「おい絃子! 俺の漫画の原稿がねーぞ!」
「そんなの私が知ったことか」
「なんだと! おめーが俺の部屋に入ったのは間違いねーんだよ。俺の部屋に、
長い髪の毛が落ちてたんだよ!」
「ぐ……そ、それは君の紙の毛じゃないのか?」
「俺の髪はこんなに長くねー! それに漢字まで間違えてやがるだろ」
「ぐぐっ……た、たぶんそれは、君の部屋を掃除しようと部屋に入った時に、
落ちてしまったものだろう……」
「部屋の掃除だぁ〜? どうしていきなり俺の部屋の掃除をしようとしたんだよ」
「そ、それは、君の部屋があまりにも汚いものだから……」
「おめーの部屋の方がよっぽど、汚ねーだろが! それとも何か、原稿が勝手に一人で、
どっかに行ったって言うのかよ」
「そ、そう考える方が普通じゃないのか?」
「んなわきゃねーだろが! んっ? 絃子、おめーの肩に黒い灰が……」
「!!! ば、馬鹿な!? ちゃんと、灰は処分したはずなのに!!!」
「……やっぱりか。どおりで部屋に入った時、焦げ臭かった訳だ」
「!? 拳児君、そんな知恵をどこで……」