指先が先走りで濡れていく。
掌で口元を押さえる癖に、…癖というか声を出したくないのか。
何時もは面白がってそれを剥いだりするんだけど。自分で悶々としてるのを見てるのも面白いかも。
滑りがよくなったのをいい事に後ろにも擦り付ける様に指を辿らせる。
なるべく負担をかけたくないと何時も念入りにしたがる俺に堪え性の無い兼ちゃん。
後ろに指を滑り込ませながら先端を口に含むと、堪えきれなかった声が上がった。
同じ男のものを口にするなんて考えた事無かったけど…抵抗が無いといえば嘘にはなるけど。
不思議だけど、最初に抱きたいと思った時からそんな事考える事もなくなってた。
淡々と、あくまで淡々と。
後ろに滑り込む指の圧力が増える。腰が浮きそうな感覚に無自覚に涙で前が滲む。
むず痒い感触、何時までたったって…というか一生慣れる事なんて無いんだろう。
王子の指が俺の何処かを溶かしていく。
段々と流されていく俺自身に容赦無く責め苦は続けられ、指先の感覚までも相手と一体になっていく。俺自身が、相手を求めて…求めて…絆されて…。
指を引き抜くと相手と視線が絡み合う。
濡れる大きな二重の光が弱弱しい。
欲情の証に身を乗り出せば唇に軽いキスを。
両方の膝を合わせる様に持上げ体重をかける。
これからの行為の不安か、期待か…。眉根を寄せて俺の事を見てるその目。
何時も年上ぶって髪に指を絡めてくる。
体重をかけていくと共に何とか此方を見てこようとする顔が苦痛に歪んでいく。
無意識に上がる声は痛みによるもので。
俺に突き刺さってくるそれに、少しでも和らげようと強弱を付ける様に先端を埋める。
俺自身も待ち望んだコト。逸る気持ちは吐息に流す。
――征服欲、独占欲…