播磨拳児と塚本八雲が付き合っているという噂。
それは事実とは関係なくとも、本人や周りの人達へと波紋を広げていく。
迷い、困惑、決意、様々な思いを飲み込みながら。
播磨拳児
「俺と妹さんが付き合ってる……か」
呟き、そして苦笑する。
この前まではお嬢で、今度は妹さんか。
正直周りの意見など関係なかった。自分が本当に好きなのは天満ちゃんただ一人なのだから。
だからといって放っておくわけにもいかない。
妹さんにも迷惑がかかるだろうし、それに天満ちゃんにこれ以上勘違いされるのも困る。
この前本人から直接応援してるぞと言われた時、目の前が暗くなった。
フラれたと思い、絶望の淵に立たされた罪人のような気分だった。
だけど、自分はまだ何も言っていないし、何もしていない。
このままでは当然終われないし、自分自身納得できない。
「俺も、ケジメをつけないといけないのかもな」
自分に言い聞かせるように口に出す。
流されるままになっているだけではいけない。
告白をしたとして、断られたらどうする? という不安ももちろんあるし、
恥ずかしさや怯えから、迷ってしまう事もある。
それでも、立ち止まってはいられない。
想像するだけで震えてしまう手を握り締めて、気持ちを奮い立たせる。
自分自身を見失わずに貫き通す。