山登り編第3話 おおぼけ!!初デートの巻(前編)
幸せの朝がやってきた。
山登りの人生でこれほど祝福された朝、感謝した朝はなかったであろう。
今日だけは山登りは世界で1番幸せな男なのだ…初デート。
抑えきれない興奮の中、山登りは着替えをはじめた。
が、手を伸ばした先になーい!服がないのである。
慌てて部屋中を捜す山登り。
やはりない…ハッっと思い洗濯機を覗く山登り.…
そこにはきれいに洗われた彼の服が…。山登りはパニックに陥った
家に帰ったら数えてみよ。
途中からかちゅ〜しゃ導入だけど。。
さて、俺もそろそろ行かなければ。。
どうする?ガスコンロであぶるか?いや燃えてしまう!
振り回すか?いや乾かない!
踊ってみるか?いや解決にならない…そうだドライヤーだ!!
近くのコインランドリーに行くことに気づかず、山登りは必死で服を乾かした。
時間は刻々とすぎてゆく.…もう山登りの中に時間を見るような余裕はなかった。
早く乾け、かわいてくれ!!必死である。
結局、生乾きの服を無理やり着て家を飛び出す山登り。
このときほど雨に感謝したことはなかった。
駅前の待ち合わせの場所に全力疾走でついた山登りを待っていたのは、
水の妖精かと疑うほど光り輝いたフルートの私服姿だった。
ひたすら謝りながらもまぶしすぎて目があわせられない山登りにフルートはこう言った。
「だいじょうぶだよ、そんな待ってないから、それより今日はどこいく?」
ああっまさに救われる思いであった。山登りはまず彼女をペットショップへ連れて行った。
いろいろな動物に喜ぶフルート。
それを見た山登りはいいところをみせようとフェレットについての知識を語り始めた。
あたかも自分はフェレットのエキスパートのように。
ムツゴロウさんの気持ちを存分に味わった山登りは調子に乗りフェレットの檻へ指を入れた。
その時!おっとりと見えるフェレットが山登りの指に噛み付いたのである。
あまりの激痛に声が漏れそうになる山登り!
必死でフェレットをはがしたときには指にはちいさな穴があいていた。
この時山登りは指をライオンに食べられたムツゴロウさんの気持ちがわかったという。
ペットショップを後にし、2人は昼食を取ることにきめた。
近くのスパゲティー屋にいき、ナポリタンをほおばる山登り。
そんなトマトで口の周りを汚した山登りと
ぺペロンチーノを綺麗にスプーンとフォークをつかって食べていくフルート。
まさに美女と野獣の光景であった。
そんななか山登りの指を気にするフルート。
そんな彼女を安心させるために、月山の熊の話しを山登りは始めた。
熊はフェレットなんかよりはるかに凶暴なこと、
死んだふりなんかは絶対してはいけないこと、
どんな風に熊が人を襲うのか。
だんだんとエスカレートしていく話しに山登り自身が熊の真似をしてみせたほどであった。
その話しのクライマックス、熊が大口を開けて人にかぶりつく様子を
トマトで口を赤くした山登りがまねをしたその時!
ピュッ!差し歯が飛んだのである。
ボーイスカウトで折ってしまった歯、せっかく治した差し歯が飛んでしまったのである。
真っ青になる山登り!しまった調子に乗りすぎた!大爆笑するフルート、
顔を赤くさせながら山登りはレストランを後にしたのである。