『I don't say』
ハリマ☆ハリオこと播磨拳児の漫画は無事完成し、談講社の新人賞に投稿された。結果が出るのはまだ先だろう。
しかし、播磨にとってはその結果よりも――もちろんそれも重要だが――大切なことがあった。
それは『誓い』である。
漫画を描き終えたら塚本天満に自分の想いを告げるという誓い。
だいたいにして、そんな誓いを立てないと告白できないこと自体少し情けないのかもしれないが、彼にはきっかけが必要だった。
その豪快なみかけとは裏腹に、彼は非常にシャイなのである。
いや、まあ一番の問題は天満の鈍感さにあるのであるが……。
幾度も告白を決意して、そのことごとくを――もはや芸術的と言えるまでに――スルーされている。
完全にフラれてないだけ良いのかもしれないが、塚本天満という名の鈍感王は他者からの想いには特に鈍かった。
しかしそれは、播磨拳児にも同じことが言えるのかもしれない。