ラウンジ三国志NET2030

このエントリーをはてなブックマークに追加
407名無しさん?
中嶋日記 その11「困窮」

陸奥の空気にも、通夜の空気にも慣れはじめた1585年の1月、
ラウンジ奉行所から一枚のはがきが届いた。
『たじまが不在で給与の振込みができません、城内へお越しください』
私が急いで城に向かうと、城門の入り口で人だかりができていた。

『かわいそうに、戦勝の記念が珊瑚の数珠ですって』
「この時代に大包平はあまり聞かないわね」
『将軍職なのにこんなことって・・・』

ビッテンボロー提督が乞食に身をやつし、ござを敷いて座っていた。
横にある小さな茶碗にはわずかな小銭が放り込まれている。
第三の送金王・柾木剣士が札束を茶碗にねじ込もうとする。
が、小さな茶碗には入らない。ランカちゃんが柾木の肩を抱いて止める。
『無理よ、私も何度も試したの・・・枠が、枠が足りないの』
崩れ去る柾木の姿を見て、一部始終を見守っていた武将はみな嗚咽していた。

そんな時、傍らを朱色と青の豪華な塗装を施した馬車が駆け抜けていった。
『はいはい、どいて、どいてー、給料貰いに来たよ、貢献700オーバーだよ』
台湾カラーの憎い奴、Kevinだった。

にわかにあたりが殺気だつ。ひとりの新参がつぶやく。
『もう我慢の限界だ、俺がやる』誰もがそう、何度も、解雇を試みようとしたことがある。
だが、Kevinの無邪気な欲望とたどたどしい日本語は、その決心をいとも簡単に打ち砕く。
『ママー、Kevinね、ニッポンのゲームで貢献ナンバーワンになったんだよ!』
「そうーすごいわね、でもママと約束して、勉強も頑張るって」
海の向こうの明るい食卓まで解雇する権利なんて誰も欲しくない。
悪いのは仕様、貧乏仕様、あるいは腐。
そう思うことで誰かの幸福を守れるのなら恨みつらみも悪くない。

私たちはラウンジ。愛と正義と貧困の国ラウンジ。