貰ってくれや」
沢近「…これ、アンタが描いたの?」
播磨「あ、文句あるのか?」
沢近「別に。ま、ヒゲにしてはなかなかね。これならもらってあげるわ」
播磨「グッ、オメー相手に描いたのが勿体無いぐらいの傑作を前によくも…」
沢近「でも…まあ…嬉しかった…かな。ヒゲ、アリガトね…じゃ、じゃあね!」
播磨「ブツブツ……あっ、行きやがった!ろくに礼も聞いてねえぞ!
アレはホントに、久々の傑作だぞ!あの出来なら今度こそジンガマにだって連載できるって質なのに…!
ってか、何で天満ちゃん相手じゃねーのに傑作描いちまってんだよ、俺…」
二次創作自体が作者のオナニーだと思うが。
煽りは誰のためにもならんから止めてくれ。
それでは流れを無視して、お嬢の誕生日になぜかバレンタインSS投下しますね。
2月14日。
この日ほど、多くの男たちに憎悪されている日は、他にはないのではないか?
12月24日もあるが、勝ち組負け組がくっきり色分けされる日という意味で言
えば、2月14日のほうが上だ。
そして、負け組に組み込まれた上に、この日に生を受けたと言う皮肉な運命を背
負った男がいる。
吉田山次郎。
それが彼の名だ。
その日、ふだんより遅く登校してきた彼は、一片の期待も抱かずに下駄箱をあけ
た。
しかし、そこに一対の上履き以外の何物もないのを確認すると、やはり小さなた
め息が漏れる。
「ふん」
小さく鼻を鳴らして乱暴に上履きをざら板に叩きつける。
スニーカーを下駄箱に放り込んで両足を上履きに突っ込み、周りの生徒たちに意
味もなくガンを飛ばしながら肩を揺らす。
そんな彼に畏怖の視線を送る生徒など、誰もいなかったが。
とぼとぼと廊下を歩き始めたとき、彼は誰かに肩を突付かれる感触を覚えて怒鳴
りながら振り返った。
「んだ、ゴルァ! ほあっ!?」
奇声とともに絶句した理由は、自分を呼び止めた相手があまりにも予想外だった
から。
背の低い吉田山からすると見上げるほどの長身。
惚れ惚れとするようなスタイル。
当たり前だが日本人離れした美貌。
そして、両肩に流れる金色の川。
「さ、さ、さ……」
言葉もなくどもる吉田山を静かに見据えたまま、彼女、沢近愛理は小さく顎をし
ゃくった。
「少し、いいかしら?」
その言葉に、吉田山がブンブンとうなずいたのは言うまでもない。
連れて行かれたのは視聴覚室の前。
廊下の隅にあるここは人通りも少ない。
体の後ろで両手を組んだまま、黙り込んだ愛理にたまりかねて、吉田山は自分か
ら切り出した。
「あの……なにか?」
「えっと……」
愛理はいつになく気恥ずかしげに視線をさまよわせ、やがて、意を決したように
それを差し出してきた。
「これを……」
「へ?」
愛理が差し出したのはかわいらしい包装紙に包まれた長方形の小箱。
大きさはちょうど手のひらに収まる程度。
「えっと、これは……?」
「迷惑?」
上目遣いに言ってきた愛理を見て、吉田山の心臓はほんとうに飛び出すのではな
いかと思うぐらいに跳ね上がった。
千切れそうなほどに激しく首を振り、震える手を差し出す。
その手が、箱に触れる寸前だった。
愛理が不意に手を引っ込めたのは。
「あ、あの……」
絶句した吉田山を斜視で見て愛理は言う。
「やっぱり、いい。自分で渡すから」
「は?」
つっときびすを返し、愛理は思い出したように振り返って言う。
「このこと、ヒゲに話したら、許さないからね」
立ち去っていく背中が見えなくなってからようやく気付いた。
愛理が自分に何を望んでいたのかを。
「ちっくしょお!!」
吉田山は吼えながら壁に拳を叩き付けようとして。
そして寸前でびびって手を引っ込めた。
昼休み。
吉田山は一方的に宿敵と決め付けている播磨拳児と、机をはさんで相対していた。
いつも雄弁とは言いがたい彼だが、今日はいつも以上の仏頂面。
それを見て吉田山は確信した。
まだ愛理のチョコは彼に渡ってはいないと。
どんなに彼が硬派を気取っていようと、あの沢近愛理からチョコを――それも見
た限りでは本命っぽい――をもらって平静でいられるわけがないのだから。
そう思いながら恐る恐る探りを入れてみる。
「播磨さん、今日の収穫はどんな感じで?」
「ああ?」
怪訝げにこちらを見たあと、播磨は意を察したように言ってきた。
「ああ、チョコレートか。一応一個もらったぞ。義理だけどな」
「そうなんすか? 誰から?」
「妹さんから」
「妹さん?」
問い返して吉田山は気付いた。それが誰を指しているのかを。
塚本八雲。
沢近愛理と人気を二分する矢神高校のアイドル的存在にして、クラスメイトの塚
本天満の妹だ。
吉田山は思い出す。一時期播磨と八雲のことが噂になっていたことを。
それを考えると、ただの義理チョコではあるまい。
不意に吉田山は思う。この男は何様のつもりなのかと。
沢近愛理と塚本八雲。吉田山が逆立ちしようがなにしようが、指一本触れること
すら許されない美少女二人からチョコを差し出され――正確には愛理からはまだら
しいが――なおかつ不機嫌でいられるこの男はいったいなんなのかと。
思いながらも怒りを押し殺して吉田山は笑顔を作る。
まずは敵を知ることだ。
「播磨さん、隅におけないっすね。そういえば、沢近さんとも仲いいっすよね」
「ああ?」
眉をひそめていつもの四人組で固まっている愛理のほうを見やって播磨は言う。
「仲なんざよくねえよ。あいつが勝手に絡んでくるだけでよ」
贅沢なことをと、湧いてきた殺意を笑顔の裏に隠して吉田山はさらに言う。
「でも、話すようになったきっかけとかあるんすよね?」
「ああ……」
天井を見上げて播磨は言う。
「あんときか。あいつが傘もなしに雨に濡れててよ。ほんの気まぐれで傘に入れて
やったんだけどな」
「それ、相合傘って言うんじゃ?」
「バカかおまえは? 傘に入れてやっただけだ」
それを相合傘って言うんじゃねえかと内心で突っ込みながらもそれはもちろん口
には出さず。
吉田山はそのビジュアルを想像した。悔しいが、絵になるとは思う。
不良とお嬢様というカップリングは昔から定番でもあるし。
(そのとき、通りかかったのが俺ならよ……)
そう思いながら吉田山は歯噛みする。と、窓の外を見ながら播磨がつぶやいた。
「なーんか雲行き怪しくなってきたな。傘持ってきてねえんだが」
「そうなんすか」
言いながら吉田山はほくそえんだ。なぜなら、彼はしっかりと傘を用意していたから。
結局、なんの収穫もないままに放課後がやってきた。
下駄箱の中には、もちろん下履き以外の何もなく。
靴を履き替えると吉田山はひとり校門をくぐる。
いつもよりもカップルが目に付く気がして、彼は舌打ちした。
と、そのときだった。ポツンという感触とともに頬に冷たさを感じたのは。
「お?」
手のひらを上に向けると、そこに水滴が生まれた。
「降ってきやがったな」
呟くうちにたちまち雨が勢いを増してくる。
町行く人々がパニックになるのを横目で見ながら、吉田山は鞄から折り畳み傘を
取り出した。
「へ、負け組どもがよ」
優越感を覚えながら傘を開き、吉田山は商店街を歩く。
天気予報にもなかった不意の雨だけに、おのおのの店の軒先には雨宿りする人影
もちらほらと見える。
「へん。そういや播磨のやつも傘持ってねえとか言ってやがったな。今頃は慌てふ
ためいてやがんだろ」
鼻を鳴らしたとき、車道をはさんだ向こう側に吉田山は見つけた。
雨を逃れたのだろう。金物屋の軒先には不釣合いな美少女。
ほっそりとした均整の取れた体躯に美しい金髪。
だが、吉田山は気付いた。その愛らしい顔が、いつになく沈み込んでいることに。
そして、彼女、沢近愛理が胸に抱いているのは見覚えのある包み。
「渡せなかったのか……」
思わず吉田山は声に出して呟く。そして思った。千載一遇のチャンスではないか
と。
唾をひとつ飲み込み、吉田山は二人をさえぎる車道へと足を踏み出した。
「沢近さん……」
「吉田山君……?」
「あの、よかったら一緒に」
おずおずと傘を差し出すと、はにかんだように微笑んで、愛理が傘の中に滑り込
んできた。
「優しいのね」
「クラスメイトなら当然だから」
静かに答えると、愛理が不意にあの包みを差し出してきた。
「あの……これ、受け取ってくれる?」
「え? でも、これは播磨さんの……」
「もういいの。あなたに受け取ってほしい」
「沢近さん……」
「吉田山君……」
愛理と視線が絡んだ瞬間、けたたましいクラクションが響き、ようやく吉田山は
妄想の世界から帰還を果たした。
その眼前を、青いスポーツセダンが無駄に大きな排気音を残して通り過ぎていく。
「だあ、くそ、しっかりしろ、俺」
自らの頬を叩き気合を入れた。現実世界の愛理のほうはこちらを気にするそぶり
もなく、じっと胸に抱いた包みを見つめている。
もう、迷いはなかった。好きな女の子が、あんな顔をしている。
下心の有無とは無関係に、ほうっておくことはできない。
静かに愛理に歩み寄る。目の前まで来ても、彼女はこちらに気付く様子もない。
「沢近さん」
意を決して声をかけると、初めて愛理がこちらに視線を向けてきた。
「あ……」
彼女が小さく声を発した瞬間、吉田山はありったけの勇気を絞り出した。
「あ、あのよかったら一緒に!」
目をつぶって傘を全力で前方に突き出す。そして次の瞬間だった。
ゴツンというような感触と彼女の悲鳴が聞こえてきたのは。
「あ……」
何が起きたのかは容易に想像がついた。それだけに、まぶたを開くのが怖い。
「あんたねえ……」
怒りを押し殺したような声が頭上から響いてくる。
恐る恐る瞳を向けると目に入ってきた。
赤く染まったおでこと、その両側で怒りに燃える瞳。
そしてぐっしょりと濡れた金髪。
全て、自分の傘が愛理のおでこを直撃した結果だというのは火を見るより明らか
だった。
「あの……」
あとずさる吉田山に愛理が詰め寄ってくる。
愛理のほうから自分に近づいてきてくれるなど望外のきわみだが、こんな事態は
想定範囲外だ。
唇をゆがめ、愛理はポキポキと指を鳴らす。
「さ、沢近さん、落ち着いて……」
「なにやってんだ、おめーら?」
第三者の声が割り込んできたのはそのときだった。
「ヒゲ!」
「播磨さん!」
二人の声が重なる。愛理は胸に抱いていた包みを慌てて背中に隠し、同時に前髪
を直して赤くなったおでこもごまかす。
傘代わりに鞄を頭上に掲げた播磨を斜めに見て、愛理はやや口ごもりながら言う。
「おまえらとか失礼ね。気が付いたらこれが、目の前にいただけなんだから」
「これって……」
絶句した吉田山をよそに愛理は続ける。
「ヒ、ヒゲ。あんた、傘ないの?」
「見ての通りだ」
「それなら、その……入っていかない?」
言っておずおずと傘を差し出す愛理。
「お? だけどよ……」
「なによ、私とじゃ不満?」
「そういうわけでもねえけど」
「それに、その……用事もあるのよ」
「用事? なんだそりゃ?」
「歩きながら話すわ」
「ちっ」
舌打ちすると、播磨は乱暴に愛理の手から傘をひったくった。
「行くぜ」
「う、うん」
はにかんだようにうなずくと、愛理が傘の下に滑り込む。
そしてもはや吉田山のことなど眼中にもなく、二人は歩き出した。
「あんま、近づくな」
「だって、濡れちゃうじゃないの」
「仕方ねえなあ」
「ねえ、ヒゲ。私ね……」
二人の影が雨に煙る街角に溶け込んでいく。
それを見つめながら吉田山は呆然と考える。沢近さん、傘持ってたのかとか、あ
の傘の柄、どこかで見覚えあるなとか。
二人の姿を最後まで見送ったあと、吉田山はようやく気付いた。自分の手から、
傘が消失していたことに。
雨足が強さを増してきた。
金物屋の軒先で、どれだけ立ち尽くしていたのだろうか?
もう、吉田山は覚えてもいない。
と、ひとりの少年が傘を差して歩み寄ってきた。
180cmを超えそうな長身とバランスの取れた端正な顔立ち。
吉田山が欲しいと思っている全てを持っている男。
そして彼こそは、吉田山に傘を持っていったほうがいいと助言してくれた男。
「なにやってんだ、兄貴?」
「……別に」
言って吉田山は弟の手にぶら下がっているトートバッグを見た。
それは重たそうに膨らんでいて、思わず吉田山は毒づく。
「大漁だな」
「まあね」
彼はしゃあしゃあと答えて吉田山の肩を叩いた。
「兄貴は?」
「俺だってよ……」
吉田山は胸を張って言う。
「さっきまで、学校で一番かわいい娘と話してたんだぜ。邪魔が入らなかったら、
絶対チョコもらえてたんだ」
「へえ、やるなあ」
感心する弟に胸を張ったとき、ひとりの少女がトコトコと歩み寄ってきた。
「あの……これを」
中学生だろう。黒髪のポニーテールがよく似合う、なかなかに愛らしいその少女
がチョコを差し出した相手は……もちろん吉田山では、否、次郎ではなかった。
「ああ、ありがとう」
にっこりと笑って彼はそれを受け取る。ペコリと頭を下げて駆け去っていく少女。
呆然と立ち尽くす吉田山に、バツが悪そうに弟が言ってきた。
「食べる?」
「いらねえよ!」
差し出されたチョコを押し戻して吉田山は言う。
「もう決めたんだよ。来年こそは必ずゲットしてみせんぜ」
拳を握って、吉田山は雨空をにらみつけた。
「沢近さんから、義理チョコをよ!」
吉田山は自分自身に誓った。
〜Fin〜
終了です。
最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
お嬢の誕生日に、吉田山を生贄にしてみましたw
日本人離れした美貌って表現、なんか白人コンプ丸出しに見える時もあるから嫌い(´・ω・`)
あと沢近と八雲が矢神を二分するアイドルとかいうのもうさんくささが増す(´・ω・`)
沢近は他人の傘を盗むような非道い娘さんじゃないよね(´・ω・`)
弱い者を貶めるのを強さとは言わないよ(´・ω・`)
的確な意見だけど顔文字使い杉
それに吉田山は実家を出てから遠くはなれた矢神高校に単独で通っているので
兄貴と会わないんじゃないか?
吉田山カワイソス
隣子から義理もらえなかったのね。
>>507 誰かを生け贄にしてまでカップリングを成立させたいのかこの下郎。
引き裂かれて塵となれ。
どうせなら下克上でいってほしかった
吉田山の場合、沢近と会話できただけで破格の扱いだろ。
文句言ってるやつは吉田山みたいな負け組、及びおにぎりってとか。
うわ播磨厨の出現だ
>>514 2行目要らないから。派閥闘争起こしたいなら他所でやってくれるか。
まあ、いいんじゃない?
時期外れで見飽きたネタだったけどさ。
GJ。
時期外れって、あんた。
本編もバレンタインやんか。
ここ二週分見てないから分からんのだけど、バレンタインより修学旅行のほうが先じゃないのか?
てっきり修学旅行が先にあるものだと思っていたけど。
ところがどっこい、今週バレンタインでした。
まぁ、春のうちなら3年でも有りなんだろうけど、3年編があるとは…
夏以降の展開の停滞振りを見ると三年編は無いだろ
二年で終わるからやりたいこと全部やって
その弊害で519が言うようなぐはぐが生まれてるんだろうけど
>>520 thx
じゃあバレンタイン後か、卒業式の後か、三年になってからのどれかになるわけだ。
2/14 バレンタインデー
↓
3月上旬 卒業式
3月下旬 終業式
の流れの中で、矢神高校の試験体系からすると三学期制だと思うので、二月中に期末試験が行なわれるのか。
更に、二年生の内に修学旅行があるとすると、二年を受け持つ教師は死んでしまうな。
新学期の準備もあるだろうし、生徒の成績をまとめなければならないだろうし。
修学旅行はすっ飛ばしたんじゃないの?例によって
そこはそれ「脳内補完」w
来週になって「楽しかったねー!」とか言ってるわけかw
スクランだとありえないといえないところが怖いなw
うちはバレンタインデー→終業式→修学旅行だぞ
あながちちぐはぐとも言えないような
うちはバレンタインデー→修学旅行だぞ。
二年のうちに。
すっと飛ばされてないことを祈る
修学旅行海外だったからテロ情勢もあって
先輩は2月くらいに行ってたな。
書きたくなったので書いてみました。
まだ途中です。
書くのは初めてなので変なとこ悪いとこの指摘お願いします。
昼休み、塚本八雲は屋上にいた。
聞こえてくる声に耐えきれなくなってのことである。
どうして自分にはこんな力―枷と言うべきか―があるのだろうか。
この枷がなければ私も男の人と接することができたのだろうか。
どうしようもないとは思いつつそんなことを考えていた。
そしてこんなことを考えるのは何度目だろうか。そう思いため息をついた。
沢近愛理は屋上へ向かっていた。修学旅行のことで播磨を捜しにである。
屋上の扉を開けた。しかし播磨はいなかった。かわりにそこには八雲がいた。
八雲は屋上の扉が開いたことに驚いた。そんなに人が来る場所ではないのだ。
男子だったらどうしよう、教室に戻ろうかな…でもやっぱり教室にも戻りたくない…そう考えていた。しかしそこにいたのは愛理だった。
「ヒゲ知らない?」愛理は屋上を見渡した後八雲に尋ねた。
「今日は見てないです」
「そう…ありがと」
「いえ…」
そう言葉を交わした後、愛理は八雲の隣でグラウンドを眺始めた。
そんな愛理を見ていてふと思う。
私に枷が無かったら先輩の様に男子達と接することも出来たのだろうかと。そうする必要はないのだけれど、そういう『もしも』を考えていた。
「何かあったの?」
八雲が何か悩んでいること察したのか愛理が尋ねた。
八雲は少し迷ってから言う。
「どうして先輩はあんな簡単に男の人と接することが出来るんですか?相手が変なことを考えてるとか不安になったことはないんですか?」
まだここまでしか出来てません
初めてでその上携帯なので投下するまで長さがよく分からんです。
早めに書ききりたいです
播磨を登場させるべきか悩んでるんですがどっちがいいですかね?
では失礼しました
たぶん、制限は30行。
出すかどうかは人に聞くもんじゃない。
うわーとってもおもしろい
このちょうしでどんどんがんばってください
ぐっじょぶです
おにぎりSSですか?
ワクテカして待っています
>>532 今のところ文体にも問題はないし、『面白そうかも』と私は思えるな。
できれば携帯からじゃなくてPCから投稿して欲しいな。
ある程度まとまった投稿の方が、あなたの後のSS書きさんにも優しいし。
楽しみにしてます。
531続きです。
すこし後半急いてしまった気もしますが投下します。
愛理は即答した。
「無いわ、変なことしてきたらすぐ帰るもの」
八雲は少し焦った。自分を否定されたような、そんな気持ちになった。
「でも…実際に実行しないだけで、頭の中ではどんなことを考えているのかわからないじゃないですか… 」
だから自分には分かるから、だから男の人と接することが出来ないんだ。そういう気持ちを込めて八雲は言った。
「分かるわよ」
その言葉に八雲は驚いた。その様子を見ながら愛理は続ける。
「何考えてるかなんて分かるに決まってるじゃない。」
その言葉に八雲は驚く。そして尋ねる。
「どうして分かるんですか?」
「だって男なんて単純じゃない。貴方は分からないの?」
違う、私には分かるから、分かってしまうから、私は男の人と接することが出来ないんだ。そう八雲は思う。そう言いそうになる。
しかし口には出せない。自分はどうしてこのことを秘密にしているのだろうか、それすらも分からなくなってきた。
八雲が何かを言おうとして踏みとどまり、何かを悩んでいるのを見て愛理は更に続ける。
「何考えてるか分からない人なんてそっちのほうが不安じゃない。考えてること分かるほうがよっぽど楽よ。あんまり変なこと考えてたらさっさと帰ればいいんだもの」
八雲は動揺した。どうしてこの人はこんなに堂々としていられるのだろうか。何故不快に感じることがあっても男の人と接するのだろうか。
訊くべきか悩んだ。ひどく失礼なことを訊いている気がする。しかし止めることは出来ずに訊いてしまった。
それを聞いても愛理は怒らなかった。八雲の心の中で葛藤があったことを感じていたから。八雲が真剣であることを感じていたから。
「楽しいからに決まってるじゃない、確かに嫌なこともあるわ、でも楽しいこともあるでしょ? 貴方だってヒゲと楽しそうに話してるじゃない」
確かに播磨さんとは平気で接することが出来る。不快ではない、楽しい。八雲は思った。そして考える。
(どうして播磨さんだったら平気なんだろう。心が読めないのに不安じゃないんだろう。違う、確かに心が読めなくて不安になることはある、それでも播磨先輩は平気…どうして?)
「そういえばヒゲは何考えてるんだか分からないのよね、馬鹿だから何も考えてないのかしら…」
八雲が考えていると愛理が笑いながら言った。
(先輩にも播磨さんの考えていることは分からないんだ…でも播磨さんといるときの先輩は楽しそう…どうして?)
「先輩は播磨さんと話をするときも不安ですか?」
愛理は突然の質問に驚いた。
「そういえばヒゲは何考えてるか分からないけど大丈夫ね」
そう答えた愛理はどこか楽しそうだった。
その後は二人とも何も言わなかった。
チャイムがなったので「またね」と言って愛理は教室に戻り、後を追う様に八雲も教室に戻った。
午後からの授業にも八雲は集中できなかった。
昼休みのことをずっと考えていた。
考えている間も男子の心の声が聞こえてくる。何故だかいつもほど不快ではなかった。
そうしているうちに学校も終わり八雲は家に帰った。
家に帰っても八雲は考えることをやめられなかった。
夕食を作りながらも止まらない
(どうして播磨さんは平気なのか、先輩も平気だと言っていた。播磨さんは何なの?)
そんなことを考えてても料理を失敗しないのが流石である。
そして夕食のときに天満が言った。
「今日烏丸君がね、河童貸してくれたの!」
八雲には何のことだかさっぱりだったが、ふと思った。
(そういえば烏丸先輩も何を考えているのか分からない、だけど姉さんは平気で、そして楽しそうに烏丸先輩といる。どうして?好きだから。)
そういうことなんだ。八雲はやっと分かった。私が播磨さんが平気なのはきっと好きだから、そういうことなんだ。
八雲は気分がよかった。『私は播磨さんが好き』それはベッドに入るまで頭の中でなんども繰り返し流れてきた。
ベッドに入ると八雲は少し落ち着いた。落ち着いて今日のことを考えた。そしてふと思い出す。
「そういえばヒゲは何考えてるか分からないけど大丈夫ね」
笑いながらそういった愛理を思い出す。
もしかしたら先輩も播磨さんのことが…そんな気がする。
だけど八雲に不安はない。
もしそうだとしても、私のほうが自分の気持ちに気づいた分リードしている。
そんなことを考えながら八雲は眠りについた。
これで終わりです。
最初は八雲が男の人と接するのが平気になって…と考えてたんですが、比較するとこっちのほうがしっくりくるので方向転換
投下してみると読んでみるとかなり短かったと思います。
次書くことがあったら長くしてみたい。
2ch投下どころか書き込み自体始めてだったりします。
では、失礼しました
なんてことないけどなんかいい雰囲気の八雲ですね
翌日から播磨と会うときに意識しちゃったりすんのかな
見てみたい
落ち着いた雰囲気のSSでしたよ。
書きなれたらもっと面白いSSを書いてくんじゃないかなって思う。
次回のSSも楽しみにしています。
昨日誕生日のヒトがどこまでも忘れられてる件について
何というか、ありきたりと言うかパクリと言うか・・・。
先ずは過去のSS読んでみるといいよ。
この手のSSは皆、飽きるほど読んでるのでウンザリしてるから。
540です
>544氏
スクランは殆どマガジンでしか読んでなくて、単行本も5巻までしか持ってません
なので私のキャラのイメージは保管庫のSSから来たものが大きいのでそう感じるのはそのせいだと思います。
パターンとして見ても氏のいうとおりだと思います。
次回気をつけてみたいです
(ほかの感想くれた方も)ありがとうございました
>548
>>544はただの嵐だから気にスンナ
またなんか書いてくれよ。おまいさんのは八雲がいい味で好みだ。
そうそう、批判的なのは全部荒らし。
まともな読者はマンセーしかしないはずだから気にすんな。
つーかこことエロパロでごちゃごちゃ言ってんの
>>550一人だけだろ
それぐらいスルー汁
そうそう、批判的なのは全部一人の荒らしによる自演。
マンセーレスだけ見て、他のは全部スルー汁。
553 :
540:06/03/05 19:33 ID:y.lEOMJw
>>544氏は具体的じゃなくて更に文章が雑なだけで結構な批評だと思うので参考にします。
レスはスルー出来ない性質なので
次回 八雲続きor同じ時間軸の沢近or別なの
どれにするか悩んでるので
↓にまかせます
だから書きたいもの書け。
人に頼るべき部分とそうでないものの判別くらいはつけてくれ。
555 :
450:06/03/05 20:06 ID:y.lEOMJw
>>553 いや、スルーしろって言ってんだろボケが
てめえのことなんぞ知らねえんだよ、
相手にするとスレが荒れるからスルーしろってんだよ
馬鹿か、マジで
>>556 てめェがスルーしろや池沼チンカス野郎。
ただでさえこの腐った雰囲気になってるっていうのに、
てめェのイカレた文章のせいで、キレやすい無職童貞どもがよけい吠えるだろうが。
自演乙って言っておけば良いか?
もうちょっと文体を別人っぽく見せような。
>>553 …?
もしかして「読みたいのを書くよ」って言ってますか?
その発言はあまりにもイタいので気をつけた方がいいですよ
…自分の力量がまだそれほど高くないと自覚しているなら尚更、ね
力量が高くないからせめて人が読みたいのを書くって事じゃね?
根本的になんか間違ってるとは思うけど
561 :
Classical名無しさん:06/03/06 02:54 ID:exfZD1lk
じゃ沢近
お嬢をきぼりんぐ
播磨「これは鋤か?」
沢近「ヒゲ……、好きよ」
吉田山のバレンタイン面白かったよ。こいつに軸を置くと色々見えた。
ただ、播磨のキャラが掴みにくいね。頑張ってくださいよ。
俺は亀レスが好きなんだ。
おじょーきぼん
播磨「お嬢、鋤だ」
沢近「私もよ」
播磨「くそっ、お嬢に一言文句言いてえが正直怖え…仕方ねえ、アクセントで勝負だ」
播磨「オジョー、タカービシャ、カネーモチ、ゴーマン」
沢近「?」
晶「これはとある国の言葉で、日本語に直すと『お嬢、好きだ。結婚してくれ』となるわ」
沢近「えっ…!」
播磨「ソン、ナバカナハ、ナシアル、モンカ…」
結婚か…
結婚……
結婚だな…
グッバイ、播磨wwww
結婚おめ
結婚ねぇ…
最近、鉛筆・携帯のSSがなくて嬉し…じゃなくって寂しい。
アモル氏を心待ちにしている俺ガイル
578 :
Classical名無しさん:06/03/12 05:24 ID:M2VGIhTY
……まぁ私にしては上出来だわ
大きな屋敷の中にある広い厨房で、一人達成感を感じ、面倒な片づけをテキパキこなす彼女の唇には自然と、
微笑がこぼれていた。
片づけを終え、自室に戻り、相手が喜ぶ様子を想像しながら包装用紙やリボンを吟味する。
今まで彼女はチョコを手作りすることなどなかった。毎年、有名なパティシエの作品を買い、父親や
お世話になってる人たちへ配っていた。
今年は、二月に入って毎晩一人で練習に励んだ。彼女自身、なんとなく作って、なんとなく誰かに渡そう
と思っていた。練習する前からその渡す誰かは、無意識の領域において心に決まっていたのだが。
人並みに作れるようになるには、なかなかの時間を必要とした。
初めは、そこらの板チョコをフライパンにかけて溶かし、好きな型をとればよいのだと思っていたが、その結果、
味は100円の板チョコにも劣るものであった。何度か良い方法を思案し、いわゆるブランドチョコを
フライパンにかけることを思いついたのだが、これもまた初めに作ったモノと対して差はなかった。
料理の出来る頼もしき友人に頼ろうとしたが、恥ずかしくて出来なかった。
そう、必ず誰かさんのために作るのであろうと勘違いされるからであった。あくまでも、彼女自身、作る理由は
"なんとなく"である。
結局、バレンタイン特集の本を何冊か購入し、チョコは湯銭で溶かすなど様々な知識を入れ、人並み程度に
手作りのチョコを作れるようにはなった。
もちろん、特訓してることを誰にも言わなかった。
ココアパウダーでコーティングされたほどよいブラウンのチョコを、クリアな小さくて丸い箱の上に丁寧に乗せ、
水色一色の包装用紙で包み、少し赤みがかかった、ピンクのリボンを優しく結ぶ。
「ふふっ、似合わないわね。」
包装用紙の色合いが合わないのか、彼女がこんなことするのが似合わないのか、渡す相手に似合わないのか、
どれにしても、彼女は嬉しそうに一人つぶやく。
作業を一通り成し遂げ、明日に期待を抱いて、彼女はベッドに入る。
まだ肌寒い気温であるが、窓から入ってくる太陽の光と同じくらい、スッキリ彼女は眼を覚ます。
部屋に運び込まれたイングリッシュブレックファストを軽く食べる。マスカットの艶やかな香りの
ダージリンや、焼きトマトの輝く赤さが妙に今日という日を愛でてくれてる気がした。
いつもの身支度をし、ナカムラを呼ぶ。
「これを家にいるみんなに分けてちょうだい。」
包装はされていないが、同じようなチョコが箱につめられており、少し照れた様子で彼女はナカムラにその箱を
渡し、足を玄関に運ぶ。
「お嬢様。」
呼び止めに振り向いた彼女に、ナカムラは言葉を付け足す。
「先にいたたぎました。 大変上手にできてると思います。」
いつのまにか、箱を開けて一つチョコを食べたらしいナカムラが、愛理に向かって腰を曲げた後、顔を上げると微笑んでいた。
褒められた嬉しさと気恥ずかしさを感じながら、彼女は体を玄関に向け通学路へ歩を進める。
――――美味しいって言ってたから大丈夫よね
彼女の学校へ向かう足取りは軽く、どことなくスキップ調を含んでいる。
…だが、彼女は忘れていた。作っている時の楽しさと、彼に渡したときの様子を想像して忘れていたのだろうか、
彼女は、彼を前にして素直に渡せることが出来ないということを計算にいれることを…。
学校の雰囲気は何だか浮かれている気がする…私も、浮かれているように見られてると思うと、少しは気が引き締まる。
下駄箱に、入れるのも手ね…やっぱり手渡しの方がいいかしら?でもどう渡せばいいのかしら?何気なく渡せばきっと大丈夫よね…。
あれこれ思い悩みながら靴をシューズに履き替え、廊下へ進むと、見知った二人を見つけた。
「おっ、播磨。今年、色々と頼んで迷惑かけたと思うから、お詫びにこれ貰ってくれよ!」
「まぁ、別にそんな気ぃ遣わなくてもいいんだが、一応ありがたくもらっとくぜ。サンキュウ」
ありふれた、市販のチョコを包装したらしいものを美琴が播磨に手渡す。
「――――ふっ、伏兵っ!?」
予想してない急な事に思わず声をあげてしまった。
美琴とヒゲの組み合わせが意外なようで意外じゃない気がするうえに、何とも気軽に声をかけて渡せるのが美琴らしい。
私が、どーやって渡すか悩んでいるのが、まるで馬鹿らしく思える。
「沢近、来てたのか。おはよう」
私があげた声に気付いたらしく、美琴が声をかけてきた。
「――――…おはよう」
どことなく自分の声に苛立ちが混ざってる気がしないでもない。
「義理だから心配すんなって。」
「私は、別に何にも心配してないわよっ」
気を察したらしい美琴が、ニヤニヤしながら耳打ちしてきたが、私は反射的に言葉を返してしまった。自分の表情が
鏡を見なくとも予想できてしまうことが恥ずかしい。
「お嬢、いたのか。朝からしけた面してんな」
やはり、怒りが顔からうかがえるに違いない。ただ、ヒゲの相変わらずの遠慮の無い言い方が余計に腹が立つ。
「何よ、アンタみたいにチョコもらって浮かれた顔してるよりマシでしょ!!」
「いや、別にそんな浮かれてねぇんだが。朝っぱらから機嫌悪いみてぇだが、バレンタインが嫌いなのか、お嬢?」
「アンタに、私のバレンタインなんて関係ないでしょ!」
――――言ってしまった…ついつい反射的に。作ったチョコを今、この瞬間無駄にしてしまったのだ。
「まぁまぁ、落ち着け沢近。私は沢近に用があるから、播磨は先に行っといてくれ。」
そう言って、美琴が播磨に教室へ行くよう促し、播磨は軽く頷いて歩き出して行った。
「予想以上の反射能力だわ。理論上、言語などの思考分野は大脳で行われてるから反射は不可能なはずよ…」
「あ、晶っ?」
いつの間にか、後ろでさっきの出来事を見ていたらしい晶がよく分からないことを呟いていた。
「愛理の場合、物心二元論的に言うと、体は"ツン"、心は"デレ"で出来ているから特定の人に対して
言語レベルにおける反射が可能なのね。すごいわ愛理、新人類の領域ね。それにしても、義理チョコで妬くとはね。」
「全くだよ…高野も見てないで、沢近を止めてくれれば、あんなこと言わなかっただろう」
「まぁ出来る限りこっちでフォローするから頑張ってね、愛理」
「手間がかかるけどしゃーないな。私があそこにいなかったら、こんな風になんなかったもんな。手伝ってやるから、
ちゃんと手渡ししろよ。手作りなんだしさ」
何だか二人が話を進めているけど、正直、何が言いたいのか分からないわ。まぁ検討がつかないこともないんだけど…
ただ、いくつか不明な点が存在しないわけでもないのよね。
「フォローとか手間って…?」
「愛理が、播磨君にチョコを渡せるように手伝う他に無いと思うけど…」
「まぁ播磨に関係ないとか、言っちゃったから渡しにくいと思うからさ。うちらで出来ることはするよ」
「まぁ最終的には、愛理次第だけど…」
――――ただ、理解し難い点が二つある。
私は、去年、チョコを学校に持っていかなかったから、今年も持っていかないという推測をしてもおかしくないはずだわ。
それに、手作りだってなんで分かるのよ?あと、何でヒゲに渡そうとしてることまで知ってるのよ!?
ロダンの作った彫刻のようなポーズはとっていないが、それくらい考えて込んでいるように見えたのだろうか、
または、単にエスパーなのだろうか、高野が愛理の心の中で考えてた疑問に答える。
「美琴さんが、愛理の必死に本を吟味して買ってる姿を見かけたし、まぁ私の予想通りだったわ…」
「沢近が渡す相手ってのは、予想しなくても分かるしな!」
二人に言われて、顔から火が出る思いがする…不覚だったわ、目撃されてたなんて…
ニヤリとした表情で見てくるのが、また恥ずかしさを際立てる。
「――――とりあえず、作戦を立ててお昼に実行するから、愛理は覚悟を決めといて」
そう言われた後、私は、何も言い返せなく、ただ二人に付いて行って教室へ向かった――――。
――――昼休み
天満が烏丸君にチョコを渡すため、教室を出て行った。
チョコを作ったことを、天満に知られたくなかったので、正直ほっとした。
また、いつも通り、ヒゲも昼休みは教室から出ていた。
「それじゃ、愛理、作戦プランをいくつか立てたから目を通して気に入ったものを選んで」
晶がいつのまにか作った計画書を読んでみる。
雨の中、一人寂しそうに立っている愛理。
沢 「…」
播 「お嬢どうした?傘忘れたのか。そこまでだったら送ってやるぜ。ほんのそこまでな。」
愛理を傘に入れる播磨君。ここで、八雲が彼に声を掛ける。
八 「ま、待って下さい!播磨さん…あの…チョコ作ったので…」
八雲が、播磨君にチョコを差し出す。
播 「おっ、わりぃな。妹さんは料理うめぇからな。」
八雲のチョコをつまんで口に運ぶ播磨君。
播 「こりゃ、マジでうめぇや。妹さん、送ってくぜ。傘ないんだろ?」
八 「あ、はい。ありがとうございます…」
播 「それじゃあな、お嬢。妹さん送ってくわ」
沢 「え…?」
相合傘で帰る二人を呆然と見送る愛理。
道具の準備 高野 晶 雨の演出係 周防 美琴
「って、なっ、何よこれーー!?」
晶の作った台本(?)が無性に苛立たしく感じられたので地面に叩き付けてしまった。もう一度、話の内容を思い出して
しまったので怒りが再び込み上げてくる。憤怒を沈めるために、この紙切れをゲシゲシと踏みつけ当り散らす。どっかから、
「沢近さんが壊れた。」と聞こえてきたけど、気にしない。
「おっ、落ち着けよ。沢近」
美琴の声で我に返り、呼吸を整え、晶に睨みを効かせる。
「晶、あんたねぇ〜」
「落ち着いて、愛理。私はあなたに伝えたいことがあったの。」
晶は故意に私をからかい、適当に言い訳をするのを私は分かっていた。
「人が何かを成し遂げるときに、障害ってほとんどの場合、あるものだわ。障害にぶつかった時、私は愛理にさっきのような暴走
はしてもらいたくないわ。だから、何があっても取り乱さないでやりなさい。そう伝えたかったのよ」
「晶…」
やっぱり、いざという時に考えてくれてるのね。本当にいい奴だわ。
「…でも、今朝といい、正直、愛理の嫉妬は桁はずれよ。台本に嫉妬だなんて…」
「っ、ちょっと!別に嫉妬何かしてないわよ!!」
人がせっかくいい奴だと思ってる時に、いつも余計な事が多いのよ!
「きっと、播磨君が他の人からもらってるのまた見たら大変だわ、美琴さん」
「あー、そりゃやべぇな、早く沢近も播磨に渡しちまえって」
「べ、別に、あんな奴に渡さなくたっていいじゃないっ!」
恥ずかしいからこの話題は止めて欲しい…この二人はヒゲのネタで私をからかうのを慣れているから。
「素直じゃねーなぁ、相変わらず。」
「美琴さん、愛理は渡せる自信がなくて不安なのよ。大丈夫、私が愛理に自信を持って渡せる方法を教えてあげるから。
心の準備はいい?愛理?」
私の経験からして、今度の晶が言うことは、聞いておいた方がいい気がした。晶の言う野生のカンというやつだ。
「その方法って何よ?」
「やり方は簡単よ、実践はここで行えるわ。播磨君が教室に来たとき、『ヒゲっ、これ』と言って渡すだけよ。外野が騒いでいたら、
『恥ずかしくなんかないわよ』って言えばOKよ。これで萌えない奴は旗派じゃないわ。もちろんジャージ派なんて名乗るも言語道断!
大丈夫、自信をもってやりなさい」
「最後の方、意味分からないけど、とっ、とにかく、そんなこと恥ずかしくて出来るわけ無いじゃない!!」
「おいおい、沢近も早く腹くくれよ。ほら、播磨戻ってきちまったぞ。」
ヒゲが浮ついた雰囲気をかもしながら、私が座ってる自分の席に近づいてくる。その手には二つの包装されたものがあった。
「「「あっ」」」
三人の言葉がかぶってしまう。
「あちゃ〜」
美琴がいかにも何か言いたそうな感じに声をあげる。
「ん?お嬢、席どいてくれよ。もうすぐ昼休みもおわんだろ」
「ところで、播磨君。今日はまずまず貰ってるみたいね。」
晶が、ヒゲの持ってる物のことについて話をつっこむ。
「あぁ、これか。てん…塚本と妹さんからもらったんだよ。」
「へぇ、あんたずいぶん浮かれてるわね。よかったわね、料理上手な娘からも貰えて。」
「べ、別に、そんな、う、浮かれてねーよ!つーか、普通、貰って悪い気するもんじゃねーだろ?」
「えぇ、そーね、どーせ私には関係の無いことだけど…」
何よ、八雲からもらって喜んで…あー本当にイライラするわ。
「ちょっ、沢近どこ行くんだよ!?」
どーやら勝手に立ち上がって足が動いてたらしい、だって、早くヒゲから離れたかったから。
「トイレよ…」
そして私はトイレへ向かった。一歩一歩、地面に足を叩きつけるような足取りで。
「心配だから様子見に行くか?高野。」
「そうね。急いだほうがいいわ」
誰もいないトイレで、扉に向かって何発もキックを放つ。
何よ、まったく!付き合ってないくせに浮かれちゃって!!
扉にヒビが入ってることには気が付かない。いっそ、私の心ごと折ってしまいたい。
だいたい、何でヒゲなんかに苛立たなきゃならないのよ。絶対ヒゲが悪いのよ!!!
「おいおい、沢近、恐いって。扉壊れるぞ」
いつのまにか、二人の友人が私の後ろにいた。気付かないほどに怒り狂ってたに違いない。
「愛理。素直になるための少しの勇気があれば、あなただってずっとうまくできるわ。」
「どーせ、私なんかは素直なんかじゃなっ……」
なんかじゃないのよ!と言おうとしたら、急に頭がクラクラしてきた…
「おい!沢近!しっかりしろよ。」
「保健室に運ぶわ、美琴さんはそっちを持って。」
二人が何かしているようだけど、私には何が起こっているのか理解できなかった。
「ん…」
「愛理ちゃん、起きた!?」
天満の声が聞こえる。目を開くと保健室の天井が見える。蛍光灯の明かりが痛い。
あぁ、そっか…気…失っちゃったんだ…
「愛理ちゃん、大丈夫!?」
天満の声に反応して、体を起こす。
「えぇ、大丈夫よ天満。心配しないで」
天満の隣に晶と美琴もいた。
「本当に心配させんなよ、もう学校終わってるぞ。」
「ごめんなさい…心配させて。でも、もう大丈夫よ。」
「帰りの荷物、もって来るか?」
「いいわ、自分でやるから。みんな、私に遠慮しないで、先に帰っていいわ。」
今回は、みんなに迷惑を掛けすぎた。おそらく、寝不足、怒り、暴走が原因だと思う。特に晶や美琴には申し訳なく
顔を合わせずらい…
「でも、愛理ちゃん…」
「ほら沢近は大丈夫だから。行くぞ塚本。それじゃぁな沢近。明日も体調悪けりゃ無理するなよ。」
美琴は私の気持ちを察してくれてるみたいだった。本当に美琴はいい娘だと思う。
「じゃぁ、愛理。私は茶道部に行くから。」
「ふぅ」
みんなが保健室を出るのを見送った後、ふと、ため息が漏れる。
「私も、荷物とりに戻ろうかしら。」
保健の先生はどうやら会議中らしく、保健室使用記録に色々と記入してから退出する。
茶道部に寄って行こうとも考えたが、今は正直、八雲を見たくなかったので、まっすぐ教室へ向かった。
教室はガランとしていて誰もいなかった。
「ヒゲ、帰っちゃったんだ…」
自分が包装したチョコがとても切なくさせてくる。
「どうして…素直になれないんだろ…私…」
自分の席で一人感傷的になり、机に顔をつっぷしている。
教室に誰もいないことが余計に寂しい気持ちにさせる。
「頑張って作ったのに…何で、あそこで怒っちゃうんだろ…」
「不器用だな…私…」
いつのまにか、教室に誰かが入って来てたみたいだったけど、私が暗い雰囲気を出してたからだろう、すぐに出て行った。
私にはそっちの方がありがたかったけど、誰かに元気付けてもらいたい気持ちもあった。
「はぁ…」
ため息が止まらない。いったい教室にどれくらいいるのだか分からない。
「…何度目のため息なんだろう?…」
誰もいない教室で自分に向かって疑問を投げかける。
「あん?よく覚えてねぇけど、俺がいる間は10回以上はしてんじゃねぇか?」
「っヒゲっ!?」
何で私の隣にヒゲがいるのよ!?意識がまだ完全に正常に戻ってないのだろうか…夢なのだろうか…
「ちょっと!いつからいたのよ!?」
「バイクの鍵を教室に忘れてな…入ったら、ピクリとも動かない変な金髪がいたから、死んでるかどーか気になっただけだ」
「変な金髪で悪かったわねっ!!」
「すぐイライラすんなよ、お嬢。寝不足とかストレスで倒れたんだろ?これでも食って元気だせよ」
そう言って、ヒゲは私に一袋のお菓子を渡してくれた。
「…何コレ?…麦チョコ…」
「ったく、これだからお嬢は…麦チョコも知らねぇのかよ」
「食べたこと無いけど、麦チョコはぐらい知ってるわよ!それと、貰ったチョコが明らかに義理チョコでも他人にあげるのは
よくないと思うわ。だから、これはアンタが責任もって、自分でたべなさいよ」
人から貰ったチョコを私に渡すなんて、このヒゲどーゆー神経してんのよ。私なんか義理だけど渡すのに困ってるのに…
「おい、勘違いすんなよお嬢。俺は、人から貰ったチョコを他の奴に渡すような真似はしねぇよ。これはさっき、コンビニ
で買ってきたもんだ。おめぇはイライラしすぎだからな、カルシウムが足りねぇんだ、これに牛乳かけて食っとけ。」
あぁ、そっか。教室に入って来て、出て行ったのはヒゲだったんだ。私を見て、こんなことしてくれるなんて…
「わざわざ買ってきてくれたんだ。ヒゲが栄養のこと考えるなんて似合わないわね。」
クスリと笑ってしまう、おまけにヒゲが照れてる感じが何ともおかしい。
「ただ、お嬢が倒れたら、俺に委員の仕事が増えるからだ。ただそれだけだかんな。」
「はいはい、ありがと。まさか、バレンタインデーに自分がチョコを貰うなんて思いもしなかったわ。」
しかも、渡そうとしてた相手に…
「イギリスとかは男女関係ねぇんだろ?まぁ深い意味はねぇけどな」
そっけない言い方がヒゲらしい。私もやっぱり、彼の前では作らなくてすむから心地よい。
「播磨君。本当にありがとう。」
「べ、別に構わねぇよ。そんじゃ俺は帰るぜ。」
「ちょっと待って、播磨君!その…コレ…貰ってくれないかしら?」
「…お嬢が、これ作ったのか?」
播磨君の問いに対してコクリと頷く。手作りはやっぱり気恥ずかしい。
「…わりぃが、俺が貰うべきもんじゃねぇ」
そうよね、八雲のチョコがあるんだから。比べられたら私のなんか全然ダメよね…
せっかく渡せると思ったのに…
さっきまでの元気が嘘のように感じられた。
「やっぱり…私、料理下手だからね。食べたくなくて当然よね。なんかごめんなさい。気にしないで」
いつもの得意の作り笑いをするが、涙腺からの分泌物を押さえきれそうになく、ほろりと涙がこぼれる。
この涙のせいで彼が困ってしまうことを考えてしまうと、余計に涙がでてしまう。
案の定、彼はあためふたむいていた。
「っお、お嬢。別に、そーゆーつもりで言ったわけじゃねぇんだ。」
私は、声をあげて泣かないように努力するのに精一杯だった。
「その、なんつーか、俺なんかがお嬢からこのチョコを貰うのは失礼だと思っただけなんだ。」
「えっ?」
彼の言葉に敏感に反応する。
「ほら、お嬢は、誰かに渡すために苦労してチョコを作ったんだろ?それができなかったからココにいたんだろ?
たまたま、俺に渡すんじゃなくて、渡せなかった奴にあきらめずに渡した方がいいんじゃねぇかとな…」
言えない…とてもじゃないけど、こんなこと言われて。播磨君に渡したかったなんて言えない。恥ずかしすぎる…
「まぁ、その、なんだ…。俺も渡す奴探すの手伝ってやるからよ。そいつもう帰っちまったのか?」
私はフルフルと首を横に振る。
「ん?じゃぁ部活か何かやってんのか?」
またまた、首を横に振る。
「じゃぁ、校内あたりから探すか…てか、そいつ、どんな奴だ?身長とかわかんねぇか?」
「えっと…180くらい…」
「何か、特徴あるか?」
「あの、その…播磨君。一応、その人に渡すの本命とかじゃないからね。」
「そーなんか?お嬢にしちゃぁ、緊張してるからな…てっきり本命かと思ってたけど…」
やっぱり私、緊張してるように見えてるんだ…あぁもうどうしようっ
「そのっ、私、料理苦手だから、渡す相手が心配で緊張しちゃってるだけで…別に渡す相手には緊張してるわけじゃないのよ」
「そーか、なら早くそいつ探しちまおうぜ。で、どんな奴よ?」
「…播磨君、私、自分で渡せるから、気を遣わなくていいわよ。」
「まぁ、お嬢がそういうなら…」
「えぇ大丈夫よ。これは感謝の気持ちに貰っといて。ちゃんと他に渡すものは別にあるし、気にしないで。それじゃ私は行くから!」
私は播磨君にチョコを渡して、昇降口まで走り去って言った。絶対に顔が赤くなっていたから早く立ち去りたかったのだ。
もちろん、播磨君が『あぁ、貰っとくぜ』と言っていたのはちゃんと聞き逃さなかった。
次の日。
朝食にもってこさせたものは食器と牛乳。私の持ってる麦チョコを器に入れて、牛乳を注ぐ。
スプーンですくい、口に運ぶ。食べ進めるたびに、ミルクの色がチョコレートの色に染まっていく。
まるで、私の心が播磨君一色になっていくかのように…
「おいしい」
私は、いつもより気持ちよく微笑む。
来年はちゃんと渡したい。
身長180センチの彼に…
あとがき
初めて書いてみました。スクラン本編もバレンタインですね。
底の浅い、テンポもよくなく、たいくつでオチもとくにない文章かと思います。
こーゆーとこがダメだから、こーゆー風にするとイイとか詳しく批判、批評してくれると嬉しいです。
できれば、底の浅くない、テンポもよく面白い作品が書けるように頑張りたいです。
播磨ってイイ奴だな、お嬢の事も無視したりしないしさ。
なんか俺ってば播磨の事誤解してたみたいだ。
乙。楽しかったです。
語り部が沢近のために、沢近が喋り出すタイミングが少しチグハグだったと思います。
あと扉を蹴っている辺りは、小早川伸木の妻の様で戦慄を覚えました。
でも楽しかったです、麦チョコ。
>>596さん
播磨なら落ち込んでる沢近を傘に入れてあげた経験あったので
助けるかなと思ったんですが、確かに播磨にしては世話焼きすぎたと思います。
>>597さん
感想ありがとうございます。語り部の部分ですね。良く吟味して、これからに繋ぎたいと思います。
>>598 >>596はバレスレ住人で遠回しに
「こんなの播磨じゃない」と言ってるイヤな奴だ
相手にすんな
601 :
600:06/03/12 18:55 ID:tGkDeTs2
ごめん…
俺もいらんこと言ってたorz
バ…がなんとか
GJ!
そうこれこそスクラン旗SSの真髄!
過剰なほどいがみ合っていなくて、甘々でもない
面白い作品だったと思います。
>私の心が播磨君一色になっていくかのように…
いや、素でキモイよ、君。
旗派=キモイというイメージを植えつけようとしている工作員か?
マジで勘弁してもらいたい。
派閥の下らん名誉の為に表現を制限するとか何処の帝国主義者だ貴様。
>>603が何派かはわからんが
>>604の言うとおり表現自体をキモイと言うのが良くわからない。
大体、旗派ならそう思ってもこういう場合は
もうちょい違う言い方をすると思うんだけど…
大体このくらいの表現にいちいち難癖つけてたら
中学生のssぐらいしか読めなくなるはな。
プロだってもっとぶっ飛んだ表現してるっつーのに
606 :
605:06/03/12 22:13 ID:WL4NWAIY
>中学生のssぐらいしか読めなくなるはな。
じゃなくて→なるわな…だ。
文章拙くてごめん
二月、十四日。
カレンダーを見たところで祝日の赤で記載されているわけでもない、ただ
それだけを見ればただの平日。
だがしかし。
それがただの平日ではない、ということは誰もが知るところであり、しか
してそこに祭りが形成されるのは至極当然の流れだ。
まして、それが高校という場ならば、祭りを一種通り越して騒乱に至る
ことさえ決して珍しくはない――のだが。
これもまた当然のように、誰も彼もが走り回っていることもないわけで――
「……若いっていうのはいいことだね、まったく」
やれやれ、といった口調で呟くのは、ここ――茶道部の主であるところの
刑部絃子である。もっとも、その表情は口ぶりとは裏腹に、どこか懐かしさと
親しみを帯びた、そんな色をしているのだが。
「なに言ってるんですか、まだまだ絃子さんだって若いじゃないですか」
「とりあえず、君よりは年上だよ」
あと、学校では『刑部先生』だ、もう何度目になるかという苦言を呈して、
目の前でにこにこと笑う同僚にして後輩たる笹倉葉子に溜息をついてみせる。
「それに、もう他人にチョコレートを渡すような歳でもないさ」
なあ、と。問いかけた先には、悠然とティーカップを口に運ぶ高野晶の姿。
「私に訊かれても困ります」
まるで困っていないような様子で答える彼女に、小さく肩をすくめる絃子。
「確かに、君が誰かの後ろを追いかけている姿は想像できないな」
「ええ、今のところ。でも今年も面白い絵は撮れましたから」
「……それはよかった」
そう、なにも参加するだけが祭りの楽しみ方ではない。彼女は彼女なりの
楽しみ方をしているのだろう――それが、一般的に見て少々首を捻るもの
だったとしても。
「……まあ、深く突っ込まない方が身のため、か」
「なにか?」
「いや。そうだな、その『面白い絵』の中に私が入っていないことを祈るよ」
いささか投げやりな絃子の言葉に、くすくすと葉子が笑う。
「今年も大人気だったですもんね、刑部先生?」
「君さ、絶対私の知らないところで煽ってただろう」
仏頂面の彼女の前には、デパートの手提げ袋なら丸々二つ分はあろうか、
という量のチョコレート菓子。その種類たるや百花繚乱、よりどりみどりだ。
「昔から女の子に人気ありましたものね」
「あまり喜ぶところじゃないと思うけどね……にしたって、今年はちょっと
おかしいだろ、絶対」
そう思うだろう、話を振られた晶は一言。
「では私からも」
そして、どこから取り出したのか、山の頂点に追加される一口サイズの
トリュフ。その表情は、あくまでいつものポーカーフェイス。
「……ありがとう」
「よかったですね」
「そういうことをさらっと言えるのが、君の怖いところだよ」
半眼でこぼしてから、しかし、と最初の柔らかな表情に戻る絃子。
「やっぱりいいことだよ、若いっていうのは」
ためらいなく言い切ったその言葉に、今度は葉子も口を挟まない。
「確かに自分が年寄りだと言うつもりはないさ。だけど、教師っていうのは
生徒より歳をとってる生きものでね、その分だけ違ったものを見てきてる
のも確かなことなんだよ」
きい、と椅子を軋ませ立ち上がる。歩み寄る先は光の射し込む出窓、その
さらに先には、まだまだ終わらない喧騒が満ちているだろう校舎の姿がある。
「こんな他愛のないことが、いつか重いと感じるようになる日がきっと来る。
誰だって歳をとるし変わっていく。良くも悪くも、ね」
だから、と。絃子は続ける。
「今楽しめることは今楽しんでおくべきなんだよ。じゃなきゃ、後悔どころか
そんな時間があったことさえ気づけない、」
なんてね、とそこで晶の方を見て苦笑する。
「まあ、こんな話を君にするのは、釈迦に説法だと思うんだけどね」
「いえ、ありがとうございます、刑部先生」
「礼をいわれるようなことじゃないよ。それじゃ、ささやかな課外授業は
これくらいにしておこうか」
冗談めかして彼女が席に戻ったところに。
「難しい話が終わったところで、みんなで食べちゃいましょう」
「……君ね」
何事もなかったように言ってのける葉子に、なにかを言おうとする絃子
だったが、まあいい、と結局やめにする。
「とても一人じゃ消化できないしな。本気で私に渡してくる子なんてそうは
いないし、バチも当たらないだろうさ」
「高野さん、こんなこと言ってますけどね、きっちり全員分お返し用意したり
する人なんですよ、この人」
「そうなんですか」
「あー、笹倉先生、あまり余計なことは、」
「そういえば、昔こんなことが――」
「葉子、それぐらいに――」
そして、ここでもまた小さな喧騒が繰り広げられる。例によって、それを
すかしたりさりげなく食いついたりしつつ、ちゃっかりと情報収集に精を出し
ながらも、こんな風に歳がとれるなら、晶はそんなことを思ったりもする。
「もう、それくらいいいじゃないですか」
「よくないと言ってるだろう!」
「仲がよろしいんですね」
「ええ」
「……ただの腐れ縁だ」
対照的なその受け答えを聞いてから。
「いつか先生たちみたいになれたら、そう思いますよ。本当に」
珍しく晶ははっきりと笑ってみせた。
二月、十四日。
カレンダーを見たところで祝日の赤で記載されているわけでもない、ただ
それだけを見ればただの平日。
けれど、それはやはり一年にただ一度きりの祭りの日、なのである――
GJ
>スルーよろ
こんなん余分じゃないの?
スルーうんたらってつけるのほど酷評されるから、スルーしてほしくないって
意味かと思うが。
予想されていたとはいえ、こうまでありきたりなSS投下が続くと萎えるな。
これだからイベント便乗SSは好きじゃない。
何時まで続くんだろ、この流れ。
お前個人のニーズ意識して書く奴は一人も居ないし、
第一、ありきたりであることとイベント便乗ネタは全く関係無い話。嫌なら読むな。
此処に来る以上、自分独自の妄想の形みたいなのはあるんだろうし、
文句ばっか言ってないで一度自分で書けば?
>609
GJ!
超姉はさっぱりしていながら味わい深いですな。いい話でした。
つか、ニーズなんて意識して書いてるヤツいないだろ。
自分が書きたいように書いたのを投下してるだけだろうし。
まぁ、だからオナryとか言われちゃうんだろうけど。
イベントネタはシチュが多少は限定される分、
似たような話が出やすくなる、ということじゃないの?
それとも、普段からありきたりなので、イベントがどうとか関係ない、という意味かな?
それなら分かるけど。
>自分独自の妄想の形みたいなのはあるんだろうし
ねぇよw
そんなの持ってる人の方が少ないんじゃないか?
お前のLVはNGだけどな
>>616 どんな奇抜なシチュを使おうと、マンネリな奴は何やってもマンネリだって意味だ。
個人的には文章力二の次のギャルゲ感覚で読んでいるからマンネリ上等なんだが、
それにしたって、プロですらそうは到達してないレベルを求める身のほど知らずが居るから困る。
>>609 GJ! 恋愛要素のほとんど絡まないバレンタインネタは新鮮でした。
>>618 確かに、神レベルのSSを読み慣れて目が肥えたせいか、自分がどれだけ高度な要求をしているかを
自覚していない傲慢な批評家と、それに便乗した煽らーが増えましたね。
>>607 虹の人かな?
乙でした&どうせ一月遅れならホワイトデーネタも入れれば、とか思ったり
ビターチョコのように甘すぎない、適度なお味でした
パクリなんて普通は誰でも避けるものなんじゃないの?
一体どこが高度な要求なのかと
それだけ言ってるんじゃないんだよ。
本当に改善してほしい気があるんだったら何処がどう問題なのか書くのが定石だろうが。
抽象論なんざ厨房でも出来る。
読んでツマランから、ツマランとレス。
それだけの話だろ。
別に書いてヤツにアドバイスしてる訳じゃないないんだし。
で、高度な要求してるレスってどこにあるの?
>>623 まぁ物は言いようというのがあってな…
読んでただ単につまらんと思ったんなら、それは自分の心にでも仕舞ってこのスレを閉じればいい。
それが大人のやり方だろう。
「読んでツマランから、ツマランとレス」するようなガキにそんな事言っても無駄。
別に非難する気は無いが、俺に言わせりゃGJしか言わない奴も同類。
つまらんならどこがつまらんか、GJならどこがよかったのか。
それを一言書くだけで作者のやる気は大幅に変わると思うぞ?
「おもしろかった」の一言だけの読書感想文にA判定が付くと思うか?
そして勘違いしそうな奴がいるからもう一度言うが、あくまでこれは俺の意見。
別に非難する気はない。
エロパロスレで言ったことを繰り返すが、
餓鬼であろうとその発言がどういう影響与えるか考えろと。空気悪くして作者減るだけだろうが。
大体、言いたいことがあるならいちいちID変えてないで正面から言えばいいだろうに。
真っ向から叩かれるのは恐れてるくせに高慢な文句だけは言うとか何様なのかと。
エロパロスレ見てるなら、レスするだけ無駄だとわかりそうなもんだが。
だいたいそんなことも分からん奴のことでこんなに議論するまでもねぇだろ
>>625 >>俺に言わせりゃGJしか言わない奴も同類。
というのは暴論じゃないか?
『ちゃんと読みましたよ』と意思表示したい人だっていると思うし、読み手が側はスルーすればいいんだよ。
大体、GJ=良かったよ・次も期待してるよ・一応読んだよ などと、色んな意味を込めて書き込んでるだろうし、
荒し目的のGJでも意思表示のGJでも、読み手のスルーでOKだろ。
SS書きさんはどちらの意味のGJでも、『自分のSSを読んでくれたんだ』と受け取れば良いだけ。
感想が無ければGJすらも書き込むなって言うのなら、感想すらも書き込めない過疎スレになるぞ。
>>626 困るのはお前であって、俺じゃない。
結局、自分が嫌だからという理由で人にアレコレ強制してるだけだろ。
それこそ餓鬼の我侭。
単発IDのお前が言っても説得力無し。
自分の我儘押し通してるのは一緒だろ。何自分はそうでないみたいな印象操作してんだか。
反論ならせめて自分の間違いを隠してからやれよ。堂々と自爆して、それは自虐ネタか何かか?
あれ、俺はお前に何か強制したっけ?
>>630 お前が困らないからというイタイ言い分で
お前の書く不愉快なレスが目に入っても
我慢するように人に強制しようとしてるって
わからないかな?
子供もいるかもしれないけど、
ここにいるやつは皆PC使えるぐらいの年にはなってるんだろ?
だったらもうちょい他人の事も考えろよ。
自分が良ければ全ていいなんて考えばっかしてないで、
そういう面ではもう少し大人になれよ。
このアフォはエロパロでも同じ理論展開してみんながマジレスしてるの見て
ニヨニヨしてたクズなので、マジメに反論しても荒れるだけだよ。
>>633 いや、別に強制してないだろ。
我慢しないで好きにすれば?
勝手に何を思い込んでるのやら。
言ってるかどうかなんか関係ない。
スレの空気が乱れようと自分の方式を変えるつもりは無いなんていう強攻姿勢を
こっちの対応がどうあれ、存在する時点で強制だろ。スレに居る限り嫌でも目に付くわけだから。
コテでも付けた上で言う台詞だな、それは。
そういう状態にあるスレを「嫌なら見なければいい」なんて言った時点で負けだと一応先手打っておくか。
一応、コテ付けろってレスもエロパロで散々付いたと言っておくな。
>>629 GJなんて必要以上に気にしてるのこのスレくらいのもんじゃないのかね
他ではいちいち突っかかってるのなんて見た事ない
>>639 このスレの住人は神経質な人が多いのかな?
GJという書き込みだけ続いたからってそれを荒しだとか騒いだりせずに、スルーすればいいだけなんだがな。
構ってちゃんと構いたがりがいるから要らないレスが増えて、SS書きさんも投稿しにくくなるんだよ。
すげー今更なんですが、体育祭の続きのSSを作ったのでお暇でしたら読んでみてください。
作ったのはかなり昔だったのですが……ホワイトデーとか完璧無視ですいません。
タイトルは After the festival
「ねェ ヒゲ……」
「あん?」
「アンタ 踊るのヘタね」
「…………………………。」
After the festival
キャンプファイヤーの炎は静かに燃え尽きようとしている。その炎がくすぶるっている姿を
播磨はカップル達から離れている所で見ていた。
「…らしくねぇな」
誰に話しかけるでもなくそう呟く。
沢近と踊っていたのは5分ぐらいだっただろうか、拙い踊りの中にあったのは短い会話だけ。
曲の区切りでのパートナー交代の際、二人は無言で手を離し、播磨は少し離れた木の傍へ、
沢近は天満達の下へ、振り返る事なく戻っていった。
小さな声で語り合うカップルの声の中、薪がパチリと音をたてる。
何故天満と踊らなかったのか…何故あのお嬢と踊ってしまったのか…
そんな事は浮かんでは来なかった。
顔を合わせれば言い争い、何かを言えば馬鹿にされる。お嬢とは話はしたくないし、
極力顔も会わせたくなかった。
しかし、踊りを踊っている時は違った。
静かにまわる時間の中で言葉は少なく、そして、その時間は悪いものでは無かった。
天敵と過ごした短い時間。その時間の妙な感覚、その事だけを播磨は考えていた。
だが、それが何かはいくら考えても答えは出ず、お嬢との踊りだけが頭の中でループしている。
「あぁ〜!!いったい何だってんだ!やめやめ!考えるだけ無駄だ!」
いきなり大声を出したので周りから視線が飛んでくる。
だがその視線も大声が播磨のものだと気づくとすぐに消えた。
「…さっさと帰るか」
そう言って着替えを手にする。その時、不意に左手が目に止まった。
…お嬢の手、柔らかかったな。
しなやかで美しい手の感触が甦る。あるはずのないお嬢の手の跡を探すようにまじまじと左手を見つめる。
「って何考えてんだ俺は!?天満ちゃんの手の方が何倍も……」
ブツブツ言いながら着替えを持ち直す…しかしそれでも愛理の手の感触は消えることは無かった。
その頃、校門では…
「あたし達は自転車だけど…沢近はどうすんだ?後ろに乗ってく?」
「ありがと、でもナカムラを呼ぶからいいわ。美琴の家から遠いし。」
「そっか〜、愛理ちゃん足怪我しちゃってるもんね…気を付けなきゃダメだよ」
「はいはい。わかってるわよ。それより先に帰ってていいわよ。みんなの中で私だけ車って気が引けるし」
「そっか、じゃあ先帰るわ、また明日学校でな」
手を振ってそれに答える。
別れ際、
「…愛理、播磨君はまだ学校にいるみたいだよ」
晶がそう言って去っていった。相変わらず表情はわからない…いや、少し笑ってた。
…そっか、ヒゲまだ居るんだ。
開いた携帯を閉じ、ポケットに仕舞う。
忘れ物が無いか点検よ点検。そんな風に自分に言い聞かせながら校庭へと向かう。
熱と痛みを帯びた足が軽くなった気がした。
…何よ、居ないじゃない。
校庭を探しても、播磨の姿は無い。
楽しそうなカップルと声をかけてくる邪魔な男しか居なかった。
もうキャンプファイヤーの火は消えてしまっていた。
片付けている姿を見ると寂しさが少し湧き上がる。
…ヒゲと踊ったのは現実だったのよね。
あの時間がまるで夢だったかのような気がする。
楽しかったとか、つまらなかったとかそういった感覚ではない。…上手く言葉に出来ないけれど悪くは無かった。
「……馬っ鹿みたい。…あ〜あ、無駄な時間過ごしちゃった」
文句を言いながら伸びをする。 すると星空が目にはいった。
満点の星空とは言えないけれど、たまにはこういうのも良いわね。
愛理は近くの公園まで歩いて帰ろうと決めた。
静かな星空の元、一人での散歩。艶やかな髪が軽くなびく。風が気持ち良い。
だがその静けさも、バイクの音に消されてしまった。
―――ったくどこの馬鹿よ!人が気分良く歩いてるってのに!
睨み付けてやろうと後ろを振り返ると、バイクに跨っているのはサングラスをかけているヒゲのない男だった。
相手も自分に気が付いたようでキィィとブレーキを掛け、すぐ傍で停まった。
「こんなとこで何してんだよ?」
「……帰ってるのよ」
「…召使はどうした?」
「………一人で歩きたい気分なのよ。それとナカムラは執事」
バイクに跨る播磨から視線をそらし、歩を進める。
…探してたはずなのに…何か話したかったはずなのに出てくる言葉は相手を遠ざける言葉だけ。
「……おい、お嬢」
何よ、と言おうと振り返るとヘルメットを投げられた。落としそうになりながらもなんとか
キャッチする。
「何すんの「乗ってけ」
文句を言い終わる前に播磨がそう言った。
「足怪我してんだろ、送ってってやるよ」
「私は散歩がしたいの。家に帰りたい訳じゃないわ」
「そんじゃ公園にでもつれてってやるから大人しく乗ってけ。怪我が悪化でもしたら貸しが残っちまう」
まったく妙な所でこだわる男だ。でもまぁ…動き回ったせいか足は再び熱を帯びているし…それに
ヒゲに聞きたい事もある。
「……わかったわよ。」
「そんなら、さっさと乗れ」
シートを指差す。
おずおずと播磨の後ろに座り、背中に軽く手を添えた。
「……お嬢、転げ落ちたいのか?しっかり掴まれ」
「わかってるわよ!!」
顔を赤くしながら思い切り播磨に抱きつく。
軽く香る、男の、汗の匂い。不快感な匂いのはずなのに、不思議と嫌じゃない。
「うしっ!行くか!」
ヴォン!!
二人を乗せ、バイクは勢い良く疾り出す。
「キャ!!」
あまりの速さ思わず声を上げ、播磨に抱きつく力を強めた。
バイクに乗るのは初めての体験だった。
車とは違い直に触れる風。まるで自分を引き剥がそうとするように。
抱きつく播磨から伝わる暖かさ。まるで自分を守っているかのように。
恐怖はもう無くなっていた。あるのは爽快感と安心感。
大きい背中…お父様の背中もこんなだったかしら?…いやお父様はこんなに武骨じゃないわね
そんな事を考えているとバイクが止まった。
「着いたぞ」
「……ここは」
二人が行き着いた公園は、以前播磨と花井と闘り合った公園だった。
そして愛理にとっては美琴と知り合う前に、一人時間を潰していた場所。
彼女達と知り合ってからは来る事はほとんど無い。というより来る必要が無くなっていた。
毎日毎日、カフェやショッピング、茶道部、etc…一人で物思いにふける時間が無くなるほど一緒に過ごし、一緒に笑った。
その忙しさは非常に心地良い忙しさ、心を忘れるというものではなく、とても充実している。
そんな思い出に浸っていると、播磨が何かを持ってこっちに向かってくる。
「ほらよ。オゴリだ」
そう言って、十七茶を手渡される。
「それとな、そこに座れ」
ベンチを指差しながら言う。言われるがままに座ると、播磨が目の前に跪いた。
「…ヒゲ、何やってんのよ」
「あ? 包帯が緩んでんのを直してやろうってんだろうが」
愛理の靴に手をかけながら言う。
どうやら歩き回っているうちに緩んでいたらしい。
「勝手に触らないでよ。だいたいアンタにそんな事出来る訳ないでしょ」
「あ〜うるせーうるせー。茶でも飲んでろ」
ブツブツと文句を言う愛理を尻目に鮮やかな手付きで包帯を締めなおす。
「…喧嘩やってっとこういう処置は勝手に覚えてくんだよ」
「なるほど」
確かに播磨の処置は手早く正確だった。それに、心なしかあの女が結んだ時より楽。
結び終わると沢近の隣に腰掛けた。
二人とも無言で噴水を眺める。
弱い電灯に照らされているそれは昼間とは違った印象を与えた。
――――何か妙な雰囲気だけど…無言ってのは不味いわよねぇ…
――――こういう時は何か話した方が良いのか…?
風はもう止んでいる。
「ねぇ…ヒゲ」
沈黙を破ったのは沢近。手に持ったお茶を見つめながら言葉を続ける。
「…何で私と踊ったの?」
「いきなり何言ってんだ、お嬢?ダンスに誘ったのはお前の方だろ?」
沢近の方に向き直し
「そんな事はわかってるわ。何で私の誘いをうけたのか?って意味。
…正直、あなた私の事苦手でしょ?」
「…自分の事を苦手だと思っているように感じる奴をお嬢は何で誘ったんだ?」
「質問を質問で返すか…まぁいいわ。
理由は…そう、お礼ね。ヒゲ的に言うと貸し借りをなくしたかったから」
「貸し借り?お嬢が騎馬戦の時にハ…アレを隠してくれたのが借り。
そして俺がリレーに出たので借り無くして終わりじゃねぇのか?」
「それはヒゲの中での話でしょ?
私の中では、アンタがリレーに出て、逆転までしてくれた。
その事の方が大きいと思った。借りは作りたくないのよ。それに……嬉しかったから」
最後の一言は小さく囁く。播磨の耳には届いたのだろうか?
「さ。私の理由は話したわ。今度はあんたの番。」
「理由なぁ…理由つってもたいした理由なんてないが、女に誘われて断るなんて女に恥かかす真似をするな。
みたいな事を日ごろから言われてっからかな。それが理由なるのか分からないが。
それとな、俺は別にお嬢の事、嫌いじゃないぜ。」
ベンチから立ち上がり、飲み終わったコーヒーの缶をゴミ箱に投げながら言う。
「えっ!?ちょっとヒゲ…」
てっきり自分を小馬鹿にしたような事でも言うと思っていた為に思わず声がでた。
播磨は立ったまま噴水を見ている。そのまま言葉を続けた。
「…俺は中学ん時から見かけ通り不良だった。友達って言える様な奴はもちろん
居なかったし、そもそも作ろうともしなかった。そんな物は必要無いものだと思ってたからな。
俺と関わろうとする奴なんてご機嫌取りぐらいだった…まぁ一人例外が居たが。
…だが、そんな俺がこのクラスになってから、クラスの奴等と海行ったり山行ったり…今日なんて
体育祭にまで参加してる。昔の俺が見たら軟派になりやがってなんて言うかもしれないな。
でもな、思ってたより悪くなかったんだよ。誰かとつるむってのもな。
そんな事を気づかせてくれた。こんな俺と関わってくれてる奴等の事を嫌いになれる訳ねぇだろ」
「…ヒゲ。」
播磨の意外な一面を見た気がした。思えば播磨の騒がしい面ばかり見てきた気がする。
ジャージを肩に掛けてくれた時、あれは単なる気まぐれなんだ。私と踊ってくれた時、
それは私の命令に従っただけなんだ。そう思っていた。
けれどこの言葉は気まぐれやなんかで出てくる言葉じゃない。
彼は彼なりに回りの事を思ってるのかもしれない。
播磨にはそういった一面が確かにあるんだ。それに気がつけたのが嬉しい。
今まで気づけなかったのが悔しい。
…でも、播磨の普段とは違った一面を確かに感じる事が出来たことは素直に喜ばしい事だったんだ。
トクン…心臓が一回、印象深く鳴った。
何か言おうとするのだけれど、上手く言葉にする自信がなく、中途半端に唇を動かす事しか出来ない。
どうしてだろう…とても口が渇いたように思える。
「でもまぁ、女から誘われるっての男としちゃ情けねぇもんだよな」
「あら?だったら今度はヒゲが誘ってくれる?」
「はァ?何だってそういう事になるんだよ?」
「アンタが言ったんじゃない。うん。そうね、そう。決まり。
私から誘ってあげて踊りまで踊ったんだからきっちり考えるのよ。いいわね」
いつものお嬢の命令するかのような言葉。なのに睨むような眼つきではなく何だか嬉しそうな表情。
「はぁ?オマエ、お嬢ってめぇ…はぁ…わかりました。沢近さん」
いつもの命令した後の様に沢近さんと呼ぶ。なのにその言葉には暖かさがあり
口元には笑み。
「だが期待はするんじゃねぇぞ。俺は金ねぇんだから。マジで」
「ヒゲに金銭的な事を期待するほど私も馬鹿じゃないわ。
あんたが誘うって事に意味があるんじゃない」
「それもなんだか悲しいな…ま、期待はすんなよ」
「いつとかは決めないから、ヒゲが私を誘いたい時に誘いなさい」
「でもそれじゃ予定とかある時とかぶるかもしれねぇじゃねぇか」
「それはそうよ。ヒゲの誘いを断るかもしれないし。
だいたいそういうのがあるのが誘うって事じゃない。」
「そういうモンかね…」
「そういうものよ。」
「まぁいいや。もう時間も時間だしそろそろ帰るか。」
「お〜い、さっさと乗れや」
バイクを吹かし、播磨が催促する。
「わかってるわよ」
そう言いながら播磨の後ろに座り腰に手を回す。
さっきより少し強く掴まる、背中に頬をあてながら。
愛理のナビによって辿りついた場所は正に豪邸だった。
「…お嬢、お嬢って本当にお嬢だったんだな」
「はぁ?当たり前じゃない」
沢近邸は庶民の暮すそれとは明らかに違う。アレが私の家よ。
そう言われてから正面玄関まで向かうのに結構な時間がかかった程に。
バイクを止め、沢近を降ろす。
「このバイクで二人乗りしてるのって、天満の妹?」
と聴いてきたので、
「違う。妹さんはこのバイクに乗ったことねぇよ。」
と答えたら。
「あの子じゃないんだ……まぁいいわ。」と少し考えてから、複雑そうに言った。
玄関前でそんな話をしている間に、扉が開き、ナカムラが沢近を出迎えた。
「そんじゃ、俺も帰るわ」
愛理に背を向け立ち去る。
その時。
「ヒゲ!! ……………ありがと」
沢近が不機嫌そうに言った。明かりの加減か顔が少し赤いようにもみえる。
「…あぁ」
それだけ言ってアクセルを開く。
私と二人乗りした時より全然速い。ヒゲの背中はもう見えなくなってしまった。
あのヒゲは何処に誘ってくれるのかしら?
今夜は良い夢が見られそう、そんな気がする。
風を斬り裂きながら疾る。背中にはお嬢の温もりが少しだけ残っていた。
いつも目の裏に浮かぶ天満の笑顔、だが一瞬、
ほんの一瞬だけその代わりにお嬢の不機嫌そうな顔が浮かんだ。
お嬢が喜びそうな場所なんかわかんねぇしな…ま、なるようになるか…
少しだけ笑うと播磨は更にスピードを上げた。
そして物語は翌日の学校へと続く。
終わり。
乙
よかったと思うよ。播磨がお嬢に対して優しすぎるってレス来るかもしれないけど、
体育祭からの流れならおかしくないと思うし、二次創作ならこれぐらいでいいと思う。
二人が接近しすぎてないのもこれ以降の原作に繋がる感じでいい。
ところで、「まぁ一人例外が居たが。」と「このバイクで二人乗りしてるの」は両方
絃子なのかな?
ともあれ、寝る前にいいもの読ませてくれてありがと。
GJ
リアルタイムで見てた。久しぶりに『if』の醍醐味を味わいました。
いつも思うのは播磨はこういう状況で、どこまでお嬢に優しくするのか?
とか思うワケなんですが、こーゆーの考えてしまうのも、まあ『if』の醍醐味ですよね。
スクランにハマった勢いで書いたのですが、SS絶頂期というか…
沢山投稿されてた時期だったので脅えて放置。
ファイル整理してたら発掘し、削除するのも勿体無いと重い投稿させてもらいました。
おにぎり派だったりするのですが…まぁそこは置いといて。
>>655 感想レスどうもです。例外と二人乗りは絃子という設定です。
ありがとうと言われるのはとても嬉しいものですねぇ
gj!!
旗派の俺はかなり楽しめたよ
播磨がやけに多弁だったような気がするが気にしない。
>…お嬢の手、柔らかかったな。
出たよ。
頭の中が沢近一色で染まってる自己投影播磨クンが。
こうなっちゃうと単なるキモヲタの自慰になっちゃって気色悪いだけなんだよな。
擁護派ですら播磨クンについて一言言わずにはいられないって感じだし。
ハッキリ言ってやればいいのに、「キモイよ」ってさ。
出たよ。
頭の中が叩き一色で染まってる自称批評家の嵐クンが。
こうなっちゃうと単なるキモヲタの自慰になっちゃって気色悪いだけなんだよな。
擁護派ですら嵐クンについて一言言わずにはいられないって感じだし。
ハッキリ言ってやればいいのに、「キモイよ」ってさ
まぁ、内容を受けた上で感想書いてるなら批評も好きにすれば良いと思うが、
もっと穏健な物言いは出来んのかい。
擁護派ですら一言言いたくなる出来じゃなくて、批評する上で
下手に刺激しないようにしてる奴だって居るという考えには至らんのか。
663 :
605:06/03/15 20:36 ID:kERCSH5E
>>660 とりあえず恋愛ものは読まないほうがいいよ
>>657 脅えて放置ってのはよくないよ。HNつけないんだったら気楽にやろう
>657
いいね。播磨が若干多弁だと思ったけど、こういうシチュならありかもとも考えられる。
GJでした。また書いてね
666 :
657:06/03/16 03:26 ID:cWK007Rg
>>656 >>658-660 >>663 >>665 みなさん感想本当にありがとうございます。
今読み直したら確かに播磨が喋りすぎですね、不自然だorz
ss創作が自慰ってのは否定は出来ないです。二次創作は所詮自己満足
と言えばそれまでですし。まぁ私はおにぎr(ry
春休みで暇なんでスクラン読み直してまた書くかもしれないです。
その時、もしお暇でしたらお付き合いください。
あんまりでしゃばってるとウザイと思うので、
>>657としてのレスは最後にします。
皆さん稚拙な文章を最後までお読みいただきありがとうございました。
>>657 良かったよ。良作だ。
確かに播磨がペラペラ喋り過ぎだったが、
作品自体に何も問題無いよ。
>>660みたいな人もいますが気にせずに、
また書いてくれると嬉しいです。
ところで、播天SSって過去にあった?
冗談とか抜きに真面目な質問です。
あったけどなにか?
天満と烏丸の派閥の人っているの?
どのスレにもいないような気がする
いるだろ
ただ、積極的な活動をしてるかどうかは知らんが
ふーん。さんくす
>>668 >>670 クズリさんのとこに行けば大抵の派閥のSSがある
アソミコ以外はほぼ網羅してるんじゃないだろうか
しかしネットでSS読み始めて長いけれど、100のお題を達成した人って初めて見た
>>673 クズリさんのとこは毎日行ってる。
旗SSがあまりないところが悔しいが
だっておにぎりだもんくずり
くずりさんのSSを元に小林が漫画描けばいいと思うのはオレだけじゃないはず
>>673 本当に「ある」だけじゃん
おにぎりのクォリティーは流石だが
それ以外の作品はやっつけにしか見えない
おにぎりが同時に出演できる組合せだと特に顕著
そこんところは個人の感じ方じゃね。
と言っても、俺は最初からおにぎりだけを求めてあそこ覗いてるけど。
おにぎりで旗や鉛筆まで書く人はそうそういない
二次を二次と割り切ってるんだろうな
当たり前っちゃ当たり前かもしれんが
一時期播磨に自己投影したハーレムSSが跋扈したこともあったからなぁ
氏の姿勢には頭が下がる
680 :
668:06/03/18 23:39 ID:ArICL8oE
>>669 いや、見たことないからさ
(クズリさんとこはあるけど、ここではない)
くずりさんが今やってる鉛筆シリーズとか最高。
美琴が美琴らしくのびのびしてる
原作の美琴が偽物に見えてくるくらい本物らしい美琴を描けてるよね
釣りだと分かってるならスルーしろよ
そろそろ雑談やめれ
過疎ってるな
686 :
Classical名無しさん:06/03/20 20:50 ID:DxqvCqXg
700から怒濤のss投下が始まりますが何か?
ほんとかよ
怒涛の超姉だな。追い風だし。
本編で描写されることはないというのに超姉は元気だよな
IFだから描写されようがされまいが関係なし。
ネタバレはやめれ
超姉は今週の燃料だけで100年は余裕で戦える
おまえら、ほんとにネタバレとかネタバレ指摘とかやめろよな。
じゃがいも 3玉 98円
にんじん 3本 128円
たまねぎ 1玉 38円
細切れ肉 100g 88円
「お猿さんにもできるカレー」 一冊 980円
自信作が出来るまでの時間 240時間
かすかに浮かぶ、烏丸君の笑顔 priceless
妹さんに選んでもらった花束 3800円
ラッピングの値段 200円
メッセージカード 120円
二人が一緒にいるところを見て流した漢の涙 priceless
御礼にご馳走になったメルカドでの食事 800円
店員さんに薦められた播磨さんからもらったカスミ草 500円
帰りに買った「ドライフラワー」の本 500円
ようやく気付いた、自分の想い priceless
>>695 GJ
俺らに与えてくれた感動
priceless
>>695 煮込み過ぎじゃない?
天満が作ってるのはデミグラスソースか?
>>697 天満だからあえてブッ飛んだ時間にしたんじゃね?
>>695 何か良いわぁ、こういうのも。GJでした。
700まであと1・・・
>>697、698
試行錯誤を繰り返したって意味だろ
八雲のが意味和姦ね
えっ!?どこがエロかったの!?
本当に怒涛のss投下があるのだろうか
今日はホワイトデーですよ、と。
妙に嬉しそうに後輩の少女が言ったとき、なんでこいつはそんなに
嬉しそうなんだろう、というのが麻生の素直な気持ちだった。まるで
子犬みたいに、そう思いかけてすぐに考え直す。
――子猫みたいに、か。
そう、無邪気な顔をした、このサラ・アディエマスという少女が、
この無邪気さそのままに、気紛れな猫さながら油断のならない相手
だと、彼は経験上知っていた。
もっとも、腐れ縁にして友人であるところの菅に言わせれば、
そりゃサラちゃんじゃなくてお前がアレなんだよ、ということ
らしいが。ちなみに、その『アレ』とはなんなのか、訊いてみた
ところでまともな返事が返ってきたことなど一度たりともない。
ともあれ。
「そうだな」
この素っ気なさが周囲にどう思われているか、自覚がまるでない
わけでもないのだが、やはり生来の気質で短くそれだけを答える。
少なくとも、記憶を辿ったところで彼女からなにかをもらっていた
わけでもなし、問題はない、という判断程度は下した上、である。
「そうなんです。それでですね、先輩。天気予報見ました?」
普段は彼のそんなところをたしなめる彼女が、けれど今日はそれを
気にもかけずに話し続ける。珍しい、そう思いながら相槌を打つ彼の
耳に飛び込んできたのは。
「雪ですよ雪! もう三月なのに」
もう三月――そう言うからには、この国で三月に降る雪がそれなりに
珍しいことは知っているのか、そんなことを思いつつ、ああ、とようやく
心の中で納得する。
三月十四日。
雪。
ホワイトデー。
それは、たまたまその日に雪が降る、そんな程度のことでしかない
のと同時、そこに特別ななにかを見出すことも出来るのだろう、と。
もっとも、ちらりと見やった窓の向こうの空は、低く垂れ込めては
いるものの、まだなにも降らせてはいないし、果たして今日本当に雪が
降るかは誰にも分からない。
「それで、です」
そこで、不意にサラの声の調子が変わる。気紛れ猫のお目覚めである。
「先輩はバレンタインにプレゼント、もらいましたよね」
それは疑問形ではなく、単なる確認にして断定。言い逃れの余地など
微塵も感じられないし、過去の経験上無駄だと分かってはいるが、それ
でも一応、逃走を企ててはみる。
「今仕事中だしな、後に……」
「大丈夫ですよ、ほら」
あっけらかんと彼の言葉を遮った、その視線の先を見やれば、店内で
椅子に腰掛け船を漕ぐ店長の姿。つけっ放しのテレビの音声だけが小さく
聞こえてくる。客の姿など、当然ながら見当たらない。
「こんな空模様ですし、きっと今日はこのままですよ」
だから大丈夫、そう言わんばかりの彼女の笑顔に、まあそうだなと、
彼としてもいささか投げやりに頷くしかない。結局、最初からこうなる
のは分かりきっていたこと。
麻生広義はサラ・アディエマスに決して勝てない。
いつのまにか出来上がっていた不文律。勝つとか負けるとか、そういう
問題ではない、というのはともかくとして。
「それで、です」
仕切り直すようにもう一度そう言って、サラは話を再開する。
「先輩、もうお返しはしました?」
今度はもらったか否かの確認すらない。一足飛びに斬り込んで来るような
その言葉に、素直に話せばもう一段階踏み込まれる、そんな自分の未来を
見ながらも、結局行き着く先が同じなら、とややもすれば重たくさえ感じ
られる口を開く。
「……明日、な」
やっぱり、そう嘆息する彼女の顔は、あまりにも彼の予想通りで、どこか
可笑しくさえなってくるが、ここで笑うと事態はさらにややこしくなる、と自制する。
「午前中から真面目に仕事してるから、おかしいな、とは思ってたんです。
それは、休みの日は先輩がいないと回らないことも多いですけど」
だとしても、今日は休むべきだった。
言外にでもなんでもなく、ストレートに彼女はそう告げている。
「いや、向こうもいろいろ用事もあるって……」
「あのですね、先輩」
自分はどうしてこんなところでこんな話をしているのか、言い訳にも
ならない言い訳――そもそも、それを『言い訳』と感じている時点で
なにかが間違っている、そんな麻生の言葉を、今度は先程と一転、サラが
穏やかに遮る。
「女の子、っていうのは誰でも、先輩が思ってるよりもずっと――」
その表情は、気紛れ猫のそれではなく、ただ優しい慈愛のそれ。
「――『女の子』、なんですよ」
「……」
彼は、その言葉になにも言えなかった。そして、そんな様子を余所に、
サラは芝居めかして続ける。
「さて、今日はこんなお天気です。午前中はちょっと忙しかったですけど、
きっと午後は暇なんじゃないかな、と思います。となると」
そこでまた、チェシャ猫の笑み。
「先輩はどうするべきでしょうか」
そしてそこまで言われれば、もう麻生に迷う余地はどこにもない。そも、
先に『言い訳をしている』と感じた時点で、本当は最初からなにもかも
決まっていたことに違いないのだから。足りなかったのは、ただ一歩を
踏み出すきっかけ。そこで思い出すのは、いつかの菅とのやりとり。
彼にしろ彼女にしろ、いつも自分は背中を押されてばかりだと、麻生は
一人心の中で苦笑する。
それでも、そんな友人が身近にいるのはありがたいことだ、と。
「……助かった。ありがとう」
だから、短くとも感謝の言葉を残し、急ぎ足で店を出る。
行く先はもう、決まっていた。
――そして。
「そこでちゃんとお礼を言えるのが、先輩のいいところです」
一人残されたサラが、誰にともなく呟く。
「そういうところ、私も――」
その先の言葉は紡がれず、一つ小さな溜息だけがこぼれる。代わりに
綴られるのは先刻の自分の言葉。
「女の子は誰でも女の子なんですよ、か」
瞳を閉じて。
「それじゃあ一体」
私は女の子なんでしょうか、と。
ささやくようにして、そっと口にした言葉を届ける相手はもういない。
ただそれだけが溶けるようにして消えていく。
その背後、四角く切り取られた窓の向こうの空からは、季節外れの白い
雪がもう、舞い降り始めている。
小さなノイズ混じりのテレビ音声をバックにして、静かに、ただ静かに――
放置されてるしw
所詮はウンコ
可哀想だから俺が言ってやるよ
GJ
良かったな、おめでとう
久々のアソサラ後馳走様でした
やっぱりこの二人の組み合わせはいいですね
>>708 お前なんで生きてるの?
サラのアソミコ支援セツナス。
ラジオでサラが活躍すると言ってたけど
本当だろうか・・・
>>709 >708はいつもの播磨厨の人だからスルー推奨。
アソサラ最高!
アソミコみたいなうんこ展開を原作でされてるから二次創作には癒されるぜ。
712 :
Classical名無しさん:06/03/27 19:06 ID:2aBnGBUQ
>>710 708みたいないつもいるアンチを勝手に播磨厨にするなw
播磨ファンが嫌いならそう言えばいい。別にそう思うこと自体は自由なんだから
サラのラストの独白が切なくて良かった
続かないらしいけど、麻生が好きな自分と麻生を応援する自分みたいな
葛藤がもうちょっとみたいと思ったよ
言いたいこと言っといてsage忘れスマソ
714 :
Classical名無しさん:06/03/28 01:07 ID:c5EbO5UY
\最大のつまんねーキャラと言えば? /ナンダコレハ コワイモナー ヒイィィィッ
\ ∧_∧ ∩麻生だろ! / ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
今週アソミコだって \ ( ・∀・)ノ______ / ( ;・∀・) (; ´Д`) (´Д`; )
∧ ∧\ (入 ⌒\つ /|. / ⊂ ⊂ ) ( つ ⊂ ) ( ⊃ ⊃
(゚Д゚ )_\ ヾヽ /\⌒)/ |/ 〉 〉\\ 〉 〉 く く //( (
/ ̄ ̄∪ ∪ /| .\ || ⌒| ̄ ̄ ̄| / (__) (_) (_.)(_) (_) (__)
/∧_∧またですか・・・\ ∧∧∧∧ / 『アソミコ展開』
/ (;´∀` )_/ \ < ア ま >麻生×美琴という、非ギャクキャラのカップリング。
|| ̄( つ ||/ \< ソ >はっきり言って全然面白くないのだが、作者編集は大のお気に入り。
|| (_○___) || < ミ た > その驚異的なつまらなさは、人気ワースト1のバスケ編で証明済み
――――――――――――――― .< コ >―――――――――――――――――――――
∧_∧ バスケ編 < か > ∧_∧プッ ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ;´∀`)つまんない… ∨∨∨ \ ( ´∀`) (´∀` )<アソミコ必死だな(藁
_____(つ_ と)___ ./ \ ( )__( ) \_______
. / \ ___ \スオウ / ∧_∧ 麻\∧_∧ ∧_∧  ̄ ̄ ̄/.//|
.<\※ \____.|i\___ヽ......... ./γ(⌒)・∀・ ) 生 \ ;) ( ;) / ┃| |
ヽ\ ※ ※ ※|i i|.====B|i.ヽ /(YYて)ノ ノ 死 \↑ ̄ ̄↑\)_/ |__|/
\`ー──-.|\.|___|__◎_|_.i‐>/ \  ̄ ̄ ̄ ̄\ね \作者編集 | | ┃
\最大のつまんねーキャラと言えば? /ナンダコレハ コワイモナー ヒイィィィッ
\ ∧_∧ ∩麻生だろ! / ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
今週アソミコだって \ ( ・∀・)ノ______ / ( ;・∀・) (; ´Д`) (´Д`; )
∧ ∧\ (入 ⌒\つ /|. / ⊂ ⊂ ) ( つ ⊂ ) ( ⊃ ⊃
(゚Д゚ )_\ ヾヽ /\⌒)/ |/ 〉 〉\\ 〉 〉 く く //( (
/ ̄ ̄∪ ∪ /| .\ || ⌒| ̄ ̄ ̄| / (__) (_) (_.)(_) (_) (__)
/∧_∧またですか・・・\ ∧∧∧∧ / 『アソミコ展開』
/ (;´∀` )_/ \ < ア ま >麻生×美琴という、非ギャクキャラのカップリング。
|| ̄( つ ||/ \< ソ >はっきり言って全然面白くないのだが、作者編集は大のお気に入り。
|| (_○___) || < ミ た > その驚異的なつまらなさは、人気ワースト1のバスケ編で証明済み
――――――――――――――― .< コ >―――――――――――――――――――――
∧_∧ バスケ編 < か > ∧_∧プッ ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ;´∀`)つまんない… ∨∨∨ \ ( ´∀`) (´∀` )<アソミコ必死だな(藁
_____(つ_ と)___ ./ \ ( )__( ) \_______
. / \ ___ \スオウ / ∧_∧ 麻\∧_∧ ∧_∧  ̄ ̄ ̄/.//|
.<\※ \____.|i\___ヽ......... ./γ(⌒)・∀・ ) 生 \ ;) ( ;) / ┃| |
ヽ\ ※ ※ ※|i i|.====B|i.ヽ /(YYて)ノ ノ 死 \↑ ̄ ̄↑\)_/ |__|/
\`ー──-.|\.|___|__◎_|_.i‐>/ \  ̄ ̄ ̄ ̄\ね \作者編集 | | ┃
わかったから落ち着け
なんか妙に分厚いデータ集みたいなコミックスが発売されたの知ってるよな?
あれ見たんだが、アソミコはもはや決定事項らしい。
サラには「新しい相手が早く出現する事が望まれる」とか書いてあった。
そういう話題は本スレ、もし二次創作に関連してるなら二次創作支援スレで
「たでぇま…ってまだ呑んでたのか二人とも」
「おう、拳児君おかえり」
「…あれ?もう帰ってきちゃったのケンジ君」
「あ、邪魔だったっすか葉子さん…んじゃ俺は部屋にでも」
「そーじゃなくてケンジ君送り狼になっちゃうかなーと思って」
「なっ…」
「…拳児君にそんな度胸はないよ葉子」
「それもそーですね…こんな美人のお姉さんと一緒に暮らしてて何もしないなんて」
「おっ、俺は、何つーかそういうのはちょっと…」
「あらら…赤くなって俯いちゃって、相変わらずねケンジ君」
「…あまりそうからかってやるな葉子」
「でもイトコさん心配になりません?初恋の人と一緒に暮らしててこれって
何か健全な男の子としての機能が故障してるんじゃないかとか」
「あれぐらいの頃の子供が近しい間柄の異性にああいった感情を持つのは
言うなれば麻疹のようなものだよ…大人になれば自然と消えていくものだ」
「そ、そうそれだ!絃子珍しくいいこと言った!とにかく俺は故障なんかしてねぇ!!」
「でも先輩とケンジ君は従姉弟同士じゃないですか」
「大して変わらんよ」
「…そうなのケンジ君?」
「あ、あぁ。今はそんな気持ちはこれっぽっちもねぇ!ほ、本当だ!!
だから葉子さん、て、塚本の前でその話をするのはもう…」
「…まぁそもそもそんな話をしたところで彼女が妬いてくれるような段階では全然ないようだが」
「ぐはっ!…い、痛い所を…」
「もー、先輩ケンジ君のこといじめ過ぎですよ…あれ?
そういえば塚本さんわざわざこんな夜遅くに何しに来たのかしら?」
「さぁな…ほれ拳児君、ちょうど1個残ってた。食え」
「ん?チョコレートか…んぐ、んぐ、んぐ…あ〜ぁ、天満ちゃんから貰いたかったな…」
「…良かったわねケンジ君、先輩からチョコ貰えて」
「もうその話は勘弁してくださいよ葉子さん…」
おしまい。
↓怒涛の超姉支援レス
怒涛の超姉支援レスじゃないけどよかったよ、GJ
やっぱ超姉はこれくらいがちょうどいいかな
GJ
超姉は絃子がキャラチェンしてること多いと思うんだけど、そんなことなかったよ
葉子も違和感なかったし
>>686>>703 てか700からの怒濤のss投下はなかったね
4月1日?
4月からスクランのアニメの第二部が始まるらしいね。
嘘じゃないよ。
騙されないぞ。
だって俺のTVガイドに書いてない。
あれ?ここの板は32日じゃないのか?
雪合戦マダー?
バトロワで我慢しろ
Y嬢を筆頭にほぼ全キャラがDQN化してて面白いぞ
「珍しいわね、晶がパソコン持ってくるなんて」
「ちょっと調べ物があってね」
いつもと変わらない2-Cの朝、沢近愛理は友人の高野晶が広げたノートパソコンを眺めていた。
「おっはよー」
「おはよっ!あれ、高野何やってんだ?」
同じく友人である塚本天満と周防美琴も高野の机を囲む。この4人は大抵一緒にいる事が多い。
「今日はちょっと成分解析をやろうと思うんだ」
「成分解析?」
高野の言葉に、一同は首を傾げた。高野は気にせず続ける。
「このソフトに色んな言葉を打ち込むと、勝手に解析してくれるんだよ」
「ええー、何それ!?やってみてやってみて!」
一人興味を示したのは天満だった。期待通りのリアクションを受け、高野は早速キーボードをタイプし始めた。
塚本天満の成分解析結果 :
塚本天満の89%はむなしさで出来ています。
塚本天満の9%は努力で出来ています。
塚本天満の1%は大阪のおいしい水で出来ています。
塚本天満の1%は言葉で出来ています。
「あはは、ほとんどむなしさでできてるんじゃん」
「ちょっと、これひどくない!?」
沢近と周防が頬を膨らませる天満を見て笑った。高野も無表情ながら満足げである。
「ねえねえ、他にもやってみてよ!」
沢近愛理の成分解析結果 :
沢近愛理の83%は呪詛で出来ています。
沢近愛理の12%は砂糖で出来ています。
沢近愛理の2%は心の壁で出来ています。
沢近愛理の2%は世の無常さで出来ています。
沢近愛理の1%は嘘で出来ています。
「あはは、沢近はほとんどが呪詛だって!」
「1%が嘘、か…」
「ちょっと、そんな少ない方ばっか注目しないでよ!」
沢近が呪詛について反応しないのは、単に意味を知らないからである。
「じゃあ、次いってみよう!」
沢近の成分解析結果 :
沢近の94%は電波で出来ています。
沢近の2%はツンデレで出来ています。
沢近の2%はカテキンで出来ています。
沢近の1%は血で出来ています。
沢近の1%は食塩で出来ています。
「ほ、ほとんど電波じゃねーか…!」
「なんでまた私なのよ!さっきもやったばかりじゃない!」
「ツンデレの割合は実際もっと多そうだね」
「じゃ、次いってみよう!」
周防美琴の成分解析結果 :
周防美琴の75%は白インクで出来ています。
周防美琴の17%は苦労で出来ています。
周防美琴の4%は歌で出来ています。
周防美琴の2%は電波で出来ています。
周防美琴の1%はマイナスイオンで出来ています。
周防美琴の1%は不思議で出来ています。
「何だよ、白インクって…」
「美琴が苦労でできてるってのは当たってるかもね」
「晶ちゃん、次いってみよう!」
麻生広義の成分解析結果 :
麻生広義の73%は砂糖で出来ています。
麻生広義の21%はやさしさで出来ています。
麻生広義の3%はカルシウムで出来ています。
麻生広義の1%は努力で出来ています。
麻生広義の1%は世の無常さで出来ています。
麻生広義の1%は愛で出来ています。
「ちょっと待った、何でいきなり麻生なんだよ!?」
「いや、きっと気になると思ってやってみた」
「誰も頼んでないじゃん!」
「21%のやらしさって所に彼のむっつりっぷりが出てるね…」
「むっつりじゃねーっつの!」
「ね、ねえ晶ちゃん。ついでに烏丸君もやってみてくれない…?」
「おうおう、お熱いですねえ塚本さん!」
烏丸大路の成分解析結果 :
烏丸大路の95%は不思議で出来ています。
烏丸大路の5%はミスリルで出来ています。
「大当たりね…」
珍しく全会一致だった。
完
やさしさをやらしさってのはギャグでいいんだよね?
なんでミスリルなんだよw
>>733 それが誤字だったら晶のセリフが成立しないじゃん
結論:作者がやさしさをやらしさと読み間違えてネタにした
ほんとごめんなさいorz
>734
何となく納得出来なくは無いが…w
超姉の成分解析結果 :
超姉の51%は睡眠薬で出来ています。
超姉の36%は愛で出来ています。
超姉の8%は努力で出来ています。
超姉の4%は覚悟で出来ています。
超姉の1%はツンデレで出来ています。
睡眠薬とツンデレでお腹一杯ですw
携帯の成分解析結果 :
携帯の62%は陰謀で出来ています。
携帯の30%はお菓子で出来ています。
携帯の5%は成功の鍵で出来ています。
携帯の3%は利益で出来ています。
間違ってる気がしないw
>>738 この成分解析って、何か流行ってるの?
それはともかく、その分析結果はかなり真に迫っていると思った。
流行ってるって…
ニュー速とかいかないの?
ヒント:普通は行かない
. . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :
Λ_Λ . . . .: : : :::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . ::: : :: :::
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: .
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : ::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ 毎日行ってる俺って…
保守
誕生日記念に虹キボン
746 :
アモル:06/04/12 23:48 ID:rsKxWo7g
虹じゃなくてスマヌ。
待ってて下さった方、遅くなって申し訳ありません、アモルです。
前回、原作を劣化させただけという厳しいご意見を頂きました。
実際この話はタイトルの通り「美琴ルート」をやってみよう、と思って
話を構成したので、基本的に原作をかなーり流用してます。
展開が同じようになるのはこれからもあります、
ただ、劣化とは呼ばれないように頑張りたいです。
というわけで投下します。
本来なら全部完成してから投下しようと思ったのですが、
多分今スレでは全部入りきらないので、出来上がった前半分を投下します。
残りは次スレで。
ていうか今回の話も原作なぞり・・・
一応この次の第5話はオリジナルの予定なので勘弁してください。
「ふぅ………」
練習を終え、美琴はタオルで吹き出る汗を拭いながら更衣室へ向かった。
「周防、ちょっといいか。」
「ん? 何だ?」
その時花井が声を掛けてきたので、美琴は足を止めて向き直る。
「うむ。子供達と話してて小耳に挟んだんだが………」
「ふむふむ。」
「ハリオとは一体何者なんだ?」
「ん? ……うーん………」
花井のその言葉に、美琴はどう答えれば良いのか迷った。
ハリマ☆ハリオ。播磨の漫画家としてのペンネームで、ここの子供達は皆ハリオと呼んでいる。
しかしそれを花井に教えるわけにはいかなかった。理由は簡単、播磨から誰にも言わないように口止めされているからだ。
恐らく子供達は播磨の本名など覚えていないだろう。だからその分の心配は恐らくないのだが。
「何でも漫画を描いていて、時々それを皆に見せに来るとか。 僕は会ったことはないが……」
わざわざ花井のいない時間を選んでいるからそれは当然だ。
「それに周防。元々はお前が連れてきたという話じゃないか。お前の彼氏なんていう話も聞いたが……」
「いやいやそれはねーから。」
とりあえず最後の言葉だけは否定しておく。
「じゃあ誰なんだ? わざわざ連れてくるということはお前と親しい男だと思うが心当たりが……」
「うーん……悪いけどお前にも言えねーんだ。誰にも言わないように約束してるし、さ。」
「む……そうか………。」
約束、という言葉に花井は渋々だが追及をやめる。しかし、正体は別として聞いておかなければならないこともあった。
「しかし周防、そのハリオという男……信用できるのか?」
「……信用?」
「お前の人の見る目を疑っているわけではないが、僕にとっては面識のない人間だからな。
子供達に何か悪影響がないか心配だし、もしそんなことがあったら親御さんにも顔向けできん。」
道場というのは体を鍛える場所であると共に、人間教育の場でもある。
子供達を預かる人間として、花井は無論のこと美琴にもその責任があるのだ。
花井が当然のように持った不安を和らげるように、美琴は笑いながら答えた。
「ああ、大丈夫大丈夫。 アイツはバカだけど子供には優しいし、悪い影響なんかねーよ。」
「ふむ……そうか。分かった、お前を信じるとしよう。」
意外とあっさりそう言って花井は美琴の側から離れた。しかし心の中では実は別な懸念を抱いていた。
もし美琴がそのハリオなる男と付き合っているとするならば、その男がどんな人物かを見極めねばならないと思ったのだ。
美琴が子供達に会わせようと思うのだから、少なくとも悪い人間ではないだろう。
しかし、その男が美琴に相応しい男かどうかは別だ。花井にとって美琴は、本人は自覚していないがある種の聖域のような存在である。
その聖域にはそれに相応しい相手でなければならないと思っているのだ。
(これからの周防の動向には気を配らんとな………)
花井は心の中でそう決意していた。
一方の美琴も、ここ最近周りから播磨との関係を疑われていることをどうすべきか迷っていた。
「全く、どいつもこいつも一緒にいたり話したりするだけで疑いやがるからなー……」
今回に関しては正体を隠してこそこそしているので疑われても仕方がないとは思うが、この所そういう事がやけに多い気がする。
しかし大っぴらに違うと言ったところでますます疑惑を深めるだけである。
「それもこれも妙な難題を持ち込んでくるアイツが悪い!」
アイツとは勿論播磨の事だが、そもそも美琴も自分の意思で手伝っているのだから単に八つ当たりである。
「……まあ、仕方ねぇか。 そのうちみんな飽きて忘れるだろ。」
悩んでいても必ずしも解決方法が浮かぶわけではないので、美琴はそれ以上深く考えず、成り行きに任せる事にした。
美琴自身、単なる疑惑に過ぎず大した問題にはならないと思っていたのだ。
しかし、この判断を、後々美琴は後悔することになる。
A Route of M 第4話 前篇 -Opening Fight-
「さぁて、帰っか。」
漫画を描くのに必要な画材道具を買い足して、播磨はバイクのエンジンを掛けた。
他に用事もないのでそのまま帰ろうと思ったのだが、
「………ッ!……ァ………!……!……」
バイクのエンジン音にかき消されそうな小さな声だったが、播磨の耳は敏感にそれを聞き取った。
「コイツは………」
少し考えて、播磨は興味本位でその声のする場所へ行ってみることにした。
播磨が鋭敏に感じ取ったその気配とは-------------
(コイツは……喧嘩の匂いだ………。)
声の聞こえた路地裏に行ってみると、果たしてそれは起こっていた。
既に10人近い男がそこら中に転がっている。そして、播磨の目の前には二人の男がいた。
「ひぃ……っ…!」
そのうち一人は既に戦意を喪失してたのか、その場から逃げようとする。そして、播磨と目が合った。
「ひ………え……播磨さん………?」
「あ? 誰だよオメーは?」
自分の名前を呼んだその男に、播磨は全く覚えがなかった。実は播磨の中学時代の取巻きの一人なのだが、
元々勝手に付きまとわれていただけで播磨自身は彼らを全く相手にしていなかった。
そしてそれも播磨が矢神高校に入ってからは全く付き合いは無くなったのだ。
そもそも現在の舎弟である吉田山の名前すら覚えていない播磨が彼らを覚えているはずがないのだが。
しかしそんなことは必死になったその男には関係ない。
「は、播磨さん! ソイツやっちまって下さい!」
半ば押しやるようにして播磨を前に出し、その男はそのまま逃げていった。
仕方なしにその場に立つもう一人の男に向き直る。
サングラスを掛けた金髪の優男だった。彫りの深いその顔立ちはどう見ても日本人には見えない。
(日本語通じんのかコイツ…?)
英語は当然のように全く話せない播磨は、何を言えばいいのか分からなかったが、
「どうやら君が親玉の用ダナ。 一体どの程度なのか知らナイガ………」
相手は意外と流暢な日本語で言ってきた。少なくとも聞き取る分には問題ないレベルだ。
それならば、と播磨は誤解を解こうと思い話し掛けた。
「あー、勘違いしてるみてーだが……俺は別にアイツ等とは………」
関係ない、と続けることは出来なかった。相手が凄まじい速度で踏み込んで左の拳を打ち込んできたのだ。
播磨は下がらなかった。相手が打ち込んできたと同時に播磨もまた踏み込んでその左に右を被せる。
考えての一撃ではない。体が勝手に反応したのだ。
互いのパンチが互いの頬を掠める。
「ムッ!?」
「ッ!」
二人同時に後ろに跳びずさり間合いを取る。
「フム……なかなかやるようダナ。」
「テメェ………!!」
金髪の男が自分の頬を撫で、手に付いた血を確認して不敵に微笑む。
播磨の頬も裂けて血が滲んでいたが、播磨はそんなものには構わなかった。
話し合いで解決しようという気は既に失せていた。殴り倒した方が手っ取り早い。
肩に掛けていた鞄を置くと、今度は播磨の方から突っ込んで左右の拳を繰り出した。
唸りを上げて襲い掛かるそのパンチを男は軽々と避ける。
「いいぱんちダ………ダガ………当たらなければどうということはナイ!」
次々と飛んでくる強烈だが大振りなパンチを避けながらタイミングを窺う男。そして次のパンチに合わせてカウンターを
仕掛けようと思ったその瞬間、播磨が信じられないタイミングとモーションで浴びせ蹴り気味のハイキックをそのがら空きの
頭部へと繰り出した。
「ナニッ!?」
ドガァッ!!
今まで涼しい顔で避けていたその男の顔色が変わる。予想外のその一撃は辛うじて腕でブロックした。
しかし無茶な体勢から蹴りを放っても播磨は全くバランスを崩さず、更に追い討ちを掛けようとする。
(守勢に回っては不味い、この男を前に出させたら危険だ!)
一瞬でそう判断し、男は踏み込んでくる播磨の頭部に向けて右足を跳ね上げた。
播磨はそれを屈んで避けたもののさすがにやや体勢を崩し、一旦下がって間合いを取る。
男もそれ以上は仕掛けない。迂闊に手を出したらどんな反撃が来るか分からないからだ。
睨み合う二人。と、その時男の方から話しかけてきた。
「フ……日本にはサムライなどとうにいないと思ってイタが………」
「あ? サムライ?」
サムライなど播磨にだって見た覚えはない。あんなのはもう時代劇の世界にしかいないものだ。
そう言われて悪い気はしないが、脈絡無くそう言われてもどう反応すればいいか分からない。
「シカシ、君のような男がこんな連中の仲間とハ……ローニンに身をやつシタか?」
「仲間じゃねーよ、こんな奴ら知るか! それにサムライでもなきゃローニンでもねえ!!」
「ム、そうナノか……? 先程の男は君の事を知っているようダッタが。」
「知らねーよ。 俺は顔が知れてっから俺の事を知ってる奴ァいるだろーがな。」
「フム………するとこちらの勘違いということカ。 ……すまナイ、迷惑を掛けたようダナ。」
意外に素直に謝るので、播磨は気勢を殺がれてしまった。
「……あー、もーいーよ。とっとと行け。」
シッシと手を振ると、播磨はバイクを置いた場所に戻ろうとする。
「待ちタマエ。」
その時男が播磨を呼び止めた。振り向くと、男もまた自分のバイクに乗り込もうとしていた。
「私はハリー。 ハリー=マッケンジーだ。 君の名ハ?」
「俺か? 俺は播磨拳児だ。 つってももう会うこともねーだろ。」
「ハリマ…か。 覚えておコウ。」
そう言って男、いやハリーはバイクに跨り、風のように走り去った。
それを見届けると、播磨は、
「全くエラい目にあったぜ。やっぱ喧嘩なんざやるもんじゃねーな。」
説得力のないボヤキをのたまいながら、置いておいた鞄を拾う。ふと、その側に見覚えのあるものが落ちているのに気付いた。
ベレー帽だ。いつも自分が被っているのにそっくりな………
バッ!!
と頭に手をやると、そこに帽子の感触は、無かった。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!?」
慌ててその帽子を被り直す。
「あ……あのヤロォ……サムライってそーゆー意味かよ………?」
ちなみに帽子が外れたのはハリーの蹴りを避けた時である。
「クッソ……これで2度目だぜ……やっぱベレー帽やめっかな………? いや、しかし漫画家といやぁ
ベレー帽だしな………」
播磨は帽子を変えようがどうか真剣に悩みながら帰途に着いたのだった。
それから数日後
体育祭当日がいよいよ近づいてきたころ、それは起こった。
昼休み、播磨は食費も無いので水で腹を膨らませ、教室に戻ってきた。
そこでは、思い思いに集まって昼食を摂っている、はずなのだが、この日は違った。
ドアを開けると、何故か大柄な女がアイアンクローで両手に人を吊り下げていたのだ。
「? 何なんだこりゃ?」
吊り上げられている一人は髪を染めた男子、多分今鳥か誰かだろう。そしてもう一人は………
(天満ちゃん!?)
そう、吊り上げられたもう一人は天満だった。天満はしばらくもがいていたのだが、やがて力尽きたかのように
ぐったりと動かなくなった。
呆気に取られていた播磨だが、天満が動かなくなったのに気付き、その女に向かって歩き出した。
女をどうこうするのは性に合わない。しかし、播磨にとって天満の身の安全はすべてに優先するのだ。
だが、播磨が手を出すよりも先にその女の腕を横合いから別の手が掴んだ。それをしたのは播磨もよく知る女だった。
「……弱いもんをいじめて楽しいか?」
(周防………。)
美琴がその女の腕をがっちりと握り締めていた。女がその手から天満を解放する。
天満はフラフラしながらも愛理や晶の戻っていった。大したことは無かったらしい。
播磨はホッ、と胸を撫で下ろした。そして視点を二人に戻す。
「………………やるか?」
女、どうやら留学生らしい、は闘争心に満ちた眼で美琴を睨みつける。
ここまでギラついた眼をした人間は、播磨の記憶にも殆ど無い。まるで野獣か何かのようだ。
しかし美琴も全く視線を逸らさず、厳しい表情で睨み返している。
一触即発の空気の中、花井が場を収めようと、
「オイオイ二人ともいい加減に「いい加減にしないか!」」
………したのだが、その言葉は別な人間に遮られてしまった。
声のした方向へ顔を向けると、見慣れない二人の男が入ってきた。
いや、正確には見慣れないのは片方だけで、もう一人の金髪の男は播磨には見覚えがあった。
「ハ、ハリー=マッケンジー!?」
クラスの誰かがそう言ったときに播磨は確信した。この前に路地裏でやり合った外国人だ。
確かそんな名前だったはずだ。そして、そのハリーの視線が播磨のところで留まる。
「オヤ………君はあの時のジャパニーズサムライ。」
「サムライじゃねえ!」
そのやり取りを見たもう一人の男がハリーに訊ねた。
「知り合いか、ハリー?」
「フフ……まあそんな所ダ。」
含みを持ったその表情を見、そして未だ緊張感を保つ美琴と女を見て、
「…どうやら色々な因縁があるようだな………。 おもしろいじゃないか!」
心底楽しそうな笑みを浮かべると、急にこんな事を言い出した。
「2−D委員長の東郷雅一が進言する! 2−Dの者と2−Cの者の因縁は全て体育祭で決着させようではないか!
……どうだね?」
東郷という男のその発言に、教室中にどよめきが起こる。
「ホウ………」
とハリーは興味深げにその言葉を聞いた。
「い、言われたーーー!!」
と花井は別な理由で苦悩する。
クラスの男子からはその勝手な取り決めに当然ながら不平不満が飛んだ。しかし、
「………やります。」
「やったろうじゃねーか!」
気持ちに火がついていた美琴はともかく、何故かイチサンこと一条もその提案に同意した。
「ハリマ……この前の戦いは中断してしマッタが、その決着をコレで着けるとしヨウ。」
「あ? 興味ねーよンなモン。」
「ン…? まさか君ほどの男が臆するということはあるまイ?」
「……何だと?」
播磨の声に殺気が篭る。それを感じ取ってハリーは、
「フフ……それでイイ。」
とむしろ満足げに微笑み、そして他の二人を促して教室から出て行った。
女、どうやらララというらしい、はまだ吊り上げていた今鳥を放り捨てると、
「……ここで戦わないとはとんだ腰抜けだな……ミコチン!」
美琴に向かってそう捨て台詞を吐いて歩き去った。
三人が出て行った後、教室内は連中の唯我独尊の物言いに罵詈雑言が乱れ飛んだ。
「あンのヤローふざけやがってー……体育祭で目に物見せてやっからな………」
メラメラと闘志を燃やしていた美琴だったが、ふと思い出したように播磨に訊ねた。
「そういや播磨。 お前あのハリー=マッケンジーと知り合いなのか?」
「ん? ああ、こないだ成り行きでやり合ったんだよ、ケリは着かなかったけどな。 まさか同じ学校だとは
思ってなかったけどよ。」
「へぇー、そんなことあったのか。」
運動神経抜群とは聞いていたが、播磨と渡り合えるということは腕っぷしも相当ということだろう。
(あの自信はハッタリじゃねえ、ってことか………)
などと美琴は思っていたが、
「ま、正直決着なんてキョーミねーけどな。 全く勝手に決めやがって………」
播磨が完全に人ごと状態なので、きっちりと釘を刺しておくことにした。
「何言ってんだよ? オメーにもしっかりやってもらうぞ。 何せ貴重な戦力なんだからな。」
「何で俺がンな事しなきゃならねーんだよ!? 面倒クセェだろ!」
「同じクラスなんだから当たり前だろ! ちゃんと参加しろ!!」
「………クッソー何で俺が………」
不満タラタラの播磨。これでは例え無理やり出場させても本来の力は発揮されない。
美琴はどう説得してやる気を出させようかと思ったのだが、
「よーしみんな! 体育祭頑張ろーーー!!」
という天満のかけ声で、
「おう! まかせろ塚本!」
と一瞬にして播磨がやる気になったのを見て、
(分かりやすいヤツ………)
と半ば呆れ気味にハーッとため息を一つついたのだった。
それからまた数日経って、とんでもない事件が起こった。
今、美琴は保健室にいる。その隣には愛理が立っている。窓には大勢の男子生徒。
そして目の前では、播磨が若い女とベッドの上で抱き合っていた。
女はつい最近赴任してきた養護教諭、姉ヶ崎妙だ。
「…………………」
「…………………」
「…………………」
「…………………」
まず愛理が回れ右して部屋から出て行った。そして美琴もそれに続く。
覗き込んでた男子生徒たちも潮が引くようにいなくなった。皆、無言で。
「ま、待て、テメーら!い、いや待ってくれ、俺の話を……って何でお姉さんがここにいるんスか!?」
播磨本人も何が起きているのか解らなかった。サボって保健室で寝ていたら急に抱きつかれて目が覚めて、
しかも抱きついたのが以前居候してたお姉さんで、更にその光景を何故か大勢に目撃された。
完全にパニック状態で目の前にいる妙に事の次第を訊ねる。
「あ、私は養護教諭として赴任してきたの。」
「へー、そうなんスか……って何ィッ!?」
「でも驚いたわー、ハリオがこのガッコの生徒だったなんて。 これはまさに運命よねッ!」
播磨の疑問に端的に答え、妙は再び愛しそうに播磨を抱きしめた。
「どわっ!? やっ、やめてくれ! 俺には他に運命の人がアァッ!!?」
「アンッ、もう、ハリオったら………」
抱きついてくる妙をどうにかして振りほどき、電光石火で保健室から脱出した。
「ハァー………ハァー………ハァー………全く、何がどうなってやがるんだ………?」
一方、美琴は愛理と並んで廊下を歩いていた。先ほどの出来事が全く理解できない。
元々は播磨の髪を剃り落とした愛理の謝罪に付き合うため(というか見物するため)に保健室に行ったのだ。
そこで何故播磨が養護教諭と抱き合っていたのか。
「一体何だったんだありゃ………?」
ほとんど独り言だったのだが、意外にも答えが返ってきた。
「あの女の人、前にヒゲといたのを見たことがあるわ。」
「へ!?」
愛理が知っていることに驚く美琴。
「一体いつだ? 一緒にいるのを見たのって?」
「……前にアイツがいきなり告白してきた、って話したことがあるでしょ。」
「ん……ああ………。」
夏休みの時の話だ。あの時愛理と喧嘩になったことも、そしてその後自分の身に起こったことも、あまり面白い出来事ではない。
結局誤解は何となく解け、今は元に戻っているが。
「私が返答に困ってた時に、あの人が現れたのよ。……いきなり後ろからヒゲに抱きついて「今日の晩御飯は肉じゃがよ。」
なんて言ってね。」
「ほ……ホントかよそれ………?」
「嘘ついてどうするのよ?」
「い……いや……まあ、そりゃそうなんだけど……あまりに突拍子のないことでさ。」
そう、今の話が確かなら、播磨があんな大人の女と付き合っていたということになる。とてもじゃないが俄かには信じられない話だ。
播磨が天満一筋であると信じている美琴なら尚更のことである。
「しっかし……晩御飯の話が出るなんて、一緒に暮らしてたってことじゃ………」
そこまで言ったところで、美琴はあることに気がついた。
(一緒に、暮らして………)
そういえば、播磨から聞き出した話が確かなら、あの頃の播磨はある女性の家に居候になっていたはずだ。
詳しい名前などは知らないが、もしあの養護教諭がその女性ならば納得がいく。
しかし腑に落ちない点もある。播磨はその人とは何もなかったと必死でアピールしていたが、先程の様子や愛理の
話を総合すると、とてもそうは思えない。どう考えても親密な関係に思える。
「………琴、ちょっと美琴?」
「………え!? あ、ああ……ごめん……ちょっとパニクっててさ。」
「………そう。 まあ確かにあんなの見せられちゃたまんないわよね。 学校なんだからもっと周りの迷惑も
考えてほしいわよ………」
愚痴るように言う愛理の言葉を聞き流し、美琴は、
(こりゃあ播磨から洗いざらい話を聞き出さなねーと………)
と決意するのだった。そしてもし自分に嘘をついているのなら張り倒してやる、と。
結局播磨はその後教室には戻ってこなかった。
教室では当然のように保健室事件の話題で持ちきりだったから、おそらく居たたまれなかったのだろう。
そしてそのまま放課後になり、美琴はいつもの通り天満達と一緒に帰ろうと玄関までやって来た。
しかしそこへ、携帯がメールの着信を知らせる。美琴はメールの内容に目を通すと、
「あたしちょっと用事があるから。」
と3人に言い残して来た道をUターンした。メールのタイトルは[トーン貼り]、差出人は、播磨拳児。
そして呼び出された屋上へとやってくると、既に播磨はそこにいた。
「よ、よお周防。待ってたぜ。」
「ああ。」
微妙に上ずった声で挨拶する播磨に、冷たい声で返事をする美琴。
「……そ、それでよ、続き書いてきたんだけどよ………」
「へぇー。」
「で、でな、お前にチェックしてもらいたくて………」
「ほぉー。」
「………………」
「………………」
「………周防。」
「何だ播磨?」
「スイマセン、俺の話を聞いてください。」
「よろしい。……播磨、あたしは今、凄ーーーーーくお前を疑ってるんだ。ちゃあんと納得させてくれないと、お前との関係はこれっきりだぞ。」
「わ、分かった………。」
逃げ場を奪うようにキッチリ釘を指しておいて、美琴は播磨にこの事件の真相を話すよう促した。
播磨の話によると、あの養護教諭、名前は姉ヶ崎妙、はやはり播磨の元居候先だった。
心に傷を負って公園で一人佇んでいた時、彼女が拾ってくれたそうだ。そこで数日間世話になっていた。
で、今回たまたま播磨のいる学校に赴任してきたということで、播磨にとっても寝耳に水の出来事だったそうだ。
そこまでの話は理解できる。しかし美琴が聞きたいのはもっと別のことだ。
「……で、だ。本当に単なる居候先なのか?」
「ど、どーゆーこった?」
「つまり、その……なんだ………ようはお前とあの人がな、そう、男と女の関係だとか………」
どう言おうか迷ったが、結局直球で聞いてみることにした。
「ち、違う! あの人とは何にもねえ!! 本当だ!!」
「本当かァ? 保健室じゃやけに親しそうだったけどな。」
「違うって! 俺は寝てただけであの人がいきなり抱きついてきたんだよ!! そこにオメーらが入ってきた………」
「何でもないのに、いきなり抱きついたりするのか?」
「あの人はそーゆー事あんま深く考えねーんだ! 一緒に住んでたときもあんな感じだったんだ………」
「つまりいつもあんなスキンシップをしていたと。」
「でも俺はそんなことじゃ惑わされねえ! 天満ちゃんを愛する気持ちがある限りな!!」
力説する播磨。と、そこで美琴がずいっと顔を寄せて播磨の顔を覗き込み、じーっと目を合わせてきた。
「本ッッ当に惑わされなかったか?」
「う……ッ………!」
播磨はしばらく耐えていたが、堪え切れず目が僅かに泳ぐのを、サングラス越しでも美琴は見逃さなかった。
「……ちょっとは惑わされたんだろ。」
「い、いや、ホントにちょっとだけだ! あん時は天満ちゃんに振られて、烏丸にも負けて、心がガタガタでよ………。
でもちょっとグラついただけだ! あの人とは何もなかった! 本当だ!」
今度は視線もぶれない。恐らく本当のことだろう。嘘の下手な播磨は誤魔化しに限界がある。
「頼む! 信じてくれ!! オメーしか信じてくれそうなのいねーんだよ!!」
とうとう土下座して頭を床にこすりつける。半泣きで訴える播磨に、
「………ハァー、分かった分かった、信じてやる。 だからもう顔上げろ。」
呆れ半分、慰め半分で美琴はその手を差し出した。
「ほ、本当に?」
「ああ。」
「………ウッ………ウォオォォォオォォオオォォォォッ!! ありがとう周防ッ!! いや周防サマァァァッ!!」
「どわっ!? ちょ…て、やめんかァッ!!」
ゴキッ!
「アゴォッ!?」
我を忘れて脚にしがみついて来る播磨の脳天に、美琴の肘鉄が炸裂した。
……………………………………………………………………………………………………………………………
「ス、スマネェ……あまりの喜びについ我を忘れちまったぜ………。」
ようやく播磨は落ち着きを取り戻した。
「全く、今鳥かお前は!……本当に何もなかったのかまぁた疑いたくなってきたぞ。」
「い、いや、マジで何もなかったって。」
「冗談だよ。 信じてやっから。 ………他にまだ隠してることとかねーだろーな?」
「ネェよ………多分。」
自信なさげに答える播磨。さすがにどこで何が出てくるのか自分でもわからないので確信が持てない。
「しかしあたしはいいとしても他の奴らにどうそれを伝えるかの方が問題だよな。」
「ぐ………」
「ま、そんなに深く考えんなよ。 人の噂も七十五日、って言うしな。」
「七十五日、って2ヶ月半だろ。 長ゲーじゃねーか!」
「ことわざだバカ。 そのうち無くなるってことだよ。 ウチの学校は変な出来事多いからみんなこんな噂
すぐに忘れるって。」
「そ、そうか………」
楽観的な美琴の言葉に、やや不安げながらも播磨は頷いた。
「よし。 んじゃもう帰るか。播磨、一緒に……ってこれで噂になってもマジーよな。んじゃあたしが先に出るから……」
「オウ………って待ってくれ周防。 その前にコッチの方も頼む。」
帰ろうとした美琴を慌てて呼び止め、播磨は漫画の原稿を差し出した。
「ん? ああ、これか。……ったくマメだなオメーも。」
苦笑しながら美琴は原稿を受け取ったのだった。
時間は少し前に遡る。
「……何やってんのかしら美琴?」
「うーん……何だろう?」
いつまで経っても戻ってこない美琴を3人は玄関で待っていた。
しかしその時、愛理に対して話しかけてきた男子がいた。
同学年の男子生徒だ。愛理と二人だけで話がしたいのだという。
こういうことはよくある。愛理とデートしたい相手や告白しようとする相手は後を絶たない。
そして今回もご多分に漏れずそういうことだった。
「それじゃちょっと言ってくるわね。」
「分かったわ。塚本さん、私たちは先にメルカドに行きましょう。」
「うん。そうしよっか。」
美琴も戻ってこないので、天満と晶は先に出ることにした。
それから十数分後、愛理は自分を呼び出した男子の告白をあっさり断って玄関に戻ってきた。
そのまま玄関から出て天満達を追いかけようと思ったのだが、まだ美琴の靴が下駄箱の中に残っているのに気付いた。
「何だ、まだ美琴学校の中にいるんだ。」
そう一人ごちると、少し考えて、何となく美琴を探してみることにした。
一体何の用事でいなくなったのか、少し興味があったのだ。
教室、職員室、図書室などをグルグル回って、やがて愛理の足は屋上へと向かっていた。
階段を上り屋上の扉を見ると、扉は半開きになっていた。誰かがいるようだ。
愛理はその扉を軽く押し開けて、軽く覗き込んでみると、そこには二人の人間がいた。
一人は探していた美琴。そしてもう一人は………
(ヒゲ…?)
何故美琴と播磨が一緒にいるのか? 理由が分からずに二人の会話を聞き取ろうとする。
そして聞こえてきた播磨達の会話に愛理は耳を疑った。
「ここでキスしちゃってもいーかな?」
「へ?」
(な、何ですって……!?)
「いや……キスはまだ早くねーか? まだ付き合い始めたばっかだろ。」
(え…? つ……付き………?)
「でも……こういうときはやっぱするもんじゃねーのか?」
「……うーん………まぁ、確かにその場の雰囲気とか勢いとかは大事かもな。」
「だろ? ならやっぱここでしちまおーぜ。」
「……そーだな。ここでキスしゃうか!」
そして、美琴が身を乗り出して播磨に体を寄せた。
「!!」
バタン!
堪えきれず、愛理は扉を閉じて、そして一気に階段を駆け下りていった。
「ん?」
扉の閉まった音に、美琴と播磨が振り向いた。しかし当然ながらそこには誰もいない。
そして風が吹き抜けていく。
「オイ……まさか誰かに覗かれたとかねーだろーな………?」
「いや…ドアちゃんと閉めてなかったかも。 風で閉まったんじゃねーかな?」
「そ…それならいいんだけどよ……もしまた変なことになったら………」
「心配ねえって。 今の時間にこんなとこ来るヤツはいねーし。」
「……ま、そーだな。んで、次の場面だけどよ………」
先程の播磨と美琴の会話は勿論漫画に関しての事なのだが、美琴の手にある原稿は播磨の体の陰に隠れて
愛理の視界には入っていなかった。
こんな単純なことが決定的な誤解を生んだということが、播磨にも美琴にもこの時は知る由も無かったのだった。
この後、美琴は播磨と別れ商店街で遊んでいる天満達に合流したのだが、愛理は結局現れなかった。
晶が連絡してみたのだが、体調が優れないという理由で断りを返してきた。
次の日、愛理は学校に来たものの、どこか様子がおかしかった。何をやるにしても上の空で、そして美琴に対して
妙に余所余所しい態度を取るのだ。
美琴は気になって何度も聞いてみたが、何だかんだではぐらかされ、結局理由を聞き出すことは出来なかった。
そしてどこかギクシャクとした関係のまま、体育祭当日を迎える………。
後篇につづく
前半は以上です。
この話だけだとまさに
やまなし
おちなし
いみなし
になっているのは御容赦下さい。後半である程度は展開しますので。
しかし書き込みながら思ったんですが、今回は特に単なる出来事の羅列に・・・
力不足を痛感しました。
今投下してから容量を確認したら全然大丈夫だった。今スレ中に後半投下します。
出来れば今週中に。
つまらない、長い、文章ヘタ
終われ
後半に期待してる
GJ!!
同じく後半期待してるよ。
これで原作劣化版と言われないように頑張ったつもりなの?
なんか前より悪くなってんな。
ハッキリ言って今までの全部省略しちゃっていいぞ。
八雲と周防を入れ替えました、でスタートすればいいじゃん。
どうせ展開一緒なんだし、知ってる人にはそれで通じるっしょ。
長々長々とウザイだけだ、こんなの。
言いながらちゃんと読んでる
>>774はツンデレだな
全部いらないってのはさすがに言い過ぎだが
原作の関連エピ馬鹿正直に全部焼き直す必要はねーな(w
相手が八雲でなく美琴であることによって本編とは違う面白さが出そうなエピソードに絞ったほうがいい
それ以外はオリジナル展開に入ってから必要な部分を適宜手短に補完してけば十分だと思う
俺ももっと端折れ、とだけ言っとく。がんばれ。
GJだけどちと長いね。二〜三回に分ければ読みやすかったかも。
けどあらためてGJ!
今週も後一時間を切った・・・
780 :
Classical名無しさん:06/04/15 23:31 ID:eQytJ022
なんて駄作に溢れたスレだろうか…
あっそ
ってか壮絶な叩きレスに対してのマジレスがなくなったな
>>770 レスが多い作品にはいい作品が多いから頑張れ
明らかに文句しか言わないやつはスレの空気悪くしたいだけの嵐だから
>>782 嵐はスルー
バーボンハウスのコピペいじってたら、なんか旗よりのお子様ランチを
思いついてしまいますた。
投下していいすか?
なんだか知らんけど、できてるなら投下すればいいと思うよ。
>>785 あんがと。大体流れとかは頭に浮かび上がってるけど、
文章にはしてないんで少し待っててくれ。携帯からこの文も書いてるし。
お子様ランチって時点で結構ベタだと思うんで宜しく。
しかし今のスレの流れで僅か2分でレスが来るとは思わなんだw
>>786 全部のスレの新着チェックという技使ってるからなw
ともあれがんばってくれ。旗厨の俺が期待している。
788 :
784:06/04/18 20:10 ID:EyFY2Uvk
ちはス。投下開始します。
789 :
784:06/04/18 20:12 ID:EyFY2Uvk
―ん、いい感じ。
鍋のフタを開けると、肉じゃががいい色に煮えてきている。
昔は料理を含めた家事全般が壊滅的な腕前だったのにね、と一人ほくそえむ。
文武両道、あり余る才を持つ私がちょっと本気になれば・・・違うわね。
鋤こそものの上手なれ、だったかしら?
「ママ〜?あ、カレーなんだ」
「パパ呼んでくる?」
晶が言ってたわね、『好きな人のためなら頑張れる』って。
正直な話、晶には似合わないセリフだと思ってたけど、かつての私だって
他人の事はあまり言えなかったんだろう。
だけど、今の私にはその台詞の意味がよくわかる。
愛しい家族にはおいしい手料理を作って、喜んでもらいたいじゃない?
ちょっと鍋のカレーを覗き込んで、私は幼い兄妹に返事をした。
「そうね、もうそろそろいいかしら。パパが好きだから多いわよ、今日」
「「は〜い」」
本当はもう少し時間がかかるけど、原稿を書き出すと彼は
キリのいい所まで!ってゴネたがる。今くらいでちょうどいいでしょうね。
・・・ん?何かおかしい。
まいっか。
790 :
784:06/04/18 20:13 ID:EyFY2Uvk
多分大した事じゃないんだろうとよくわかんない疑念を頭から追い出し、
戸棚からお皿を並べる。彼と私とあの子達と・・・名前なんて言ったっけ。
まあいいや、思い出せないならそれはそれで。
・・・ん?何かおかしい。
まいっか。
多分大した事じゃないんだろうとよくわかんない疑念を頭から追い出し、
椅子に座って彼を待つ。ナカムラが私のお気に入りの紅茶を淹れてくれた。
珍しいわね、ナカムラがこのマンションに来てるなんて。
・・・ん?何かおかしい。
まいっか。
多分大した事じゃないんだろうとよくわかんない疑念を頭から追い出し、
とりあえず紅茶に口をつける・・・アルコール臭っ!?
流石にこれはおかしい。まいっか、じゃない。何よこれ!?
791 :
784:06/04/18 20:14 ID:EyFY2Uvk
「・・・あ・・・?」
呻きながら周りを見渡す。薄暗い空間。控えめな照明。テーブルと椅子。
私は・・・カウンター席に座っている。隣には黒い物体。頭?
今まで私が突っ伏していた所には、横倒しのグラスとこぼれたお酒。
・・・これね、さっきのアルコール臭は。
そして正面のカウンター内には・・・サングラスをかけたガラの悪い男。
「・・・ようお嬢。ここはバーボンハウスだ」
・・・意識が覚醒し、頭脳がいつもの思考を取り戻していくのがわかる。
同時に夢の内容がどんどんぼやけていく。ああ待って、せめて子供の名前・・・
「まあとりあえずこのテキーラ、サービスにしてやるから飲んで落ち着け。
俺も飲むからよ」
赤い顔で明後日の方を向きながら、拳児はグラスを差し出した。
自分は弱めのカクテルを一気にあおり、お酒で赤い顔を誤魔化そうとしている。
え〜と、その様子からすると・・・
「『また』、なの・・・?」
「ああ、『また』なんだわ。まあ、その・・・済まん」
「・・・・・・・・・どのくらい言ってた?」
「なんか俺と子供が2人いて幸せだとか言ってた」
照れくさそうに、そして申し訳なさそうに、私の寝言の内容を告げる。
こ、これは確かに恥ずかしいわ・・・言った方も聞いた方も。
ましてや夢の中の夫婦が、その当人同士なのだから。
792 :
784:06/04/18 20:15 ID:EyFY2Uvk
もう高校を卒業して2年程になる。あれは高校2年の3学期。
私・沢近愛理と塚本八雲は、播磨拳児に告白して、フられた。
播磨拳児は、塚本天満に告白して、フられた。
塚本天満は、烏丸大路に告白し、想いが叶った。
拳児は天満の事を諦めなければいけなかったけど、私達は違った。
だって私達がフられた理由は、拳児が天満を想っていたから。
だけど拳児が天満を諦めたのなら、私達はまだ頑張れる。
・・・本人はそれとこれとは別だと拒否しまくっていたけど。
「俺はそんな軽い奴じゃない」「俺はお前らを傷つけたんだぞ」
「締め切りやばいから今日は勘弁(ry」「男、いやさ漢とは(ry」
そんなものは知った事じゃないとアタックをかけまくった甲斐はあった。
友達関係とはいえ、愛理・拳児と呼び合える所までは持っていけたしね。
・・・ってまあ八雲もだけど。
もう、前の連載が終わってから数ヶ月が経つ。結構な人気作品だったから
印税もかなり入ってきていて、次回作を書き始めるまでの間は何もしなくても
暮らせるはずなんだけど、拳児は何かしてないとイヤなんだそうだ。
だから、高校時代にバイトしていたというこのバーボンハウスにいる。
そして私も、いつアシスタントに専念してもいいように、いつでも
辞める事のできる仕事に就いている。
・・・ってまあ八雲もだけど。
793 :
784:06/04/18 20:16 ID:EyFY2Uvk
「アンタねえ・・・ちゃんと起こしてよ。前も言ったでしょ、乙女の心の内を
覗くんじゃないって」
「・・・仏の顔もって言うし、謝って許してもらおうとも思わねえよ」
「じゃあ・・・何かしてくれるの?夢の内容を実現してくれるなら
許したげるわよ?」
「ぐっ・・・いやそれは・・・何か他で・・・」
「何よ・・・この甲斐性無し」
自分でも意地悪を言っているなとは思う。
だけど寝言を聞かれた上に、今まで散々待たされ、振り回されてるんだから、
このくらいはいいわよねとも思う。
ここは実に不思議な所で、ここで酔っ払って眠ると、何故か毎回いい夢が
見られるのだ。
そして毎回・・・何故か寝言が漏れてしまうのだ。
初めて来て、寝言を聞かれた時には本気でコイツを怒鳴りつけてしまった。
なんで寝言言い出した時点で起こさなかったのよ!・・・と。
いやだってすげえいい夢見てそうだったから起こすのもアレかと・・・と、
カウンターに潜り込んで震えながら答えられると、確かにそれもそうだし。
今回の夢にしても、起こされたらそれはそれで理不尽に怒っただろう。
まあ、それに気をつけて、せめて他のお客さんがいない時間に来ようか、
くらいは思っているけど。
794 :
784:06/04/18 20:17 ID:EyFY2Uvk
「けど美味い酒を飲んだとき人はきっと言葉では言い表せないような
潤いをノドに甘味と酸味と辛味を下にそして心がアルコールに乗って
天国へ飛んでいくそんな素晴らしい世界を体験することができると
思うんだよ殺伐とした世界でもそーゆーのがあるということを
忘れないで欲しい俺はそう思って今日もこのカウンターに立つんだ?」
「・・・何で棒読みの最後に半疑問系なの?て言うかどういう意味?」
「・・・さあ?」
未だに拳児に顔は赤く、そっぽを向いたまま。
意味不明なことを並べ立てて誤魔化そうとする所を見ると・・・今回の
寝言はスマッシュヒットだったかしら?
あ、まずい。私の方が照れてきちゃったじゃないの。
「え、えっと。とりあえず何か飲むわ」
「おおおおおう、んなら注文を聞こうかよ」
あ、そうだ・・・子供の名前を寝言で言ってたなら、後で聞き出しさなきゃ。
ガタタンッ!
本当に子供ができたらその名前で、と考え出した時、右隣から大きな音がした。
795 :
784:06/04/18 20:17 ID:EyFY2Uvk
驚いて顔を向けると・・・突っ伏していた頭が、ゆらぁ〜りという擬音が
似合いそうな感じで持ち上がってきた。どうやら音は隣の椅子のようだ。
ちなみに私よりもずっとテンパってた拳児は飛び上がって驚いてた。
八雲・・・あなた・・・痙攣起きしたわね?
まだ八雲は意識がアッチ側へ行ったまま戻ってきていないらしい。
無表情で周囲を見渡している。
そして、私に目が合い、訝しげに私の顔を見つめている。
「・・・お近?」
・・・誰よそれは。
「拳様、しょっぴいたはずの下手人がなぜここに?」
「・・・拳児?私、次回作の構想なんて聞いてないけど?」
「俺も知らねえよ!まだ全然手付かずだって!」
少し目に殺気を込め、平坦な口調で問いかけると、拳児は慌てて否定した。
まあコイツも学習しているから、私を除け者にして八雲とだけで構想を
練るとか、私を悪役にするとかするわけないんだけど。
こういう揉め事はしょっちゅうある。私と八雲が同じような時間に
ここを訪れるからというのもあるし、基本的にお互いの『イイ夢』では
ライバルは変な役をしている事が多いから、というのもある。
796 :
784:06/04/18 20:18 ID:EyFY2Uvk
そして別に悪い事もしてないのに被害を受ける事になる拳児は、
とりあえず揉め事を穏便に済ませるため、まずは私達を夢から現実に
引き戻すのだ。
呆れと申し訳なさと戸惑いと照れが混じった、実に微妙な声で。
「あのよ、八雲」
あ、かなり『呆れ』が多いわね。
私のは『申し訳なさ』と『照れ』が大半だったわよ?
・・・勝った。
「ここはバーボンハウスだ」
797 :
784:06/04/18 20:22 ID:EyFY2Uvk
以上です。
もうちょい、「このスレを見た時」〜「スレを立てたんだ」の箇所を
生かしたかったなぁとか、セリフはともかくお嬢の脳内語り一人称は
あんな口調でいいのかとか、播磨が鉛筆だの携帯だのさくらんぼだの
超姉だのに無意識に釣り糸たらしまくって意図せず釣りまくってたのを
書きたかったけど省いたとか色々反省点ありますが。
しかし、3時間も書くとは思わんかった・・・凄いですね、職人さん方。
>>788-797 キャラクター同士の会話や一人称の口調にも違和感を感じず、
話自体も楽しめました。
鉛筆だの携帯だの〜〜は、この位の長さのSSなら省略して逆に
良かったと思います。
あとは沢近の、夢から現実へ戻る部分がわかりにくかったです。
変わった趣向にチャレンジしたのもいいと思う。
うるさい荒らしが来ない事を祈る。
見事なまでの優柔不断系ハーレム主人公を描けてるw
まあ、チャレンジは買うからガンバってね
いや、面白かった。
変な話。
だがたまにはこういうのもいいのかもしれん。
そろそろいいか?
自演乙。
「私の秘密…私が何でペンギンの着ぐるみを着ていたか、知りたい?」
「…別にいい」
唐突に、しかも何を訳の分からない事を言い出すんだろう、この女は。
いつもの事といえばいつもの事だし、彼女らしいといえば彼女らしくはあったが。
とりあえず、間違い無く心底からどうでもいい事だったので、花井はそう返答しておいた。
「私がキスしてあげるって言っても?」
「…別にいい」
今度の問いには、あまりにも突然過ぎて花井は呆然としてしまった
――だが、忘我の内にあっても、何とかそう返す事が出来た。
ペンギンの着ぐるみから、何をどうやったらキスに話が繋がるんだ?
と、いうか君ってキスしてもいいと思うほど僕に好意的だったか?
そういえば僕達、何で二人っきりでこんな会話をしてるんだっけ?
もしかしたら勿体無かったかも?――すまん、八雲君――
訳の分からない少女の、訳の分からない問いに触発されたのか、
自分の思考にも次々と訳の分からない疑問が発生する。
そんな思考の内に、この訳の分からない状況を打開する鍵となり得る言葉が一つ浮かび上がって来るのを花井は感じた。
自分のクラスメートの一人、自分の想い人の姉、塚本天満の誕生会での事だ。
「僕に君が何かをしてくれると言うなら、君の笑顔が見たいな」
その誕生会の折、“一日女王”という名目で天満が晶に笑顔を要求した事を思い出した。
同時に――表情の変化というものを知らないかのような彼女は、
一体どんな笑顔を浮かべるかという事に、当時の自分は何故か無性に興味を覚えていた事も。
「それは駄目」
一陣の風の様な、涼しげな動作で彼から背を向ける高野。
常日頃から感情の振れ幅がほとんど無い上に、自分から完全に真後ろを向いている今、
花井に彼女の心境を推測する事は全く不可能だった。
おそらく、新たにこちらが話を持ちかけても、それに何か反応を示すとも思えなかった。
(唇より表情の方がガードの優先順位が高いとは、どういう価値観だ?)
最後の最後まで訳の分からないこの少女。
しかし、それも良いだろう。
本当に不可思議な、そして、この意地の悪い少女に自分は何時も邪魔され、惑わされ、からかわれてばかりだった。
始末に追えない事に、自分などより遥かに知恵も働くおかげで、自分と彼女の勝負は、いつもこちらの負けばかり。
その彼女が――本心から笑ったところを自分が目撃してやったなら、或いは自分は初めて彼女に勝利するかもしれない。
そんな事をふと思ったから、それも良いと思えた。
12巻&小説の余りの茶道部ぶりに触発され、思わず書いてしまいました。
こんなんでも同志達の足しに少しでもなれば良いのですが。
同志以外の派閥の人達、スレの容量を無駄使いしてごめんなさい。
( ´∀`)エヘヘ それにしても、たったあれだけの絡みでここまで妄想できる俺ってキモいね
キモクても文章の才能があれば救いようもあるんだけどな。
お茶吹いたw
確かに「無性に気になる」って言ってるよ花井w
よく気付いたなこんなのww
>>806 茶道部、ご馳走様。
でもホント、なんでペンギンからキスに
なるんだろうなw
まぁ、別人だよなぁ。
お情けでGJ。
茶道部は最近波に載ってるなぁ。
GJ。
なにこの駄作
晶の相手を播磨にしてください、花井のSSなんて必要ないから
>>812 いくら釣りでも酷すぎるだろ。
もうちょっと凝った釣りの仕方しろよ。
花井いらね
さつきがガースーに麻生の趣味とか質問
↓
さつきがフられた時、ガースーがねぎらいの言葉をかける
↓
良き先輩後輩(アソサラのような)の関係に
↓
そこから徐々に近づき始める二人の距離
・・・なんてテラキモスな妄想を抱いてた時期が俺にもありましたが、
最近の菅ちゃんじゃムリポ。
菅は嵯峨野でガチ
そう思ってた時期が俺にも(ry
817 :
携帯鉛筆超姉人=ルカ:06/04/23 19:35 ID:9DrBz5YY
>467 :Classical名無しさん :06/02/25 21:30 ID:uBs8bi0Y
>>464 ありえんだろwwwwwwwwwwwwww
ええ、そうですね
「ありえないなんてことはない」
…脳内妄想はなんでもありなんだよ
>468 :Classical名無しさん :06/02/25 21:57 ID:akKBTWC.
http://threes.sakura.ne.jp/s3/ns3/comedy/patio.cgi?mode=view&no=53 >ルカいいキャラしてるわ、マジでw
そらどうもv
…わあってるよ褒められてねえってことぐれー
>469 :Classical名無しさん :06/02/25 22:23 ID:uBs8bi0Y
>>468 >それ俺も見た時爆笑したよ。
>この天然ぼうや実は鉄壁の守りじゃねーとねw
爆笑していただけて光栄です
>474 :Classical名無しさん :06/02/26 18:25 ID:tO2wEos2
>面白ければそれでいいよ。そのためのSSだ。
その「面白い」枠に到達するために書かせてもらっています
お目汚しだとは存じております
わかってますよ、ええ
…しゃーねーやん、頭に浮かんだカップリングをSSにして何が悪い
大体、播磨→で書いてないよちくしょー(つд`)
嫌やったらスルーしてくれ、ホント、消すパス忘れて消せないんだよー
上のが本物のルカ氏かどうかは知らんが、
ルカ氏のSSは総じて糞
キャラの子供とか親ならまだ何とかなるが、基本的にオリキャラが出てる時点でつまらん。
その他大勢的な出方はいいが話のメインとなってると見てて吐き気がする。
親はともかく、子どもも十分吐き気もよおすッス
どうせオリキャラ出すんなら、三沢とか設定がロクになさそうな奴を
いじればよかろうに。
オリキャラで出来のいいのはいくつか知ってるけど、スクランでは
まだ見たことないな。
昔どっかで読んだ播磨と天王寺が族壊滅させる話の
名無しオリキャラ視点で語るやつは悪くなかった印象がある
そのオリキャラが話に出張ってるか否かの違いじゃないの。
隣子のSSも反吐が出る。
あんなのオリキャラじゃん。
すっかり寂れたなここは
言いたくはないが、明らかに一部のアソミコ派のせい。
これじゃ大部分のアソミコが可哀相だ。
いやアソミコなんてどいつもあんなもんだよ。
エロパロ板を見てればわかる。
本当にクズ、クズの中のクズ。
エロパロ板見て「全てのアソミコ派が痛い」とわかる奴は千里眼かなんか持ってんだろうか。
意思表示している自称アソミコ派の書き込みが、ことごとくアレなだしな。辟易している人もいるだろ。
スクランを読んでいてアソミコが好きだと思っている人はいるだろうが、その人達と荒しは別だという事は明らかだ。
荒し慣れしてるし、荒らす事を楽しんでいる精神構造のおかしい奴らなんだろう。
オリキャラは微妙だな。
本誌であまり出番のないキャラを出す時は書き手の印象が強く出ちゃうからなぁ。
書きあがったのを見返すと自分でもオリキャラみたいに感じてしまう時がある。
エロパロ板が最たるモノだが、このスレや評価スレ、
本スレにアニメスレにバレスレ、果ては花井スレまで荒すからなあアソミコ派って。
ホントあんな派閥厨が居るから本スレは過疎るし、バレスレは毎回荒れるし、
エロパロ板は惨状だし、このスレへの作品投下もぱたりと止まるし、
アニメが始ってからの分校の絵板だって停滞してる。
今もバレスレを荒してやがるし
天満厨装ったってバレバレだわ
ひどいなありゃ。
今度は高野関係のSSで荒しかよ。
いつもの人何だよな。
昨日からウザス
だが、「アソミコ派」と一括りにするのもどうかと思う。
いつだったか、普通のアソミコは自分の立場が分かってるから目立つような事はしないと誰かが書いてるのを見た事がある。
いつものアソミコ派のあいつとでも。
ってかマジでアソミコじゃねーだろ
荒らせれば楢でも天満でも縦笛でもアソミコでも旗おにでも何でも使う粘着がいるだけ
>>835 うわ、他のヤツに罪をなすりつけようと必死だなアソミコ厨
今アソミコだと思われてるのはるのは、バレスレで
小説バレが来たときに縦笛が確認された途端に
AA荒らしでスレが酷いことになったからだろう。
アソミコ派を装ったアソサラ厨の仕業だろ。
アソミコ希望連投→アソミコ叩き、の流れは作為的だ。
>>837 動かぬ証拠だよな
これだけバレバレな証拠残してるのに、
>>838みたいに下らない言い逃れ続けで
どうにかなると思ってるのもアソミコ厨の低脳ならではか・・・
荒らしの素性を詮索したところでなんだというのか。
そいつの派閥袋叩きにでもして、挙句の果てにそのカプでのSSを個人的な感情で無くす気か?
本っ当に馬鹿らしい。荒らしは荒らしで片付けろよ。
単発IDで擁護が入るのも荒しを生業とするアソミコ厨の特徴
ヒント:過疎スレで粘着してるのはID:RxNYc3gQだけ
叩きで盛り上げるくらいなら作品の一つでも投下しろ。そっちで盛り上がった方がよっぽど健全。
そろそろ煽りあいを止めないか?
特定の派閥を騙ってスレを荒らし
さらに自分の荒らし行為を自演で叩いて
派閥同士にケンカさせようとしてる奴がいます
>>844 アソミコ厨が荒しをやめるのが何よりも先。
エロパロスレの惨状は近い将来のこのスレだぞこのままじゃ。
だったら通報でもして来いよ。此処で叩いて解決すると思ってんの?
NG登録して徹底的にスルーするのが一番かと。
過剰に反応するのはあまり良くない。
あとは通報するとか。
>>847 全スクランファンがアソミコ派を共通の敵と認識する事が大事。
お前の中で大事かどうかなんか知るか。荒らしを無くすにあたって手っ取り早いかどうかだ。
理由にすらなってない個人的な因縁でスレ中の反感買ってるお前のほうが敵と認識されるべき存在だと思うが。
俺は作品投下を予定してるし、その点でこのスレ活性化をきちんと身をもって達成しようとしている。
推奨NG:ID:RxNYc3gQ
というか、「アソミコ」「アソ・ミコ」はみんなNG指定してあるよね?
たまに例外があるけど、例のキチガイのレスはほとんどシャットアウトしてくれるし、スルーすんべよ。
正直、それは最後の手段にしておきたかった。
だが、こうもアホ二人が喚くとなると止むを得んな。
荒らしは反応した奴も荒らし。どれだけムカついてももう触るな。
それとNG指定している皆さんには勿論見えていないだろうが、どうも勘違いしているのがいるので忠告。
「作品を投下するつもり」が免罪符になるとか思うなよ?
投下しようが何だろうが荒らしは荒らし。
書き手さんはSSを投下直前にアナウンスすればいいし、読み手はSSの感想だけでいい。
雑談はスクラン本スレで。SSを書く上での疑問・討論は支援スレで。
ここはSSの投稿とその感想と良識内での書き手・読み手の交流の場だよ。
荒しの報告も愚痴も対処の仕方もチラシの裏にでも書いておけばいい。
重要な事は1に全て書いてある。
857 :
Classical名無しさん:06/04/28 12:44 ID:EmO/4/CQ
>856 エライ
859 :
Classical名無しさん:06/04/29 00:08 ID:Eebl7GcY
a
こっちにも自演荒らしが湧いて出たか…。
こんなん向こうに比べればなんでもない。
阿曾神子kibon!
それでも安蘇皇女をkibonしたいのです
触るなってば。溜まったら削除&アク禁で十分。
あそみこを書いてくれてもいいやん。
需要無視はいくない
縦笛きぼん
868 :
アモル:06/04/29 23:00 ID:4FYyeXg2
鉛筆で申し訳ない
スイマセン、2週間前に投下する予定だったのに
突然会社の面接が3つほど入り、しかも帰ってから風邪を引き
更に研究室の発表が被り暫く何も出来ませんでした。
>>771-778 御意見御指摘有難う御座います。
確かに改めて見直すと削れる部分がかなりありました。
後編は意識的に少し削ってみましたが、それでも長くなった・・・
削らなかったら恐ろしいことになっていました
ようやく書き終えたので投下します
書いてて予想はしてたのですが前編より長くなったので
今回はキリのいいとこまで投下します
>>747-769の続きです
愛理はベッドから身を起こした。何か夢を見ていた気はするが内容は覚えていない。
ここ最近は眠りが浅い。あの出来事があってからだ。
一つは、播磨が自分に告白してきたとき、いきなり現れた女が養護教諭として赴任してきたこと。
しかもこともあろうに保健室のベッドの上で播磨と抱き合っていたのだ。
そしてもう一つは、その日屋上で播磨と美琴が密会していたこと。しかもあの二人は付き合い始めたらしく、
キスしようとしていた。愛理はすぐその場を離れたが。
播磨が養護教諭の姉ヶ崎妙と抱き合っていたのを、美琴も一緒に見ていたのだ。そしてその時美琴は
訳が分からないと言っていた。なのに、その日の夕方にはもうキスしようとしていた。
美琴は付き合って間もないと言っていたが、では保健室のアレは何だったのか?キスしようなどという言葉が出るということは、
美琴がアレを受け入れているということだ。アレには何か理由があるということだろうか?
「あー………もう訳が分からないわよ。」
ここ数日ずっと考えていても、未だによく分からないこの出来事に頭を抱えて愛理はベッドから出た。
播磨が妙とどういう関係だろうが、美琴と付き合っていようが、愛理には関係ない話、のはずだ。
しかし、何故頭から離れないのだろう。
………いや、一つ関係のあることがある。美琴と播磨が付き合っているということだ。
美琴はしばらく誰とも付き合う気は無い、と言っていた。しかし舌の根も乾かぬうちに播磨と付き合い始めた。
しかも、それを自分達に隠して陰でコソコソ密会しているのだ。それが愛理には気に食わなかった。
………考えてみれば、天満は播磨が美琴に告白しようとしていたと言っていたし、あれだけ懸命に
伸ばしていたヒゲも、美琴がヒゲはないほうがいいと言っただけで剃り落としてしまった。
「………つまり、あのヒゲは最初から美琴目当てで私たちに近づいた、ってこと?」
美琴がずっと好きだったという人に振られた時も、播磨が何故か側にいた。
振られて心が弱っている美琴に播磨は付け入ったのかもしれない、愛理はそう考える。
しかし、ずっと好きだったと言っておきながら、振られてそれほど経ってもいないのに別な男と
付き合っている心変わりの早さも、愛理には気に入らないことだった。
ふと時計を見ると、そろそろ学校へ行く準備をしないといけない時間になっている。
コンコン
「お嬢様、そろそろ準備をなされた方がよろしいかと。」
「……ええ、今着替えるわ。」
「ハッ。」
ノックの音と共に、執事のナカムラが扉の向こうから声を掛けてきた。それに返事をすると、愛理はひとまず考えることをやめ、
着替えるためにクローゼットへと向かった。
今日は体育祭、矢神校の一大イベントだ。
A Route of M 第4話 後編 -Super Fight-
「あー、ダリィ………」
播磨拳児は重い足取りで廊下を歩いていた。播磨はこの手のイベントに興味が湧かない。
別に運動が嫌いなわけではないが、わざわざ気合を入れて勝負事に熱くなるのが何となくカッコ悪く感じるのだ。
そして、こういう団結が強要されるようなイベントは、自分のようなクラスで浮いている人間には少し息苦しいものなのだ。
保健室に行って漫画でも描きながら時間を潰そうか、と教室ではなく保健室へと向かおうとした時、
「ッハヨー播磨。」
「……!? オウ。」
いきなり美琴に声を掛けられ、播磨は驚きを必死で抑えて何事もなかったかのように挨拶を返した。
そのまま美琴の後ろについて教室まで一緒に行く。階段を上って3階に着いたところで、コッソリ美琴の後ろから離れ
このままフェードアウトしようと更に階段を上ろうとして、
「ドコ行く気だ播磨?」
振り向きもせずに言い放った美琴の一言で足を止められた。
「…………………」
バッ! ガシィ!!
返事をせずにダッシュで階段を上ろうとして、美琴にガッチリ捕まえられてしまった。
「は、離せ周防! 行かせてくグェ!?(チョーク入った)」
「お前やっぱりサボるつもりだったろ! 声掛けといて正解だったぜ!」
そうやって取っ組み合っているところで、階段を上ってきた愛理と目が合った。
「………………」
「オ、オハヨー沢近。」
黙ってこちらを見つめる愛理にぎこちなく挨拶を返した美琴。どうも最近愛理の様子がおかしい。
自分に対して距離を置いているように感じるのだ。それがあってどうもうまく話すことが出来ない。
しかし愛理は、
「………ふーん、仲良さそうね。」
冷めた口調でそう言うと、そのまま教室へと向かう。
美琴は今播磨を後ろから羽交い絞めにしているのだが、じゃれ合っているように映ってもおかしくはない。
「へ……? ってちょっと待て、それは誤解だ! コイツがサボろうとすっから………」
美琴が必死に弁解しようとするが、愛理は全く無視して教室へと入っていった。
「……っあー………何か最近おかしーんだよなぁ………」
「………ッ!! …ッ……!!!」
「あ、悪ィ播磨。」
必死でタップする播磨にようやく気付き、美琴は手を放した。
「ゲホッ!……ゲホゲホッ……! こ、殺す気かテメーは!? ……で、何がおかしーんだよ?」
「いや、この頃何かあたしを遠ざけてるような感じなんだよ。 何もした覚えねーんだけどなあ……。」
「ふーん。 まあお嬢がどうしよーが知ったこっちゃねーけどな。」
「あたしにとっちゃあ大問題だよ、つーか今のでまた誤解されちまったかもしれねーじゃねーか!」
「ゲ………マジかよ!?」
「全く、お前が素直に参加しようとしねーから………」
………結局この言い争いは、天満がやってきて播磨がやる気になるまで続いたのだった。
そして、いよいよ体育祭が始まった。
各クラスが鎬を削る中、特に対抗意識を剥き出しにしているのが2−Cと2−Dだった。
その闘争心は、玉入れの玉が相手チームの顔面に向かうほど。そもそもの目的から完全に逸脱しているが。
点数でも、2−Cと2−Dは1,2を争ってデットヒートを繰り広げる。
2−Dには留学生連中を筆頭として、運動能力のずば抜けた連中がゴロゴロしている。しかし2−Cも負けてはいない。
運動部を上回る能力を持つ花井・播磨、そして隠れた実力者麻生。女子も国体クラスの実力を持つ城戸円を始め、
美琴、愛理、一条達の獅子奮迅の活躍で抜きつ抜かれつを繰り返した。
そして、残す種目は3つ、男女混合の騎馬戦と男子・女子のリレーだけとなった。
点差は、僅か1点差で2−Cのリード。
「1点差かー、やっぱり競ったな。」
「…そうね。」
「次の騎馬戦で勝って突き放さないとね。」
「よーし、がんばるぞー!!」
いつもの4人で集まって現在の状況を確認する。
そしてそれぞれの持ち場へ向かった。しかし、美琴と愛理2人になったとき、急に愛理がこんな事を言ってきた。
「美琴。」
「何だ?」
「交代しましょう。 あたしは麻生君と組むから、あなたはヒゲと組んで。」
「へ!?」
本来、美琴が麻生の騎馬、愛理が播磨の騎馬である。ちなみに天満は奈良と組んでいる。
「……あのバカヒゲと一緒にやる気にならないのよ。」
「いや、まあ…あたしは別に構わねーけど………」
「貴方もヒゲと組んだ方が嬉しいでしょ。 仲良いんだから。」
やけに棘のある言い方に、美琴は僅かにムッとしながらも心を落ち着けて弁解しようとした。
「沢近、言っとくけど朝のは単なる誤解………」
「良いのね。 それじゃあお願い。」
しかし愛理は一方的に話を打ち切って、さっさと麻生達のいる方へ行ってしまった。
「………だぁーーーッ!! あたしが一体何したっつーんだ!?」
地団駄を踏む美琴。しかしそうしてても埒があかないので、仕方なく播磨のいる方へ向かった。
播磨達の所へ着くと、既に皆スタンバイしていた。しかし播磨はやる気なさげに突っ立っていた。
「播磨、愛理とあたし交代したから。」
「あ? 別に誰でもいーや。 チッ……何で天満ちゃんじゃねーんだよ。」
(やっぱりか………。)
何となく予想はしていたが、やっぱり播磨のやる気は無くなっていた。
天満と組めなくなってるのでこの競技でやる気を無くすと推測していたのだが、見事的中した。
「まあお嬢乗せるよかマシか、何されるか分かんねーからな。」
「……播磨、この騎馬戦でいいトコ見せたら塚本が惚れるかもよ?」
「な!? ま、マジか!?」
「いや、嘘。」
いきなりのフェイントに思わずこける播磨。
「…テ……テメェ………バカにしてんのか!?」
「ここで本当だ、ってあたしが言ったらお前がやる気になるのは分かってんだけどな………何となくそーゆーやり方
はしたくない。 けど誰だって手ェ抜くヤツより本気でやるヤツの方がいいもんだよ。勿論塚本だって例外じゃない。」
「………………」
「それに、さ……今ここで出来ることはこの戦いに勝ってクラスを優勝させること、これだけだ。それなら、やるから
には勝ちに行こーぜ。」
「………チッ、これで真面目にやらなきゃ俺が最低ヤローじゃねーか。」
播磨はため息をつきながら、しかし指をポキポキと鳴らし始めた。
「いいぜ。 それなら全員叩き潰して天満ちゃんに勝利を捧げる!」
たまには本気になるのも悪くない、播磨はそう思いながら、美琴をその背に乗せた。
そして、騎馬戦が始まった。
「よっしゃ、行け播磨!!」
「オウヨ。」
気合と共に飛び出した美琴・播磨騎。手近にいる騎馬に一瞬で肉薄し、相手が驚く暇も無くハチマキを奪い去った。
「よし、この調子でサクサク……って、播磨、ひだ………」
美琴が言葉を言い終える前に、播磨は左から忍び寄っていた騎馬の前衛の顔面を横蹴りで一閃した。
前衛が失神したその騎馬は支えが無くなりそのまま崩れ落ちる。
「テメーらはちゃんと横を見てろ。」
そう後衛の吉田山たちに言うと、播磨は出来るだけ中心付近にはいかないように、外周部分にいる敵を狙って
移動を開始した。
「……さすがに反応はえーな播磨。 しかしいいのか? 蹴っ飛ばしたりして。」
「別に何も言われねーからいーんだろ。 それにアイツらも同じよーなもんだぜ。」
見てみると、今大会のエース騎、ララ・ハリー騎は、ハチマキなど奪わずに騎手を力ずくで引きずり落としていた。
ほとんど何でもありのようである。
「やっぱアイツ等が問題だな。 どーする? 早めに潰しに行くか?」
「いや、先に雑魚どもの掃除からだ。 こーゆー場合はまず数を減らさねーと不意打ち喰らいかねねェ。」
そう言って、播磨は再び近くにいる騎馬を狙って突撃していった。
自身も数多くの騎馬を落としながら、花井は冷静に周りを状況を見ていた。縦横無尽に暴れまわるララ・ハリー騎、
そして、荒っぽいがその実正確無比な動きで相手を狙い打つ美琴・播磨騎が目に留まる。
元々、美琴を播磨騎に乗せるか麻生騎に乗せるか迷い、安定感をとって麻生騎に決めたのだが、何時の間にか
入れ替わっていたので花井はやや心配だった。しかしどうやら杞憂のようだ。播磨の馬力と勘に優れた動き、
そして時折美琴が出す的確な指示が見事にマッチしている。
これなら心配ない、そう思ってたその時、別な所から悲鳴が上がった。全員の視線がそっちに集中する。
その視線の先にいたのは天王寺騎。何故か分からないが明らかに人間よりデカイように見える。
片手で他の騎馬を文字通り薙ぎ倒し、突進するだけで相手が吹き飛ぶ。
「オォー…何かハリキッてるなぁ天王寺のヤロォ。」
「元気とかの問題かよ!? 何だあのデカさは!!」
「あれだろ、オーラ纏ってデカくなってるよーに見えるんだろ。 威圧感と大して変わんねーよ。」
「どこの世紀末覇者だそりゃあ!?」
「別にダイジョブだって。 勝手に数減らしてくれっからむしろ好都合………」
そこまで言って播磨の言葉が止む。そしていきなり天王寺騎に向かって間合いを詰めていった。
その理由に美琴はすぐに気付いた。天王寺騎の目の前で天満・奈良騎が孤立しているのだ。
しかし、その前に立ちふさがる影。
「ドケやコラァァァァッッ!!!」
播磨が放った全力の蹴りを、その騎馬はあっさりと避けた。そして、騎手の褐色の腕が美琴に伸びる。
美琴はその手を素早く払いのけ、逆にそのハチマキを狙う。しかし相手もその腕を弾いた。
「フ……ようやくマトモな勝負がデキそうだナ……来い、ミコチン!」
「何だミコチンって!」
「決着をつけようカ、ジャパニーズサムライ!」
「……どけキザヤロー。テメェに用は無ェ。」
ハリーは不敵に笑うと、播磨の腹に蹴りを突き刺した。
ドスッ!!
「グエッ!」
ギャラリーの主に女性から歓声が上がる。しかし、
ガキィッ!!
「ガッ!?」
播磨がすぐさまハリーの顎を蹴り返した。歓声が悲鳴に、そしてブーイングに変わる。
「…オイオイあたし達悪役かよ?」
「んなコタァどーでもいーんだよ。早く行かねーと………」
しかし播磨の願いも空しく、天満(と奈良)は天王寺の一撃により吹き飛ばされてしまった。
「て、天満ーーーーーッ!!! ……よくも邪魔しやがったなテメーら!!」
怒りに燃える播磨のその頭上で、もう一つの戦いが既に始まっていた。
ララが美琴に向かってその両手を続けざまに繰り出す。速い、いやそれよりも重い。その攻撃を弾くたびに腕に
強烈な衝撃が加わり、美琴は顔をしかめる。徐々に押し込まれていく美琴。しかし、次の瞬間、ワンパターン気味に
繰り出されたララの右腕の手首に、受けを兼ねた強烈な手刀を叩きつけた。
バシッ!
「ツッ! オノレッ……!!」
隙が生じたその一瞬を見逃さず、美琴は反撃を開始した。矢継ぎ早に繰り出される連続攻撃。拳を握っていないだけで
殆ど打撃と変わらない手の動きだ。今度はララの方が防戦一方になる。やがて、美琴の左手がララのハチマキを掠めた。
それに反応しバランスを崩すララ。
隙を見逃さず美琴の右手がララのハチマキを狙って伸びた。しかし、
ガッ!
「な………!?」
その右腕をララが掴み取った。ニヤリと笑うララ。体勢を崩したのは誘いだったのだ。みしり、と掴んだその手に
力が込められる。
「クッ……しまった……!!」
「もらったぞ、ミコチン!!」
そのまま腕を引っ張って引き摺り落とそうとする。しかしその瞬間、
ドガッ!
播磨がハリーの膝を蹴りつけた。ガクンと体勢が崩れ、一瞬動きが止まる。その隙に乗じて、美琴は掴まれた
腕を相手の親指方向に回しながら自分の体に引き付け、ララの手を振り解いた。武道でよくある掴まれた際の
外し方だ。そして左手でララのハチマキを狙ったが、それはスウェーでかわされた。
ここでお互いに一旦距離を取る。客席からはハイレベルな攻防に拍手喝采が巻き起こった。
「フゥー……助かったぜ播磨、危うく落とされるトコだった…。 そっちはいけそうか?」
「別に問題ねぇよ、あのヤローゼッテェ潰してやる。……それよりオメーの方はどうなんだ?」
「掴まれるのさえ気をつけりゃあ何とかなりそうだ。 パワーは向こうが上だけどスピードと正確さはあたしが上だ。
この場合はスピードある方が有利だしな。」
言いながら、美琴は自分の腕を見つめた。先程一瞬掴まれた部分にくっきりと指の跡がついている。
その膂力に美琴は舌を巻いた。
「なかなか手強いナ。あの状況で頭上の動きにも気を配っているとハ、思った以上に息が合っているようダ。」
「アト少しで勝てたモノを………油断スルナ、ハリー!」
「油断していた訳ではないガ………ララ、お前もこのままでは不味イのは気づいている筈ダ。」
「ム………」
言われて、ララは自分の腕を見つめた。先程の手刀の一撃が当たった部分が変色している。
「作戦があるが、聞くか? お前なら出来ル、お前にしか出来ナイ事ダ。」
………そして、再び二つの騎馬が交錯した。
先手を取ったのは美琴だ。先程よりも更にスピードを上げた連打でララのハチマキを奪いにかかる。ララは殆ど
防戦一方になる。ハリーと播磨も蹴り合いを続けているが、小競り合いの域は出ない。このままいけば確実に
美琴達の勝ちだ。しかし、
(あっけなさすぎる………)
こう簡単に事が運ぶのは不自然だ、無策に過ぎる。それにララも大人しすぎる、何かを狙っているように
思えてならない。美琴は警戒しながらも手は休めずに攻撃を続けた。
そして、ララ達が動いた。ララが美琴の手を避けると同時に、ハリーが同じ方向へ動いた。美琴達の斜めに移動する。
しかしこの程度では不意は突けない。美琴と播磨は落ち着いてそちらに向こうとした、その瞬間。
「ハアァッ!!」
裂帛の気合と共にララが掬い上げるような蹴りを放った。それは横と後ろを固めていた吉田山達をまとめて吹き飛ばし、
貫通してそのまま上の美琴にまで襲い掛かった。
(しまった……狙いは下か!!)
ハリー達の狙いは足場を崩すことだったのだ。ララのパワーがあってこそ出来る強引な手段。そしてそれは成功した。
美琴は蹴りをガードしようとする。しかし、間に合わない。
ドンッ!!!
ララの蹴りは美琴の腹に直撃し、美琴の体は宙に浮いた。
浮遊感。打撃で浮き上がるなんてことは美琴にも初めての経験だ。人事のように美琴はこの感覚を味わっていた。
(負けちまったか………)
まさかこれほどとは思わなかった。完全にしてやられた、そう思いながら美琴は受身を取る準備をする。しかし、横から
滑り込むように飛び込んでくる人影があった。その人影は、美琴を落ちる寸前で抱え上げた。その男は播磨。
吹っ飛ばされ転倒した他の連中と違い、播磨はバランスを崩しただけだった。そして転落しかけている美琴が視界に入り、
両腕を伸ばして全速力で滑り込んでキャッチしたのだ。
「は……播磨………あ、ありがと………」
「お……重テェ………」
「重くねぇよ馬鹿!!」
播磨の失言に抱きかかえられたまま美琴は播磨の頭を殴りつけた。その様子に観客から爆笑とひやかしの声が上がる。
美琴はようやく自分の体勢に気がついて、顔を真っ赤にした。いわゆるお姫様抱っこ状態である。
「仕方ネェだろ! 腕伸ばしながらキャッチしたんだから力が入れにくいんだよ!」
「は、播磨…! い、いいからこの格好は止めろ………!」
「へ? お、おお。」
「………って降ろすなァ! 負けになるだろッ!!」
「オォ、そうだった。 危ネェ危ネェ。」
………その美琴と播磨の行動を、愛理は遠くから見つめていた。やはり、仲がいい。
(何よ……試合中にイチャイチャして………)
「沢近! よそ見するな、来るぞ!!」
「え………?」
麻生の叱責に我に返り、前を向いた時には、目の前に天王寺が立っていた。
「キャアア!」
肩車の体勢になって落ち着いた美琴達の耳に悲鳴が届いた。視線の先では愛理・麻生騎が天王寺に吹き飛ばされていた。
「沢近まで! ……クッソー、旗色悪くなってきたなぁ。」
「チッ……コイツらは簡単にこけやがるし……足腰弱ェーんだよテメェら!」
倒れた吉田山達に罵声を浴びせる播磨。この状況に、花井騎は急ぎ美琴達の救援に向かおうとする。しかし、
その行く手に立ち塞がる東郷騎、天王寺騎。
「援軍も無さそうだな………播磨、どーする?」
「どーもこーもねーだろ。」
そう言って、播磨は自分から向かっていった。勝利を確信して待ち構えるハリー達。
そして三度、戦いが始まった。ハリーが蹴りを打つ。何の変哲もないたった一発の蹴りで播磨はガクンとぐらつく。
そこにララが襲い掛かる。崩れた体勢でも何とかそれを跳ね除ける美琴。
形勢は完全に逆転していた。播磨は周防を一人で支えているため、攻撃することはおろか、逆に攻撃を吸収しきれずに
まともにもらう有様である。美琴も上下から揺さぶられ、防御だけで手一杯だった。更に先程のララの蹴りで腹部を傷めたのか、
力を入れるたびに痛みが走る。さすがにもう逆転の可能性は低い。
「播磨! あんまり無理するなよ!」
「そうダ、もう諦めロ。 今のお前達は、ただのサンドバックに過ぎン!」
ハリーの蹴りが播磨の顔面を捉え、播磨は鼻血を出しながらたたらを踏み後ずさる。しかし、ハリーのその言葉に、播磨は
ピタリと動きを止めた。美琴からは播磨の表情は見えない。しかし播磨の体から凄まじい怒気が立ち上るのを感じ取り、
美琴の背に冷たいものが流れる。
「テメェ……今何ぬかしやがった………!?」
播磨は短気でよくキレはする。しかしここまでの怒りを見せたのを美琴は初めて見た。播磨は、馬鹿にされようと白い目で
見られようと大して気にはしない。だが、なめられるのだけは我慢出来ない。サンドバック呼ばわりは播磨にとって看過できる
発言ではなかった。
「周防、振り落とされんじゃねーぞ。」
「え…、ちょ………?」
静かにそう言って間合いを詰めていく播磨。ハリーが迎撃のため蹴りを放った、それと同時に、播磨がその軸足を全力で
蹴りつけた。
ガキッ!!
「グハッ!!」
「ムウッ!?」
さすがに大きく体勢を崩すハリー。そして強く蹴った播磨も、上の美琴もバランスを崩すが、美琴は脚でがっちりと播磨に
しがみ付き、播磨も脚をしっかりと抱えているので何とか倒れずに踏ん張った。
そこからは殆ど乱打戦だった。ハリーが蹴りを打つタイミングに合わせて播磨がその軸足を狙い蹴りつける。播磨の狙いが
分かっていてもハリーは退かない、自分が優位なのに攻撃を止めるのはプライドが許さないのだ。そして他の者がバランスを
重視し始めたため、播磨の蹴りが当たっても騎馬のバランスが崩れなくなった。一方の美琴はララの猛攻を振り落とされないように
しながらひたすら耐えていた。馬鹿の一つ覚えのように脚ばかり狙う播磨を、客席に戻った愛理は歯痒く思いながら見ていた。
「何で脚ばっかり狙ってるのよ………もう通用してないじゃない。」
「脚しか狙えないからだ。他に支える奴がいないと高い蹴りを出したら倒れちまう。」
冷静に麻生が指摘した。
「でもそれじゃもうどうしようもないでしょう!」
「…そうだ。二人だけになった時点でもう勝ち目は無くなってる。播磨も周防も相当頑張ってるけどな………だけど、
それももう、限界だ………。」
沈痛な表情の麻生。その言葉を証明するかのように、播磨の膝が揺れる。播磨は口から鼻から出血し、サングラスも欠けて
目の淵が切れている。おそらくシャツの下は痣だらけだ。美琴も明らかに呼吸のリズムが乱れて、顔色は真っ青だ。落馬しない
ように必死な上に腹部のダメージが深刻化し、尋常じゃなく消耗していた。しかし美琴は諦めるわけにはいかない。すぐ下で
自分より必死な思いをしている奴がいるからだ。何か、一石が投じられるのをひたすら待ち続ける。
そしてとうとう、播磨の反撃の手が止まり、一方的に顔面蹴りを直撃した。ガクンと腰が落ちる。とうとう限界か、と美琴が覚悟を
決めたその瞬間に、横あいから突っ込んでくる騎馬が一つ。
「今鳥!?」
チョコマカと的にならないように立ち回っていた今鳥騎が、このタイミングで突っ込んできたのだ。ハリー達は多少意表を突かれた
ものの落ち着いて捌き、今鳥の顔面を蹴り飛ばして騎馬を瓦解させる。しかしそこに隙が生まれた。
「ウオラアァァァァァァァァァァッッッ!!!」
腰が落ちていた播磨がその状態から一気に跳びかかった。道連れ覚悟で全体重を乗せた飛び膝蹴りがハリーに襲い掛かる。
倒れこみながら親指を立てた今鳥を尻目に、美琴もまたララの上をとってハチマキを狙う同時攻撃を敢行した。
二つの騎馬が交錯する。そして………
ゾリィッ!
播磨の乾坤一擲の飛び膝蹴りはハリーの頬を削り、そして美琴の振るった手は仰け反ったララの鼻先を掠め通り過ぎた。
「…駄目……か………」
「……ッキショ………!」
「惜しかったナ。ダガ………終わりダ。」
駄目押しで放たれたハリーのミドルキックが播磨の脇腹を抉った。今までと質の違う痛みが走り、脚の力が抜ける。美琴も
前のめりになった体を立て直す余力はもはや無かった。
美琴のハチマキが奪い取られるのと、播磨が膝を着き騎馬が崩れたのは、奇しくも同時だった………。
今回は以上です。
書き上げているので続きは明日投下します。
容量が怪しいので明日投下したらスレ立て行ってきます。
そんなことより縦笛kibon
>>884 上手い! 表現が上手くて、頭の中に映像が浮かぶ感じでした。
続き期待してます
あそみこ
死ねよ楢厨
触ってる奴も同類だといい加減気づいて欲しい。
890 :
アモル:06/04/30 14:26 ID:ZhzsyNYA
>>886 有難うございます。
しかし細かく描写しようとするとそれだけ文章量が
増えてしまうので難しいところです。
というわけで投下します。
>>869-883の続きです。
891 :
アモル:06/04/30 14:29 ID:ZhzsyNYA
「はい、取りあえず終わったけど、もう試合に出ちゃ駄目よ。全身打撲だらけだし、もしかしたら肋骨にヒビが入ってるかもしれないから、
あとでちゃんと病院へ行きなさいね。」
「ウィッス。」
保健室で全身にバンソーコーやら湿布やらを貼られて、播磨は最後に治療を終えた。
結局騎馬戦は、天王寺騎、東郷騎を突破した花井騎が、美琴達との戦いで消耗したハリー達に止めを刺すことで幕を閉じた。
チームが勝ち、点差は開いたので万万歳。男女リレー両方で負けなければ2−Cの勝ち。
ほぼ優勝を手中に収め、そしてそれは播磨と美琴の必死の粘りが一端を担っていることを皆が褒め称えた。
しかし、播磨にとってはもはやどうでもいい事だ。こんな学校のお遊びの勝負でムキになってた自分がむしろ不思議なくらいだった。
「何かノせられちまったな……何であんなに必死こいてたんだ……? ……まーいーや、ナポレオンに餌やらねーと。」
播磨はコッソリ学校で飼っている豚に餌をやりにいった。しかし、道すがらどうしても先程の騎馬戦ばかりが頭に浮かぶ。
あの時の、ララとハリーの勝ち誇ったようにこちらを見下ろすその表情、それを思い出して、拳に思わず力がこもる。
「……チッ、何なんだよ……もう全部終わったってのに……何がしたいってーんだ俺は………?」
一人でブツクサ言いながら、そこらを歩き回ってナポレオンを探す。そしてナポレオンを見つけ、抱き上げて元いた場所へ連れて行こうと
したとき、後ろから声を掛けられた。
「は、播磨………」
「? 誰だっけ?」
「田中だ! クラスメートの名前くらい覚えとけよ! それよりお前に………っておまえが抱えてるのは?」
「ん? ああ、ナポレオンっつーんだ。」
「名前なんてどうだっていーんだよ! ソイツのせいで走れなくなったんだぞ俺は! 何だって体育祭で豚に轢かれなきゃならないんだ………」
「へー、そりゃ災難だったな。」
「人ごとみたいにゆーな! 俺はリレーに出なきゃならなかったってのに……播磨、変わりにリレーに出てくれ。」
「リレー? お前リレーの選手なのか。」
「お前、速いんだろ? だから頼む、リレーに出てくれ! お前の豚のせいなんだぞ! 出ないつもりなら校舎内で豚飼ってるの
先生に言いつけるからな!!」
「……………」
892 :
アモル:06/04/30 14:30 ID:ZhzsyNYA
必死さからか、物凄い度胸を発揮して播磨に詰め寄る田中。しかし播磨にはそんなことはどうでもよかった。
リレー………急に出場する機会が転がり込んできた。相手は間違いなくエースを並べてくる。となれば当然あのいけ好かない金髪も
出場してくるだろう。
(……くだらねえ……こんなしょーもねー勝負で必死になるなんざアホらしーぜ………だが………)
「………ま、そうまで言われちゃあ仕方ねぇな。 ナポレオン、オメーのせいで尻拭いしなきゃいけなくなったじゃねーか。」
そんな台詞を迷惑そうではなくむしろ楽しげな表情で口にする播磨。
そう、これは尻拭い。ペットが迷惑を掛けたから飼い主が責任をとる、それだけだ。そう自分に言い聞かせながら。
グラウンドに行くと、既に他のメンバーは準備を開始していた。
「播磨、出るのか。 怪我は大丈夫なのか?」
「問題ねぇよ。 こんなかすり傷で俺がどうにかなるかよ。」
「ならいいが……女子のリレーで追いつかれてしまった以上、1位を取らなければ2−Dに逆転されてしまうことは明白だ。田中もお前も
走れなければ2−Cの優勝は絶望的になってしまうからな。」
「………女子が負けたのか?」
「ああ、周防と沢近君がな………。先程の騎馬戦で調子を落として、本来の走りが出来なかったんだ。
沢近君は落馬の際に足を軽く傷めて高野君と交代。高野君は穴を埋めてくれたが、周防がララ君との戦いで消耗していてな。
どうしても騎馬戦の負けを取り返したいと言って出場したんだが、やはり無理があった。」
播磨は、あの時の美琴の表情を思い出していた。悔しそうに歯を食いしばりながら、それでも顔を下げずにララを睨みつけていた美琴を。
「……かといって他の女子を走らせても勝つのは難しかっただろう、そしてそれは男子も同じだ。 お前以外を出しても優勝は無理だ。
播磨、お前が周防より酷い状態なのは想像がつく。だが、多少無茶をしてもらうぞ。」
勝たなければいけない。それを聞いて播磨は逆に闘志が湧いてくるのを感じた。単なる個人的な意趣返しだけではなく、クラスとして
勝つことで借りを完璧に返しアイツに勝つことが出来るからだ。
「………ヘッ、誰にモノ言ってんだよ。ヨユーだぜ。」
お膳立ては整った。あとは、勝つだけだ。
893 :
アモル:06/04/30 14:31 ID:ZhzsyNYA
「ごめんなさい、美琴……私じゃなくてあなたが交代するべきだったのに………」
「いいって。 別にお前が休んだからあたしが出場したってわけじゃないし。 ……あたしは、負けっぱなしで終わるのが悔しかったんだよ。
何とか勝って少しでも気を晴らしたかったんだけどなぁ……我儘言って結局みんなに迷惑かけちまった。」
無理があるのは分かっていたし、ララ達に直接やり返せるわけでもなかった。しかし、それでも何もせずにこのまま終わりたくなかった。
その思いが美琴の意識を駆り立てたのだ。しかし、その意志に身体がついて行かなかった。ララに蹴られた腹部の打撲、そして支えのない
状態での長期戦が美琴の体力を奪い去り、後半失速して差を広げられてしまった。
「美琴のせいだけじゃないわよ……私が怪我をしたのも余所見してたからなんだから………」
愛理は騎馬戦のとき、美琴と播磨が気になってしまい、目の前の相手に集中できなかったのだ。いや、今日の体育祭全体でも、
集中力が散漫だった。そして変な転び方をして足を怪我してしまう失態を犯してしまったのだ。
「ねえ、美琴……あなたと………」
今ここで聞いてしまおう、そう思った時に播磨がやって来てしまった。
「よう。 残念だったな周防、お嬢も。」
「播磨か……クッソー負けたよ。 足引っ張っちまった……。」
「……何よ? 私が出られなかったからって馬鹿にしにきたの?」
「しねーよ。んなこと別にキョーミねーし。」
「………フン。」
聞くに聞けなくなり、愛理は結局播磨と美琴から離れていった。
「……で、オメーは悔しいのか?」
「悔しいに決まってんだろ。 お前は悔しくねーのかよ?」
「俺にとっちゃーこんなお遊びで負けたってどーでもいーこった。」
「……ああ、そーかよ。」
「……ハァー、どーでもいーことだったんだけどなぁ………周防、テメーのせいだ。」
「何がだよ?」
「テメーが人を焚き付けるからだ! こんなクダラネーことにマジになっちまったぜ……あの金髪をぶっ潰したくて仕方ねーんだよ。」
894 :
アモル:06/04/30 14:32 ID:ZhzsyNYA
こんな事に本気になるのはいつ以来だろうか。しかし嫌な気分ではない。皆と一緒に一つのものを目指す、久しく忘れていた
その気持ちを思い出した。たまにはこういうのも悪くない、播磨はそう思った。
「播磨………」
「ま、表向きは、えーと田村だっけ?がナポレオンのせいで怪我しちまったからその責任取るために出るんだけどよ。」
「……え? ちょ、ちょっと待て播磨。 お前出るつもりかその体で!? あたしより酷い怪我してるじゃねーか!」
「オメーらと一緒にすんな。 この程度で走れなくなるよーな貧弱な体じゃねーよ。 ……ま、そこで見てな。 オメーが負けた
おかげで俺の勝ちにもハクがつくからな、感謝するぜ。」
「な!? こ、このヤロー……人が心配して言ってるのに………!」
「ジョーダンだよ。 ……俺があの金髪に勝ちゃあオメーの気も少しは晴れんだろ? 俺達をサンドバック呼ばわりしたあのヤローに
大恥かかせてやんよ。」
「……ったくお前ってヤツは………。 頼んだぞ、播磨。 アイツらに一泡吹かしてやってくれ。」
苦笑しながら、美琴は播磨の背中を叩いた。
播磨は自分の待機位置へと向かった。播磨はアンカー。奇しくもハリーと同じである。
「何だ、テメーもアンカーかよ。 好都合だぜ。」
「ホウ……懲りずに俺に挑むつもりカ、ジャパニーズサムライ。 しかし、そんな体で果たして俺と勝負になるかナ?」
「ヘッ、テメーみてーなのは漫画じゃ引き立て役になんだよ。 偉そうなことぬかして一旦はヒーローをピンチにして、
最後に逆転されて痛い目を見んのさ。」
「フッ……なら、ヒーローらしくヒロインの敵を討ってみるがイイ。 最もそんなことはさせんがナ。 真のヒーローは、決して
負けたりはしないのサ。」
「あ? ヒロイン?」
誰のことだ?しかも敵討ち?と真剣に考える播磨。やがて、
ヒロイン=美琴
の図式を認識した。
895 :
アモル:06/04/30 14:34 ID:ZhzsyNYA
(……ってちょっと待て! 確かにこの展開じゃ周防がヒロインじゃねーか!)
もしリレーに天満が出ていたら………
『播磨君……ゴメンね。 私のせいで負けちゃった………』
『心配すんじゃねーよ塚本。 俺が1位をとってお前に勝利をプレゼントするぜ!』
そして、リレーで1位をとり、
『ありがとう……私のためにこんな体で無理して頑張って………』
『お前のためなら、例え骨が折れようが体が燃えようが痛くも痒くもないぜ。』
『播磨君、ステキ………』
(オイオイ完璧じゃねーかよ……。 クッソー、周防!! 何で天満ちゃんと交代しなかったんだ!?)
かなり無茶な妄想と、かなり無茶な要望を心の中で展開していたのだが、美琴の大声で現実に引き戻される。
「播磨ーーッ! 何やってるーーーッ! 早く位置に着けーーーーッ!!」
「……へ? ってウオッ! 何時の間に!? しかも何か負けてやがるし!」
とっくの昔に始まっていたリレーは既に播磨の前の花井が走っていた。凄まじい形相で前を走る東郷を追い上げている。
先に到着した東郷がハリーにバトンを渡し、ハリーは一足先にスタートした。そして少し遅れて花井がやって来る。
「播磨! 受け取れ! 2ーCの……男の魂を!!」
「……相変わらず無駄に暑苦しいヤローだなオメーは!!」
パシッ!
バトンを受け取った播磨が猛然と加速した。しかしその瞬間、播磨の全身に激痛が走った。
ビキビキッ!!
(く゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!? 痛ェエエェェェェエエェェエェェェェェエェエエェ!! さ、さっきまで痛くなかったのに………
そんなに酷かったのか俺の怪我!? お、お姉さん……貴方の言ったことは正しかった!!)
痛みに耐え、必死の形相でハリーを追いかける。このダメージで勝負になるのか不安になったが、差は段々と縮まっていった。
ギャラリーから歓声が上がる。美琴も声を張り上げて声援を送った。
「行けーーーッ!! 追いつけーーーーー!!!」
しかし段々と意識が遠退きそうになる播磨。それでもとうとうハリーの横に並んだ。
(チィッ!)
並ばれたところでハリーのギアが上がり、二人並んでデッドヒートを繰り広げることとなった。
(こ…この野郎……早くヘバれ!! こちとら体中痛ェんだよッ!!)
ゴールがどんどん近づいてくる。しかし一向に差はつかず残り20mを切り、いよいよ播磨の気力が限界に達しようとしていた。
(駄……駄目だ……俺は……もう………し、死ぬ………!)
しかし、ゴール直前で突如ハリーが転倒した。
(な、何だぁ!?)
驚いている間に、播磨の体はゴールテープを切っていた。
ウオオオオオオオオォォォォォォォォォッッッ!!!!
大歓声が上がる。だが当の播磨は勝ったことよりも体が保ったことに喜んでいた。辛うじて破滅の一歩手前で留まっている。
「た、助かった………」
しかしそこへ美琴が走ってやってきた。そのまま一直線に播磨に播磨の所へ向かってくる。
「播磨ーーーッ!」
「え、周防……? う、うわ、ちょ、待………」
「よくやったぁ!!」
勢いよく抱きつかれたその衝撃で、
ぼき
………破滅の音が響いた(播磨の体内で)。
「………………」
ブッ………バタッ
「………………へ?」
美琴には何が起きたのかよく分からなかった。いきなり播磨が鼻血を吹いて、そのまま後方にバッタリ倒れたのだ。
一瞬周囲が静まり返り、続いて今度は別な意味で大歓声が上がった。
「す、すげーぜ周防さん! 抱きついただけで播磨が悩殺されたぞ!」
「あの胸にはそんな破壊力が………」
「クッソー、播磨、羨ましすぎるぜ!!」
「な!? ちょ、ちょっと待て! 違う、これは違う!! お、おい播磨!! お前も何でいきなり倒れてるんだよ!?
起きろ! 頼む、起きてくれーーーッ!!」
…………………………………………………………………………………………………………………………………
「……あ………?」
「お、よーやく起きたか播磨。」
播磨が起きたのは保健室のベッドの上。窓の外は既に暗い。ベッドの横では周防が椅子に腰掛けていた。
「……あー……何で俺はここにいるんだ?」
「リレー走った後にぶっ倒れたんだよ。 全く無茶しやがって………先生に止められてたのに走るから………」
それを聞いて、播磨は一気に意識を取り戻した。しかしベッドから飛び起きようとした所で脇腹に激痛が走り、悶絶して蹲る。
「大丈夫か? 気ィつけろ、アバラ折れてるかもしんねーんだから。」
「……マ……マジかよ………ハァー、まーいーや。 勝ったんだよな俺ら? まああのヤローがコケやがったからだけどよ。
チッ……本調子ならあの程度追い越せたってのに……ショボイ勝ち方だぜ。」
「……ハリーの転倒は必然だよ。 お前、騎馬戦の時ひたすら脚ばっか狙ったろ? それがアイツの脚に致命的なダメージを
残してたんだ。 それが最後の最後で出たのさ。 お前が頑張ったから、私たちは勝てたんだ。……ありがとな、播磨。」
どうやらあの意地の張り合いは無駄にはならなかったらしい。柄にも無く少し嬉しくなってしまったが、それを悟られるのは
恥ずかしいし、面と向かって礼を言われてもくすぐったいので、
「別にオメーらのためじゃねぇよ。アイツがムカついたからやっただけだ。」
ぶっきらぼうにそれだけ言った。美琴にはすぐにそれが照れ隠しだと分かったが。
「それからハリーからの伝言だ。「この借りはいつか必ず返す」だってさ。」
「ケッ、何度来ようが返り討ちにしてやるよ。」
「いやーそれにしてもいきなりぶっ倒れたからビックリしたぜ。 大変だったんだぞ本当に。」
何しろ感極まった美琴が抱きついた瞬間に鼻血を吹いて倒れたのだ。周りの騒ぎ方は尋常じゃなかった。播磨の顔色が土気色に
なっているのに気付いた美琴が慌てて担架を呼ぶまで、他の人は笑って見ていたのだ。
ちなみに突如噴出した鼻血は、騎馬戦の時の鼻の怪我が全力疾走によって開いたことが原因である。
実の所播磨に止めを刺したのは美琴だったのだが、播磨は言わないでおくことにした。余計な精神的負担をかけようとは思わない。
「チッ、怪我で倒れるなんざ大恥だぜ。 ……さっきから外で音楽が鳴ってるんだけど何だ一体?」
「あぁ……レクリエーションでオクラホマミキサー踊ってるんだよ。」
「………な、何ィ!? ね、寝てる場合じゃねえ、早く行かねーと天満ちゃんと踊れねーじゃねーか!!」
ガバッ!(ビキッ)
「グエッ……!」
「おいおい無茶すんな、休んでろって。」
「この程度で諦めるかよ! 俺は行くぞ!!」
「……ある意味大した根性だな。 あー播磨、忘れ物。」
怪我を省みずに立ち上がり、保健室を出ようとする播磨を美琴が呼び止め、播磨に見慣れた帽子を手渡した。
「おう、サンキュ……って何でオメーが帽子持ってんだよ……?」
「いや、お前が倒れた拍子に脱げたんだよ。 多分走った勢いで外れかけてたんだな。」
「………待てや、オイ。 てーことは何か? もしかして俺の頭は学校中の奴らに見られたってことかよ!?」
詰め寄る播磨に、言いにくそうな表情で目を逸らす美琴。その態度が雄弁に物語っていた。ショックでがっくりと突っ伏す播磨。
しかし驚異的な早さで立ち直ると、再び立ち上がった。
「クソッ……俺はこれぐらいじゃ挫けねーぞ。 どうせ天満ちゃんには剃られたところ見られてんだ。 大したことはネェ!!」
そう言って、播磨は突っ走っていった。
「……塚本が絡むとスゲーなアイツは。 んじゃあたしも行くかな。」
播磨がグラウンドに行くと、既に踊りはたけなわだった。手近なところにいた吉田山を押しのけ、強引に列に割り込む。
順番を待ち続け、いよいよ天満の番が近づいてきた。しかしその前に愛理が回ってきた。
「ヒゲ……アンタのおかげで勝ったから、礼を言っておくわ……一応ね。」
「別にオメーのためじゃねーよ。」
「分かってるわよ、一応って言ったでしょ。 ……それにしても、アンタ、踊るの下手ね。」
「うるせーよ(俺は天満ちゃんと踊りてーんだ。 早く次の番になりやがれ!)。」
愛理が終われば次こそは天満の番。だったのだが、ここで音楽が止んでしまった。そして実行委員の絶望的な宣告。
「ハーイ、それではこれにて終了でーす!」
「な、何だとォ!?」
目の前まで来たところで止められてしまい、さすがに衝撃が大きく、再び播磨は突っ伏すのだった。
「失礼ね、最後が私だったのがそんなにショックだったわけ? ……ま、アンタは他に踊りたい人がいたんでしょうけど………」
「………お嬢。」
播磨はユラリ、と立ち上がると、被っていたベレー帽を脱ぎ、愛理に差し出した。
「受け取れ。」
「な……一体何なのよ突然? それに、頭隠さなくていいの……?」
「いーんだよもう、全員に知られちまってるし。 オメーに貰ってほしいんだ。」
「え………? あ……えと……ありがとう………って言えばいいのかしら?」
突然のことにどう対応していいか分からず、愛理はなし崩しに帽子を受け取ってしまった
播磨は帽子を渡すと、家に帰ろうとバイク置き場へ向かった。しかしその途中で美琴に呼び止められる。
「播磨、一体、どーゆー風の吹き回しだ? モノあげるんなら塚本にあげりゃいーじゃねーか。 沢近呆けてたぞ。」
「ん? あー、あれか。 あの帽子を被ってからロクなことがねーからよ。 もうハゲ頭も晒しちまったし、アレを被る
意味もネェ。 だから俺の髪を剃ったお嬢にやったんだ。 あんな不吉なモン天満ちゃんにやれるかよ。」
「そ、そーゆー理由かよ………?」
播磨はそのままバイクに乗ってとっとと帰ってしまった。しかし、後日、播磨の運命が大きく動くことになることを、
このときの播磨も、美琴も、そして愛理も知る由もなかったのだった。
END
902 :
アモル:06/04/30 14:48 ID:ZhzsyNYA
以上で終了です。
文章量を抑えつつ描写を細かく出来るように
もっと精進しようと思います。
次回は導入部以外はオリジナルになります。
忙しいのでいつ投下出来るかは分かりませんが、
気長にお待ちください。
もはや荒らしだな。
マジで勘弁してくれ。
お疲れ様です。
文量は読み応えがある程に収められていて、文章も分かり易く
よかったです。続きを期待しています。
それと気になったことは以下の2つ。
梅津と田中を入れ替えたのはミスか、それとも伏線でしょうか?
「…」の乱用を減らして、別の間の表現の仕方を考えるべきかも
しれません。ここぞという時にだけ使った方が見栄えも効果も
良くなると思います。
面白くない
誰かあそみこかいてんしゃい
908 :
アモル:06/04/30 21:41 ID:ZhzsyNYA
>>904 アドバイスどうもです。
田中は単なるミスです。ウメマドなのに何で間違ったんだろうorz
次スレは490kb超えたあたりでいいでしょうか。
>>902 楽しく読ませていただきました。
書き急ぎにならないで欲しいけれども、個人的には早く続きを読みたいですw
連続モノは大変でしょうが応援しております
GJでした
今度は麻生と播磨を入れ替えたんだ
全然進歩がないのな
いい加減、飽きた
原作劣化版をいつまで続ける気なんだか……
あそみこ書け
>889
自演には言っても無駄ですんで…。
こんなつまらないの書くな
914 :
Classical名無しさん:06/05/02 12:02 ID:r1LcfQ8Y
どの派閥が読みたいですか?
王道、袴、D
何の力にもなれないが、陰ながら応援してるよ。
アモルさんガンガレ!超ガンガレ!
俺は旗しか読まないから。
播磨と笹倉先生ってお互いなんて呼び合ってましたっけ?
ケンジくん 葉子お姉さん
中途半端に嘘つくなよ…
葉子姉ちゃん
基本的に先生はさん付け。
確か、葉子さんだったはず。
お姉様
ずいぶん馬鹿が集まってるな、このスレは
カップル成立後の話を書こうと思ったが、播磨って天満以外を好きになっても、
やはり「○○ちゃ〜ん」っていう感じなんだろうか。八雲ちゃ〜んとか
お嬢ちゃ〜んとか想像できねえ…
「絃子ちゃん」なんて言ったら相手が恋人でも絃子さんは袋叩きにするキガス
呼び捨てなんじゃね?
仮に天満とくっついたとして、「天満」「拳児」とお互いフランクに呼び合うのが本望だろうし>播磨
>>902 激しく遅レスだけど乙です
ただ旗の最大級のイベントだったジャージが……
それはいいとして次回はオリジナルとの事なので楽しみです。
ここにいる人は既読者ばかりだと思うんで
やっぱ話しに沿って少しずつ変えていくんだったら
もっとスポットを当てる場所を絞るとかした方がいいと思います
文章は読みやすかったので次回に期待します
>お嬢ちゃ〜ん
ちょっち危ない奇ガスw
播磨くんが変態さんだったなんて……。
931 :
Classical名無しさん:06/05/08 16:43 ID:pP9.DRVA
いや、俺が書くわけではないですが…
そろそろ容量的に次スレ?
お嬢独占
とりあえず埋めるか
まだ多少のssならいけるから梅る必要はないかと
SSなぞ来ないだろうがな
今488だから、小さいのならおk!
でかいのは次スレで。
「はぁ・・・」
屋上で溜息を吐いている大柄な男が一人。
学ランの前を大きく開き、目付きは鋭い。
沈み行く夕日を見つめながら、彼は様々な事を思い返していた。
そして、いつも通りの結論に辿り着く。
どうにもならない事もあると。
3ヶ月ほど前、彼は少女に告白をした。
勘違いしやすい彼女に様々な誤解を解きながら告白するのは物凄く苦労したが、自分の想いを伝える事はできた。
しかし、彼女の答えは予想通り「ごめんなさい」だった。
彼女に好きな男が居る事は分かっていた。
だからこそ、彼女の背中を押したかった。
勿論、多少は期待もしていた。
たとえ微かな望みでも。
だが、それ以上に彼女に後悔して欲しくなかった。
そして、彼女は告白し、男もそれを受け入れた。
あれから3ヶ月間、色々あった。
男はアメリカに行き、彼女も卒業後留学するため必死に勉強している。
俺は彼女の友達としてそれなりの日々を過ごしている。
彼女への想いは一向に薄れる事なく俺を苦しめる。
しかし、後悔はない。
彼女を好きになって良かったと心から思える。
こんな俺は幸せなのか?
そしてまた、こんな恋をする事ができるのだろうか?
「はぁ・・・」
夕日を見つめながら、一人佇む男の背中は寂しげだった。
<FIN?>
「どうだった妹さん!?」
原稿から目を上げると間髪入れずに播磨が聞いてきた。
少し間を置いて八雲は自分の感じた通りに感想を告げる。
「えっと、ちょっと読者を置き去りにしてると言うか、いきなりこの話だと読者も戸惑うと思います。」
「うっ、やっぱそう思うか・・・」
自分でもそう感じていたのかそう言うと、播磨はがっくりと肩を落とした。
「でも、私はこのお話好きです。それにこの主人公にまた恋をして欲しいと思います。」
普段より幾分力強い彼女の言葉が、慰めではないと伝えてくれる。
その言葉に静かにそして嬉しそうに播磨は、
「そうか・・・」
と一言呟いた。
「でよぉ!どうしたら良くなると思う!?」
少し長い沈黙の後、照れ隠しか、赤い目をした播磨が叫ぶ。
その声に少しビクッとなった後、微笑みながら自分の想い告げる。
「最後の場面に物陰から彼を見つめている少女を描いてはどうでしょうか?」
<終わり>が抜けてました。
すいません。
>>942 GJ
いいショートストーリーでした。本編もこんなラストになって欲しいな
とりあえず播磨には天満への気持ちにけりを付けてもらいたいかと
次はモブ達のショートが見たいね
>>943 ありがとうございます。
そう言って貰えると嬉しいです。
菅「麻生死ね」
三沢「麻生死ね」
石山「麻生死ね」
吉田山「麻生死ね」
西本「麻生死ね」
田中「麻生死ね」
梅津「麻生死ね」
冬木「麻生死ね」
楢「麻生死ね」
946 :
Classical名無しさん:06/05/13 17:10 ID:OPRvHrFQ
嵯峨野「麻生死ね」
三原「麻生死ね」
結城「周防死ね」
大塚「麻生死ね」
雪野「麻生死ね」
鬼怒川「麻生死ね」
永山「麻生死ね」
隣子「麻生死ね」
『バナナ』
沢近「バナナ? バナナって何よ?」
播磨「お前はバナナも知らんのか。すげえお嬢っぷりだな」
沢近「しょーがないでしょ。知らないものは知らないんだから」
播磨「ほらよ、これがバナナだ」
沢近「うそ。何よコレ。グロテスク。ほんとに食べれるの?」
播磨「輪切りにして豚肉と炒めるとうまいんだぜ」
沢近「ふーん」
沢近「ナカムラ。バナナ買ってきて頂戴。表面がブツブツいっぱいで緑色したヤツ」
執事「お嬢さま、それはゴーヤでございます」
沢近「ちょっとヒゲ、待ちなさいよ! よくも私をだましたわね!」
播磨「しょうがねえだろ。こたえにくいことをお前がきくからだ」
沢近「こたえにくいって、何よそれ」
播磨「じゃあ、本当のことをおしえてやるよ。バナナっていうのはなあ」
沢近「なんで脱ぐの?」
>>942 GJ
簡単に読めるショートもいいなと思ったよ
つか八雲かわいいよ八雲
>>947 旗の皮を被った厨かなにかか
『男の戦い』
播磨「銭湯で前をタオルでかくすヤツはどいつだ! 小せえ男だなあ!
俺のを見ろ! ビッグマグナムだぜ!」
奈良「よしなよ、播磨君。みっともないよ」
播磨「なんだてめえ! おまえの豆鉄砲で俺様のマグナムにさからうってか」
奈良「ちがうよ。烏丸君のをみなよ」
播磨「うおうッ!! きゃしゃな体つきになんて巨砲つんでやがるんだ!
40センチ砲か! ひとり大艦巨砲主義か!」
烏丸「播磨君」
播磨「な、なんだよ!」
烏丸「大きさじゃないよ」
播磨「……」
烏丸「男は飛距離」
播磨「…まけた!」
『今ここに一丁の銃があるとしたら』
烏丸「誰をころしたい? 播磨君」
播磨「めずらしくお前のほうから話しかけてきたと思ったら何言いだすんだ、貴様ッ!」
烏丸「ここに一丁の銃がある。サバゲーのときドサクサでなぜか本物がまぎれこんでた。
これをきみに譲ろう」
播磨「おい、てめえッ!」
烏丸「実弾も一発だけど装填してある。さあ、誰をころしたい?」
播磨「……」
烏丸「僕かな?」
播磨「くそったれッ!」
烏丸「おや、自分のこめかみにあてたね。引き金をひけるかい?」
播磨「俺はつまらん最低の男だ! いつまでたっても漫画家になれねえし、才能も
ねえし、タイマン勝負でボコ負けするし、塚本には愛想つかされるし、
チンコの大きさで烏丸に負けるし、まったく小せえ男だな、俺は!
できるもんなら自分で自分をブチ殺してやりたい」
烏丸「今ならそれができるよ」
播磨「ダメだ! もうすこしで引けそうなんだが。塚本の笑顔はもう烏丸のもの
だとわかっていても、どうしても引き金が引けねえ。塚本のあの笑顔を
取り戻せるなら、1%の可能性でもあるなら、俺はまだこの引き金を引く
わけにはいかねえんだ!」
烏丸「その銃は僕があずかっておくよ。また使いたくなったら言ってくれればいい。
どうだい? ふたたびイバラの道を歩きだす気になった感想は?」
播磨「乾いた瞳じゃ涙もでやしねえ。烏丸、ひとつだけこたえろ。お前はどうなんだ。
塚本のこと好きなのか?」
烏丸「…この銃は僕にも使用する権利があることを忘れないように。播磨君」
播磨「烏丸ーッ!!」
今度は播磨厨の皮を被るとはな。
本当の播磨好きなら評判を悪くするような事をするはずないだろ
どのキャラの厨だか知らないけど、他キャラの評判下げる暇があるなら
自分の好きなキャラ主軸の面白いssを書いてくれ
そっちの方が自分のためにもスレのためにもなるわな
>>951 なぜ麻生をそこまで敵視するのかな。悪いやつではないだろうに
勘違いがあるといけないから言っとくと
>>550のレスつけてたやつはレス内容的に麻生好きではない
むしろ、あんだけ叩いて麻生好きってのはないだろうから明らかに嫌ってるだろ
かといって播磨が好きでないこともほぼ確かかな
播磨好きに撤しきれてないし、播磨好きが麻生を嫌う理由もない
播磨好きの振りをして麻生を叩くやつなんだから、ただのアンチ麻生ではないだろうね
だからといって○○厨と断定する気はないが、俺もその気持ちを創作意欲に回せと言いたいね
成る程、マンセーしていない951は荒らしってことだな。
納得、納得。
後5kb
最後まで糞な流れだな。
作品投下されたから流れ変わるか?と思ったのに。
945、946
つむぎワロスww
>>942 GJ
いいねえ、こういうの
こういう最終回はありだな
「拳児君、卒業おめでとう」
「おめでとう、か。まあそうだな、どんな奇蹟かと思わないでもないが、
めでたいことには違いないか。おめでとう拳児君」
「……葉子さんはともかく、絃子のはなんだよ」
「別に。それとも何か、君は私が笑顔で祝福するとでも思ってたのか?」
「……気持ちわりぃ」
「あー、拳児君。前々から思っていたんだが、君には他人を敬う気持ちと
いうものが少々足りないようだね?」
「誰が足り……っておい、だからすぐにんなもん出すんじゃねぇっ!」
「まあまあ、絃子さんだって拳児君がいなくなって寂しくなるから、最後に
少し意地悪してるだけなんだから」
「んなわけねぇ!」
「そんなわけがない」
「別に二人してそんなふうに言わなくても……」
「葉子、いい加減はっきりさせておきたいんだけどね、コレはただの居候。
私の平穏な生活を乱してる元凶に過ぎないんだよ。
なぁ、生活力不足の居候クン」
「ぐ……」
「絃子さん、何もそこまで」
「いいんだよ。それに、だ。君が本当に帰るべきところはここじゃない、
そうだろ? いい機会だ、一度くらい『自分の家』に顔を出してもバチは
当たらないと思うんだが?」
「俺は……」
「――ま、ここで言い返せない辺りが君のいいところだとは思うけどね。
無理強いはしないさ、だがどちらにしても後悔はするなよ。あくまで
君の選択なんだからな」
「ふふ、やっぱり心配してるんじゃないですか」
「ふん、誰が。またのこのことここに戻ってきて欲しくないだけだよ。
こんな騒々しい生活は当分ごめんだ」
「だってさ、拳児君」
「こっちだってごめんだ。……世話になったな」
「そりゃ引き受けてしまったものは最後まで責任は持つさ。世の中生きてく
ってのはそういうことなんだよ。おまけに仮にも私の教え子だしな、それに」
「……それに?」
「言っちゃあなんだがね、手間のかかる弟みたいなもんだったよ。さすがに
家族を見捨てるのは寝覚めに悪い」
「……こんな口うるさい姉貴なんて要らねぇ」
「それは結構、私もだ」
「ほら、やっぱり仲いいんですね。うらやましい」
「「どこがだ」」
「そういうところが、です」
「「……」」
埋め埋め。
パイロット名: | ARMOR POINT 8555
AC名: | 総重量 8399
| 機体価格 1120900
頭部:CHD-MISTEYE | ジェネレータ出力 6740/10500
コア:MCM-MI/008 | 余剰EP(移/待) 3760/ 4843
腕部:MAL-RE/HADRO | コア積載 2674/ 3270
脚部:MLM-MM/ORDER | 脚部積載 6405/ 5097
ブースター:MBT-NI/MARE | 実弾防御 1871(17.0)
FCS:PLS-SRA02 | シールド防御 未装備
ジェネレータ:CGP-ROZ | EXシールド防御 未装備
ラジエータ:RMR-ICICLE | E弾防御 1772(16.3)
インサイド:MWI-DD/20 | シールド防御 未装備
エクステンション:MEST-MX/CROW | EXシールド防御 未装備
右肩武器:MWM-MM16/1 | 冷却(緊急) 4704/ 6804
左肩武器:MWC-OC/30 | 地上ブースト速度 181km/h
右手武器:CWG-MG-500 | 空中速度 141km/h
左手武器:CWG-GSL-56 | オーバードブースト速度 408km/h
| 機体安定性 3716
オプション:
S-SCR E/SCR S/STAB L-AXL LFCS++ L/TRN
E/RTE CLPU
コメント:
None
ASMコード:U8q4PXZ7B2t15FcY41
頭:CHD-MISTEYE
コア:MCM-MI/008
腕部:MAL-RE/HADRO
脚部:MLM-MM/ORDER
ブースター:MBT-NI/MARE
FCS:PLS-SRA02
ジェネレータ:CGP-ROZ
ラジエータ:RMR-ICICLE
インサイド:MWI-DD/20
エクステンション:MEST-MX/CROW
右肩武器:MWM-MM16/1
左肩武器:MWC-OC/30
右手武器:CWG-MG-500
左手武器:CWG-GSL-56
オプション:
S-SCR E/SCR S/STAB L-AXL LFCS++
L/TRN E/RTE CLPU