2月14日 バレンタイン
今ここにバレンタインを駆け抜けた男の戦いが始まる……
AM8:30 学校 〜作戦〜
「(今日はバレンタインだ。俺は今日天満ちゃんからチョコを貰う! そのために俺がチョコ好き
だとアピールしなくては……)」
「おっはよーー」
「(来た! 天満ちゃんだ! よしここで俺の作戦を開始だ。だがあからさまにアピールしては
だめだ、俺は不良だからな。しかし、天満ちゃんは鈍い。そこで俺は考えた)」
AM9:00 〜1時間目国語〜
播磨、黙々と教科書を読みふける。
AM10:00 〜2時間目英語〜
播磨、黒板に書かれている事をノートに写す。先生と周りの生徒はその光景をみて驚愕する。
AM11:00 〜3時間目数学〜
播磨、黒板に書かれた問題を言われてもいないのに自ら解きに行く。
その行動にクラス中がざわめく。しかし、やはり解く事ができず帰ってくる。
PM12:00 〜4時間目古典〜
播磨、先生の話を理解しようと必死に聞くが理解できない。
愛理はそれをみて播磨じゃ解けない問題を播磨に解かせてようと先生を誘導。
播磨に恥をかかす。播磨、今度、愛理に仕返しを決意する。
PM13:00 昼休み
「(よしここまでは作戦通りだ。お嬢の行動は予想外だったが、だいたい順調だ。ここで
俺がキメ台詞を言えば完璧だ)」
「あーぁ。久しぶりに勉強したから疲れちまったぜ。頭を使うと甘い物がほしくなるなぁ〜
チョコとか。まあ金のない俺にはそんな物買えねーし屋上で休んでくるかなぁ〜」
「(よし。これは絶対天満ちゃんの耳に届いた! そして俺が屋上で待っていれば……)」
――播磨脳内妄想中
「あの、播磨君。これチョコなんだけど貰ってくれない? それと私、前から好きだったの……」
「塚本…いや天満ちゃん俺もだぜ」
「播磨君!」
「天満ちゃん!」(播磨の脳内で抱き合う二人)
妄想終了――
「(よし。これはイケル! おっと、こんな事してられん早く屋上に行かねば)」(播磨屋上へ)
PM13:05 教室 〜いつもの4人の会話〜
「今日の播磨君すっごく勉強してたね〜びっくりしちゃった」
「でもさっきの播磨君の言動で何が狙いかわかったけどね」
「えっ!! 晶ちゃん、播磨君の考えがわかるの?」
「ええ。天満わからないの」
「うん。全然」
「塚本、あのなぁ〜。少し頭を使えばわかるだろ?」
「えーー! 美コちゃんもわかるの!?」
「えーって何だ。私がわかっちゃ悪いのかい。つまり播磨は今日がバレンタインだから
チョコがほしんだよ。そうだろ高野?」
「ええ。たぶんそうよ」
「そうか播磨君チョコがほしかったんだぁ。でも播磨君には八雲がいるから別にあんな事
しなくてもいいのに……」
「ふん。どうせヒゲの考えている事なんて、馬鹿な事にきまってるわ」
美琴と天満、別な会話に夢中
「いいの愛理?」
「何が?」
「彼の所に行かなくて」
「はぁ〜? な、何で私がヒゲの所にいかなきゃいけないのよ」
「私は彼とは言ったけど播磨君なんて一言も言ってないよ」
「!?」
しばし無言な二人
PM13:10 〜そのころ屋上では〜
「う〜さすがにさみーな。だがこれも天満ちゃんからチョコを貰うため」
――播磨脳内妄想開始
「播磨君こんなに寒い中ずっと待っててくれたんだね」
「こんな寒さなんて事ないぜ。お前の顔を見たらすぐに吹っ飛んじまった」
「播磨君!」
「天満!」(播磨の脳内で再び抱き合う二人)
妄想完了――
「YES! こいつはイケル! あとは天満ちゃんが来るのを待つだけだ……」
688 :
Classical名無しさん:05/02/14 19:48 ID:xpUqkxrU
10分後
「まだかな天満ちゃん。きっと恥ずかしいんだなぁ」
さらに10分後
「遅いな天満ちゃん。そうか、きっとおめかししてるんだなぁ」
さらにさらに5分後
「……ト、トイレだな……」
――キーンコーンカーンコーン――
「…………」
「なぜだ。なぜ来ない…………教室に戻ろう……」
天「播磨君…ハイ…いつも八雲がお世話になってるから…義理だけど…」
播「・・・あ・・・り・・・が・・・と・・・な・・・つ・・・か・・・も・・・と」
天「じゃあね…八雲泣かしたら許さないぞ!!」
播「ふふふ…やったぞ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!天満ちゃんからのチョコだーーーーー!!!ゆ・・・夢じゃない!!!正真正銘のチョコだーーーー!!!早速食うべし!!!」
ガリ
播「う うまい?ありえねー!!!物理的にありえない!!!いや確かに美味い。どういうことだ? もしや俺への愛の力で美味くなったのか…いや…そうだ そうに違いない!!!俺はなんて幸せ者なんだ!!!」
八「…どうしよう…姉さん私のチョコ持ってちゃった…播磨さんにどういえばいいんだろ…播磨さん…播磨さん…播磨さん…ゴメンなさい…………」
終り
しまったかぶった。ゴメンなさい
すみません。続けさせて頂きます
>う うまい?ありえねー!!!物理的にありえない!!!
今日はツボに入るセンテンスが多いw
ついでに支援
PM13:40 教室 〜播磨戻ってみると〜
「(はぁ〜教室に戻ってみると、くそツマンネー授業に天満ちゃんは寝てましたとさ。こんな事
ならずっと教室にいればよかったぜ。もう勉強する気になれん)」
「(んっ? 机の中に何か入っているな? なんだ?)」
播磨机の中を漁る
「(こ、これは! この見事にラッピングされた箱はま、まさか!) チョコ!!」
「播磨君、チョコがどうかしたのか? そういえば今日はバレンタインだったな
それで君はチョコがほしいんだな。誰かそこの狂犬にチョコを恵んでやってくれないか」
クラス中が必死に笑いを堪える
「(しまった今は絃子の授業だったのか!? っくそ、思わず声をだしちまったぜ
しかもあんのヤロー、クラス中のいい笑いモンだぜ。文句の一つでも……)」
「ああ播磨君。今度私の授業を妨害したら……」
「……ハイ。もう2度としません」
「(しかし、そんな事より。このチョコは一体……!! これは天満ちゃんのに違いない!
そうか机の中に入れたから屋上には来なかったって事か。やっぱり直接渡すのが恥ずかしいのか
そこがカワイイぜ。さすが天満ちゃん)」(播磨、寝てる天満の方を見る)
その播磨の方をみる金髪の少女が一人
「(ふん。少しは喜びなさいよね)」
(END)
一応終了しました。けれど、何かパットしない
終わり方だったんで、あとで違うラスト作って投下します
696 :
690:05/02/14 19:58 ID:CNDjLaNg
ほんっとすみませんでした…orz
二月十四日。
平日。
なんでもない日――とはさすがに言えない。
しばらく前から、学校はおろかこの街中を、もしかしてしまえば日本中を覆っているような気さえする、そんな
どこかお祭りめいた空気はいくらなんだって感じているし、それが今日を境に弾けた泡のように消えることだって
わかってる。
……それに。
それに、私だってその程度には『女の子』なのだ。思うところもいろいろとあるわけで――
「……はあ」
一つ、溜息。
と。
「んー、朝からどうしたのかな? そーんなしょっぱい顔しちゃってさ」
背後からかけられた声の主は、私の一番騒がしい友人――嵯峨野だ。
「別になんでもないよ。って言うかさ、どうして後ろからそんなことわかるかな」
「わかるよそれくらい。アンタと私が何年つきあってるの思うのかな、つ・む・ぎ・ちゃん」
若干の皮肉を込めた言葉は、そんな語尾に音符でもついていそうな台詞にあっさりと切り替えされる。ついでに
振り向いてみれば、得意満面のその表情。
勝てない、と思う。
一見なにも考えていないようで、その実やっぱりなにも考えてないんじゃないか、そう思える部分もある彼女
だけれど、さすがと言うべきなのか、押さえるところはきっちり押さえている。今だって、本当に私の微妙な
空気の違いを感じ取っていたんだろうし、心配だってしてくれていたんだろう。
まあ、それが九割くらいの冗談でデコレートされている――むしろそっちが本音じゃないんだろうか――辺りが
彼女らしさではあるんだけど。
「そんなの忘れちゃったよ。ほら、授業が始まるから戻って戻って」
けれど、どうも私はなかなかそれをまっすぐ受け止められない。……照れくさいのだ、うん。だからそうやって
彼女にはご退場を願う。えーなにそれーひどーい、なんて声は重なるようにして響き始めたチャイムの音で聞こえ
なかったことにして。
「忘れちゃうくらいずっと前から、だよ」
そして同じようにチャイムに隠して呟く。
私の一番騒がしい、そして愛すべき友人に。
さて。
その後ものらりくらりと彼女の追求――それがいつも以上にしつこいというかハイテンションだったのは、やっぱり
今日が今日だからだと思う――をかわした私は、なんとはなしに部室に来ていた。
別段やることもなし、じゃあどうしてここに来たかと言えば。
「独りになりたかった、のかな」
言葉に出して再確認。
天文一筋、なんて人はそうそうおらず、加えて部室に取り立てて面白いものがあるわけでもなし、常駐しているのは
私くらいのもの。校内にいれば『あの』空気にあてられてしまうし、まっすぐ家に帰ってしまうのもそれはそれで芸が
ない。
芸がない。
自分の思考をトレースしてみて、なんだかなあ、と苦笑がもれる。芸がないもなにも、結局私はありそうもないこと
に期待をしているだけなのだ。自分の足で歩き出さなきゃなにもはじまらない、そんなことは誰よりよく知っている
つもりなのに、私は独りたそがれているし、今日という日のマジックアイテムは鞄の中で眠ったまま。
「いくじなし」
数ヶ月前、ここにはいない誰かに言った言葉を自分に向ける。まったく、その通りだ。自分がこんなに情けないなんて、
笑えない冗談。
「失礼しまーす」
そんなネガティブキャンペーン実施中の思考、それをひとまず断ち切ってくれたのは元気のいい挨拶だった。顔を出した
のは、私顔負けにここにいりびたっているいつもの二人組だった。部員にならないか、と水を向けようかと思ったことも
あったけれど、未だにそれは果たせずにいる。この二人はこのままでいいような気がするのだ、なんとなく。
ともあれ、そんなふうにしてやってきた二人の内、稲葉さんの方がやたら真剣な顔で迫ってくる。
ピンと来る。
嫌な予感。
「結城先輩、花井先輩のことなんですけど」
――ビンゴ。
と言うかまあ、いろいろと考えてみれば、予想して然るべき事態だったような気もする。不覚だ。
「花井君のこと……って言われても、私に答えられるようなこと、あんまりないと思うんだけど」
「そうじゃなくって、今どこにいるか知りません?」
「どこってそんなの……あれ?」
彼のことだから、塚本さんを探してるんじゃ、とそこまで考えてからふと思い当たる。このおぼろげな記憶が確かなら、
彼女たちと塚本さんのクラスは同じだったような気がする。ならば待っていればいいんじゃないだろうか。
「そう、だったんですけど……」
「だった?」
珍しく困ったような表情の稲葉さん。おや、と思っていると横から合いの手が入る。
「実は、さっきもうウチのクラスに来たんです、花井先輩」
「だったらそのときに」
「来たは来たんですけど」
「ねえ」
顔を見合わせる二人。……なんとなくオチが読めた気がする。
「入って来るなり『八雲君はいるかね』って大声で訊いて」
「いませんって言ったら『ありがとう』ってすぐに出て行っちゃったんです」
「……ああ、そう」
そのものズバリで思った通り。彼らしいという他にない。情状酌量の余地があるとすれば、稲葉さんの想いに気がついて
いるはずもないわけで、そう考えれば妥当な行動と思えないこともない。
ないのだが。
『間違ってない』が『正しい』と必ずしもイコールで結ばれないのが世の中なのだ。知らない、ということはときに残酷だ。
にしても。
やっぱり彼は彼なわけで、生真面目すぎる一面と、そのややもすると抜けた一面が不思議な具合に混ざり合っていて、
カッコいいんだかよくないんだか全然わからなくて、でもそんなヘンテコなところまで含めて、私は彼のことが――
「あの、先輩?」
「え? え? あ、ごめん。うん」
ふと我に返れば、怪訝そうな顔が目の前に。うう、どんな顔してトリップしてたんだろうか、私。
「えっと……ごめん、どっちにしてもさすがにわからないよ、どこにいるかなんて」
そうですか、としゅんとしてしまった二人。なんとなく悪い気がして、先のおかしなテンションが残っていた私は、でもさ、
と余計なことを口走ってしまう。
「このあいだみたいに、話してたら彼の方からここに来てくれたりしてね」
「まさか」
ちらりと笑顔。よしよし。
「花井君――なんて呼んでみたら」
もしかして、と続くはずだった言葉は永遠にどこともしれない場所へ消えてしまう。
だって。
「呼んだかね?」
……ああもう、どうしてこの人はこうなんだろうか。
理不尽としか言いようのない理不尽さで、花井春樹、という人はそこにいた。
「ちょうど前を通りかかったら、僕の名前が聞こえたような気がしたんだが……気のせいかね」
それだけで入ってくるんかい。
思い切り容赦なくツッコミたいところではあるけれど、前科はあるしなにより実際そういう人なので保留にしておく。
それよりも。
「うん、まあそうなんだけど……」
「なにか用でもあるのかと思ったが、違ったなら失礼するとしよう」
入ってきたときの勢いのまま、すぐさま出ていこうとする彼。稲葉さんの方を見れば、もじもじしているというか、とにかく
言い出せないままでおろおろとしている。あの、普段は天衣無縫といった感じの彼女が、だ。
それを見て、すっと気分が落ち着いた。
なんだ、と思った。
誰だってやっぱりどきどきするし、それにへこたれてちゃいけないんだ、と。
「えっとね、花井君」
だから。
私はまるでなんでもないようにして鞄からそれを取り出す。
「コレ、よかったらどうぞ」
「うん? っと、これは……いいのか? 僕がもらっても」
「もちろん。ねえ、稲葉さん」
「え? あ、せ、先輩、私もっ」
思い出したようにして、慌ててチョコを取り出す稲葉さん。なんだかいつにも増してかわいく見える。
「ああ、どうもありがとう。受け取らせてもらうよ。それで、用事の方は……?」
いやだからソレが用事なんだけどなあ、と思いながらも、言うだけ無駄なので、もういいよ、とだけにしておく。
「……? そうか、では失礼する」
嵐のようにやってきて、嵐のように去っていく。廊下からは、やくもくーん、という声。……これは聞かなかったことに。
「ふう、どうなることかと思ったけど……よかったね、稲葉さん」
「はい! ……でも先輩、なんで先輩まで? もしかして」
言外に込められた意味を察して、ないない、と手を振る。
まだ。
今は、まだ。
「たまたまだよ。だって彼がここに来るなんてわかるはずないでしょ?」
「そっか。そうですよね」
「でも先輩、このあいだのことといい、けっこうウンメイ感じちゃったりしません?」
ウンメイ。
なにやら特別めいたイントネーションをつけられたその単語に、思わず吹き出してしまう。
「こんなおかしな運命なんてないって。それに、運命だったら稲葉さんとライバルになっちゃうよ」
「む、そうですね。こんな身近に手強いライバルが」
交錯する視線。
沈黙。
そして三者三様の笑い声。
「冗談冗談」
「もう、先輩ってば」
「稲葉も稲葉だけどね」
笑いながら、それじゃありがとうございました、と出ていく二人。お礼を言われるようなことはしていないと思うけど、
感謝の気持ちはありがたく受け取っておく。悪い気はしない。
「運命、か」
その気配が完全になくなってから、呟いてみる。
なるほど確かに、虹の一件からして彼と私関係は偶然に彩られている。加えて文化祭を控えたあの日、そして今日と
三度偶然が重なるなら、それは運命と言って言えないこともない。
ただし。
コレが運命なら、それを与えてくれた誰かさんはずいぶんとイジワルだ。なにせ、彼には想い人がいて、おまけに完全
無欠、鉄壁の幼なじみまでいるのだ。勝算はとてつもなく低い。
「……でも」
そこで諦めちゃいけないんだ、きっと。
どんな偶然だって。
どんな運命だって。
立ち向かって変えていかないと。
動くための足があって。
伸ばすための手があって。
話すための口があって。
聞くための耳があって。
考えるための頭があって。
そしてなにより、『結城つむぎ』という私がいるんだから。
「がんばろう」
月並みだけど、それが一番確かな言葉だ。今日という日は終わるけれど、また明日から。必ず。
さて、その最後に。
今朝はイマイチ認めたくなかったことを認めておこうと思う。今ならそう思えるから。
今日という日は。
二月で。
十四日で。
平日で。
そして。
「バレンタインデー」
そうだ。
今日は、恋する女のコの日なのだ――
――――――"Close to you" , slowly and certainly, closed.
終わりかな?グッジョブ。
花井もなんだかんだでもてるんだよなぁ。
つむぎの心情がよくあらわされてて読んでて面白かったです。
そういや、本編でバレンタインデーが来るのはいつ頃になるんだろう……w
間に合わなかった……
だけど投下
>>689の続き
PM15:30 放課後 〜播磨の戦い〜
「(くそっ! なんかいつのまにか放課後になってるぜ。あぁ〜天満ちゃんが帰ってしまう
俺も早く追いかけなければ)」(播磨、席を立ち教室をでようとする)
「……おいお嬢。そこが邪魔で通れねーんだ。どいてくれ」
「ヒゲまさか、帰ろうなんて考えてないでしょうね」
「そうだよ。わりーのかよ」
「悪いわよ! あんた今日は掃除当番でしょ!」
「!!(わ〜す〜れ〜て〜た!!)」
「だからアンタは残って掃除よ」
「ふ…不良は掃除なんかしねーんだよ」
「何か言った」
「いえ、何も言ってません(あぁ〜天満ちゃんが去っていく)」
播磨泣く泣く掃除をする