妄想の果てに・・・

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静寂を破るように響くインターホンの音。
「・・・どなたかいらっしゃいませんか!ホームページはどうなったんですか!」
インターホンを何度鳴らしても、中から人の出てくる様子は無い。
何時間が過ぎただろうか。
固く閉ざされたカードキーの向こうを覗うことはできない。
だがどうしても帰るわけには行かない。
ホームページの草稿もまとまらないままに音信不通となった東京アクセス。
無常にも時が消し去っていく足取りを追ってようやくこの場所をつきとめたのだ。
足は苛立ちを隠せずにいた。

気象予報士が指摘していた通りに西からの低気圧が雨雲を呼び、
大粒の雨が降り注ぐ。
いつしかインターホンを鳴らすことをやめ無言となり、
辺りには激しい雨音が響くのみとなった。
黒羽の濡れガラスは一言呟き、背中を向けた。
「暴いてやるさ。この『館』に潜む謀略をな・・・。」