四角いオニギリ───
天満の作ったオニギリを見た瞬間、高野晶は驚愕に打ち震えた。
「こ…これは死線流御武首尾!」
「知っているのか雷で…もとい高野!」
死線流御武首尾───
古代中国・巴蜀地方(現在の四川省)では
武人の出陣の際、敵に相対しても臆さず手柄を立てられるよう、
あえて死に直面する勇を振るえとの意を込めて
炊いた米を四(死)面に握り固め、陣中食として持たせたという。
日本にもこの風習は早くから伝わったが現在ではその意味は忘れられ、
わずかに「おむすび」という名称にその名残を見出す事ができる。
民明書房刊『中華医食大全 ─裏食医四千年秘史─』より
「まさかこの料理の作り手がまだいたとは……!」
「……晶ちゃんのイジワル… どうせ私はへたくそだもん……」