スクールランブルIF14【脳内補完】

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233If...fire red
「あ、ここ。10番を貼ってくれ」
「あ、ハイ」
 夜の空に走った稲妻、轟く雷鳴、降り始めた雨。カーテンを開け放したままの窓から見える外の
闇と光の競演に、一瞬、気を取られていた八雲は、播磨の声に再び作業に戻った。

 If... Fire Red

 ぐう。
 唐突に、播磨の腹が鳴った。
「腹、減ったな……」
「あ……そうですね」
 苦笑交じりに言う播磨に、八雲は微笑を返す。
 考えてみれば夕方、学校から直接、播磨邸に来て以降、二人とも何も口にしていない。お腹も減
ろうというものだ。
「ハイ。晩飯」
「…………」
 ゴソゴソと播磨が取り出してきたのは、ビーフジャーキーだった。思わず八雲は、その場に固ま
ってしまう。日頃から塚本家の家事全般を取り仕切る彼女にとって、その言葉は冗談にしか思えな
かったのだが、しかし、どうやら彼は本気のようだ。
「ワリーな、こんなんしかなくて。でも美味いぜ」
「……………………」
 もりもりとそれを食べる姿に、一瞬、眩暈を覚えるが、すぐに気を取り直す。
「あの……何か作りましょうか」
「え!?作れるの!?」
 カップラーメンないぞ!?と続ける播磨に、八雲は普段の彼の食生活の一端を垣間見た気がした。
そして思う。よくこれで、ここまで大きく、強くなれたものだ、と。
「えっと……もうすこし栄養のあるものを……」
 せめて出来合いのものでない何かを作ってあげたい、そう思って八雲は立ち上がり、キッチンへ
と向かう。
「冷蔵庫、お借りします」
 サスガ天満ちゃんの妹さん……出来た妹さんだぜ!
 背中の向こうで播磨がそんなことを思っているとは知らぬまま、彼女は冷蔵庫を開けた。