30 :
ID付き名無しさん :
「あ、あの……もしや、みるみるさんですか?」
「あ、はいそうです」
「……、男の人だったんですね。初めまして。」
「どうも」
「意外性があるっていうか、なんか嬉しいです」
「ありがとうございます。」
二人、いい雰囲気で新宿2丁目の公園の方へ向かう。
「あの」
「はい」
「メールの名前が番号ですけど、ハンドルとかお持ちになっているんですか?」
「ええ」
「どんなハンドルですか?」
「アイディーつきななしさん、です」
「え?・・・、あ、IT革命?尽きた意味なし?」
「ID付き名無しさん、IDとは、安いクラブで腕に押されるスタンプみたいなもんです。
一回落ちちゃうと新しいものに変わりますが。まあ、一回きりの会員番号ですね」
「はあ……」
「みるみるさんは、普段なにをしてらっしゃるんですか?」
「厨房」
「……え?」
「厨房って? あの、レストラン何かにお勤めですか?」
「いや、いまのはネタです。」
「はぁ……」
「あ、そうだ、ファミリーリストラソってどうよ?」
「え?」
「ファミレソってどうよ?」
「どうしたんですか、急に。曲でも浮かびましたか?」
「sage」
「……」
「食事でも行きましょう、ってことです」
「……はぁ」