17 :
銭湯にて:
姉さんが学校に泊まると言った日の夜、電話が掛かってきた。
「あ、八雲? 皆で銭湯にいくからおいでよ!」
姉さんからの電話だった。
クラスの有志で行くことになったらしい。
「え…でも……」
「だーいじょーぶ! 播磨君も来るよ!」
断ろうと思った矢先、あの人の名前が出た。
「え…播磨さんが…」
播磨さんと聞いた途端、伊織がピクッと反応した。
ここ暫く逢っていない。あの人に逢いたい。
「うん。わかった、行くね」
待ち合わせ時間を聞き、支度をはじめた。
「伊織も一緒に行く?」
振り返って聞くと、嬉しそうに鳴いた。
私は伊織を抱き上げて、銭湯に向かった。