スクールランブルIF12【脳内補完】

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86Fragile Heart 〜壊れゆく心〜
 次の日、彼女は久しぶりに早く起きた。
「行かなきゃ……」
 そして彼女は部屋を出た。全てに決着をつけるために。

              Fragile Heart 〜壊れゆく心〜

 ザッザッザッ
 愛理は自宅に完備してあるクレー射撃場にへと足を運んだ。
「まずはクレーを手に入れないと」
 クレー射撃場の備品置き室に赴き、愛理は持てるだけクレーを手に取り射撃場に一番近い部屋にへと運んだ。

「さてと……」
 キュポッ
 彼女はマジックを取り出しキャップを開けた。
「あいつの顔か……」
 憎いあいつ、悩みの元凶たる男の姿を思い浮かべた。
「あいつと言えばやっぱ髭とサングラスよね」
 その髭は彼女が切ってしまったが。
 いや完全に剃ったのは彼自身だ。それも愛理の意見ではなく天満と美琴の意見を聞いてだ。
「ギリッ」
 無意識に彼女は歯軋りをした。
 何で私ではなくあの子達の意見を聞いて髭を剃ったのだろう? 私の意見は聞きたく無かったからかしら。
 そう考えて彼女の気持ちは暗く沈んだ。
「あー、もう。余計なことは考えないで作業に没頭しなきゃ」
 愛理は軽く頭を振りクレーを一つ取ると彼女を苦しめ続けている男、播磨の顔を描き始めた。
 キュー、キュッ
「うん、上出来」
 播磨の間抜け面を上手く書くことが出来、愛理はくすりと笑った。
「……ふぅー、播磨君の絵か」
 思えばこれが彼を描く初めてのことだった。
 キュ、キュ、キュ
 けれどモデルがいなくても播磨の絵を描くことは、彼女にとって容易だった。