黄泉の国より孤独だよ

このエントリーをはてなブックマークに追加
1622世紀を目指す名無しさん
こんにちは、皆さん。1の生き別れの弟です。ああ兄さんやっと会えるんだね僕は本当に
嬉しいよ。
僕と兄さんは子供の頃に家庭の事情で離れ離れになってしまい、僕はこの年まで親戚の家
で育てられたのですが、この度ようやく会える算段になったのです。
ああ、兄さん。夢にまで見た兄さん。一体どんな姿をしているんだろう。きっと僕なんて
比べ物にならないくらい強くて格好いいんだろうな。僕は胸踊りながら兄さんの家を訪ね
た。久しぶりに会った母さんは眩しいばかりの笑顔で僕を迎えてくれたが以前会った時と
比べると白髪が増えたように思うのは気のせいだろうか?
母との邂逅後、僕はついに兄さんの部屋の前に来る。ああ、兄さん。僕はもう待ちきれな
いよ。ノックもせずに踊りこみ僕は目の前に座っている人物に声を掛ける。
「兄さん! 僕だよ、聡だよ!」
「(∴)◎д◎(∴)ハァ?」
だが僕の目の前に座っていたのは想像を絶した脂肪と鼻をつく臭気をまとう謎の怪生物だ
った。
「…な、何だお前は! 兄さんを何処にやった!? そうか! きっとお前が食ってしま
ったんだな! ちきしょうッ! 兄さんを返せーーーーーッ!」
僕はそう叫ぶと同時に目の前の化け物に猛然と殴り掛かっていった。さいわい兄さんに負
けないようにと鍛えに鍛えた肉体とあらゆる格闘技を見につけていたおかげで目の前の化
け物はモノの五分ともたずにボロ雑巾のように朽ち果てた。
「兄さんやったよ! 化け物をやっつけたよ! でももう兄さんはいない…。ああ、兄さ
ん…にいさーーーーーーーーーーーーーーーーーーんッ!!」
僕は大粒の涙を零しながら怪しい本やビデオにまみれた部屋の中心で悲しみの咆哮をあげ
る。窓の向こうに映る夕焼けがそんな僕を哀れむように優しい光を放っていた…。