「――この戦いが終わって2人とも無事でいたら……デ、デートしようぜ」
彼のその言葉は私の心に響き渡った。
そして、それは私たちの関係が変化した瞬間。
私こと永山朱鷺と彼、田中一也君との関係に変化が訪れた瞬間だった。
− Bravery −
体育祭が終わって数週間。いい加減文化祭の出し物を決めようと放課後ホームルームを開くことになった前日、
私は自室の布団の上でまどろんでいた。
考えるのは彼のこと。思慕の念は日に日に強くなり、抑え切れなくなっていた。
「いつからなんだろう。私があの人のことを気にしだすようになったのは……」
独白するように呟き、私は記憶の海を探る。
けれどいくら考えても、覚えていないことに気付く。
いや、始まりなんてなかったのかもしれない。
ただ日々の積み重ねの中で、徐々に彼のことを目で追うようになっていただけのような気がする。
けれどそれを口にすることなんてとてもじゃないが出来なかった。
私は……臆病だから……。