ラウンジ三国志NET2030

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578名無しさん?
織田日記8 出歯亀

「尾張に遊びに出てきます」
 私にそう告げて、この日非番であった本間、井伊、のりおの上層陣三名が、
 ようやく山城の門に帰ってきたのは、夜も深けた門限直前の時間だった。

「やあやあ本間殿。随分遅かったでは……」
 万が一があっては困る三名を門で出迎えていた私が目にしたのは、彼らが引き連れた女性陣だった。
 本間は巫女、井伊は看護婦、のりおはOLを、それぞれ二、三名侍らせている。
「あっ、あっ、あの、本間さん?」
「織田殿、遅くなって申し訳ない。尾張に建った大社から連れてきましてな。
 この所軍務も忙しかったものですし、この辺りで息抜きでもと思いまして」
 本間は巫女達に向かい、ぐぃ、と顎で居住区棟を指した。
 心得ているかのように巫女達はそちらに向かう。
 井伊の看護婦、のりおのOLも同様であった。

「いやー、尾張は良い土地ですな! ははは、楽しくなるのう。尾張に乾杯!」
「殿様知ってた? 他の交換候補だった土佐は泥水みたいにボロボロなんだって。 あっち貰わなくて良かったねー」
 のりおと井伊が高いテンションで声をかけてくる。
「それでは失礼。こんばんは、おたのしみなもので」
 急いているのだろう。本間が口早にそう告げ、彼らもまた居住区棟に向っていった。
「……ふむん」

 半刻後、私の姿は居住区棟の外にあった。
「エッグシッ! うー寒。彼らの居住区はたしかここのはず」
 秋風に身体を震わせながら、そっと壁に張り付き、窓を覗き込んだ。
「かっ、カルロスの日記がっ! ゆゆゆ、夢ちゃんが! ホアアーッ!! ホアーッ!」
 怒声を発しながらディスプレイ叩く背番号8を目にして、私は部屋を間違えたことに気がついたのであった……。