こわいコピペきぼんぬ

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311nanasi
「みんなが嫌いなあの虫のお話(前編)」

ほとんど誰もがそうだろうけど、やっぱりゴキブリは好きじゃないだろう。
こんなに嫌われているのに、なぜかチャバネ君は執拗にわれわれにつきまとう。
なぜかいて欲しくないところにわざわざいたりするから、ますます嫌われるのだ。
そのことをチャバネ君は知っているのだろうか。

みんなが知らないだけで、実は昼食を外食ですますサラリーマンは
年間で必ず何匹かのチャバネ君を口にしているというもっともらしいデータもある。
飲食店で働いたことのある方なら何となく分かるだろうけど、
こういう店舗にいるチャバネ君の数は尋常ではない。
毎日必ず見かけるといってもよい。
ゴキブリが皆無の飲食店なんかがあるとしたら、それは殺虫剤の使いすぎのはずだから
かえって用心した方がいいのかもね。
ま、だからゴキブリが入ったものを出されても寛容の心が必要かもしれないのだ。
(いいのか、こんなこといって。)

いままでいちばん笑ったのが、成田の方にあった某ファミレスである。
仕事の途中で昼飯を食うために、上司とともに寄ったところだ。
ハンバーグランチセットかなんかをたのんで待っていた。
このセットにはサラダが付くらしい。
サラダバーというヤツで、器に自分で盛り放題にもってこられるというあれである。
で、しばらく待っているとウェイトレスのお姉さんがやってきて、
「こちらサラダバーのボールでございます!」
にこやかに、トンと器をテーブルに置いた。
その瞬間に、中から飛び出したのがチャバネ君だ。
そのまま元気よくサラダボールからはい出すと、テーブルを横切ってどこかへと遁走してしまった。
わたしの上司と、わたしと、そしてウェイトレスのお姉さんはこおりついたまま、彼を見送った。
とくにお姉さんは笑顔がまだ半分くらい顔にはりついたまま。
ようやく姿が見えなくなった頃、
「お取り替えいたします。」とお姉さんは、ボールを持って引っ込んでいった。
しばらくの後、新たなボールがテーブルに運ばれてきたが
それがきちんと新しいものだったかどうかは定かではない。
凍り付いたままのわたしと上司が
そのあとその器でたらふくサラダを喰らったことはいうまでもない。
だって、腹減っていたんだもの。

かくも、ゴキブリは容易にわれわれの食卓へと忍び込む。
そして何でこんなところにっていうところにまでやってきたりする。

以前バイトで勤めていたおもちゃ屋にしてもそうだった。
ちょっとした規模のテナントビルに入っていたそこそこの規模のおもちゃ屋でわたしはバイトをしていた。
この職場にもやはりチャバネ君はちょくちょく顔を出した。
あまり顔を見たくないオタクのお客、A君よりも頻繁にみかけたほど。
もちろんテナントの入った百貨店のようなビルなので
飲食店がけっこうな数入っている。
ただ、そういった飲食店街とは階も違うし、あまり食い物になりそうな食物もないのに
彼らは、毎日のように顔を出してきた。
ゆったりと店内を横切っていったり、
店内の子供のこぼしたソフトクリームのシミを舐めていたり、
天井から見下ろしていたり、まあ、好き放題やってくれていた。
そんな職場だったから、わたしが被害にあったのも当然のことだったのかも知れない。

下の階にある喫茶店から出前でアイスコーヒーをたのんだのだ。
店のおごりだからうれしかったね。
で、ちびちび飲みながら仕事してたんだが、
半分飲んだところで、ふとコップの中を見ると
なにやらアイスコーヒーには見かけないものが入っている。
とげとげのある細長いもの。
茶色くてつやつやした羽ね?、ん、なんだ??
これは昆虫ではないか???
いやなものが背筋を走る。
氷をどけてコップの底をのぞいてみると、
果たしてチャバネ君だ。

このときは別に対した動揺もしなかったのだけど、
なんか腹下したりあたったりしたらやだなあと思って
トイレでアイスコーヒー、全部吐き出しました。
最初っから彼がコップの中に潜んでたのか、
わたしが飲んでいる途中に入り込んでコーヒーの海におぼれたのかは定かではない。
ただ、氷の下にいたからには最初っからいたんじゃないかなあと思う。
ふつうなら文句いってしかるべき件だが、
只のコーヒーの上、喫茶店といってもわたしの勤めるところと同族経営の店。
うーむ、精一杯に笑顔を作って平静を装ったわたしでした。

で、この身にたぎるアドレナリンのやり場をもとめ、
わたしは復讐を誓ったのである・・・。