織田日記6 加賀にて
加賀への撤退命令がでるやいなや、ぽつぽつと武将達が加賀へ引いた。
武将達は、かがり火を囲み、一同に不安げな表情を浮かべている。
私を助けてくれた江畑も、無事戻ってきた。
裸族長、ピヨ彦、カルロ、ここ、三毛パン、サクファイス……、
君主軍師を含む、六将の兜やら鎧の一部を、彼は手にしていた。
能登の防衛だけで、あれだけの武将に傷を負わせ、引かせたという事だろう。凄まじい男だ。
「江畑、良くやってくれた」
「………」
寡黙な彼はほんの僅かに頷くと、どっしりと胡坐をかいた。
それから、また薄くなった髪を整えている。
「ねえねえ、反撃はどうしましょう? カウンター一斉等いかがでしょうか」
「井伊殿、配下が船乗りの将が多い今回では、それは難しかろう」
「ああん」
四カ国協議の際には使者ともなった井伊直もちと、本間宗久が、反撃策を講じている。
各将を束ねる者達が諦めない姿勢を持っているのは、頼もしかった。
「まずは諸将が戦える姿勢を整えねばな。
精鋭43名一丸となり、裂帛の気迫を持って戦えば、ロッソ国を押し返す事も可能である!」
武将達を励ますように、私も声を出す。
とはいえ、敗軍の士気については、私もどうなるものか分かっている。
「えっちって言われてぇなぁ」
「どんな娘に言われたいのさ」
「ボンキュッボンな娘とか、ご主人さまーって娘とか」
伊達男とXAZSAの、わけのわからない雑談が、私の不安をまた一つ強くした。