スクールランブルIF19『脳内捕完』

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374Classical名無しさん
 ――頭痛が痛い。
 そのときの刑部絃子の心情を表わすなら、そんなトンチキな言葉が相応しかっただろう。
 確かに彼女はなにもしなかった。正確にいうなら、こういうことも出来る、というフリをしてみせただけ
だった。無論、彼女なら実際にそれをやってのけることも――常識的に問題ある行為だというのはさておき
――出来たのだが。
 結局、甘く見すぎていたのだ。
 無理もないといえば無理もない。所詮は一介の不良、それは蛮勇にもほど遠い、奇蹟じみたことだったはず。
たとえその動機が、『恋』なんてこれまた信じられるはずもないようなものだったとしても――

「……奇蹟なんて大嫌いだ」

 しかし現実はそこにある。
 事前に控えておいた――こっそり受験票を見たとも言う――番号が、目の前に掲示されている数字の群れの
中に紛れ込んでいる。
 奇蹟。
 それも二度と起きて欲しくない類の。
 もはや溜息さえも在庫を切らして出てはこず――

「どうかしたんですか? 絃子さん」