>>487 学校までは、そう遠くない。のそりのそり歩いて五分というところか。
だいたい、アパートを選ぶ基準が『学校に近かったから』という、なんとも安直でぞんざいな理由だったからなぁ・・・
我ながらイイカゲンな男だ。
学校までの道のりに一つの古い煙草店がある。いつのまにか、そこで作業をこなすのが日課になっていた。
まず、銀色のコインを『ワン、ツー、スリー』の掛け声とともに放りこむ。
その後、左下のボタンを押す。
おつりは出てこない。値段ちょっきりに入れるのが唯一のこだわり。
・・・・・別にたいした事ではないが、まぁ、俺にとってラジオ体操のようなものだ。
以前に、淡々とした作業に飽きて、目をつぶってボタンを押す遊びを試してみた事があるが、
取り出し口からハイライトが顔を出して以来、やめた。
なんというか、性にあわないのだ。あれは。
今にして思えば、危険な遊びに手を出したものだと後悔している。