スクールランブルIF12【脳内補完】

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146The Heart Is a Lonely Hunter(1)
心を入れ替えて、漫画に打ち込む播磨。
そして、助言することで、
それを側面から支える存在となった八雲。
二人の絆は日を追う毎に、ますます強くなっていった。
そして、漫画の打ち合わせのために二人が会う回数も・・・
最初はそ知らぬ顔をして冷ややかに見ていた沢近も、
いつしか、心の奥底に、鬱屈した思いを貯めこむようになっていた。

そうして、ついにある日・・・!

播磨は、信じがたい光景を目の当たりにした。
屋上で、沢近が、怒にかられて、
八雲を打擲(ちょうちゃく)しているという。
あの、プライドの高い沢近が、このような取り乱した挙に出ようとは!
「・・・おい、お嬢!いいかげんにしろや!!」
あまりの事に止めに入った播磨、
なおも八雲を殴ろうとする沢近の手を掴む。
葛折れる八雲。
その時、播磨の顔は硬直した。
「・・・お嬢・・・」
沢近は、目に涙を溢れさせていた。
そのまま、播磨の手を振りほどいて泣きながら走り去る沢近。
呆然として、その後姿を見つめる播磨・・・
147The Heart Is a Lonely Hunter(2):04/08/16 20:56 ID:tGnRFS8o
その日の夜、絃子&播磨の家・・・
(・・・何だ、あれ。・・・)
播磨は一人、部屋で頭をかかえていた。
(キレるは、泣き出すは・・・ワケワカンネー・・・)
その時、播磨は、八雲を叩く沢近の手を掴んで止めた光景を頭に浮かべた。
(意外に細かったな・・・お嬢の手・・・
・・・すげー体も細くて、触ったら折れそうで・・・───はっ!)
そこまで、考えが及んだ時、播磨は天満の事に気づいた。
「───いかんいかんいかん!俺は天満ちゃん一筋・・・」
おもわず声に出して叫んだものだから、不意に播磨は絃子に枕をぶつけられた。
「───何が、一筋なんだい?ケンジ君・・・ん?」
「───!!?!」
動揺しまくる播磨。
「───ふ〜〜〜ん・・・」
ニヤニヤ笑う絃子。
「・・・心境の、変化か?」
「───絃子にはカンケーねーだろ!」
図星さされた播磨、顔を真っ赤にして絃子を部屋から追い出す。

(───塚本君一筋だと思っていたがな・・・なかなか興味深いな・・・)
絃子は、そう思って、ニヤリと笑った・・・
148The Heart Is a Lonely Hunter(3):04/08/16 20:57 ID:tGnRFS8o
翌日、学校の屋上───

「───何よ?」
沢近は、昨日の八雲の件で播磨に呼び出されていた。
「───お嬢・・・」
播磨は、屋上のフェンスにもたれかかり、沢近に背を向けたまま、話し始める。
「・・・」
「───泣かしたのは謝る。・・・だがな、何があったのか知らんが、
妹さんにあの仕打ちはないだろ・・・」
「・・・」
「妹さん、泣いてたぜ・・・人前で・・・」
「・・・」
沢近の反応は無い。
「・・・おい、」
「・・・」
「・・・おい、聞いてるのか?」
「・・・そんなの知らない・・・」
「・・・今、何て言った?」
「───そんなの、私の知ったことじゃないって言ったのよ!!!」
あまりのことに目を向く播磨。
顔面に朱を注ぎ、沢近の方に歩み寄る。
「・・・おい、いいかげんにしろよ・・・」
「何よ?」
凄む播磨に対し、沢近も一歩も引かず、歩み寄る。
昨日、播磨の脳裏に焼きついた、
ほっそりとした顔、透き通るように白く細い首筋が播磨の眼前に迫った。
女性特有の甘い香りが、播磨の鼻腔をくすぐる・・・
突き抜けるような憤りにもかかわらず、一瞬播磨はドキッとした。
それに沢近が感づいたかどうかはわからない。
ただ、沢近が播磨の首の後ろに手を回した・・・と思ったときは遅かった。
豹のような素早さで、沢近は、播磨の唇を奪っていた・・・
149The Heart Is a Lonely Hunter(4):04/08/16 20:58 ID:tGnRFS8o
日曜日、動物園・・・
播磨は、ピョートル(キリン)のいるキリン飼育舎の前で、ひとりごちていた。
「女って訳わからんよな・・・なあ・・・」
播磨は学校の屋上での光景を思い浮かべていた。
150The Heart Is a Lonely Hunter(5):04/08/16 20:59 ID:tGnRFS8o
いきなり、唇を沢近に塞がれた播磨。
(───おい、お嬢!!!)
すっかり動転した播磨は叫ぼうとするが、言葉にならない。
播磨の首の後ろに回った沢近の手に力がこもり、
沢近の唇は、しっかりと播磨の唇を塞いでて離れない。
「・・・ん・・・ううん・・・」
そんな播磨に一切構わず、沢近は興奮して、唇をゆっくりと味わっている。
自分の唇で播磨の唇を包み込むようにして、ゆっくりと、ゆっくりと・・・
そんな事をしている内に、播磨はバランスを崩し、沢近に押し倒される形になる。
「・・・ん・・・んん・・・」
それでも、沢近は、唇を離さない。
播磨の眼前にある沢近の顔はすっかり上気して、赤く染まっているのが分かる。
唇を通して伝わってくる吐息は、いつしか、熱を帯びていた。
播磨が抵抗しないと見るや、唇だけの愛撫を止め、
舌先を播磨の口内に入れて、かき回し始めた。
「・・・ん・・・あふ・・・」
沢近の柔らかい唇は唾液を含んで播磨の唇にまとわりつき、
制服ごしに押し付けられる沢近の胸は柔らかく変形し、
甘い香りが播磨の鼻腔に容赦無く侵入する・・・
播磨は脳が沸騰したかのように、何も考えられなくなった・・・
いつのまにか、播磨の方からも、沢近の細く、柔らかい肢体を抱きしめていた。
二人はもつれ合い、固く抱き合ったまま、お互いがお互いの唇を味わい尽くす・・・
そういう光景が、屋上で展開した。
数分間、そうしていただろうか・・・
不意に播磨はドンッと突き離された。
「・・・ハァ・・・ハァ・・・」
沢近は、興奮して顔を真っ赤にして、大きく息をつく。
お互いの唾液でまみれた口を手でぬぐう。
「・・・アンタが、悪いのよ・・・」
そうつぶやくと、沢近は、脱兎の如く、屋上を後にした。
入口のドアが(バンッ!!)とすごい勢いで閉められた。
屋上には、ただ一人、播磨が残された・・・
151The Heart Is a Lonely Hunter(6):04/08/16 21:00 ID:tGnRFS8o
「・・・はぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
再び、場面は、日曜日の動物園・・・
ピョートルの前で、深いため息をつく播磨。
「───あ、ハリオォ!」
不意に、後ろから、呼びかけられる播磨。

振りかえってみると、
そこには、「お姉さん」姉ヶ崎先生が立っていた。