ACT.449

このエントリーをはてなブックマークに追加
685名無しさん?

「寝心地がわるい」
「・・・・だったらどいたらいいのに」
「いーの、別にこれで。いやだなんて言ってないし」
「・・・・・・・怒られるよ」
だれに、と訊ねられたので笑っておくと、ムカつくなあその顔、と言いながら元気は楽しそうに笑っていた。
寝心地がわるいと形容されたのは俺の膝である。
不本意ながら細身であることは事実で、細い男の膝というものは、どうも枕には適さないらしいけれど、
元気はどういうわけかさっきからこの膝に頭をのせて寝転がっている。部屋の枕を使えばいいのに。
「で?だれに、」
「そこを言わせたいんだ」
「聞いてみたいんだよ」
その口から、と言って元気はちょっとシリアスな顔になった。さっきよりも。
そこはなんというか、笑い飛ばしてほしいんだけど。
それは芝居か。だとしたら意味が分からない。
「・・・お米が好きな人、が」
「ははっ、」
なんで照れんの!と元気はひどく大きな声で笑った。
「かねちゃん、来るの?」
「たぶん」
「また俺のこと追い出すんだろうなー」