スクールランブルIF14【脳内補完】

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660Point of a look -3
 『Point of a look -3』


 播磨がサングラスを外した日から一週間が経った。
 彼の部屋の目覚まし時計がやかましく鳴り響く。
 それを叩いて止めると、播磨拳児はむくりと起き上がった。
 彼はほとんど眠ったまま無意識のうちに着替えをすませ、部屋を出てふらふらとリビングに入っていく。
「おう。おはよう、拳児くん」
「おー……」
 大きなあくびをしながら、播磨は新聞を読んでいる絃子に返事をした。
「最近は寝坊しないな」
 視線は新聞に向けたまま絃子が言う。
「早く行かないと絃子が『私が出られない』って言うからだろうが」
「まあ、そう言うな。それよりもう時間なんじゃないか?」
 ばらりと音を立てて彼女は新聞をめくる。播磨はテーブルの上においてあったロールパンの袋からひとつだけパンを取り出した。
「わーってるって。あいつもあいつで少しでも遅れるとうっせえからな」
 彼はパンを急いで食べ終え、鞄をつかみ玄関に向かった。
 そしていつもの時間にドアを開けると、そこにはいつものように彼女が立っていた。
「ったく、やっぱりまたかよ」
「播磨君がちゃんと学校に来るって約束してくれればやめるわよ」
「嫌だっつってんだろ」
「あら、そう。ま、いいわ。行きましょ」
「おう」
 少しおかしな会話。しかし二人はそれでいいと思っている。
 心地良い時間であることは間違いなかった。わざわざそれを壊そうだなんて、二人とも無意識にすら考えなかった。
 そして播磨と愛理はバイクに乗り、いつものように学校に向かう。