自分が自分でない。
何も考えることが出来ずに相手を深いところまで、身体全部で感じている。
相手の動きに逆らう事無く揺らされ、そして相手の手で高められていく。
気が付けば声は抑える事などとうに出来なくなって、目尻から伝う涙すら留める事も出来ず。
背中に回された指を絡め取ればそのまま、…果てた。
王子の端正な顔が歪む。
――…疲労と、余韻と、それどころじゃないけど…王子のこんな余裕の無い顔を見れるのは特権だと思う。
目を閉じれば身体を重ねたまま相手が果てるのが分る。
再度瞼を閉じればその瞼に唇を落とされた。
このまま目を開けると、もう何時もの王子に戻ってるんだろうか…。
でもまだちょっとの間、そんな余韻に浸っていたくて。
情事の後に、隣に寝転んで一緒に居れる時間が好き。
妙な一体感とそして共に感じる疲労と。
心底相手の事を好きだと思って居られる時間、それはお互いに。
荒い息を吐いたままの相手が目を開けると、ちょっと笑みを浮かべた。
苦しいのかキツいのか…それともただ眠いのか。
背中に手を回して密着させる。汗に湿る肌が重なる。
どちらからとも無くのキス、俺たちは何も言う事も無く
暫く眠りにおちていく、幸せの時間をむかえた。