スクールランブルIF12【脳内補完】

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133THE BLACK CAT
 夏休みも半ばに入った。播磨拳児は今日もエアコン修理のアルバイトに明け暮れていた。
現役の高校生ともあれば、何かと金は必要だ。
まして彼は同居している従姉弟と家賃を半分ずつ負担している。これが彼の財政を圧迫する。
おまけに、彼は漫画を描いている。
漫画を描くのに必要なトーンやペンなどの金額は馬鹿にならないのだ。
最初は作業に慣れず職場の人間に迷惑をかけていた彼も、いつしかきちんと仕事をこなせるまでになった。

 今日も強い日差しが照りつける。これで真夏日は何日続いたのだろうか。
今日の仕事場はごく普通の一軒屋だ。なんでもエアコンをほうきで叩いて壊してしまったらしい。
上司の説明を程々に聞きながら播磨は窓の外を眺める。
猛暑の原因たる日光が容赦無く差し込んでくるが、サングラスの彼には何ら問題はない。
冷房の効いた車で現地に向かう。これから暑い仕事が待っているのだから、今涼んでおかねばならない。

 車が現地に到達する。エンジンを切ると、エアコンの送風が止まる。
播磨は作業着とセットの帽子を被り、助手席のドアを開けた。
上司の後を追い、播磨が荷物を抱えて小走りに玄関に向かう。
標札には、『塚本』と書かれていた。