妄想の果てに・・・

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23:32
エレベーターの扉が閉まっても、名無しは、しばらく目的の階のボタンを
押せずにいた。名無しは考えていた。
「この時間に社長室いないとなると…。
 地下のバーか…。寝る前に一杯というところだな。」
名無しはB1のボタンを押した。
エレベーターは目的の階を目指し、ゆっくりと動き出した。
途中止まる事もなく、エレベーターはB1に到着した。
名無しはエレベーターを降り、目的のバーへと歩き出した。

送れる事、数分、黒服の男がエレベーターから降りた。
そして、名無しと同じ歩みを辿り、バーへと向かっていった。

「恐らく、ここにいるはずだ。」
名無しはバーのドアを押した。
…カラン
「いらっしゃいませ」
落着いたバーテンダーの声が、洒落た店内のジャズに溶け込む。
店内はテーブル席が3つと、カウンターが約10席ほどあり
目的の西村はカウンターの真中あたりに座っていた。
その左隣には削除屋が座っていた。カウンターには、その二人しかいなかった。
テーブル席には、一時の憩いの時間を過ごすプロ固定が数人いた。
「やあ、西村さん。お久しぶりです。『プロ名無し』です。」
名無しは西村の右側、入口側の席に腰をかけた。