スクールランブルIF12【脳内補完】

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337Classical名無しさん
 月曜日の朝。それは、社会人にとっては、憂鬱な一週間の始まりであり、
また、学生にとっても、次の土曜が非常に待ち遠しくなってしまう、そんな時である。
「拳児クン、朝だぞ。そろそろ起きないと、遅刻するよ」
 すっかり身支度を整えてしまった絃子は、いつまでたっても起きてこない自分の同居人に、
半ば呆れたかのように、声をかけていた。
 時計をみると、時刻は7時半。高校までの距離や、交通にかかる時間などを考えると、
そろそろタイムリミットである。
 絃子は、声をかけても起きようとしない播磨を見ると、一つため息をついた。
 そして、播磨の布団の横にひざまずくと、ゆさゆさと体をゆする。
「拳児クン、いい加減起きないか。本当に遅刻してしまうぞ」
 だが、一方の播磨は、全く起きる気配もなく、だらしなく開いた口の端からは、
一筋のよだれの後がついていた。
「へへへ〜……天満ちゃ〜ん……」
 播磨の口から、情けない寝言がこぼれる。
 それを聞いた絃子は、再び大きなため息をつくのだった。
「やれやれ、一体どんな夢を見ているのやら」
 絃子は、しばらくじっと播磨の寝顔を見ていた。
 いつもはサングラスをかけているその顔も、今はなにも付けてない。
 目に映るのは、何も付けてない、素顔のままの播磨拳児の顔。
「──そういえば、昔、拳児クンが私の家に遊びに来て、そのまま寝てしまったことがあったな」
 あどけない、と言うのは少々言い過ぎなのかもしれない。
だが、他人からほんの少しばかり誤解されやすい、
自分の同居人の無邪気な寝顔を見ると、ふと絃子の心に、そんな昔のことが思い出されるのだった