妄想の果てに・・・

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俺は立ちあがり、まろんを抱きかかえ、手術台に向かって歩き出した。
そして、手術台に乗っている『まろん』にその猫をそっと乗せた。
「自分の体だよ……。もうゆっくり休んでいいんだよ……。」
まろんを見つめながら、俺は赤い涙を流していた。
何故泣いているのか、自分でもわからなかった。
「まろん、さよなら……。」

冷静さを取り戻した俺は、近くにあったタオルで血染めの顔を拭いた。
「この館を滅ぼさねばならない。」
今、頭にあるのはそれしかなかった。
キムの胸元からカードキーを取り出し、難なくドアを開け
俺はその忌まわしい部屋を後にした。