せいじか日記 その3
越後からも甲斐の街が赤く燃えているのがわかった。
職人町・兵舎・牧場・・・あらゆる町の施設は撤退時に焼かれ、
街の資金はごっそりと抜き取られていた。
戦略的撤退と言えば格好はいいだろう、しかしあまりにも甲斐が不憫だった。
だが、それとは裏腹にまだ戦争が始まっていない越後は明るく賑やかだった。
背後で威勢の良い声がした。
「兄さん、お腹すいてないかい?越後名物・横槍餅でも食べていきんさい」
『合戦前の餅はもたれるから・・・もっと軽いものなら食べたいんだが』
「合戦?あんたもしかして軍事との開戦ことを言ってるのかい?」
『ああ、この辺も厳しい戦場になるかもしれない』
「あんたバカだね・・・織田さんの進軍スピードは3年で1都市レベルさ、心配ないよ」
『・・・じゃあ頂こうかな』
だが政治家部に身をおいていた私はわかっていた。
今度の織田が少し違うことを。
「おばさん、ところでこの辺に大筒雇える街はないかな?」
私は餅にかぶりつきながら、織田に備える必要性をひしひしと感じていた。