スクールランブルIF12【脳内補完】

このエントリーをはてなブックマークに追加
496Reconstruction
「そんな、分かってくれたらいいよ」
 そう言った八雲の目の前には、テーブルに額をつけるようにして頭を下げているサラの姿。そこまで
されると逆に申し訳なくなってしまうものの、なかなか彼女はやめようとしない。
「サラ……」
 普段はその気性から自分が下手に回ることの多い八雲、こういう事態にはとことん弱い。どうしよう、
と思わず溜息が出てしまう。
 さて、事の起こりは――と言えば、それほど大したことでもない。件の『噂』が流れ出して以来、
好奇の視線にさらされることの多い八雲。幾度となくその誤解を解こうとしたものの、拳児と二人で
会っているのは紛れもなく事実。そしてその理由は話せないとなれば、年頃の男女が『そういう関係』を
連想するのは致し方ないところ。
 そんな風にして一人歩きを続ける噂に、いけないと思いながらもどうにも出来なかった八雲。そこに
かけられたのが、後で話があるから部室に来てくれないかな、というサラの声。どこにいても微妙な
居心地の悪さを感じ取っていた彼女が、その真剣な表情に久々に足を向けた部室。そこで待っていたのが
サラによる謝罪だった――というわけである。
「……ホントに許してくれる?」
「許すとか許さないとか、そういう問題じゃ……」
 とにかくもういいから、という八雲の言葉に、ようやく恐る恐るながらも顔を上げるサラ。申し訳なさ
そうながらも、そこにいつもの表情があるのを見て少し安心する八雲。
「ダメだね、私。八雲のことなら一番分かってる、なんて思いこんでて迷惑かけてばっかり」
「そんなことないよ。サラはいつも私のこと見ててくれるし、」
「……でも今回はそうじゃない、よね?」
 その切り返しに言葉に詰まる八雲。確かに今回の件は少し――否、とても困ったのは事実。
「……うん」
「ね。そういうときはちゃんと言わないとダメだよ……って、私が言う台詞じゃないけど」
 あはは、とそこでようやく小さく笑顔を見せて、私嬉しかったんだ、とサラは続ける。