スクールランブルIF16【脳内補完】

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409SILVER BEARS
 中間試験が終わり、無事漫画の投稿を終えた播磨だったが、彼は早くも次回作の構想にふけっていた。
当然ながら、彼にとって唯一の協力者である、八雲と打ち合わせをする機会は多くなる。
だが、あまり金のない播磨にとって、喫茶店での打ち合わせは酷なものである。
屋上で打ち合わせという手もあったが、八雲の姉の天満を始め、
打ち合わせ現場が学校の人間に見つかる危険があるという事に、ようやく彼は気付いていた。

金欠の播磨の苦肉の策…それは、矢神神社での打ち合わせだった。
金はかからないし、学校からも近く、人気はあまりない…彼にとっては都合のいい場所だった。
彼にとって唯一気がかりだった事は、果たして八雲がこれで納得するのかどうか、だ。

 学校が終わり、すぐに二人は矢神神社に辿り着いた。
肝心の八雲の表情は…とても清々しいものだった。実際、空には雲一つなく、とても心地よい。
この時期の神社はとても過ごしやすいという事を初めて知った播磨。
だが、神社にいる先客達は、恐らく昔からこの事を知っていたのだろう。
床下でくつろぐ猫、木々の上で羽を休める鳥、その下で悠然と佇む熊――クマ。

清々しさの欠片もない厳つい表情で、播磨と八雲を見下ろす灰色の熊。その身長は、播磨をも上回っている。
睨み合う大熊と播磨。一歩後ろに下がり、顔を引きつらせる八雲。沈黙が、続いた。