235 :
銭湯後:
私は銭湯から出てくるアイツを待っていた。
昼間にあんな事を言っておいて、その日のうちに否定するなんて…
文句を言わなきゃ気が済まない。そんな気分だった。
数分が経ち、男子が出てきた。その中にアイツもいた。
私はアイツの前に立ちはだかり、文句をつけた。
「ちょっと待ちなさいよ、ヒゲ。アンタ、昼間に髪を両側で縛ったコが好きって言ったわよね?」
「ああ、そうだ。それがどうした?」
「さっき、聞こえたわよ。金髪を両側で縛ったヤツが大嫌いって言ってたじゃない!」
「ああ、それか。あれ、見てみ」
アイツが指差した先には、同級生の男の子がいた。
「え、あれは…」
「そうゆう事だ。それにな、ヤツとは言ったが、女とは言ってねえ。ちがうか?」
「あ…」
確かにそうだった。女とは言っていない…じゃ、昼間のは…
「ほら、湯冷めする前に帰ろうぜ、お嬢」
「わ、わかったわよ。もう…」
「なんだ、顔が赤いぞ、お嬢」
「な、何でもないってば」
そういいながら、私は膝蹴りを入れていた…
切ろうかとも思ったけど、やっぱりこの髪型が一番ね。
おわり