その日は、中間テストの初日だった。 HRを終わらせ、帰途につく。
ビールとポテトチップスでTVを見ていると、同居人の帰宅の声。
「オゥ 拳児君 早かったな」 そう言って振り返ると、そこには同居人と自分のクラスの生徒の姿があった。
その光景に、絶句する。 その間に同居人は、生徒を連れて自室に篭ってしまった。
(あのコは間違いなく塚本八雲。 でも何で拳児君と一緒に? そもそも何故ウチに?)
様々な疑念が頭をよぎる。 何とか落ち着こうと同僚に電話するも、上手く伝えられない。
(落ち着け、落ち着け…) そう念じながらビールを飲み干し、次の缶へ。
今ごろ、何をやっているのだろうか? もしかして… いや、彼は塚本君一筋なはず… でも…
上手く状況が理解出来ない。 いつの間にか、飲み干したビールは5本を超えていた。
ふと、閃いた。 見えないから解からないのだと。
部屋に来るなと言われたが、関係ない。 私は彼の保護者なのだ。
保護者として、状況を確認するんだ。 それなら問題ない。
そう自分に言い聞かせて、彼の部屋をノックした。
「拳児君、入るよ」 そこにあったのは…