ひろゆきとあめ象

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1屁理ッ窟
第一日曜

 ひろゆきときたら大したもんだ。レス扱き器械の六台も据えつけて、のんのん
のんのんのんのんと、大そろしない音をたててやっている。
 八拾人の削除屋どもが、顔をまるっきりまっ赤にして足で踏んで
機械をまわし、小山のように積まれたレスを片っ端から扱いて行く。
レスはどんどんうしろの方へ投げられて、また新らしいスレになる。
そこらは、煽りや(藁から発ったこまかな塵で、変にぼうっと黄色になり、
まるで砂漠のけむりのようだ。

 そのうすくらい仕事場を、ひろゆきは、大きなうまい棒をくわえ、
食べかすを(藁に落とさないよう、目を細くして気をつけながら、
両手を背中に組みあわせて、ぶらぶら逝ったりきたりする。
2屁理ッ窟 : 2001/03/20(火) 21:06 ID:WA5nSOAU
 2chはずいぶん頑丈で、学校ぐらいもあるのだが、何せ新式レス扱き器械が、
六台もそろってまわっているから、のんのんのんのんふるうのだ。
中にはいるとそのために、すっかり腹がすくほどだ。そしてじっさい
ひろゆきは、そいつで上手に腹をへらし、ひるめしどきには、六寸ぐらいの
ビフテキだの、雑巾ほどあるオムレツの、ほくほくしたのを食べるのだ。

 とにかく、そうして、のんのんのんのんやっていた。
3屁理ッ窟 : 2001/03/20(火) 21:07 ID:WA5nSOAU
 そしたらそこへどういうわけか、その、あめ象がやって来た。あめ象だぜ。
騙りじゃないぜ。どういうわけで来たかって? そいつはあめ象のことだから、
たぶんぶらっと森を出て、ただなにとなく来たのだろう。

 そいつが2chのラウンジに、ゆっくり顔を出したとき、常連どもはぎょっとした。
なぜぎょっとした? よくきくねえ、何をしだすか知れないじゃないか。
かかり合っては大へんだから、どいつもみな、いっしょうけんめい、
じぶんのスレを扱いていた。

 ところがそのときひろゆきは、ならんだ器械のうしろの方で、
ポケットに手を入れながら、ちらっと鋭くあめ象を見た。
それからすばやく下を向き、何でもないというふうで、
いままでどおり逝ったりきたりしていたもんだ。
4屁理ッ窟 : 2001/03/20(火) 21:07 ID:WA5nSOAU
 そしたらとうとう、あめ象がのこのこ上って来た。そして器械の前のとこを、
のんきに歩きはじめたのだ。

 ところが何せ、器械はひどく廻っていて、レスは夕立か霰のように、
パチパチ象にあたるのだ。象はいかにもうるさいらしく、
小さなその眼を細めていたが、またよく見ると、たしかに少しわらっていた。
5屁理ッ窟 : 2001/03/20(火) 21:08 ID:WA5nSOAU
 ひろゆきはやっと覚悟を決めて、レス扱き器械の前に出て、
あめ象に話をしようとしたが、そのときあめ象が、とてもきれいな、
鶯みたいないい声で、こんな文句を云ったのだ。
「ああ、だめだ、あんまりせわしく、レスがわたしの歯にあたる。」
 さあ、ひろゆきは命懸けだ。うまい棒を右手にもち直し、
度胸を据えて、斯う逝った。
「どうです、此処は面白いですか。」
「おもしろいねえ。」象がからだを斜めにして、目を細くしてレスをした。
「ずうっとこっちに居たらどうです( ̄ー ̄)ニヤリッ。」
622世紀を目指す名無しさん : 2001/03/20(火) 21:08 ID:???
簡潔にまとめてくれ。
7屁理ッ窟 : 2001/03/20(火) 21:08 ID:WA5nSOAU
 常連どもははっとして、息を殺してあめ象を見た。
ひろゆきは逝ってしまってから、にわかにがたがたふるえ出す。
ところがぞうはけろりとして
「居てもいいよ。」とレスしたもんだ。
「そうれすか。それではそうするです。そういうことにしましょうです( ̄ー ̄)ニヤリッ。」
ひろゆきが顔をくしゃくしゃにして、まっ赤になって悦びながらそう逝った。
 どうだ、そうしてこのあめ象は、もうひろゆきの財産だ。
いまに見たまえ、ひろゆきは、あのあめ象を、はたらかせるか、
サーカス団に売りとばすか、どっちにしても万円以上もうけるぜ。
8ぽかりすえっと : 2001/03/20(火) 21:09 ID:.bKbIyz2
なるほど。
で、何がいいたいの?
9boxfondiryadslosk1-p25.hi-ho.ne.jp : 2001/03/20(火) 21:09 ID:IJ.lKlN.
お前アドリブ効くか?>>1
1022世紀を目指す名無しさん : 2001/03/20(火) 21:12 ID:???
コピペ職人になりたいのスレでやってくれ。
11エスネタ : 2001/03/20(火) 21:15 ID:???
文学板なら評価あるかも。残念だがここはラウンジ。
まともに評価はされぬ。鬱。
1222世紀を目指す名無しさん : 2001/03/20(火) 21:28 ID:???
「モナーの事務所」のほうが良かったんじゃない?
13ひろゆき : 2001/03/20(火) 23:07 ID:jpI/q8DQ
プロレタリア文学って感じっすかねぇ、、
1422世紀を目指す名無しさん : 2001/03/20(火) 23:19 ID:???
「注文の多い2チャンネル」でしょ、やっぱ。
1522世紀を目指す名無しさん : 2001/03/20(火) 23:41 ID:???
なんかスキ・・・
1622世紀を目指す名無しさん : 2001/03/21(水) 02:07 ID:???
おや、■、川へはいっちゃいけないったら。
17屁理ッ窟 : 2001/03/21(水) 03:04 ID:???
第五日曜

 ひろゆきかね、そのひろゆきは、俺も云おうとしてたんだが、居なくなったよ。

 まあ落ちついてききたまえ。前にはなしたあめ象を、ひろゆきは少しひどくし過ぎた。
しかたがだんだんひどくなったから、あめ象がなかなか笑わなくなった。
時には赤い竜の眼をして、じっとこんなにひろゆきを見つめるようになってきた。

 ある晩あめ象は難民板で、三把の(藁をたべながら、十日の月を仰ぎ見て、
「苦しいです。サンタマリア。」と云ったということだ。
 こいつを聞いたひろゆきは、ことごとあめ象につらくした。
18屁理ッ窟 : 2001/03/21(水) 03:04 ID:???
 ある晩、あめ象はざー板で、ふらふら倒れて地べたに座り、
(藁もたべずに、十一日の月を見て、
「もう、さようなら、サンタマリア。」と斯う言った。
「おや、何だって? さよならだ?」月が俄かにあめ象に訊く。
「ええ、さよならです。サンタマリア。」
「何だい、なりばかり大きくて、からっきし意気地のないやつだなあ。逝ってヨシ!
仲間へ手紙を書いたらいいや。」月が笑って斯う云った。
「お筆も手紙もありませんよう。」あめ象は細ういきれいな声で、
しくしくしくしく泣き出した。
19屁理ッ窟 : 2001/03/21(水) 03:05 ID:???
「そら、コレダロ(゚Д゚) ノ。」すぐ目の前で、可愛いネコの声がした。
あめ象が頭を上げて見ると、赤い着物のギコがたって、モバイルと捨てメアド
を捧げていた。あめ象は早速メールを書いた。
「ぼくはずいぶん眼にあっている。みんなで出てきて助けてくれ。」

 ギコはすぐにメールを持って、串の方へあるいて逝った。

 赤衣のギコが、そうして広場に着いたのは、ちょうどひるめしごろだった。
このとき広場のざーどもは、沙羅樹のしたのくらやみで、チャットをやっていた
のだが、額をあつめてこれを見た。
20屁理ッ窟 : 2001/03/21(水) 03:06 ID:???
「ぼくはずいぶん眼にあっている。みんなで出てきて助けてくれ。」
 ざーは一せいに立ち上がり、真っ黒になって吠えだした。
「ひろゆきをやっつけよう」議長のざーが高く叫ぶと、
「おう、でかけよう。グララアガア、グララアガア。」みんながいちどに呼応する。

 さあ、もうみんな、荒らしのように串の中をなきぬけて、
グララガア、グララガア、2chのほうへとんで行く。どいつもこいつも
みんなキティガイだ。小さな板などは根こぎになり、ロビーもなにかも
めちゃくちゃだ。グワア グワア グワア、花火みたいに2chの中へ飛び出した。
ひろゆきの邸の壷を見付けると、象はいちどに噴火した。
21屁理ッ窟 : 2001/03/21(水) 03:06 ID:???
 グララガア、グララガア。あまり大きな音なので、2chの板の常連どもが
小手をかざしてむこうを見た。林のようなざーだろう。汽車より早くやってくる。
さあ、まるっきり、血の気も失せてかけ込んで、
「ひろゆきい、ざーです。押し寄せやした。ひろゆきい、ざーです。」
 ところがひろゆきはやっぱりえらい。眼をぱっちりあいたときは、
もう何もかもわかっていた。
「ひぇーおいらに競泳のパンツをはいたお兄さんが襲ってくるよ〜、、
、、>スイマー(睡魔)」
22屁理ッ窟 : 2001/03/21(水) 03:07 ID:???
 ひろゆきはいよいよやっきとなって、そこらあたりをかけまわる。
モナーも気が立って、オマエモナーと吠えながら、2chの中をはせまわる。
 まわりのざーは、いっそうひどく、グララガア、グララガア、
カベのまわりをぐるぐるはしっているらしく、度々中から、氏ね氏ね云う声もする。
壁の中にはひろゆきがたった一人で叫んでいる。削除屋どもは眼もくらみ、
そこらで傍観するだけだ。そのうち外のざーどもは、だんだんにゅうと顔を出す。
さあひろゆきは射ちだした。六連発の串規制さ。
23屁理ッ窟 : 2001/03/21(水) 03:07 ID:???
 ところが荒らしはおさまらない。一匹なぞは斯う言った。
「なかなかこいつはうるさいねえ。ぱちぱち顔へあたるんだ。」
 ひろゆきはいつかどこかで、こんな文句を聞いたようだと思いながら、
うまい棒を帯からつめかえた。そのうちざーのかたあしが、壁からこっちへ
はみ出した。それからも一つはみ出した。五匹のざーが一ぺんに、
壁からどっと落ちて来た。ひろゆきはうまい棒を握ったまま、
もうくしゃくしゃにつぶれていた。
24オジュン : 2001/03/21(水) 03:07 ID:???
抱いてみな 大抵のことは far away
25屁理ッ窟 : 2001/03/21(水) 03:08 ID:???
 グララガア、グララガア、ざーがどしどしなだれこむ。みんなは2chに
押し寄せる。規制なんぞは、マッチのようにへし折られ、あめ象は大へん痩せて
2chを出た。
「まあ、よかったねやせたねえ。」みんなはしずかにそばにより、
鎖と胴をはずしてやった。
「ああ、ありがとう。ほんとにぼくは助かったよ。」あめ象はさびしく笑ってそう云った。

 おや、2chにはまっちゃいけないったら。
26オジュン : 2001/03/21(水) 03:08 ID:???
スレ違い。失礼。
27屁理ッ窟 : 2001/03/21(水) 03:08 ID:???
オリジナル
宮沢賢治「オツベルと象」

参考文献
ネットバカ一代
http://piza.2ch.net/test/read.cgi?bbs=yume&key=955467895
2chが出来た3時間後からずっと来てるけど
http://saki.2ch.net/test/read.cgi?bbs=qa&key=975507226
2ちゃんねるの歩み
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/9347/document/history/index.html
2822世紀を目指す名無しさん : 2001/03/21(水) 03:14 ID:???
お見事。
29開店寿司@冷酒 : 2001/03/21(水) 03:18 ID:Ja94zI3E
去年、オツベルと象の原画展が近所の美術館であったんで、たまたま見てたよ。
おもしろかったよん。
30屁理ッ窟 : 2001/03/21(水) 11:44 ID:FRt7UW3E
帰省あげ
次回作「ギコの事務所」
乞うご期待
3122世紀を目指す名無しさん : 2001/03/21(水) 18:07 ID:???
面白かったです、がんばってください。
3222世紀を目指す名無しさん : 2001/03/21(水) 21:32 ID:???
オチがうまいね。
3322世紀を目指す名無しさん : 2001/03/21(水) 23:10 ID:???
ワイン比呂有紀に負けるな
34エスネタ : 2001/03/21(水) 23:20 ID:???
一作書ききた模様。次回も書く様子。期待してみる。頑張れ。
35地底人 : 2001/03/22(木) 22:27 ID:???
保護。
3622世紀を目指す名無しさん : 2001/03/25(日) 20:09 ID:iLjqs6Kc
3
37屁理ッ窟 : 2001/03/26(月) 04:44 ID:???
ネトの事務所

 軽便鉄道の停車場のちかくに、ネトの第六事務所がありました。
ここはおもに、ネトの歴史と地理を調べるところでした。

 書記はみな、短い黒のしゅすの服を着て、それに大へんみんなに
尊敬されましたから、何かの都合で書記をやめるものがあると、
そこらの若い名無しさんは、どれもどれも、みんなその後へ
入りたがってばたばたしました。

 けれども、この事務所の書記の数はいつもただ四人ときまっていましたから、
そのたくさんの中で一番字がうまく詩の読めるものが、一人やっとえらばれるだけでした。

 事務長は大きなモナーで、少しもうろくはしてはいましたが、眼などは中に
銅線が幾重も張ってあるかのように、じつに立派にできていました。
38屁理ッ窟