スクールランブルIF17【脳内補完】

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356Winner On the Snow Field(前編)
「親睦を深めるため、今日は雪合戦でもしようじゃないか!」
唐突にこんなことを言い出したのは、黒縁眼鏡の優等生、花井春樹。
「…またお前はイキナリ訳分かんねーことを…」
花井にツッコミをいれるのは、当然、幼馴染の周防美琴である。
本日は某月某日、冬休みの真っ只中。昨晩より降り続いた雪により、ここ矢神市は一面、白く覆われていた。
そんな中、花井は早朝から美琴の家を訪ねてきていた。
「まぁ、こんだけ雪が積もったんだから、雪合戦をしようとするのは別にいいんだけどよ…」
美琴が少し呆れた様子で花井を見やる。
「…なんでそんなにやる気満々なんだ、花井?」
傍目にも分かるほど、花井は既に汗だくであった。周りの空気が冷たいため、彼の体から湯気が上がっているのも見える。
「案ずるな周防!既にウォーミングアップも済ませてある!」
「いや、だから、なんでそんなに張り切ってんだよ、お前は…?」
「細かいことは気にするな、お前らしくもない!そんなことより、早くメンツを集めろ!」
「…って、肝心のメンバーをまだ集めてないのかよ!」
「当然だ!やろうと決めたのは、ついさっきだからな!」
無意味に威張って言う花井。
メンバーも集めてないのにウォーミングアップまでするなよ!、という周防のツッコミも、虚しく寒空に消えていった。
357Winner On the Snow Field(前編):04/11/23 21:38 ID:0IdAntVw
「そんなことはどうでもいい。ホレ、早く塚本君の家に連絡せんか!」
「は?なんで塚本んちに?」
「何を言っている?塚本君を呼ぶつもりじゃないのか、お前は?」
「いや、まあそれはそうだが…」
「ならば何も問題はあるまい。早く塚本君を誘え!そして八雲君も!」
「…って、それが目的か、お前は!!」
そう、現在は冬休み中である。当然、花井が八雲に会えることなどほとんどない。
結局は、テキトーな理由をつけて八雲に会いたいというだけで、雪合戦を企画した花井なのであった。
「…八雲君、この白銀の大地に佇むキミも、さぞ美しいのであろう…その姿はきっと、雪の妖精の如く…」
完全に妄想モードに入ってしまった花井にため息をつきながら、美琴は尋ねた。
「で?塚本姉妹以外のメンバーはどうするんだ?」
「ああ、八雲君以外のメンバーはお前にまかせる。誰でもいいぞ。」
「…あっそ。」
八雲以外は完全に眼中にない花井に、またもため息をつきつつ、周防は考える。
(さて、他に誰を呼ぶか…まぁ、だいたいはいつものメンバーでいいか。)
あらかたメンバーを頭の中でまとめた彼女は、連絡をとるため、携帯のメモリーを呼び出した。
そして…
358Winner On the Snow Field(前編):04/11/23 21:39 ID:0IdAntVw
「やっほー、ミコちゃーん!」
「おはようございます…」
「まったく…高校生にもなって雪合戦をするなんて…」
「…その割には楽しそうなんだけど、愛理?」
「あ、あの、私もお邪魔していいんでしょうか…?」
「雪合戦って、やるの初めてですー!」
「…オウ。(天満チャン…!防寒着もカワイすぎる…!来てよかったぜ!)」
「ミコチーン!!」
「…ったく、こんなクソ寒い中、なんで俺が…」
「………」
というわけで、メンバーがそろった。ちなみに説明すると、
女性陣は、塚本天満、塚本八雲、沢近愛理、高野晶、一条かれん、サラ・アディエマス、そして周防美琴。
男性陣は、播磨拳児、今鳥恭介、麻生広義、烏丸大路、発案者の花井春樹
というメンバーだ。
結局、美琴が最初に連絡した天満が、他のメンバーを決め、連絡をしたのだ。
メンバーに烏丸がいるのは、それ故である。
「で、メンバーは集まったけど…そーいえば、場所はどこでやるんだ、花井?」
「…あ。」
マヌケな声を出す花井。全員が集まるまで1時間以上かかったため、ウォーミングアップでかいた汗が仇となり、少し寒そうだ。
「…おい。まさか場所も決めてないんじゃないだろーな…?」
もしやと思い、声を掛ける美琴。メンバーも決めてなかった上に、場所もすらも決めていなかったら、アホだ、と思いながら。
「決めておらん!」
アホだった。
359Winner On the Snow Field(前編):04/11/23 21:40 ID:0IdAntVw
(コイツ、ホントに塚本の妹のことしか考えてなかったな…)
こんなのが幼馴染だと思うと美琴は、頭が痛くなってきた。
「ん〜、この辺りで、雪合戦に使える場所なんてあったかな?」
まさか学校や神社でやるわけにもいかないだろう。美琴は考えるが、この周辺に詳しい彼女でもいい場所が思い浮かばない。
「なーに、どうしたのよ?」
と、美琴と花井が話しているところに近寄ってきたのは沢近愛理だ。
「それが、このアホ、どこでやるのかも決めてなくてさー」
「僕は八雲君さえ見れればそれでいい!!」
アホ(花井)は完全に開きなおっている。
「はぁ〜、仕方ないわね…。なら、私のお父様が最近購入した土地があるんだけど、そこでやらない?まだ空き地だし、スペースは充分あるわよ。」
ため息をつきながら、彼女はそう提案した。
「そりゃ、沢近がいいってんなら、ありがたいけど…いいのか?勝手に使っちまって?」
いくら愛理の父の所有する土地とは言っても、さすがに無断で使うのはマズイのではないかと思った美琴だったが、
「構わないわよ。だってお父様が私に買ってくれた土地なんだから」
と、さらりとスゴイことを言ったのける彼女に、
(…やっぱスゲーお嬢だなー、こいつ)と思いつつ、場所を借りることを決めた美琴だった。
360Winner On the Snow Field(前編):04/11/23 21:40 ID:0IdAntVw

「うわー、広ーい!ここが愛理ちゃんのモノなんてすごすぎだよー!」
「それほどでもないわよ。まだ何を建てるのかも決まってないし。」
感嘆の声を上げる天満。他の人もかなり驚いているようだ。
まだほとんど未開発ということもあって、いい感じに障害物となる木が生い茂っていた。本格的なサバイバルゲームさえできそうだ。
「それより早く始めましょうよ。チーム分けとかはどーするの?」
メンバーは全部で12人。単純に分けるとすれば6人ずつになる。うまく分ける方法はないか、一同が考えていると、
「うぉー!!八雲君と僕はと一緒のチームだぞー!!!」
「あっ、メガネ、ずりーぞー!じゃー俺はミコチンと一緒がいい〜!ミコチ〜ン!!」
「なっ、テメーら、何を勝手に!(なら俺だって天満ちゃんと同じチームに…しかしそんなこと言えねーしなぁ…クソッ!)」
3馬鹿が騒ぎ出した。特に今回の発案者である花井の騒ぎっぷりは異常だ。
「うぉ〜!!!ヤクモ〜ン!!!!!」
一同が呆れて(美琴もツッコむのを諦めて)その光景を見ていると、八雲がおずおずと話しかけた。
「あ、あの…」
「ん?どうした八雲くん!も、もしや!キミからも僕と同じチームになりたいと…!?」
「い、いえ、そうではなく…私とサラは雪合戦はやらずに見学していますから…」
「!!??…な、なぜだ八雲君!?…ああ、あの野獣が怖いというのなら安心したまえ!僕がキミを守り抜いて見せるとも!!」
『あの野獣』のところで播磨を指差す花井だった。しかし、それに一瞬不快そうな表情を浮かべたあと、
「いえ、そうではなく、少しだけ風邪気味なので、運動は控えようかと…」
と八雲は答えた。
361Winner On the Snow Field(前編):04/11/23 21:41 ID:0IdAntVw
「むっ…そうか…僕としては残念だが、風邪気味ならば仕方がない…八雲君とサラ君は見学ということでいいんだな?」
「はいっ、八雲と一緒に見学してまーす!」
「はい。」
と2人は答えた。
「八雲君、安静にしながら僕の勇士を見ていてくれたまえ!サラ君、八雲君を頼んだぞ!」
単に花井がイヤだったので、仮病を使っただけなのであったが。
そんなこんなでいろいろあったが、やっとゲーム開始となるのであった。
チーム分けは、面倒だからという理由(筆者的にも)で、男子VS女子ということになった。
高野晶が発案した、頭部もしくは胴部に一撃くらったらアウト、チームの全員がやられたほうの負け、
負けたほうのチームは、勝ったほうのチームのメンバー全員の命令を1つだけきくという特殊ルールになった。
すでに雪合戦というよりは雪玉サバイバルゲームという雰囲気になっている。
ちなみにスクラン本編でも、似たようなサバゲーをやっているというツッコミはなしの方向で。
362Winner On the Snow Field(前編):04/11/23 21:42 ID:0IdAntVw
勝って烏丸くんと…!ウフフ〜♪)
(天満ちゃん…!キミと俺との幸せを勝ち取ってみせるぜ!)
(見ていてくれ、八雲君…キミに勝利を捧げよう!!)
(D♪D♪D♪)
(とりあえず、あのヒゲを倒してやるわ…!)
(今鳥さんとデートのために…が、がんばります!)
(…雪玉に石をいれるのは流石にマズいかしら…)
(とりあえず花井のバカを止めるか!)
(やるからには、本気でいくぜ…!)
(………カレー………)

準備は整った。八雲とサラが見守る中、戦士たちが各々の配置につく。
それぞれの思惑を胸に決戦の火蓋が、今、切って落とされた!

後編へつづく…かな…?