妄想の果てに・・・

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「俺もさすがに強制送還されてからは、迂闊な発言ができなくなった。
 その頃からだ。
 プロ固定のレス内容が、いちいちチェックされるようになったのは。
 プロ固定のレスっていうのはな、すべてデータベースに落ちるように
 なってるんだよ。誰が、いつ、何を発言したかってのは
 ひろゆきの側近がそのデータベースを毎日チェックしてるから
 迂闊な事は書けないってわけだ。
 お前が寺社仏閣板に回されたのは、そのせいだ。
 ……俺はな、ここに連れ戻された時から、ここを潰す計画をずっと
 考えていたんだよ。ただ、さすがに一人では実行に移せなくてな。
 お前のさっきの話を耳にして、カミングアウトしたってわけさ。」
あれだけ無表情だった名無しは、今では笑みさえこぼすようになっていた。
「そうだったのか…。お前がプロ固定の話を流した男だったとは。
 なら話は早い。俺は地下のあの部屋での異常な実験を見て
 ここを絶対に潰してやろうと決心していた。
 俺と二人でここを潰そう。こんな掲示板はなくなったほうが
 世のためだ。素人はみんな騙されてるんだ。表面上だけの2ちゃんねるに。
 被害が大きくならないうちに、早く消滅させるべきだ。」
俺は興奮して名無しに語りかけていた。
「まあ、そう焦るな、餅よ。相変わらず血気盛んなヤツだ。
 色々と俺も考えていた計画もある。すでに準備してる事もあるのだ。
 事は慎重に進めないとな。
 と言っても、お前のしでかした地下の惨劇がバレルのもすぐだろうから
 早急に動かねばならんな。
 よし、まず俺の部屋に移動しよう。見せたい物もあるしな。」
俺と名無しは立ち上がり、『ラウンジ』を後にした。
そして『ラウンジ』は、初めて、誰一人プロ固定のいない一晩を迎えた。