スクールランブルIF25【脳内補完】

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781Classical名無しさん
>>771
                   ,r'   ,ィi、  ヽ
    r、                l! i,,_'´'__,,ヾ l!
   (0)ー‐r=,、          ヽiーi ー‐'`l'7!
    `゙i''i {三)、_            ゙l --' /'/
     ソl!r=,イェノ、___,r‐-.、‐--rゝ__, ‐'゙i´
     l‐゙ー'ニ=ik  ヽ   ヽ l_ ヽ二ニi7゙i、__
     ヽ、二ニリ!   '     l ヾ´ >'  ',' ,ヽ<`ー-、
       l!ゝメノ         l   `゙!  ;   l  i  l
        ゙ヾ、_ _  _ ノ   ,ィ~`{フ,r= '゙   !  l
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旗は滅びぬ。何度でも甦るさ!ツンデレこそ、人類の夢だからだ!!
782Classical名無しさん:05/11/25 02:06 ID:P60g.SCU
「ここでいいのか?」
「いいわ」
 愛理はヘルメットを脱ぎながらそう答えた。
 ヘルメットの下からは金色の髪が扇のように広がり太陽の光を浴びる。
 播磨のサングラス越しの瞳にも太陽と同じ色の光芒が溢れる。

「…送ってくれてありがと」
「…なんでもねえよ」
 播磨はさきほどまで背中に感じていた愛理の胸のふくらみの柔らかさを思い出して
すこしだけ赤面してしまう。
 ヘルメットを播磨に押し付けるように返しながら、愛理はバイクの後ろで播磨に抱きついていた
さっきまでの時間を思い出していた。
783Classical名無しさん:05/11/25 02:07 ID:P60g.SCU
――ヘンなの。
 コイツの後ろにしがみついてるなんて。
 走るバイクのシートに跨りながら愛理はそう思った。

   せっかくの日曜日。
   美琴と買い物に出かける予定が、なにやら道場でなんかあったらしく
   キャンセルの電話が入ったのは愛理が待ち合わせの場所に着いたときだった。

   そしてたまたま画材を買いに出ていた播磨にとっては不幸なことに。
   そして愛理にとっては幸運なことに、二人はばったりと出会ってしまった。

   その後、ヒゲを買い物につき合わせて引っ張りまわし
   荷物もちをさせて
   お礼にお茶を奢ってやって

  「家まで送ってくれるでしょ?」「しょうがねえな」
  「ナニよその言い方」
  「ウルセエっての、なんで送ってやろうってのに文句言われ「黙りなさい」
  「…」
   という流れで今現在の播磨のバイクの後ろで背中に抱きついている愛理がいたりする。
784Classical名無しさん:05/11/25 02:07 ID:P60g.SCU
――ヒゲの体、暖かい…お父様みたい…
――ううん。お父様とは違う。匂いも、背格好も、物腰だって全然違う。

 それなのに。なんで…こんなに胸が暖かくなるんだろう。
 お父様といるときみたいに、暖かい気持ちになれる。

…少し違う。
 お父様に頭を撫でられたときよりもずっと、胸が苦しい。
 お父様が笑って話し掛けて下さるときでも、こんなに身体の奥が熱くなったりしない。

 知らず知らずのうちに、播磨に掴まっている腕に力が入ってしまう。
 播磨の身体に廻した手に力を込めて、目の前にある広い背中に愛理は身体をぐっと押し付ける。

 冷静に考えれば男の子に抱きついているというそれなりにすごい状況なのだが、
バイクの後部座席という位置はそんな状況も当たり前のものにしてしまう。
 周りの風景が後ろに流れ、道や他の車に人がいるのに二人っきりみたいだ。
――コイツと今は二人きりなんだ…
 このまま、ずっと家に着かなければいい。
 愛理はそう思い始めていた。
785Classical名無しさん:05/11/25 02:08 ID:P60g.SCU




 愛理の屋敷の門の前。
 ヘルメットで張り付いた髪の毛を直しながら愛理は言った。
「結構気持ちいいものね」
「だろ?」
 まるで男の子が宝物を自慢するときみたいに、播磨は無邪気な笑みを見せた。


 その表情は愛理の胸の中の何かに火をつけた。

 言いたい言葉が胸の奥から突然、沸騰するように沸きあがってくる。
 愛理は突然、播磨の耳に向かって囁いた。

『私、あなたのことが好きよ』

 自分の唇から出てきた言葉に愛理は背筋がゾクゾクと震えてしまう。
 一瞬顔から血の気が引き、やがて頬が赤くなり、胸の中が熱くなる。
 言っちゃった。言ってしまった。
 胸の中に漂っていた曖昧な感情が、言葉によって瞬間的に結晶化してしまった感じ。
 自分の耳から聞こえた自分の言葉が、愛理に「そのこと」を気付かせてしまった。
――好き。私って、コイツのことが好きなんだ…
786Classical名無しさん:05/11/25 02:09 ID:8i91Jp.c
支援?
787Classical名無しさん:05/11/25 02:09 ID:P60g.SCU
 そしてド直球の愛の告白を受け取った播磨は――
「…お嬢、今のなんて意味だ?」
 怪訝な顔で聞き返す。
「わ、わかるでしょ! そのまんまの意味よ!」
 頬を染めたまま愛理は答える。
「わかるわけねえじゃねえか。俺は英語なんてわかんねえんだからよ」

――英語?…エイゴ?English?

 愛理は今の自分の言葉を脳裏に蘇らせる。そう言えば、お父様のことを
思い出したあたりから英語で考えていたかも。

 渾身の愛の告白も英語では伝わる筈も無い。っていうか伝わらないのが当たり前だ。

「そうよね、あんたは日本語だって怪しいもんね」
 安堵と、なぜだかすごく残念な気持ちで愛理は言った。

「ンだとコノヤロウ」


 愛理は口先だけ怒っている風の播磨にまた言った。
788Classical名無しさん:05/11/25 02:14 ID:IUBJkbYU
支援ツー
789Classical名無しさん:05/11/25 02:15 ID:P60g.SCU
『こんなに想ってるのに、なんであなたは判ってくれないのかしらね?
 あなたは私の一番大切な人なのよ?』

「だからお嬢、日本語で言ってくんねえか。英語じゃナニ言ってんだか」
「――そのうち」

――そのうち判るようになるわ。ううん。してみせる。

 そして愛理は「ナニ発情してんのよこのケダモノ」みたいな微笑み(By播磨EYE)を
浮かべると播磨の頬に唇を触れさせ、そのまま屋敷の門の中に駆けていってしまった。

 あとに残されたのは呆然とした顔の播磨だった、と後の世の歴史書は伝えている。





なんとなく終わる。