ギャギャギャ 爆音を立てて、二人乗りのバイクが入ってくる。
ファサとヘルメットを脱ぐ女生徒・塚本八雲だった。
バイクを運転して来た男子生徒・播磨拳児と共に、テストに間に合うべく校舎に駆け込む。
そして、テスト終了の鐘と共に、二人で校舎から駆け出し、バイクで去って行った。
テスト2日目、3日目と同じ事を繰り返した二人。
播磨の家で新人賞に間に合わすべく、マンガの原稿を作成していた。
そして、テスト三日目の午後3時。ついに原稿が完成した。
「ヨッシャ! 完成だ!」
「玉稿…」
互いに完成を喜ぶ二人。
「あとは…出版社に届けるだけですね」
「ありがとよ、これも妹さんのおかげだ!」
「行ってくるぜ!」バッと身を翻し、元気に出かける播磨だった。
電車に乗り、徹夜の疲れからか、眠ってしまった播磨。
気が付けば、乗ったはずの矢神駅に停車した。
終電まで寝ていたのだが、本人はなぜ?としか思えなかった。
しかし、ここで考えている暇は無い。今日が締め切りなのだから。
電車はもう無い。播磨はバイクで原稿を届けるしかなかった。
ちくしょう、ちっくしょうと泣きそうになりながら、バイクを飛ばす播磨だった。